説明

車両用表示装置

【課題】詳細表示を視認する余裕が生じた場合であれば、車両の停車中に限定されることなく運転者が詳細表示を確実に視認することができ、且つ、簡易表示から詳細表示への不必要な切り替えを防止することが可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】表示制御部85は、簡易表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であり、且つ運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるときには、簡易表示を詳細表示に切り替え、運転者にとって表示部3を視認する余裕が少ない視認不可能状態であるとき、又は運転者が表示部の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるときには、簡易表示を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3848601号公報には、車速を読み込むことで車両が走行中であるか停車中であるかを判別し、走行中であると判別したときには異常若しくは故障を簡潔な表現で表示を行い、停車中であると判別したときには異常若しくは故障を説明的な表現で表示する車両用メータ装置が記載されている。
【0003】
特開2007−210462号公報には、車両の速度が切替速度に満たない場合は表示装置のすべての領域に文字を表示する通常表示を設定し、車両の速度が切替速度以上である場合は表示装置の文字サイズのうち小さい表示領域を読めない状態に表示する(フォントを「・」にする)簡易表示を設定する車両用表示制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3848601号公報
【特許文献2】特開2007−210462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許第3848601号公報の技術では、車両の走行中は常に簡潔な表現で表示が行われる。しかし、車両が低速で走行している場合には、説明的な表現での表示を視認する余裕が運転者に生じ得るため、簡潔な表現で表示するよりも説明的な表現で表示する方が望ましい場合がある。
【0006】
また、特開2007−210462号公報の技術では、車速が切替速度以上であるか否かのみによって表示態様が切り替わるため、車速が切替速度の前後で変動すると、運転者の視認意図とは別に表示態様が頻繁に切り替わる。このため、運転者の視界をちらつかせ、運転者の運転を妨げてしまう可能性が生じる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、詳細表示を視認する余裕が生じた場合であれば、車両の停車中に限定されることなく運転者が詳細表示を確実に視認することができ、且つ、簡易表示から詳細表示への不必要な切り替えを防止することが可能な車両用表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様の車両用表示装置は、表示手段と、表示制御手段と、走行状態検知手段と、運転操作検知手段と、視認余裕判定手段と、視認意図判定手段とを備える。
【0009】
表示手段は、車室内に配置され車両の運転者が視認可能である。表示制御手段は、運転者へ報知する所定の情報を、詳細表示と詳細表示よりも情報量が制限された簡易表示との間で切り替えて表示手段に表示する。走行状態検知手段は、車両の走行状態を検知する。運転操作検知手段は、運転者の運転操作を検知する。視認余裕判定手段は、運転者にとって表示手段を視認する余裕が多い視認可能状態であるか、或いは余裕が少ない視認不可能状態であるかを、走行状態検知手段が検知した車両の走行状態に基づいて判定する。視認意図判定手段は、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるか、或いは視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるかを、運転操作検知手段が検知した運転者の運転操作に基づいて判定する。
【0010】
表示制御手段は、簡易表示によって所定の情報を表示手段に表示している状態において、視認余裕判定手段が視認可能状態であると判定し、且つ視認意図判定手段が視認要求状態であると判定した場合には、簡易表示を詳細表示に切り替え、視認余裕判定手段が視認不可能状態であると判定した場合、又は視認意図判定手段が視認非要求状態であると判定した場合には、簡易表示を継続する。
【0011】
走行状態検知手段は、例えば、車両の車速を検知する。
【0012】
運転操作検知手段は、視認要求状態の判定のために複数の運転操作を検知してもよく、例えば、ブレーキペダルが操作されているか否か、サイドブレーキが操作されているか否か、又はギア段がいずれの状態であるかを検知する。
【0013】
視認余裕判定手段は、例えば、上記の走行状態検知手段が検知する車両の車速が所定値以下であるときに視認可能状態であると判定し、車速が所定値を超えているときに視認不可能状態であると判定する。
【0014】
視認意図判定手段は、視認要求状態の判定のために上記の運転操作検知手段が検知する複数の運転操作のうち、いずれか一つの運転操作が所定の条件を満たしているときに視認要求状態であると判定し、全ての運転操作が所定の条件を満たしていないときに視認非要求状態であると判定してもよい。この場合、例えば、ブレーキペダルが操作されていること、サイドブレーキが操作されていること、又はギア段がニュートラルであることのいずれか一つが検知されているときに視認要求状態であると判定し、それらのいずれもが検知されていないときに視認非要求状態であると判定する。
【0015】
上記構成では、運転者にとって表示手段を視認する余裕が多い視認可能状態であり、且つ運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるときに、簡易表示が詳細表示に切り替わる。このため、車両が走行中であっても運転者が詳細表示を視認することによって運転の安全性が失われないような状況であれば、表示手段の視認を意図する運転者は、車両の停車中に限定されることなく詳細表示による詳しい情報を確認することができる。
【0016】
また、運転者にとって表示手段を視認する余裕が少ない視認不可能状態のときには、情報量の制限された簡易表示が継続して維持される。これにより、表示手段に表示された情報を運転者が短い時間で把握することができるため、運転者の運転を妨げることがない。
【0017】
また、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態のときには、表示手段を視認する余裕が運転者に多いか少ないかにかかわらず簡易表示が継続して維持される。このため、運転者が詳細表示を必要としていないときに簡易表示から詳細表示への不必要な切り替えが行われて運転者の視界をちらつかせることがなく、運転者の運転を妨げることがない。
【0018】
また、視認要求状態の判定のために上記の運転操作検知手段が検知するブレーキペダルの操作やサイドブレーキの操作やギア段のニュートラルへの変更操作は、いずれも運転者による車両の制動操作である。すなわち、車両の本質的機能である制動操作がされたか否かに基づいて、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態とみなしている。このため、別途視認要求状態の判定のための特別な手段を設けることなく、簡易な構成によって視認要求状態の判定を行うことができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様の車両用表示装置は、第1の態様の車両用表示装置であって、発進意図判定手段をさらに備える。
【0020】
発進意図判定手段は、運転者が車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態か、或いは発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるかを、運転操作検知手段が検知した運転者の運転操作に基づいて判定する。
【0021】
表示制御手段は、詳細表示によって所定の情報を表示手段に表示している状態において、発進意図判定手段が発進移行状態であると判定した場合には、視認意図判定手段が視認要求状態であると判定する状況であっても、詳細表示を簡易表示に切り替え、発進意図判定手段が停止継続状態であると判定した場合には、視認意図判定手段が視認非要求状態であると判定する状況であっても、詳細表示を継続する。
【0022】
発進意図判定手段は、発進移行状態の判定のために上記の運転操作検知手段が検知する複数の運転操作のうち、全ての運転操作が所定の条件を満たしているときに発進移行状態であると判定し、いずれか一つの運転操作が所定の条件を満たしていないときに停止継続状態であると判定してもよい。この場合、例えば、ブレーキペダルが操作されていないこと、サイドブレーキが操作されていないこと、及びギア段が走行段であることの全てが検知されているときに発進移行状態であると判定し、それらのいずれか一つでも検知されていないときに停止継続状態であると判定する。
【0023】
視認意図判定手段と発進意図判定手段とは、運転操作検知手段が検知する共通の運転操作に基づいてそれぞれの判定を行ってもよく、異なる運転操作に基づいてそれぞれの判定を行ってもよい。
【0024】
上記構成では、運転者が車両の発進を意図している可能性が低い停止継続状態のときには、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態と判定される状況であっても、停止継続状態であることが優先されて詳細表示が継続して維持される。
【0025】
ここで、停車中の車両が停車を継続する可能性が高く発進する可能性が低い停止継続状態では、詳細表示から簡易表示に切り替える必要性が認められない。加えて、停止継続状態において、視認非要求状態の検知を条件に詳細表示を簡易表示に切り替えてしまうと、表示手段への視認の意図がなくなった運転者が再び表示手段を視認しようとしたときに、簡易表示から詳細表示へ完全に切り替わらずに、運転者に煩雑な印象を与えてしまう可能性が生じる。
【0026】
これに対し、上記構成では、停止継続状態であれば、詳細表示が必ず継続して維持されるので、運転者に煩雑な印象を与えてしまうことがない。
【0027】
また、運転者が車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態のときには、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であると判定される状況であっても、発進移行状態であることが優先されて詳細表示が簡易表示に切り替わる。すなわち、詳細表示が必ず維持される停止継続状態から発進移行状態へ移行したときに、運転者は詳細表示を視認できなくなる。このため、停止継続状態において詳細表示を視認していた運転者に対し、発進移行時のタイミングで視線を表示手段から離脱させるように促すことができ、安全運転に寄与した表示切り替えを行うことができる。
【0028】
また、視認意図判定手段と発進意図判定手段とが運転操作検知手段が検知する共通の運転操作に基づいてそれぞれの判定をする場合、構成の簡略化を図ることができる。
【0029】
