説明

車両盗難警告システム

【課題】車両車両盗難警告システムにおいて、車両盗難の同じ誤検出が繰り返される可能性を低減する。
【解決手段】車両盗難防止装置1は、車両の盗難に関連する物理量を検出し、その物理量(すなわち検出値)が異常ならば、警告装置3を制御して警告を行わせる。ただし、車両盗難防止装置1は、異常な検出値を車両用ナビゲーション装置2に送信し、車両用ナビゲーション装置2からその検出値に係る検出が誤判定か否かの判定を受信し、誤判定であれば警告装置3を用いた警告を行わない。また、車両用ナビゲーション装置2は、車両盗難防止装置1から受信した異常な検出値に係る検出が誤判定であるか否かを、記憶している誤検出履歴データに基づいて決定する。この誤検出履歴データは、過去に受信した異常な検出値に係る検出が誤検出であるか否かのユーザによる選択を記録したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両盗難警告システムおよび車両盗難警告システムに用いるプログラム関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたセンサーからの出力が異常であることに基づいて、車両盗難(車両自体の盗難、車両の一部の盗難、および、車両の室内に置いた物の盗難等)の警告を行う車両車両盗難警告システムが知られている。
【0003】
このような車両車両盗難警告システムが、車両盗難が発生する恐れがないにも関わらず警告を行ってしまう可能性を低減するための技術として、センサー出力を異常と判定するか否かの閾値を、駐車場所、時刻、曜日、季節により変化させる技術が、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2005−7999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような技術では、上記のように設定された閾値を超えるセンサー出力については、それが実際には車両盗難に無関係な原因によるものであり、かつ、そのことをユーザがわかっていたとしても、誤検出による警告が繰り返されてしまう。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、車両車両盗難警告システムにおいて、車両盗難の同じ誤検出が繰り返される可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明において、車両に搭載される車両盗難警告システムが、以下のような作動を行う。すなわち、車両盗難の恐れに関連する検出値を出力するセンサー(11、12、13)が出力した検出値が異常を示していることに基づいて、警告装置(3)に警告を行わせる。
【0007】
また車両車両盗難警告システムは、センサー(11、12、13)が第1の時期に出力した検出値(以下、第1の検出値という)が異常を示していることに基づいて、当該第1の検出値を記録し、そして、記録した第1の検出値に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させる。そして、第1の検出値に係る検出について、ユーザが誤検出であると選択したことに基づいて、第1の検出値を誤検出履歴データの1つとして記憶装置(24)に記録する。
【0008】
また車両車両盗難警告システムは、センサー(11、12、13)が第1の時期の後の第2の時期に出力した検出値(以下、第2の検出値という)が異常を示しているとき、当該第2の検出値が、記憶装置(24)に記録されている誤検出履歴データのいずれかに適合することに基づいて、警告装置(3)の警告を禁止する。
【0009】
このようになっていることで、車両車両盗難警告システムは、異常を示す検出値(第1の検出値)が検出された場合でも、その検出が車両盗難の誤検出であるとのユーザの選択があったことに基づいて、その検出値を誤検出履歴データの1つとして記憶し、以後その検出値に適合する検出値(第2の検出値)に対しては、警告を禁止する。したがって、ユーザが誤検出であることを指定したものと同種の誤検出が繰り返される可能性が低減する。
【0010】
なお、検出値と誤検出履歴データとが「適合する」か否かについては、それらが一致するときに適合し、それらが一致しないときに適合しないとする例があってもよいし、それらが一致または類似するときに適合し、それらが類似しないときに適合しないとする例があってもよい。また、検出値の記録先は、上述の誤検出履歴データの記録先の記憶装置(24)と同じであってもよいし、他の記憶装置であってもよい。
【0011】
また、請求項2に記載のように、車両車両盗難警告システムは、センサー(11、12、13)が出力した第1の検出値が異常を示していることに基づいて、検出値および検出値の検出時期を含む組を記録し、記録した当該組に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させ、ユーザが誤検出であると選択した検出に係る組を、誤検出履歴データの1つとして記憶装置(24)に記録するようになっていてもよい。
