説明

車両用除霜装置

【課題】走行源である内燃機関の駆動により充電され、各種車載機器の電源として使用される車載バッテリーの電力消費を極力抑えた形で、車両乗車後にすぐに運転ができるように窓ガラスの除霜機能を実行する車両用除霜装置を提供する。
【解決手段】走行源である内燃機関(エンジン)30Eの駆動により充電され、各種車載機器200の電源としても使用される車載バッテリー30Aを搭載した車両100の窓ガラス100Gを除霜する車両用除霜装置1において、ソーラーパネル30Pの発電電力により充電されるサブバッテリー30Bを設け、内燃機関30Eの停止時において予め定められた除霜タイミングが到来したときに、霜検出部24により着霜が検出された場合には、少なくともサブバッテリー30Bを駆動電源として複数種の除霜手段21〜23のうちの一部21,22または全除霜手段21〜23に各々の除霜機能を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓ガラスを除霜する車両用除霜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冬の朝、車両のフロントガラス等に着霜があると、車内から外が見えないため、これを除去する必要がある。その除去装置(以下、除霜装置という)として、車両には、例えばカーエアコンやワイパーヒータ、熱線等の各種の装置が備えられている(例えば特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−341336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両に乗り込んだ段階で除霜装置を起動しても、すぐには霜は除去されないためしばらくの間は車両を運転できないという課題がある。さらに、これらの除霜装置は、各種車載機器の電源として使用される車載バッテリーから電力の供給を受けて起動するものである。車載バッテリーは、走行源である内燃機関の駆動により充電されるものであるから、走行開始前の段階で、車載バッテリーに余計な電力消費が生じてしまうという課題もある。
【0005】
本発明の課題は、走行源である内燃機関の駆動により充電され、各種車載機器の電源として使用される車載バッテリーの電力消費を極力抑えた形で、車両乗車後にすぐに運転ができるように除霜機能を実行する車両用除霜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用除霜装置は、
走行源である内燃機関の駆動により充電され、各種車載機器の電源として使用される車載バッテリーを搭載した車両の窓ガラスを除霜する車両用除霜装置であって、
車載バッテリーとは別に設けられ、車両に搭載されたソーラーパネルの発電電力により充電されるサブバッテリーと、
各々が車両の窓ガラスの霜を除去する除霜機能を実行可能な複数種の除霜手段と、
窓ガラスの着霜を検出する霜検出手段と、
内燃機関の停止時において予め定められた除霜タイミングが到来したときに、霜検出手段により着霜が検出された場合には、少なくともサブバッテリーを駆動電源として複数種の除霜手段のうちの一部または全てに各々の除霜機能を実行させる除霜制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の構成によれば、予め定められた除霜タイミングが到来したときが内燃機関の停止時であった場合に、ソーラーパネルの発電電力により充電されるサブバッテリーに蓄電された電力を少なくとも用いて、除霜手段に除霜機能を実行させることができる。このため、内燃機関の駆動に伴い充電されるメインバッテリーをなす車載バッテリーの電力を当てにするのではなく、ソーラーパネルの発電電力により充電されるサブバッテリーの電力を積極的に用いる形で除霜機能が実行されるから、仮に車載バッテリーの電力も用いたとしても、その電力消費はサブバッテリーの存在により、大幅に抑制される。このため、車載バッテリーを充電のできない内燃機関の停止時においては、車載バッテリーの無駄な消費を抑制した形で、除霜機能を実行することができる。
【0008】
本発明において、上記除霜タイミングを第一除霜タイミングとすると、除霜制御手段は、内燃機関の停止時において該第一除霜タイミングよりも早いタイミングで設定された第二除霜タイミングが到来したときに、霜検出手段により着霜が検出された場合には、サブバッテリーのみを駆動電源として複数種の除霜手段のうちの一部または全てに各々の除霜機能を実行させるものとすることができる。この構成によれば、予め決められた第一除霜タイミングの到来前に一定の除霜機能が実行されるため、第一除霜タイミングの到来時点で既にある程度の除霜状態としておくことができ、その後、完全な除霜状態とすることができる。例えば、第一除霜タイミングが、出発時刻(出発予定時刻)に基づいて定められた出発前時刻であるとすると、それよりも前の第二除霜タイミングにおいて既に除霜機能が実行されているから、その出発前時刻(第一除霜タイミング)には既にある程度の除霜状態とすることができ、そこから出発時刻までの間に完全な除霜状態とすることができるから、出発時刻には直ちに車両の運転が可能となる。さらに、第二除霜タイミング到来時における除霜手段の駆動電源はサブバッテリーのみであるから、メインバッテリーである車載バッテリーの電力消費はない。
【0009】
本発明において、除霜タイミングを第一除霜タイミングとすると、除霜制御手段は、内燃機関の停止時において該第一除霜タイミングよりも早いタイミングで設定された第二除霜タイミングが到来したときに、霜検出手段により着霜が検出された場合には、少なくともサブバッテリーを駆動電源として複数種の除霜手段のうちの一部のみに各々の除霜機能を実行させるものとすることができる。この構成においても、予め決められた第一除霜タイミングの到来前に一定の除霜機能が実行されるため、第一除霜タイミングの到来時点で既にある程度の除霜状態としておくことができ、その後、完全な除霜状態とすることができる。例えば、第一除霜タイミングが、出発時刻(出発予定時刻)に基づいて定められた出発前時刻であるとすると、それよりも前の第二除霜タイミングにおいて既に除霜機能が実行されているから、その出発前時刻(第一除霜タイミング)には既にある程度の除霜状態とすることができ、そこから出発時刻までの間に完全な除霜状態とすることができるから、出発時刻には直ちに車両の運転が可能となる。
