説明

車両管理システム

【課題】他のクライアントが管轄車両として管理する車両の車両関連情報を速やかに得ることができる車両管理システムを提供する。
【解決手段】産廃車両管理システム11は、複数の端末13とインターネット14を介して接続される管理サーバ12を備えている。この管理サーバ12のRAM25には、端末13を所有する各自治体A〜Cが各々独自に管轄車両として管理する産廃車両の車両関連情報が記録されている。しかも、各車両関連情報のうち自治体Aが管理する産廃車両に対応する車両関連情報は、自治体Aに対応する区分領域に車両登録情報に関連付けて記録される。同様に、自治体Bが管理する産廃車両に対応する車両関連情報は、自治体Bに対応する区分領域に車両登録情報に関連付けて記録され、自治体Cが管理する産廃車両に対応する車両関連情報は、自治体Cに対応する区分領域に車両登録情報に関連付けて記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型貨物自動車など特定の車両を広域にわたって管理する際に好適な車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の車両管理システム(広域車両管理装置)が提案されている。この特許文献1に記載の車両管理システムは、一定の管理区域内を走行するディーゼルエンジンを搭載した貨物自動車(車両)のうち、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を搭載していない車両(特定車両)を特定して管理するものであり、走行車両の排出ガス規制を推進する自治体などに導入されている。
【0003】
この車両管理システムは、自治体の管理区域内の所定箇所(例えば、幹線道路脇)に設置された車両ナンバー読取装置と通信回線を介して接続されたサーバを備えており、該サーバにはシステム全体の稼働状態を制御する制御手段(CPU)が設けられている。また、サーバには、該サーバを保有する自治体が管轄車両として管理する多数の車両の車両関連情報(車両の所有者(個人又は事業者)や該所有者の住所など)を車両登録情報(所謂、車検情報)と関連づけて記録する記録手段(RAM)等が設けられている。一方、前記車両ナンバー読取装置には、撮像手段(カメラやビデオなど)が設けられており、該撮像手段は前記車両ナンバー読取装置の設置箇所を通過走行する特定車両を撮像するようになっている。
【0004】
すなわち、車両ナンバー読取装置は、撮像手段にて撮像された画像から、その画像に写っている特定車両のナンバープレートの文字情報(ナンバー情報)を検出し、その文字情報をサーバに送信するようになっている。そして、前記サーバでは、車両ナンバー読取装置から文字情報を受信した場合に、サーバのCPUが、前記文字情報に基づく車両の車両関連情報を記録手段(RAM)から読み出し、その読み出した車両関連情報をモニタなどの出力手段に出力するようになっている。
【特許文献1】特開2004−303082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記サーバの記録手段には、該サーバを保有する自治体が管轄車両として管理する車両の車両関連情報は記録されているものの、他の自治体が管轄車両として管理する車両の車両関連情報は記録されていない。そのため、撮像手段にて撮像した特定車両が他の自治体の管轄車両である場合には、該車両(特定車両)の車両関連情報を他の自治体に対して公文書にて照会しなければならなかった。したがって、このような場合、従来は、前記特定車両の車両関連情報を得るのに非常に時間(例えば1ヶ月程度)がかかってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、他のクライアントが管轄車両として管理する車両の車両関連情報を速やかに得ることができる車両管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目標を達成するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも一台の車両を管轄車両として各々独自に管理する複数のクライアントと通信回線を介して接続される管理サーバを有し、該管理サーバが、前記各クライアントから車両登録情報を受信した場合に、該車両登録情報に対応する車両の車両関連情報をクライアントに送信する車両管理システムであって、前記管理サーバは、前記各クライアントにおいて管轄車両として管理される全ての車両の車両関連情報を、前記各クライアントと個別対応する複数の区分領域に、一つの区分領域には一つのクライアントにおける全管轄車両の車両関連情報が集められるようにして、前記車両登録情報と関連付けて記録する車両関連情報記録手段と、前記クライアントから前記車両登録情報が送信された場合に、該車両登録情報を受信する車両登録情報受信手段と、該車両登録情報受信手段が車両登録情報を受信した場合に、該車両登録情報に対応する車両の車両関連情報を前記車両関連情報記録手段から読み出す車両関連情報読出手段と、該車両関連情報読出手段が読み出した車両関連情報を、前記車両登録情報を送信したクライアントに送信する車両関連情報送信手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記車両関連情報読出手段が前記車両関連情報記録手段内の前記各区分領域のうち何れの区分領域から車両関連情報を読み出し可能であるかを設定記録する読出諾否記録手段をさらに備え、前記車両関連情報読出手段は、前記車両登録情報受信手段が受信した前記車両登録情報に対応する車両の車両関連情報が前記読出諾否記録