【0012】
さらにこの場合、車両車両盗難警告システムは、センサー(11、12、13)が出力した第2の検出値が異常を示しているとき、当該第2の検出値および当該第2の検出値の検出時期を含む組が、当該記憶装置(24)に記録されている誤検出履歴データのいずれかに適合することに基づいて、警告装置(3)の上記警告を禁止するようになっていてもよい。
【0013】
このようになっていることで、ある検出についてユーザが誤検出であることを指定した場合、検出時期および検出値の組が、当該指定の対象となった検出と同種であるような検出については、誤検出が繰り返される可能性が低減する。したがって、日時と検出値との組み合わせという、きめ細かい区分けによる正確な誤検出低減が実現する。
【0014】
また、請求項3に記載のように、車両車両盗難警告システムは、センサー(11、12、13)が出力した第1の検出値が異常を示していることに基づいて、第1の検出値および第1の検出値の検出時の車両位置を記録し、記録した当該組に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させ、ユーザが誤検出であると選択した検出に係る組を、誤検出値として記憶装置(24)に記録するようになっていてもよい。
【0015】
さらにこの場合、車両車両盗難警告システムは、センサー(11、12、13)が出力した第2の検出値が異常を示しているとき、当該第2の検出値および当該第2の検出値の検出時の車両位置を含む組が、当該記憶装置(24)に記録されている誤検出履歴データのいずれかに適合することに基づいて、警告装置(3)の上記警告を禁止するようになっていてもよい。
【0016】
このようになっていることで、ある検出についてユーザが誤検出であることを指定した場合、検出位置および検出値の組が、当該指定の対象となった検出と同種であるような検出については、誤検出が繰り返される可能性が低減する。したがって、日時と検出値との組み合わせという、きめ細かい区分けによる正確な誤検出低減が実現する。
【0017】
また、請求項4に記載のように、本発明の特徴は、車両車両盗難警告システムに用いるプログラムとしても実現可能である。なお、このプログラムは、1つのコンピュータによって実行されてもよいし、複数のコンピュータによって分散実行されてもよい。
【0018】
なお、上記特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両車両盗難警告システム10の全体構成を示す。車両車両盗難警告システム10は、車両に搭載されており、車両盗難防止装置1、車両用ナビゲーション装置2、警告装置3を含む。これら車両盗難防止装置1、車両用ナビゲーション装置2、警告装置3は、車内LAN等を介して互いに信号をやりとりすることができる。
【0020】
車両盗難防止装置1は、車両の盗難に関連する物理量を検出し、その物理量(すなわち検出値)が異常ならば、警告装置3を制御して警告を行わせる。ただし、車両盗難防止装置1は、異常な検出値を車両用ナビゲーション装置2に送信し、車両用ナビゲーション装置2からその検出値に係る検出が誤判定か否かの判定を受信し、誤判定であれば警告装置3を用いた警告を行わない。
【0021】
また、車両用ナビゲーション装置2は、車両盗難防止装置1から受信した異常な検出値に係る検出が誤判定であるか否かを、記憶している誤検出履歴データに基づいて決定する。この誤検出履歴データは、過去に受信した異常な検出値に係る検出が誤検出であるか否かのユーザによる選択を記録したものである。
【0022】
以下、このような車両盗難防止装置1、車両用ナビゲーション装置2、警告装置3の構成および作動について説明する。
【0023】
車両盗難防止装置1は、音センサー11、振動センサー12、傾きセンサー13、記憶装置14、制御装置15を有している。
【0024】
音センサー11は、車両に発生する音を検出し、その音の大きさに応じた検出値を信号として制御装置15に出力するセンサーである。振動センサー12は、車両の振動を検出し、その振動の振幅の大きさに応じた検出値を信号として制御装置15に出力する装置である。傾きセンサー13は、車両の水平面に対する傾斜角を検出し、その傾斜角に応じた検出値を信号として制御装置15に出力する装置である。
【0025】
これらセンサー11〜13が出力する検出値は、車両盗難の恐れに関連する検出値である。すなわち、車両の停止中に車両に大きな音が発生したり、車両が激しく揺れたり、車両が大きく傾いたりした場合には、車両盗難(車両自体の盗難、車両の一部の盗難、および、車両の室内に置いた物の盗難等)の可能性が高い。なお、これらセンサー11〜13に代えて、車両盗難の恐れに関連する他の検出値を出力するセンサを用いてもよい。