また、本発明の第3の態様の車両用表示装置は、表示手段と、表示制御手段と、走行状態検知手段と、視線方向検知手段と、視認余裕判定手段と、視認意図判定手段とを備える。
【0030】
表示手段は、車室内に配置され車両の運転者が視認可能である。表示制御手段は、運転者へ報知する所定の情報を、詳細表示と詳細表示よりも情報量が制限された簡易表示との間で切り替えて表示手段に表示する。走行状態検知手段は、車両の走行状態を検知する。視線方向検知手段は、運転者の視線方向を検知する。視認余裕判定手段は、運転者にとって表示手段を視認する余裕が多い視認可能状態であるか、或いは余裕が少ない視認不可能状態であるかを、走行状態検知手段が検知した車両の走行状態に基づいて判定する。視認意図判定手段は、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるか、或いは視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるかを、視線方向検知手段が検知した運転者の視線方向に基づいて判定する。
【0031】
表示制御手段は、簡易表示によって所定の情報を表示手段に表示している状態において、視認余裕判定手段が視認可能状態であると判定し、且つ視認意図判定手段が視認要求状態であると判定した場合には、簡易表示を詳細表示に切り替え、視認余裕判定手段が視認不可能状態であると判定した場合、又は視認意図判定手段が視認非要求状態であると判定した場合には、簡易表示を継続する。
【0032】
視線方向検知手段は、例えば、カメラが撮像した運転者の顔や眼球の映像に基づいて、運転者の視線方向を検知する。
【0033】
視認意図判定手段は、例えば、運転者の視線方向が表示手段の方向である状態が所定の時間以上や所定の時間割合以上であるとき、視認要求状態であると判定し、所定の時間未満や所定の時間割合未満であるとき、視認非要求状態であると判定する。
【0034】
上記構成では、運転者にとって表示手段を視認する余裕が多い視認可能状態であり、且つ運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるときに、簡易表示が詳細表示に切り替わる。このため、車両が走行中であっても運転者が詳細表示を視認することによって運転の安全性が失われないような状況であれば、表示手段の視認を意図する運転者は、車両の停車中に限定されることなく詳細表示による詳しい情報を確認することができる。
【0035】
また、運転者にとって表示手段を視認する余裕が少ない視認不可能状態のときには、情報量の制限された簡易表示が継続して維持される。これにより、表示手段に表示された情報を運転者が短い時間で把握することができるため、運転者の運転を妨げることがない。
【0036】
また、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態のときには、表示手段を視認する余裕が運転者に多いか少ないかにかかわらず簡易表示が継続して維持される。このため、運転者が詳細表示を必要としていないときに簡易表示から詳細表示への不必要な切り替えが行われて運転者の視界をちらつかせることがなく、運転者の運転を妨げることがない。
【0037】
また、運転者の視線方向に基づいて視認要求状態が判定される。このため、運転者が表示手段を視認した直接的なタイミングで簡易表示を詳細表示に切り替えることができる。
【0038】
また、本発明の第4の態様の車両用表示装置は、第3の態様の車両用表示装置であって、運転操作検知手段と、発進意図判定手段とをさらに備える。
【0039】
運転操作検知手段は、運転者の運転操作を検知する。発進意図判定手段は、運転者が車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態か、或いは発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるかを、運転操作検知手段が検知した運転者の運転操作に基づいて判定する。
【0040】
表示制御手段は、詳細表示によって所定の情報を表示手段に表示している状態において、発進意図判定手段が発進移行状態であると判定した場合には、視認意図判定手段が視認要求状態であると判定する状況であっても、詳細表示を簡易表示に切り替え、発進意図判定手段が停止継続状態であると判定した場合には、視認意図判定手段が視認非要求状態であると判定する状況であっても、詳細表示を継続する。
【0041】
上記構成では、運転者が車両の発進を意図している可能性が低い停止継続状態のときには、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態と判定される状況であっても、停止継続状態であることが優先されて詳細表示が継続して維持される。
【0042】
ここで、停車中の車両が停車を継続する可能性が高く発進する可能性が低い停止継続状態では、詳細表示から簡易表示に切り替える必要性が認められない。加えて、停止継続状態において、視認非要求状態の検知を条件に詳細表示を簡易表示に切り替えてしまうと、表示手段への視認の意図がなくなった運転者が再び表示手段を視認しようとしたときに、簡易表示から詳細表示へ完全に切り替わらずに、運転者に煩雑な印象を与えてしまう可能性が生じる。
【0043】
これに対し、上記構成では、停止継続状態であれば、詳細表示が必ず継続して維持されるので、運転者に煩雑な印象を与えてしまうことがない。
【0044】
また、運転者が車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態のときには、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であると判定される状況であっても、発進移行状態であることが優先されて詳細表示が簡易表示に切り替わる。すなわち、詳細表示が必ず維持される停止継続状態から発進移行状態へ移行したときに、運転者は詳細表示を視認できなくなる。このため、停止継続状態において詳細表示を視認していた運転者に対し、発進移行時のタイミングで視線を表示手段から離脱させるように促すことができ、安全運転に寄与した表示切り替えを行うことができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、詳細表示を視認する余裕が生じた場合であれば、車両の停車中に限定されることなく運転者が詳細表示を確実に視認することができ、且つ、簡易表示から詳細表示への不必要な切り替えを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0047】
図1は第1の実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両のブロック構成図であり、図2は図1の車両用表示装置の表示部の概略図であり、図3は表示部に表示する簡易表示及び詳細表示の例を示す図であり、図4は第1の実施形態に係る表示制御処理を示すフローチャートである。
【0048】
図1に示すように、本実施形態に係る車両1に設けられた車両用表示装置2は、表示部(表示手段)3と、運転操作センサ(運転操作検知手段)4と、走行状態センサ(走行状態検知手段)5と、システム状態センサ6と、表示情報記憶部7と、コントローラ8とを備える。
【0049】
表示部3は、液晶画面31を有し、車両1の運転空間のインストルメントパネル32に配置され、車両1の運転者が視認可能である。
【0050】
運転操作センサ4は、運転者の運転操作を検知する。運転操作センサ4は、ブレーキペダルセンサ41と、サイドブレーキセンサ42と、ギア段位置センサ43と、クラッチペダルセンサ44とを備える。ブレーキペダルセンサ41は、ブレーキペダルが操作されているか否かを検知し、検知したブレーキペダルの操作の有無の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。サイドブレーキセンサ42は、サイドブレーキが操作されているか否かを検知し、検知したサイドブレーキの操作の有無の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。ギア段位置センサ43は、ギア段がいずれの状態に操作されているかを検知し、検知したギア段の状態の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。なお、本実施形態では、マニュアル車(MT車)のギア段であるが、オートマチック車(AT車)のギア段や、MT及びATの双方の特徴を併せ持つ機構のギア段などであってもよい。クラッチペダルセンサ44は、クラッチペダルが操作されているか否かを検知し、検知したクラッチペダルの操作の有無の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。
【0051】
走行状態センサ5は、車両1の走行状態を検知する。走行状態センサ5は、車速センサ51を有する。車速センサ51は、車両1の車速を検知し、検知した車速の情報を含む信号をコントローラ8へ出力する。
【0052】
システム状態センサ6は、車両1の各種システムのうち、異常や故障が発生したこと、或いは作動状況を運転者に報知することが望ましいシステムのそれぞれの状態を検知し、検知したシステムの状態の情報を含む信号をコントローラ8へ出力する。システム状態センサ6は、例えば、エアクリーナエレメントの機能の低下、排気ガスフィルタの再生状態、ミリ波レーダの受信状態、充電状態、エンジンオイルの圧力、冷却水の温度、冷却水の量、ギア段の切替用タンク内のエアの圧力などを検知する。
【0053】
表示情報記憶部7は、運転者へ報知する複数の情報のそれぞれの詳細表示と詳細表示よりも情報量が制限された簡易表示とを予め記憶する。
【0054】
コントローラ8は、報知要求判定部81と、視認意図判定部(視認意図判定手段)82と、視認余裕判定部(視認余裕判定手段)83と、発進意図判定部(発進意図判定手段)84と、表示制御部(表示制御手段)85とを有する。コントローラ8には、運転操作センサ4と走行状態センサ5とシステム状態センサ6とが出力した信号とが入力する。
【0055】
報知要求判定部81は、運転者に情報を報知することが望ましい報知要求状態であるか否かを、システム状態センサ6が検知した車両1のシステムの状態、及び運転操作センサ4が検知した運転者の運転操作に基づいて判定する。本実施形態では、報知要求判定部81は、運転操作センサ4のうち、クラッチペダルセンサ44が検知した運転者の運転操作を報知要求状態の判定のために使用する。報知要求判定部81は、システム状態センサ6が検知した車両1のシステムの状態、及び運転操作センサ4が検知した運転者の運転操作に基づいて、報知要求状態であると判定する場合、どのシステムの状態又は運転者の運転操作において、何を報知することが要求されているかも含めて判定する。本実施形態では、報知要求判定部81は、例えば、冷却水の量が所定値以下であるか否かを判定したり、クラッチペダルがギアの連結後も所定時間以上踏まれているか否かを判定する。
【0056】
視認意図判定部82は、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるか、或いは視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるかを、運転操作センサ4が検知した運転者の運転操作に基づいて判定する。本実施形態では、運転操作センサ4のうち、ブレーキペダルセンサ41とサイドブレーキセンサ42とギア段位置センサ43とが検知した運転者の運転操作を、視認要求状態及び視認非要求状態の判定のために使用する。なお、視認要求状態及び視認非要求状態の判定には、運転操作センサ4が検知した運転者の複数の運転操作を使用しなくてもよく、運転操作センサ4が検知した運転操作のうち少なくとも一つの運転操作を使用すればよい。