手段において読み出し可能と設定された区分領域に記録されている場合、該区分領域から前記車両登録情報に対応する車両の車両関連情報を読み出すことを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両管理システムにおいて、前記車両関連情報は、車両に関連した複数種類の属性情報からなり、前記読出諾否記録手段には、前記車両関連情報読出手段が前記各種属性情報のうち何れの属性情報を読み出し可能であるかが設定記録されていることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の車両管理システムにおいて、前記読出諾否記録手段には、前記車両関連情報読出手段による前記各区分領域からの前記車両関連情報の読み出しの諾否が、前記クライアント毎に個別に予め設定されていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の車両管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記車両登録情報受信手段が前記クライアントから前記車両登録情報を受信する毎に、前記車両関連情報読出手段が前記車両関連情報記録手段内の前記各区分領域のうち何れの区分領域から車両関連情報が読み出し可能であるかを前記読出諾否記録手段に設定するための読出諾否設定手段をさらに備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、他のクライアントが管轄車両として管理する車両の車両関連情報を速やかに得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明を、産業廃棄物を不法投棄する車両(以下、「産廃車両」と示す。)を特定して管理するための産廃車両管理システムに具体化した第1の実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の産廃車両管理システム11は、複数(本実施形態では3つ)の自治体A,B,Cが各々独自に管轄車両として管理する全産廃車両の車両関連情報(後述する所有者情報、所有者住所情報及び指導履歴情報)を一括して管理するシステムであり、管理サーバ12を備えている。また、各自治体A,B,Cは端末(クライアント)13をそれぞれ保有しており、該各端末13はインターネット(通信回線)14を介して管理サーバ12にそれぞれ接続されている。
【0015】
前記各端末13には、端末本体15と、入力手段としてのキーボード16と、管理サーバ12から受信した情報などを表示(出力)するモニタ(出力手段)17とがそれぞれ設けられている。また、前記各自治体A,B,Cには、複数台(例えば3台)の車両ナンバー検出装置(車両登録情報検出装置)18がそれぞれ設けられており、該各車両ナンバー検出装置18は、これらを管理する自治体A,B,Cの管理区域に設置されている。例えば、各車両ナンバー検出装置18は、自治体(例えば自治体A)の管理区域内の幹線道路脇(特に、隣接する他の自治体(例えば自治体B)の管理区域との境界付近)や、過去に産業廃棄物の不法投棄がなされた場所付近などにそれぞれ設置される。また、各車両ナンバー検出装置18は、産業廃棄物の不法投棄が頻発する時間帯(例えば深夜)にのみ設置される可搬式タイプのものであってもよい。
【0016】
前記端末本体15には図示しない制御部が設けられている。この制御部は、CPU(以下、「端末CPU」と示す。)を備えており、該端末CPUには、ROM及びRAMが電気的に接続されている。端末CPUは、前記車両ナンバー検出装置18(後述するナンバー送信部22)から産廃車両の車両登録情報(ナンバー情報)を受信した場合、該車両登録情報をRAMに記録するようになっている。そして、端末CPUは、作業者がキーボード16を操作することにより、RAMに記録された車両登録情報を管理サーバ12に送信するようになっている。
【0017】
また、端末CPUは、その自治体(例えば自治体A)が管理する産廃車両の車両関連情報を他の自治体(例えば自治体C)が管理サーバ12に対して照会を求めた場合、該管理サーバ12(詳しくはRAM25)にパスワード情報(読出諾否情報)を設定するためのパスワード設定信号を送信するようになっている。すなわち、自治体では、他の自治体が照会を求める産廃車両について、該産廃車両の車両関連情報の読み出しを許可するか、及び該読み出しを許可する場合には前記所有者情報、所有者住所情報及び指導履歴情報のうち何れの情報の読み出しを許可するかを設定するようになっている。また、自治体では、他の自治体に対して管理サーバ12から車両関連情報の読み出しを許可する期間を設定するようになっている。そして、端末13(端末CPU)では、作業者によるキーボード16の操作により、他の自治体に対して上記の各設定に対応するパスワード(8桁以上の英数字からなるパスワード)を作成し、該パスワードをパスワード設定信号として管理サーバ12に送信するようになっている。
【0018】
前記各車両ナンバー検出装置18には、図2に示すように、該装置18の設置箇所を通過した車両(特に、車両のナンバープレート)を撮像する撮像手段としてのデジタルビデオカメラレコーダ(以下、「DVC」と略記する。)19がそれぞれ設けられている。そして、DVC19によって撮像された映像は、記録媒体(例えばビデオテープ)に記録(収録)されるようになっている。また、各車両ナンバー検出装置18には、DVC19によって撮像された映像から車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出部20と、該ナンバープレート検出部20によって検出されたナンバープレートから文字情報である車両登録情報(ナンバー情報)を認識するナンバー認識部(文字情報検出手段)21とがそれぞれ設けられている。