【0026】
記憶装置14は、制御装置15の実行用のプログラム、各種閾値等のデータを記録するための記憶媒体である。
【0027】
制御装置(コンピュータに相当する)15は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは記憶装置14から読み出した車両盗難防止装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および記憶装置14から情報を読み出し、RAMおよび記憶装置14に対して情報の書き込みを行い、必要に応じてセンサ11〜13、車両用ナビゲーション装置2、および警告装置3と信号の授受を行う。制御装置15の具体的な処理内容については後述する。
【0028】
車両用ナビゲーション装置2は、GPS測位装置21、操作装置22、表示装置23、記憶装置24、および制御装置25を有している。GPS測位装置21は、GPS(Global Positioning System)衛星からの無線信号に基づいて自車両の現在位置を特定し、特定した現在位置を制御装置25に出力する。
【0029】
操作装置22は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を制御装置25に出力する。表示装置23は、制御装置15の制御に基づいて画像、文字等を表示するディスプレイである。
【0030】
記憶装置24は、制御装置25の実行用のプログラム、各種閾値等のデータを記録するための、書き込み可能な耐久記憶媒体である。なお、耐久記憶媒体とは、車両用ナビゲーション装置2への主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体としては、例えば、ハードディスク等の大容量記憶装置、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。また、記憶装置24は、上述の誤検出履歴データを記憶する領域が確保されている。
【0031】
制御装置(コンピュータに相当する)25は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは記憶装置24から読み出した車両用ナビゲーション装置2の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および記憶装置24から情報を読み出し、RAMおよび記憶装置24に対して情報の書き込みを行い、必要に応じてGPS測位装置21、操作装置22、表示装置23、車両盗難防止装置1、および警告装置3と信号の授受を行う。制御装置25の具体的な処理内容については後述する。
【0032】
警告装置3は、車両ホーン制御装置31、車両ライト制御装置32を有している。車両ホーン制御装置31は、車両の警告ホーンおよびホーンの吹鳴を制御する装置から成り、車両ライト制御装置32は、車両の照明機器(例えばヘッドライト、ブレーキランプ)および当該照明機器の明滅を制御する装置から成る。これら車両ホーン制御装置31、車両ライト制御装置32は、車両盗難防止装置1、車両用ナビゲーション装置2からの制御に基づいて作動・非作動を切り替える。なお、警告装置3としては、これら車両ホーン制御装置31、車両ライト制御装置32に代えて、車両の周囲に警告を発することのできる装置を用いてもよい。
【0033】
以下、これら車両盗難防止装置1、車両用ナビゲーション装置2、および警告装置3の作動について、図2〜図4のフローチャートを用いて説明する。車両盗難防止装置1の制御装置15は、車両のエンジンオフ時(すなわち、駐車時または停車時)において、図2に示すプログラム100の実行を開始する。なお、車両用ナビゲーション装置2は、車両のエンジンがオフとなる時点で、作動が停止し、電源オフとなる。
【0034】
このプログラム100の実行において、制御装置15は、まずステップ110で、自車両のエンジンが始動したか否かを、例えばイグニッション線からの信号に基づいて判定し、始動した場合にはプログラム100の実行を終了し、始動していないなら続いてステップ120を実行する。
【0035】
ステップ120では、センサー11〜13からの検出値が異常値を示しているか否かを、記憶装置14中の閾値の情報に基づいて判定する。具体的には、例えば、例えば、音センサー11からの検出値が第1の閾値より大きい、振動センサー12からの検出値が第2の閾値より大い、かつ、傾きセンサー13からの検出値が第3の閾値より大きいという3つの条件のうち1つ(またはいずれか2つ)が満たされたときに、異常値を示していると判定する。
【0036】
なお、この閾値は、所定の一定値であってもよいし、あるいは、特許文献1に記載のように、駐車場所、時刻、曜日、季節に応じて変化させるようになっていてもよい。ステップ120の判定結果が肯定的な場合、続いてステップ130を実行し、否定的な場合、再度ステップ110を実行する。
