説明

車両用電装機器の表示装置

【課題】メインスイッチの操作状況を、演出効果を十分高めつつ、より明確に乗員に認識させるようにする。
【解決手段】メインスイッチMSを、プッシュ操作することによりオーディオ装置の電源オン、オフが行われると共に、回動操作することにより音量調整が行われる。メインスイッチスイッチMSを取り巻くように点灯式の表示部11が配設される。メインスイッチMSを電源オン操作したとき、表示部11が、消灯状態から高輝度状態に移行し、その後中間輝度状態に設定される。メインスイッチMSを音量調整操作したときは、表示部11が、中間輝度状態から高輝度状態に移行し、その後中間輝度状態に復帰される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用電装機器の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される電装機器、例えばオーディオ機器等においては、電源のオン、オフのためのメインスイッチやその他の各種操作スイッチを備えており、最近では機能増大に伴って操作するスイッチの数も増大する傾向にある。そして、上記メインスイッチによって、例えばプッシュ操作(押圧操作)によって電源のオン、オフを行うと共に、その回動操作によって音量変更等の電装機器の作動状態を変更することも行われている。また、最近では、適度な明るさで点灯されるイルミネーションを車室内に装備して、車室内の演出効果を高めることが好まれる傾向にある。
【0003】
電装機器の作動状況を乗員に明確に認識させるという要請から、例えば特許文献1に示すように、点灯、消灯可能な複数の表示部を車幅方向に直列に配設すると共に、各表示部の上下にそれぞれスイッチを配設して、この表示部の点灯と消灯との識別によって、スイッチのオン操作や電装機器の作動状況を乗員に認識させることが提案されている。
【特許文献1】特開2004−262304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示部の点灯、消灯の識別だけでは、演出効果としては必ずしも十分に満足のいくものとはならず、また電装機器の作動状況を明確に認識しずらいものとなる。特に、メインスイッチに、電装機器の電源オン、オフ操作以外に、例えば音量調整等の別の操作機能をもたせた場合に、1つのメインスイッチが複数の操作機能を有することから、このメインスイッチの操作状況つまり電装機器の作動状況というものを特に明確に認識させる必要が生じる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、メインスイッチの操作状況を、演出効果を十分に高めつつ、より明確に乗員に認識させることのできるようにした車両用電装機器の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車両に搭載される電装機器の表示装置であって、
前記電装機器の電源をオン、オフすると共に、該電装機器の電源オン、オフ以外の作動状態を変更するための所定操作を行うように設定されたメインスイッチと、
表示輝度が変化可能とされた表示部と、
前記メインスイッチの操作状態に応じて、前記表示部の表示輝度を変更する輝度変更手段と、
を備え、
前記輝度変更手段は、前記表示部の表示輝度を、前記メインスイッチによって電源オン操作が行われたときには消灯状態から高輝度状態を経て中間輝度に設定すると共に、該メインスイッチによって前記所定操作が行われたときには中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度に設定する、
ようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば、メインスイッチによって電源のオン操作をしたときは、表示部が、単に点灯されるだけでなく、消灯状態から一旦高輝度状態となった後、中間輝度へと移行されるので、乗員はメインスイッチの操作によって電源がオンされることを、輝度変化による十分な演出効果を体感しつつより明確に認識することができる。また、最終的に表示部が中間輝度に維持されることから、電源がオンになっていることも明確に認識することができる。さらに、メインスイッチを、電源のオン、オフ以外の操作となる所定操作したときは、表示部が中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度へと復帰するので、この場合も輝度変化による十分な演出効果を体感しつつ、電装機器の作動状況変更を明確に認識することができる。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記輝度変更手段は、前記メインスイッチによって電源オフ操作が行われたときには、前記表示部の表示輝度を中間輝度から高輝度状態を経て消灯状態にする、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、電源のオフ操作を行ったときは、表示部が、一旦高輝度状態を経た後に消灯されるので、輝度変化による十分な演出効果を体感しつつ、最終的に消灯されることによって電源がオフされたことを明確に認識することができる。
【0009】