【0019】
さらに、各車両ナンバー検出装置18には、ナンバー認識部21にて認識した車両登録情報を前記端末13(端末本体15)に送信するナンバー送信部22がそれぞれ設けられている。ちなみに、車両ナンバー検出装置18の設置箇所には、通常、現場作業者が駐在している。そして、この現場作業者は、前記ナンバー認識部21にて認識した全車両登録情報のうち産廃車両の車両登録情報を識別し、該車両登録情報をナンバー送信部22によって端末13に送信するようになっている。
【0020】
前記管理サーバ12は、図1に示すように、CPU(以下、「サーバCPU」と示す。)23を備えており、該サーバCPU23には、ROM24とRAM25が電気的に接続されている。ROM24には、管理サーバ12を制御するための各種制御プログラムが記録されている。そして、サーバCPU23は、ROM24に記録される制御プログラムに基づき管理サーバ12を制御するようになっている。
【0021】
前記RAM25には、図3に示すように、前記各自治体A〜C(各端末13)が管轄車両として各々独自に管理する全ての産廃車両の車両関連情報が記録されている。すなわち、RAM25内には、各自治体A,B,Cと個別対応する複数の区分領域26A,26B,26Cが形成されている。そして、区分領域26Aには、自治体Aにおける全ての管轄車両(全ての産廃車両)の車両関連情報が車両登録情報と関連付けて記録されると共に、区分領域26Bには、自治体Bにおける全ての管轄車両(全ての産廃車両)の車両関連情報が車両登録情報と関連付けて記録されている。また、区分領域26Cには、自治体Cにおける全管轄車両(産廃車両)の車両関連情報が車両登録情報と関連付けて記録されている。したがって、本実施形態では、RAM25が車両関連情報記録手段として機能するようになっている。
【0022】
前記各区分領域26A〜26Cに記録される車両関連情報は、産廃車両に関連した複数種類(本実施形態では3種類)の属性情報(所有者情報、所有者関連情報及び指導履歴情報)からなっている。所有者情報は、産廃車両を所有する業者名に関する情報であり、所有者住所情報は、産廃車両を所有する業者の住所に関する情報である。また、指導履歴情報は、産廃車両を所有する業者が過去に自治体(例えば自治体A)から受けた行政指導の内容に関する情報である。そして、前記各区分領域26A〜26Cは、複数(本実施形態では3つ)のデータベース27,28,29にそれぞれ区画されており、前記各属性情報は、その種類によって各データベース27〜29に区分けして記録されている。すなわち、各区分領域26A〜26Cには、各産廃車両の所有者情報が記録される所有者情報データベース27と、各産廃車両の所有者住所情報が記録される所有者住所情報データベース28と、指導履歴情報が記録される指導履歴情報データベース29とが形成されている。
【0023】
また、前記RAM25内には、読出諾否情報データベース30が形成されている。この読出諾否情報データベース30には、前記端末13(端末CPU)から前記パスワード設定信号をサーバCPU23が受信した場合に、該サーバCPU23がRAM25における各区分領域26A〜26Cのうち何れの区分領域から車両関連情報を読み出すことが可能であるかを示すパスワード情報(読出諾否情報)が設定記録される。すなわち、本実施形態では、RAM25が読出諾否記録手段としても機能するようになっている。
【0024】
そして、サーバCPU23は、端末(パスワード設定信号を送信した自治体の端末13以外の端末)13からパスワード情報を受信した場合、各区分領域26A〜26Cのうちパスワード情報にてアクセスが許可された区分領域から車両関連情報(すなわち、各属性情報)を読み出すようになっている。また、本実施形態において、パスワード情報には、各区分領域26A〜26CへのサーバCPU23によるアクセスの諾否が設定されるだけではなく、アクセスが許可された区分領域における各データベース27,28,29へのサーバCPU23によるアクセスの諾否が個別に設定されている。さらに、パスワード情報には、サーバCPU23による各区分領域26A〜26Cへのアクセスが許可される期間が設定されている。
【0025】
次に、サーバCPU23が実行する各種制御処理ルーチンについて図4〜図7に示すフローチャートに基づき以下説明する。
サーバCPU23は、所定周期毎に図4に示す情報読出処理ルーチンを実行する。まず、情報読出処理ルーチンにおいて、サーバCPU23は、自治体(例えば自治体A)の端末13(端末CPU)から車両登録情報を受信したか否かを判定する(ステップS10)。すなわち、本実施形態では、サーバCPU23が端末(クライアント)13から車両登録情報が送信された場合に、該車両登録情報を受信する車両登録情報受信手段として機能するようになっている。そして、ステップS10の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、情報読出処理ルーチンを終了する。
【0026】
一方、ステップS10の判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、車両登録情報を送信した自治体(端末13)を特定する(ステップS11)。以下、車両登録情報を送信した自治体のことを「送信自治体」と示す。続いて、サーバCPU23は、ステップS10にて受信した車両登録情報に対応する産廃車両を管轄車両として管理する自治体(以下、「管理自治体」と示す。)を特定する(ステップS12)。そして、サーバCPU23は、ステップS11にて特定した送信自治体と、ステップS12にて特定した管理自治体とが同一であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0027】
