説明

車両用通信システム

【課題】ユーザが所持する携帯機と所望の車両との間で可及的速やかに通信が確立する車両用通信システムを提供する。
【解決手段】ユーザが所持する携帯機と車両に取り付けられた車載装置とが、無線通信により相互にデータの送受信を行う車両用通信システムであって、携帯機は、車載装置との通信が確立したか否かを判定する通信確立判定部と、通信確立判定部が、車載装置との通信が確立したと判定したときに、車載装置から車両の状態を含む車両情報を受信する車両情報受信部と、車両情報受信部が受信した車両情報に基づいて、ユーザが、車載装置との通信を継続する通信継続意思があるか否かを判定する通信継続意思判定部と、通信継続意思判定部が、ユーザが車載装置との通信を継続する意思がないと判定したときに、車載装置との通信を切断ための切断要求信号を送信する切断要求信号送信部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載装置と、ユーザが所持する携帯機とを含む車両用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)や、無線LAN機器間の相互接続性を認証されたことを示すブランド名であるWi−Fi(登録商標)のような、近距離無線通信機能を用いてユーザが所持する携帯機と車載装置とを連携させ、例えば、車両の情報を携帯機経由で外部へ送信する、携帯機の画面に表示される内容を車載装置へ送信し、車載装置の表示器に携帯機で表示内容を表示する、あるいは、携帯機の操作により車載装置に所定の動作を行わせる機器あるいはシステムが普及している。
【0003】
ここで、車載装置とユーザが所持する携帯機との間で無線通信を行う場合、その無線通信の対象として携帯機を車載装置側に認識させる必要がある。そこで、車両に搭載される車載装置と車両内に存在する携帯機との間での無線通信の設定作業の負荷を軽減する車載装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、車両が走行中の場合、不要な操作を抑止して、安全運転を促進させることが可能である車載システムが考案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−063053号公報
【特許文献2】特開2010−130670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1台の携帯機で、複数の車載装置(つまり、車両)との間で通信可能な構成の場合、通信方式がブルートゥースあるいはWi−Fiであるときには、事前に接続相手を特定するためのペアリング処理を行っておけば、実際の通信時にはユーザの操作を必要とすることなく、携帯機と車載装置との間で通信が確立する。このとき、複数の車両が隣り合って駐車しているとき、通信タイミングによっては、ユーザが接続したい(つまり、乗車したい)車両とは異なる車両の車載装置と通信が確立する可能性がある。
【0007】
このとき、ユーザが乗車したい車両とは別の車両と通信が確立したときには、通信を終了させるために、その車両から通信不可の距離(すなわち、携帯機が車載装置からの電波を受信できない距離)まで離れなければならないという問題がある。また、ユーザが車両から離れて通信を終了させたとしても、ユーザが複数の車両に再度接近したときに、乗車したい車両との通信が確立するというわけではない。
【0008】
特許文献1の構成では、車載機と1または複数の携帯機との間の無線通信については開示されているが、1台の携帯機と複数の車載装置との間の無線通信については言及されていない。また、特許文献2の構成でも、1台の携帯機と複数の車載装置との間の無線通信については言及されていない。
【0009】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、ユーザが所持する携帯機と所望の車両との間で可及的速やかに通信が確立する車両用通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
