説明

車両盗難防止用制御装置及び車両盗難防止装置

【課題】車両盗難の抑止力を向上させることができる車両盗難防止用制御装置を提供すること。
【解決手段】車両1の前後に取り付けられ、前記車両を識別するナンバー情報を記憶する第1電子ナンバープレート2及び第2電子ナンバープレート3と、前記車両1側に搭載され、前記第1電子ナンバープレート2から前記ナンバー情報を読み取る第1データ読み取り手段14と、前記車両1側に搭載され、前記第2電子ナンバープレート3から前記ナンバー情報を読み取る第2データ読み取り手段15と、前記第1及び前記第2データ読み取り手段14,15が、前記第1及び前記第2電子ナンバープレート2,3からそれぞれ読み取ったナンバー情報を照合し、一致しない場合に、前記車両1の走行を制限する走行制限手段11と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両盗難防止用制御装置及び車両盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車やオートバイ等の車両盗難が多発し、その手口は多様化している。イモビライザは、鍵に記憶されているIDコードが、車両本体内に記憶されているIDコードと一致しなければ、エンジンを始動しない装置である。イモビライザは高い盗難防止効果があるため、イモビライザを搭載する車両が増えている。しかし、イモビライザには、正規の鍵を盗まれた場合に、盗難を防止できない問題がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、鍵によってイグニッションスイッチがAccの状態に操作された場合に、車両に取り付けられた電子ナンバープレートに記憶している車両IDと、車両を作動させる鍵に記憶している鍵IDとが一致するか否かを判定し、車両IDと鍵IDとが一致しない場合には、エンジンを始動させない技術が提案されている。これによれば、電子ナンバープレートが取り外されると、車両IDと鍵IDとが一致しなくなるため、正規の鍵を使用してもエンジンが始動させることができない。つまり、窃盗者は、車両を運転してアジトまで持ち去ることができない。
【0004】
また、特許文献1には、車両IDと鍵IDとが不一致である場合には、不一致情報を電子ナンバープレートにセットしておき、電子ナンバープレートと路上監視システムとの通信が成立したときに、電子ナンバープレートが路上監視システムを介してホストコンピュータへ不一致情報を送信する技術が記載されている。不一致情報を取得したホストコンピュータは、不一致情報に含まれる車両IDを盗難車両データに照合し、車両が盗難車であると判断した場合には路上監視システムを利用して盗難車を追尾する。これによれば、盗難車が窃盗者のアジトへ持ち去られる前に、盗難車を発見することが可能になる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−29383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の車両盗難防止用制御装置は、アイドル状態の車両から電子ナンバープレートを取り外して偽造ナンバープレートを取り付けた場合には、当該車両を運転することができた。電子ナンバープレートは、個別の自動車を識別するために取り付けられた標識板であるため、電子ナンバープレートを付け替えれば、その車両の所有者を特定することが難しい。よって、窃盗者は、偽造ナンバープレートを取り付けた車両を簡単にアジトまで持ち去ることができた。
【0007】
具体的には、窃盗者は、例えば、車両の所有者が買い物や子供の送り迎えをするために、或いは、追突事故の相手と話し合いをするために、鍵を車両につけたまま車両から離れた隙に、窃盗現場から車両を運転して持ち去る。従来の車両盗難防止用制御装置は、窃盗者が、窃盗現場と別の場所に車両をアイドル状態で停止させて電子ナンバープレートを偽造ナンバープレートに付け替えると、鍵IDと車両IDとが一致しなくなっても、車両を再発進させることができた。
【0008】
従来の車両盗難防止用制御装置は、鍵IDと車両IDとが一致しないことを路側システムに知らせて盗難車を追尾する。しかし、電子ナンバープレート自体が取り外されると、もはや、鍵IDと車両IDとの不一致情報を路側監視システムを介してホストコンピュータに送信できない。
【0009】
よって、従来の車両盗難防止用制御装置は、盗んだ車両のエンジンを停止させることなく、電子ナンバープレートを偽造ナンバープレートに付け替えれば、盗んだ車両を追尾されることなく、アジトへ持ち去ることができた。そのため、従来の車両盗難防止用制御装置は、車両盗難に対する抑止力が小さかった。
【0010】
また、上記電子ナンバープレートは、路側システムと通信する際の通信距離が長いため、内部バッテリを利用して路側システムと通信していた。そのため、従来の盗難防止システムは、電子ナンバープレートに搭載される内部バッテリの消費量が大きかった。
【0011】
電子ナンバープレートは、内部バッテリが消耗すると、路側システムと通信する通信性能が低下する。この場合、車両盗難防止用制御装置は、鍵IDと車両IDとが一致しないことを確認しても、電子ナンバープレートから路側システムに不一致情報を送信できず、ホストコンピュータに盗難車を追尾させることができない。よって、従来の車両盗難防止用制御装置は、電子ナンバープレートの通信機能が不安定であり、車両の盗難防止に対する信頼性が低かった。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、車両盗難の抑止力を向上させることができる車両盗難防止用制御装置を提供することを第1の目的とする。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、電子ナンバープレートの通信機能を安定させ、車両の盗難防止に対する信頼性を向上させることができる車両盗難防止装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明の車両盗難防止用制御装置は、車両の前後に取り付けられ、前記車両を識別するナンバー情報を記憶する第1電子ナンバープレート及び第2電子ナンバープレートと、前記車両側に搭載され、前記第1電子ナンバープレートから前記ナンバー情報を読み取る第1データ読み取り手段と、前記車両側に搭載され、前記第2電子ナンバープレートから前記ナンバー情報を読み取る第2データ読み取り手段と、前記第1及び前記第2データ読み取り手段が、前記第1及び前記第2電子ナンバープレートからそれぞれ読み取ったナンバー情報を照合し、一致しない場合に、前記車両の走行を制限する走行制限手段と、を有する。
【0014】
(2)(1)に記載の発明において、前記車両の走行状態を検出する走行検出手段を有し、前記走行制限手段は、前記走行検出手段の検出結果に基づいて前記車両がアイドル状態であると判断し、かつ、前記第1及び前記第2電子ナンバープレートのナンバー情報が一致しないと判定する場合に、前記車両の走行を制限する。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、盗難情報のデータベースを備える路側システムとの間でデータを送受信する送受信手段を有し、前記走行制限手段は、前記送受信手段が、前記車両が盗難車であることを知らせる盗難情報を前記路側システムから受信した場合に、前記車両の走行を制限する。
【0016】
(4)(1)乃至(3)の何れか一つに記載の発明において、車両側に搭載され、前記車両を識別する事前登録情報を記憶する記憶手段を有し、前記走行制限手段は、前記第1及び前記第2データ読み取り手段によって前記第1及び前記第2電子ナンバープレートから読み取ったナンバー情報が一致する場合に、前記ナンバー情報が前記記憶手段に登録されている前記事前登録情報と一致するか否かを判定し、前記ナンバー情報と前記事前登録情報とが一致しない場合に、前記車両の走行を制限する。
【0017】
(5)車両と、前記車両に取り付けられ、前記車両を識別するナンバー情報を記憶する電子ナンバープレートと、前記路側システムを利用する場合に前記車両を識別するための外部通信情報を記憶し、前記路側システムに前記外部通信情報を送信する外部送信手段と、前記外部通信情報と前記ナンバー情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合には、前記車両の走行を制限する走行制限手段と、を有する。
【0018】
(6)(5)に記載の発明において、前記車両の現在位置を検出する位置検出手段を有し、前記走行制限手段は、前記位置検出手段の現在位置検出結果に基づいて前記車両が前記路側システムの利用区域内に存在するか否かを判断し、前記車両が前記利用区域内に存在するときに、前記車両の走行を制限する。
【0019】
