説明

車両監視システム

【課題】輝度センサで測定したナンバープレートの輝度値に基づいてナンバープレートの種類を判別し、判別されたナンバープレートの撮像に最適な発光強度で赤外線投光器の出力を制御して、すべてのナンバープレートを鮮明に撮像可能とした車両監視システムを提供する。
【解決手段】レーザーセンサ13が車両20の通過を検知したとき、輝度センサ14がナンバープレート22の輝度値Bを測定し、この輝度値Bが、予め決められた閾値Sよりも低い場合には、相対的に高い発光強度BHで赤外線投光器15から発光させ、閾値Sよりも高い場合には、相対的に低い発光強度BLで赤外線投光器15から発光させて、車両監視カメラ16でナンバープレート22を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上等において走行する車両のナンバープレートを監視カメラで撮像する車両監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路上等において車両のナンバープレートを監視カメラで撮像するようにした車両監視システムが知られている。従来、このような車両監視システムとしては、車検知センサが車両を検知すると、カメラで車両を撮像してナンバープレートの輝度値を計算し、この輝度値に基づいてカメラの絞り値を調整して再度撮像するようにして、種類の異なるナンバープレートでも、1台のカメラで鮮明に撮像できるようにしたナンバープレート自動認識方法及びその装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、通常は消灯状態にある照明装置を、カメラの視野より遠方で焦電センサが車両を検知した場合にのみ点灯して、消費電力が少なく、且つ長寿命とした車番認識装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、屋外の所定場所を通過する車両のナンバープレートをカメラで撮像し、該カメラから得られた画像信号を処理して車両ナンバーを読み取る場合において、昼間と夜間とで画像信号を得る際のγを制御するようにし、あらかじめコンピュータ側で画像を補正しておくものも提案されている(特許文献3参照)。
【0003】
このような車両監視カメラを有する車両監視システムは、昼夜を問わず使用されるため、夜間は赤外線を発光する発光ダイオード(以下、「LED」と略記する)を光源とした赤外線投光器で被写体(車両)を照明している。筺体に取り付けられたLEDを有する赤外線投光器では、ナンバープレートを鮮明に撮像可能とすることが重要であるが、ナンバープレートには、自発光型ナンバープレートと、非発光型ナンバープレートとが混在する。このため、一方のナンバープレートの撮像に最適な発光強度で発光するように赤外線投光器の出力を設定すると、他方のナンバープレートを鮮明に撮像できなくなる虞がある。
【0004】
例えば、日本で使用される多くのナンバープレートは、非発光型ナンバープレートであるので、この非発光型ナンバープレートの撮像に最適な発光強度に設定すると、自発光型ナンバープレートを撮像すると、輝度が高くなって画像にハレーションが発生する。逆に、自発光型ナンバープレートの撮像に最適な発光強度に設定すると、非発光型ナンバープレートへの照射光量が不足することになり、鮮明な画像が得られなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−287390号公報
【特許文献2】特開平10−261190号公報
【特許文献3】特開2002−300437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、輝度センサで測定した車両のナンバープレートの輝度値に基づいてナンバープレートの種類を判別し、判別されたナンバープレートの撮像に最適な発光強度で赤外線投光器の出力を制御して、すべてのナンバープレートを鮮明に撮像可能とした車両監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両を撮像する車両監視カメラと、前記車両を照明する赤外線投光器と、を有する車両監視システムであって、路面上を走行する前記車両の通過を検知するレーザーセンサと、前記車両のナンバープレートの輝度値を測定する輝度センサと、前記赤外線投光器の発光強度を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記輝度センサによって測定された前記ナンバープレートの前記輝度値が、予め決められた閾値よりも低い場合、相対的に高い発光強度である第1の発光強度で前記赤外線投光器から発光させ、前記輝度センサによって測定された前記ナンバープレートの前記輝度値が、予め決められた前記閾値よりも高い場合、前記第1の発光強度より相対的に低い第2の発光強度で前記赤外線投光器から発光させる。
【0008】
この構成により、赤外線投光器は、種類の異なるナンバープレートに対して常に撮像に最適な強度で発光し、どの種類のナンバープレートでも鮮明に撮像することが可能となる。
【0009】
また、本発明は、上記の車両監視システムにおいて、前記閾値は、前記輝度センサによって測定される自発光型ナンバープレートの輝度値と、非発光型ナンバープレートの輝度値とを判別可能であるものを含む。
【0010】
この構成により、輝度センサによって測定されたナンバープレートの輝度値を閾値と比較することによって、ナンバープレートの種類を判別することができ、判別されたナンバープレートの撮像に最適な強度で赤外線投光器を発光させて、すべてのナンバープレートを鮮明に撮像することができる。
【0011】
