説明

車両用表示装置

【課題】車両に搭載される表示装置において、ユーザが感じる浮遊感や立体感を向上させる技術を提供する。
【解決手段】 車両用表示装置10aは、下から順に、表示器70、反射板40、拡大ミラー30aを備える。表示器70から上方向に出力した光は反射板40を透過し、拡大ミラー30aで下方向に集光するように反射され、最後に反射板40でアイレンジERの方向に反射される。メータ底面部62は、インストルメントパネル80に装着されたときに、インストルメントパネル80と連続した面を形成する。アイレンジERから、意匠灯72を直視できなく、かつ、ウィンドシールド90に窓映りしないように配置深さHが設定されている。表示開口71の後側位置68は、壁面がウィンドシールド90に窓映りしないように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に係り、例えば車両に搭載されスピードメータや警告灯を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用表示装置(車両用計器)としては、奥行き感を出す表示態様を実現するために、スピードメータや燃料計、距離計など、自動車の走行に必要な情報を指し示す計器類を背景意匠中に浮いているように表示させる構成が用いられようになっている。この様な構成を採用することで、表示装置の表示態様を立体的に認識されるようにしている。
【0003】
そのような立体感を出すためには、実像表示手段としては、例えばスピードメータあるいはタコメータ等であり、導光板の意匠部としては、例えば目盛り、数字等である。運転者等の視認者は、ハーフミラーを透過して実像表示手段(例えばスピードメータ)の実像を視認すると同時に、ハーフミラー上に結像される背景表示部材内面の背景意匠の虚像を視認する。
【0004】
また、表示装置を車両用計器に適用した場合、運転者がイグニッションスイッチをONに操作すると、まず、背景意匠の虚像が視認可能となり、しばらくして指針計器が視認可能とする技術が提案されている(特許文献1参照)。この技術では、視認者が車両用計器を見ると、まず立体的な虚像が現れる。ここで、視認方向に或る程度の奥行きを有する立体に対しては、視認者の眼は容易且つ直ちに焦点を合わせることができるので、視認者は直ちに立体を認識する。次に、所定時間経過後、指針計器が現れる。このとき、視認者の眼は、立体虚像位置を手掛かりとして指針計器位置を認識する。すなわち、視認者の眼の焦点は既に立体虚像に合っているので、指針計器は、立体虚像よりも視認者側に、あたかも空中に浮かぶかのように見えることになる。これにより、立体感に富み、且つ斬新な見映えの表示装置を実現することができる。
【0005】
更に、表示の浮遊感を改善する技術として、図13に記載の車載用の表示装置110がある。この表示装置110では、メータ底面170とインストルメントパネル180の前方部分175’が連続性を持った面175を構成している。更に、メータ底面170の上側に構成された透明性のある反射板140に投影された虚像表示A100の背景を、そのインストルメントパネル180にすることで、虚像表示A100に浮遊感を与えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−308488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述の表示の浮遊感を与える表示に関しては、一定の改善がなされているものの、依然として克服すべき課題が存在する。例えば、上述の図13に示した表示装置110にあっては、虚像表示A100が反射板140の近傍に結像することから表示の奥行き感が得られにくいことがある。また、虚像表示A100が反射板140とインストルメントパネル180の間に結像されるため、表示器を実際にインストルメントパネル180に配置した構成と実質同じになり、表示の不思議感をユーザに与えることが難しいという課題がある。更に、表示が同一面(平面)に表現されることから、立体感が得られにくいという課題がある。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、車両に搭載される表示装置において、ユーザが感じる表示の浮遊感や立体感を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、車両用表示装置に関する。この車両用表示装置は、車両のインストルメントパネルに設置されたときに、前記インストルメントパネルと連続するような面を構成する底面と、前記底面に設けられた開口から光を出射するように、前記底面より所定深さに配置された第1の表示手段と、前記第1の表示手段と対向するように配置され、前記第1の表示手段からの光を反射する第1の反射手段と、前記第1の表示手段と前記第1の反射手段の間に配置され、前記第1の表示手段からの光を透過させ、前記第1の反射手段からの光を前記車両に規定されているアイレンジに向けて反射させる第2の反射手段と、前記インストルメントパネルに設置されたときに、前記第1の表示手段による虚像が表示される領域が、前記アイレンジから前記インストルメントパネルを視認できるような筐体と、を備え、前記第1の表示手段は、前記インストルメントパネルに設置されたときに、前記アイレンジから直視できず、かつ、ウィンドシールドに窓映りしない位置に配置されている。
