説明

車両用電源装置

【課題】補助電源からの給電時に、熱損失を低減できる車両用電源装置の提供。
【解決手段】車載発電機1又はバッテリ4により充電される蓄電器10を備え、車載発電機1、バッテリ4又は蓄電器10により車載負荷群14〜17に給電するように構成してある車両用電源装置。バッテリ4及び車載負荷群14〜17間に接続された第1スイッチ回路SW1と、蓄電器10及び車載負荷群14〜17間に接続された第2スイッチ回路SW2と、バッテリ4及び蓄電器10の出力電圧値を比較する手段(9)と、その比較結果が、バッテリ4(蓄電器10)の方が高いときは、第1スイッチ回路SW1をオン(オフ)に、第2スイッチ回路SW2をオフ(オン)に切替える手段9とを備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載発電機又はバッテリにより充電される補助電源としての蓄電器を備え、車載発電機、バッテリ又は蓄電器により車載負荷群に給電するように構成してある車両用電源装置、特に、アイドリング時にエンジンを停止させるアイドルストップ車に好適に使用される車両用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃費を向上させる為に、また、環境への配慮から、停車時にアイドリングを停止するアイドルストップを行なう車両が増加しつつある。このような車両では、従来の車両に比べて頻繁にエンジンを始動させるので、エンジンを始動させるスタータの電源が重要である。エンジンを始動させる際、スタータが大電流を消費する為、車両用電源装置の電圧が一時的に低下する。電圧が一時的に低下すると、ナビゲーション装置及びECU(Electronic Control Unit)等の電気負荷の電圧も低下し、動作が不安定になる等の可能性があった。
その為、バッテリ(主電源)に補助電源としてバックアップバッテリ又は電気二重層キャパシタを並列に接続して、補助電源からの放電によりスタータの駆動を補助させることが考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、メインバッテリ(主電源)とは別にバックアップバッテリ(補助電源)を搭載し、主電源の給電系統の故障時(主電源の低電圧時)に、ダイオードの電圧降下を利用して、補助電源からの給電に切替える車両の給電回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−282844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したように、主電源の低電圧時に、ダイオードの電圧降下を利用して、補助電源からの給電に切替えると、ダイオードの電圧降下分(0.6V程度)は熱として消費され損失となる為、負荷電流の増加に伴い発熱に対する対策が複雑になるという問題がある。
また、補助電源として使用されるバッテリ及び電気二重層キャパシタでは、印加電圧(充電電圧)を高くすると、寿命が短くなる特性を有するという問題もある。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、補助電源からの給電時に、熱損失を低減できる車両用電源装置を提供することを目的とする。
本発明は、また、補助電源からの給電時に、熱損失を低減でき、補助電源の充電時に、充電電圧を適正に保つことができる車両用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る車両用電源装置は、車載発電機又はバッテリにより充電される蓄電器を備え、前記車載発電機、バッテリ又は蓄電器により車載負荷群に給電するように構成してある車両用電源装置において、前記バッテリ及び車載負荷群間に接続された第1スイッチ回路と、前記蓄電器及び車載負荷群間に接続された第2スイッチ回路と、前記バッテリ及び蓄電器の出力電圧値を比較する手段と、該手段の比較結果が、前記バッテリ(蓄電器)の方が高いときは、前記第1スイッチ回路をオン(オフ)に、前記第2スイッチ回路をオフ(オン)に切替える手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この車両用電源装置では、蓄電器が車載発電機又はバッテリにより充電され、車載発電機、バッテリ又は蓄電器により車載負荷群に給電する。第1スイッチ回路が、バッテリ及び車載負荷群間に接続され、第2スイッチ回路が、蓄電器及び車載負荷群間に接続されている。比較する手段が、バッテリ及び蓄電器の出力電圧値を比較し、その比較結果が、バッテリ(蓄電器)の方が高いときは、切替える手段が、第1スイッチ回路をオン(オフ)に、第2スイッチ回路をオフ(オン)に切替える。