上記課題を解決するための車両用通信システムは、ユーザが所持する携帯機と車両に取り付けられた車載装置とが、無線通信により相互にデータの送受信を行う車両用通信システムであって、携帯機は、車載装置との通信が確立したか否かを判定する通信確立判定部と、通信確立判定部が、車載装置との通信が確立したと判定したときに、車載装置から車両の状態を含む車両情報を受信する車両情報受信部と、車両情報受信部が受信した車両情報に基づいて、ユーザが、車載装置との通信を継続する通信継続意思があるか否かを判定する通信継続意思判定部と、通信継続意思判定部が、ユーザが車載装置との通信を継続する意思がないと判定したときに、車載装置との通信を切断するための切断要求信号を送信する切断要求信号送信部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によって、ユーザが通信を行いたくない車載装置(すなわち、車両)と通信が確立しても、ユーザが携帯機の操作を行うことなく、さらに、その車載装置の電波到達範囲から離れることなく、車載装置との通信を切断することができる。また、ユーザが単に車両の近くを通り過ぎて通信が確立してしまったときにも、ユーザが車両から離れる前に通信が切断されるので、無駄な通信量を抑えることができる。
【0012】
また、本発明の車両用通信システムにおける通信確立判定部は、車載装置からの接続要求信号を受信した際、他の車載装置との通信を行っていないときに、車載装置との通信が確立したと判定する。
【0013】
上記構成によって、ユーザが携帯機を操作して車載装置との通信を確立する手間を省くことができる。
【0014】
また、本発明の車両用通信システムにおける車載装置は、切断要求信号を受信する切断要求信号受信部と、切断要求信号を受信したときには、接続要求信号を予め定められた期間送信しないようにする接続要求信号送信制御部と、を備える。
【0015】
上記構成によって、ユーザが通信を行いたくない車載装置が所定期間接続要求信号を送信しないため、ユーザが通信を行いたい車載装置との通信が確立する確率が高くなり、ユーザの利便性が向上する。
【0016】
また、本発明の車両用通信システムにおける通信継続意思判定部は、ユーザが、車載装置が取り付けられた車両に乗車する意思があるか否かを判定する乗車意思判定部を含み、乗車意思判定部が、ユーザが車両に乗車する意思があると判定したときに、通信継続意思があると判定する。
【0017】
後述のように、乗車意思判定部は、既に車両に取り付けられている車載機器あるいはセンサを用いて構成することができる。上記構成によって、比較的低コストで乗車意思(すなわち通信継続の意思)の有無を判定することができる。
【0018】
また、本発明の車両用通信システムにおける車載装置は、予め定められたタイミングで車両情報を作成する車両情報作成部を備える。
【0019】
上記構成によって、必要なときにのみ車両情報を作成することで、乗車意思の有無をより正確に判定することができる。
【0020】
また、本発明の車両用通信システムにおける車両情報作成部は、携帯機との通信が確立していることを、車両情報の作成の前提条件とする。
【0021】
上記構成によって、不要あるいは不正確な車両情報の作成を防止できるとともに、処理の負荷およびバッテリの負担を低減できる。
【0022】
また、本発明の車両用通信システムにおける携帯機と車載装置とは、ブルートゥース方式により通信を行う。
【0023】
上述のように、ブルートゥース方式では、事前に接続相手を特定するためのペアリングを行うため、例えば、スーパーマーケットの駐車場で同様の車載装置が取り付けられた他の車両と隣接して駐車しているときには、他の車両からの通信要求には応答せず通信は確立しない。上記構成によって、無駄な通信を行わないとともに、セキュリティを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の車両用通信システムの概略を示す図。
【図2】本発明の車両用通信システムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】車載装置と携帯機との間の通信の概要を説明する図。
【図4】車両側通信処理を説明するフロー図。
【図5】携帯機側通信処理を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の車両用通信システムについて、図面を用いて説明する。まず、図1に、本発明の車両用通信システムの概略を示す。ユーザUが所持する携帯機2は、車両30に取り付けられた車載装置1と、車両31に取り付けられた車載装置101のうちのいずれか一方と通信可能である。つまり、同時に2つの車載装置と通信はできない。