このステップS13の判定結果が肯定判定(送信自治体=管理自治体)である場合、サーバCPU23は、第1読み出し処理(図5に詳述する。)を実行し(ステップS14)、その処理を後述するステップS18に移行する。一方、ステップS13の判定結果が否定判定(送信自治体≠管理自治体)である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応したパスワード情報を読出諾否情報データベース30に設定するためのパスワード設定信号を管理自治体の端末13から受信したか否かを判定する(ステップS15)。すなわち、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応したパスワード情報が読出諾否情報データベース30に設定されているか否かを判定する。そして、ステップS15の判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、前記送信自治体の端末13から前記車両登録情報に対応したパスワードを受信したか否かを判定する(ステップS16)。この判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、情報読出処理ルーチンを終了する。すなわち、サーバCPU23は、ステップS16の判定結果が否定判定である場合、送信自治体には管理自治体の各データベース27〜29へのアクセス権が無いと判断する。
【0028】
一方、ステップS16の判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、第2読み出し処理(図6に詳述する。)を実行し(ステップS17)、その処理を前記ステップS18に移行する。そして、ステップS18において、サーバCPU23は、該サーバCPU23が前記第1読み出し処理又は第2読み出し処理で前記パスワード情報に基づきRAM25から読み出した属性情報(車両関連情報)を前記送信自治体の端末13に送信する。すなわち、本実施形態では、サーバCPU23が、該サーバCPU23が読み出した車両関連情報を、前記車両登録情報を送信した端末(クライアント)13に送信する車両関連情報送信手段としても機能するようになっている。その後、サーバCPU23は、情報読出処理ルーチンを終了する。
【0029】
一方、前記ステップS15の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応するパスワード情報の設定を促すべく、その旨の信号を管理自治体の端末13に送信したか否かを判定する(ステップS19)。この判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、情報読出処理ルーチンを終了する。一方、ステップS19の判定結果が否定判定である場合、CPU23は、受信した車両登録情報に対応するパスワード情報の設定を促すべく、その旨の信号を管理自治体の端末13に送信する(ステップS20)。その後、サーバCPU23は、情報読出処理ルーチンを終了する。
【0030】
次に、前記情報読出処理のステップS14で実行される第1読み出し処理(第1読み出し処理ルーチン)について図5に示すフローチャートに基づき以下説明する。
第1読み出し処理ルーチンにおいて、サーバCPU23は、前記管理自治体(=送信自治体)に対応する区分領域(例えば区分領域26A)における所有者情報データベース27にアクセスし、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報を読み出す(ステップS30)。すなわち、本実施形態では、サーバCPU23が、車両登録情報受信手段(サーバCPU23)が車両登録情報を受信した場合に、該車両登録情報に対応する産廃車両の車両関連情報をRAM(車両関連情報記録手段)25から読み出す車両関連情報読出手段としても機能するようになっている。
【0031】
続いて、サーバCPU23は、前記管理自治体に対応する区分領域(例えば区分領域26A)における所有者住所情報データベース28にアクセスし、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の所有者住所情報を読み出す(ステップS31)。その後、サーバCPU23は、前記管理自治体に対応する区分領域(例えば区分領域26A)における指導履歴情報データベース29にアクセスし、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の指導履歴情報を読み出す(ステップS32)。そして、このステップS32の処理を実行した後、サーバCPU23は、第1読み出し処理ルーチンを終了する。
【0032】
次に、前記情報読出処理のステップS17で実行される第2読み出し処理(第2読み出し処理ルーチン)について図6に示すフローチャートに基づき以下説明する。
第2読み出し処理ルーチンにおいて、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応するパスワード情報を読出諾否情報データベース30から読み出す(ステップS40)。続いて、サーバCPU23は、ステップS40で読み出したパスワード情報に基づき、アクセスを要求する区分領域(例えば区分領域26A)へのアクセスが可能な期間中であるか否かを判定する(ステップS41)。この判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、前記区分領域(例えば区分領域26A)へのアクセスが可能な期間が過ぎてしまったと判断し、第2読み出し処理ルーチンを終了する。
