車両用電力変換装置
【課題】
電力変換装置を使用して動力を得る車両において、歩行者接近時に一般の内燃機関車に比べ、騒音レベルが低すぎて歩行者が感知できないという問題が発生している。音を発生させることにより、車両接近時に歩行者が感知できる程度の音を車両から発生させる必要がある。また、新たな機器の追加なしに実現できる手法が望ましい。
【解決手段】
パルス幅変調を用いた電圧型電力変換装置において、歩行者が自動車の近くにいる際に電気機器を動作させる電力変換装置のスイッチング周波数を低下させ、動作音の周波数を可聴周波数帯域まで下げることにより、人間に感知させる。
電力変換装置を使用して動力を得る車両において、歩行者接近時に一般の内燃機関車に比べ、騒音レベルが低すぎて歩行者が感知できないという問題が発生している。音を発生させることにより、車両接近時に歩行者が感知できる程度の音を車両から発生させる必要がある。また、新たな機器の追加なしに実現できる手法が望ましい。
【解決手段】
パルス幅変調を用いた電圧型電力変換装置において、歩行者が自動車の近くにいる際に電気機器を動作させる電力変換装置のスイッチング周波数を低下させ、動作音の周波数を可聴周波数帯域まで下げることにより、人間に感知させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載される電力変換装置に関するもので、特に歩行者に対し自動車の接近を知らせるものである。
【背景技術】
【0002】
図2〜図5を用いて従来技術を説明する。
【0003】
電気自動車やハイブリッド自動車、鉄道車両をはじめとする車両に搭載される電力変換装置10は、図2のように、直流電源16と、その直流電圧をインバータ回路やチョッパ回路などの電力変換回路3を用いて任意の電圧、周波数に変換し負荷4たる電動機等の電気機器を駆動する構成が一般的である。
【0004】
電力変換装置はパルス幅変調制御を用いている。パルス幅変調制御では図3にしめす三角波キャリアと電圧指令の比較によって任意の周波数、電圧を得るものである。この三角波キャリアは一般的に数100Hzから数10kHzである。
【0005】
図4に一般的な電圧型電力変換器のブロック図を示す。キャリア周波数指令fcはキャリア生成器5に入力され、三角波を生成する。生成された三角波はU,V,W相各相のキャリア比較器6に入力し、各相の電圧指令VU,VV,VWと比較し、三角波より指令値が低ければ0を、三角波より指令値が高ければ1を、電力変換回路3に入力する。電力変換回路3は負荷4にキャリア指令が1ならば直流電源のhigh側電圧、0ならばlow側の電圧を出力する。このため、出力電圧には三角波キャリアの周波数成分が含まれる。
【0006】
一般的な電力変換装置は図3に示す三角波キャリア比較によって駆動される。出力される電流にはこの三角波キャリア周波数の成分が含まれる。これにより車両駆動システムの電動機やリアクトルから三角波キャリア周波数成分の音が発生する。たとえば特許文献1の電力変換装置もこの方式で駆動されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−130599
【特許文献2】特開平7−205753
【特許文献3】特開2009−142017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電力変換装置を使用して動力を得る車両において、歩行者接近時に一般の内燃機関車に比べ、騒音レベルが低すぎて歩行者が感知できないという問題が発生している。特に、聴覚の落ちている高齢者や聴覚障害者ではこの問題が顕著となる。
【0009】
この課題に対し、たとえば特許文献2のように対策を行う例がある。図5に示すように車体7が歩行者9に接近した際、歩行者検知装置1を用いて警告装置8で警報音を発生させている。ここでいう歩行者検知装置には運転者を含む。
【0010】
しかし、このような方法では警告システムを新たに搭載しなければならない。警告システムは常に電力を消費するため警告システムなしの車両よりもエネルギー効率が低下する。また発音機等を搭載するための追加費用が発生する。
【0011】
また、特許文献3のように、車体外に警告システムを設置し走行時の風圧によって動作させる例もある。この方法では、車両の空気抵抗が増加し、エネルギー効率を低下させる。また、これも警告システムを搭載するための追加費用が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明によれば、車両に搭載されたパルス幅変調を用いた電圧型電力変換装置において、歩行者が自動車の近くにいる際及び車速が基準より低い際の双方または少なくとも一方を満たした際に、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記車両用電力変換装置において、近くにいる歩行者を検知する手段を設け、検知信号を車両用電力変換装置に入力することにより、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項1の車両用電力変換装置において、車両の走行速度が基準より低い際に車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0015】
請求項4の発明によれば、三角波キャリア比較によって電力変換装置のスイッチング指令を生成する請求項1から請求項3いずれかの車両用電力変換装置において、三角波キャリアの周波数を低下させることによりスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0016】
請求項5の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、電力変換装置はインバータ回路であり、交流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【0017】