【0026】
図1のような状況は、例えば、ユーザUが、これら2台の車両(30,31)車両を所有して、これら車両が車庫に隣り合って駐車しているときが挙げられる。本発明は、この状況で、例えばユーザUが車両31に乗車したいとき、つまり、携帯機2と車載装置1との間で通信を行いたいとき、ユーザUが携帯機2において車載装置1を選択する操作を行うことなく、通信を可能とするものである。以下、詳細について述べる。
【0027】
図2に、本発明の車両用通信システムの電気的構成を示すブロック図を示す。車載装置1は、周知のブルートゥース規格に準拠した通信を行うためのブルートゥース送受信部11およびブルートゥース制御部12、例えばメカニカルスイッチあるいはタッチパネルで構成された操作部14、例えばLCD表示器である表示部15、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成された記憶部16と、これらが接続された車載装置制御部13を備えている。
【0028】
ブルートゥース制御部12は、車載装置制御部13からの制御指令に基づいて、ブルートゥース送受信部11を介して携帯機2へデータを送信する。また、ブルートゥース送受信部11を介して携帯機2からデータを受信したときには、受信したデータを車載装置制御部13へ送る。なお、ブルートゥース送受信部11が本発明の切断要求信号受信部に相当する。
【0029】
車載装置制御部13は、図示しない周知のCPUおよびその周辺回路を含み、CPUが記憶部16に記憶されたプログラムを実行することにより、車載装置1の各種機能を実現する。なお、車載装置制御部13が本発明の接続要求信号送信制御部に相当する。
【0030】
また、車載装置制御部13には、スタータースイッチ(イグニッションスイッチともいう)がアクセサリーポジションにあるか否かを検出するスイッチであるアクセサリスイッチ17、例えば車両30の各座席の座面あるいは背もたれ部に取り付けられて乗員が着座しているか否かを検出する着座センサ18、車両30の各ドアの開閉状態を検出するスイッチであるドア開閉スイッチ19、車両30の各ドアの解錠/施錠状態を検出するスイッチであるドアロックスイッチ20からの信号が入力されるようになっている。
【0031】
携帯機2は、車載装置1と同様のブルートゥース送受信部21およびブルートゥース制御部22、操作部24、表示部25、記憶部26と、これらが接続された携帯機制御部23を備えている。なお、ブルートゥース送受信部21が本発明の車両情報受信部,切断要求信号送信部に相当する。
【0032】
携帯機制御部23は、図示しない周知のCPUおよびその周辺回路を含み、CPUが記憶部26に記憶されたプログラムを実行することにより、携帯機2の各種機能を実現する。なお、携帯機制御部23が本発明の通信確立判定部,通信継続意思判定部,乗車意思判定部に相当する。
【0033】
上述のような構成により、携帯機2と車載装置1とは、ブルートゥース方式により通信可能となり、ユーザUは、通信確立後、携帯機2の操作部24を操作することで、車載装置1を操作することができる。また、車載装置1の状態あるいは車載装置1の表示部15の表示内容を、携帯機2の表示部25に表示することができる。
【0034】
また、車載装置1の記憶部16および携帯機2の記憶部26には、それぞれ、ペアリングを実行した際の、ブルートゥース通信を行うための通信相手先が登録されている。つまり、本発明では、車載装置1および携帯機2は、予め登録された相手先とのみ通信を行うことが可能となっている。
【0035】
車載装置1として、カーナビゲーション装置(以下、カーナビという)を例示できるが、車載装置1としては、カーナビに限られるものではなく、車両を運行する際の補助機器であって、運転者が自由にアクセスして操作可能な機器であれば、特に制約はない。カーナビ以外の車載装置としては、例えばテレビジョン装置があり、このテレビジョン装置はリモコン(ブルートゥース機能)を使用してチャンネルの切替や電源のON,OFFを行うことがあるため、携帯機2をリモコン装置として用いることができる。
【0036】