前記第1の表示手段から前記第2の反射手段までの経路上に、第2の表示手段を備えてもよい。
また、前記第2の表示手段は、前記第1の反射手段の反射面から光を出射するように構成されてもよい。
また、前記第2の表示手段は、前記第1の反射手段の外側近傍に設けられてもよい。
また、前記第2の表示手段は、前記第1の表示手段が配置される前記開口と前記第1の表示手段の間に設けられ、前記アイレンジから直視されず、ウィンドシールドに窓映りしない位置に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両に搭載される表示装置において、ユーザが感じる浮遊感や立体感を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る、窓映り状態の車両用表示装置を示す図である。
【図3】第1の実施形態の変形例に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図5】第2の実施形態の変形例に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図6】第2の実施形態の変形例に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図7】第2の実施形態の変形例に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図8】第2の実施形態の変形例に係る、格子状の開口を有する拡大ミラー及び虚像表示態様を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図10】第4の実施形態に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図11】第5の実施形態に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図12】第5の実施形態の変形例に係る、車両用表示装置を示す図である。
【図13】従来技術に係る、車両用表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の概要は次の通りである。本実施形態では、メータ底面とインストルメントパネルが連続性を持った面で繋がっている。面の上側に構成された選択的透過性を有する反射板に投影された虚像映像表示の背景を、インストルメントパネルにすることで、虚像表示に浮遊感を与える。そして、虚像を不透明なインストルメントパネル表皮の車両前方に結像させて遠視点化することで、「奥行き感」と「不思議感」をユーザに与える表示を実現する。また、視距離の異なる表示を追加することで立体感のある表現を実現する。以下、具体的に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る車両用表示装置10aを示す図であり、特に内部構造に着目し車両のインストルメントパネル80に装着された状態を示している。図1(a)は、車両用表示装置10aとアイレンジERとの関係が分かるように示している。また、図1(b)は車両用表示装置10aのインストルメントパネル80付近を拡大して示している。さらに、図2は、図1(a)について、窓映りに関する説明のために、仮想的に窓映りした状態の車両用表示装置10aを追加して示している。なお、図示で左側が車両前方、右側が車両後方として説明する。
【0014】
アイレンジERは、JIS D 0021の「自動車の運転者アイレンジ」の規定によるものである。自動車の運転室の設計に当たっては、大多数の運転者が良好な上方視界と下方視界を確保して運転できるように、運転者の体型によって目の位置が上下・前後に変化することによる目の移動範囲を含めた上記JIS規定のアイレンジを基準に設計が行われている。その結果、平均的な体型の運転者が車両の運転席に着席した場合には、目の高さはアイレンジERの範囲内に保持されることになり、上方視界と下方視界が確保された良好な前方直接視界での運転が可能になる。
【0015】
車両用表示装置10aは、表示器70と、拡大ミラー30aと、反射板40とを備えている。本実施形態では、詳細は後述するが、下から表示器70、反射板40、拡大ミラー30aの順に配置されている。表示器70から上方向に出力した光は、反射板40を透過し、拡大ミラー30aで下方向に集光するように反射され、最後に反射板40でアイレンジERの方向に反射される。なお、拡大ミラー30aの反射面の曲率は、アイレンジERに焦点を有するように設定されている。つまり、拡大ミラー30aで反射しさらに反射板40で反射した光がアイレンジERに届いたときに、アイレンジERの中心において一点に集光するようになっている。
【0016】