【0033】
一方、ステップS41の判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、ステップS40で読み出したパスワード情報に基づき、所有者情報データベース27へのアクセスが許可されたか否かを判定する(ステップS42)。この判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報を所有者情報データベース27から読み出し(ステップS43)、その処理を後述するステップS44に移行する。一方、ステップS42の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、その処理をステップS44に移行する。
【0034】
ステップS44において、サーバCPU23は、ステップS40で読み出したパスワード情報に基づき、所有者住所情報データベース28へのアクセスが許可されたか否かを判定する。この判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の所有者住所情報を所有者住所情報データベース28から読み出し(ステップS45)、その処理を後述するステップS46に移行する。一方、ステップS44の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、その処理をステップS46に移行する。
【0035】
ステップS46において、サーバCPU23は、ステップS40で読み出したパスワード情報に基づき、指導履歴情報データベース29へのアクセスが許可されたか否かを判定する。この判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の指導履歴情報を指導履歴情報データベース29から読み出し(ステップS47)、その後、第2読み出し処理ルーチンを終了する。一方、ステップS46の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、指導履歴情報データベース29にアクセスすることなく(すなわち、指導履歴情報データベース29から指導履歴情報を読み出すことなく)、第2読み出し処理ルーチンを終了する。すなわち、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の車両関連情報がRAM25の読出諾否情報データベース30において読み出し可能と設定された区分領域に記録されている場合、該区分領域から前記車両登録情報に対応する産廃車両の車両関連情報(属性情報)を読み出すようになっている。
【0036】
次に、サーバCPU23が所定周期毎に実行する読出諾否情報設定処理ルーチンについて図7に基づき以下説明する。
読出諾否情報設定処理ルーチンにおいて、サーバCPU23は、パスワード情報を読出諾否情報データベース30に設定するためのパスワード設定信号を、前記管理自治体の端末13から受信したか否かを判定する(ステップS50)。この判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、読出諾否情報設定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS50の判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、ステップS50にて管理自治体の端末13から受信したパスワード設定信号に基づくパスワード情報を読出諾否情報データベース30に設定記録する(ステップS51)。すなわち、本実施形態では、サーバCPU23が、端末13から車両登録情報を受信する毎に、サーバCPU23がRAM25内の各区分領域26A〜26Cのうち何れの区分領域から車両関連情報を読み出し可能であるかをRAM25の読出諾否情報データベース30に設定する読出諾否設定手段としても機能するようになっている。
【0037】
続いて、サーバCPU23は、読出諾否情報データベース30に設定記録されたパスワード情報の内容を前記送信自治体の端末13に送信する(ステップS52)。すなわち、サーバCPU23は、送信自治体の端末13に対して、何れの属性情報を読み出しが可能か、読み出し可能な期間、及び読み出すために必要なパスワードを情報として送信する。その後、サーバCPU23は、読出諾否情報設定処理ルーチンを終了する。
【0038】
次に、本実施形態の産廃車両管理システム11の作用について以下説明する。
まず、前提として、自治体Aの管理区域内において過去に産業廃棄物の不法投棄がなされた箇所付近に設置された車両ナンバー検出装置18により、自治体Bが管轄車両として管理する産廃車両が撮像されたものとする。また、管理サーバ12におけるRAM25の読出諾否情報データベース30には、自治体Bからのパスワード情報(読出諾否情報)の設定は予めなされていないものとする。そして、自治体Bの端末13からは、サーバCPU23からパスワード情報の設定が求められた場合、所有者情報及び所有者住所情報の読み出しを許可すると共に読み出し可能な期間を一週間とするパスワード情報が設定されるものとする。
【0039】