【0037】
続いてステップ130では、車両用ナビゲーション装置2を起動する。続いてステップ140では、起動した車両用ナビゲーション装置2に対して、異常値の検出対象となったセンサー11〜13からの検出値をまとめ、それをセンサー値として車両用ナビゲーション装置2に送信する。なお、このセンサー値には、センサー11〜13からの検出信号のうち、どの検出信号が異常であったか(すなわち、対応する閾値を超えたか)を示す情報を含めるようになっていてもよい。
【0038】
後で詳述するように、車両用ナビゲーション装置2は、受信したセンサー値に基づいて、当該センサー値に係る検出が誤検出であるか否かを判定し、その判定結果を車両盗難防止装置1に送信する。なお、誤検出とは、車両が車両盗難の危険に遭っていないにもかかわらず、センサー11〜13が異常な検出値を出力することをいう。
【0039】
制御装置15は、続くステップ150でこの車両用ナビゲーション装置2からの判定結果を待ち、それを受信すると続いてステップ160で、当該判定結果が誤検出を示しているか否かを判定する。誤検出を示している場合は続いてステップ110を実行し、誤検出を示していない場合は続いてステップ170を実行する。
【0040】
ステップ170では、警告装置3を制御することで、ホーンの吹鳴、ライトの点滅等の警告制御を行う。続いてステップ180では、エンジンが始動したか否かを判定し、始動していなければ再度ステップ170を実行し、始動していればプログラム100の実行を終了する。
【0041】
このように、制御装置15は、エンジンが停止してからエンジンが始動するまで(ステップ110参照)の駐車時または停車時において、センサー11〜13から異常な検出値を受けるまで待ち(ステップ120参照)、異常な検出値を受けると、車両用ナビゲーション装置2を起動して車両用ナビゲーション装置2宛に当該検出値から成るセンサー値を送信する(ステップ140参照)。
【0042】
そして、送信したセンサー値の応答として、車両用ナビゲーション装置2から、今回の検出が誤検出であるか否かの判定結果を受信すると(ステップ150参照)、その判定が誤検出を示していない場合(ステップ160参照)、警告装置3を制御して車外への警告を、エンジン始動まで(ステップ180参照)継続して実行する(ステップ170参照)。しかし、車両用ナビゲーション装置2の判定が誤検出を示している場合車外への警告を行わない(ステップ160→NO参照)。
【0043】
ここで、上述したプログラム100のステップ130の作動によって起動した車両用ナビゲーション装置2の作動について説明する。車両用ナビゲーション装置2の制御装置25は、エンジンオフ時に起動すると、図3に示すプログラム200の実行を開始する。
【0044】
このプログラム200の実行において制御装置25は、まずステップ210で、車両盗難防止装置1から送信されたセンサー値を受信し、続いてステップ215で、現在日時を特定すると共に、GPS測位装置21からの信号に基づいて、自車両の現在位置を特定する。この現在日時は、車両盗難防止装置1による異常検出値の検出日時と実質的に同じである。したがって、この現在位置は、車両盗難防止装置1による異常検出値の検出日時における自車位置と実質的に同じである。
【0045】
続いてステップ220で、ステップ210において受信したセンサー値、ステップ215で特定した現在日時および現在位置の3つから成る組と、記憶装置24中の誤検出履歴データとを比較する。
【0046】
ここで、誤検出履歴データについて説明する。誤検出履歴データは、複数の組から成り、各組は、過去の車両盗難防止装置1による異常検出値の検出機会において特定されたセンサー値、検出日時(すなわち当該機会における現在日時)、検出位置(すなわち当該機会における現在位置)を含んでいる。そして、これら組は、後述する通り、ユーザが誤検出である旨を指定した検出に対応する組である。
【0047】
ステップ220では、直前のステップ210、215で取得した組(以下、取得組という)が、誤検出履歴データ中の複数の組(以下、履歴組という)のいずれか1つに適合するか否かを判定する。取得組が、ある履歴組に適合するとは、具体的には、例えば、(1)取得組中の現在日時と、当該履歴組中の検出日時とが類似し、(2)取得組中の現在位置と、当該履歴組中の検出位置とが近接し、(3)取得組中のセンサー値と、当該履歴組中のセンサー値とが類似することをいう。
【0048】
2つの日時が類似する例としては、2つの日時の曜日が同一である、および、2つの日時の時刻帯(例えば15:00〜16:00)が同一である、等が挙げられる。センサー値が類似するか否かは、例えば、各検出値にあらかじめ許容幅を設けておき、取得組中のすべての検出値が、当該履歴組中の対応する検出値の許容範囲内に含まれれるか否かで判定する。