なお、車両用表示装置10aは、筐体として、メータ底面部62、ケース前方壁面63、メータフード20、及び表示器ハウジング65を備えている。ケース前方壁面63は、透明なアクリル樹脂板等の透明素材で形成されている。したがって、アイレンジER側から車両用表示装置10aの前方側のインストルメントパネル80を視認できる。
【0017】
メータ底面部62は、車両用表示装置10aがインストルメントパネル80に装着されたときに、インストルメントパネル80と連続した面を形成するように構成されている。特に前後のインストルメントパネル80と連続した面を形成する。
【0018】
更に、メータ底面部62には、所定の位置に表示開口71が形成されている。この表示開口71から下側に延出する表示器ハウジング65が設けられている。表示器ハウジング65は、所定の深さH(以下、「配置深さH」という)に設定されている。そして、底部には表示器70が備わっている。表示器70の上面部分には意匠灯72が設けられており、意匠灯72から上方向に所定の意匠の光が出力される。なお、便宜的に、表示器ハウジング65の車両前方側(図示左側)の壁面を表示器ハウジング前部65aと呼び、また、車両後方側(図示右側)の壁面を表示器ハウジング後部65bと呼ぶ。
【0019】
拡大ミラー30aは、下側が開放しているミラーケース22に収容されており、反射面を表示器70に対向するように下向きにして、表示器70から所定距離だけ離間して配置されている。更に、ミラーケース22の上部側、つまりウィンドシールド90側を覆うようにメータフード20が配置されている。そして、反射板40の最後部45は、メータフード20の最後部よりも前になるように配置されている。つまり、反射板40は、メータフード20より外側(後側)に露出しないように構成されている。
【0020】
反射板40は、前方側(左側)から後側(右側)へ下方向に向かう傾斜状に配置されている。より具体的には、最後部45がメータ底面部62の後側端部付近に固定され、また、最前部46はミラーケース22の下側前端部付近に固定されている。
【0021】
反射板40は、ハーフミラー処理又は波長選択ミラー処理が施されており、図下側から入射した光を上側に透過させ、上側から入射した光を反射させる。つまり、意匠灯72から出射した光は反射板40を透過し拡大ミラー30aに向かう。拡大ミラー30aから下側に向かう光は、反射板40で反射しアイレンジERの方向に向かう。したがって、意匠灯72で出射した光は、光路を2回折り返してアイレンジERに届く。このとき、意匠灯72の虚像Vは、インストルメントパネル80よりも前方(図示左側)に存在することになる。
【0022】
ところで、アイレンジERに位置するユーザ視点Eから意匠灯72が直接視認できたり、ウィンドシールド90に意匠灯72が窓映りしたりすると、良好な前方直接視界を確保できない。そこで、それらに対する対策として、意匠灯72の配置等については、考慮が必要となる。具体的には、アイレンジERのユーザ視点Eから、意匠灯72を直視できなく、かつ、ウィンドシールド90に窓映りしないように配置深さHとする。更に、表示開口71の後側位置68、つまり、表示器ハウジング後部65bが延出する位置は、壁面がウィンドシールド90に窓映りしないように設定される。その結果、表示開口71の後側位置68から反射板40の前端部分までの距離Lが規定されることになる。
【0023】
アイレンジERからの意匠灯72の直視とウィンドシールド90への窓映りの回避について、更に説明する。例えば、アイレンジERからの直視に関しては、ユーザ視点EがアイレンジERの上側外延の位置E2(図2参照)に位置したときに示す最も表示器70側の光路A12が、ちょうど表示開口71の後側位置68を通って表示器ハウジング前部65aに届く。つまり、表示器70には届かない。したがって、アイレンジERのどこの位置にユーザ視点Eが有る場合でも、表示器70を直視することができない。また、窓映りについては、意匠灯72からの光のうち、最も後側から出射し表示開口71の後側位置68を通ってウィンドシールド90で反射した光(光路B11)が、アイレンジERから外れていればよい。それ以外の光は、メータフード20等の配置の関係上、光路B12に示すように、アイレンジERから一層外れた位置を通る。
【0024】
以上、本実施形態によると、イグニションオフ時に、ドライバーからはメータ表示範囲がインストルメントパネル80を背景とした開放感がある空間として見えている。そして、イグニションオンで開放された空間中に浮遊感がありかつ奥行き感、不思議感及び立体感がある表示が映し出される。なお、図3の車両用表示装置10bに示すように、拡大ミラー30aの代わりに平板ミラー30bが用いられてもよい。ただし、虚像位置Vが後方(図示右側)へ移動した位置になるため、奥行き感はその移動量に応じて低減する。
【0025】
<第2の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、立体感を向上させるものであり、上述の拡大ミラー30aの構成を一部変更している。
【0026】
図4(a)は、本実施形態の車両用表示装置10cを示している。また、図4(b)が照明用開孔31cを備える拡大ミラー30cを示している。更に、図4(c)がユーザ視点Eで視認される表示を示している。
【0027】