【0009】
第2発明に係る車両用電源装置は、前記第1スイッチ回路及び第2スイッチ回路は、それぞれPチャネルMOS型FETを備え、該FETは、ドレインが前記バッテリ又は蓄電器側に、ソースが前記負荷群側に接続されていることを特徴とする。
【0010】
この車両用電源装置では、第1スイッチ回路及び第2スイッチ回路は、それぞれPチャネルMOS型FETを備えており、これらのFETは、通常の接続方向とは逆に、それぞれドレインがバッテリ又は蓄電器側に、ソースが負荷群側に接続されている。
【0011】
第3発明に係る車両用電源装置は、前記蓄電器の充電電圧値を制御する充電電圧制御回路を更に備え、該充電電圧制御回路は、前記バッテリ及び蓄電器間に接続された第1抵抗と、第2抵抗及び第3スイッチ回路が直列に接続され、前記蓄電器に並列接続された直列回路と、前記充電電圧値及び所定電圧値を比較する手段とを有し、該手段が充電電圧値の方が高いと判定したときは、前記第3スイッチ回路をオフにするように構成してあることを特徴とする。
【0012】
この車両用電源装置では、充電電圧制御回路が、蓄電器の充電電圧値を制御する。充電電圧制御回路は、第1抵抗が、バッテリ及び蓄電器間に接続され、第2抵抗及び第3スイッチ回路が直列に接続された直列回路が、蓄電器に並列接続されている。比較する手段が、充電電圧値及び所定電圧値を比較し、充電電圧値の方が高いと判定したときは、第3スイッチ回路をオフにする。
【0013】
第4発明に係る車両用電源装置は、前記蓄電器の充電電圧値を制御する充電電圧制御回路を更に備え、該充電電圧制御回路は、前記バッテリ及び蓄電器間に接続された第1抵抗と、第3抵抗及び電流増幅回路が直列に接続され、前記蓄電器に並列接続された第2直列回路と、前記充電電圧値を検出する手段とを有し、該手段が検出した充電電圧値の高低に応じて、前記電流増幅回路の増幅率を増減するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
この車両用電源装置では、充電電圧制御回路が、蓄電器の充電電圧値を制御する。充電電圧制御回路は、第1抵抗が、バッテリ及び蓄電器間に接続され、第3抵抗及び電流増幅回路が直列に接続された第2直列回路が、蓄電器に並列接続されている。検出する手段が充電電圧値を検出し、検出した充電電圧値の高低に応じて、電流増幅回路の増幅率を増減する。
【0015】
第5発明に係る車両用電源装置は、前記蓄電器の充電電圧値を制御する充電電圧制御回路を更に備え、該充電電圧制御回路は、前記バッテリ及び蓄電器間に接続された第1抵抗と、該第1抵抗及び蓄電器間に接続された第4スイッチ回路と、前記充電電圧値及び所定電圧値を比較する手段とを有し、該手段が充電電圧値の方が高いと判定したときは、前記第4スイッチ回路をオフにするように構成してあることを特徴とする。
【0016】
この車両用電源装置では、充電電圧制御回路が、蓄電器の充電電圧値を制御する。充電電圧制御回路は、第1抵抗が、バッテリ及び蓄電器間に接続され、第4スイッチ回路が、第1抵抗及び蓄電器間に接続されている。比較する手段が、充電電圧値及び所定電圧値を比較し、充電電圧値の方が高いと判定したときは、第4スイッチ回路をオフにする。
【発明の効果】
【0017】
第1,2発明に係る車両用電源装置によれば、補助電源からの給電時に、熱損失を低減できる車両用電源装置を実現することができる。
【0018】
第3〜5発明に係る車両用電源装置によれば、補助電源からの給電時に、熱損失を低減でき、補助電源の充電時に、充電電圧を適正に保つことができる車両用電源装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る車両用電源装置の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す補助電源モジュールの構成例を詳細に示すブロック図である。
【図3】図2に示すスイッチ制御回路及びスイッチ回路の構成例を詳細に示すブロック図である。
【図4】本発明に係る車両用電源装置の実施の形態が備える補助電源モジュールの構成例を詳細に示すブロック図である。
【図5】図4に示す制御回路及び電流増幅回路の構成例を詳細に示す回路図である。
【図6】図4に示す制御回路及び電流増幅回路による充電制御回路の出力電圧と補助電源の充電電圧との特性を示す特性図である。