前記表示部の輝度変化が徐々に行われる、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、輝度変化を体感する時間を確保して、演出効果を十分に高める上で、また乗員に輝度変化つまり電装機器の作動状況が変更されることを確実に認識させる上で好ましいものとなる。
【0010】
前記電装機器が、前記メインスイッチとは別個独立した操作スイッチをさらに有しており、
前記操作スイッチの操作が行われたときには、前記表示部の表示輝度が、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度に設定される、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、メインスイッチ以外の他の操作スイッチを操作したときにも、メインスイッチを操作したときの場合と同様に、十分に演出効果を高めつつ、電装機器の作動状況が変更されることを乗員に明確に認識させることができる。
【0011】
前記メインスイッチが操作されたときの輝度変化態様と、前記操作スイッチが操作されたときの輝度変化態様とが相違するように設定されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、メインスイッチの操作とそれ以外の操作スイッチの操作の相違、およびこれに伴う電装機器の作動状況の変更の相違を、乗員に明確に区別させるようにする上で好ましいものとなる。また、輝度変化の態様が増えるので、演出効果をより十分に高める上で好ましいものとなる。
【0012】
前記操作スイッチが複数設けられ、
前記操作スイッチのうちある操作スイッチが操作されたときの輝度変化態様と、別の操作スイッチが操作されたときの輝度変化態様とが相違するように設定されている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、複数ある操作スイッチ間において、操作されたスイッチの区別や、およびこれに伴う電装機器の作動状況の変更の相違を、乗員に明確に区別させるようにする上で好ましいものとなる。また、輝度変化の態様が増えるので、演出効果をより十分に高める上で好ましいものとなる。
【0013】
前記輝度変化態様の相違を、輝度変化速度、輝度変化の回数あるいは輝度変化の周期とすることができる(請求項7〜請求項9対応)。この場合、輝度変化の具体的な態様が提供される。
【0014】
前記電装機器がオーディオ機器とされ、
前記所定操作が音量操作とされている、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、メインスイッチを、電源オン、オフ用および音量調整用として兼用させることができる。また、電源オン、オフ操作や音量操作操作は頻繁に行われるので、表示部の輝度変化を利用した演出効果を頻繁に得ることが可能となる。
【0015】
前記電装機器が、複数のオーディオソースを有するオーディオ機器とされ、
前記操作スイッチが、オーディオソースの切替スイッチとされ、
前記切替スイッチの操作が行われたときには、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度になる変化が1回のみ行われる、
ようにしてある(請求項11対応)。この場合、例えばラジオとCD(コンパクトディスク)等との間での切替のように、オーディオソースの切替え操作はあまり頻繁に行われるものではなく、しかもオーディオソース切替操作は例えばある操作スイッチを1回押圧操作するという単純操作となることが一般的なので、輝度変化を最小限の1回のみとすることにより、オーディオソースの切替え操作と輝度変化の回数とを乗員の感覚にマッチングさせる上で好ましいものとなる。
【0016】
前記電装機器が、放送を受信する受信機器とされ、
前記操作スイッチが、選局プリセットを行うときに操作されるプリセットスイッチとされ、
前記プリセットスイッチが操作されたときには、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度になる変化が複数回行われる、
ようにしてある(請求項12対応)。この場合、受信局(受信周波数)を現在地域に応じてあらかじめプリセット(登録)することを、複数回の輝度変化によって、演出効果を十分に高めつつ乗員に明確に認識させることができる。
【0017】
前記電装機器が、放送を受信する受信機器とされ、
前記操作スイッチが、受信局サーチのために操作されるサーチスイッチとされ、
前記サーチスイッチが操作されたときには、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度になる変化が繰り返し行われる、
ようにしてある(請求項13対応)。この場合、受信局(受信周波数)のサーチは、連続的に操作スイッチを操作しつつ行われることが多いので、輝度変化を繰り返し行うことにより、サーチ用操作スイッチの操作と輝度変化の繰り返しとが乗員の感覚にマッチングしたものとする上で好ましいものとなり、また演出効果も極めて高いものとなる。
【0018】