【0010】
なお、第二除霜タイミングが到来したときに、霜検出手段により着霜が検出された場合には、車載バッテリーとサブバッテリーの双方を駆動電源として複数種の除霜手段のうちの一部のみに各々の除霜機能を実行させてもよい。この場合、第二除霜タイミング到来時において除霜機能を実行する除霜手段は、予め定められた複数の除霜手段の中の一部に制限されているので、メインバッテリーである車載バッテリーを駆動電源と利用していても、全ての除霜手段に除霜機能を実行させている場合に比べて、その電力消費を減じることができる。ただし、第二除霜タイミング到来時に除霜機能を実行する状況は内燃機関の停止時であり、なおかつ後に第一除霜タイミングが到来し、そこでより本格的な除霜機能が実行されることを考慮すれば、第二除霜タイミングの到来時においては、サブバッテリーのみで、一部の除霜手段の除霜機能を実行するだけに止めてもよい。この場合、メインバッテリーである車載バッテリーの電力消費はなく、さらに、サブバッテリーの電力消費も、除霜機能を実行する除霜手段が除霜手段の中の一部に制限されているため抑制できる。
【0011】
また、上述した本発明において、除霜手段のうちの一部に除霜機能を実行させる構成がある場合、それらから除かれる除霜手段は、除霜機能とは異なる別機能を実行可能な多機能装置とすることができる。一部の除霜手段を起動する際にその一部の除霜手段から除かれる除霜手段は、できるだけ消費電力の大きいものであることが望ましく、例えば除霜手段の中で最も消費電力の大きいものとすることができる。例えば、上述のような多機能装置は、機能の数の分消費電力も大きいので、こうしたものが省略されることで、電力消費を効果的に抑制できる。なお、車両における多機能装置といえば、例えば、除霜機能以外にも各種の吹き出し口から、設定された温度と風力の空調気流を出力する冷暖房機能を備えた車両用空調装置等を例示できる。
【0012】
本発明における除霜制御手段は、内燃機関の停止時において第一除霜タイミングとなった時に、霜検出手段により着霜が検出された場合には、少なくともサブバッテリーを駆動電源として、第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜手段よりも多数、又は全ての除霜手段に各々の除霜機能を実行させるよう構成できる。この構成によれば、仮にメインバッテリーである車載バッテリーが除霜手段の駆動電力として使用されていても、サブバッテリーも駆動電力を供給しているので、車載バッテリーの無駄な電力消費を抑制できる。また、例えば第一除霜タイミングが、出発時刻に基づいて定められた出発前時刻であるとすると、それよりも前の第二除霜タイミングにおいて既に除霜機能が実行されているから、その出発前時刻(第一除霜タイミング)には既にある程度の除霜状態となっており、その後は、それまでよりもより除霜効果が高くなる形で除霜機能を実行し、出発時刻までに確実の除霜を完了しておくことが必要である。このため、第一除霜タイミングの到来に伴い、実行される除霜機能の数を増やすことは有効である
【0013】
本発明における除霜制御手段は、内燃機関の停止時において第一除霜タイミングとなった時に、霜検出手段により着霜が検出された場合には、車載バッテリーとサブバッテリーの双方を駆動電源として、第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜手段よりも多数、又は全ての除霜手段に各々の除霜機能を実行させる。この構成によれば、メインバッテリーである車載バッテリーとサブバッテリーが除霜手段に駆動電力を供給しているので、メインバッテリーのみが駆動電力を供給する場合に比べ、車載バッテリーの電力消費を抑制できる。また、例えば第一除霜タイミングが、出発時刻に基づいて定められた出発前時刻であるとすると、それよりも前の第二除霜タイミングにおいて既に除霜機能が実行されているから、その出発前時刻(第一除霜タイミング)には既にある程度の除霜状態となっており、その後は、それまでよりもより除霜効果が高くなる形で除霜機能を実行し、出発時刻までに確実の除霜を完了しておくことが必要である。このため、第一除霜タイミングの到来に伴い、実行される除霜機能の数を増やすことは有効であるし、このときの除霜手段の駆動電源も、車載バッテリーとサブバッテリーとの双方としておくことで、それら除霜手段の駆動電源を確実に確保しておくことができる。
【0014】
本発明においては、窓ガラスの着霜レベル(霜の堆積量)を特定又は推定可能な着霜レベル反映情報を取得する着霜レベル反映情報取得手段と、内燃機関の停止時に除霜手段による除霜機能が実行されている際に、取得された着霜レベル反映情報に基づいて着霜レベルが予め定められた基準レベルを下回ったと判定された場合には、除霜機能実行中の除霜手段の駆動電源を、サブバッテリーのみに強制的に切り替える駆動電源切替手段と、を備えて構成することができる。この構成によれば、着霜レベルが一定のレベルを下回った場合、車載バッテリーによる除霜手段への駆動電力の供給が禁止され、サブバッテリーのみによる除霜手段への駆動電力の供給状態となるため、車載バッテリーの無駄な電力消費を抑制できる。
【0015】
なお、上記の着霜レベル反映情報取得手段は、着霜レベル反映情報として車室内温度を検出する車室内温度検出手段とすることができ、上記の駆動電源切替手段は、内燃機関の停止時に除霜手段による除霜機能が実行されている際に、検出された車室内温度が予め定められた基準温度を上回った場合に、除霜機能実行中の除霜手段の駆動電源を、サブバッテリーのみに強制的に切り替えるものとすることができる。車室内温度は着霜レベルが反映される値であり、これが高い時には着霜レベルが低く、これが低い時には着霜レベルが高い。このため、車室内温度が予め定められた基準温度を上回った場合には、霜は残っているもののその着霜レベルが所定レベルを下回るレベルとなっていると判断され、除霜機能実行中の除霜手段の駆動電源を、サブバッテリーのみに強制的に切り替える(即ち、車載バッテリーによる、除霜機能実行中の除霜手段への電力供給を禁止する)ことで、車載バッテリーの電源消費を抑制できる。