ミラーケース22には、拡大ミラー30cと、バックライトとして機能する照明用LED23c及び導光板24cが配置されている。この拡大ミラー30cの反射面には、ミラー蒸着加工が施され、かつ、照明用開孔31cが設けられている。
【0028】
導光板24cは、光拡散機能を有し、拡大ミラー30cの背面(図示上側)に配置されている。また、導光板24cの前側端部と後側端部に対向するように、照明用LED23cが配置されている。照明用LED23cの光が導光板24cを通って、拡大ミラー30cの照明用開孔31cから出射する。つまり、拡大ミラー30cから点群状の光が出射される。
【0029】
このとき、表示器70の意匠灯72から出射された光による第1の虚像V1は、第1の実施形態と同様に、インストルメントパネル80より前方(図示左側)に位置する。一方、拡大ミラー30cの照明用開孔31cから出射される光によって、点群状の第2の虚像V2が、拡大ミラー30cと反射板40の距離だけ前方の位置に発生する。ここでは、ケース前方壁面63より後側(図示右側)に第2の虚像V2が位置する。つまり、ユーザ視点Eからは、第1の虚像V1が奥(遠方)に位置し、第2の虚像V2が手前(近く)に位置するように、視距離差がある態様で視認される。その結果、ユーザに対してより立体感のある虚像表現が可能となる。
【0030】
本実施形態の変形例を図5〜図8に示す。図5の変形例の車両用表示装置10dでは、拡大ミラー30dの裏面(図示上側)をプリズム形状33dとして、拡大ミラー30dのエッジ部分から、照明用LED23dの光を照射する。拡大ミラー30dのエッジ部分から入射した光は、プリズム形状33dで表側(図示した側)に反射し、照明用開孔31dから出射する。このような構造とすることで、図4の導光板24cを省略し、構成要素を少なくすることができる。
【0031】
図6の変形例の車両用表示装置10eでは、図5の拡大ミラー30dを更に変更した形態の拡大ミラー30eを採用している。この拡大ミラー30eは、その裏面を白色塗装等の拡散処理を施した塗装面33eを備えている。表面側(図下側)は、照明用開孔31eが形成されており、塗装面33eで反射・拡散した光が、この照明用開孔31eから出射し、第2の虚像V2を表示する。このような構成にすることで、拡大ミラー30eのコスト低減が可能となる。
【0032】
図7の変形例の車両用表示装置10fでは、図4に示した構成の照明用LED23c及び導光板24cの代わりに、拡大ミラー30fの裏面に、基板24fに複数取り付けられた照明用LED23fを配置する。照明用LED23fの光を拡大ミラー30f内部で反射させることなく直接に照明用開孔31fから出射させる。このような構成にすることで、照明用開孔31fから出射する光の調整が容易となる。
【0033】
図8は、拡大ミラー30gに設けられる照明用開孔31gを、格子状に変形したものである。ここでは、第1の虚像V1を覆うように格子状の第2の虚像V2が表示される。なお、照明用開孔31gとして、格子状以外にも様々なパターンを採用することができる。
【0034】
<第3の実施形態>
図9に本実施形態の車両用表示装置10iとユーザが視認する表示態様を示す。図9(a)は、車両用表示装置10iの構成を示す。図示のように、拡大ミラー30iの周囲に第2の表示器25iを設けている。第2の表示器25iの表示のために、背面側(図示上側)の基板24iに、照明用LED23iが備わる。この第2の表示器25iは、テルテール(警告灯)や常時点灯の表示枠を表示するものである。
【0035】
具体的には、第2の表示器25iは、第2の虚像V2に対応する光を出射する。そして、第2の表示器25iは、拡大ミラー30iの周囲に配置されることから、第1の虚像V1とは重なることはなく、虚像表示においても、メータ表示に対応する第1の虚像V1の周囲に、テルテール等に対応する第2の虚像V2が存在するように視認される。このような構成にすることで、上述の実施形態同様に、立体感のある虚像表現が可能となる。また、テルテール等の表示を、ユーザ手前側にあるように表示させることで、ユーザによる注意を一層高めることができる。
【0036】
<第4の実施形態>
図10(a)に、本実施形態の車両用表示装置10jを示し、図10(b)に図10(a)の領域X(第2の表示器25j)を拡大した構成を示す。また、図10(c)に虚像表示の態様を示す。
【0037】
本実施形態では、第2の虚像V2に奥行きを持たせるために、第2の表示器25jに合わせ鏡として、アルミミラー27jとハーフミラー28jを配置して、照明用LED23jの光を直線離散的に反射させた光を出射する。具体的には、図10(b)に示すように、拡大ミラー30jの裏面側に基板24jが設けられている。
【0038】
そして、基板24j側から下側に所定距離離間してアルミミラー27jが設けられている。更に、アルミミラー27jから下側に所定距離離間してハーフミラー28jが設けられている。そして、アルミミラー27jの外側に照明用LED23jが配置され、更に、ハーフミラー28jが照明用LED23jを覆うように配置さている。
【0039】
