説明

車両発進時にクラッチを操作する方法

【課題】発進時における、エンジン速度、ターボスプールアップ及び利用可能なエンジントルクの増大を可能にする。
【解決手段】内側チャンバ110における第1の液圧を第1のレベルから第2のレベルへ上昇させるステップを含み、該ステップにおいて第1の液圧が、前記車両におけるエンジン103と車両におけるトルクコンバータ105のためのインペラ104との間に配置されたクラッチ102をつながった位置へ強制し、外側チャンバ112における第2の液圧をエンジンの速度の関数として第3のレベルから第4のレベルへ減少させるステップを含み、第2の液圧が前記第1の液圧に対抗する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、合衆国第35法典第119条(e)に基づいて、引用したことにより本明細書に記載されたものとする2006年12月22日に出願された米国特許仮出願第60/876650号明細書の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、回転駆動ユニット(例えば、自動車のエンジン)と、回転被駆動ユニット(例えば、自動車における変速トランスミッション)との間で力を伝達するための装置の改良に関する。特に、本発明は、車両発進時のターボチャージスプールアップを可能にするためにエンジンとトルクコンバータのためのインペラとの間に配置されたクラッチを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ターボチャージャは、エンジンの寸法、特にシリンダ排気量を増大することなくエンジンの出力を増大するために車両エンジンにおいて使用される。すなわち、ターボチャージャは、エンジンのための出力対重量比を著しく改善することができる。ターボチャージャは、タービンを回転させるためにエンジンからの排ガス流を使用し、タービン自体はエアポンプを回転させる。ターボチャージャのタービンは、毎分150000回転までの速度で回転する。30〜40%の出力増大がターボチャージャ付きエンジンにとって一般的である。
【0004】
あいにく、ターボチャージャは、発進時に迅速な出力増大を提供しない。タービンが、所望のブーストを発生するために必要な速度に達するまでに、一般的に数秒又は数分の一秒で計測される時間が必要である。"ターボラグ"として知られるこの現象は、発進の開始時にヘジテーションを生じる。ターボチャージャにおける回転する部品の慣性を減じることによって、主に部品の重量を減じることによってターボラグを減少させることが知られている。この重量の減少はタービンとコンプレッサとをより迅速に加速させることができ、開始はブーストをより早期に提供する。ターボチャージャの寸法を減じることによって慣性が減じられることができる。あいにく、より小さなターボチャージャは、より高いエンジン速度において十分なブーストを提供することができない。また、より小さなターボチャージャは、過剰速度で回転するおそれがある。
【0005】
トルクコンバータを備えた車両におけるターボチャージャ付きエンジンの場合、"ルーズな"トルクコンバータを使用することが知られている。この構成により、エンジンは発進時により高い速度を得ることができ、ターボチャージャが所望の速度に達するのに必要な時間を短縮する。あいにく、この構成は、トルクコンバータの作動範囲全体に亘って燃料の経済性を低下させる。
【0006】
したがって、燃料の経済性及びターボチャージャの性能を妥協することなくターボラグを減じるための手段が長い間必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一般的な目的は、車両発進時にクラッチを制御する方法を提供し、この方法は、発進時における、エンジン速度、ターボスプールアップ及び利用可能なエンジントルクの増大を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は、広くは、内側チャンバ内の第1の液圧を第1のレベルから第2のレベルへ増大するステップと、エンジンの速度に関して外側チャンバにおける第2の液圧を第3のレベルから第4のレベルへ減少させるステップとを含む、車両発進時にクラッチを操作する方法を含む。第1の液圧は、車両のエンジンと車両のトルクコンバータのインペラとの間に配置されたクラッチを噛み合った位置へ強制し、第2の液圧は第1の液圧に対抗する。幾つかの態様において、方法は、エンジンのスロットル位置に関して外側チャンバにおける第2の液圧を減少させることを含む。方法は、第2の圧力の減少に応答してクラッチをスリップさせる。
【0009】