前記表示部が、前記メインスイッチを取り巻くようにリング状に配設されている、ようにしてある(請求項14対応)。この場合、頻繁に操作されることの多いメインスイッチを取り巻くようにリング状に表示部が設定されるので、演出効果の向上と、表示部をも利用したメインスイッチの位置確認の容易化とを共に満足させる上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、メインスイッチの操作状況つまり電装機器の作動状況を、演出効果を十分に高めつつ、より明確に乗員に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1において、Dは電装機器であり、この電装機器Dは、例えばインストルメントパネルの車幅方向略中間位置等、乗員(特に運転者)から目視し易くかつ手指が容易に接近できる位置に配設される。電装機器Dは、実施形態では、CD(コンパクトディスク)の再生機能(CDドライブ)と、地上波によるラジオ受信機能(チューナ)と、衛星ラジオ受信機能(チューナ)とを有する。
【0021】
電装機器Dは、その上部において、左右方向(車幅方向)に細幅に伸びるCDディスクの出入口10が形成されている。この出入口10の左方には、操作スイッチS1とS2とが配設され、出入口10の右方には操作スイッチS3が配設されている。各操作スイッチS1〜S3は、例えばプッシュ式とされている。操作スイッチS1は、CDディスクを出入口10に自動挿入させるための操作指令を行うものである。操作スイッチS2は、CDチェンジャーに収納されている複数枚(例えば6枚)のCDディスクの中から再生対象となるCDディスクの交換を指令するものである。操作スイッチS3は、CDディスクを出入口10から排出させる指令を行うものである。
【0022】
出入口10の下方でかつ左右方向略中間部には、円形のメインスイッチMSが配設されている。メインスイッチMSの周囲には、メインスイッチMSと同心状に、リング状の表示部11が配設されている。このリング状とされた表示部11の内径は、メインスイッチMSの外形よりもかなり大きくされて、メインスイッチMSの外周でかつ表示部11の内周側において、周方向に間隔をあけて複数の操作スイッチS11〜14が配設されている。各操作スイッチS11〜S14は、それぞれ円弧状とされて、メインスイッチMSと表示部11との間の空間をほぼ隙間なく埋めるような形状、大きさに設定されている。
【0023】
メインスイッチMSは、電源のオン、オフの指令と、音量調整とを行うものである。より具体的には、メインスイッチMSは、その周囲よりも後方(紙面手前側)に突出されていて、例えばプッシュ操作(押圧操作)する毎に、電源のオン指令とオフ指令とが交互に行われると共に、回動操作することによって音量調整の指令を行う。表示部11は、例えばLED等を光源として点灯されるもので、後述するように、消灯状態と点灯状態とが切替えられる他、点灯状態においてその輝度が変化されるようになっている。
【0024】
上記各操作スイッチS11〜S14は、それぞれプッシュ式とされて、オーディオソースの切替用とされている。すなわち、操作スイッチS11は、地上波のラジオを選択するもので、プッシュ操作する毎に、FM放送選択指令とAM放送選択指令とを交互に行うものとなっている。操作スイッチS12は、CDの選択指令用である。操作スイッチS13は、オプションのオーディオソース選択用であり、実施形態ではオプション未装備のためダミースイッチとなっている。操作スイッチS14は、衛星ラジオを選択指令するものであり、例えば米国での衛星ラジオ受信のために設けられる。
【0025】
電装機器Dの左下部には操作スイッチS22が設けられ、右下部には操作スイッチS23が設けられている。操作スイッチS22は、チューニング用である(受信周波数変更用)。操作スイッチS23は、音質調整用である。各操作スイッチS22とS23とは、それぞれその周囲よりも後方側に若干突出されていて、押圧しつつ回動操作されるようになっている。
【0026】
出入口10の下方で、操作スイッチS22、S23の上方には、上下2段に分けて、左右方向直列に多くの操作スイッチS31〜S42が配設されている。各操作スイッチS31〜S42は、それぞれプッシュ式とされて、所定の作動状況となるように指令するものである。このような操作スイッチS31〜S42そのものの機能(操作に応じた指令内容)は従来と同様なので、その詳細な説明については省略するが、表示部11の輝度変化との関係となる部分については後述する。
【0027】
図2は、電装機器Dの機能をブロック図的に示すものである。この図2において、MCRはメインコントローラ、SCRはサブコントローラである。メインコントローラMCRは、前述した各種スイッチからの操作(指令)に応じて、FM/AMチューナAC1、CDドライブAC2、SIRUS(衛星ラジオの一種)チューナAC3、およびスピーカ15をコントロールする。また、メインコントローラMCRは、前述した各種スイッチからの操作(指令)に応じて、サブコントローラSCRに対してアクションコードを指示する。アクションコードは、表示部11の輝度変化態様等を示すものであり、サブコントローラSCRは、このアクションコードに対応した内容でもって表示部11が点灯表示(輝度変化)されるように、表示部11を制御する。上記コントローラMCRとSCRとが輝度変更手段を構成する。
【0028】