照明用LED23jから出射した光は、まずハーフミラー28jで一部が透過(図下方向に直進)し、一部がアルミミラー27jの方向に反射する。つぎに、アルミミラー27jで反射した光は、ハーフミラー28jで一部が透過し、一部が再びアルミミラー27jの方向に反射する。この事象が繰り返され、図10(b)に示すように、ハーフミラー28jによる反射虚像V21〜V2nに対応した、アルミミラー27jによる反射虚像V11〜V1nが、内側ほど遠方になるような奥行き感を構成する。その結果、合わせ鏡による表示と同じ表示に対応する光が、第2の表示器25jから出射される。なお、アルミミラー27jとハーフミラー28jの向きは、合わせ鏡として表示させる際に虚像をどのような間隔にするかによって決定される。
【0040】
そして、第2の表示器25jから出射された光が、奥行きを持った虚像表示を含むことから、第2の虚像V2も、図示のように、内側が遠方になり第1の虚像V1に近づくように表示される。
【0041】
<第5の実施形態>
図11に本実施形態の車両用表示装置10kと虚像表示態様を示す。第5の実施形態の車両用表示装置10kでは、第1の実施形態の表示器ハウジング65の一部を第2の表示器69としている。図11(b)に示すように、虚像表示の際に、第2の虚像V2が、矩形の第1の虚像V1の四隅から外方向に延びるように表示させている。この表示のために、第2の表示器69は、表示器ハウジング65の四隅部分に配置された導光部69bと、その導光部69bに対してそのエッジ部分から光を供給するLED69bを備える。導光部69bが、上下方向に延びるように形成されているので、第2の虚像V2においても、奥行き感が得られる。なお、実際に明るくなる導光部69bは、アイレンジERから直接視認できない高さに配置される必要がある。
【0042】
なお、本実施形態の変形例として、図12(a)の車両用表示装置10mに示すように、表示器ハウジング65に配置される第2の表示器69の構成として、複数のLEDが縦に並んで構成されるLEDアレイ79が採用されてもよい。この場合、第2の虚像V2は、離散的に点状に表示される。
【0043】
以上、本発明を実施形態を基に説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0044】
10a〜10f、10i〜10k、10m 車両用表示装置
20 メータフード
22 ミラーケース
23c、23d、23f、23i 照明用LED
24c 導光板
25i 第2の表示器
30a、30c〜30g、30i〜30k、30m 拡大ミラー
30b 平板ミラー
31c、31d、31e、31f、31g 照明用開孔
33d プリズム形状
40 反射板
62 メータ底面部
63 ケース前方壁面
65 表示器ハウジング
69 第2の表示器
70 表示器
71 表示開口
72 意匠灯
79 LEDアレイ
90 ウィンドシールド
80 インストルメントパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルに設置されたときに、前記インストルメントパネルと連続するような面を構成する底面と、
前記底面に設けられた開口から光を出射するように、前記底面より所定深さに配置された第1の表示手段と、
前記第1の表示手段と対向するように配置され、前記第1の表示手段からの光を反射する第1の反射手段と、
前記第1の表示手段と前記第1の反射手段の間に配置され、前記第1の表示手段からの光を透過させ、前記第1の反射手段からの光を前記車両に規定されているアイレンジに向けて反射させる第2の反射手段と、
前記インストルメントパネルに設置されたときに、前記第1の表示手段による虚像が表示される領域が、前記アイレンジから前記インストルメントパネルを視認できるような筐体と、
を備え、
前記第1の表示手段は、前記インストルメントパネルに設置されたときに、前記アイレンジから直視できず、かつ、ウィンドシールドに窓映りしない位置に配置されている
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第1の表示手段から前記第2の反射手段までの経路上に、第2の表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第2の表示手段は、前記第1の反射手段の反射面から光を出射するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記第2の表示手段は、前記第1の反射手段の外側近傍に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記第2の表示手段は、前記第1の表示手段が配置される前記開口と前記第1の表示手段の間に設けられ、前記アイレンジから直視されず、ウィンドシールドに窓映りしない位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−228912(P2012−228912A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97246(P2011−97246)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】