請求項6の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、電力変換装置はチョッパ回路であり、直流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置。
【0018】
請求項7の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に整流用リアクトルが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【0019】
請求項8の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に昇降圧用リアクトルが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【0020】
請求項9の発明によれば、請求項4の車両用電力変換装置において、電動機を用いて車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【0021】
請求項10の発明によれば、請求項4の車両用電力変換装置において、電動機と内燃機関を併用して車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【発明の効果】
【0022】
警告音を発生させる新たなハードウェアを追加することなしに、歩行者が感知できる音の発生が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の車両用電力変換装置の一例である。
【図2】通常の車両用電動機駆動装置の一例である。
【図3】三角波キャリア比較によるスイッチング指令生成の一例である。
【図4】一般的な電圧型電力変換装置のブロック図の一例である。
【図5】従来技術による歩行者検知の説明する図である
【図6】実施例1における歩行者が車両に接近した際の動作の一例である。
【図7】実施例1におけるキャリア周波数を低下させる動作の説明である。
【図8】実施例2における車両用電力変換装置の一例である。
【図9】実施例3におけるモータドライブシステムの一例を説明する図である。
【図10】実施例4において電気自動車の一例を説明する図である。
【図11】実施例5においてハイブリッド車の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好適な実施態様を以下の実施例を用いて説明する。なお、本発明の実施形態は電力のみを用いる純電気車両でもよく、内燃機関等を併用するハイブリッド車両でもよい。
【実施例1】
【0025】
図1、6、7を参照し、請求項1、2、4の発明の実施例1を示す。ただし、従来の技術と同一の部分は省略する。
【0026】
図6に歩行者が車両に接近した際の動作例を示す。車両7に歩行者9が接近すると歩行者検知装置1が電力変換装置10に適切な検知信号を与える。歩行者検知装置1は例えば従来車両等に搭載されているソナーや画像認識装置等を用いることができる。
【0027】
図1に歩行者検知装置が接続された電力変換装置のブロック図を示す。
【0028】
歩行者検知装置1から指令された信号は、キャリア周波数指令器2に入力される。ここでキャリア周波数指令器2はキャリア生成器5に指令するキャリア周波数指令を、可聴周波数20Hz〜15000Hzのうち人間の耳に十分聞こえる周波数、例えば1000Hz以下の周波数に落とす。
【0029】
図7にキャリア周波数を低下させる一例を示す。
【0030】
キャリア周波数f1は通常状態のキャリア周波数である。一般にこの周波数は1000Hz程度から数10kHzである。歩行者を検知するとスイッチング周波数は可聴周波数帯帯域であるf2に低下する。
【0031】
従来技術で示したように、パルス幅変調を利用した電圧型電力変換装置ではキャリア周波数成分の騒音が出ることが知られている。またキャリア周波数が低い方が発生する音は大きくなる。従って、キャリア周波数をf1からf2に低下させることによって、人間の耳に十分聞こえる音を車両から発生させ、歩行者に車両の接近を感知させることが可能である。
【実施例2】
【0032】
図8を用いて請求項3の発明の実施例2を説明する。実施例1と同一部分は省略する。
【0033】
図8を用いて、車両の速度が基準より下がった場合の実施例を説明する。車両が歩行者に近づいたことにより運転者がブレーキを踏み速度が下がる。ブレーキを踏み速度が基準より低くなったことを速度検知装置11が検知する。検知信号をキャリア周波数指令器2に送り、キャリア周波数指令器はキャリア周波数指令を人間の耳に十分聞こえる範囲の周波数に落とす。これにより、歩行者に車両の接近を感知させることが可能である。
【実施例3】
【0034】
図9を用いて請求項5〜8の発明の実施例3を示す。実施例1,2と同一の部分は省略する。
【0035】
図9はチョッパ回路12とインバータ回路14、電動機15からなるモータドライブの図である。リアクトル13は昇圧チョッパのリアクトルである。
【0036】
チョッパ回路12が動作すると、リアクトル13が振動し、音を発生させる。このとき発生する音の周波数はチョッパ回路12のスイッチング周波数成分なので、周波数が低下した場合、人間に感知できる高さの音が発生する。
【0037】
次にインバータ回路14が動作すると、電動機15や、インバータ回路14内の平滑用リアクトルが振動し、音を発生させる。このとき発生する音の周波数はインバータ回路14のスイッチング周波数成分なので、周波数が低下した場合、人間に感知できる高さの音が発生する。
【実施例4】
【0038】
図10を用いて請求項9の実施例4を示す。実施例1〜3と同一の部分は省略する。
【0039】
図10は純電気車のシステム図である。インバータ等の電力変換装置10と電動機15等の電気機器によって動作するシステムなので実施例1〜3が適用できる。
【実施例5】
【0040】