(7)上記第2の目的を達成するために、本発明の車両盗難防止装置は、車両にスライド可能に取り付けられ、データを記憶する電子ナンバープレートと、前記電子ナンバープレートが前記車両に対してスライドする際に発電する発電手段と、前記電子ナンバープレートからデータを読み取るデータ読み取り手段と、を有し、前記通信手段は、前記発電手段の発電電力を利用して、前記データ読み取り手段にデータを送信する。
【0020】
(8)(7)に記載の発明において、前記電子ナンバープレートを前記車両に対してスライドさせる際に抵抗を生じる抵抗手段を有する。
【0021】
(9)(7)又は(8)に記載の発明おいて、前記車両と前記電子ナンバープレートは、前記電子ナンバープレートをスライドさせる方向に沿って設けられた凹凸を係合させている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の車両盗難防止用制御装置は、第1及び第2データ読み取り手段が第1及び第2電子ナンバープレートからそれぞれ読み取ったナンバー情報が一致しない場合には、車両の走行を制限する。そのため、車両は、エンジンの始動前後にかかわらず、第1及び/又は第2電子ナンバープレートが車両から取り外されると、第1及び/又は第2電子ナンバープレートが取り外された現場から移動できない。つまり、窃盗者は、アジトへ車両を持ち帰るまで第1及び第2電子ナンバープレートを車両から取り外すことができず、追跡されやすい。よって、本発明の車両盗難防止用制御装置によれば、当該装置を適用する車両が窃盗対象に選ばれにくくなり、車両盗難に対する抑止力を向上させることができる。
【0023】
本発明の車両盗難防止用制御装置は、車両がアイドル状態であるときに、第1及び第2電子ナンバープレートのナンバー情報が一致しないと判定する場合に、車両の走行を制限する。つまり、車両は、走行中に故意に第1及び第2電子ナンバープレートを取り外すことができず、エンジン停止中若しくはアイドル状態のときに第1及び第2電子ナンバープレートが取り外されるので、エンジン停止後にエンジンを始動させてアイドル状態にした場合や、車両をアイドル状態にしたときに、第1及び第2電子ナンバープレートのナンバー情報が一致するか否かを判定し、一致しない場合に車両の運転を制限する。よって、本発明の車両盗難防止用制御装置によれば、仮に第1及び第2電子ナンバープレートを取り外した後に車両が走行したとしても、赤信号などで車両が停車した場合に、車両の走行を制限できる。
【0024】
本発明の車両盗難防止用制御装置は、第1及び第2電子ナンバープレートのナンバー情報が一致しない場合には、当該車両が盗難車であることを知らせる盗難情報を路側システムから受信したときに、車両の運転を制限する。よって、本発明の車両盗難防止用制御装置によれば、車両走行中に物が第1又は第2電子ナンバープレートに当たった場合にまで車両の走行を制限せず、盗難車の走行のみを制限できる。
【0025】
本発明の車両盗難防止用制御装置は、第1及び第2電子ナンバープレートのナンバー情報が一致する場合でも、そのナンバー情報が、車両側の記憶手段に記憶されている事前登録情報と一致しない場合には、車両の走行を制限する。よって、本発明の車両盗難防止用制御装置によれば、ナンバー情報を一致させるために、第1及び第2電子ナンバープレートを車両から取り外し、他の車両から盗んだ電子ナンバープレートを車両に取り付けたとしても、第1及び第2電子ナンバープレートを盗難ナンバープレートに交換した現場から車両を移動させることができない。
【0026】
本発明の車両盗難防止用制御装置は、位置検出手段によって車両の現在位置をモニタしており、電子ナンバープレートに記憶されているナンバー情報が、外部送信手段に記憶されている外部通信情報と一致しない場合には、車両の走行を制限する。このような車両盗難防止用制御装置を適用した車両は、別の車両の外部送信手段が取り付けられると、走行が制限されるので、使用態様が限定される。よって、本発明の車両盗難防止用制御装置によれば、本制御装置を使用した車両が盗難対象に選ばれにくくなり、車両盗難に対する抑止力を向上させることができる。
【0027】
本発明の車両盗難防止用制御装置は、車両が路側システムの利用区域内にあるときに、車両の運転を制限することによって、路側システムの利用区域という限られた範囲の外へ車両が持ち去られることを防ぎ、盗難車を発見しやすい。
【0028】
本発明の車両盗難防止装置は、電子ナンバープレートを車両に着脱するために電子ナンバープレートを車両に対してスライドさせたときに、発電手段が発電し、その発電電力を利用して通信手段がデータ読み取り手段と通信するので、電子ナンバープレートが着脱されるときに、通信手段が電力不足によりデータ読み取り手段と通信できない不具合を回避することが可能である。よって、本発明の通信制御装置によれば、通信手段の通信機能を安定させ、盗難防止に対する信頼性を向上させることができる。
【0029】
本発明の車両盗難防止装置は、抵抗手段の抵抗に抗して、電子ナンバープレートを車両に対してスライドさせて車両に着脱するので、電子ナンバープレートを車両に対してほぼ一定の速度でスライドさせ、発電手段に発電させることができる。
【0030】
本発明の車両盗難防止装置は、車両の凹凸部と電子ナンバープレートの凸凹部とを係合させて電子ナンバープレートを車両に取り付けるため、凸凹部を備えない電子ナンバープレートを車両に取り付けることができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明に係る車両盗難防止用制御装置及び車両盗難防止装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
(第1実施形態)
<車両の構成>
図3は、後述する車両盗難防止用制御装置10(図1参照)を適用した車両1の一例を示す図である。
車両1は、第1電子ナンバープレート2が前側に取り付けられ、第2電子ナンバープレート3が後側に取り付けられている。車両1は、車両盗難防止用制御装置10を適用して、車両盗難防止対策を講じている。
【0033】
<第1及び第2電子ナンバープレートの構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両盗難防止用制御装置10の概略構成図である。
先ず、第1及び第2電子ナンバープレート2,3の構成を説明する。第1及び第2電子ナンバープレート2,3は、車両1に個別に付与された自動車登録番号が記載されたナンバープレート4,5に、通信器(通信手段、送受信手段の一例)6,7を搭載して構成されている。
【0034】
通信器6,7は、いわゆるRFIDであり、バッテリ6a,7aと、ICチップ6b,7bと、アンテナ6c,7cが設けられている。バッテリ6a,7aは、通信器6,7の駆動時に消費する電気を蓄電している。ICチップ6b,7bは、読み出し専用のデータと、読み書き可能なデータとを記憶するメモリと、データの送受信を制御する送受信部とを備える。ICチップ6b,7bには、車両1を識別するナンバー情報や自動車登録番号など車両1に固有のナンバー情報を読み出し専用に記憶するナンバー情報記憶領域6d,7dが設けられている。アンテナ6c,7cは、車両本体側に設けられた第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15や、路側システム8の路側アンテナ9との間でデータを送受信する。
【0035】
尚、路側システム8は、車両と路側とを無線通信で結び、車両と路側との協調によって所定目的のシステムを構築したDSRC(狭域通信;Dedicated Short Range Communication)システム等である。DSRCシステムは、ETC技術を、安全走行支援情報の提供や、各種施設における通信手段、ガソリンスタンドや駐車場などの決済手段などに用いて、多目的に利用されつつある。本実施形態では、路側システム8は、例えば、有料道路の通行料金を自動決済するETCシステムや、路側アンテナ9が車両1から受信するデータに基づいて盗難車を特定し、特定した盗難車を路側アンテナ9を利用して追跡する盗難車自動追跡システムなどを含む。
【0036】
<車両盗難防止用制御装置の電気制御構成>
車両盗難防止用制御装置10は、エンジンの動作を制御するエンジンECU(Electronic Contorol Unit;走行制限手段の一例)11を中心に構成されている。尚、本実施形態では、エンジンECU11を中心に車両盗難防止用制御装置10を構成したが、例えば、車両1全体の動作を制御する中央ECUなど他のECUを中心に車両盗難防止用制御装置10を構成しても良い。
【0037】
エンジンECU11には、LANなどの通信線12を介して、ECT車載器(外部送信手段の一例)13と、第1リーダ/ライタ装置(第1データ読み取り手段の一例)14と、第2リーダ/ライタ装置(第2データ読み取り手段の一例)15と、ナビ16と、イモビライザ17(記憶手段の一例)と、鍵ON/OFF状態検知器18と、位置検出器(位置検出手段の一例)19と、走行検出器(走行検出手段の一例)20と、通信モジュール21とが接続されている。これらの機器の相互通信は、通信モジュール21によって制御されている。