【0016】
本発明においては、実行中の除霜機能を強制停止させるための強制停止要求信号を無線受信する受信手段と、強制停止要求信号を受信した場合に、実行中の除霜機能を強制停止させる強制停止手段と、を備えて構成できる。これにより、除霜機能を車外から強制停止させることができる。また、予め定められた強制停止操作部が操作されるに伴い強制停止要求信号を車両に無線送信する送信手段を備えた可搬型携帯装置(例えば車両のキー)を設けてもよい。これにより、強制停止を一層行いやすくなる。
【0017】
本発明においては、いずれかの除霜手段による除霜機能の実行中に、除霜機能が実行中であることを示す除霜実行情報を、予め定められた可搬型携帯装置に無線送信する送信手段を備える一方で、除霜実行情報を無線受信する受信手段と、除霜実行情報の無線受信に伴い除霜機能が実行されていることを報知する報知手段と、を有する可搬型携帯装置を備えて構成できる。この構成によれば、車両が除霜駆動中であるか否かを容易に把握することができる。
【0018】
本発明においては、除霜制御手段により除霜手段に対し除霜機能の実行が指示された際に、指示された除霜手段において除霜機能が正常実行されているか否かを判定するためのフェール判定情報を取得するフェール判定情報取得手段と、取得したフェール判定情報に基づいて、前記除霜手段における除霜機能が正常実行されているか否かを判定するフェール判定手段と、除霜機能が正常実行していないと判定された場合に、実行中の除霜機能を強制停止させるフェール時停止手段と、を備えて構成できる。この構成によれば、フェール判定を受けた除霜機能を強制停止し、安全を図ることができる。
【0019】
本発明は、ユーザーによる予め定められた設定入力操作に基づいて、除霜タイミングを設定する除霜タイミング設定手段を備えて構成できる。除霜タイミングは、例えば除霜機能を実行する実行開始日時を示す実行開示日時情報とすることができる。これらの構成によれば、例えば任意の日時・時刻や何時間後などといった除霜タイミングを、ユーザーが次回の乗車に合わせて任意に設定することができる。
【0020】
本発明においては、車両の現在位置を特定する車両現在位置特定手段と、車両のイグニッションスイッチのOFFを特定するIGスイッチ状態特定手段と、特定された車両の現在位置が、予め定められたエリア内にあり、なおかつイグニッションスイッチがOFFと特定された場合に、当該車両の予め定められた表示部に、設定された実行開始日時を表示する設定情報表示手段と、を備えて構成できる。この構成によれば、所定のエリア(例えば自宅敷地内)に車両が到達した際に、次の除霜タイミングが表示されるため、次の除霜タイミングを確認でき、場合によってはそれを変更することも可能となる。
【0021】
本発明において、上記除霜タイミングとして、第一除霜タイミングと該第一除霜タイミングよりも早いタイミングで設定される第二除霜タイミングとを有し、第二除霜タイミングにおいて除霜機能を実行する除霜手段全体での車載バッテリーの電力消費の方が、第一除霜タイミングにおいて除霜機能を実行する除霜手段全体での車載バッテリーの電力消費よりも少ないようにすることができる。また、第二除霜タイミングにおいて除霜機能を実行する除霜手段全体での総電力消費の方が、第一除霜タイミングにおいて除霜機能を実行する除霜手段全体での総電力消費よりも少ないようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の車両用除霜装置の一実施形態の構成を簡略的に示すブロック図。
【図2】可搬型携帯装置の構成を簡略的に示すブロック図。
【図3】車室内に配された車両用空調装置の吹出口の位置関係を示す図。
【図4】車両用空調装置の冷凍サイクルを簡略的に示した図。
【図5】霜除去処理の流れを示すフローチャート。
【図6】強制停止処理の流れを示すフローチャート。
【図7】車両用ナビゲーション装置の構成を簡略的に示すブロック図。
【図8】除霜タイミング設定処理の流れを示すフローチャート。
【図9】除霜タイミング設定画面の第一例。
【図10】除霜タイミング設定画面の第二例。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の車両用除霜装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の車両用除霜装置の一実施形態を簡略的に示したブロック図である。図1に示すように、本実施形態の車両用除霜装置1は、走行源である内燃機関(エンジン)30Eの駆動に連動して発電する発電機30Dの発電電力により充電され、エンジン始動装置を含む各種車載機器200の電源としても使用される車載バッテリー30Aを搭載した車両100の窓ガラス100Gを除霜するものであり、車載バッテリー30Aとは別に設けられ、車両100に搭載されたソーラーパネル30Pの発電電力により充電されるサブバッテリー30Bと、各々が車両100の窓ガラス100Gの霜を除去する除霜機能を実行可能な複数種の除霜装置(除霜手段)21〜23と、窓ガラス100Gの着霜を検出する霜検出部(霜検出手段)24と、内燃機関30Eの停止時において予め定められた除霜タイミングが到来したときに、霜検出部24により着霜が検出された場合には、少なくともサブバッテリー30Bを駆動電源として複数種の除霜手段21〜23のうちの一部21,22または全除霜手段21〜23に各々の除霜機能を実行させる制御部(除霜制御手段)20と、を備えて構成される。
【0025】
本実施形態における除霜装置21は、車両100のリアガラス(リアウインド)100R(100G)に設けられた曇り取り用のリア熱線であり、制御部20からの駆動指令を受けて駆動した時には、リアガラス100Rが加熱され、着霜状態を解消することができる。また、熱線への通電電流・通電電圧を監視する監視部261(フェール判定情報取得手段26)が設けられており、それらの監視情報がフェール判定情報として制御部(フェール判定手段)20に入力され、リア熱線21のフェール判定に利用される。
【0026】