図3、図4には、上記アクションコードの一例が示される。アクションコード「0000」は、表示部11を消灯させ続ける内容となる。アクションコード「0001」は、通常輝度つまり中間輝度を表示させ続ける内容となる。アクションコード「1000」は、通常輝度から徐々に高輝度に変化させ、高輝度状態を所定時間維持した後、消灯状態へ徐々に移行させる内容となる。アクションコード「1001」は、通常輝度から徐々に高輝度に変化させ、高輝度状態を所定時間維持した後、通常輝度へ徐々に復帰させた後、通常輝度を維持させる内容となる。アクションコード「1010」は、消灯状態から、徐々に高輝度状態へと移行し、高輝度状態を所定時間維持した後、徐々の通常輝度へ移行し、通常輝度を維持さえる内容となる。アクションコード「1011」は、通常輝度から徐々に高輝度に変化させ、高輝度状態を所定時間維持した後、徐々に通常輝度へと移行させて、通常輝度を維持させる内容となる。アクションコード「1100」は、通常輝度から徐々に高輝度に変化させ、高輝度状態を所定時間維持した後、徐々に通常輝度へと復帰させた後、通常輝度を所定時間維持するまでの周期を1回として、このような周期を2回連続して行わせた後、通常輝度を維持させる内容となる。アクションコード「1101」は、通常輝度から徐々に高輝度に変化させ、高輝度状態を所定時間維持した後、徐々に通常輝度へと復帰させた後、通常輝度を所定時間維持するまでの周期を1回として、対応した操作スイッチが操作され続けている間はこのような周期を繰り返し行わせる内容となる。
【0029】
上述した通常輝度から高輝度への徐々なる移行時間、高輝度を維持する時間、高輝度から通常輝度への徐々なる移行時間等が、アクションコード間において相違設定されている場合がある。例えば、中間輝度から高輝度への移行時間(移行速度)に着目すると、アクションコード「1000」および「1010」においては1770msecというようにもっとも長く、アクションコード「1001」が409msecで2番目に長く、アクションコード「1011」が272msecで3番目に長く、アクションコード「1100」と「1101」とが136msecでもっとも短くされている。また、高輝度状態を維持する時間も、大小相違するように適宜設定され、高輝度から通常輝度へと徐々に移行する時間も適宜相違するように設定されている。全体的に、2回の繰り返しとなるアクションコード「1100」や、連続繰り返しが行われるアクションコード「1101」の場合は、1回限りの輝度変化となる他のアクションコードの場合に比して、その周期が短くされている(通常輝度と高輝度との間での移行時間や高輝度を維持する時間が短くされている)。
【0030】
次に、図5を参照しつつ、メインスイッチMSの操作と表示部11の輝度変化(アクションコード)との関係について説明する。まず、図5の「操作釦」の欄において「ACC」とあるのは、イグニッションキースイッチのアクセサリー(ACC)位置を示し、ACC−ONは、イグニッションキースイッチがアクセサリー位置にあるかあるいはエンジンが運転中のときを示し、ACC−OFFはそれ以外の位置であるときを示す。また。「POWER」は、メインスイッチMSを意味する。メインスイッチMSがON時にACC−ONされると、アクションコード1010でもって表示部11が輝度変化される。メインスイッチMSがON時にACC−OFFされると、アクションコード1000でもって表示部が輝度変化される。
【0031】
メインスイッチMSを押圧して電源ON操作とされたときは、表示部11がアクションコード「1010」でもって輝度変化される。すなわち、消灯状態から、徐々に高輝度へと変化されて、高輝度状態を所定時間維持した後、徐々に通常輝度へと移行し、この通常輝度が維持される輝度変化とされる(特許請求の範囲における請求項1の内容に対応)。また、メインスイッチMSを押圧して電源オフ操作されたときは、表示部11がアクションコード「1000」でもって輝度変化される。すなわち、通常輝度状態から徐々に高輝度へと変化し、高輝度が所定時間維持された後、徐々に消灯状態とされ、最終的には消灯されたままとなる(特許請求の範囲における請求項2に対応)。
【0032】
「操作釦」の欄の「VOL」とあるのは、メインスイッチMSの回動操作による音量調整操作であり、音量アップとなる右回し操作されたとき、および音量ダウンとなる左回し操作されたときは、それぞれ、表示部11がアクションコード「1001」でもって輝度変化される(特許請求の範囲における請求項1に対応)。
【0033】
「操作釦」の欄の「AUDIO CONT」は、操作スイッチS23の操作であるが、表示部11の輝度変化は特に行わないものとなっている(アクションコードなし)。また、「操作釦」の欄の「ソース釦」は、操作スイッチS11〜S14の操作に対応したものである。すなわち、電源ON中に、操作スイッチS11〜S14のいずれか1つが操作されると、それぞれ、表示部11がアクションコード「1011」の内容でもって輝度変化される(ただし、実施形態では操作スイッチS13に対応したオプション機器が装備されていないため、操作スイッチS13の操作に伴う輝度変化はなし)。操作スイッチS11〜S14のアクションコード「1011」とメインスイッチMSの音量調整のときのアクションコード「1001」とは、共に、通常輝度から高輝度状態を経て通常輝度に復帰するという点では同じであるが、通常輝度と高輝度との間での徐々に変化する時間および高輝度を維持する時間が互いに相違して、メインスイッチMSの操作と操作スイッチS11〜S14の操作とで輝度変化が相違されている(メインスイッチMSによる音量調整に伴う輝度変化の方が、全体的にゆっくりとしたものとなって、最終的に通常輝度に復帰するまでの時間が長くなる)。電源オフ中に操作スイッチS11〜S14のいずれかが操作されると、アクションコード「1010」の内容でもって、表示部11が輝度変化される。すなわち、操作スイッチS11〜S14は、電源ONの指令をも兼用したものとなっている。