【0038】
ETC車載器13は、路側システム8の一例であるETC(Electoronic Toll Collection)システムに利用されるものである。ETC車載器13は、有料道路の料金収受所に設置された路側アンテナ9と通信し、料金収受所のゲートを開閉させる。ETC車載器13は、ETCシステムを利用する場合に車両1を識別するためのETC登録情報(外部通信情報の一例)を記憶するETC登録情報記憶領域13aが設けられている。
【0039】
第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3の通信器6,7と非接触で通信して、ICチップ6b,7bにデータを読み書きするものである。
【0040】
ナビ16は、道路案内や車両情報などを画面表示や音声出力する。
イモビライザ17は、鍵のIDコードと、車両1を識別するために予め車両1側に登録された事前登録情報とが一致しないとエンジンを始動させない盗難防止装置である。イモビライザ17には、車両1を識別する事前登録情報を記憶する事前登録情報記憶領域17aが設けられている。尚、事前登録情報は、イモビライザ17の本体内ではなく、車両本体内のコンピュータに登録してもよい。この場合、イモビライザ17は、コンピュータの事前登録情報を参照してエンジンの始動を制御する。
【0041】
ここで、イモビライザ17に記憶されている事前登録情報と、ETC車載器13に記憶されているETC登録情報と、第1及び第2電子ナンバープレート2,3に記憶されているナンバー情報は、互いに一致するように構成されている。
【0042】
鍵ON/OFF状態検知器18は、エンジンを始動させるための鍵(イモビライザキー)がON状態とOFF状態のいずれであるかを検知するものである。
位置検出器19は、車両1の現在位置を検出するものである。
【0043】
走行検出器20は、車両1の走行状態を検出するものである。走行検出器20は、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出器20aと、運転手がアクセルペダルを操作する操作量に応じて開閉するスロットルバルブの開度を検出するアクセル開度検出器20bと、車両1の速度を検出する速度検出器20cとを備える。
【0044】
エンジンECU11は、周知のマイクロコンピュータであって、車両盗難防止プログラム25をメモリに格納している。車両盗難防止プログラム25は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報の不一致、ナンバー情報と事前登録情報との不一致、ナンバー情報とETC登録情報との不一致の何れかを検出した場合に、車両1の走行を制限するように、エンジンECU11を機能させるものである。
【0045】
<車両盗難防止プログラムの動作説明>
車両盗難防止プログラム25の動作について、図2を参照して説明する。
車両盗難防止プログラム25は、先ず図2のステップ1(以下「S1」と略記する。)において、鍵ON/OFF状態検知器18の検知状態に基づいて、車両1が鍵をON状態にされているか否かを確認する。鍵がON状態にされていない場合には(S1:NO)、そのまま待機する。
【0046】
鍵がON状態にされている場合には(S1:YES)、S2において、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15を第1及び第2電子ナンバープレート2,3の通信器6,7と通信させ、通信器6,7のICチップ6b,7bに設けられているナンバー情報記憶領域6d,7dからナンバー情報を読み取らせる。そして、S3のおいて、第1電子ナンバープレート2のナンバー情報と第2電子ナンバープレート3のナンバー情報とが一致するか否かを判断する。すなわち、S2,S3の処理では、第1及び第2電子ナンバープレート2,3が車両1に取り付けられているか否かを確認する。
【0047】
第1電子ナンバープレート2のナンバー情報と第2電子ナンバープレート3のナンバー情報とが一致する場合には(S3:YES)、第1及び第2電子ナンバープレート2,3が車両1に取り付けられていると判断する。そこで、S4において、イモビライザ17の事前登録情報記憶領域17aから事前登録情報を読み出す。そして、S5において、ナンバー情報と事前登録情報とが一致するか否かを判断する。つまり、S4,S5の処理では、第1及び第2電子ナンバープレート2,3が車両1の登録時に車両1に取り付けられた正規品であるか否かを確認する。
【0048】
ナンバー情報と事前登録情報とが一致しない場合には(S5:NO)、後述するS12へ進む。
【0049】
一方、ナンバー情報と事前登録情報とが一致する場合には(S5:YES)、第1及び第2電子ナンバープレート2,3が車両1の正規品であると判断し、S6において、ETC車載器13のETC登録情報記憶領域13aからETC登録情報を読み出す。そして、S7において、ナンバー情報とETC登録情報とが一致するか否かを判断する。つまり、S6,S7の処理では、ETC車載器13が車両1と違う車両に取り付けられていたものを車両1に転用したものでないか否かを判断する。
【0050】
ナンバー情報とETC登録情報とが一致しない場合には(S7:NO)、後述するS21へ進む。
【0051】
ナンバー情報とETC登録情報とが一致する場合には(S7:YES)、ETC車載器13が違う車両の転用品でないと判断する。そこで、S8において、走行検出器20の検出結果に基づいてエンジンが始動済みか否かを判断する。エンジン回転数検出器20aが検出するエンジン回転数が0である場合には、エンジンが始動済みでないと判断し(S8:NO)、S9において、エンジンを始動させる。その後、S10へ進む。
【0052】
これに対して、エンジン回転数検出器20aがエンジン回転数を検出している場合には、エンジンが始動済みであると判断し(S8:YES)、そのままS10へ進む。
【0053】
S10においては、走行検出器20の検出結果に基づいて、車両1がアイドル状態であるか否かを判断する。エンジン回転数検出器20aが検出するエンジン回転数が所定のアイドル回転数(例えば1000rpm未満)であり、アクセル開度検出器20bが検出するアクセル開度が0であり、且つ、速度検出器20cが検出する速度が0である場合には、アイドル状態と判断し(S10:YES)、S2に戻り、S2以降の処理を繰り返す。
【0054】
一方、エンジン回転数検出器20aが検出するエンジン回転数が所定のアイドル回転数でなく、アクセル開度検出器20bが検出するアクセル開度が0でなく、又は、速度検出器20cが検出する速度が0でない場合には、アイドル状態でないと判断し(S10:NO)、アイドル状態まで待機する。
【0055】
ところで、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致しない場合には(S3:NO)、第1及び第2電子ナンバープレート2,3が車両1から取り外された可能性がある。そこで、S11において、第1電子ナンバープレート2のナンバー情報と第2電子ナンバープレート3のナンバー情報を、イモビライザ17に記憶されている事前登録情報と照合することによって、車両1から取り外された第1及び/又は第2電子ナンバープレート2,3を限定し、不一致ナンバー情報を生成する。不一致ナンバー情報は、車両1から取り外された第1及び/又は第2電子ナンバープレート2,3の位置を事前登録情報に関連付けて生成される。
【0056】
そして、S12において、第1又は第2電子ナンバープレート2,3の通信器6,7が、路側システム8の路側アンテナ9と通信し、路側システム8と通信を成立させたか否かを判断する。通信器6,7の何れも路側アンテナ9と通信せず、路側システム8と通信を成立させない場合には(S12:NO)、S13において、エンジンを停止させるとともに、警報を発する。警報は、ナビ16に警告を表示したり、ナビ16や車両1のスピーカから警告メッセージや警告音を流しても良い。
【0057】
通信器6,7の何れかが路側アンテナ9と通信し、路側システム8との通信を成立させた場合には(S12:YES)、S14において、路側システム8と通信を成立させた通信器6,7から路側システム8へ不一致ナンバー情報を送信する。そして、S15において、路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7が路側システム8から盗難情報を受信したか否かを判断する。
【0058】
ここで、盗難情報は、盗難車であることを知らせる情報である。盗難被害の届出がされた車両の事前登録情報などを盗難車リストに記憶している。そのため、事前登録情報が盗難車リストに記憶されている事前登録情報と一致すれば、その事前登録情報に対応する車両が盗難車であることを特定できる。路側システム8は、車両1から受信した不一致ナンバー情報に基づいて車両1が盗難車であることを特定すると、車両1に盗難情報を送信する。