【0049】
取得組が履歴組のいずれか1つに適合する場合、続いてステップ230を実行し、いずれにも適合しない場合、続いてステップ240を実行する
ステップ230では、誤検出があった旨の判定結果を車両盗難防止装置1に送信し、続いてステップ260で車両用ナビゲーション装置2の電源をオフにする。この電源がオフになった時点で、ステップ210、215で取得した取得組の情報は消去される。
【0050】
ステップ240では、誤検出がなかった旨の判定結果を車両盗難防止装置1に送信し、続いてステップ250で、取得組の情報を記憶装置24に記録し、続いてステップ260で車両用ナビゲーション装置2の電源をオフとする。
【0051】
このように、制御装置25は、車両盗難防止装置1から受信したセンサー値(ステップ210参照)、現在日時、および現在位置(ステップ215参照)の組が、誤検出履歴データのうちいずれか1つに合致することに基づいて(ステップ220参照)、誤検出ありの判定結果を車両盗難防止装置1に通知し(ステップ230参照)、その後車両用ナビゲーション装置2の電源オフと共に受信したセンサー値を消去する(ステップ260参照)。
【0052】
また、当該組が、誤検出履歴データのいずれにも適合しないことに基づいて、誤検出なしの判定結果を車両盗難防止装置1に通知し(ステップ240参照)、また、当該組を、一時的に記憶装置24に記録し(ステップ250参照)その後車両盗難防止装置1の電源をオフとする(ステップ260参照)。
【0053】
次に、車両用ナビゲーション装置2による誤検出履歴データの記録の作動について説明する。制御装置25は、この作動のため、車両のエンジンが始動して車両用ナビゲーション装置2が起動するときに、図4に示すプログラム300の実行を開始する。
【0054】
このプログラム300の実行において制御装置25は、まずステップ310で、直前のエンジンオフ時に車両盗難に対する警告が行われていたか否かを判定する。具体的には、記憶装置24に取得組が記録されていれば警告が行われたと判定し、記録されていなければ警告が行われなかったと判定する。判定結果が肯定的な場合続いてステップ320を実行し、否定的な場合プログラム300の実行を終了する。
【0055】
ステップ320では、記録されている取得組中の情報に基づいて、警告実施時(すなわち、検出日時)を表示装置23に表示させる。さらに、取得組中のセンサー値中に、どの検出値が異常であるかを示す情報が含まれている場合、その情報を、警告原因の情報として、表示装置23に表示させる。
【0056】
続いてステップ330で、表示装置23を用いて、当該警告が誤作動であったか否かを、ユーザに問い合わせる。この問い合わせにおいては、例えば、表示装置23にYESボタンおよびNOボタンを表示させ、さらに、それらのうち1つをユーザに選択させるよう促す文字を表示させるようになっていてもよい。
【0057】
続いてステップ340では、誤作動であったか否かについてのユーザの選択を、操作装置22を介して受け付ける。ユーザは、自らが見た車両の内外の状況に基づいて、車両盗難があったか否かを判断することができる。この選択結果が、誤作動ありを示している場合、続いてステップ350を実行し、誤作動ではない旨を示している場合、続いてステップ360を実行する。
【0058】
ステップ350では、記憶装置24に一時的に記録していた取得組を、新たな履歴組として誤検出履歴データに追加登録する。ステップ36では、記憶装置24に一時的に記録していた取得組を消去する。ステップ350、360の後、プログラム300の実行を終了する。
【0059】
このように、制御装置25は、エンジン始動の度に、直前のエンジンオフ時に車両盗難に対する警告が行われていた場合(ステップ310参照)、その警告実施時の日時、異常検出の理由等を表示装置23に表示させ(ステップ320参照)、それと共に、当該警告が誤作動であったか否かをユーザに問い合わせる(ステップ330参照)。
【0060】
そして、誤作動であった旨のユーザの選択操作を受け付けると(ステップ340参照)、一時的に記憶装置24に保存していた取得組のデータを、記憶装置24中の誤検出履歴データに追加記録する(ステップ350参照)。また、誤作動でなかった旨のユーザの選択操作を受け付けると(ステップ340参照)、一時的に記憶装置24に保存していた取得組のデータを消去する(ステップ360参照)。
【0061】
このようなプログラム300の処理が繰り返されることで、警告の実行の度に、その警告が誤作動であったか否かのユーザの判断が誤検出履歴データに蓄積されていく。したがって、一度ユーザによって誤作動である旨指定された検出状況と類似の検出状況が再度発生したとしても、警告が再度行われることがない。すなわち、同種の誤検出が繰り返されることがない。
【0062】