幾つかの態様において、第2の液圧を減じることは、トランスミッションにおけるオイル温度に関して第2の圧力を減じることを含む。幾つかの態様において、第1のレベルは、外側チャンバのための最大作動圧力に等しいか、第3の圧力よりも少なくとも50%大きいか、少なくとも第3の圧力の2倍であるか、又は少なくとも第3の圧力の3倍である。幾つかの態様において、方法は、エンジン速度の関数をしきい値と比較し、関数がしきい値よりも大きいならば第1の圧力を第1のレベルに維持する。幾つかの態様において、方法は、エンジン速度の関数をしきい値と比較し、関数がしきい値よりも小さいか又はこれと等しいならば第1の圧力を第2のレベルまで増大させる。幾つかの態様において、方法は、エンジン速度を発進しきい値と比較し、エンジン速度が発進しきい値よりも大きいならば、第3のレベルを第4のレベルまで減少させるためにエンジン速度の関数を回避する。
【0010】
幾つかの態様において、車両は、外側チャンバにおける液圧を制御する弁を有しており、ゼロパーセントデューティサイクルは弁を完全に開放させる。方法は、エンジン速度を発進しきい値と比較することを含み、エンジン速度が発進しきい値よりも大きい場合、弁にゼロパーセントデューティサイクルを提供する。幾つかの態様において、車両は、外側チャンバにおける液圧を制御する弁を有しており、デューティサイクルは、弁のための作動位置を制御する。次いで、方法は、エンジン速度を発進しきい値と比較することを含み、エンジン速度が発進しきい値よりも小さいか又はこれと等しい場合、エンジン速度に関してデューティサイクルを決定し、弁にデューティサイクルを提供する。幾つかの態様において、方法は、トランスミッションにおけるオイル温度に関してデューティサイクルを変更する。
【0011】
幾つかの態様において、クラッチと、第1及び第2のチャンバとは、トルクコンバータに配置されている。幾つかの態様において、トルクコンバータは、カバーと、アウトプットハブと、トルクコンバータクラッチとを含み、トルクコンバータクラッチはカバーとアウトプットハブとの間にトルク伝達経路を提供する。幾つかの態様において、方法はエンジン速度を所定レベルよりも低く維持する。幾つかの態様において、方法は、所定のスロットル位置のための最大トルクを提供するための最適なエンジン速度を決定し、エンジンが最適エンジン速度に達したときにクラッチを完全につなぐ。
【0012】
本発明のこれらの目的及び利点並びにその他の目的及び利点は、本発明の好適な実施形態の以下の説明と、添付の図面及び請求項とから容易に認められるであろう。
【0013】
本発明の性質及び態様がここで、添付の図面を参照した発明の以下の詳細な説明により完全に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、異なる図面における同じ参照符号は、発明の同じ又は機能的に類似の構造エレメントを表していることが認識されるべきである。本発明は、現時点で好適な態様であると考えられるものに関して説明されるが、請求項に記載の発明は開示された態様に限定されないと理解されるべきである。
【0015】
さらに、発明は、記載された特定の方法、材料及び変化態様に限定されず、もちろん変更することができる。ここで使用されている用語は、特定の態様だけを説明するためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される。
【0016】
特に定義されない限りは、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者にとって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ここに説明されたものと同じ又は均等のあらゆる方法、装置又は材料が発明の実施又は試験において使用されることができるが、好適な方法、装置及び材料がここでは説明されている。
【0017】
図1は、車両発進時にトルクコンバータを操作する本発明の方法において使用するためのクラッチシステム100の概略図を示している。システム100は、車両(図示せず)のためのエンジン103と、トルクコンバータ105のためのインペラ104との間のインペラクラッチ若しくは切断クラッチ102を有している。クラッチ102は、ポンプカバー106に結合されている。インペラ104はタービン107に流体接続されており、タービンはタービンシェル108に結合されている。シェル108はアウトプットハブ109に結合されている。通常、インペラクラッチは、2つのチャンバにおける個々の液圧を操作することによって作動させられる。インペラクラッチをつなぐためには、一方のチャンバにおける圧力が増大され、他方のチャンバにおける圧力が減じられる。例えば、内側チャンバ110内の圧力が増大され、外側チャンバ112内の圧力が減じられる。すなわち、内側チャンバと外側チャンバとの間にクラッチの両側に正の圧力差が存在する。