【0059】
路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7が路側システム8から盗難情報を受信した場合には(S15:YES)、S16において、位置検出器19の位置検出結果を、路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7から路側システム8へ送信する。そして、S17において、ナビ16に盗難警告を表示する。尚、盗難警告は、メッセージをスピーカから流すなどして行っても良い。
【0060】
そして、S18において、路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7が路側システム8と通信を成立させ続けているか否かを確認する。路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7が路側システム8と通信を成立させ続けていれば(S18:YES)、S16以降の処理を繰り返す。路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7が路側システム8と通信を成立させなくなったら(S18:NO)、S19において、エンジンをスローダウンさせて停止させる。
【0061】
一方、路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7が路側システム8から盗難情報を受信しない場合には(S15:NO)、S20において、位置検出器19によって検出された現在位置とイモビライザ17に記憶されている事前登録情報を、路側システム8と通信を成立させた通漆器6,7から路側システム8へ定期送信する。そして、S21において、ナビ16に盗難警告を表示する。その後、S15以降の処理を行う。
【0062】
ここで、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致し、且つ、そのナンバー情報が事前登録情報と一致しても、ナンバー情報がETC登録情報と一致しない場合には(S3:YES、S4、S5:YES、S6、S7:NO)、S22において、ETC不一致情報を生成する。ETC不一致情報は、ETC車載器13が車両1と違う車両に取り付けられていたことを示す情報であって、事前登録情報を関連付けて記憶している。
【0063】
そして、S23において、ナビ16にETC不一致警告を表示する。そして、S24において、位置検出器19の位置検出結果に基づいて、車両1の現在位置が有料道路であるか一般道路であるかを判断する。車両1が一般道路に存在する場合には(S24:一般道路)、S8へ進む。
【0064】
一方、車両1が有料津路に存在する場合には(S24:有料道路)、S25において、エンジンを停止させる。そして、S26において、ETCゲートを閉鎖する指示を路側システム8の一例であるETCシステムへ送信する。
【0065】
<具体的事例1>
第1及び第2電子ナンバープレート2,3を装着した車両1を運転する場合には、エンジンの始動や、車両1の走行及び停止を自由に行うことができる。また、車両1は、車両1の事前登録情報と同じETC登録情報をETC車載器13に記憶させている場合には、例えば有料道路(高速道路など)の料金収受所に設置された路側アンテナ9と通信し、ETCゲートを自動開閉して料金収受所を通過することができる(S1:YES、S2、S3:YES、S4、S5:YES、S6、S7:YES、S8、S9、S10)。
【0066】
しかし、例えば、窃盗者が、車両1の鍵を盗み、駐車場に駐車されている車両1の第1を数字が見えないように折り曲げる一方、第2電子ナンバープレート3を車両1から取り外した後、或いは、第1及び第2電子ナンバープレート2,3を車両1から取り外した後に、盗んだ鍵をキーシリンダに差し込んでON状態にした場合には、車両1は、第1及び第2電子ナンバープレート3のナンバー情報が一致しないため、エンジンを始動させない。つまり、窃盗者は、駐車場から車両1を移動させることができない。
【0067】
このとき、車両1は、例えば、スピーカから「車両が盗まれそうです。」というメッセージや、警報ブザーなどを出力し、所有者や周辺の者に車両1の異常を知らせる(S1:YES、S2、S3:NO、S11、S12:NO、S13参照)。
【0068】
<具体的事例2>
また例えば、窃盗者が車両1に故意に追突し、車両1の所有者が追突相手と話し合いをするために鍵を車両1につけたまま降車した隙に、窃盗者の仲間が車両1を運転した場合には、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致し、そして、そのナンバー情報が事前登録情報やETC登録情報と一致するため、窃盗者はそのまま車両1を運転できる(S10:YES、S2、S3:YES、S4、S5:YES、S6、S7:YES、S8:YES、S10:YES参照)。
【0069】
その後、窃盗者が、車両1を別の場所へ移動させて、アイドル状態にしたまま第1及び第2電子ナンバープレート2,3を車両1から取り外し、通信機能がない偽造ナンバープレートを車両1に取り付けたとする。
【0070】
この場合、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15が第1及び第2電子ナンバープレート2,3からナンバー情報を読み取れず、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が互いに一致しない。そこで、車両1は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3が車両1から取り外された旨の情報を事前登録情報に関連付けて不一致ナンバー情報を生成する(S10:YES、S2、S3:NO、S11参照)。
【0071】
通信機能がない偽造ナンバープレートは、路側システム8と通信を成立させないため、車両1はエンジンを停止させる。そのため、窃盗者は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3を偽造ナンバープレートに交換した場所から車両1を運転し、アジトまで持ち去ることができない。
【0072】
このとき、車両1は、「この車両は盗難車です。」とのメッセージや、警報音をスピーカから出力し、車両1の異常を周囲に知らせる(S12:NO、S13参照)。そのため、窃盗者は、メッセージや警報音に驚き、車両1をその場に置いて逃げる可能性が高い。
【0073】
<具体的事例3>
ところで、例えば、窃盗者が、第1及び第2電子ナンバープレート2,3に代えて取り付けたナンバープレートが、他の車両の前後に取り付けられていたものであって他の車両を識別するナンバー情報を記憶する盗難電子ナンバープレートであったとする。この場合、車両1は、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15が盗難電子ナンバープレートから読み取ったナンバー情報が一致すると判定する(S3:YES参照)。
【0074】
そこで次に、車両1は、盗難電子ナンバープレートのナンバー情報と、イモビライザ17に記憶されている事前登録情報とを照合する。盗難電子ナンバープレートのナンバー情報は、他の車両のものであるため、車両1の事前登録情報と一致しない。盗難電子ナンバープレートは、通信機能を有し、路側システム8の一例である盗難車自動追跡システムと通信を成立させる。そこで、車両1は、盗難電子ナンバープレートのナンバー情報に車両1の事前登録情報を関連付けて不一致ナンバー情報を生成し、生成した不一致ナンバー情報を盗難電子ナンバープレートから路側アンテナ9へ、送信する(S4、S5:NO、S12:YES、S14参照)。
【0075】
路側システム8(盗難車自動追跡システム)は、不一致ナンバー情報に含まれるナンバー情報と事前登録情報とを盗難車リストに照合する。車両1の所有者が盗難被害の届出をする前には、車両1の事前登録情報が盗難車リストに記憶されていない。この場合には、路側システム8(盗難車自動追跡システム)は、不一致ナンバー情報に含まれる事前登録情報を盗難リストから検索できず、車両1に盗難情報を送信しない(S15:NO)。
【0076】
盗難情報を受信しない車両1は、位置検出器19によって検索した現在位置と、車両1の事前登録情報とを、路側アンテナ9を介して路側システム8(盗難車自動追跡システム)に送信し、路側システム8(盗難車自動追跡システム)に車両1の現在位置を認識させる。それから、車両1は、ナビ16に、例えば「この車は盗難されました。」との盗難警告メッセージを表示させ、窃盗者に危機感を与える。その後、車両1は、再度、盗難情報を路側システム8(盗難車自動追跡システム)から受信したか判断する(S20、S21参照)。