携帯機2としては、携帯電話機、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)を例示することができる。
【0037】
また、近距離通信の一例として、ブルートゥースを例示したが、微弱電波を用いて近距離(例えば10m以下)での通信を行うものであれば、これに限るものではない。例えば、IrDA(Infrared Data Association)に準拠する赤外線通信やDSRC(Dedicated Short Range Communications)に準拠する狭域通信を用いることができる。
【0038】
図3を用いて、車載機器と携帯機との間の、通信の概要について説明する。これは、図1において、ユーザUが車両30に乗車したいとき、つまり、携帯機2と車載装置1との間で通信を行いたいときの状態を例示している。図3の構成では、車両(30,31)の車載装置(1,101)から、例えば5秒のような予め定められた周期で、接続要求信号を送信している(Q1,Q11)。
【0039】
ユーザU(すなわち携帯機2)が、接続要求信号の送信範囲にまで接近すると、携帯機2のブルートゥース送受信部21が最初に受信した接続要求信号(この場合は、車両31の車載装置101から送信されたもの)に、通信を許可する旨の応答信号(図3では「OK」と表記)を送信する(Q2)。ここで通信が確立する。
【0040】
通信が確立すると、携帯機2から車両情報要求信号を車両31に送信する(Q3)。車載装置101は、車両情報要求信号を受信すると、車両情報(例えばアクセサリスイッチオフ(図3では「ACC=OFF」と表記))を作成して車両情報応答信号を送信する(Q4,詳細は後述)。
【0041】
携帯機2は、車両情報応答信号を受信すると、ユーザUが、この車両31の車載装置101との通信を継続する通信継続意思があるか否かを判定する(詳細は後述)。そして、この場合、通信継続意思がないと判定し、車載装置101に、通信を切断するための切断要求信号を送信する(Q5)。
【0042】
切断要求信号を受信した車載装置101は、通信を終了する旨の応答信号(図3では「OK」と表記)を送信する(Q6)。そして、予め定められた期間(例えば5秒間)、接続要求信号の送信を停止する(Q7)。予め定められた期間が経過した後、接続要求信号を送信する(Q8)。
【0043】
車両30の車載装置1も、定期的に接続要求信号を送信しているが(Q11)、携帯機2が車両31の車載装置101と通信を行っているときは、この接続要求信号に対する応答はない。しかし、実際は、ユーザUは車両30に乗車してアクセサリスイッチ17をオン状態(図3では「ACC=ON」と表記)としている(Q12)。
【0044】
ユーザが車両31に乗車する意思がなく、携帯機2と車載装置101との通信が終了すると、その後に車載装置1から送信した接続要求信号(Q21)に対しては、携帯機2は、通信を許可する旨の応答信号(図3では「OK」と表記)を送信し(Q22)、通信が確立する。続いて、携帯機2から車両情報要求信号を車載装置101に送信する(Q23)。
【0045】
車載装置1は、車両情報要求信号を受信すると、車両情報(例えば、アクセサリスイッチオン(図3では「ACC=ON」と表記))を作成して車両情報応答信号を送信する(Q24,詳細は後述)。
【0046】
携帯機2は、車両情報応答信号を受信すると、ユーザUが、上述と同様に、この車両(30)の車載装置1との通信を継続する通信継続意思があるか否かを判定する。そして、この場合、通信継続意思があると判定し、以降も車載装置1との通信を継続する(Q25)。
【0047】
図4を用いて、車載装置1の車載装置制御部13で実行される車両側通信処理について説明する。まず、予め定められた間隔(例えば、5秒間隔)で、ブルートゥース送受信部11から接続要求信号を送信する(S31,図3のQ1,Q11,Q21に相当)。
【0048】
ブルートゥース送受信部11が携帯機2からの通信を許可する旨の応答信号(図3のQ2,Q22に相当)を受信すると(S32:Yes)、予め定められた接続処理(例えば、通常モードから車両情報要求待受モードに遷移する)を実行する(S33)。
【0049】
続いて、以下のうちの少なくとも一つを含む車両情報を作成する(S34)。
・アクセサリスイッチ状態:アクセサリスイッチ17の状態(オン/オフ)。