本実施形態における除霜装置22は、車両100のフロントガラス100F(100G)において、予め定められたワイパーの停止位置に設けられた熱線(ワイパーデアイサ)であり、制御部20からの駆動指令を受けて駆動した時には、フロントガラス100F(100G)における当該停止位置が加熱され、着霜状態を、当該停止位置を中心に解消することができる。また、熱線への通電電流・通電電圧を監視する監視部262(フェール判定情報取得手段26)が設けられており、それらの監視情報がフェール判定情報として制御部(フェール判定手段)20に入力され、熱線22のフェール判定に利用される。
【0027】
本実施形態における除霜装置23は、周知の車両用空調装置(カーエアコン)であり、予め定められた吹出し口からの冷暖房出力が可能に構成されている。吹出口としては、図3に示すように、フロントガラス曇り止め用のデフロスタ吹出口231がフロントガラス100Fの内面下縁に対応するインパネ上方奥に、運転席側フェイス吹出口232がインパネの正面中央右寄りと右隅に、助手席側フェイス吹出口233がインパネの正面中央左寄りと左隅に、運転席側フット吹出口234がインパネ下面右奥の運転席側足元に、助手席側フット吹出口235がインパネ下面左奥の助手席側足元に、それぞれ開口しており、エアコンECU230が、ユーザーによる所定操作に基づいて、あるいは自動空調制御に基づいて、それら吹出し口の開閉状態を切り替える切替制御を行う。エアコンECU230が、デフロスタ吹出口231が開状態となるデフロスタモードを設定した場合には、そこから吹出される空調気流により、フロントガラス100Fが加熱され、着霜状態を解消することができる。
【0028】
なお、本実施形態における車両用空調装置23の冷凍サイクル300は、図4に示すように、車両用空調装置25に設けられた周知の冷凍サイクルと同様の構成をなし、ガス状の冷媒を吸入・圧縮して高温・高圧ガスとして送り出すコンプレッサ(圧縮器)301と、送り出された冷媒(高温・高圧ガス)を車外空気(クーリングファンによって取り入れる)によって冷却し、凝縮の潜熱を奪って液化するコンデンサ(凝縮器)302と、液化された冷媒をガスと液とに分離して液冷媒のみを送り出すレシーバ(受液器)303と、送り出された液冷媒を膨張させ、低温・低圧の霧状冷媒とするエキスパンションバルブ(膨張弁)304と、その低温・低圧の霧状冷媒によって車室内の空気から潜熱を奪って車室内空気を冷却するとともに、このとき気化された冷媒をコンプレッサ1に送り出すエバポレータ(蒸発器)305とで構成される。
【0029】
ただし、コンプレッサ(圧縮器)301は、車両の内燃機関(エンジン)30Eを動力源として駆動するものでもよいが、ここでは車載バッテリー30A及びサブバッテリー30Bとのいずれか又は双方からの電力供給を受けて駆動するコンプレッサ駆動用モータ(コンプレッサ駆動源)30Mを駆動源として駆動するものとする。上記した車両用空調装置24におけるデフロスタモードにおいては、フロントガラス100Fを加熱する空調気流が出力されるよう、モータ30Mによりコンプレッサ301が駆動状態となる。
【0030】
なお、エアコンECU230(26)は、吹出口切替用ダンパーや該ダンパーや、エアミックスダンパー、内外気切替ダンパー等を駆動するモータ等を回転制御するに際し、それらからフィードバックされる情報(フェール判定情報)を監視し、それらの動作異常を判定する異常判定(フェール判定)を行っている。また、エアコンECU230(26)は、車内温度を検出する内気温センサ25や、車外温度を検出する外気温センサ、エバポレータ305を通過した直後の空気の温度を検出するエバポレータ後センサ、日射量を検出する日射センサ等の周知のセンサ類の検出情報(フェール判定情報)も取得しており、それらに基づいて空調制御の異常を判定する異常判定(フェール判定)も行っている。エアコンECU230(フェール判定情報取得手段26)は、これらの異常判定の結果を制御部20に送信する。
【0031】
霜検出部24は、窓ガラス100Gを撮影するために車室内に設けられたカメラであり、その撮影画像を制御部20に送信する。制御部20はその撮影画像に基づいて、窓ガラス100Gの透過レベル(透過率)を算出し、所定レベル以下の透過レベルであれば霜有り、所定レベル以下の透過レベルでなければ霜無しと判定する。つまり、霜検出部24と制御部20とが、窓ガラス100Gの着霜を検出する霜検出手段として機能する。なお、霜検出手段は、窓ガラス100Gの着霜を検出できるものであれば、カメラを有した本実施形態の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0032】
また、制御部20は、可搬型携帯装置10と無線通信をするための送信部(送信手段)27及び受信部(受信手段)28を備える。
【0033】
可搬型携帯装置10は、図2に示すように、制御部11を備え、車両100側の制御部20と無線通信をするための送信部(送信手段)17及び受信部(受信手段)18と、後述する霜除去処理を強制的に実行させる強制起動要求信号を車両100に無線送信させる強制起動ボタン(除霜機能強制実行操作部)12と、後述する霜除去処理を強制的に停止させる強制停止要求信号を車両100に無線送信させる強制停止ボタン(除霜機能強制停止操作部)13と、車両100において後述する除霜機能が実行されていることを音声及び/又は表示によって報知する報知出力部(報知手段)14とを、制御部11に接続する形で備える。
【0034】
ここで、本実施形態の車両側の制御部20は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU,ROM,RAM等を備えて構成される一方、周知のタイマー機能を有するとともに、ROMや、外部の記憶装置19等に記憶されたプログラムおよびデータに基づく制御を行う。ここでは、図5に示す霜除去処理、図6に示す強制停止処理、図示しない強制起動処理、図8に示す起動タイミング設定処理を実行するプログラム及びデータが、記憶装置19に記憶されている。以下、CPUがこれらのプログラムを実行したときの処理の流れについて説明する。
【0035】
図5に示す霜除去処理について説明する。なお、この霜除去処理は、内燃機関(エンジン)30Eの停止時においてのみ、繰り返し実行される処理である。
【0036】