【0077】
車両1の所有者が盗難被害の届出をすると、路側システム8(盗難車自動追跡システム)は、車両1のナンバー情報や事前登録情報などを盗難車リストに追加する。路側システム8(盗難車自動追跡システム)は、車両1から受信した不一致ナンバー情報に含まれるナンバー情報又は事前登録情報を盗難車リストから検索すると、盗難情報を路側アンテナ9を介して車両1へ送信する。
【0078】
盗難情報を受信した車両1は、位置検出器19により現在位置を検索し、その検索結果を路側システム8へ送信する。更に、車両1は、ナビ16に、例えば「この車両は、盗難車であるため、追跡されています。」との盗難警告メッセージを表示し、窃盗者に危機感を与える。これら現在位置の送信や盗難警告メッセージの表示は、盗難電子ナンバープレートが路側システム8と通信する限り行われる(S15:YES、S16、S18:YES参照)。
【0079】
車両1は、路側システム8(盗難車自動追跡システム)の利用区域外へ出て、盗難電子ナンバープレートが路側システム8(盗難車自動追跡システム)と通信できなくなると、スローダウンして停止する。よって、車両1は、最後に位置検出された場所付近で停車し、発見されやすい(S18:NO、S19参照)。
【0080】
<具体的事例4>
また例えば、車両1の所有者が、高速道路(有料道路)のパーキングエリアに車両1を停車させ、写真などを撮るために鍵をつけたまま車両1から離れた隙に、窃盗者が、車両1を乗り去り、その後に別の車のETC車載器13を車両1に取り付けたとする。
【0081】
車両1は、料金収受所のETCゲートに近づくと、ETC車載器13が料金収受所に設置された路側アンテナ9に、ETC登録情報などを含む開門指示命令を送信する。しかし、車両1は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報がETC車載器13のETC登録情報と一致しないため、例えば「このETC車載器は使えません。」とのETC不一致警告を表示し、窃盗者に危機感を与える。このとき、車両1は、高速道路を利用する利用区域内、つまり有料道路上に存在するため、エンジンを停止させる。更に、車両1は、路側アンテナ9に、ETC車載器13から開門指示命令を受信してもETCゲートを開かない旨のETCゲート閉鎖指示を送信する(S3:YES、S4、S5:YES、S6、S7:NO、S22、S23、S24:有料道路、S25、S26参照)。
【0082】
これにより、路側システム8(ETCシステム)は、車両1が近づいてもETCゲートを開かない。よって、窃盗者は、路側システム8(ETCシステム)を利用してETCゲートから外へ車両1を運転することができない。
【0083】
尚、第1及び第2電子ナンバープレート2,3を取り付けた車両1が一般道路を走行中である場合には、ETC登録情報とナンバー情報とが一致しなくても、車両1のエンジン始動や走行を許可する(S24:一般道路、S8、S9、S10参照)。この場合には、車両1が路側システム8(ETCシステム)を使用するときに、或いは、第1及び第2ナンバープレート2,3が車両1から取り外されたときに、エンジンの始動や走行を制限する(S2、S3:NO、S11〜S21、S3:YES、S4、S5:NO、S12〜S21、S2、S3:YES、S4、S5:YES、S6、S7:NO、S22、S23、S24:有料道路、S25、S26参照)。
【0084】
<具体的事例5>
更に例えば、窃盗者の一人がギヤをニュートラルに入れてエンジンを吹かしている間に、他の窃盗者が、車両1の第1及び第2電子ナンバープレート2,3を取り外して偽造ナンバープレートに付け替えたとする。この場合、車両1は、エンジン回転数が所定のアイドル回転数(例えば1000)以上であるとともに、アクセル開度が0でないため、アイドル状態を検知しない。よって、窃盗者の一人は、ナンバープレート交換後に、車両1のアクセルをそのまま踏んでギヤをドライブに入れれば、車両1を運転することも可能である。
【0085】
しかし、窃盗者は、例えば赤信号などにより、アジトに車両1を持ち帰る途中で車両1を停止させると考えられる。車両1は、アイドル状態になった時点で、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が互いに一致しないこと、若しくは、ナンバー情報が事前登録情報と一致しないことを検出し、エンジンを停止させる。よって、窃盗者は、赤信号などで車両1を停止させた場所から車両1を移動させることができない(S10:NO、S10:YES、S2、S3:NO、S11〜S21、S4、S5:YES、S12〜S21参照)。
【0086】
<作用効果>
以上説明したように、第1実施形態の車両盗難防止装置10は、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15が第1及び第2電子ナンバープレート2,3からそれぞれ読み取ったナンバー情報が一致しない場合には、車両1の走行を制限する(図2のS3:NO、S11〜S21参照)。そのため、第1及び/又は第2電子ナンバープレート2,3が、エンジンの始動前後の何れにおいて車両1から取り外されても、第1及び/又は第2電子ナンバープレート2,3を取り外した現場から車両1を移動させることができない。つまり、窃盗者は、アジトへ車両1を持ち帰るまで第1及び第2電子ナンバープレート2,3を車両1から取り外すことができず、追跡されやすい。よって、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10によれば、当該装置10を適用する車両1が窃盗対象に選ばれにくくなり、車両盗難に対する抑止力を向上させることができる。
【0087】
第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10は、車両1がアイドル状態であるときに、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致しないと判定する場合に、車両1の走行を制限する(図2のS3:YES、S4、S5:YES、S8:YES、S10:YES、S2、S3:NO、S11〜S21参照)。
【0088】
つまり、車両1は、走行中に故意に第1及び第2電子ナンバープレート2,3を取り外すことができず、エンジン停止中若しくはアイドル状態のときに第1及び第2電子ナンバープレート2,3が取り外されるので、エンジン停止後にエンジンを始動させてアイドル状態にした場合や、車両1をアイドル状態で停止させたときに、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致するか否かを判定し、一致しない場合に車両1の運転を制限する。
【0089】
よって、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10によれば、仮に第1及び第2電子ナンバープレート2,3を取り外した後に車両が走行したとしても、赤信号などで車両1が停車した場合に、車両1の走行を制限できる。更には、第1又は第2電子ナンバープレート2,3が車両走行中に車両1から外れた場合に車両1が急停止し、追突事故等を引き起こさないようにすることができる。
【0090】
第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致する場合でも、そのナンバー情報が、車両1側に設けたイモビライザ17の事前登録情報記憶領域17aに記憶されている事前登録情報と一致しない場合には、車両1の走行を制限する(図2のS3:YES、S4、S5:NO、S12〜S21参照)。よって、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10によれば、ナンバー情報を一致させるために、第1及び第2電子ナンバープレート2,3を車両1から取り外し、他の車両から盗んだ盗難電子ナンバープレートを車両1に取り付けたとしても、第1及び第2電子ナンバープレート2,3を盗難電子ナンバープレートに交換した現場から車両1を移動させることができない。
【0091】
また、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10は、位置検出器19によって車両1の現在位置をモニタしており、第1及び第2電子ナンバープレート2,3に記憶されているナンバー情報が、ETC車載器13に記憶されている外部通信情報と一致しない場合には、車両1の走行を制限する(図2のS3:YES、S4、S5:YES、S6、S7:NO、S22,S23、S24:有料道路、S25参照)。このような車両盗難防止用制御装置10を適用した車両1は、別の車両のETC車載器13を車両1が取り付けられると、走行が制限されるので、使用態様が限定される。よって、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10によれば、本制御装置10を使用した車両1が盗難対象に選ばれにくくなり、車両盗難に対する抑止力を向上させることができる。