図11を用いて請求項10の実施例5を示す。実施例1〜4と同一の部分は省略する。
【0041】
図11は電気動力と内燃機関を併用するハイブリッド車の一例のシステム図である。インバータ等の電力変換装置10と電動機15等の電気機器によって動作するシステムなので実施例1〜3が適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は電気車両の電力変換装置に有効である。また、既存の車両のハードウェアの追加なしに実現できるため極めて有効性が高い。
【符号の説明】
【0043】
1 歩行者検知装置
2 キャリア周波数指令器
3 電力変換回路
4 負荷
5 キャリア生成器
6 キャリア比較器
7 車両
8 警告発生装置
9 歩行者
10 電力変換装置
11 速度検知装置
12 チョッパ回路
13 リアクトル
14 インバータ回路
15 電動機
16 直流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載される電力変換装置に関するもので、特に歩行者に対し自動車の接近を知らせるものである。
【背景技術】
【0002】
図2〜図5を用いて従来技術を説明する。
【0003】
電気自動車やハイブリッド自動車、鉄道車両をはじめとする車両に搭載される電力変換装置10は、図2のように、直流電源16と、その直流電圧をインバータ回路やチョッパ回路などの電力変換回路3を用いて任意の電圧、周波数に変換し負荷4たる電動機等の電気機器を駆動する構成が一般的である。
【0004】
電力変換装置はパルス幅変調制御を用いている。パルス幅変調制御では図3にしめす三角波キャリアと電圧指令の比較によって任意の周波数、電圧を得るものである。この三角波キャリアは一般的に数100Hzから数10kHzである。
【0005】
図4に一般的な電圧型電力変換器のブロック図を示す。キャリア周波数指令fcはキャリア生成器5に入力され、三角波を生成する。生成された三角波はU,V,W相各相のキャリア比較器6に入力し、各相の電圧指令VU,VV,VWと比較し、三角波より指令値が低ければ0を、三角波より指令値が高ければ1を、電力変換回路3に入力する。電力変換回路3は負荷4にキャリア指令が1ならば直流電源のhigh側電圧、0ならばlow側の電圧を出力する。このため、出力電圧には三角波キャリアの周波数成分が含まれる。
【0006】
一般的な電力変換装置は図3に示す三角波キャリア比較によって駆動される。出力される電流にはこの三角波キャリア周波数の成分が含まれる。これにより車両駆動システムの電動機やリアクトルから三角波キャリア周波数成分の音が発生する。たとえば特許文献1の電力変換装置もこの方式で駆動されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−130599
【特許文献2】特開平7−205753
【特許文献3】特開2009−142017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電力変換装置を使用して動力を得る車両において、歩行者接近時に一般の内燃機関車に比べ、騒音レベルが低すぎて歩行者が感知できないという問題が発生している。特に、聴覚の落ちている高齢者や聴覚障害者ではこの問題が顕著となる。
【0009】
この課題に対し、たとえば特許文献2のように対策を行う例がある。図5に示すように車体7が歩行者9に接近した際、歩行者検知装置1を用いて警告装置8で警報音を発生させている。ここでいう歩行者検知装置には運転者を含む。
【0010】
しかし、このような方法では警告システムを新たに搭載しなければならない。警告システムは常に電力を消費するため警告システムなしの車両よりもエネルギー効率が低下する。また発音機等を搭載するための追加費用が発生する。
【0011】
また、特許文献3のように、車体外に警告システムを設置し走行時の風圧によって動作させる例もある。この方法では、車両の空気抵抗が増加し、エネルギー効率を低下させる。また、これも警告システムを搭載するための追加費用が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明によれば、車両に搭載されたパルス幅変調を用いた電圧型電力変換装置において、歩行者が自動車の近くにいる際及び車速が基準より低い際の双方または少なくとも一方を満たした際に、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記車両用電力変換装置において、近くにいる歩行者を検知する手段を設け、検知信号を車両用電力変換装置に入力することにより、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項1の車両用電力変換装置において、車両の走行速度が基準より低い際に車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0015】
請求項4の発明によれば、三角波キャリア比較によって電力変換装置のスイッチング指令を生成する請求項1から請求項3いずれかの車両用電力変換装置において、三角波キャリアの周波数を低下させることによりスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【0016】
請求項5の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、電力変換装置はインバータ回路であり、交流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【0017】
請求項6の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、電力変換装置はチョッパ回路であり、直流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置。
【0018】