【0057】
視認意図判定部82は、視認要求状態及び視認非要求状態の判定のために運転操作センサ4が検知する複数の運転操作のうち、いずれか一つの運転操作が所定の条件を満たしているときに運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であると判定し、全ての運転操作が所定の条件を満たしていないときに運転者が表示部3の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であると判定する。具体的には、視認意図判定部82は、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、又はギア段がニュートラルであるとギア段位置センサ43が検知したことのいずれか一つの情報を含む信号が入力しているときに視認要求状態であると判定し、ブレーキペダルが操作されていないとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されていないとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、及びギア段がニュートラル以外であるとギア段位置センサ43が検知したことそれぞれの情報を含む信号が全て入力しているときに視認非要求状態であると判定する。ここで、視認要求状態及び視認非要求状態の判定のために運転操作センサ4が検知するブレーキペダルの操作やサイドブレーキの操作やギア段のニュートラルへの変更操作は、いずれも運転者による車両1の制動操作である。すなわち、車両1の本質的機能である制動操作がされたか否かに基づいて、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態とみなしている。このため、別途視認要求状態の判定のための特別な手段を設けることなく、簡易な構成によって視認要求状態の判定を行うことができる。
【0058】
視認余裕判定部83は、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であるか、或いは余裕が少ない視認不可能状態であるかを、走行状態センサ5が検知した車両1の走行状態に基づいて判定する。具体的には、視認余裕判定部83は、車速センサ51が検知した車両1の車速が5km/h以下であるときに視認可能状態であると判定し、車速が5km/hを超えているときに視認不可能状態であると判定する。なお、視認可能状態及び視認不可能状態の判定の閾値となる車速は、5km/hに限らないが、10km/h以下程度の低速が望ましい。
【0059】
発進意図判定部84は、運転者が車両1の発進を意図している可能性が高い発進移行状態か、或いは発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるかを、運転操作センサ4が検知した運転者の運転操作に基づいて判定する。本実施形態では、運転操作センサ4のうち、ブレーキペダルセンサ41とサイドブレーキセンサ42とギア段位置センサ43とが検知した運転者の運転操作を発進移行状態及び停止継続状態の判定のために使用する。なお、発進移行状態及び停止継続状態の判定には、少なくとも一つの運転操作を使用すればよいが、複数の運転操作を使用することが望ましい。また、本実施形態では、視認意図判定部82と発進意図判定部84とが、運転操作センサ4が検知する共通の運転操作に基づいてそれぞれの判定をするため、構成の簡略化を図ることができる。また、発進意図判定部84は、運転操作センサ4が検知する運転操作のうち、視認意図判定部82と共通の運転操作に基づいてそれぞれの判定を行うが、これに限らず、視認意図判定部82と異なる運転操作に基づいてそれぞれの判定を行ってもよい。
【0060】
発進意図判定部84は、発進移行状態及び停止継続状態の判定のために運転操作センサ4が検知する複数の運転操作のうち、全ての運転操作が所定の条件を満たしているときに発進移行状態であると判定し、いずれか一つの運転操作が所定の条件を満たしていないときに停止継続状態であると判定する。具体的には、ブレーキペダルが操作されていないとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されていないとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、及びギア段が走行段であるとギア段位置センサ43が検知したことそれぞれの情報を含む信号が全て入力しているときに発進移行状態であると判定し、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、又はギア段が走行段以外であるとギア段位置センサ43が検知したことのいずれか一つの情報を含む信号が入力しているときに停止継続状態であると判定する。
【0061】
表示制御部85は、運転者へ報知する所定の情報を、表示情報記憶部7から読み出して、詳細表示と簡易表示との間で切り替えて表示部3に表示する。本実施形態では、表示制御部85は、報知要求判定部81が報知要求状態であると判定することに基づいて、運転者に報知する所定の情報として、車両システムの異常や、車両システムの故障や、車両システムの作動状況や、運転者の運転状況に対するアドバイスを表示部3に表示する。表示制御部85は、報知要求状態であると報知要求判定部81が判定した場合、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示又は詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示又は詳細表示を表示部3に表示し、報知要求状態でないと報知要求判定部81が判定した場合、表示部3に何も表示しない。
【0062】
本実施形態では、表示制御部85は、報知要求判定部81が報知要求状態であると判定して車両1が走行中である状態において、視認意図判定部82が視認要求状態であると判定し、且つ視認余裕判定部83が視認可能状態であると判定した場合には、詳細表示によって表示し、また、視認意図判定部82が視認非要求状態であると判定した場合、又は視認余裕判定部83が視認不可能状態であると判定した場合には、簡易表示によって表示する。また、表示制御部85は、報知要求判定部81が報知要求状態であると判定して車両1が停車中である状態において、発進意図判定部84が発進移行状態であると判定した場合には、簡易表示によって表示し、発進意図判定部84が停止継続状態であると判定した場合には、詳細表示によって表示する。
【0063】
図3に、報知要求状態であると報知要求判定部81が判定したときに表示制御部85が表示部3に表示する簡易表示及び詳細表示の例を示す。
【0064】
図3(a)に示すように、エアクリーナエレメントの機能が低下していると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「エアクリーナエレメント」と異常があるシステムを表示し、詳細表示では「エアクリーナエレメント」と表示するとともに「エアクリーナエレメントを清掃又は交換して下さい。」と車両システムの異常に対する具体的な対処法を表示する。
【0065】
また、図3(b)に示すように、排気ガスフィルタの汚れを燃焼してフィルタを再生していると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「DPD自動再生中」と表示し、詳細表示では「DPD自動再生中」と表示するとともに「再生は自動的に終了します。スイッチ操作の必要はありません。」と車両システムの作動状況を表示する。
【0066】
また、図3(c)に示すように、ミリ波レーダの検知信号に異常があると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「ミリ波レーダ汚れ」と表示し、詳細表示では「ミリ波レーダ汚れ」と表示するとともに「レーダ前面の汚れや着雪をふき取って下さい。引き続き表示される場合は販売会社にご連絡下さい。」と車両システムの異常に対する具体的な対処法を表示する。
【0067】
また、図3(d)に示すように、充電状態に異常があると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「充電異常」と表示するとともに「安全な場所に停車して下さい」と表示し、詳細表示では「充電異常」と表示するとともに「ベルトを点検して下さい。バッテリーがあがるおそれがあるので販売会社へご連絡下さい。」と車両システムの異常に対する具体的な対処法を表示する。
【0068】
また、図3(e)に示すように、エンジンオイルの圧力に異常があると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「エンジンオイル」と表示するとともに「安全な場所に停車して下さい」と表示し、詳細表示では「油圧異常」と表示するとともに「オイル量を点検して下さい。オイル量が正常でオイル漏れがないときは販売会社へご連絡下さい。」と車両システムの異常に対する具体的な対処法を表示する。
【0069】
また、図3(f)に示すように、オーバーヒート状態であると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「オーバーヒート」と表示するとともに「安全な場所に停車して下さい」と表示し、詳細表示では「オーバーヒート」と表示するとともに「冷機後エンジンを停止し、冷却水を点検して下さい。やけどの恐れがあるので高温時サブタンクキャップを外さないで下さい。」と車両システムの異常に対する具体的な対処法を安全な対処のための留意点も含めて表示する。
【0070】
また、図3(g)に示すように、冷却水が所定量以下であると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「冷却水不足」と表示するとともに「安全な場所に停車して下さい」と表示し、詳細表示では「冷却水不足」と表示するとともに「冷却水の漏れを点検し補給して下さい。やけどの恐れがあるので高温時サブタンクキャップを外さないで下さい。」と車両システムの異常に対する具体的な対処法を安全な対処のための留意点も含めて表示する。
【0071】
また、図3(h)に示すように、ギア段の切替用タンク内のエアの圧力が低下したと報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「T/Mエア圧低下」と表示し、詳細表示では「T/Mエア圧低下」と表示するとともに「この表示が消えるまでエアをためて下さい。度々点灯する場合は販売会社へご連絡下さい。」と車両システムの異常に対する具体的な対処法を表示する。
【0072】
また、図3(i)に示すように、クラッチペダルがギアの連結後に所定時間以上踏まれていると報知要求判定部81が判定した場合、表示制御部85は、簡易表示では「クラッチ足乗せ注意」と表示し、詳細表示では「クラッチ足乗せ注意」と表示するとともに「クラッチが早期磨耗するおそれがあります。走行中はクラッチペダルに足を乗せないで下さい。」と運転者の運転状況に対するアドバイスを表示する。
【0073】