まずS1にて、制御部20が、予め定められた第二除霜タイミングが到来したか否かを判定する。ここでは、後述する図8に示す起動タイミング設定処理により、除霜を実行する第一除霜タイミングが外部の記憶装置19に記憶(設定)されており、第二除霜タイミングは、それよりも予め定められた時間(例えば30分)だけ前のタイミングとして定められている。ここでは、その第二除霜タイミングを特定し、現在が第二除霜タイミングであると判定された場合にはS2に進み、第二除霜タイミングでなければS1を繰り返す。
【0037】
なお、本実施形態においては、除霜タイミングは、日付・時刻を示す日時情報として与えられているが、例えば今から8時間後などのような形で与えられていてもよい。
【0038】
続くS2では、制御部20が、除霜装置21〜23の駆動電源として、サブバッテリー30Bのみを設定し、リレースイッチ20BをONとする。
【0039】
S3では、制御部20が、窓ガラス100Gの着霜レベルを特定する。ここでは、霜検出部24をなすカメラが撮影した撮影画像を取得し、その画像に基づいて窓ガラス100Gの透過レベルを算出し、その透過レベルを着霜レベルとして特定する。
【0040】
S4では、制御部20が、特定された着霜レベルに基づいて、窓ガラス100Gの着霜の有無を判定する。ここでは、S3にて算出された透過レベルが所定レベル以下の透過レベルであれば霜有り、所定レベル以下の透過レベルでなければ霜無しと判定する。霜有りと判定されればS5に進み、霜無しと判定されれば、後述するS7に進む。
【0041】
S5では、制御部20が、除霜装置21〜23の一部又は全て(対象負荷)を起動し、これらに各々の除霜機能を実行させる。ここでは、車載空調装置23を除いた一部の除霜装置21,22を起動し、これらに各々の除霜機能を実行させる(除霜制御手段)。ただし、ここで起動する除霜装置21,22の電力供給源はサブバッテリー30Bのみである。
【0042】
S6では、制御部20が、除霜手段21,22による除霜機能が実行中であることを示す除霜実行情報を、送信部27から、予め定められた可搬型携帯装置10に無線送信し、S9に進む。これを受信部18にて無線受信した可搬型携帯装置10の制御部11は、報知出力部14において、車両100で除霜機能が実行されていることを音声及び/又は表示によって報知させる。ここではLEDを点灯させる形で報知する。可搬型携帯装置10の制御部11は、この除霜実行情報の受信が所定時間の間途絶えた場合に、この報知を停止する。
【0043】
S7では、制御部20が、予め定められた第一除霜タイミングが到来したか否かを判定する。ここでは、外部の記憶装置19に記憶(設定)されている第一除霜タイミングを読み出し、現在が第一除霜タイミングであるか否かを判定する。第一除霜タイミングであると判定された場合にはS10に進み、なければS3に戻る。
【0044】
S10では、S3と同様、制御部20が、窓ガラス100Gの着霜レベルを特定する。ここでは、霜検出部24をなすカメラが撮影した撮影画像を取得し、その画像に基づいて窓ガラス100Gの透過レベルを算出し、その透過レベルを着霜レベルとして特定する。
【0045】
さらにS10では、制御部20が、着霜レベルの特定又は推定が可能となる着霜レベルが反映される情報(着霜レベル反映情報)を取得して(着霜レベル反映情報取得手段)、これに基づいて着霜レベルを特定又は推定する。上述したカメラの撮影画像を用いた着霜レベルの特定は、着霜の有無を判定するものであるが、ここでの着霜レベルの特定は、予め定められた着霜レベル反映情報(上述したカメラの撮影画像とは異なる情報)から着霜レベルを特定又は推定する形でなされる。本実施形態においては、着霜レベル反映情報として車室内温度検出部(車室内温度検出手段)25が車室内温度を検出し、車室内温度に基づいて着霜レベルを推定する。例えば、第一除霜タイミングが到来し、後のS14の処理に進んで車両用空調装置23がデフロスタモードの空調出力を実行した場合は、フロントガラス100Fだけでなく車室内空気も暖められる。そして、その温度(車室内温度)が予め定められた基準温度(例えば25度)を上回ったところまで達した際には、着霜レベルも、ある程度除霜が進んだとされる基準レベルを下回るところまで達したと推定できる。
【0046】
S11では、S3と同様、制御部20が、カメラの撮影画像を用いた着霜レベル判定に基づいて、窓ガラス100Gの着霜の有無を判定する。霜有りと判定されればS12に進み、霜無しと判定されれば、後述するS7に進む。
【0047】
S12では、制御部20が、着霜レベル反映情報を用いた着霜レベル判定に基づいて、着霜レベルが上記基準レベルを下回ったか否かを判定し、基準レベルを下回ったと判定された場合にはS16に進む。S16では、制御部20が、除霜機能実行中の除霜手段(21,22又は21〜23)の駆動電源を、サブバッテリー30Bのみに強制的に切り替え設定する(駆動電源切替手段)。即ち、リレースイッチ20BのみをONとする。
【0048】
続くS17では、制御部20が、除霜装置21〜23の一部又は全て(対象負荷)を起動し、これらに各々の除霜機能を実行させる。ここでは、サブバッテリー30Bのみの電力で、車載空調装置23を除く除霜装置21,22を起動し、これらに各々の除霜機能を実行させる(除霜制御手段)。そして、S18にて、制御部20が、除霜実行情報を送信部27から無線送信し、これを受信部18にて受信する可搬型携帯装置10において報知出力部14による報知を実行させる。
【0049】
他方、S12にて、制御部20が、着霜レベル反映情報を用いた着霜レベル判定に基づいて、着霜レベルが予め定められた基準レベルを下回っていないと判定された場合にはS13に進み、制御部20が、除霜機能実行中の除霜手段(21,22又は21〜23)の駆動電源を、サブバッテリー30B及び車載バッテリー30Aの双方に設定する。即ち、リレースイッチ20A及び20Bの双方をONとする。
【0050】
続くS14では、制御部20が、第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜装置21,22よりも多数の除霜装置に各々の除霜機能を実行させる(除霜制御手段)。ここでは、サブバッテリー30B及び車載バッテリー30Aの双方の電力で、全ての除霜装置21〜23を起動し、これらに各々の除霜機能を実行させる。そして、S15にて、制御部20が、除霜実行情報を送信部27から無線送信し、これを受信部18にて受信する可搬型携帯装置10において報知出力部14による報知を実行させる。
