説明

車両監視装置

【課題】車両監視装置の設置および設置後の位置調整を簡易に行うことのできる車両監視装置を提供する。
【解決手段】走行する車両を監視カメラで撮影し、撮影した画像を解析して前記車両の登録番号あるいは車色を取得する車両監視装置において、前記画像のエッジを検出し、該エッジの傾きから前記監視カメラの傾きを検出する傾き検出部と、前記画像内のナンバープレートの幅を認識し、該認識した幅と前記画像の幅をもとに前記カメラの視野幅を検出する視野幅検出部を備えた画像処理装置を備え、該画像処理装置は、検出した監視カメラの傾きおよび視野幅をもとに、前記監視カメラの傾き、およびカメラと監視対象車両位置との間隔の適否を判定し、否と判定したときその調整方向を指示する情報を表示装置に表示する判定部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両監視装置に係り、特に、車両監視装置を構成する監視カメラの調整を補助する手段を備えた車両監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両監視装置は、走行する車両を監視カメラで撮影し、撮影した画像を解析して前記車両の形状、車色、登録番号等の特徴データを取得する目的で用いられる。このため、車両監視装置は、所定の地点に一定期間設置し、監視カメラによって走行する車両を撮影し、撮影映像をモニタに表示したり、撮影映像を画像処理して前記特徴データを取得して記録したりしている。
【0003】
近年では、前記車両監視装置を仮設し、1日ないし1週間程度の短期間で設置地点を変更して、再度車両監視するニーズが高まっている。
【0004】
車両監視装置の設置条件は様々である。また、車両監視装置の設置場所を変更する際には、監視カメラは、その都度適切な撮影映像が得られるように画角等を調整する必要がある。この調整のためには、簡便な調整手法が望まれる。
【0005】
特許文献1には、車両監視装置における監視カメラの焦点を最適値に自動調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−235921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来技術によれば走行している車を撮像し、撮像した映像をもとに自動的にフォーカス調整を行い、車番を認識することができる。しかしながら、前記技術は、所定位置に固定して配置される車両監視装置を前提とする技術である。このため、車両監視装置を必要に応じて、必要な場所に移動して設置し、組み立て調整する場合、調整作業が煩雑であり、また、適切に調整するには熟練が必要とされる。
【0008】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、車両監視装置の設置および設置後の位置調整を簡易に行うことのできる車両監視装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0010】
走行する車両を監視カメラで撮影し、撮影した画像を解析して前記車両の登録番号あるいは車色を取得する車両監視装置において、前記画像のエッジを検出し、該エッジの傾きから前記監視カメラの傾きを検出する傾き検出部と、前記画像内のナンバープレートの幅を認識し、該認識した幅と前記画像の幅をもとに前記カメラの視野幅を検出する視野幅検出部を備えた画像処理装置を備え、該画像処理装置は、検出した監視カメラの傾きおよび視野幅をもとに、前記監視カメラの傾き、およびカメラと監視対象車両位置との間隔の適否を判定し、否と判定したときその調整方向を指示する情報を表示装置に表示する判定部を備えた。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上の構成を備えるため、車両監視装置の設置および設置後の位置調整を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態にかかる車両監視装置の構成を説明する図である。
【図2】監視カメラの使用状態を説明する図である。
【図3】監視カメラで撮影した画像を示す図である。
【図4】撮影映像判定部の処理を説明する図である。
【図5】表示部に表示される監視カメラ画像の例を示す図である。
【図6】第2の実施形態を説明する図である。
【図7】車両までの距離に応じて電流値の増減を行う際の距離と照明装置に供給する電流値の増減量の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる車両監視装置の構成を説明する図である。図1に示すように車両監視装置は、監視カメラ1、画像処理装置2、および表示部3を備える。前記監視カメラ1は、照明装置11、照明装置の発光量を制御する照明制御装置12およびカメラ13を備える。画像処理装置2は、画像処理部21および撮影映像判定部22を備える。
【0014】
図2は監視カメラの使用状態を説明する図であり、図2のように、監視カメラ1は監視対象である車両4から5m〜20m程度はなれた位置から、車両の正面、側面、あるいは上面などを撮影する。
【0015】
監視カメラ1で撮影した映像信号は、画像処理部21に伝送される。画像処理部21は、撮影映像にコントラスト調整、エッジ強調などの画像処理を施した後、撮影画像判定部22に伝送する。撮影画像判定部22では映像信号から車両4の形状、車色、登録番号等の特徴データを抽出し、抽出したデータを表示部3に送信する。表示部3では、例えば前記特徴データに加えて前記映像データを表示する。
【0016】
図3は、監視カメラで撮影した映像を示す。図3において、処理領域51は、画面中央に位置し、設置条件によらず、撮影する領域であり、この領域にナンバープレート41が入ることが望ましい。なお、監視カメラの撮影映像5は車両4を撮影して解析するものであることを前提とすると、車両4はカメラの位置調整のための撮影中には停止していることが好ましいが、走行していてもよい。
【0017】
図4は、撮影映像判定部22の処理を説明するフローチャートである。図4において、まず、画像処理部21は、監視カメラ映像を処理して車両4を検出する(ステップS221)。車両を検知した場合、車両を検知した領域の中からナンバープレート部分(ナンバープレート自体、その傾き、記載されている文字部分)を抽出する(ステップS222)。次に、前記ナンバープレートに記載された文字を認識する(ステップS223)。文字認識に成功したか否かを判定し、「否」の場合には、ナンバープレートの傾きを計測する(ステップS224)。なお文字認識に成功した場合は、傾き、および視野幅に異常はないと判定する。
