説明

車両用計器の照明駆動装置

【課題】 複数のLEDを駆動することができる車両用計器の照明駆動装置において、回路設計を容易にする。
【解決手段】 MPU10は、点灯または消灯させるインジケータまたはウォーニングに対応したIDと、LEDを点灯または消灯させる点灯信号または消灯信号と、を含むデータ信号を、データ信号用配線11を介して複数のLEDブロック20に出力する。個々のLEDブロック20は、インジケータまたはウォーニングに対応したIDが記憶された記憶手段と、MPU10から入力されるデータ信号に基づいてデータ信号に含まれるIDと記憶手段に記憶されたIDとを照合し、各IDが一致したときのみ駆動手段に点灯信号または消灯信号を出力する制御手段と、制御手段から入力される点灯信号または消灯信号に基づき、LEDを点灯または消灯させる駆動手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用計器の照明駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用計器であるメータには、インジケータまたはウォーニング(以下、インジケータ/ウォーニングと記す)の光源として用いられる複数のLED、およびこれらLEDを駆動するためのマイクロプロセッサ(以下、MPUという)が備えられている。図3に、従来の車両用計器の照明駆動装置の回路図を示す。図3に示されるように、照明駆動装置は、MPU100と、ディマー(Dimmer)110と、複数のLED120と、各LED120に直列接続された抵抗130と、各抵抗130に接続されたnpn型のトランジスタ140と、を備えて構成されている。
【0003】
MPU100は、このMPU100に入力されるセンサ・スイッチ類の信号に基づき各LED120の点灯駆動を行うものである。このようなMPU100には、図示しない複数のポート(端子)が設けられており、各ポートにディマー110や駆動したい複数のLED120等が電気的に接続される。このMPU100では、1つのポートに対して1つのLED120が駆動される。
【0004】
ディマー110はいわゆる調光器であり、LED120の照度調整のためのスイッチである。このディマー110はMPU100からLED120の照度信号を入力すると共に、その照度信号に応じたデューティーの電流を各LED120に出力する。
【0005】
各LED120は、メータのインジケータ/ウォーニングの光源となるものであり、車種に応じてメータの所定の場所に配置される。このLED120には、LED120に流れる電流を制限する抵抗130が直列接続されており、この抵抗130はトランジスタ140のコレクタに接続されている。各トランジスタ140のベースは、MPU100のポートにそれぞれ接続される。これらLED120、抵抗130、トランジスタ140が1つのインジケータ/ウォーニングの駆動部分となる。
【0006】
上記のような照明装置では、MPU100にセンサ・スイッチ類から信号が入力されると、その信号に応じて点灯させたいLED120に対応したトランジスタ140のベースにMPU100から信号が入力される。これにより、トランジスタ140がオンの状態になり、ディマー110から点灯させたいLED120に電流が流れてLED120が点灯する。
【0007】
また、車種によっては、メータに設けられるインジケータ/ウォーニングの数、すなわちMPU100に接続させたいLED120の数がMPU100に接続可能なポートの数を超える場合がある。このような場合、図3に示されるように、MPU100にドライバであるポート拡張用IC(Driver(Port Expander))150を接続する。このポート拡張用IC150は、1つのポート拡張用IC150で例えば4つのLED120を接続することができるものであり、内部にトランジスタを備えている。したがって、ポート拡張用IC150に接続されたLED120を駆動する場合、MPU100からポート拡張用IC150に信号を入力することで点灯させたいLED120にディマー110から電流が流れるようにする。なお、上記照明駆動装置では、ポート拡張用IC150を直列接続することで、さらにLED120を追加設置することができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年では、メータに多くのインジケータ/ウォーニングが用いられる傾向があり、上記従来の方法によって多数のLED120をMPU100に接続すると、すべてのLED120を1つのMPU100で駆動する必要がある。しかしながら、上記従来の技術では、MPU100の1つのポートに対して駆動できるLED120は1つであるが、MPU100のポートの数は決まっているため、MPU100のポートの数以上にインジケータ/ウォーニングを用いる場合、上述のようにMPU100にポート拡張用IC150を接続し、そのポート拡張用IC150にインジケータ/ウォーニングを追加接続しなければならず、回路構成が肥大化することに伴って複雑な回路設計が必要になってしまう。