【0018】
幾つかの態様において、クラッチ102は、チャンバを液圧的に分離させるピストンプレート114を有している。プレートは、チャンバ内の圧力に応答して変位可能である。例えば、内側チャンバにおける圧力の増大と、外側チャンバにおける圧力の減少とが、クラッチがつながるようにプレートを移動させる。図1に示された構成は例示のためだけのものであり、本発明の方法において使用するためのクラッチシステムは、図示された構成に限定されないことが理解されるべきである。例えば、技術上知られておりかつ2つのチャンバを使用するあらゆるインペラクラッチが、本発明の方法において使用されることができる。
【0019】
インペラクラッチのトルクキャパシティは、内側チャンバと外側チャンバとの間の圧力差に依存する。差が増大すると、トルクキャパシティも増大する。クラッチに提供されるトルクが、トルクが提供される時点におけるクラッチのための圧力差に関連したトルクキャパシティよりも大きいならば、インペラクラッチはスリップする。
【0020】
内側チャンバは、チャンバに流体を供給するために内側圧力ライン118に接続されており、外側チャンバは、チャンバからの流体の排出を可能にするために外側圧力ライン120に接続されている。幾つかの態様において、ラインを通る流体流れを制御するために、内側ライン及び外側ラインそれぞれには弁122及び弁124が配置されている。幾つかの態様において、弁はソレノイド弁である。内側弁及び外側弁は、個々のチャンバにおける圧力、ひいてはプレート114の両側の圧力差を制御するために使用される。
【0021】
弁122及124は技術上知られたあらゆる手段によって制御されることができる。幾つかの態様において、システム100は、以下に説明されるように弁の制御のために弁122及び124それぞれにパルス幅変調(PWM)信号128及び130を送信するために使用される制御装置126を有している。
【0022】
クラッチ102は、車両の発進時に、エンジン速度がインペラ104の回転速度よりも大きくなるように変調させられる(スリップさせられる)。すなわち、クラッチのスリップにより、エンジンはインペラよりも高速で回転することができる。本発明の方法によれば、クラッチは、エンジンとインペラとの回転を同調させるために適切な時点で閉じられる。全体的な発進シーケンスの間、車両のドライバーによって予測される発進時間と、実際の発進時間との間の遅れを排除するために、トルクはクラッチ102を介して伝達される。トルクのコンスタントな伝達は、エンジンによって発生される大きなトルクが存在しかつエンジンとトルクコンバータとの回転速度の差が比較的大きい時にクラッチをつなぐことによって生じるおそれのある衝撃をも排除する。
【0023】
チャンバ110及び112における圧力は、エンジン速度に関して、又はエンジン速度及びアクセルペダル132又はスロットル(図示せず)の位置に関して制御される。幾つかの態様において、PWM信号の個々の値がエンジン速度に基づいて決定される開ループ制御計画が使用される。すなわち、信号はエンジン速度に関する。幾つかの態様において、信号は、ペダル132又はスロットルの位置にも関する。幾つかの態様において、制御装置は、トランスミッションにおける温度変化によるトランスミッション流体における粘性変化を相殺するために、制御信号のための修正値を引き出す。流体温度を決定するために、技術上知られたあらゆる手段、例えばセンサ134が使用されることができる。制御信号は個々の弁のためのデューティサイクルを指定する。例えば、100%デューティサイクルは弁を完全に閉じ、0%デューティサイクルは弁を完全に開く。幾つかの態様において、制御装置126は、信号128及び130を引き出すために個々のルックアップ表を有する。表は、列及び行のパラメータとしてスロットル位置とエンジン速度とを備えたマトリックスを提供する。
【0024】
図2は、車両発進時にトルクコンバータを操作する本発明の方法による外側チャンバ及び内側チャンバにおける液圧の制御を示すグラフである。発進の開始136において、クラッチは切られており、外側チャンバにおける圧力140のレベル138は比較的高く、内側チャンバにおける圧力144のレベル142は比較的低い。幾つかの態様において、圧力140は圧力144よりも50%高いか、2倍の圧力144であるか、3倍の圧力144である。幾つかの態様において、外側チャンバの圧力は、チャンバの最大作動圧力であるか又はそれに近く、内側チャンバにおける圧力は、チャンバの最小作動圧力であるか又はそれに近い。
【0025】