次に、本実施形態のコントローラ8が実行する表示制御処理について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。コントローラ8は、表示制御処理を所定時間毎(例えば1秒毎)に実行する。
【0074】
まず、ステップS11では、システム状態センサ6が検知した車両1のシステムの状態、及び運転操作センサ4が検知した運転者の運転操作に基づいて、運転者に情報を報知することが望ましい報知要求状態であるか否かを報知要求判定部81が判定する。報知要求状態でないと判定した場合、本処理を終了する。また、報知要求状態であると判定した場合、ステップS12へ移行する。
【0075】
次に、ステップS12では、車速センサ51が検知した車両1の車速に基づいて、車両1が停車中(0km/h)であるか否かを判定する。車両1が走行中であり停車中でないと判定した場合、ステップS13へ移行する。
【0076】
次に、ステップS13では、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知しているか否かを視認意図判定部82が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合、ステップS14へ移行する。次に、ステップS14では、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知しているか否かを視認意図判定部82が判定する。サイドブレーキが操作されていない場合、ステップS15へ移行する。次に、ステップS15では、ギア段がニュートラルであるとギア段位置センサ43が検知しているか否かを視認意図判定部82が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合であり(ステップS13:NO)、サイドブレーキが操作されていない場合であり(ステップS14:NO)、且つギア段がニュートラル以外である場合は(ステップS15:NO)、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるので(ステップS17)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS18)、本処理を終了する。また、ブレーキペダルが操作されている場合(ステップS13:YES)と、サイドブレーキが操作されている場合(ステップS14:YES)と、ギア段がニュートラルである場合(ステップS15:YES)とは、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるので(ステップS16)、視認可能状態であるか視認不可能状態であるかを判定するためにステップS19へ移行する。
【0077】
次に、ステップS19では、車速センサ51が検知した車両1の車速が5km/h以下であるか否かを視認余裕判定部83が判定する。車速が車速が5km/hを超えている場合、運転者にとって表示部3を視認する余裕が少ない視認不可能状態であるので(ステップS20)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS18)、本処理を終了する。また、車速が5km/h以下である場合、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であるので(ステップS21)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した詳細表示を表示部3に表示して(ステップS22)本処理を終了する。
【0078】
また、ステップ12において車両1が停車中であると判定した場合、ステップS23へ移行する。ステップS23では、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知してるか否かを発進意図判定部84が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合、ステップS24へ移行する。次に、ステップS24では、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知しているか否かを発進意図判定部84が判定する。サイドブレーキが操作されていない場合、ステップS25へ移行する。次に、ステップS25では、ギア段が走行段であるとギア段位置センサ43が検知しているか否かを発進意図判定部84が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合であり(ステップS23:NO)、サイドブレーキが操作されていない場合であり(ステップS24:NO)、且つギア段が走行段である場合は(ステップS25:YES)、運転者が車両1の発進を意図している可能性が高い発進移行状態であるので(ステップS26)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS18)、本処理を終了する。また、ブレーキペダルが操作されている場合(ステップS23:YES)と、サイドブレーキが操作されている場合(ステップS24:YES)と、ギア段が走行段以外である場合(ステップS25:NO)とは、運転者が車両1の発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるので(ステップS27)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した詳細表示を表示部3に表示して(ステップS22)本処理を終了する。
【0079】
上記表示制御処理では、報知要求判定部81によって報知要求状態であると判定された場合に、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報が詳細表示又は簡易表示によって表示される。また、報知要求判定部81によって報知要求状態でないと判定された場合は、表示部3が非表示状態となる。
【0080】
また、車両1が走行中である状態において、運転者がブレーキペダルを操作するか、サイドブレーキを操作するか、ギア段をニュートラルに変更操作すると、視認要求状態であると判定される。また、車両1が走行中であり視認要求状態のときに、車両1の車速が5km/h以下であると、視認可能状態であると判定され、詳細表示によって表示される。また、車両1が走行中である状態において、運転者がブレーキペダルやサイドブレーキを操作せず、ギア段をニュートラル以外に操作していると、視認非要求状態であると判定され、簡易表示によって表示される。また、車両1が走行中であり、視認要求状態のときに、車両1の車速が5km/hを超えていると、視認不可能状態であると判定され、簡易表示によって表示される。このため、簡易表示によって表示部3に表示されている状態において、視認可能状態であると判定され、且つ視認要求状態であると判定された場合には、簡易表示が詳細表示に切り替わり、視認不可能状態であると判定した場合、又は視認非要求状態であると判定された場合には、簡易表示が継続して維持される。
【0081】
また、車両1が停車中である状態において、運転者がブレーキペダルを操作するか、サイドブレーキを操作するか、ギア段を走行段以外に操作していると、停止継続状態であると判定され、詳細表示によって表示される。また、車両1が停車中である状態において、運転者がブレーキペダルを操作せず、サイドブレーキを操作せず、ギア段を走行段に変更操作すると、発進移行状態であると判定され、簡易表示によって表示される。このため、詳細表示によって表示部3に表示されている状態において、発進移行状態であると判定された場合には、視認意図判定部82が視認要求状態であると判定する状況であるか視認非要求状態であると判定する状況であるかにかかわらず、詳細表示が簡易表示に切り替わり、停止継続状態であると判定された場合には、視認意図判定部82が視認要求状態であると判定する状況であるか視認非要求状態であると判定する状況であるかにかかわらず、詳細表示が継続して維持される。
【0082】
次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。
【0083】
図5は第2の実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両のブロック構成図であり、図6は第2の実施形態に係る表示制御処理を示すフローチャートである。図5に示すように、本実施形態に係る車両11に設けられた車両用表示装置21は、表示部(表示手段)3と、運転操作センサ(運転操作検知手段)4と、カメラ(視線方向検知手段)22と、走行状態センサ(走行状態検知手段)5と、システム状態センサ6と、表示情報記憶部7と、コントローラ80とを備える。コントローラ80は、報知要求判定部81と、視線方向判定部(視線方向検知手段)23と、視認意図判定部(視認意図判定手段)86と、視認余裕判定部(視認余裕判定手段)83と、発進意図判定部(発進意図判定手段)84と、表示制御部(表示制御手段)85とを有する。コントローラ80には、カメラ22と走行状態センサ5とシステム状態センサ6とが出力した信号が入力する。第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0084】
カメラ22と視線方向判定部23とは、本発明の視線方向検知手段を構成し、運転者の視線方向を検知する。カメラ22は、運転者の眼球或いは顔を撮影し、撮像情報を含む映像データをコントローラ80へ出力する。視線方向判定部23は、カメラ22から入力する映像データに基づいて、運転者の視線方向を判定する。
【0085】
視認意図判定部86は、視線方向判定部23が判定した運転者の視線方向に基づいて、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるか、或いは視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるかを判定する。本実施形態では、所定時間(2秒間)において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が基準値(例えば50%)を超えているか否かを判定し、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が基準値を超えている場合、視認要求状態であると判定し、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が基準値以下である場合、視認非要求状態であると判定する。
【0086】
なお、視認意図判定部86は、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が基準値を超えているか否かによって、視認要求状態であるか視認非要求状態であるかを判定することに限らず、他の判定基準を視認要求状態であるか視認非要求状態であるかの判定基準として設けてもよい。例えば、運転者の視線が表示部3を向いている時間が所定時間(例えば2秒間)を超えているか否かを判定し、運転者の視線が表示部3を向いている時間が所定時間を超えている場合、視認要求状態であると判定し、運転者の視線が表示部3を向いている時間が所定時間以下である場合、視認非要求状態であると判定してもよい。また、視認意図判定部86は、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いた回数が基準回数を超えているか否かを判定し、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いた回数が基準回数を超えている場合、視認要求状態であると判定し、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いた回数が基準回数を以下である場合、視認非要求状態であると判定してもよい。また、視認意図判定部86は、これらの視認要求状態であるか視認非要求状態であるかの判定基準を複数設けてもよい。また、視認意図判定部86は、視認要求状態と判定している状態において、運転者の視線が表示部3から外れたとき、直ぐに視認非要求状態であると判定せずに、運転者が表示部3を視認する意図がないと判断できる程度の長時間、運転者の視線が表示部3から外れた場合に視認非要求状態であると判定してもよい。これにより、詳細表示と簡易表示とが頻繁に切り替わらないため、運転者に煩雑な印象を与えてしまうことがない。