【0034】
図6は、地上波ラジオに関する操作スイッチを操作したときの輝度変化の内容を示すものである。前述した図5の説明から、図6の内容は明らかであり、かつ図では「備考」の欄において補充説明がしてあるので、図6についてのこれ以上の詳細な説明は省略する。なお、図6において、「SEEK」に関する操作スイッチはS31(UP用)およびS37(DOWN用)であり、「SCAN」に関する操作スイッチはS33であり、「TUNE]に関する操作スイッチはS22であり、「PRESET」に関する操作スイッチは、S34〜S36およびS40〜S43である。
【0035】
図7は、CDに関する操作スイッチを操作したときの輝度変化の内容を示すものである。図6の場合と同様に、その詳細な説明は省略する。なお、図7において、「FF」に関する操作スイッチはS41であり、「REW」に関する操作スイッチはS40である。図8,図9は、衛星ラジオ「SIRIUS」に関する操作スイッチと輝度変化との対応関係を示すものであり、「操作釦」の欄の「SAT」が操作スイッチS14を意味する。なお、衛星ラジオとしての「SIRUS」は特別な国対応であって、その内容の詳細は本発明とは直接関係がないので、これ以上の説明は省略する。
【0036】
ここで、メインスイッチMS以外の操作スイッチ間においても、輝度変化の相違が設定されている。すなわち、例えば、図6において、「PRESET」はアクションコード「1100」であるのに対して、「SCAN」等はアクションコード「1101」とされている。また、図7において、「FF]および「REW」はアクションコード「1101」であるのに対して、その他の場合のアクションコードは「1011」とされている。このように、操作スイッチ間でも輝度変化を有するように設定することによって、操作スイッチの操作(指令内容)およびこれに応じた電装機器Dの作動状況変更に応じて、輝度変化が乗員の感覚等にとって極力マッチングさせる等の上で好ましいものとされている。
【0037】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。メインスイッチMSによる電源のオン、オフ操作以外の別の操作としては、音量調整以外に、周波数変更や音質変更等適宜設定できる。表示部11は、乗員(特に運転者)にとって目視し易いように、その配設位置、形状、大きさ、設置個数等は適宜変更できるものであり、例えば左右方向あるいは上下方向に細長く伸びる形状としたり、電装機器Dの各隅部に離間配置する等のこともでき、メインスイッチMSの表面がほぼ全体的に点灯されるものに設定する等のこともできる。電装機器Dとしてはオーディオ機器に限らず、適宜の機器、例えば空調装置とすることもできる。空調機器とした場合は、メインスイッチMSに相当するメインスイッチを、電源のオン、オフ以外に、例えば回動操作による温度調整あるいは風量調整の操作を行うようにしてもよく、メインスイッチ以外の操作スイッチとしては、温度調整用、風量調整用、吹き出し口変更用、室内循環と外気導入との切替用等適宜のスイッチとすることができる。また、電装機器Dとしては、全く別の機器となるオーディオ機器と空調装置というように複数種の電装機器の組み合わせであってもよく、この場合、本発明をいずれか1つの電装機器に対してのみ適用してもよく、あるいは複数の電装機器、さらには全ての電装機器に本発明を適用してもよい。メインスイッチMSは、運転者から操作し易い位置に設けられる場合(前席乗員用)に限らず、後席乗員から操作し易い位置に設けることもできる(後席乗員用)。1つの電装機器Dについて、メインスイッチMS等を複数設けること、つまり図1に示すような表示操作面を前席用と後席用との複数設けるようにしてもよい(この場合、最新に操作されたスイッチが優先した作動状況に変更されるようにすればよい)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】電装機器の一例を示す正面図。
【図2】電装機器の制御系統をブロック図的に示す図。
【図3】輝度変化内容を示すアクションコードの設定例を示す図。
【図4】輝度変化内容を示すアクションコードの設定例を示す図。
【図5】メインスイッチの操作とアクションコードとの対応関係を示す図。
【図6】地上波ラジオ用の操作スイッチの操作とアクションコードとの対応関係を示す図。
【図7】CD用の操作スイッチの操作とアクションコードとの対応関係を示す図。
【図8】衛星ラジオ用の操作スイッチの操作とアクションコードとの対応関係を示す図。
【図9】衛星ラジオ用の操作スイッチの操作とアクションコードとの対応関係を示す図。
【符号の説明】
【0039】
10:CDディスクの出入口
11:表示部
15:スピーカ
D:電装機器
MS:メインスイッチ
S1〜S3:操作スイッチ
S11〜S14:操作スイッチ
S22,S23:操作スイッチ
S31〜S42:操作スイッチ
MCR:メインコントローラ