【図7】本発明に係る車両用電源装置の実施の形態が備える補助電源モジュールの構成例を詳細に示すブロック図である。
【図8】図7に示すスイッチ制御回路及びスイッチ回路の構成例を詳細に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る車両用電源装置の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。
この車両用電源装置は、図示しないエンジンに連動してオルタネータ(車載発電機、交流発電機)1が発電する。発電された電力は、オルタネータ1内で直流に変換され、電気接続箱3内のヒューズ、アクセサリスイッチ6、イグニッションスイッチ7等を経由して、バッテリ(主電源、鉛蓄電池)4及び車両に搭載された負荷群に与えられる。また、発電され変換された電力は、電気接続箱3内のヒューズのみを経由して、他の負荷群に与えられる。
【0021】
バッテリ4(オルタネータ1)からヒューズを経由しスイッチ類を経由しない電線が、充電制御回路8に接続されている。また、バッテリ4(オルタネータ1)からヒューズを経由しスイッチ類を経由しない他の電線が、アイドルストップECU12の一方の端子に接続され、他方の端子からの信号線が、充電制御回路8に接続されている。
アクセサリスイッチ6及びイグニッションスイッチ7の各オン/オフ情報が、各信号線経由で充電制御回路8に与えられる。充電制御回路8は、与えられたイグニッションスイッチ7のオン/オフ情報を信号線経由でアイドルストップECU12に与える。アイドルストップECU12は、エンジンのアイドリングを検知すると、エンジンを停止させる。
バッテリ4からヒューズを経由しない電線がスタータ2に接続されている。
【0022】
充電制御回路8には、バッテリ4(オルタネータ1)の出力電圧が印加される電線28と、補助電源10の出力電圧(充電電圧)が印加される電線29とが接続されている。電線29には、充電制御回路8内で、逆流防止回路経由でバッテリ4(オルタネータ1)の出力電圧が与えられる。
電線28は、スイッチ回路SW1を通じて出力切替回路11に接続され、電線29は、スイッチ回路SW2を通じて出力切替回路11に接続され、両電線28,29は、出力切替回路11の同じ端子に接続されている。
補助電源10は、例えば、複数の電気二重層キャパシタを備えている。
【0023】
電線28,29にそれぞれ接続された切替回路9が、スイッチ回路SW1,SW2をそれぞれオン/オフ制御する。
出力切替回路11は、ヒューズ機能及び断線検知機能を有し、アクセサリスイッチ6及びイグニッションスイッチ7の各オン/オフ情報が、図示しない信号線経由で与えられ、バッテリ4、オルタネータ1又は補助電源10の出力電圧を出力する。出力切替回路11には、アクセサリスイッチ6のオン/オフ状態に従って出力電圧がオン/オフされる出力端子、イグニッションスイッチ7のオン/オフ状態に従って出力電圧がオン/オフされる出力端子、及びスイッチ類に関係なく出力電圧がオンされている出力端子が設けられている。各出力端子は、それぞれECUA14,ECUB15,ECUC16,ECUD17(車載負荷群)の何れかに接続されている。
【0024】
充電制御回路8、補助電源10、電線28,29、切替回路9、スイッチ回路SW1,SW2及び出力切替回路11は、補助電源モジュール13を構成している。
このような構成の車両用電源装置では、切替回路9が、電線28,29の各印加電圧を比較し、電線28の印加電圧の方が高いときは、スイッチ回路SW1をオンに、スイッチ回路SW2をオフに切替え、電線29の印加電圧の方が高いときは、スイッチ回路SW1をオフに、スイッチ回路SW2をオンに切替える。
【0025】
図2は、図1に示す補助電源モジュール13の構成例を詳細に示すブロック図である。
この補助電源モジュール13は、電線28の印加電圧が分圧回路22で分圧された電圧が、抵抗R6経由でオペアンプ21の非反転入力端子に与えられ、電線29の印加電圧が分圧回路23で分圧された電圧が、抵抗R5経由でオペアンプ21の反転入力端子に与えられる。オペアンプ21は正帰還がかけられ比較回路を構成している。
【0026】
オペアンプ21(比較回路)の出力端子は、NチャネルMOS型FET20aのゲートに接続されている。FET(電界効果トランジスタ)20aのソースは接地され、ドレインは、NチャネルMOS型FET20bのゲートと、抵抗R2を通じてPチャネルMOS型FET18のゲートとに接続されている。