・着座状態:着座センサ18の状態(乗員が着座しているか否か)。
・ドア開閉状態:ドア開閉スイッチ19の状態(ドアが開状態であるか否か)。
・ドアロック状態:ドアロックスイッチ20の状態(ドアが解錠されたか否か)。
【0050】
例えば、アクセサリスイッチ状態、着座状態は、車両情報作成時の状態(リアルタイムの状態)を取得し車両情報とする。
【0051】
また、ドア開閉状態、ドアロック状態は、携帯機2から通信を許可する旨の応答信号を受信してから車両情報作成時までの各スイッチの履歴を取得しておき、それら履歴に基づいて車両情報を作成する。つまり、車載装置は車両状態を検出する車両状態検出部を備え、携帯機との通信が確立してからの車両状態の検出履歴を記憶し、その検出履歴に基づいて車両情報を作成する構成をとる。例えば、各スイッチの履歴にドア開状態、ドアロック解錠状態を含むときには、これらの状態を優先して車両情報に用いる。こうすることで、携帯機2から通信を許可する旨の応答信号を受信してから車両情報作成時までに、ドア開状態あるいはドアロック解錠状態となったことがあっても、車両情報に反映されないことを防止できる。
【0052】
また、車両情報の作成タイミングは、以下のうちのいずれを用いてもよい。
・携帯機2からの通信を許可する旨の応答信号を受信したとき。
・携帯機2からの通信を許可する旨の応答信号を受信した後の所定周期毎。
・各ドアのドア開閉スイッチ19のいずれかが、ドアの開状態を検出したとき(携帯機2からの通信を許可する旨の応答信号を受信したことを前提とはしない)。
・各ドアのドアロックスイッチ20のいずれかが、ドアロックの解錠状態を検出したとき(携帯機2からの通信を許可する旨の応答信号を受信したことを前提とはしない)。
・携帯機2からの車両情報要求を受信したとき。
・携帯機2からの通信を許可する旨の応答信号を受信するしないに関係なく、予め定められたタイミング。
【0053】
ブルートゥース送受信部11が携帯機2からの車両情報要求を受信すると(S35:Yes,図3のQ3,Q23に相当)、作成した車両情報を送信する(S36,図3のQ4,Q24に相当)。
【0054】
その後、携帯機2からのデータ受信待ち状態となり、ブルートゥース送受信部11が携帯機2からの切断要求信号を受信すると(S37:Yes,図3のQ5に相当)、車両情報要求待受モードから接続要求停止モードに遷移する切断処理を実行し(S38)、予め定められた期間(例えば、5秒間)、接続要求信号を送信しない状態で待機する(S39)。そして、予め定められた期間が経過した後は、通常モードに戻り、接続要求信号を送信する(S31,図3のQ8に相当)。なお、図3では、このときは、携帯機2は車載装置1と通信を行っているので、携帯機2との通信は確立しない。
【0055】
図5を用いて、携帯機2の携帯機制御部23で実行される携帯機側通信処理について説明する。まず、車載装置1からの接続要求信号を待つ接続待受モードとなる(S11)。車載装置1からの接続要求信号を受信しないときは、(S12:No)、接続待受モードを継続する。
【0056】
一方、ブルートゥース送受信部21が車載装置1からの接続要求信号を受信すると(S12:Yes)、車載装置に、通信を許可する旨の応答信号を送信して、接続待受モードから接続モードに遷移する接続処理を実行する(S13,図3のQ2,Q22に相当)。続いて、ブルートゥース送受信部21は、車載装置1に車両情報要求信号を送信して、車両情報応答信号を受信する(S14,図3のQ3およびQ4,Q23およびQ24に相当)。
【0057】
ブルートゥース送受信部21が車両情報応答信号を受信すると、車両情報に基づいて、ユーザUが、この車両の車載装置との通信を継続する通信継続意思があるか否かを判定する。通信継続意思の有無は、ユーザUに車両への乗車意思の有無により判定し、ユーザUに車両への乗車意思があるときに、通信継続意思があると判定する。乗車意思の有無の判定は、以下のうちの少なくとも一つを用いる。
・アクセサリスイッチ状態:車両情報に含まれるアクセサリスイッチ17の状態がオン状態のとき、ユーザUに車両への乗車意思があると判定する。
・着座状態:車両情報に含まれる着座センサ18の状態が、乗員の着座を検出しているとき、ユーザUに車両への乗車意思があると判定する。
・ドア開閉状態:車両情報に含まれるドア開閉スイッチ19の状態が、開状態であるとき、ユーザUに車両への乗車意思があると判定する。