さて、以上のような前提のもと、前記車両ナンバー検出装置18のDVC19により前記産廃車両のナンバープレートが撮像され、その車両登録情報がナンバー認識部21にて認識されると、その車両登録情報はナンバー送信部22により自治体Aの端末13に送信される。そして、自治体Aの端末13から作業者によるキーボード16の操作に基づき、前記車両登録情報が管理サーバ12に送信されると、その車両登録情報は、管理サーバ12により受信される。しかし、この場合、送信自治体(自治体A)と管理自治体(自治体B)とは同一でなく、しかも、その車両登録情報に対するパスワード情報がRAM25の読出諾否情報データベース30には設定記録されていないため、管理サーバ12は、RAM25からの車両関連情報の読み出しができない。そこで、このような場合には、管理サーバ12から前記読出諾否情報データベース30へのパスワード情報の設定を求める信号が自治体Bの端末13に送信される。
【0040】
すると、自治体Bの端末13では、前記管理サーバ12からの信号受信に基づき、作業者によるキーボード16の操作により、前記産廃車両に対するパスワード情報について、次のような設定がなされる。すなわち、自治体Bの端末13では、サーバCPU23が所有者情報及び所有者住所情報を読み出すためにRAM25の区分領域26Bにアクセスできること、及びそのアクセス可能期間を一週間とするためのパスワードが作成される。そして、自治体Bの端末13は、上記パスワードをパスワード設定信号として管理サーバ12に送信する。すると、そのパスワード設定信号が管理サーバ12に受信される結果、RAM25の読出諾否情報データベース30にはパスワード情報が設定記録される。なお、この際に、管理サーバ12は、送信自治体である自治体Aの端末13に前記パスワード情報の内容を送信する。
【0041】
すると、自治体Aの端末13からは、管理サーバ12から受信したパスワード情報に基づき、車両登録情報とパスワードとが管理サーバ12に送信される。すると、その車両登録情報とパスワードとを受信した管理サーバ12においては、読出諾否情報データベース30に設定記録されたパスワード情報に基づき、RAM25の区分領域26Bから前記車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報及び所有者住所情報が読み出される。そして次に、管理サーバ12からは、前記車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報及び所有者住所情報が自治体Aの端末13に送信される。すると、自治体Aの端末13のモニタ17に管理サーバ12から受信した前記車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報及び所有者住所情報が表示される。その後、自治体Aでは、モニタ17に表示された所有者情報に対応する業者に対して行政指導を行うための書類が作成され、該書類が業者に送付される。
【0042】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)一つの自治体(例えば自治体A)の端末(クライアント)13から他の自治体(例えば自治体B)が管轄車両として管理する産廃車両の車両登録情報が管理サーバ12に送信された場合、該管理サーバ12のサーバCPU(車両関連情報読出手段)23は、他の自治体に対応する区分領域(例えば区分領域26B)から車両関連情報を読み出す。そして、サーバCPU(車両関連情報送信手段)23は、区分領域から読み出した車両関連情報を前記一つの自治体の端末13に送信する。そのため、前記一つの自治体は、他の自治体が管轄車両として管理する産廃車両に関する車両関連情報を公文書などによる書面によって照会する必要がなくなる。したがって、他の自治体が管轄車両として管理する産廃車両の車両関連情報を速やかに得ることができる。
【0043】
(2)また、サーバCPU(車両関連情報読出手段)23は、RAM(読出諾否記録手段)25の読出諾否情報データベース30に設定記録されたパスワード情報(読出諾否情報)に基づき、読み出しが許可された車両関連情報のみをRAM25から読み出すようになっている。すなわち、RAM25に記録される全ての車両関連情報が不要に読み出されることを抑制する。したがって、各自治体における情報開示の制限にも柔軟に対応できる。
【0044】
(3)さらに、RAM25には、一つの自治体(例えば自治体A)から受信した車両登録情報に対応する産廃車両の属性情報(所有者情報、所有者住所情報及び指導履歴情報)毎にサーバCPU23による読み出しが可能であるかが設定される。したがって、必要以上の情報が読み出されることを規制できる。
【0045】
(4)サーバCPU23が端末13(端末CPU)から車両登録情報を受信する毎に、該車両登録情報に対応する産廃車両について、パスワード情報(読出諾否情報)がRAM(読出諾否記録手段)25の読出諾否情報データベース30に設定される。そのため、車両登録情報を管理サーバ12に送信した送信自治体(例えば自治体A)は、車両登録情報に対応する産廃車両を管理する管理自治体(例えば自治体B)の許可無く、該産廃車両の車両関連情報を取得することはできない。すなわち、送信自治体に、管理自治体が独自に管理する産廃車両の車両関連情報が不用意に流出することを規制できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図8〜図10に従って説明する。なお、第2の実施形態は、管理サーバのROMやRAMに記録されている内容が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0046】