更に、本発明は、上記の車両監視システムにおいて、前記赤外線投光器は、一方の垂直面に開口部を有する方形箱形状の筐体と、前記筐体の開口部近傍に設けられ、複数の赤外線LEDを平面状に配列したLED基板から構成される面状発光体と、を備えるものを含む。
【0012】
この構成により、面状発光体をコンパクトに構成することができるとともに、監視カメラによって昼夜を問わず、且つ、運転者に気づかれることなく車両を撮像することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、輝度センサで測定した車両のナンバープレートの輝度値に基づいてナンバープレートの種類を判別し、判別された種類のナンバープレートの撮像に最適な発光強度で赤外線投光器の出力を制御するため、すべての種類のナンバープレートを鮮明に撮像可能な車両監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両監視システムの構成を示す図であり、(a)は車両監視システムの平面図、(b)はこの平面図の側面図
【図2】本発明の実施の形態に係る車両監視システムの概略構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態に係る赤外線投光器の外観を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態に係る車両監視システムの制御手順を説明するためのフローチャート
【図5】本発明の実施の形態に係る車両監視システムの動作を説明するためのタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る車両監視システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る車両監視システムの構成を示す図であり、(a)は車両監視システムの平面図、(b)はこの平面図の側面図である。同図に示すように、本実施形態の車両監視システム10は、道路11上を走行する車両20の通過を検知するレーザーセンサ13と、このレーザーセンサ13より車両20の進行方向前方に配置された輝度センサ14、赤外線投光器15、車両監視カメラ16、及び制御部17とから構成されている。
【0016】
レーザーセンサ13は、道路11を横断する両側に配設された一対の支柱12内に、それぞれ収容されたレーザー照射部13aとレーザー受光部13bとからなり、レーザー照射部13aから照射されるレーザーLが、レーザー受光部13bで受光される。車両20がレーザー照射部13aから照射されるレーザーLを遮ると、レーザーLがレーザー受光部13bで受光できなくなることで、車両20の通過を検知する。
【0017】
輝度センサ14、赤外線投光器15、及び車両監視カメラ16は、レーザーセンサ13より車両20の進行方向前方に配置されて、その前面側をレーザーセンサ13方向、即ち走行する車両20の前面21、更に詳細には、車両20のナンバープレート22に向けて設置されている。
【0018】
これにより、輝度センサ14は、ナンバープレート22の輝度値を測定し、赤外線投光器15は、車両20、特にナンバープレート22の近傍を照明し、車両監視カメラ16は、赤外線投光器15で照明されたナンバープレート22を撮像可能である。また、制御部17は、不図示のマイクロコンピュータを含む電気回路で構成される。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係る車両監視システムの概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の車両監視システム10は、レーザーセンサ13、輝度センサ14、赤外線投光器15、車両監視カメラ16、制御部17、及び電源部18を有して構成されている。
【0020】
赤外線投光器15は、図3に示すように、一方の垂直面に開口部26を有する略方形箱形状の筐体25の内部に、面状発光体27が収容された構成である。面状発光体27は、基板28の表面に、特定の波長領域で発光する多数の赤外線LED29が、例えば千鳥格子状に密に配列して構成され、赤外線LED29が発光した光(赤外線)は、開口部26を介して車両20のナンバープレート22近傍に向けて照射される。
【0021】
次に、このように構成された本発明の実施形態に係る車両監視システム10について、制御手順について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る車両監視システムの制御手順を説明するためのフローチャートである。
【0022】
車両監視システム10は、車両20がレーザーセンサ13を通過すると、レーザー照射部13aから照射されるレーザーLが車両20で遮られ、レーザー受光部13bで受光できなくなることで、車両20の通過を検知する(ステップS101)。輝度センサ14は、レーザーセンサ13からの車両通過信号に基づいて、この車両20のナンバープレート22の輝度値Bを測定し(ステップS102)、予め設定されている閾値Sと比較する(ステップS103)。
【0023】
測定されたナンバープレート22の輝度値Bが閾値Sより低いと(S>B)、ステップS104でこのナンバープレート22は非発光型ナンバープレートであると判定され、車両監視カメラ16のシャッタを開いてナンバープレート22の撮像を開始する(ステップS105)。
【0024】
赤外線投光器15は、車両監視カメラ16のシャッタの作動に同期して、相対的に高い発光強度である第1の発光強度BHで赤外線を発光する(ステップS106)。そして、車両監視カメラ16のシャッタを閉じた後(ステップS107)、再び、輝度センサ14がナンバープレート22の輝度値B1を測定し(ステップS108)、前回測定した輝度値Bと現在の輝度値B1とを比較して輝度値変化の有無を判断する(ステップS109)。