【0051】
なお、S7では、S4及びS11での霜無しとの判定を受けて、制御部20が、実行されている除霜機能があるならばそれらの起動を停止させる指令を出力し、除霜機能実行中の除霜装置を停止させる。
【0052】
そしてS8にて、制御部20は、除霜装置21,22による除霜機能が停止中であることを示す除霜停止情報を、送信部27から、予め定められた可搬型携帯装置10に無線送信し、本処理を終了する。これを受信部18にて無線受信した可搬型携帯装置10の制御部11は、報知出力部14における、車両100で除霜機能が実行されていることを示す報知を停止させる。なお、除霜停止情報を送信せず、除霜実行情報の受信が所定時間の間途絶えさせることにより、この報知を停止してもよい。
【0053】
図6に示す強制停止処理について説明する。なお、この強制停止処理は、上述の霜除去処理実行時においてのみ、繰り返し実行される処理である。
【0054】
まずS101にて、制御部20が、可搬型携帯装置10において強制停止操作部13が操作されるに伴い無線送信される強制停止要求信号を、受信部28が受信したか否かを判定する。強制停止要求信号を受信したと判定した場合には、S102に進み、制御部20は、実行されている除霜機能があるならばそれらを強制停止させ、上述の霜除去処理を停止させる(強制停止手段)。強制停止要求信号を受信していない場合はS103に進む。
【0055】
S103では、制御部20が、各除霜装置21〜23におけるフェール判定情報ないしはフェール判定結果を取得し、除霜機能の実行を指示した除霜装置において、その除霜機能が正常実行されているか否かを判定する(フェール判定手段)。各除霜装置21〜23において、除霜機能が正常実行していないと判定された場合には、S102に進み、実行中の除霜機能を強制停止させる(フェール時停止手段)。正常実行していると判定された場合には、本処理を終了する。
【0056】
図8に示す除霜タイミング(除霜装置の起動タイミング)設定処理について説明する。
【0057】
まず、この除霜タイミング設定処理(除霜タイミング設定手段)を行う上で必須となる車両用ナビゲーション装置の構成について説明する。
【0058】
ナビゲーション装置40は、位置検出器410,操作スイッチ群420,ハードディスク装置(HDD)430,表示器(表示部)440,音声案内などを行う音声合成回路450及びスピーカ451,これらの接続された制御部400等を備えて構成されている。この制御部400は、上述した制御部20とも通信可能に接続している。
【0059】
位置検出器410は、車両100の現在位置を特定する車両現在位置特定手段であり、周知の地磁気センサ411,車両100の回転角速度を検出するジャイロスコープ412,車両100の走行距離を検出する距離センサ413,および衛星からの電波に基づいて車両100の位置を検出するGPS受信機414を有した周知のものである。
【0060】
操作スイッチ群420は、メカニカルスイッチや、マウスやカーソル等のポインティングデバイス等を用いることができる。
【0061】
制御部400は、周知のCPU,ROM,RAMを備えて構成される通常のコンピュータで有り、CPUは、HDD430に記憶されたナビプログラムおよびデータに基づく制御を行う。
【0062】
HDD430には、設定される目的地への経路案内等が可能な周知のナビプログラムの他に、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データが記憶される。地図データは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。また、HDD430には、ナビゲーション装置40の動作に必要なデータや各種情報がデータベースとして記憶されている。
【0063】
表示器440は、ここでは周知のカラー液晶表示器で構成されており、制御部400から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。
【0064】
スピーカ451は周知の音声合成回路450に接続され、ナビプログラムの指令によってHDD430に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路450においてアナログ音声に変換されたものが送出される。
【0065】
上記制御部20は、このナビゲーション装置40と連携する形で、図8に示す除霜タイミング設定処理を実行する。
【0066】
即ちS201にて、制御部20が、車両100のイグニッションスイッチのON/OFFを特定する(IGスイッチ状態特定手段)。具体的にいえば、車両100のイグニッションスイッチをOFFする操作に基づいて送信されるイグニッションOFF信号の受信の有無を判定する。イグニッションOFF信号を受信した場合にはS202に進み、ナビゲーション装置40の位置検出器410が検出する車両100の現在位置が所定位置(予め定められたエリア内)であるか否かを判定する。ここでは、所定位置として自宅が設定されているが、ユーザーが利用する他の施設などが設定されていてもよい。所定位置であると判定された場合には、S203にて、ナビゲーション装置40の表示器440に、次回の除霜タイミングを画面表示させる(設定情報表示手段)。ここでは、図9に示すような除霜タイミング設定画面441を表示し、次回の第一除霜タイミングとして、その日時(日付及び/又は時刻:図9では時刻のみ)が表示される。その上で、S204では、次回の第一除霜タイミングを変更する操作として、所定の操作入力部420へのユーザーによる予め定められた設定入力操作を、図9に示す画面441上で受け付け、S205にて、変更設定が終了したと判定されるまで操作を受け付ける。S205にて、変更設定が終了したと判定されると本処理は終了となる。具体的には、図9に示す画面441上で、第一除霜タイミングを示す時刻を変更する操作が可能であり、決定ボタンを選択決定すると、表示された時刻が第一除霜タイミングとして設定される。
【0067】