点146において、発進が開始する。幾つかの態様において、圧力144は、急速にレベル147まで上昇し、このレベルに維持される。レベル147は、プレート114に加えられる最大係合圧力である。点148において、内側チャンバは、クラッチをつなぐために最大圧力を加えているが、外側チャンバは依然として、クラッチのつなぎに抵抗するように最大圧力を加えている。したがって、クラッチには比較的小さな押付け圧力が存在し、クラッチのスリップが最大である。
【0026】
点148において、エンジン速度と、スロットル位置と、オイル温度とが信号130を発生するために使用され、この信号130は、弁124を開放させ、圧力140を低下させる。セグメント150の傾斜は、エンジン速度と、スロットル位置と、オイル温度とに依存する。概して、エンジン速度とスロットル位置とが大きくなると、傾斜が急勾配になる。セグメント150の間に、クラッチ102はスリップし続けるが、スリップの量は、圧力140が減少するにつれて減少する。
【0027】
点152において、圧力140は最小レベル154に達し、クラッチ102は完全につながれる。すなわち、クラッチ102はスリップしなくなる。クラッチ102は、より点148に近い他の点においてスリップを停止することができることが理解されるべきである。点152において、圧力140及び144は、クラッチ102が所望のトルクキャパシティを有するように決定される。幾つかの態様(図示せず)において、点136において、圧力140は急速に減少させられ、圧力144は信号128に応答してゆっくりと増大させられる。すなわち、圧力の操作が、図2に示された操作とは反転されたものである。
【0028】
図1及び図2は、ターボチャージャが装備されたディーゼルエンジンの発進に関する。しかしながら、本発明はディーゼルエンジンに制限されず、その他のタイプの過給機式エンジンにおける本発明の使用が請求項に記載の発明の精神及び範囲に含まれるということが理解されるべきである。発進とは、完全に又は実質的に静止した車両を走行させる、又は登り斜面において(車両の後ろから前へ)車両を前進させかつ反対方向で力を受けさせることを意味する。
【0029】
幾つかの態様において、本発明の方法において多機能トルクコンバータ(MFTC)が使用される。MFTCは、2002年12月17日に発行されかつ引用したことにより本明細書に記載されたものとする米国特許第6494303号明細書、"TORSIONAL VIBRATION DAMPER FOR A TORQUE TRANSMITTING APPARATUS"に記載されている。しかしながら、本発明の方法は、技術上知られたあらゆるMFTC、又はコンバータへのねじれ入力部とコンバータのためのポンプとの間においてクラッチを使用するあらゆるトルクコンバータに適用されることができ、このような適用は請求項に記載の発明の精神及び範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0030】
図3は本発明による方法200のフローチャートである。図3における方法200は、分かり易くするために番号のついた一連のステップとして示されているが、明らかに述べられない限りは順序は番号から推測されるべきではない。ステップはシステム100に関して参照されるが、方法200はシステム100において使用することに制限されず、方法200はインペラクラッチを備えたあらゆるシステムに適用可能であることが理解されるべきである。方法はステップ202において開始する。ステップ204は発進状況を検出する。ステップ206はエンジン速度をしきい値と比較する。速度がしきい値よりも大きいと、ステップ207は、弁122及び124が作動されないように制御信号128を設定し、これは、トルクコンバータ105をトルクコンバータモードにし、方法の残りを回避する。すなわち、チャンバ110は(図2に示されたものと同様に)急速に充填され、チャンバ112は急速に排出される。概して、チャンバ112のための排出速度は、チャンバ内の圧力がエンジン速度に関して減じられる場合よりも、急激である。次いで方法は、方法の終了であるステップ220へ進む。
【0031】
ステップ206が、エンジン速度がしきい値よりも小さいか又はこれに等しいと決定すると、ステップ208は、エンジン速度とスロットル位置とに関して信号130を発生する。ステップ210は、オイル温度に関してトランスミッションオイル温度ファクタを決定し、ステップ212は、オイル温度ファクタを使用して信号130を変更する。次いで、ステップ214は信号を弁122に関するしきい値と比較する。信号がしきい値よりも高く、これが、所定のレベルよりも高いチャンバ112内の圧力に相当するならば、ステップ215は弁122を閉じておき、チャンバ110は充填されない。次いで方法はステップ218へ進む。すなわち、図2に示された計画とは異なり、方法は、発進状況が検出された時にチャンバ110における圧力を自動的に"フリップ"しない。信号130がしきい値よりも小さいか又はこれに等しいならば、ステップ216は弁122を開放させ、チャンバ110を充填し、次いで方法はステップ218へ進む。