【0087】
次に、本実施形態のコントローラ80が実行する表示制御処理について、図6に示すフローチャートに沿って説明する。コントローラ80は、表示制御処理を所定時間毎(例えば1秒毎)に実行する。
【0088】
まず、ステップS31では、システム状態センサ6が検知した車両11のシステムの状態、及び運転操作センサ4が検知した運転者の運転操作に基づいて、運転者に情報を報知することが望ましい報知要求状態であるか否かを報知要求判定部81が判定する。報知要求状態でないと判定した場合、本処理を終了する。また、報知要求状態であると判定した場合、ステップS32へ移行する。
【0089】
次に、ステップS32では、車速センサ51が検知した車両11の車速に基づいて、車両11が停車中(0km/h)であるか否かを判定する。車両11が走行中であり停車中でないと判定した場合、ステップS33へ移行する。
【0090】
次に、ステップS33では、2秒間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が50%を超えているか否かを視認意図判定部86が判定する。2秒間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が50%以下である場合、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるので(ステップS34)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS35)、本処理を終了する。また、2秒間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が50%を超えている場合、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるので(ステップS36)、視認可能状態であるか視認不可能状態であるかを判定するためにステップS37へ移行する。
【0091】
次に、ステップS37では、車速センサ51が検知した車両11の車速が5km/h以下であるか否かを視認余裕判定部83が判定する。車速が車速が5km/hを超えている場合、運転者にとって表示部3を視認する余裕が少ない視認不可能状態であるので(ステップS38)表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS35)、本処理を終了する。また、車速が5km/h以下である場合、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であるので(ステップS39)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した詳細表示を表示部3に表示して(ステップS40)本処理を終了する。
【0092】
また、ステップ32において車両11が停車中であると判定した場合、ステップS41へ移行する。ステップS41では、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知してるか否かを発進意図判定部84が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合、ステップS42へ移行する。次に、ステップS42では、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知しているか否かを発進意図判定部84が判定する。サイドブレーキが操作されていない場合、ステップS43へ移行する。次に、ステップS43では、ギア段が走行段であるとギア段位置センサ43が検知しているか否かを発進意図判定部84が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合であり(ステップS41:NO)、サイドブレーキが操作されていない場合であり(ステップS42:NO)、且つギア段が走行段である場合は(ステップS43:YES)、運転者が車両11の発進を意図している可能性が高い発進移行状態であるので(ステップS44)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS35)、本処理を終了する。また、ブレーキペダルが操作されている場合(ステップS41:YES)と、サイドブレーキが操作されている場合(ステップS42:YES)と、ギア段が走行段以外である場合(ステップS43:NO)とは、運転者が車両11の発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるので(ステップS45)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した詳細表示を表示部3に表示して(ステップS40)本処理を終了する。
【0093】
上記表示制御処理では、報知要求判定部81によって報知要求状態であると判定された場合に、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報が詳細表示又は簡易表示によって表示される。また、報知要求判定部81によって報知要求状態でないと判定された場合は、表示部3が非表示状態となる。
【0094】
また、車両11が走行中である状態において、2秒間において50%を超えている時間割合で運転者が視線を表示部3に向けると、視認要求状態であると判定される。また、車両11が走行中であり視認要求状態のときに、車両11の車速が5km/h以下であると、視認可能状態であると判定され、詳細表示によって表示される。また、車両11が走行中である状態において、2秒間において50%以下の時間割合しか運転者が視線を表示部3に向けていないと、視認非要求状態であると判定され、簡易表示によって表示される。また、車両11が走行中であり、視認要求状態のときに、車両11の車速が5km/hを超えていると、視認不可能状態であると判定され、簡易表示によって表示される。このため、簡易表示によって表示部3に表示されている状態において、視認可能状態であると判定され、且つ視認要求状態であると判定された場合には、簡易表示が詳細表示に切り替わり、視認不可能状態であると判定した場合、又は視認非要求状態であると判定された場合には、簡易表示が継続して維持される。
【0095】
また、車両11が停車中である状態において、運転者がブレーキペダルを操作するか、サイドブレーキを操作するか、ギア段を走行段以外に操作していると、停止継続状態であると判定され、詳細表示によって表示される。また、車両11が停車中である状態において、運転者がブレーキペダルを操作せず、サイドブレーキを操作せず、ギア段を走行段に変更操作すると、発進移行状態であると判定され、簡易表示によって表示される。このため、詳細表示によって表示部3に表示されている状態において、発進移行状態であると判定された場合には、視認意図判定部86が視認要求状態であると判定する状況であるか視認非要求状態であると判定する状況であるかにかかわらず、詳細表示が簡易表示に切り替わり、停止継続状態であると判定された場合には、視認意図判定部86が視認要求状態であると判定する状況であるか視認非要求状態であると判定する状況であるかにかかわらず、詳細表示が継続して維持される。
【0096】
本実施形態では、運転者の視線方向に基づいて視認要求状態及び視認非要求状態が判定されるため、運転者が表示部3を視認した直接的なタイミングで簡易表示を詳細表示に切り替えることができる。
【0097】
次に、本発明の第3の実施形態を図7及び図8に基づいて説明する。
【0098】
図7は第3の実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両のブロック構成図であり、図8は第3の実施形態に係る表示制御処理を示すフローチャートである。
【0099】
図7に示すように、本実施形態に係る車両10に設けられた車両用表示装置20は、表示部(表示手段)3と、運転操作センサ(運転操作検知手段)40と、走行状態センサ(走行状態検知手段)50と、システム状態センサ6と、表示情報記憶部7と、コントローラ9とを備える。第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0100】
運転操作センサ40は、車速センサ45とアクセルペダルセンサ46とを有する。車速センサ45は、運転者が車両10を制動する運転操作を検知するために設けられ、車両10の車速を検知し、検知した車速の情報を含む信号をコントローラ9へ出力する。アクセルペダルセンサ46は、アクセルペダルが操作されているか否かを検知し、検知したアクセルペダルの状態の情報を含む信号をコントローラ9へ出力する。
【0101】
走行状態センサ50は、車両10の走行状態を検知する。走行状態センサ50は、操舵角センサ52を有する。操舵角センサ52は、ステアリングに入力された操舵角を検知し、検知した操舵角を含む信号をコントローラ9へ出力する。
【0102】
コントローラ9は、報知要求判定部81と、運転操作判定部91と、視認意図判定部(視認意図判定手段)92と、走行状態判定部93と、視認余裕判定部(視認余裕判定手段)94と、発進意図判定部(発進意図判定手段)95と、表示制御部(表示制御手段)85とを有する。
【0103】
運転操作判定部91は、車速センサ45が検知した車速に基づいて、車両10の車速が所定速度以下であるかを判定するとともに、減速度が所定の範囲で発生しているか否かを判定する。運転操作判定部91は、所定速度として20km/h以下であるか否かを判定する。また、所定速度は、20km/hに限らないが、15km/h〜25km/h程度が望ましい。また、所定の範囲の減速度は、停止ブレーキと判断できる程度の減速度であり、急ブレーキと判断可能な減速度は除かれる。
【0104】
視認意図判定部92は、車両10の車速が20km/h以下であると運転操作判定部91が判定し、且つ車両10の減速度が所定の範囲であると運転操作判定部91が判定したときに、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であると判定し、車両10の車速が20km/hを超えていると運転操作判定部91が判定したとき、又は車両10の減速度が所定の範囲でないと運転操作判定部91が判定したときに、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であると判定する。
【0105】