【0092】
第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10は、車両1が路側システム8の利用区域内、すなわち、ETCシステムを適用する有料道路上にあるときに、車両1の運転を制限することによって、有料道路という限られた範囲に車両1を停車させる(図2のS24:有料道路、S25参照)。よって、第1実施形態の盗難防止用制御装置10によれば、有料道路から外へ車両1が持ち去られることを防ぎ、盗難車を発見しやすい。
【0093】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
第2実施形態の車両盗難防止用制御装置110は、エンジンECU(走行制限手段の一例)111が格納する車両盗難防止プログラム125を除き、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10と構成が共通する。よって、ここでは、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、共通する点は図面及び説明に第1実施形態で用いた符号と同一符号を使用し、適宜説明を省略する。
【0094】
<車両盗難防止プログラムの動作説明>
図4は、第3実施形態に係る車両盗難防止用制御装置110に使用される車両盗難防止プログラム125のフローチャートである。
車両盗難防止プログラム125は、エンジンECU111に実行され、エンジン動作中に第1及び/又は第2電子ナンバープレート2,3の取り外しを防止するように、エンジンECU111を機能させる。
【0095】
車両1は、先ずS31において、エンジン回転数検出器20a、アクセル開度検出器20b、速度検出器20cにより、エンジン回転数とアクセル開度と速度をモニタする。そして、S32において、検出されたエンジン回転数とアクセル開度と速度とに基づいて、車両1が走行状態であるか、アイドル状態であるかを判断する。
【0096】
車両1がアイドル状態である場合には(S32:アイドル状態)、後述するS37へ進む。
【0097】
一方、車両1が走行状態であると判断した場合には(S32:走行状態)、S33において、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15に第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報を読み取らせる。そして、S34において、第1電子ナンバープレート2のナンバー情報と第2電子ナンバープレート3のナンバー情報とが一致するか判断する。第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致する場合には(S34:YES)、S31に戻る。
【0098】
第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致しない場合には(S34:NO)、S35において、エンジン回転数、アイドル開度、速度をモニタする。そして、S36において、アイドル状態であるか否かを判断する。アイドル状態でない場合には(S36:NO)、S35に戻る。一方、アイドル状態である場合には(S36:YES)、S37へ進む。
【0099】
S37においては、第1電子ナンバープレート2と第2電子ナンバープレート3のナンバー情報を、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15に読み取らせ、モニタリングする。そして、第1又は第2電子ナンバープレート2,3の通信器6,7が路側システム8(盗難車自動追跡システム)と通信が成立した場合には(S12:YES)、S38において、取り外された電子ナンバープレートを特定する情報を事前登録情報を関連付けた不一致ナンバー情報を生成し、路側システム8(盗難車自動追跡システム)に送信する。車両1が、路側システム8(盗難車自動追跡システム)から盗難情報を受信しない場合には(S15:NO)、S37に戻る。
【0100】
<具体的事例6>
第2実施形態では、車両1が走行中である場合にも、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報をモニタし、一致するか否かを判断している(S31、S32:走行状態、S33、S34:YES)。
【0101】
例えば、車両1の走行中に、物が第2電子ナンバープレート3に当たり、第2電子ナンバープレート3が車両1から外れた場合には、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致しなくなる。この場合には、アイドル状態になるまで待ち、アイドル状態になったときに、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15に第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報を再度読み取らせる。第1電子ナンバープレート2が路側システム8(盗難車自動追跡システム)と通信を成立させられないのであれば、エンジンをアイドル状態から停止状態にし、警報を出力する(S34:NO、S35、S36:YES、S37、S12:NO、S13参照)。つまり、車両1は、追跡できないため、赤信号などで停車した際に運転を制限される。
【0102】
車両1は、第1電子ナンバープレート2が路側システム8(盗難車自動追跡システム)と通信を成立させられるのであれば、第2電子ナンバープレート3が外れた旨の情報に車両1の事前登録情報を関連付けて不一致ナンバー情報を生成し、路側システム8(盗難車自動追跡システム)に送信する(S38参照)。
【0103】
事故で第2電子ナンバープレート3が外れた場合、車両1の所有者が盗難被害の届出をしないため、路側システム8(盗難車自動追跡システム)は車両1のナンバー情報や事前登録情報を盗難車リストに記憶していない。そのため、車両1は、路側システム8(盗難車自動追跡システム)から盗難情報を入力せず、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報を再度モニタする(S15:NO、S37参照)。つまり、車両1は、エンジンの始動や運転を許容しつつ、路側システム8(盗難車自動追跡システム)盗難情報を受信する体制を保つ。
【0104】
<具体的事例7>
例えば、窃盗者が鍵をON状態にしてエンジンをかけた後に第1及び第2電子ナンバープレート2,3を故意に取り外すと、車両1は、第1又は第2電子ナンバープレート2,3を取り外した時点で第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致しなくなる。車両1は、路側システム8(盗難車自動追跡システム)と通信を成立させなければ、エンジンを停止させる(図4のS31、S32:アイドリング状態、S37、S12:NO、S13参照)。
【0105】
一方、車両1は、路側システム8(盗難車自動追跡システム)と通信を成立させ、盗難情報を受信すると、路側システム8(盗難車自動追跡システム)に現在位置を送信しながら、走行を続ける。車両1は、路側システム8(盗難車自動追跡システム)と通信できなくなると、エンジンをスローダウンさせて停車する(図4のS31、S32:アイドリング状態、S37、S12:YES、S38、S15:YES、S16、S17、S18:YES、S18:NO、S19参照)。
【0106】
<作用効果>
以上説明したように、第2実施形態の車両盗難防止用制御装置110は、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10が奏する作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。第2実施形態の車両盗難防止用制御装置110は、例えば、車両1の第2電子ナンバープレート3が走行中に外れたことを検出した後は、路側システム8(盗難車自動追跡システム)から盗難情報を受信しなければ、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報をモニタしながら車両1の走行状態やアイドル状態を許可する。よって、第2実施形態の車両盗難防止用制御装置110によれば、上記事例のように、第2電子ナンバープレート3が物に衝突して車両1から外れた場合にまで、車両1を停止させたり、警報を出力したり、盗難警告をナビ16に表示させない。
【0107】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図5は、第3実施形態に係る車両盗難防止装置の概略構成図である。