本実施形態における産廃車両管理システム11の管理サーバ12は、サーバCPU23を備えており、該サーバCPU23には、ROM24及びRAM25が電気的に接続されている。前記RAM25には、自治体A〜C毎に区分領域26A〜26Cが形成されると共に、読出諾否情報が設定記録される読出諾否情報データベース30が形成されている。前記各区分領域26A〜26Cには、所有者情報データベース27と、各産廃車両の所有者住所情報が記録される所有者住所情報データベース28と、指導履歴情報が記録される指導履歴情報データベース29とがそれぞれ形成されている。また、前記読出諾否情報データベース30には、読出諾否情報が前記自治体A〜C毎に個別に予め設定されている。
【0047】
具体的には、読出諾否情報データベース30には、図8(a)に示すように、自治体Aが管轄車両として管理する産廃車両の各属性情報(所有者情報、所有者住所情報及び指導履歴情報)の読み出しの諾否(読出諾否情報)が他の自治体B,C毎に設定されている。自治体Bには、自治体Aが管轄車両として管理する産廃車両の全ての属性情報の読み出しが許可されている。すなわち、自治体Bの端末13から自治体Aが管理する産廃車両の車両登録情報をサーバCPU23が受信した場合、該サーバCPU23はRAM25の区分領域26Aにおける全てのデータベース27,28,29にアクセスできるようになっている。一方、自治体Cには、自治体Aが管轄車両として管理する産廃車両の各属性情報のうち所有者情報の読み出しが許可されている。すなわち、自治体Cの端末13から自治体Aが管理する産廃車両の車両登録情報をサーバCPU23が受信した場合、該サーバCPU23はRAM25の区分領域26Aの所有者情報データベース27にのみアクセスできるようになっている。
【0048】
また、読出諾否情報データベース30には、図8(b)に示すように、自治体Bが管轄車両として管理する産廃車両の各属性情報(所有者情報、所有者住所情報及び指導履歴情報)の読み出しの諾否(読出諾否情報)が他の自治体A,C毎に設定されている。自治体Aには、自治体Bが管轄車両として管理する産廃車両の全ての属性情報の読み出しが許可されている。すなわち、自治体Aの端末13から自治体Bが管理する産廃車両の車両登録情報をサーバCPU23が受信した場合、該サーバCPU23はRAM25の区分領域26Bにおける全てのデータベース27,28,29にアクセスできるようになっている。一方、自治体Cには、自治体Bが管轄車両として管理する産廃車両の各属性情報のうち所有者情報及び所有者住所情報の読み出しが許可されている。すなわち、自治体Cの端末13から自治体Bが管理する産廃車両の車両登録情報をサーバCPU23が受信した場合、該サーバCPU23はRAM25の区分領域26Bの所有者情報データベース27及び所有者住所情報データベース28にのみアクセスできるようになっている。
【0049】
また、読出諾否情報データベース30には、図8(c)に示すように、自治体Cが管轄車両として管理する産廃車両の各属性情報(所有者情報、所有者住所情報及び指導履歴情報)の読み出しの諾否(読出諾否情報)が他の自治体A,B毎に設定されている。自治体Aには、自治体Cが管轄車両として管理する産廃車両の各属性情報のうち所有者情報の読み出しが許可されている。すなわち、自治体Aの端末13から自治体Cが管理する産廃車両の車両登録情報をサーバCPU23が受信した場合、該サーバCPU23はRAM25の区分領域26Cの所有者情報データベース27にのみアクセスできるようになっている。一方、自治体Bには、自治体Cが管轄車両として管理する産廃車両の各属性情報のうち所有者情報及び所有者住所情報の読み出しが許可されている。すなわち、自治体Bの端末13から自治体Cが管理する産廃車両の車両登録情報をサーバCPU23が受信した場合、該サーバCPU23はRAM25の区分領域26Cの所有者情報データベース27及び所有者住所情報データベース28にのみアクセスできるようになっている。なお、本実施形態においては、読出諾否情報データベース30には、サーバCPU23がRAM25から車両関連情報(属性情報)を読み出すために必要なパスワードは設定されていない。
【0050】
次に、サーバCPU23が実行する各種制御処理ルーチンについて図9及び図10に示すフローチャートに基づき以下説明する。
サーバCPU23は、所定周期毎に図9に示す情報読出処理ルーチンを実行する。まず、情報読出処理ルーチンにおいて、サーバCPU23は、自治体(例えば自治体A)の端末13(端末CPU)から車両登録情報を受信したか否かを判定する(ステップS70)。この判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、情報読出処理ルーチンを終了する。一方、ステップS70の判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、車両登録情報を送信した送信自治体(端末13)を特定する(ステップS71)。続いて、サーバCPU23は、ステップS70にて受信した車両登録情報に対応する産廃車両を管轄車両として管理する管理自治体(端末13)を特定する(ステップS72)。そして、サーバCPU23は、ステップS71にて特定した送信自治体と、ステップS72にて特定した管理自治体とが同一であるか否かを判定する(ステップS73)。
【0051】
このステップS73の判定結果が肯定判定(送信自治体=管理自治体)である場合、サーバCPU23は、第1読み出し処理(図5に詳述する。)を実行し(ステップS74)、その処理を後述するステップS76に移行する。一方、ステップS73の判定結果が否定判定(送信自治体≠管理自治体)である場合、サーバCPU23は、第2読み出し処理(図10に詳述する。)を実行し(ステップS75)、その処理をステップS76に移行する。そして、ステップS76において、サーバCPU23は、該サーバCPU23が前記第1読み出し処理又は第2読み出し処理で前記読出諾否情報に基づきRAM25から読み出した属性情報を前記送信自治体の端末13に送信する。その後、サーバCPU23は、情報読出処理ルーチンを終了する。