【0018】
傾きの計測に際しては、車両4の移動方向あるいは処理領域51内の画像の縦方向および横方向のエッジ、例えばナンバープレートの縦方向および横方向のエッジを抽出し、抽出したエッジ傾きから監視カメラ1の傾きを計測する(ステップS224)。次に、車両4のナンバープレート41を認識し、認識したナンバープレートのサイズ(画像サイズに占める割合)から視野幅を計測する(ステップS225)。次に前記傾きの計測結果および視野幅の計測結果をもとに、撮影領域が適正であるか否かの判定を行い(ステップS226)、異常の場合は、表示部3に異常を発報する(ステップS227)。
【0019】
図5は、監視カメラが撮影した撮影画像に、取り付け位置調整のための案内情報を付加した例を示す図である。図5に示すように、表示部3には、監視カメラ1が撮影した映像を表示する。また、撮影映像判定部22で異常判定した場合、異常である旨の警告を表示し、さらに異常を回避するための位置調整方法を表示する。
【0020】
このため、監視カメラを設置する作業者は、前記表示された調整方法にしたがって調整を行えばよく、簡単かつ迅速に取り付け作業および取り付け位置の調整作業を完了することができる。なお、撮影映像判定部22は調整中においても前記調整方法を表示し、表示された調整を行い終えると、異常警告や調整方法が表示されなくすることにより、調整が正常に完了したことを確認できるようにすることができる。
【0021】
図6は、本発明の第2の実施形態を説明する図である。図6に示すように車両監視装置は、監視カメラ1、画像処理装置2、および表示部3を備える。前記監視カメラ1は、照明装置11、照明装置11の発光量を制御する照明制御装置12、カメラ13、および監視対象車両4との距離を計測する超音波距離計等の距離計測器14を備える。また、画像処理装置2は、画像処理部21および撮影映像判定部22を備える。なお、図において図1に示される部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0022】
本実施形態の車両監視装置は、第1の実施形態の車両監視装置に比して、監視カメラ1と車両4の距離を計測する距離計測器14が付加されている。
【0023】
距離計測器14は、超音波距離計等を用いて車両4との距離Lを計測し、照明制御装置12は、次式(1)
P=V*I(I=f(L))・・・・(1)
にしたがって、すなわち車両との距離Lにしたがって照明装置に供給する電力Pを調整して、その発光量を調整する。
【0024】
式(1)は、照明制御部12が車両4との距離に応じて、照明装置11に流す電流Iを制御する式である。設定値L=15mを基準とし、車両位置がそれよりも遠ければ多くの電力を供給し、近ければ少ない電力を供給するという制御を行う。このように、照明装置11の発光量を調整することにより、車両4との距離が異なっても、車両を常に画像処理に適した明るさに照明することができる。
【0025】
図7は、距離に応じて電流値の増減を行う際の距離L=15±Xおよび照明装置に供給する電流Iの例を示す図である。基準とする距離Lとその際に照明装置に供給する電流Iを決定し、その基準とした距離と実際の距離との差異Xを電流Iに反映させるように制御する。
【0026】
なお、距離計測器14からの計測結果をカメラ1にフィードバックしてカメラ1のズーム調整、フォーカス調整を行うことにより距離が異なっても車両4を適正な撮影条件で撮影することができる。
【0027】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、監視カメラの画像処理を考慮した適正な位置に被写体を配置することができる。また、監視カメラと被写体の距離が設置条件に対して変化する場合においても適正な明るさの撮影映像を得ることができる。このため、画像処理装置による認識誤りを抑制することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 監視カメラ
2 画像処理装置
3 表示部
4 車両
5 撮影映像
11 照明装置
12 照明制御部
13 カメラ
14 距離計測器
21 画像処理部
22 撮影画像判定部
41 ナンバープレート
51 処理領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する車両を監視カメラで撮影し、撮影した画像を解析して前記車両の登録番号あるいは車色を取得する車両監視装置において、
前記画像のエッジを検出し、該エッジの傾きから前記監視カメラの傾きを検出する傾き検出部と、
前記画像内のナンバープレートの幅を認識し、該認識した幅と前記画像の幅をもとに前記カメラの視野幅を検出する視野幅検出部を備えた画像処理装置を備え、
該画像処理装置は、検出した監視カメラの傾きおよび視野幅をもとに、前記監視カメラの傾き、およびカメラと監視対象車両位置との間隔の適否を判定し、否と判定したときその調整方向を指示する情報を表示装置に表示する判定部を備えたことを特徴とする車両監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両監視装置において、
撮影対象となる車両位置との間隔を測定する距離測定装置と、被写体となる車両位置を照明する照明装置及び照明装置の照射光量を制御する制御装置を備え、
前記距離測定装置の計測結果をもとに照明装置の照射光量を制御することを特徴とする車両監視装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両監視装置において、
撮影対象となる車両との間隔を測定する距離測定装置を備え、
前記画像処理装置は前記距離測定装置の計測結果をもとにカメラのズーム、フォーカスを調整することを特徴とする車両監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25583(P2013−25583A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160144(P2011−160144)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】