第3実施形態の車両盗難防止装置210は、ドアロック制御装置204と、ナンバープレート着脱検出器205が通信線12を介してエンジンECU211に接続していること、及び、エンジンECU211に通信制御プログラム225が格納されている点を除き、第1実施形態の車両盗難防止用制御装置10と構成が共通する。よって、ここでは、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、共通する点は図面及び説明に第1実施形態で用いた符号と同一符号を使用し、適宜説明を省略する。
【0108】
<車両盗難防止装置の構成>
ドアロック制御装置204は、車両1に設けたドアの施錠又は解錠を制御するものである。
ナンバープレート着脱検出器205は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3の取り外し又は取り付けを検出するものである。ナンバープレート着脱検出器205は、第1及び第2電子ナンバープレート2,3と車両1との間に設置される圧電素子やリミットスイッチなどにより構成すると良い。
【0109】
<電子ナンバープレートの取付構造>
図6は、図5に示す車両201の車両盗難防止装置210における電子ナンバープレート取付構造を示す概略構成図である。
第1及び第2電子ナンバープレート2,3は、同じ取り付け構造で車両1に取り付けられている。そこで、ここでは、第1電子ナンバープレート2を例に挙げて取り付け構造を説明する。
【0110】
第1電子ナンバープレート2は、車両1にスライド可能に取り付けられている。第1電子ナンバープレート2は、車両1に取り付けられる取付方向Dと平行になるナンバープレート4の両端に、挿入溝(凸凹部の一例)4aがそれぞれ設けられている。第1電子ナンバープレート2は、挿入溝4aと平行に、発電コイル200aが配置されている。
【0111】
車両201は、ナンバープレート4の挿入溝4aに係合される係合部(凹凸部の一例)201aが凸状に設けられている。係合部201aは、取付方向Dと平行に設けられている。車両201は、係合部201aと平行に、金属など導電材料で形成された発電コイル200bが配置されている。発電コイル200bには、電気が供給される。
【0112】
発電コイル200a,220bは、電気が供給された発電コイル200bの側方で発電コイル200aをスライドさせることにより、電力が発生する。よって、発電コイル200a,200bは、第1電子ナンバープレート2が車両1に対してスライドして着脱される際に発電する発電手段200を構成する。
【0113】
車両201には、抵抗部材(抵抗手段の一例)203,203が取り付けられている。抵抗部材203は、ゴムなどの弾性力を有する材料を肉厚を有する形状に形作ったものである。車両201は、取り付け方向Dと平行になるナンバープレート4の両端に対向する面に、ナンバープレート4側へ突き出すように、抵抗部材203,203が取り付けられている。
【0114】
<車両の通信制御プログラムの動作説明>
図7は、図5に示す通信制御プログラム225のフローチャートである。
通信制御プログラム225は、エンジンECU211に実行され、第1又は第2電子ナンバープレート2,3の着脱時にナンバー情報が一致するか否かを判定し、一致しない場合には、エンジンの始動や運転を制限するように、エンジンECU211を機能させる。
【0115】
具体的には、先ずS41において、ナンバープレート着脱検出器205の検出結果に基づいて、第1又は第2電子ナンバープレート2,3の取り外し、又は、取り付けを検出する。そして、S42において、第1及び第2リーダ/ライタ装置14,15によって、取り外し又は取り付けをされた第1又は第2電子ナンバープレート2,3からナンバー情報を読み取る。そして、S43において、読み取ったナンバー情報が、イモビライザ17に記憶されている事前登録情報と一致するか否かを判断する。
【0116】
ナンバー情報が事前登録情報と一致する場合には(S43:YES)、S44において、エンジンの始動及び運転を許可する。そして、S45において、ドアロック制御装置204にドアロックを解除させる。
【0117】
一方、ナンバー情報が事前登録情報と一致しない場合には(S43:NO)、S46において、ドアロック制御装置204にドアロックを施錠させる。そして、S47において、エンジンの始動と運転を制限する。そして、S48において、第1又は第2電子ナンバープレート2,3が取り外し又は取り付けされた旨の情報を事前登録情報に関連付けて異常情報を生成し、通信機能がある第1又は第2電子ナンバープレート2,3若しくはETC車載器13から路側システム8に送信する。そして、S49において、異常が解除されたか否かを判断する。
【0118】
異常が解除されない場合には(S49:NO)、S46に戻り、引き続きドアロック制御装置204によるドアロックの施錠と、エンジンの始動及び運転の制限を続ける。
一方、異常が解除された場合には(S49:YES)、S44へ進み、エンジンの始動と運転を許可した後、S45において、ドアロック制御装置204にドアロックを解除させる。
【0119】
ここで、異常情報の送信は、第1又は第2電子ナンバープレート2,3がバッテリ6a,7aの電力を利用して行う。バッテリ6a,7aには、第1又は第2電子ナンバープレート2,3を車両1に取り付け、又は、取り外すためにスライドさせたときに発電手段200が発生する電力を蓄電する。
【0120】
例えば、第1電子ナンバープレート2,3を車両1に取り付ける場合には、第1電子ナンバープレート2を抵抗部材203,203を変形させるように取り付け方向Dに押し付け、車両201の係合部201aをナンバープレート4の挿入溝4a,4aに挿入させる。その後、さらに、抵抗部材203,203の抵抗に抗して第1電子ナンバープレート2を取り付け方向Dに加圧すると、第1電子ナンバープレート2は、係合部201aに案内されてスライドする。このとき、抵抗部材203,203が一定の抵抗を有するため、第1電子ナンバープレート2は、ほぼ一定の速さでスライドする。第1電子ナンバープレート2を最下点位置まで押し込むと、抵抗部材203,203が復元し、第1電子ナンバープレート2側へ突出し、第1電子ナンバープレート2が振動等により取り付け方向Dと反対方向−Dへ飛び出すことを防止する。
尚、第1電子ナンバープレート2を車両1から取り外す場合には、上記取り付け手順と逆手順で行う。
【0121】
第1電子ナンバープレート2の挿入溝4a,4aに車両201の係合部201a,201aを嵌合させ、第1電子ナンバープレート2を一定の速度で車両201にスライドさせると、発電コイル200aが電気を供給された発電コイル200bに誘導されて電力を発生する。発生した電力は、バッテリ6aに蓄電される。
【0122】
<具体的事例8>
例えば窃盗者が、エンジンを切った状態で、或いは、エンジンをアイドル状態にして、第1電子ナンバープレート2を取り外し、偽造ナンバープレートを車両201に取り付けたとする。
【0123】
第1電子ナンバープレート2は、車両201から取り外される際に、発電手段200が発電した電力をバッテリ6aに蓄電する。第1電子ナンバープレート2は、ICチップ6bがその発電電力を利用して、第1リーダ/ライタ装置14と通信し、ナンバー情報を第1リーダ/ライタ装置14に送信する。車両1は、読み取ったナンバー情報をイモビライザ17に記憶されている事前登録情報と照合する。この場合、エンジンECU11は、読み取った電子ナンバー情報が事前登録情報に一致するため、エンジンの始動及び運転を許可し、ドアロックを解錠する(S41、S42、S43:YES、S44、S45参照)。
【0124】
もっとも、エンジンECU211は、車両盗難防止プログラム25も実行しているため、第2電子ナンバープレート3が取り外された状態では、第1及び第2電子ナンバープレート2,3のナンバー情報が一致せず、路側システム8との通信が成立しない限り、エンジンを停止したままにする。
【0125】
その後、偽造ナンバープレートを車両201に取り付けると、第1リーダ/ライタ装置14が偽造ナンバープレートからナンバー情報を読み取れず、ナンバー情報と事前登録情報とが一致しない。そのため、エンジンECU11は、ドアロックを施錠し、エンジンの始動及び運転を制限する。そして、第1電子ナンバープレート2が車両201から取り外され、偽造ナンバープレートが車両201に取り付けられたことを示す情報を事前登録情報に関連付けて異常情報を生成し、第2電子ナンバープレート3から路側システム8(盗難車自動追跡システム)へ送信する(S41、S42、S43:NO、S46、S47、S48)。
【0126】
偽造ナンバープレートが第1電子ナンバープレート2に交換されない限り、ドアロックが解錠されず、エンジンの始動及び運転も許可されない(S49:NO、S46、S47、S48参照)。
【0127】
<作用効果>