【0009】
また、車種によってインジケータ/ウォーニングの数や表示場所が異なるため、LED120に対応したトランジスタ140のベースを接続するMPU100のポートの場所が車種によって異なる。このため、MPU100の各ポートに対応したLED120の駆動ができるようなソフトウェアを車種ごとに用意しなければならない。
【0010】
以上のように、メータに多数のインジケータ/ウォーニングを採用する場合、車種ごとに回路設計およびソフトウェア開発を行わなければならず、多数の車種のメータの設計が非常に困難になってしまう。
【0011】
本発明は、上記点に鑑み、複数のLEDを駆動することができる車両用計器の照明駆動装置において、回路設計を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、マイクロプロセッサ(10)と複数のLEDブロック(20)とは共通のデータ信号出力用配線(11)によって接続され、個々のLEDブロックには、LED(21)で点灯させるインジケータまたはウォーニングに対応した識別番号が記憶された記憶手段(23)と、マイクロプロセッサから入力されるデータ信号に基づき、データ信号に含まれる識別番号と、記憶手段に記憶された識別番号と、を照合し、各識別番号が一致したときのみ点灯信号または消灯信号を出力する制御手段(24)と、制御手段から入力される点灯信号または消灯信号に基づき、LEDを点灯または消灯させる駆動手段(22)と、を備えていることを特徴としている。
【0013】
このように、マイクロプロセッサからは点灯または消灯させたいインジケータ/ウォーニングに対応した識別番号を、複数のLEDブロックに対してそれぞれ出力する。また、LEDブロックは、記憶手段に記憶された識別番号がマイクロプロセッサから入力される識別番号と一致するときのみLEDを点灯または消灯させる。これにより、マイクロプロセッサは、点灯または消灯させたい識別番号を含むデータ信号共通のデータ信号出力用配線を介して出力するだけで良いため、配線を簡略化でき、ひいては回路構成を簡略化することができる。
【0014】
なお、マイクロプロセッサは、特定のポートに特定の信号(点灯信号または消灯信号)を出力しなくてもよいため、ソフトウェアの内容を簡略化することができる。また、データ信号出力用配線にデータ信号を出力するソフトウェアが用意されれば良いため、各車種に共通のソフトウェアをマイクロプロセッサに用いるようにすることも可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明では、LEDブロックのうち制御手段には、記憶手段に記憶された識別番号の書き込みもしくは書き換えを行うためのテスト信号入力端子(25)が備えられており、制御手段に対し、このテスト信号入力端子を介して外部機器からテスト信号が入力されると共に、マイクロプロセッサから記憶させたい識別番号が入力されると、制御手段にて記憶手段に識別番号が書き込まれるもしくは書き換えられるようになっていることを特徴としている。
【0016】
このように、制御手段にテスト信号入力端子を設け、外部機器からテスト信号を入力する。これにより、記憶手段に識別番号を書き込むようにすることができる。つまり、車両用計器を製造した後、計器の各場所に配置されたLEDブロックに対して、表示させたいインジケータ/ウォーニングの識別場号を書き換えるだけで、計器におけるインジケータ/ウォーニングの点灯場所を変更できる。これにより、車種ごとにLEDブロックの配置場所を設計する必要が無くなり、車種に共通の回路設計を行うことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、LEDブロックのうち駆動手段には、LEDの照度を強制的に調光させるブランク信号がブランク信号用配線(13)を介してマイクロプロセッサから入力されるようになっていることを特徴としている。
【0018】