以上説明した通り、車両盗難防止装置1が警告を実行する際に、車両用ナビゲーション装置2は、その警告時の位置、日時、異常検出原因(音、振動など)を記憶装置24に一時的に記録する(ステップ250参照)。その後、エンジン始動時に、表示装置23に当該警告が正しかったか誤りだったかをユーザ(例えばドライバー)に入力してもらう(ステップ330、340参照)。そして、誤りだった場合は、当該警告時の位置、日時、センサー値の組を誤検出履歴データに追加し(ステップ350参照)、誤作動でなかった時は当該組を消去する(ステップ360参照)。
【0063】
このように、車両盗難防止装置1が、センサー11〜13が出力した検出値が異常を示していることに基づいて、警告装置3に警告を行わせる。そして、ある時期(第1の時期に相当する)センサー11〜13からの検出値(第1の検出値に相当する)が異常を示していることに基づいて、車両用ナビゲーション装置2が当該検出値、検出日時、検出位置の組を記録し、記録した組に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させる。そして、ユーザが誤検出であると選択した検出に係る検出値を含む組を、誤検出履歴データとして記録する。
【0064】
そして、車両盗難防止装置1は、後の時期(第2の時期に相当する)にセンサー11〜13が出力した検出値(第2の検出値に相当する)が異常を示しているとき、当該検出値、検出日時、検出位置の組が、誤検出履歴データのいずれかに適合することに基づいて、警告装置3の上記警告を禁止する。
【0065】
このようになっていることで、車両車両盗難警告システム10は、異常を示す検出値が検出されて警告が行われた場合でも、その検出および警告が誤作動であるとのユーザの選択があったことに基づいて、その検出値等の組を誤検出履歴データとして記憶し、以後その検出値に適合する検出値に対しては、警告を禁止する。したがって、ユーザが誤検出であることを指定したものと同種の誤検出が繰り返される可能性が低減する。しかも、検出日時、検出位置、および検出値の組み合わせという、きめ細かい区分けによる正確な誤検出低減処理が実現する。
【0066】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0067】
例えば、車両用ナビゲーション装置2の制御装置25は、図3のステップ230の後にステップ250を実行するようになっていてもよい。そして、図4のステップ360において、一時的に記録した取得組を消去すると共に、当該取得組に合致する履歴組が誤検出履歴データに含まれている場合には、当該履歴組も消去するようになっていてもよい。すなわち、車両用ナビゲーション装置2は、警告した検出および警告しなかった検出のいずれにつても、その異常な検出値等を記録して後でユーザに表示し、それぞれ誤検出であったか否かをユーザに選択させるようになっていてもよい。このようになっていることで、一度誤検出であったとユーザが判断した検出状況についても、後に訂正することができるようになる。
【0068】
また、取得組、履歴組に含まれるのは、検出日時とセンサー値のみであってもよいし、検出位置とセンサー値のみであってもよいし、センサー値のみであってもよい。
【0069】
また、制御装置25は、ステップ230においては、車両盗難防止装置1に誤検出である旨を通知することで、車両盗難防止装置1のステップ170の作動を禁止するようになっている。しかし、制御装置25は、ステップ230において、直接車両ホーン制御装置31、車両ライト制御装置32を直接制御して、車両盗難防止装置1からの制御に関わらず、車両ホーン制御装置31、車両ライト制御装置32の作動を禁止するようになっていてもよい。
【0070】
また、プログラム300の実行は必ずエンジン始動時である必要はなく、例えばユーザが操作装置22を操作して実行を指示したときに、制御装置25がプログラム300を実行するようになっていてもよい。
【0071】
また、上記の実施形態において、制御装置15、25がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る車両車両盗難警告システム10の構成図である。
【図2】車両盗難防止装置1の制御装置15が車両停止時に実行するプログラム100のフローチャートである。
【図3】車両用ナビゲーション装置2の制御装置25が車両停止時に起動して実行するプログラム200のフローチャートである。
【図4】制御装置25が起動時に実行するプログラム300のフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1 車両盗難防止装置
2 車両用ナビゲーション装置
3 警告装置
10 車両車両盗難警告システム
11〜13 センサー
21 GPS測位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両盗難警告システムであって、