・ドアロック状態:車両情報に含まれるドアロックスイッチ20の状態が、ドア解錠状態であるとき、ユーザUに車両への乗車意思があると判定する。
【0058】
ユーザUに通信継続意思があると判定したとき(S15:Yes)、車載装置1との通信を継続する(S16,図3のQ25に相当)。これにより、ユーザUは、所望の車両(31)の車載装置(1)の操作あるいは情報の取得を行うことができる。
【0059】
一方、ユーザUに通信継続意思がないと判定したとき、つまり、上述の車両情報に含まれるすべての状態で、ユーザUに車両への乗車意思がないと判定されたとき(S15:No)、車載装置1に切断要求信号を送信し(S17,図3のQ5に相当)、接続要求待受モードへ戻る(S11)。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,101 車載装置
11 ブルートゥース送受信部(切断要求信号受信部)
12 ブルートゥース制御部
13 車載装置制御部(接続要求信号送信制御部)
17 アクセサリスイッチ
18 着座センサ
19 ドア開閉スイッチ
20 ドアロックスイッチ
21 ブルートゥース送受信部
22 ブルートゥース制御部(車両情報受信部,切断要求信号送信部)
23 携帯機制御部(通信確立判定部,通信継続意思判定部,乗車意思判定部)
30,31 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する携帯機と車両に取り付けられた車載装置とが、無線通信により相互にデータの送受信を行う車両用通信システムであって、
前記携帯機は、
前記車載装置との通信が確立したか否かを判定する通信確立判定部と、
前記通信確立判定部が、前記車載装置との通信が確立したと判定したときに、前記車載装置から車両の状態を含む車両情報を受信する車両情報受信部と、
前記車両情報受信部が受信した前記車両情報に基づいて、前記ユーザが、前記車載装置との通信を継続する通信継続意思があるか否かを判定する通信継続意思判定部と、
前記通信継続意思判定部が、前記ユーザが前記車載装置との通信を継続する意思がないと判定したときに、前記車載装置との通信を切断するための切断要求信号を送信する切断要求信号送信部と、
を備えることを特徴とする車両用通信システム。
【請求項2】
前記通信確立判定部は、前記車載装置からの接続要求信号を受信した際、他の車載装置との通信を行っていないときに、車載装置との通信が確立したと判定する請求項1に記載の車両用通信システム。
【請求項3】
前記車載装置は、前記切断要求信号を受信する切断要求信号受信部と、
前記切断要求信号を受信したときには、前記接続要求信号を予め定められた期間送信しないようにする接続要求信号送信制御部と、
を備える請求項2に記載の車両用通信システム。
【請求項4】
前記通信継続意思判定部は、前記ユーザが、前記車載装置が取り付けられた車両に乗車する意思があるか否かを判定する乗車意思判定部を含み、
前記乗車意思判定部が、前記ユーザが前記車両に乗車する意思があると判定したときに、通信継続意思があると判定する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項5】
前記車載装置は、予め定められたタイミングで前記車両情報を作成する車両情報作成部を備える請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項6】
前記車両情報作成部は、前記携帯機との通信が確立していることを、前記車両情報の作成の前提条件とする請求項5に記載の車両用通信システム。
【請求項7】
前記携帯機と前記車載装置とは、ブルートゥース方式により通信を行う請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用通信システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−27013(P2013−27013A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163062(P2011−163062)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】