このように、LEDの照度を減光するブランク信号を駆動手段に入力する。これにより、状況(例えば昼間や夜間など)に合わせたLEDの照度(輝度)を実現させることができる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用計器の照明駆動装置のブロック図である。図1に示されるように、照明駆動装置はMPU10と、複数のLEDブロック(LED Block)20と、を備えて構成されている。
【0022】
MPU10は、複数のLEDブロック20をコントロールするマイクロプロセッサである。このMPU10には、車両の所望の場所に設置された図示しないセンサ・スイッチ類からそれぞれ信号が入力されるようになっている。したがって、MPU10は、これらセンサ・スイッチ類の信号に応じて各LEDブロック20を制御する。
【0023】
具体的には、MPU10は、センサ・スイッチ類から信号が入力されると、各LEDブロック20に割り振られたID、およびLED点灯または消灯の情報を含むシリアルデータ信号(Serial DATA)と、そのシリアルデータ信号を読み出させるためのシリアルクロック信号(Serial Clock)と、をそれぞれ作成し、各LEDブロック20に出力する。
【0024】
また、シリアルデータ信号およびシリアルクロック信号とは別に、各LEDブロック20にブランク信号(Blank Signal)を出力する。このブランク信号とは、インジケータ/ウォーニングの照度を下げるためのデューティー信号である。すなわち、ドライバ22に備えられたトランジスタのスイッチング時のデューティーを変えて点灯および消灯のタイミングを調整し、LED21を減光させる信号がブランク信号である。例えば、昼間にはインジケータ/ウォーニングの照度を上げ、逆に夜間には照度を下げるような場合や、特定のインジケータ/ウォーニングを暗く点灯させる場合など、MPU10は必要に応じて各LEDブロック20にブランク信号を出力する。
【0025】
上記のように、MPU10から各信号をそれぞれLEDブロック20に出力するため、MPU10には各LEDブロック20に対して、シリアルデータ信号出力用配線11、シリアルクロック信号出力用配線12、ブランク信号出力用配線13がそれぞれ接続されている。したがって、MPU10は特定のLEDブロック20に対して信号を出力するのではなく、すべてのLEDブロック20にそれぞれ同じ信号を出力する。なお、MPU10は本発明のマイクロプロセッサに相当する。
【0026】
LEDブロック20は、メータのインジケータ/ウォーニングとして機能する集積ブロックであり、1つのインジケータ/ウォーニングに対応したものである。このようなLEDブロック20の全体構成図を図2に示す。図2に示されるように、LEDブロック20は、LED21と、ドライバ22と、EEPROM23と、レシーバ24と、を備えて構成されている。
【0027】
LED21は、インジケータ/ウォーニングの表示を照明するための光源となるものであり、発光ダイオードである。
【0028】
ドライバ(Driver)22は、レシーバ24からの指令に基づきLED21を駆動してLED21を点灯させるものであり、図示しないトランジスタを備えている。このトランジスタを作動させることにより、LED21に電流を流してLED21を点灯させるのである。また、このドライバ22には、MPU10からブランク信号が入力されるようになっており、LED21の点灯および消灯のタイミングを早めることで強制的にLED21の照度を下げる機能も有している。なお、ドライバ22は本発明の駆動手段に相当する。
【0029】
EEPROM23は、複数のLEDブロック20を識別する識別番号(ID)が記憶された不揮発性メモリである。具体的には、1つのインジケータ/ウォーニングに対応したIDが記憶されている。
【0030】
本実施形態では、IDは例えば#1がABS、#2がBREAK(ブレーキ)、#3がDOOR(ドア)、#4がA/T−P(パーキング)、#5がA/T−N(ニュートラル)、#6がA/T−D(ドライブ)というように設定されている。これらIDは、各LEDブロック20にそれぞれ1つずつ設定されている。なお、EEPROM23は、本発明の記憶手段に相当する。
【0031】
レシーバ(Receiver)24は、MPU10から入力されるシリアルデータ信号およびシリアルクロック信号と、EEPROM23に格納されたIDと、に基づいてドライバ22を駆動してLED21を点灯させるものである。
【0032】