FET18のドレインは、電線28により充電制御回路8に接続され、ソースは、出力切替回路11に接続されている。FET18のゲート−ソース間に抵抗R1が接続されている。
充電制御回路8からの充電電圧は、電線29により抵抗R7経由で補助電源10に与えられる。
【0027】
FET20bのソースは接地され、ドレインは、抵抗R4を通じてPチャネルMOS型FET19のゲートに接続されている。
FET19のドレインは、電線29により抵抗R7を通じて充電制御回路8に接続され、ソースは、FET18のソースと出力切替回路11に共通接続されている。FET19のゲート−ソース間に抵抗R3が接続されている。
スイッチ制御回路24が補助電源10に並列接続され、抵抗R8及びスイッチ回路SW3の直列回路が、補助電源10に並列接続されている。スイッチ制御回路24は、スイッチ回路SW3をオン/オフ制御する。
FET18,19のソース及びドレインは、それぞれ通常とは逆方向になるように接続されている。
【0028】
このような構成の補助電源モジュール13では、電線28,29の各印加電圧の内、電線28の方が高いときは、オペアンプ21の出力がHレベルとなり、FET20aがオンになる。FET20aがオンになると、FET18は、ゲートがLレベルとなってオンになる。一方、FET20bはオフになり、FET19は、ゲートがHレベルとなってオフになる。これにより、電線28の印加電圧が出力切替回路11に与えられる。
電線28,29の各印加電圧の内、電線29の方が高いときは、オペアンプ21の出力が0(Lレベル、接地電位)となり、FET20aがオフになる。FET20aがオフになると、FET18は、ゲートがHレベルとなってオフになる。一方、FET20bはオンになり、FET19は、ゲートがLレベルとなってオンになる。これにより、電線29の印加電圧が出力切替回路11に与えられる。
【0029】
FET18,19を、ソースを電源側に、ドレインを負荷側にそれぞれ通常通りに接続した場合、主電源側(Vb)/補助電源側(Vc)の出力を切替える際に、両FET18,19がオフになる瞬間、電力供給が不能となる。
そこで、FET18,19のドレイン及びソースを通常とは逆方向に接続することにより、両FET18,19がオフになる瞬間でも、それぞれの寄生ダイオードを通じて電力が供給されるように構成してある。
FET18,19の一方がオンになれば、電流は抵抗の比(数mΩ(寄生ダイオード):0)に応じて流れるので、他方側の寄生ダイオードに流れる電流は無視できるレベルとなる。また、他方側は、ソースがダイオードより高圧となるので、寄生ダイオードに電流が流れるなくなる。
【0030】
スイッチ制御回路24は、補助電源10の充電電圧(出力電圧)を所定電圧と比較し、充電電圧が所定電圧より高いときは、スイッチ回路SW3をオンにする。これにより、抵抗R8に電流が流れて、補助電源10の充電電圧が所定電圧以下に維持される。
【0031】
図3は、図2に示すスイッチ制御回路24及びスイッチ回路SW3の構成例を詳細に示すブロック図である。
このスイッチ制御回路24及びスイッチ回路SW3は、電線29の印加電圧が分圧回路30で分圧された電圧が、抵抗R13経由でオペアンプ32の反転入力端子に与えられ、基準電圧Vrefが分圧回路31で分圧された電圧が、抵抗R12経由でオペアンプ32の非反転入力端子に与えられる。オペアンプ32は正帰還がかけられ比較回路を構成している。
【0032】
オペアンプ32(比較回路)の出力端子は、抵抗R19を通じて基準電圧Vrefにプルアップされ、抵抗R11を通じて、NPN型トランジスタTr1のベースに接続されている。トランジスタTr1のエミッタは接地され、コレクタは、イグニッションスイッチ7経由の電圧が抵抗R14を通じて与えられ、NPN型トランジスタTr2のベースに接続されている。トランジスタTr2のエミッタは接地され、コレクタは抵抗R8を通じて電線29に接続されている。
【0033】
このような構成のスイッチ制御回路24及びスイッチ回路SW3では、電線29に印加された補助電源10の充電電圧の分圧が、基準電圧Vrefを分圧した所定電圧より高いときは、オペアンプ32の出力は0(Lレベル、接地電位)となり、トランジスタTr1はオフになる。その結果、イグニッションスイッチ7がオンであれば、トランジスタTr2がオンになる。これにより、抵抗R8に電流が流れて、補助電源10の充電電圧が所定電圧以下に維持される。
基準電圧Vrefを分圧した所定電圧の方が高いときは、オペアンプ32の出力はHレベルとなり、トランジスタTr1はオンになる。その結果、トランジスタTr2はオフになる。