請求項7の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に整流用リアクトルが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【0019】
請求項8の発明によれば、請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に昇降圧用リアクトルが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【0020】
請求項9の発明によれば、請求項4の車両用電力変換装置において、電動機を用いて車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【0021】
請求項10の発明によれば、請求項4の車両用電力変換装置において、電動機と内燃機関を併用して車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【発明の効果】
【0022】
警告音を発生させる新たなハードウェアを追加することなしに、歩行者が感知できる音の発生が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の車両用電力変換装置の一例である。
【図2】通常の車両用電動機駆動装置の一例である。
【図3】三角波キャリア比較によるスイッチング指令生成の一例である。
【図4】一般的な電圧型電力変換装置のブロック図の一例である。
【図5】従来技術による歩行者検知の説明する図である
【図6】実施例1における歩行者が車両に接近した際の動作の一例である。
【図7】実施例1におけるキャリア周波数を低下させる動作の説明である。
【図8】実施例2における車両用電力変換装置の一例である。
【図9】実施例3におけるモータドライブシステムの一例を説明する図である。
【図10】実施例4において電気自動車の一例を説明する図である。
【図11】実施例5においてハイブリッド車の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好適な実施態様を以下の実施例を用いて説明する。なお、本発明の実施形態は電力のみを用いる純電気車両でもよく、内燃機関等を併用するハイブリッド車両でもよい。
【実施例1】
【0025】
図1、6、7を参照し、請求項1、2、4の発明の実施例1を示す。ただし、従来の技術と同一の部分は省略する。
【0026】
図6に歩行者が車両に接近した際の動作例を示す。車両7に歩行者9が接近すると歩行者検知装置1が電力変換装置10に適切な検知信号を与える。歩行者検知装置1は例えば従来車両等に搭載されているソナーや画像認識装置等を用いることができる。
【0027】
図1に歩行者検知装置が接続された電力変換装置のブロック図を示す。
【0028】
歩行者検知装置1から指令された信号は、キャリア周波数指令器2に入力される。ここでキャリア周波数指令器2はキャリア生成器5に指令するキャリア周波数指令を、可聴周波数20Hz〜15000Hzのうち人間の耳に十分聞こえる周波数、例えば1000Hz以下の周波数に落とす。
【0029】
図7にキャリア周波数を低下させる一例を示す。
【0030】
キャリア周波数f1は通常状態のキャリア周波数である。一般にこの周波数は1000Hz程度から数10kHzである。歩行者を検知するとスイッチング周波数は可聴周波数帯帯域であるf2に低下する。
【0031】
従来技術で示したように、パルス幅変調を利用した電圧型電力変換装置ではキャリア周波数成分の騒音が出ることが知られている。またキャリア周波数が低い方が発生する音は大きくなる。従って、キャリア周波数をf1からf2に低下させることによって、人間の耳に十分聞こえる音を車両から発生させ、歩行者に車両の接近を感知させることが可能である。
【実施例2】
【0032】
図8を用いて請求項3の発明の実施例2を説明する。実施例1と同一部分は省略する。
【0033】
図8を用いて、車両の速度が基準より下がった場合の実施例を説明する。車両が歩行者に近づいたことにより運転者がブレーキを踏み速度が下がる。ブレーキを踏み速度が基準より低くなったことを速度検知装置11が検知する。検知信号をキャリア周波数指令器2に送り、キャリア周波数指令器はキャリア周波数指令を人間の耳に十分聞こえる範囲の周波数に落とす。これにより、歩行者に車両の接近を感知させることが可能である。
【実施例3】
【0034】
図9を用いて請求項5〜8の発明の実施例3を示す。実施例1,2と同一の部分は省略する。
【0035】
図9はチョッパ回路12とインバータ回路14、電動機15からなるモータドライブの図である。リアクトル13は昇圧チョッパのリアクトルである。
【0036】
チョッパ回路12が動作すると、リアクトル13が振動し、音を発生させる。このとき発生する音の周波数はチョッパ回路12のスイッチング周波数成分なので、周波数が低下した場合、人間に感知できる高さの音が発生する。
【0037】
次にインバータ回路14が動作すると、電動機15や、インバータ回路14内の平滑用リアクトルが振動し、音を発生させる。このとき発生する音の周波数はインバータ回路14のスイッチング周波数成分なので、周波数が低下した場合、人間に感知できる高さの音が発生する。
【実施例4】
【0038】
図10を用いて請求項9の実施例4を示す。実施例1〜3と同一の部分は省略する。
【0039】
図10は純電気車のシステム図である。インバータ等の電力変換装置10と電動機15等の電気機器によって動作するシステムなので実施例1〜3が適用できる。
【実施例5】
【0040】
図11を用いて請求項10の実施例5を示す。実施例1〜4と同一の部分は省略する。
【0041】