具体的には、レシーバ24にはマイクロコンピュータが備えられており、このマイクロコンピュータにシリアルクロック信号が入力されるタイミングでマイクロコンピュータによってシリアルデータ信号が読み出される。そして、そのシリアルデータ信号がLED21を点灯させる信号であるか否かがEEPROM23に記憶されたIDとの比較により判定される。シリアルデータ信号に含まれるIDと、EEPROM23のIDと、が一致する場合、レシーバ24からドライバ22に対してLED21を点灯駆動させる指令が出力される。なお、レシーバ24は、本発明の制御手段に相当する。
【0033】
また、LEDブロック20にはテスト信号入力端子25が設けられており、このテスト信号入力端子25を介してレシーバ24にテスト信号(TEST)が入力される。テスト信号は、EEPROM23にIDを書き込むために必要な信号であり、例えばグランド信号である。また、上記テスト信号入力端子25は、メータ基板に露出するように設けられている。したがって、テスト信号はMPU10から入力されるものではなく、車両用計器の製造段階で用いられるメータ製造装置からテスト信号入力端子25に直接入力される。以上が、LEDブロック20の構成である。
【0034】
このようなLEDブロック20のうち、図2に示されるように、LED21に対してLED電流設定用抵抗30および電源40が接続された状態になっている。LED電流設定用抵抗30は、LED21にLED動作規定の電流を流すための抵抗である。また、電源40は車両に搭載されたバッテリ電源(+B)である。
【0035】
上記構成を有する複数のLEDブロック20は、それぞれIDに対応したメータ表示場所にそれぞれ配置されると共に、図1に示されるように、MPU10に対して電気的に並列に接続された状態になっている。つまり、各LEDブロック20には、MPU10から出力される共通のシリアルデータ信号、シリアルクロック信号、およびブランク信号がそれぞれ入力される。
【0036】
以上が、本実施形態に係る車両用計器の照明駆動装置の構成である。
【0037】
次に、LED21を点灯させる作動について説明する。まず、MPU10にセンサ・スイッチ類から信号が入力される。例えば、ドライバによってギアがドライブギアに入れられ、ドライブギア信号がMPU10に入力されたとする。これにより、ギアがドライブに入っていることを表示するインジケータを点灯させるべく、MPU10では、IDが#6のLEDブロック20のLED21を点灯させるシリアルデータ信号が作成される。
【0038】
続いて、MPU10にて作成されたシリアルデータ信号と、そのシリアルデータ信号を読み出させるシリアルクロック信号と、がそれぞれシリアルデータ信号出力用配線11およびシリアルクロック信号出力用配線12を介してMPU10からすべてのLEDブロック20に出力される。
【0039】
そして、シリアルデータ信号およびシリアルクロック信号が各LEDブロック20のレシーバ24にそれぞれ入力されると、レシーバ24にてEEPROM24に記憶されたIDが読み出される。この後、EEPROM24に記憶されたIDと、MPU10から入力されたシリアルデータ信号に含まれるIDと、が一致するか否かが判定される。すなわち、IDは#6(ドライブ)であるので、シリアルデータ信号に含まれる#6のIDと、EEPROM24に記憶されたIDと、が一致するかが判定される。MPU10から入力されるIDと、EEPROM24に記憶されたIDと、が一致しない場合、レシーバ24における処理は終了する。このような場合、レシーバ24は、再びMPU10からシリアルデータ信号およびシリアルクロック信号が入力されるまで待機する。
【0040】
一方、MPU10から入力されるIDと、EEPROM24に記憶されたIDと、が一致する場合、シリアルデータ信号に含まれるLED点灯または消灯に対応したLED駆動をすべく、LEDブロック20に備えられたドライバ22が駆動される。ここでは、ドライブギアのインジケータが点灯されるため、ドライバ22内のトランジスタがオンの状態にされ、LED21に接続された電源40から流れる電流がLED21に入力される。こうして、IDが#6に対応した、すなわちドライブギアに対応したインジケータが点灯される。逆に、LED21を消灯させる場合も、点灯させる場合と同様の作動が行われる。
【0041】
なお、センサ・スイッチ類から複数の信号が入力された場合であっても、ID#1は消灯、ID#2は点灯、…、というように、1つのID情報を含むシリアルデータ信号がそれぞれ作成され、それぞれのシリアルデータ信号がID番号の順で連続して次々とMPU10から出力される。
【0042】