なお、運転操作センサ40は、さらに、ブレーキペダルセンサ41と、ギア段位置センサ43とを備えてもよい。この場合、視認意図判定部92は、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知したとき又はギア段がニュートラルであるとギア段位置センサ43が検知したときに、視認要求状態と判定し、ブレーキペダルが操作されていないとブレーキペダルセンサ41が検知し、且つギア段がニュートラル以外であるとギア段位置センサ43が検知したときに、視認非要求状態であると判定してもよい。これにより、急な上り斜面である場合や、中速度でサイドブレーキが操作されている場合など、視認意図が認められ難い減速状態を除くことができ、ブレーキペダルの操作による制動とギア段をニュートラルに変更操作した制動による減速状態とに基づいて視認要求状態及び視認非要求状態の判定をすることができる。
【0106】
走行状態判定部93は、操舵角センサ52が検知したステアリングの操舵角に基づいて、車両10が直進走行状態であるか否かを判定する。本実施形態では、走行状態判定部93は、操舵角センサ52が検知する操舵角が所定角未満であるときに車両10が直進走行状態であると判定し、操舵角センサ52が検知する操舵角が所定角以上であるときに車両10が直進走行状態でないと判定する。なお、走行状態判定部93は、操舵角センサ52が検知したステアリングの操舵角に基づいて、所定角以上であるか否かを判定するのに限らず、例えば、操舵角センサ52がステアリングへの入力を所定時間内に所定回数以上検知しているか否かを判定し、ステアリングへの入力が所定時間内に所定回数以上検知されているときに車両10が直進走行状態でないと判定し、ステアリングへの入力が所定時間内に所定回数未満しか検知されているときに車両10が直進走行状態であると判定してもよい。
【0107】
視認余裕判定部94は、車両10が直進走行状態であると走行状態判定部93が判定したときに、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であると判定し、車両10が直進走行状態でないと走行状態判定部93が判定したときに、運転者にとって表示部3を視認する余裕が少ない視認不可能状態であると判定する。
【0108】
発進意図判定部95は、アクセルペダルが操作されていないとアクセルペダルセンサ46が検知したときに停止継続状態であると判定し、アクセルペダルが操作されているとアクセルペダルセンサ46が検知したときに発進移行状態であると判定する。
【0109】
次に、本実施形態のコントローラ9が実行する表示制御処理について、図8に示すフローチャートに沿って説明する。コントローラ9は、表示制御処理を所定時間毎(例えば1秒毎)に実行する。
【0110】
まず、ステップS51では、システム状態センサ6が検知した車両10のシステムの状態、及び運転操作センサ40が検知した運転者の運転操作に基づいて、運転者に情報を報知することが望ましい報知要求状態であるか否かを報知要求判定部81が判定する。報知要求状態でないと判定した場合、本処理を終了する。また、報知要求状態であると判定した場合、ステップS52へ移行する。
【0111】
次に、ステップS52では、車速センサ45が検知した車両10の車速に基づいて、車両10が停車中(0km/h)であるか否かを判定する。車両10が走行中であり停車中でないと判定した場合、ステップS53へ移行する。
【0112】
次に、ステップS53では、車速センサ45が検知した車両10の車速が20km/h以下であるか否かを運転操作判定部91が判定する。車速が20km/h以下である場合、ステップS54へ移行する。次に、ステップS54では、車速センサ45が検知した車両10の車速に基づいて、所定の範囲の減速度であるか否かを運転操作判定部91が判定する。車速が20km/hを超えている場合(ステップS53:NO)と、所定の範囲の減速度でない場合(ステップS54:NO)とは、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるので(ステップS55)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS56)、本処理を終了する。また、車速が20km/h以下である場合であり(ステップS53:YES)、所定の範囲の減速度である場合は(ステップS54:YES)、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるので(ステップS57)、視認可能状態であるか視認不可能状態であるかを判定するためにステップS58へ移行する。
【0113】
次に、ステップS58では、操舵角センサ52が検知する操舵角が所定角以上であるか否かを走行状態判定部93が判定する。操舵角が所定角以上である場合、車両10が直進走行状態でなく、運転者にとって表示部3を視認する余裕が少ない視認不可能状態であるので(ステップS59)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS56)、本処理を終了する。また、操舵角が所定角未満である場合、車両10が直進走行状態であり、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であるので(ステップS60)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した詳細表示を表示部3に表示して(ステップS61)、本処理を終了する。
【0114】
また、ステップ52において車両10が停車中であると判定した場合、ステップS62へ移行する。ステップS62では、アクセルペダルが操作されているとアクセルペダルセンサ46が検知しているか否かを発進意図判定部95が判定する。アクセルペダルが操作されている場合、運転者が車両10の発進を意図している可能性が高い発進移行状態であるので(ステップS63)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS56)、本処理を終了する。また、アクセルペダルが操作されていない場合、運転者が車両10の発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるので(ステップS64)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した詳細表示を表示部3に表示して(ステップS61)本処理を終了する。
【0115】
上記表示制御処理では、報知要求判定部81によって報知要求状態であると判定された場合に、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報が詳細表示又は簡易表示によって表示される。また、報知要求判定部81によって報知要求状態でないと判定された場合は、表示部3が非表示状態となる。
【0116】
また、車両10が走行中である状態において、運転者が車両10を制動操作することによって、車速が20km/h以下で、所定の範囲の減速度となると、視認要求状態であると判定される。また、車両10が走行中であり視認要求状態のときに、運転者がステアリングを所定角未満しか操舵していない場合、視認可能状態であると判定され、詳細表示によって表示される。また、車両10が走行中である状態において、車速が20km/hを超えているか、又は所定の範囲の減速度でない(加速度の場合も含む)場合、視認非要求状態であると判定され、簡易表示によって表示される。また、車両10が走行中であり、視認要求状態のときに、運転者がステアリングを所定角以上操舵している場合、視認不可能状態であると判定され、簡易表示によって表示される。このため、簡易表示によって表示部3に表示されている状態において、視認可能状態であると判定され、且つ視認要求状態であると判定された場合には、簡易表示が詳細表示に切り替わり、視認不可能状態であると判定した場合、又は視認非要求状態であると判定された場合には、簡易表示が継続して維持される。
【0117】
また、車両10が停車中である状態において、運転者がアクセルペダルを操作していない場合、停止継続状態であると判定され、詳細表示によって表示される。また、車両10が停車中である状態において、運転者がアクセルペダルを操作し始めると発進移行状態であると判定され、簡易表示によって表示される。このため、詳細表示によって表示部3に表示されている状態において、発進移行状態であると判定された場合には、視認意図判定部92が視認要求状態であると判定する状況であるか視認非要求状態であると判定する状況であるかにかかわらず、詳細表示が簡易表示に切り替わり、停止継続状態であると判定された場合には、視認意図判定部92が視認要求状態であると判定する状況であるか視認非要求状態であると判定する状況であるかにかかわらず、詳細表示が継続して維持される。
【0118】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第1〜第3の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。本実施形態に係る車両に設けられた車両用表示装置は、表示部(表示手段)3と、運転操作センサ(運転操作検知手段)と、カメラ(視線方向検知手段)22と、走行状態センサ(走行状態検知手段)と、車両状態センサと、システム状態センサ6と、視認要求スイッチと、詳細表示要求スイッチと、簡易表示要求スイッチと、表示情報記憶部7と、コントローラとを備える。
【0119】
運転操作センサは、ブレーキセンサ41と、サイドブレーキセンサ42と、ギア段位置センサ43と、クラッチペダルセンサ44と、アクセルペダルセンサ46とを備える。
【0120】
走行状態センサは、車速センサ51と、操舵角センサ52と、加速度センサと、車外撮影カメラと、オートライトセンサとを備える。加速度センサは、車両の所定箇所(例えばサスペンションを介して車輪と連結されたキャブ)に固定され、車体の上下方向の加速度を検知し、検知した上下方向の加速度の情報を含む信号をコントローラへ出力する。車外撮影カメラは、車両の周囲を撮影し、撮影した動画の情報を含む信号をコントローラへ出力する。オートライトセンサは、車外の明るさを検知し、検知した車外の明るさの情報を含む信号をコントローラへ出力する。
【0121】
車両状態センサは、ドア開閉センサと、室内灯センサと、シートベルトセンサとを有し、発進意図判定部による発進移行状態及び停止継続状態の判定のために車両の状態を検知する。ドア開閉センサは、ドアの開閉状態を検知し、検知したドアの開閉状態の情報を含む信号をコントローラへ出力する。室内灯センサは、室内灯が点灯しているか否かを検知し、検知した室内灯の状態の情報を含む信号をコントローラへ出力する。シートベルトセンサは、運転席のシートベルトが締められているか否かを検知し、検知したシートベルトの状態の情報を含む信号をコントローラへ出力する。
【0122】
視認要求スイッチは、運転者が表示部3の視認を意図したときに押圧するために、運転空間に配置され、運転者が押圧可能なスイッチである。視認要求スイッチは、スイッチが押圧された情報を含む信号をコントローラへ出力する。視認要求スイッチは、押圧されている間オン状態となる構成、或いは押圧毎にオン状態とオフ状態とが切り替えられる構成である。
【0123】
詳細表示要求スイッチは、運転者が簡易表示を詳細表示に切り替えたいときに押圧するために、運転空間に配置され、運転者が押圧可能なスイッチである。詳細表示要求スイッチは、スイッチが押圧された情報を含む信号をコントローラへ出力する。詳細表示要求スイッチは、押圧されている間オン状態となる構成、或いは押圧毎にオン状態とオフ状態とが切り替えられる構成である。
【0124】