なお、本実施形態においては、イグニッションスイッチがONのとき、車両100が所定場所に到達していない時は、これらの設定が変更できないが、任意のタイミングで設定変更可能としてもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、第一除霜タイミングとして、除霜機能を実行する実行開始日時を示す実行開示日時情報を設定しているが、図10に示す除霜タイミング設定画面(次回乗車日時設定画面)442のように、次回の乗車予定日時を示す乗車予定日時情報を設定するように構成し、それに対する所定時間前(図10では30分前)を第一除霜タイミング、さらにそれに対する所定時間前(図10では60分前)を第二除霜タイミングとして設定するように構成してもよい。また、第一及び第二除霜タイミングを定めるこれらの所定時間を設定可能としてもよい。
【0069】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0070】
例えば上記実施形態における図5の霜除去処理では、第二除霜タイミングの到来に伴い、サブバッテリー30Bのみを駆動電源とし、複数種の除霜装置21〜23のうちの一部(21,22)に各々の除霜機能を実行させているが、複数種の除霜装置21〜23の全てに各々の除霜機能を実行させてもよい。また、第二除霜タイミングの到来に伴い、サブバッテリー30Bと車載バッテリー30Aの双方を駆動電源として複数種の除霜装置21〜23のうちの一部(21,22)又は全部(21〜23)に各々の除霜機能を実行させてもよい。これらの構成であれば、少なくとも車載バッテリー30A単独で全除霜装置21〜23を駆動する場合よりも電力消費を抑えることが可能となる。
【0071】
また、上記実施形態における図5の霜除去処理では、第一除霜タイミングの到来に伴い、サブバッテリー30Bのみを駆動電源として、第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜装置21,22と同数の除霜装置21,22(ここでは同じ除霜装置)に各々の除霜機能を実行させる構成(S16〜S18)と、車載バッテリー30Aとサブバッテリー30Bの双方を駆動電源として、第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜手段21,22よりも多数(ここでは全て)の除霜装置21〜23に各々の除霜機能を実行させる構成(S13〜S15)との双方の構成を含んでいるが、第一除霜タイミングの到来に伴い、少なくともサブバッテリー30Bを駆動電源として、第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜装置21,22よりも多数(例えば全て)の除霜装置21〜23に各々の除霜機能を実行させ、除霜効果を増すような構成を含むものであればよい。例えばS13にて設定される駆動電源をサブバッテリー30Bのみとしてもよい。この場合、除霜除去処理において、除霜機能の実行に関して車載バッテリー30Aが使用されないため、その電力消費を抑制できる。他方、S16にて設定される駆動電源を車載バッテリー30Aとサブバッテリー30Bの双方としても悪くはない。
【0072】
また、S5やS17等、一部の除霜装置を起動する際には、その一部の除霜装置から除かれる除霜装置は、できるだけ消費電力の大きいものであることが望ましい。例えば除霜装置の中で最も消費電力の大きいものとすることができる。例えば、除霜機能とは異なる別機能を実行可能な多機能装置は、機能の数の分消費電力も大きいので、こうしたものが省略されることで、電力消費を効果的に抑制できる。上記実施形態では、除霜機能以外にも、各種の吹き出し口から、設定された温度と風力の空調気流を出力する冷暖房機能を備えた多機能装置である車両用空調装置23が除かれているが、それよりも消費電力の大きい除霜装置が存在するならばそれを除いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、着霜レベル反映情報として車室内温度を検出し、車室内温度に基づいて着霜レベルを推定する構成となっているが、着霜レベル反映情報は、着霜レベルを特定又は推定可能なものであれば他のものでもよい。
【0074】
また、上記実施形態における除霜装置21〜23を、上記のものとは異なる除霜装置に置き換えてもよいし、除霜装置21〜23にそれらとは異なる除霜装置を新たに加えたり、除霜装置21〜23のいずれかを減じてもよい。
【0075】
また、上記実施形態において、送信部27及び受信部28の駆動電源は、基本的には車載バッテリー30Aとするが、サブバッテリー30Bであってもよいし、上記の霜除去処理時においては、駆動中の除霜装置と同様のバッテリーが使用されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 車両用除霜装置
100 車両
10 可搬型携帯装置
20 制御部
21〜23 除霜装置
24 霜検出部
30A 車載バッテリー
30B サブバッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行源である内燃機関の駆動により充電され、各種車載機器の電源として使用される車載バッテリーを搭載した車両の窓ガラスを除霜する車両用除霜装置であって、
前記車載バッテリーとは別に設けられ、前記車両に搭載されたソーラーパネルの発電電力により充電されるサブバッテリーと、
各々が前記車両の窓ガラスの霜を除去する除霜機能を実行可能な複数種の除霜手段と、
前記窓ガラスの着霜を検出する霜検出手段と、
前記内燃機関の停止時において予め定められた除霜タイミングが到来したときに、前記霜検出手段により着霜が検出された場合には、少なくとも前記サブバッテリーを駆動電源として前記複数種の除霜手段のうちの一部または全てに各々の除霜機能を実行させる除霜制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用除霜装置。
【請求項2】
前記除霜タイミングを第一除霜タイミングとした場合に、前記除霜制御手段は、前記内燃機関の停止時において該第一除霜タイミングよりも早いタイミングで設定された第二除霜タイミングが到来したときに、前記霜検出手段により着霜が検出された場合には、前記サブバッテリーのみを駆動電源として前記複数種の除霜手段のうちの一部または全てに各々の除霜機能を実行させる請求項1に記載の車両用除霜装置。