次に、LED21を暗く表示させる作動について説明する。例えば、上述のようにしてドライブギアのインジケータが夜間に点灯表示されるとする。このような場合、MPU10に例えば日射センサから日射量を示す信号が入力され、この日射量を示す信号に対応したLED21の照度となるようなデューティー比のブランク信号が作成される。そして、作成されたブランク信号は、ブランク信号用配線13を介して各LEDブロック20のドライバ22に入力される。これにより、ドライバ22内のトランジスタのスイッチングのタイミングが早められ、LED21が減光される。こうして、LED21の照度を調整できるようになっている。
【0043】
上記のように、MPU10から各LEDブロック20のレシーバ24にID情報が含まれたシリアルデータ信号が入力されて、EEPROM23に記憶されたIDと比較されるが、EEPROM23に対するIDの書き込みは以下のようになされる。
【0044】
まず、メータを製造する段階において、MPU10や各LEDブロック20がそれぞれメータ基板に設置される。続いて、表示させるインジケータ/ウォーニングに対応させてLEDブロック20にIDが記憶される。例えばABSウォーニングランプをメータの該当する位置に表示させたい場合、メータ基板の該当する位置に設置されたLEDブロックダイアフラム20のテスト信号入力端子25にテスト信号が入力される。
【0045】
本実施形態では、ABSウォーニングのIDは#1であるので、MPU10にて#1というID情報が含まれたシリアルデータ信号が作成される。そして、作成されたシリアルデータ信号がシリアルクロック信号と共にMPU10から該当するLEDブロック20のレシーバ24に入力される。そして、レシーバ24内のマイクロコンピュータにてシリアルデータ信号が読み出され、シリアルデータ信号に含まれるID情報がEEPROM23に記憶される。
【0046】
上記のようにして、メータ基板の各位置にそれぞれ配置されたLEDブロックダイアフラム20に対して該当するIDをそれぞれ記憶する。
【0047】
以上、説明したように、本実施形態では、MPU10からは点灯または消灯させたいインジケータ/ウォーニングに対応したIDを、複数のLEDブロック20に対してそれぞれ出力する。また、LEDブロック20は、EEPROM23に記憶されたIDがMPU10から入力されるIDと一致するときのみLED21を点灯または消灯させる。これにより、MPU10は、点灯または消灯させたいIDを含むシリアルデータ信号を出力するだけで良いため、車種に関わらず共通のソフトウェアを用いるようにすることができる。つまり、車種のグレードによってメータの意匠が異なるが、メータ基板のどの場所のLED21を発光させるかをMPU10に制御させるだけであるので、すべての車種に共通のソフトウェアを使うことができる。
【0048】
また、シリアルデータ信号は共通のシリアルデータ信号用配線11から各LEDブロック20に入力されるため、回路構成を簡略化することができる。
【0049】
本実施形態では、レシーバ24にテスト信号入力端子25を設け、メータ製造装置である外部機器からテスト信号を入力するようにしている。これにより、EEPROM23にIDを書き込むようにすることができる。つまり、車両用計器を製造した後、計器の各場所に配置されたLEDブロック20に対して、表示させたいインジケータ/ウォーニングのIDを書き換えるだけで、計器におけるインジケータ/ウォーニングの点灯場所を変更できる。これにより、車種ごとにLEDブロック20の配置場所を設計する必要が無くなり、車種に共通の回路設計を行うことができる。
【0050】
さらに、LED21の照度を減光するブランク信号をドライバ22に入力する。これにより、状況(例えば昼間や夜間など)に合わせたLED21の照度(輝度)を実現させることができる。
【0051】
また、シリアルデータ信号、シリアルクロック信号、およびブランク信号は、MPU10からシリアルデータ信号出力用配線11、シリアルクロック信号出力用配線12、ブランク信号出力用配線13を介して各LEDブロック20にそれぞれ入力される。このように、1つのMPU10から複数のLEDブロック20に対して共通の配線11〜13を用いているため、用いるMPU10のポートの数を減らすことができる。つまり、MPU10に多数のポートが必要なくなるため、MPU10を小型化することができる。
【0052】
そして、メータ基板にMPU10や複数のLEDブロック20を設置してしまったとしても、各LEDブロック20に記憶されたIDを変更するだけで、インジケータ/ウォーニングの点灯場所を変更することができる。