簡易表示要求スイッチは、運転者が詳細表示を簡易表示に切り替えたいときに押圧するために、運転空間に配置され、運転者が押圧可能なスイッチである。簡易表示要求スイッチは、スイッチが押圧された情報を含む信号をコントローラへ出力する。簡易表示要求スイッチは、押圧されている間オン状態となる構成、或いは押圧毎にオン状態とオフ状態とが切り替えられる構成である。
【0125】
コントローラは、報知要求判定部81と、運転操作判定部91と、視線方向判定部23と、視認意図判定部(視認意図判定手段)と、走行状態判定部と、視認余裕判定部(視認余裕判定部手段)と、発進意図判定部(発進意図判定手段)と、表示制御部(表示制御手段)85とを備える。
【0126】
視認意図判定部は、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるか、或いは視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるかを、ブレーキペダルセンサ41と、サイドブレーキセンサ42と、ギア段位置センサ43と、視線方向判定部23とから入力する情報に基づいて判定する。具体的には、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、ギア段がニュートラルであるとギア段位置センサ43が検知したこと、視線方向判定部23が判定した運転者の視線方向に基づいて、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が基準値を超えていることの条件のうち、少なくとも一つの条件を満たすときに視認要求状態であると判定し、ブレーキペダルが操作されていないとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されていないとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、ギア段がニュートラル以外であるとギア段位置センサ43が検知したこと、視線方向判定部23が判定した運転者の視線方向に基づいて、所定時間において運転者の視線が表示部3を向いている時間割合が基準値以下であることの全ての条件を満たすときに視認非要求状態であると判定する。
【0127】
また、視認意図判定部は、視認要求スイッチがオンである場合、視認要求状態と判定し、視認要求スイッチがオフである場合、視認非要求状態と判定する。これにより、視認可能状態である場合、運転者は所望のタイミング視認要求スイッチを押圧することによって詳細表示を確認することができる。また、視認意図判定部は、視認要求スイッチがオンである場合、所定時間(例えば5秒間)視認要求状態と判定してもよい。これにより、視認可能状態である場合、運転者は簡単な操作で詳細表示の情報を確認することができる。
【0128】
走行状態判定部は、操舵角センサ52と、加速度センサと、車外撮影カメラと、オートライトセンサとから入力する情報に基づいて、車両の走行状態を判定する。具体的には、走行状態判定部は、操舵角センサ52が検知する操舵角に基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定する。具体的には、操舵角センサ52が検知する操舵角が所定角未満であるときに車両が直進走行状態であると判定し、操舵角センサ52が検知する操舵角が所定角以上であるときに車両が直進走行状態でないと判定する。また、走行状態判定部は、加速度センサが検知した車体の上下方向の加速度に基づいて、路面が整備状態であるか否かを判定する。具体的には、加速度センサが検知する上下方向の加速度が所定値以下であるときに、路面が整備状態であると判定し、加速度センサが検知する上下方向の加速度が所定値を超えているときに、路面が未舗装であったり路面に段差があるような未整備状態であると判定する。また、走行状態判定部は、車外撮影カメラが撮像した車両の周囲の画像に基づいて、道路構造物(路面の白線、ガードレール、縁石など)の変化を判定して車両が進路の変更をしたか否かを判定する。なお、走行状態判定部は、車外撮影カメラが撮像した車両の周囲の画像に基づいて、周囲の障害物(他車両や通行人など)が車両に対して接近しているか否かを判定してもよい。また、走行状態判定部は、オートライトセンサが検知した車外の明るさが所定の明度を超えていた状態から所定の明度以下に暗くなったか、又はオートライトセンサが検知した車外の明るさが所定の明度以下の状態から所定の明度を超えて明るくなったかを判定する。
【0129】
視認余裕判定部は、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であるか、或いは余裕が少ない視認不可能状態であるかを、走行状態センサが検知した車両の走行状態に基づいて判定する。視認余裕判定部は、車速センサ51が検知した車両の車速が5km/h以下であること、操舵角センサ52が検知したステアリングの操舵角に基づいて車両が直進走行状態であると走行状態判定部が判定したこと、加速度センサが検知した車体の上下方向の加速度に基づいて路面が整備状態であると走行状態判定部が判定したこと、車外撮影カメラが撮像した車両の周囲の画像に基づいて車両が進路の変更をしていないと走行状態判定部が判定したこと、オートライトセンサが検知した車外の明るさが所定の明度の上下で変化がないと走行状態判定部が判定したことの全ての条件を満たすときに視認可能状態であると判定し、操舵角センサ52が検知したステアリングの操舵角に基づいて車両が直進走行状態でないと走行状態判定部が判定したこと、加速度センサが検知した車体の上下方向の加速度に基づいて路面が未整備状態であると走行状態判定部が判定したこと、車外撮影カメラが撮像した車両の周囲の画像に基づいて車両が進路の変更をしたと走行状態判定部が判定したこと、オートライトセンサが検知した車外の明るさが所定の明度の上下で変化したと走行状態判定部が判定したことの条件のうち、少なくとも一つの条件を満たすときに、視認不可能状態であると判定する。なお、オートライトセンサが検知した車外の明るさが所定の明度の上下で変化したと走行状態判定部が判定した場合、トンネルへの出入りなど、車外の明るさが短時間で大きく変化して運転者にとって表示部3を視認する余裕が少ない状態が続く可能性があるため、視認余裕判定部は、車外の明るさが所定の明度の上下で変化したと走行状態判定部が判定してから、運転者が眼球の適応に必要な所定時間(例えば3秒間)、視認不可能状態であると判定してもよい。
【0130】
発進意図判定部は、運転者が車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態か、或いは発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるかを、発進意図判定部は、ブレーキセンサ41と、サイドブレーキセンサ42と、ギア段位置センサ43と、アクセルペダルセンサ46と、車両状態センサとから入力する情報に基づいて判定する。発進意図判定部は、ブレーキペダルが操作されていないとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されていないとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、ギア段が走行段であるとギア段位置センサ43が検知したこと、アクセルペダルが操作されているとアクセルペダルセンサ46が検知したこと、ドアが閉止状態であるとドア検知センサが検知したこと、室内灯が消灯していると室内灯センサが検知したこと、運転席のシートベルトが締められているとシートベルトセンサが検知したことの全ての条件を満たすときに発進移行状態であると判定し、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知したこと、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知したこと、ギア段が走行段以外であるとギア段位置センサ43が検知したこと、アクセルペダルが操作されていないとアクセルペダルセンサ46が検知したこと、ドアが開放状態であるとドア検知センサが検知したこと、室内灯が点灯していると室内灯センサが検知したこと、運転席のシートベルトが締められているとシートベルトセンサが検知したことの条件のうち、少なくとも一つの条件を満たすときに停止継続状態であると判定する。
【0131】
表示制御部85は、第1の実施形態と同様の処理を行う。また、表示制御部85は、簡易表示によって表示部3に表示している状態で、詳細表示要求スイッチがオンであるときに、簡易表示を詳細表示に切り替える。これにより、運転者は所望のタイミングで詳細表示を確認することができる。また、運転者は、簡易表示と詳細表示との対応関係を確認することができる。また、表示制御部85は、詳細表示によって表示部3に表示している状態で、簡易表示要求スイッチがオンであるときに、詳細表示を簡易表示に切り替える。これにより、運転者は所望のタイミングで簡易表示を確認することができる。また、運転者は、簡易表示と詳細表示との対応関係を確認することができる。
【0132】
なお、車両用表示装置には、運転操作センサ及び走行状態センサとして、坂道発進補助装置を設けてもよい。坂道発進補助装置は、サイドブレーキが解除された状態でブレーキペダルが2秒以上踏み込まれることによってオンに設定され、ギアがニュートラル以外であったり、車速が5km/h以上であったり、サイドブレーキが引かれたり、解除するスイッチの操作がされると、オフに設定される。坂道発進補助装置がオンに設定されているときには、ブレーキペダル及びサイドブレーキは操作されていないが、ブレーキペダルが操作された状態が維持される。視認意図判定部は、坂道発進補助装置がオンに設定されているとき、視認要求状態であると判定し、視認非要求状態の判定のための上記条件の全てを満たすときであって、坂道発進補助装置がオフに設定されているとき、視認非要求状態であると判定する。視認余裕判定部は、視認可能状態の判定のための上記条件を満たさない場合であっても、坂道発進補助装置がオンに設定されているとき、視認可能状態であると判定し、坂道発進補助装置がオフに設定されているときには、視認不可能状態であると判定する。発進意図判定部は、坂道発進補助装置がオフに設定されているとき、停止継続状態であると判定し、発進移行状態の判定のための上記条件の全てを満たすときであって、坂道発進補助装置がオフに設定されているとき、発進移行状態であると判定する。また、坂道発進補助装置は、車速が0km/hであるときにオンに設定され、車速が0km/hでない場合にオフに設定される構成であってもよい。かかる構成の場合には、視認余裕判定部は、操舵角センサ52や加速度センサや車外撮影カメラやオートライトセンサが検出した状態に基づく判定は行わなくてもよい。
【0133】
また、第4の実施形態で視認要求状態及び視認非要求状態の判定に使用した各種センサ、視認可能状態及び視認不可能状態の判定に使用した各種センサ、発進移行状態及び停止継続状態の判定した各種センサのうち一部のみを設け、設けたセンサに基づいて上記の判定を実行してもよい。
【0134】
以上説明したように、本発明の第1〜第4の実施形態では、簡易表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、運転者にとって表示部3を視認する余裕が多い視認可能状態であり、且つ運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるときに、簡易表示が詳細表示に切り替わる。このため、車両が走行中であっても運転者が詳細表示を視認することによって運転の安全性が失われないような状況であれば、表示部3の視認を意図する運転者は、車両の停車中に限定されることなく詳細表示による詳しい情報を確認することができる。