【0034】
(実施の形態2)
図4は、本発明に係る車両用電源装置の実施の形態2が備える補助電源モジュールの構成例を詳細に示すブロック図である。本発明に係る車両用電源装置の実施の形態2の概略構成は、実施の形態1で説明した概略構成(図1)と同様であるので、説明を省略する。
この補助電源モジュールは、制御回路25が補助電源10に並列接続され、抵抗R9及び電流増幅回路26が直列接続された直列回路が、補助電源10に並列接続されている。制御回路25は、電流増幅回路26の電流増幅率を増減制御する。この補助電源モジュールのその他の構成例は、実施の形態1で説明した補助電源モジュール13の構成例(図2)と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
このような構成の補助電源モジュールでは、制御回路25は、電線29の印加電圧を検出し、検出した印加電圧の高低に応じて、電流増幅回路26の電流増幅率を高低に制御する。この補助電源モジュールのその他の動作は、実施の形態1で説明した補助電源モジュール13の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0036】
図5は、図4に示す制御回路25及び電流増幅回路26の構成例を詳細に示す回路図である。
この制御回路25及び電流増幅回路26は、補助電源10の充電電圧(出力電圧)Vcが、抵抗R15,16からなる分圧回路で分圧され、NPN型トランジスタTr3のベースに与えられる。トランジスタTr3のエミッタは、NPN型トランジスタTr4のベースに接続され、コレクタは、抵抗R9を通じて電線29に接続されている。トランジスタTr4のエミッタは接地され、コレクタは、トランジスタTr3のコレクタに接続されている。トランジスタTr3,Tr4は、ダーリントン接続に構成されている。
【0037】
このような構成の制御回路25及び電流増幅回路26では、ダーリントン接続されたトランジスタTr3,Tr4の合成ベース−エミッタ間電圧Vbeは、各ベース−エミッタ間電圧を加えた、Vbe=Vbe3 +Vbe4 である。トランジスタTr3のベース電流Ib3は、充電制御回路8の出力電圧をVinとすると、Ib3=(Vin−Vbe)/R15となる。
ダーリントン接続されたトランジスタTr3,Tr4の合成電流増幅率hfeは、各合成電流増幅率を積算した、hfe=hfe3 ×hfe4 である。
以上より、抵抗R9に流れる電流Iは、I=hfe3 ×hfe4 ×Ib3となる。
【0038】
ここでは、例えば、hfe3 =400、hfe4 =40として、I=200mA程度の電流を流すようになっている。
充電制御回路8の出力電圧Vinが上昇して所定電圧に近くなると、合成電流増幅率hfeが急速に増大し、抵抗R9に流れる電流Iも急速に増大する。従って、補助電源10の充電電圧Vcは、上昇率が鈍化して、図6に示す特性図のようになり、所定電圧を容易には超えないようになっている。
【0039】
(実施の形態3)
図7は、本発明に係る車両用電源装置の実施の形態3が備える補助電源モジュールの構成例を詳細に示すブロック図である。本発明に係る車両用電源装置の実施の形態3の概略構成は、実施の形態1で説明した概略構成(図1)と同様であるので、説明を省略する。
この補助電源モジュールは、スイッチ制御回路27が補助電源10に並列接続され、抵抗R7及び補助電源10のプラス端子間にスイッチ回路SW4が接続されている。スイッチ制御回路27は、スイッチ回路SW4をオン/オフ制御する。この補助電源モジュールのその他の構成例は、実施の形態1で説明した補助電源モジュール13の構成例(図2)と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
このような構成の補助電源モジュールでは、スイッチ制御回路27は、補助電源10の充電電圧(出力電圧)Vcを検出し、検出した充電電圧Vc及び所定電圧を比較して、充電電圧Vcの方が高いときは、スイッチ回路SW4をオフにする。この補助電源モジュールのその他の動作は、実施の形態1で説明した補助電源モジュール13の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
図8は、図7に示すスイッチ制御回路27及びスイッチ回路SW4の構成例を詳細に示す回路図である。