図11は電気動力と内燃機関を併用するハイブリッド車の一例のシステム図である。インバータ等の電力変換装置10と電動機15等の電気機器によって動作するシステムなので実施例1〜3が適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は電気車両の電力変換装置に有効である。また、既存の車両のハードウェアの追加なしに実現できるため極めて有効性が高い。
【符号の説明】
【0043】
1 歩行者検知装置
2 キャリア周波数指令器
3 電力変換回路
4 負荷
5 キャリア生成器
6 キャリア比較器
7 車両
8 警告発生装置
9 歩行者
10 電力変換装置
11 速度検知装置
12 チョッパ回路
13 リアクトル
14 インバータ回路
15 電動機
16 直流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたパルス幅変調を用いた電圧型電力変換装置において、歩行者が自動車の近くにいる際及び車速が基準より低い際の双方または少なくとも一方を満たした際に、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項2】
請求項1の車両用電力変換装置において、近くにいる歩行者を検知する手段を設け、検知信号を車両用電力変換装置に入力することにより、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項3】
請求項1の車両用電力変換装置において、車両の走行速度が基準より低い際に車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項4】
三角波キャリア比較によって電力変換装置のスイッチング指令を生成する請求項1から請求項3いずれかの車両用電力変換装置において、三角波キャリアの周波数を低下させることによりスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、車両用電力変換装置はインバータ回路であり、交流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【請求項6】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、車両用電力変換装置はチョッパ回路であり、直流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に整流用リアクトルが接続されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に昇降圧用リアクトルが接続されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項9】
請求項4の車両用電力変換装置において、電動機を用いて車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【請求項10】
請求項4の車両用電力変換装置において、電動機と内燃機関を併用して車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【請求項1】
車両に搭載されたパルス幅変調を用いた電圧型電力変換装置において、歩行者が自動車の近くにいる際及び車速が基準より低い際の双方または少なくとも一方を満たした際に、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項2】
請求項1の車両用電力変換装置において、近くにいる歩行者を検知する手段を設け、検知信号を車両用電力変換装置に入力することにより、車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項3】
請求項1の車両用電力変換装置において、車両の走行速度が基準より低い際に車両用電力変換装置のスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項4】
三角波キャリア比較によって電力変換装置のスイッチング指令を生成する請求項1から請求項3いずれかの車両用電力変換装置において、三角波キャリアの周波数を低下させることによりスイッチング周波数を低下させることを特徴とした車両用電力変換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、車両用電力変換装置はインバータ回路であり、交流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【請求項6】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置において、車両用電力変換装置はチョッパ回路であり、直流電動機を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に整流用リアクトルが接続されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかの車両用電力変換装置に昇降圧用リアクトルが接続されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項9】
請求項4の車両用電力変換装置において、電動機を用いて車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【請求項10】
請求項4の車両用電力変換装置において、電動機と内燃機関を併用して車両を駆動することを特徴とする車両用電力変換装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−109883(P2011−109883A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265287(P2009−265287)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
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