【0032】
ステップ218は弁214のための信号を最終的な又は完全に開放した値と比較する。弁がまだ完全に開放させられていないならば、方法はステップ206に戻る。弁が完全に開放されると、クラッチは完全につながれ、方法は終了する。
【0033】
したがって、本発明の目的は効率的に達成されるが、発明に対する修正及び変更が当業者に容易に明らかであるべきであり、これらの修正は、請求項に記載された発明の精神及び範囲に含まれるものである。前記説明は、本発明の例を示しており、限定するものと考えられるべきでないことも理解される。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明のその他の実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】車両発進時にトルクコンバータを操作する本発明の方法において使用するためのクラッチシステムの概略図を示している。
【図2】車両発進時にトルクコンバータを操作する本発明の方法による外側チャンバ及び内側チャンバにおける液圧の制御を示すグラフである。
【図3】本発明による方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
100 クラッチシステム、 102 クラッチ、 103 エンジン、 104 インペラ、 105 トルクコンバータ、 106 ポンプカバー、 107 タービン、 108 シェル、 109 アウトプットハブ、 110 内側チャンバ、 112 外側チャンバ、 114 ピストンプレート、 122,124 弁、 126 制御装置、 128,130 PWM信号、 132 ペダル、 134 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両発進時にクラッチを操作する方法において、
内側チャンバにおける第1の液圧を第1のレベルから第2のレベルへ上昇させるステップを含み、前記第1の液圧が、前記車両におけるエンジンと前記車両におけるトルクコンバータのためのインペラとの間に配置されたクラッチをつながった位置へ強制し、
外側チャンバにおける第2の液圧を前記エンジンの速度の関数として第3のレベルから第4のレベルへ減少させるステップを含み、該前記第2の液圧が前記第1の液圧に対抗することを特徴とする、車両発進時にクラッチを操作する方法。
【請求項2】
前記エンジンのスロットル位置の関数として前記外側チャンバにおける前記第2の液圧を減少させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2の圧力の減少に応答して前記クラッチをスリップさせることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記車両がトランスミッションを有し、前記第2の液圧を減少させることがさらに、前記トランスミッションにおける温度の関数として前記第2の液圧を減少させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1の液圧が、前記外側チャンバのための最大作動圧力に等しい、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第1の液圧が、前記第3の液圧よりも少なくとも50%だけ大きい、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1の液圧が、前記第3の液圧の少なくとも2倍である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第1の液圧が、前記第3の液圧の少なくとも3倍である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記エンジン速度の前記関数をしきい値と比較し、前記関数が前記しきい値よりも大きいならば前記第1の液圧を前記第1のレベルに維持することを含む、請求項1記載の方法 。
【請求項10】