第3実施形態の車両盗難防止装置210は、例えば、第1電子ナンバープレート2を車両1から取り外すために第1電子ナンバープレート2を車両1に対してスライドさせたときに、発電手段200が発電し、その発電電力を利用して通信器6が第1リーダ/ライタ装置14と通信するので、第1電子ナンバープレート2が車両1から取り外される(取り付ける)ときに、通信器6,7が電力不足により第1リーダ/ライタ装置14と通信できない不具合を回避できる。特に、第3実施形態の車両車両盗難防止装置210は、発電電力をバッテリ6a,7aに充電するので、通信器6,7が電力不足で通信できない不具合をより一層確実に防止できる。
【0128】
第3実施形態の車両盗難防止装置210は、抵抗部材203の抵抗に抗して、第1及び第2電子ナンバープレート2,3を車両1に対してスライドさせて車両1に着脱するので、第1及び第2電子ナンバープレート2,3を車両1に対してほぼ一定の速度でスライドさせ、発電手段200に発電させることができる。
【0129】
第3実施形態の車両盗難防止装置210は、車両201の係合部201aに係合する挿入溝4a(5a)を備える電子ナンバープレート2(3)しか車両201に取り付けることができず、挿入溝4aを備えない偽造ナンバープレートを車両201に取り付けることができない。
【0130】
尚、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
(1)例えば、上記実施形態では、自動車の盗難防止を中心に説明したが、バイクなど、鍵をON/OFFしてエンジンを始動、運転、停止させるものの盗難防止にも適用することが可能である。
(2)例えば、上記実施形態では、第1及び第2電子ナンバープレート2,3が路側システム8との間で不一致ナンバー情報や盗難情報などを送受信したが、ETC車載器13が車両1に設けられている場合には、ETC車載器13と路側システム8との間でナンバー情報や盗難情報などを送受信してもよい。
(3)例えば、上記第3実施形態では、車両201に凸状の係合部201aを設け、ナンバープレート4に凹状の挿入溝4aを形成した。これに対して、車両201に凹状の挿入溝を形成し、ナンバープレート4に凸状の係合部を設けても良い。
(4)例えば、上記第3実施形態では、ゴムや樹脂などを材質とするで抵抗部材203を構成した。これに対して、電子ナンバープレートを車両に対してスライドさせて車両にとりつける際に抵抗を生じれば、電子ナンバープレートを装着する位置に電子ナンバープレートの取り付け方向と逆向きに弾性力を発生するようにコイルばねを取り付けてもよい。また、抵抗部材203にかえて、円弧状や山形形状の板バネを、電子ナンバープレート側に凸状に突き出すように車両に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両盗難防止用制御装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す車両盗難防止プログラムのフローチャートである。
【図3】図1に示す車両盗難防止用制御装置を適用した車両の一例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る車両盗難防止用制御装置に使用される車両盗難防止プログラムのフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態に係る車両盗難防止用制御装置の概略構成図である。
【図6】図5に示す車両盗難防止装置における電子ナンバープレート取付構造を示す概略構成図である。
【図7】図5に示す通信制御プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0132】
1,210 車両
2 第1電子ナンバープレート
3 第3電子ナンバープレート
4,5 ナンバープレート
6,7 通信器
8 路側システム(路側システム)
11,111,211 エンジンECU(走行制限手段)
14 第1リーダ/ライタ装置(第1データ読み取り手段)
15 第2リーダ/ライタ装置(第2データ読み取り手段)
17 イモビライザ(記憶手段)
19 位置検出器(位置検出手段)
20 走行検出器(走行検出手段)
200 発電手段
203 抵抗部材(抵抗手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後に取り付けられ、前記車両を識別するナンバー情報を記憶する第1電子ナンバープレート及び第2電子ナンバープレートと、
前記車両側に搭載され、前記第1電子ナンバープレートから前記ナンバー情報を読み取る第1データ読み取り手段と、
前記車両側に搭載され、前記第2電子ナンバープレートから前記ナンバー情報を読み取る第2データ読み取り手段と、
前記第1及び前記第2データ読み取り手段が、前記第1及び前記第2電子ナンバープレートからそれぞれ読み取ったナンバー情報を照合し、一致しない場合に、前記車両の走行を制限する走行制限手段と、
を有することを特徴とする車両盗難防止用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載する車両盗難防止用制御装置において、
前記車両の走行状態を検出する走行検出手段を有し、
前記走行制限手段は、
前記走行検出手段の検出結果に基づいて前記車両がアイドル状態であると判断し、かつ、前記第1及び前記第2電子ナンバープレートのナンバー情報が一致しないと判定する場合に、前記車両の走行を制限する
ことを特徴とする車両盗難防止用制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する車両盗難防止用制御装置において、
盗難情報のデータベースを備える路側システムとの間でデータを送受信する送受信手段を有し、
前記走行制限手段は、
前記送受信手段が、前記車両が盗難車であることを知らせる盗難情報を前記路側システムから受信した場合に、前記車両の走行を制限する
ことを特徴とする車両盗難防止用制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載する車両盗難防止用制御装置において、
車両側に搭載され、前記車両を識別する事前登録情報を記憶する記憶手段を有し、
前記走行制限手段は、
前記第1及び前記第2データ読み取り手段によって前記第1及び前記第2電子ナンバープレートから読み取ったナンバー情報が一致する場合に、前記ナンバー情報が前記記憶手段に登録されている前記事前登録情報と一致するか否かを判定し、前記ナンバー情報と前記事前登録情報とが一致しない場合に、前記車両の走行を制限する
ことを特徴とする車両盗難防止用制御装置。
【請求項5】
車両と、
前記車両に取り付けられ、前記車両を識別するナンバー情報を記憶する電子ナンバープレートと、
前記路側システムを利用する場合に前記車両を識別するための外部通信情報を記憶し、前記路側システムに前記外部通信情報を送信する外部送信手段と、
前記外部通信情報と前記ナンバー情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合には、前記車両の走行を制限する走行制限手段と、
を有することを特徴とする車両盗難防止用制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載する車両盗難防止用制御装置において、
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段を有し、
前記走行制限手段は、
前記位置検出手段の現在位置検出結果に基づいて前記車両が前記路側システムの利用区域内に存在するか否かを判断し、前記車両が前記利用区域内に存在するときに、前記車両の走行を制限する
ことを特徴とする車両盗難防止用制御装置。
【請求項7】
車両にスライド可能に取り付けられ、データを記憶する電子ナンバープレートと、
前記電子ナンバープレートが前記車両に対してスライドする際に発電する発電手段と、
前記電子ナンバープレートからデータを読み取るデータ読み取り手段と、を有し、
前記通信手段は、前記発電手段の発電電力を利用して、前記データ読み取り手段にデータを送信する
ことを特徴とする車両盗難防止装置。
【請求項8】
請求項7に記載する車両盗難防止装置において、
前記電子ナンバープレートを前記車両に対してスライドさせる際に抵抗を生じる抵抗手段を有する
ことを特徴とする車両盗難防止装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載する車両盗難防止装置において、
前記電子ナンバープレートは、前記車両に設けられた凹凸部に係合する凸凹部を有する
ことを特徴とする車両盗難防止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−35065(P2009−35065A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199495(P2007−199495)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】