【0025】
輝度値の変化がある場合(B1≠B)、ステップS105の前に戻り、シャッタを開閉すると共に、これに同期させて赤外線投光器15から相対的に高い発光強度である第1の発光強度BHで赤外線を発光してナンバープレート22を撮像する。また、輝度値Bの変化がない場合(B1=B)、ステップS101の前に戻り次の車両20の通過を待つ。
【0026】
一方、ステップS103で、測定されたナンバープレート22の輝度値Bが、閾値Sより高いと(S<B)、ステップS204でこのナンバープレート22は自発光型ナンバープレートであると判定され、車両監視カメラ16のシャッタを開いてナンバープレート22の撮像を開始する(ステップS205)。
【0027】
赤外線投光器15は、車両監視カメラ16のシャッタの作動に同期して、相対的に低い発光強度である第2の発光強度BLで赤外線を発光する(ステップS206)。そして、車両監視カメラ16のシャッタを閉じた後(ステップS207)、再び、輝度センサ14がナンバープレート22の輝度値B1を測定し(ステップS208)、前回測定した輝度値Bと現在の輝度値B1とを比較して輝度値変化の有無を判断する(ステップS209)。
【0028】
輝度値の変化がある場合(B1≠B)、ステップS205の前に戻り、シャッタを開閉すると共に、これに同期させて赤外線投光器15から相対的に低い発光強度である第2の発光強度BLで赤外線を発光してナンバープレート22を撮像する。輝度値Bの変化がない場合(B1=B)、ステップS101の前に戻り次の車両20の通過を待つ。
【0029】
このような手順で制御することにより、車両監視システム10は、図5に示すように作動する。図5は本発明の実施の形態に係る車両監視システムの動作を説明するためのタイムチャートである。
【0030】
車両20がレーザーセンサ13を通過すると、図5(a)に示すように、車両20の通過信号Pが出力され、これにより、図5(b)(左半分)に示すように、輝度センサ14がナンバープレート22の輝度値Bを測定する。図5(c)、(d)に示すように、輝度値Bが閾値Sより低いと(S>B)、非発光型ナンバープレート22と判断して、赤外線投光器15は相対的に高い発光強度である第1の発光強度BHで赤外線を発光してナンバープレート22を明るく照明すると共に、車両監視カメラ16のシャッタを開閉してナンバープレート22を撮像する。このナンバープレート22の撮像は、輝度値Bが変化するごとに複数回行われる。
【0031】
一方、図5(b)(右半分)に示すように、輝度値Bが閾値Sより高いと(S<B)、自発光型ナンバープレート22と判断して、図5(c)、(d)に示すように、赤外線投光器15は相対的に低い発光強度である第2の発光強度BLで赤外線を発光してナンバープレート22を照明すると共に、車両監視カメラ16のシャッタを開閉してナンバープレート22を撮像する。このナンバープレート22の撮像は、輝度値Bが変化するごとに複数回行われる。
【0032】
以上説明したように、このような本発明の実施形態に係る車両監視システムによれば、ナンバープレートの輝度値によってナンバープレートの種類を判別し、赤外線投光器が撮像に最適の発光強度で発光するため、ナンバープレートの種類に係わらず、常に鮮明に撮像することが可能となる。
【0033】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 車両監視システム
11 道路(路面)
13 レーザーセンサ
14 輝度センサ
15 赤外線投光器
16 車両監視カメラ
17 制御部
20 車両
22 ナンバープレート
25 筐体
26 開口部
27 面状発光体
28 LED基板
29 赤外線LED
B 輝度値
BH 第1の発光強度
BL 第2の発光強度
S 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を撮像する車両監視カメラと、前記車両を照明する赤外線投光器と、を有する車両監視システムであって、
路面上を走行する前記車両の通過を検知するレーザーセンサと、
前記車両のナンバープレートの輝度値を測定する輝度センサと、
前記赤外線投光器の発光強度を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記輝度センサによって測定された前記ナンバープレートの前記輝度値が、予め決められた閾値よりも低い場合、相対的に高い発光強度である第1の発光強度で前記赤外線投光器から発光させ、
前記輝度センサによって測定された前記ナンバープレートの前記輝度値が、予め決められた閾値よりも高い場合、前記第1の発光強度より相対的に低い第2の発光強度で前記赤外線投光器から発光させる車両監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両監視システムであって、
前記閾値は、前記輝度センサによって測定される自発光型ナンバープレートの輝度値と、非発光型ナンバープレートの輝度値とを判別可能である車両監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両監視システムであって、
前記赤外線投光器は、
一方の垂直面に開口部を有する方形箱形状の筐体と、
前記筐体の開口部近傍に設けられ、複数の赤外線LEDを平面状に配列したLED基板から構成される面状発光体と、具備した車両監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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