前記エンジン速度の前記関数をしきい値と比較し、前記関数が前記しきい値よりも小さいか又は該しきい値と等しいならば前記第1の液圧を前記第2のレベルに上昇させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記エンジン速度を発進しきい値と比較し、前記エンジン速度が前記発進しきい値よりも大きいならば、前記第3のレベルを前記第4のレベルに減少させるためにエンジン速度の前記関数を回避することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記車両が、前記外側チャンバにおける液圧を制御する弁を有し、ゼロパーセントデューティサイクルが前記弁を完全に開放し、前記方法がさらに、前記エンジン速度を発進しきい値と比較し、前記エンジン速度が前記発進しきい値よりも大きい場合に前記ゼロパーセントデューティサイクルを前記弁に提供することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記車両が、前記外側チャンバにおける液圧を制御する弁を有し、デューティサイクルが前記弁のための作動位置を制御し、前記方法がさらに、前記エンジン速度を発進しきい値と比較し、前記エンジン速度が前記発進しきい値よりも小さいか又は該発進しきい値と等しい場合に前記エンジン速度の関数として前記デューティサイクルを決定し、該デューティサイクルを前記弁に提供することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記車両がトランスミッションを有し、前記方法がさらに、前記トランスミッションにおけるオイル温度の関数として前記デューティサイクルを変更することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記クラッチと、前記第1のチャンバ及び第2のチャンバが、前記トルクコンバータに配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記トルクコンバータが、カバーと、アウトプットハブと、トルクコンバータクラッチとを有しており、前記トルクコンバータクラッチが、前記カバーと前記アウトプットハブとの間にトルク伝達経路を提供する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記エンジン速度を所定のレベルよりも低く維持することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
所定のスロットル位置のための最大トルクを提供するための最適エンジン速度を決定し、前記エンジンが前記最適エンジン速度に達したときに前記クラッチを完全につなぐことを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
車両発進時にクラッチを操作する方法において、
前記車両におけるエンジンのための速度を発進しきい値と比較するステップと、
前記エンジン速度が前記発進しきい値よりも小さいならば内側チャンバにおける第1の液圧を第1のレベルから第2のレベルへ増大させるステップとを含み、前記第1の液圧が、前記車両におけるエンジンと前記車両におけるトルクコンバータのためのインペラとの間に配置されたクラッチをつながった位置へ強制し、
前記エンジン速度が前記発進しきい値よりも小さいならば外側チャンバにおける第2の液圧を前記車両のための前記エンジン速度及びスロットル位置の関数として第3のレベルから第4のレベルへ低下させるステップを含み、前記第2の液圧が前記第1の液圧に対抗し、
前記第2の液圧を低下させることに応答して前記クラッチをスリップさせるステップを含むことを特徴とする、車両発進時にクラッチを操作する方法。
【請求項20】
車両発進時にクラッチを操作する方法において、
前記車両のためのエンジン速度及びスロットル位置の関数として外側チャンバにおける第1の液圧を第1のレベルから第2のレベルへ低下させるステップを含み、前記第1の液圧が、前記車両におけるエンジンと前記車両におけるトルクコンバータのためのインペラとの間に配置されたクラッチを閉じられた位置へ強制し、
前記関数をしきい値と比較するステップを含み、
前記関数が前記しきい値よりも小さいならば内側チャンバにおける第2の液圧を第3のレベルから第4のレベルへ上昇させるステップを含み、前記第2の液圧が前記第1の液圧に対抗し、
前記第1の液圧を低下させることに応答して前記クラッチをスリップさせるステップを含むことを特徴とする、車両発進時にクラッチを操作する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−115308(P2009−115308A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−330604(P2007−330604)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany
【Fターム(参考)】