SCR:サブコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電装機器の表示装置であって、
前記電装機器の電源をオン、オフすると共に、該電装機器の電源オン、オフ以外の作動状態を変更するための所定操作を行うように設定されたメインスイッチと、
表示輝度が変化可能とされた表示部と、
前記メインスイッチの操作状態に応じて、前記表示部の表示輝度を変更する輝度変更手段と、
を備え、
前記輝度変更手段は、前記表示部の表示輝度を、前記メインスイッチによって電源オン操作が行われたときには消灯状態から高輝度状態を経て中間輝度に設定すると共に、該メインスイッチによって前記所定操作が行われたときには中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度に設定する、
ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記輝度変更手段は、前記メインスイッチによって電源オフ操作が行われたときには、前記表示部の表示輝度を中間輝度から高輝度状態を経て消灯状態にする、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記表示部の輝度変化が徐々に行われる、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記電装機器が、前記メインスイッチとは別個独立した操作スイッチをさらに有しており、
前記操作スイッチの操作が行われたときには、前記表示部の表示輝度が、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度に設定される、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記メインスイッチが操作されたときの輝度変化態様と、前記操作スイッチが操作されたときの輝度変化態様とが相違するように設定されている、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記操作スイッチが複数設けられ、
前記操作スイッチのうちある操作スイッチが操作されたときの輝度変化態様と、別の操作スイッチが操作されたときの輝度変化態様とが相違するように設定されている、
ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
前記輝度変化態様の相違が、輝度変化速度とされている、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項8】
請求項5または請求項6において、
前記輝度変化態様の相違が、輝度変化の回数とされている、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項9】
請求項5または請求項6において、
前記輝度変化態様の相違が、輝度変化の周期とされている、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記電装機器がオーディオ機器とされ、
前記所定操作が音量操作とされている、
ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項11】
請求項4において、
前記電装機器が、複数のオーディオソースを有するオーディオ機器とされ、
前記操作スイッチが、オーディオソースの切替スイッチとされ、
前記切替スイッチの操作が行われたときには、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度になる変化が1回のみ行われる、
ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項12】
請求項4において、
前記電装機器が、放送を受信する受信機器とされ、
前記操作スイッチが、選局プリセットを行うときに操作されるプリセットスイッチとされ、
前記プリセットスイッチが操作されたときには、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度になる変化が複数回行われる、
ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項13】
請求項4において、
前記電装機器が、放送を受信する受信機器とされ、
前記操作スイッチが、受信局サーチのために操作されるサーチスイッチとされ、
前記サーチスイッチが操作されたときには、中間輝度から高輝度状態を経て中間輝度になる変化が繰り返し行われる、
ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか1項において、
前記表示部が、前記メインスイッチを取り巻くようにリング状に配設されている、ことを特徴とする車両用電装機器の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−276663(P2007−276663A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106378(P2006−106378)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】