【0135】
また、簡易表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、運転者にとって表示部3を視認する余裕が少ない視認不可能状態のときには、情報量の制限された簡易表示が継続して維持される。これにより、表示部3に表示された情報を運転者が短い時間で把握することができるため、運転者の運転を妨げることがない。
【0136】
また、簡易表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態のときには、表示部3を視認する余裕が運転者に多いか少ないかにかかわらず簡易表示が継続して維持される。このため、運転者が詳細表示を必要としていないときに簡易表示から詳細表示への不必要な切り替えが行われて運転者の視界をちらつかせることがなく、運転者の運転を妨げることがない。
【0137】
また、詳細表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、運転者が車両の発進を意図している可能性が低い停止継続状態のときには、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が低い視認非要求状態と判定される状況であっても、停止継続状態であることが優先されて詳細表示が継続して維持される。
【0138】
ここで、詳細表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、停車中の車両が停車を継続する可能性が高く発進する可能性が低い停止継続状態では、詳細表示から簡易表示に切り替える必要性が認められない。加えて、停止継続状態において、視認非要求状態の検知を条件に詳細表示を簡易表示に切り替えてしまうと、表示部3への視認の意図がなくなった運転者が再び表示部3を視認しようとしたときに、簡易表示から詳細表示へ完全に切り替わらずに、運転者に煩雑な印象を与えてしまう可能性が生じる。
【0139】
これに対し、本発明の上記実施形態では、詳細表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、停止継続状態であれば、詳細表示が必ず継続して維持されるので、運転者に煩雑な印象を与えてしまうことがない。
【0140】
また、詳細表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、運転者が車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態のときには、運転者が表示部3の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であると判定される状況であっても、発進移行状態であることが優先されて詳細表示が簡易表示に切り替わる。すなわち、詳細表示が必ず維持される停止継続状態から発進移行状態へ移行したときに、運転者は詳細表示を視認できなくなる。このため、停止継続状態において詳細表示を視認していた運転者に対し、発進移行時のタイミングで視線を表示手段から離脱させるように促すことができ、安全運転に寄与した表示切り替えを行うことができる。
【0141】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【0142】
例えば、上記実施形態構成では、表示制御部85は、詳細表示によって所定の情報を表示部3に表示している状態において、発進意図判定部が発進移行状態であると判定すると、直ぐに詳細表示を簡易表示に切り替えるが、これに限らない。例えば、表示制御部85は、発進移行状態であると発進意図判定部が所定時間(例えば5秒間)を置いて連続して判定したときに、詳細表示を簡易表示へ切り替え、発進意図判定部が発進移行状態であると所定時間を置いて連続して判定しなかったときに、詳細表示を継続してもよい。また、発進意図判定部が発進移行状態であると所定時間(例えば5秒間)継続して判定したときに、詳細表示を簡易表示へ切り替え、発進意図判定部が発進移行状態であると所定時間において連続して判定しなかったときに、詳細表示を継続してもよい。これにより、詳細表示の表示を簡易表示に不必要に切り替えることなく継続して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両のブロック構成図である。
【図2】図1の車両用表示装置の表示部の概略図である。
【図3】表示部に表示する簡易表示及び詳細表示の例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示制御処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両のブロック構成図である。
【図6】第2の実施形態に係る表示制御処理を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両のブロック構成図である。
【図8】第3の実施形態に係る表示制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0144】
2:車両用表示装置
3:表示部(表示手段)
4,40:運転操作センサ(運転操作検出手段)
5,50:走行状態センサ(走行状態検出手段)
82,86,92:視認意図判定部(視認意図判定手段)
83,94:視認余裕判定部(視認余裕判定手段)
84,95:発進意図判定部(発進意図判定手段)
85:表示制御部(表示制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置され車両の運転者が視認可能な表示手段と、
前記運転者へ報知する所定の情報を、詳細表示と該詳細表示よりも情報量が制限された簡易表示との間で切り替えて前記表示手段に表示する表示制御手段と、
前記車両の走行状態を検知する走行状態検知手段と、
前記運転者の運転操作を検知する運転操作検知手段と、
前記運転者にとって前記表示手段を視認する余裕が多い視認可能状態であるか、或いは余裕が少ない視認不可能状態であるかを、前記走行状態検知手段が検知した前記車両の走行状態に基づいて判定する視認余裕判定手段と、
前記運転者が前記表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるか、或いは視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるかを、前記運転操作検知手段が検知した前記運転者の運転操作に基づいて判定する視認意図判定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記簡易表示によって前記所定の情報を前記表示手段に表示している状態において、前記視認余裕判定手段が前記視認可能状態であると判定し、且つ前記視認意図判定手段が前記視認要求状態であると判定した場合には、前記簡易表示を前記詳細表示に切り替え、前記視認余裕判定手段が前記視認不可能状態であると判定した場合、又は前記視認意図判定手段が前記視認非要求状態であると判定した場合には、前記簡易表示を継続する
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用表示装置であって、
前記運転者が前記車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態か、或いは発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるかを、前記運転操作検知手段が検知した前記運転者の運転操作に基づいて判定する発進意図判定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記詳細表示によって前記所定の情報を前記表示手段に表示している状態において、前記発進意図判定手段が前記発進移行状態であると判定した場合には、前記視認意図判定手段が前記視認要求状態であると判定する状況であっても、前記詳細表示を前記簡易表示に切り替え、前記発進意図判定手段が前記停止継続状態であると判定した場合には、前記視認意図判定手段が前記視認非要求状態であると判定する状況であっても、前記詳細表示を継続する
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
車室内に配置され車両の運転者が視認可能な表示手段と、
前記運転者へ報知する所定の情報を、詳細表示と該詳細表示よりも情報量が制限された簡易表示との間で切り替えて前記表示手段に表示する表示制御手段と、
前記車両の走行状態を検知する走行状態検知手段と、
前記運転者の視線方向を検知する視線方向検知手段と、
前記運転者にとって前記表示手段を視認する余裕が多い視認可能状態であるか、或いは余裕が少ない視認不可能状態であるかを、前記走行状態検知手段が検知した前記車両の走行状態に基づいて判定する視認余裕判定手段と、
前記運転者が前記表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であるか、或いは視認を意図している可能性が低い視認非要求状態であるかを、前記視線方向検知手段が検知した前記運転者の視線方向に基づいて判定する視認意図判定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記簡易表示によって前記所定の情報を前記表示手段に表示している状態において、前記視認余裕判定手段が前記視認可能状態であると判定し、且つ前記視認意図判定手段が前記視認要求状態であると判定した場合には、前記簡易表示を前記詳細表示に切り替え、前記視認余裕判定手段が前記視認不可能状態であると判定した場合、又は前記視認意図判定手段が前記視認非要求状態であると判定した場合には、前記簡易表示を継続する
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用表示装置であって、
前記運転者の運転操作を検知する運転操作検知手段と、
前記運転者が前記車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態か、或いは発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるかを、前記運転操作検知手段が検知した前記運転者の運転操作に基づいて判定する発進意図判定手段と、をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記詳細表示によって前記所定の情報を前記表示手段に表示している状態において、前記発進意図判定手段が前記発進移行状態であると判定した場合には、前記視認意図判定手段が前記視認要求状態であると判定する状況であっても、前記詳細表示を前記簡易表示に切り替え、前記発進意図判定手段が前記停止継続状態であると判定した場合には、前記視認意図判定手段が前記視認非要求状態であると判定する状況であっても、前記詳細表示を継続する
ことを特徴とする車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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