このスイッチ制御回路27及びスイッチ回路SW4は、補助電源10の充電電圧(出力電圧)Vcが分圧回路33で分圧された電圧が、抵抗R18経由でオペアンプ34の非反転入力端子に与えられ、基準電圧Vrefが抵抗R17経由でオペアンプ34の反転入力端子に与えられる。オペアンプ34は正帰還がかけられ比較回路を構成している。
【0042】
オペアンプ34(比較回路)の出力端子は、PチャネルMOS型FET35のゲートに接続されている。FET35のソースは、抵抗R7の一方の端子に接続され、ドレインは、補助電源10のプラス端子に接続されている。FET35のソース−ゲート間には、抵抗R20が接続されている。
【0043】
このような構成のスイッチ制御回路27及びスイッチ回路SW4では、電線29に印加された補助電源10の充電電圧Vcの分圧が、基準電圧Vrefより高いときは、オペアンプ34の出力はHレベルとなり、FET35はオフになる。その結果、補助電源10の充電電圧Vcは基準電圧以下に維持される。
基準電圧Vrefの方が高いときは、オペアンプ34の出力は0(Lレベル、接地電位)となり、FET35はオンになり、補助電源10が充電される。
【符号の説明】
【0044】
1 オルタネータ(車載発電機、交流発電機)
2 スタータ
4 バッテリ(主電源、鉛蓄電池)
6 アクセサリスイッチ
7 イグニッションスイッチ
8 充電制御回路
9 切替回路(比較する手段、切替える手段)
10補助電源
11 出力切替回路
12 アイドルストップECU
13 補助電源モジュール
14〜17 ECU(車載負荷群)
18,19,35 PチャネルMOS型FET
20a,20b NチャネルMOS型FET
21,32,34 オペアンプ
24,27 スイッチ制御回路
25 制御回路
26 電流増幅回路
28,29電線
SW1〜SW4 スイッチ回路
Tr1〜Tr4 NPN型トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載発電機又はバッテリにより充電される蓄電器を備え、前記車載発電機、バッテリ又は蓄電器により車載負荷群に給電するように構成してある車両用電源装置において、
前記バッテリ及び車載負荷群間に接続された第1スイッチ回路と、前記蓄電器及び車載負荷群間に接続された第2スイッチ回路と、前記バッテリ及び蓄電器の出力電圧値を比較する手段と、該手段の比較結果が、前記バッテリ(蓄電器)の方が高いときは、前記第1スイッチ回路をオン(オフ)に、前記第2スイッチ回路をオフ(オン)に切替える手段とを備えることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
前記第1スイッチ回路及び第2スイッチ回路は、それぞれPチャネルMOS型FETを備え、該FETは、ドレインが前記バッテリ又は蓄電器側に、ソースが前記負荷群側に接続されている請求項1記載の車両用電源装置。
【請求項3】
前記蓄電器の充電電圧値を制御する充電電圧制御回路を更に備え、該充電電圧制御回路は、前記バッテリ及び蓄電器間に接続された第1抵抗と、第2抵抗及び第3スイッチ回路が直列に接続され、前記蓄電器に並列接続された直列回路と、前記充電電圧値及び所定電圧値を比較する手段とを有し、該手段が充電電圧値の方が高いと判定したときは、前記第3スイッチ回路をオフにするように構成してある請求項1又は2記載の車両用電源装置。
【請求項4】
前記蓄電器の充電電圧値を制御する充電電圧制御回路を更に備え、該充電電圧制御回路は、前記バッテリ及び蓄電器間に接続された第1抵抗と、第3抵抗及び電流増幅回路が直列に接続され、前記蓄電器に並列接続された第2直列回路と、前記充電電圧値を検出する手段とを有し、該手段が検出した充電電圧値の高低に応じて、前記電流増幅回路の増幅率を増減するように構成してある請求項1又は2記載の車両用電源装置。
【請求項5】
前記蓄電器の充電電圧値を制御する充電電圧制御回路を更に備え、該充電電圧制御回路は、前記バッテリ及び蓄電器間に接続された第1抵抗と、該第1抵抗及び蓄電器間に接続された第4スイッチ回路と、前記充電電圧値及び所定電圧値を比較する手段とを有し、該手段が充電電圧値の方が高いと判定したときは、前記第4スイッチ回路をオフにするように構成してある請求項1又は2記載の車両用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−130641(P2011−130641A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289492(P2009−289492)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】