【請求項3】
前記除霜タイミングを第一除霜タイミングとした場合に、前記除霜制御手段は、前記内燃機関の停止時において該第一除霜タイミングよりも早いタイミングで設定された第二除霜タイミングが到来したときに、前記霜検出手段により着霜が検出された場合には、少なくとも前記サブバッテリーを駆動電源として前記複数種の除霜手段のうちの一部のみに各々の除霜機能を実行させる請求項1に記載の車両用除霜装置。
【請求項4】
前記除霜手段のうちの一部に除霜機能を実行させる場合、それらから除かれる除霜手段は、前記除霜機能とは異なる別機能を実行可能な多機能装置である請求項3に記載の車両用除霜装置。
【請求項5】
前記除霜制御手段は、前記内燃機関の停止時において前記第一除霜タイミングとなった時に、前記霜検出手段により着霜が検出された場合には、少なくとも前記サブバッテリーを駆動電源として、前記第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜手段よりも多数の除霜手段、又は全ての除霜手段に各々の除霜機能を実行させる請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用除霜装置。
【請求項6】
前記除霜制御手段は、前記内燃機関の停止時において前記第一除霜タイミングとなった時に、前記霜検出手段により着霜が検出された場合には、前記車載バッテリーと前記サブバッテリーの双方を駆動電源として、前記第二除霜タイミング時に除霜機能を実行した除霜手段よりも多数の除霜手段、又は全ての除霜手段に各々の除霜機能を実行させる請求項5に記載の車両用除霜装置。
【請求項7】
前記窓ガラスの着霜レベルを特定又は推定可能な着霜レベル反映情報を取得する着霜レベル反映情報取得手段と、
前記内燃機関の停止時に前記除霜手段による除霜機能が実行されている際に、取得された着霜レベル反映情報に基づいて、前記着霜レベルが予め定められた基準レベルを下回ったと判定された場合には、除霜機能実行中の前記除霜手段の駆動電源を、前記サブバッテリーのみに強制的に切り替える駆動電源切替手段と、
を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用除霜装置。
【請求項8】
前記着霜レベル反映情報取得手段は、前記着霜レベル反映情報として車室内温度を検出する車室内温度検出手段であり、
前記駆動電源切替手段は、前記内燃機関の停止時に前記除霜手段による除霜機能が実行されている際に、検出された前記車室内温度が予め定められた基準温度を上回った場合に、除霜機能実行中の前記除霜手段の駆動電源を、前記サブバッテリーのみに強制的に切り替えるものである請求項7に記載の車両用除霜装置。
【請求項9】
実行中の除霜機能を強制停止させるための強制停止要求信号を無線受信する受信手段と、
前記強制停止要求信号を受信した場合に、実行中の除霜機能を強制停止させる強制停止手段と、を備える請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の車両用除霜装置。
【請求項10】
いずれかの前記除霜手段による除霜機能の実行中に、除霜機能が実行中であることを示す除霜実行情報を、予め定められた可搬型携帯装置に無線送信する送信手段を備えるとともに、
前記可搬型携帯装置は、前記除霜実行情報を無線受信する受信手段と、前記除霜実行情報の無線受信に伴い前記除霜機能が実行されていることを報知する報知手段と、を備える請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両用除霜装置。
【請求項11】
請求項9に記載の要件を備え、前記可搬型携帯装置は、予め定められた強制停止操作部が操作されるに伴い前記強制停止要求信号を前記車両に無線送信する送信手段を備える請求項10に記載の車両用除霜装置。
【請求項12】
前記除霜制御手段により前記除霜手段に対し除霜機能の実行が指示された際に、指示された除霜手段において除霜機能が正常実行されているか否かを判定するためのフェール判定情報を取得するフェール判定情報取得手段と、
取得したフェール判定情報に基づいて、前記除霜手段における除霜機能が正常実行されているか否かを判定するフェール判定手段と、
除霜機能が正常実行していないと判定された場合に、実行中の除霜機能を強制停止させるフェール時停止手段と、を備える請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の車両用除霜装置。
【請求項13】
ユーザーによる予め定められた設定入力操作に基づいて、前記除霜タイミングを設定する除霜タイミング設定手段を備える請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の車両用除霜装置。
【請求項14】
前記除霜タイミングは、前記除霜機能を実行する実行開始日時を示す実行開示日時情報である請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の車両用除霜装置。
【請求項15】
前記車両の現在位置を特定する車両現在位置特定手段と、
前記車両のイグニッションスイッチのOFFを特定するIGスイッチ状態特定手段と、
特定された前記車両の現在位置が予め定められたエリア内にあり、なおかつ前記イグニッションスイッチがOFFと特定された場合に、当該車両の予め定められた表示部に、設定された前記実行開始日時を表示する設定情報表示手段と、
を備える請求項13又は請求項14に記載の車両用除霜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−39841(P2013−39841A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175919(P2011−175919)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(390001812)アンデン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】