車両盗難の恐れに関連する検出値を出力するセンサー(11、12、13)が出力した検出値が異常を示していることに基づいて、警告装置(3)に警告を行わせる警告制御手段(100)と、
前記センサー(11、12、13)が第1の時期に出力した検出値(以下、第1の検出値という)が異常を示していることに基づいて、前記第1の検出値を記録する検出記録手段(250)と、
前記検出記録手段(250)が記録した前記第1の検出値に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させる選択受付手段(330)と、
前記第1の検出値に係る検出について、前記ユーザが誤検出であると選択したことに基づいて、前記第1の検出値を誤検出履歴データの1つとして記憶装置(24)に記録する誤検出記録手段(350)と、
前記センサー(11、12、13)が前記第1の時期の後の第2の時期に出力した検出値(以下、第2の検出値という)が異常を示しているとき、前記第2の検出値が、前記記憶装置(24)に記録されている前記誤検出履歴データのいずれかに適合することに基づいて、前記警告装置(3)の警告を禁止する禁止手段(230)と、備えた車両盗難警告システム。
【請求項2】
前記検出記録手段(250)は、前記センサー(11、12、13)が出力した前記第1の検出値が異常を示していることに基づいて、前記第1の検出値および前記第1の検出値の検出時期を含む組を記録し、
前記選択受付手段(330)は、前記検出記録手段(250)が記録した前記組に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させ、
前記誤検出記録手段(350)は、前記ユーザが誤検出であると選択した検出に係る組を、誤検出履歴データの1つとして記憶装置(24)に記録し、
前記禁止手段(230)は、前記センサー(11、12、13)が出力した前記第2の検出値が異常を示しているとき、当該第2の検出値および当該第2の検出値の検出時期を含む組が、前記記憶装置(24)に記録されている誤検出履歴データのいずれかに適合することに基づいて、前記警告装置(3)の警告を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両盗難警告システム。
【請求項3】
前記検出記録手段(250)は、前記センサー(11、12、13)が出力した前記第1の検出値が異常を示していることに基づいて、前記第1の検出値および前記第1の検出値の検出時における前記車両の位置を含む組を記録し、
前記選択受付手段(330)は、前記検出記録手段(250)が記録した前記組に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させ、
前記誤検出記録手段(350)は、前記ユーザが誤検出であると選択した検出に係る組を、誤検出履歴データの1つとして記憶装置(24)に記録し、
前記禁止手段(230)は、前記センサー(11、12、13)が出力した前記第2の検出値が異常を示しているとき、当該第2の検出値および当該第2の検出値の検出時における前記車両の位置を含む組が、前記記憶装置(24)に記録されている誤検出履歴データのいずれかに適合することに基づいて、前記警告装置(3)の前記警告を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の車両盗難警告システム。
【請求項4】
車両に搭載される車両盗難警告システムに用いるプログラムであって、
車両盗難の恐れに関連する検出値を出力するセンサー(11、12、13)が出力した検出値が異常を示していることに基づいて、警告装置(3)に警告を行わせる警告制御手段(100)、
前記センサー(11、12、13)が出力した前記検出値が異常を示していることに基づいて、前記検出値を記録する検出記録手段(250)、
前記検出記録手段(250)が記録した前記検出値に係る検出について、誤検出であるか否かをユーザに選択させる選択受付手段(330)、
ユーザが誤検出であると選択した検出に係る検出値を、誤検出値として記憶装置(24)に記録する誤検出記録手段(350)、および
前記センサー(11、12、13)が出力した前記検出値が異常を示しているとき、当該検出値が、前記記憶装置(24)に記録されている誤検出値のいずれかに適合することに基づいて、前記警告装置(3)の前記警告を禁止する禁止手段(230)として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−166511(P2009−166511A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3453(P2008−3453)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】