【0053】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、LED21は単色であるが、このLED21を赤、青、緑の三色設けるようにしても良い。これにより、MPU10からの指令によりLEDをフルカラー表示することができるようになる。つまり、単色表示ではできなかった色を表示することができる。
【0054】
上記第1実施形態では、ドライバ22、EEPROM23、レシーバ24を一体型にした集積ブロックとして用意しているが、これらをそれぞれ別体のものとして用意しても構わない。
【0055】
上記第1実施形態では、LED21をインジケータ/ウォーニングの表示のために用いているが、例えば車速などの計器の外周に配置されたLED21等に対しても第1実施形態と同様の駆動方法を採用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用計器の照明駆動装置のブロック図である。
【図2】図1に示されるLEDブロックの全体構成図である。
【図3】従来の車両用計器の照明駆動装置の回路図である。
【符号の説明】
【0057】
10…MPU、11…シリアルデータ信号用配線、
12…シリアルクロック信号用配線、13…ブランク信号用配線、
20…LEDブロック、21…LED、22…ドライバ、
23…EEPROM、24…レシーバ、25…テスト信号入力端子、
30…LED電流設定用抵抗、40…電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジケータまたはウォーニングの光源となるLED(21)を備えた複数のLEDブロック(20)に対して各LEDをそれぞれ点灯または消灯駆動するマイクロプロセッサ(10)を備えた車両用計器の照明駆動装置であって、
各インジケータまたはウォーニングにはそれぞれを区別する識別番号が割り振られており、
前記マイクロプロセッサと前記複数のLEDブロックとは共通のデータ信号出力用配線(11)によって接続され、
前記マイクロプロセッサは、点灯または消灯させるインジケータまたはウォーニングに対応した識別番号と、それらインジケータまたはウォーニングに対応したLEDを点灯させる点灯信号または消灯させる消灯信号と、を含むデータ信号を、前記データ信号用配線を介して前記複数のLEDブロックに出力するようになっており、
前記複数のLEDブロックにおける個々のLEDブロックは、
当該個々のLEDブロックに備えられたLEDで点灯させるインジケータまたはウォーニングに対応した識別番号が記憶された記憶手段(23)と、
前記マイクロプロセッサから入力されるデータ信号に基づき、前記データ信号に含まれる識別番号と、前記記憶手段に記憶された識別番号と、を照合し、各識別番号が一致したときのみ前記点灯信号または消灯信号を出力する制御手段(24)と、
前記制御手段から入力される前記点灯信号または消灯信号に基づき、前記LEDを点灯または消灯させる駆動手段(22)と、を備えていることを特徴とする車両用計器の照明駆動装置。
【請求項2】
前記LEDブロックのうち前記制御手段には、前記記憶手段に記憶された識別番号の書き込みもしくは書き換えを行うためのテスト信号入力端子(25)が備えられており、
前記制御手段に対し、このテスト信号入力端子を介して外部機器からテスト信号が入力されると共に、前記マイクロプロセッサから記憶させたい識別番号が入力されると、前記制御手段にて前記記憶手段に識別番号が書き込まれるもしくは書き換えられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用計器の照明駆動装置。
【請求項3】
前記LEDブロックのうち前記駆動手段には、前記LEDの照度を強制的に調光させるブランク信号がブランク信号用配線(13)を介して前記マイクロプロセッサから入力されるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用計器の照明駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−273067(P2006−273067A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93774(P2005−93774)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】