【0052】
次に、前記情報読出処理のステップS75で実行される第2読み出し処理(第2読み出し処理ルーチン)について図10に示すフローチャートに基づき以下説明する。
第2読み出し処理ルーチンにおいて、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する読出諾否情報を読出諾否情報データベース30から読み出す(ステップS80)。続いて、サーバCPU23は、ステップS80で読み出した読出諾否情報に基づき、所有者情報データベース27へのアクセスが許可されたか否かを判定する(ステップS81)。この判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報を所有者情報データベース27から読み出し(ステップS82)、その処理を後述するステップS83に移行する。一方、ステップS81の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、その処理をステップS83に移行する。
【0053】
ステップS83において、サーバCPU23は、ステップS80で読み出した読出諾否情報に基づき、所有者住所情報データベース28へのアクセスが許可されたか否かを判定する。この判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の所有者住所情報を所有者住所情報データベース28から読み出し(ステップS84)、その処理を後述するステップS85に移行する。一方、ステップS83の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、その処理をステップS85に移行する。
【0054】
ステップS85において、サーバCPU23は、ステップS80で読み出した読出諾否情報に基づき、指導履歴情報データベース29へのアクセスが許可されたか否かを判定する。この判定結果が肯定判定である場合、サーバCPU23は、受信した車両登録情報に対応する産廃車両の指導履歴情報を指導履歴情報データベース29から読み出し(ステップS86)、その後、第2読み出し処理ルーチンを終了する。一方、ステップS85の判定結果が否定判定である場合、サーバCPU23は、指導履歴情報データベース29にアクセスすることなく(すなわち、指導履歴情報データベース29から指導履歴情報を読み出すことなく)、第2読み出し処理ルーチンを終了する。
【0055】
次に、本実施形態の産廃車両管理システム11の作用について以下説明する。なお、自治体Aの管理区域内において過去に産業廃棄物の不法投棄がなされた箇所付近に設置された車両ナンバー検出装置18が、自治体Cが管轄車両として管理する産廃車両を撮像したものとする。
【0056】
さて、前記車両ナンバー検出装置18のDVC19により前記産廃車両のナンバープレートが撮像され、その車両登録情報がナンバー認識部21にて認識されると、その車両登録情報はナンバー送信部22により自治体Aの端末13に送信される。そして、自治体Aの端末13から作業者によるキーボード16の操作に基づき、前記車両登録情報が管理サーバ12に送信されると、その車両登録情報は、管理サーバ12に受信される。この場合、車両登録情報を送信した端末13は自治体Aの端末13であり、該車両登録情報に対応する産廃車両は自治体Cの管轄車両である。そのため、管理サーバ12においては、RAM25の区分領域26Cから前記産廃車両の所有者情報のみが読み出される。そして次に、管理サーバ12からは、前記車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報が自治体Aの端末13に送信される。すると、自治体Aの端末13のモニタ17に管理サーバ12から受信した前記車両登録情報に対応する産廃車両の所有者情報が表示される。
【0057】
本実施形態では、さらに以下に示す効果をも得ることができる。
(5)RAM(読出諾否記録手段)25の読出諾否情報データベース30には、読出諾否情報が予め設定されている。そのため、一つに自治体(例えば自治体A)から管理サーバ12(サーバCPU23)に送信された車両登録情報が他の自治体(例えば自治体C)が管轄車両として管理する産廃車両のものであった場合であっても、前記一つの自治体は、該産廃車両に対応する属性情報(例えば所有者情報)を速やかに得ることができる。
【0058】
なお、前記各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、一つの自治体(例えば自治体A)の管理区域内で他の自治体(例えば自治体B)が管轄車両として管理する産廃車両が撮像され、該産廃車両の車両登録情報が認識された場合、次のようにしてもよい。すなわち、前記一つの自治体では、認識した車両登録情報を管理サーバ12に送信する前に、前記他の自治体にメールや電話にて該車両登録情報に対応する産廃車両の車両登録情報の照会を求め、他の自治体にパスワード設定情報を管理サーバ12に送信させるようにしてもよい。
【0059】
・前記各実施形態において、車両ナンバー検出装置18は、幹線道路などに設置されている自動車ナンバー自動読み取り装置(いわゆる「Nシステム」)を利用したものであってもよい。
【0060】
・また、車両ナンバー検出装置18は、自動車料金収受システム(ETC)を利用したものであってもよい。また、全産廃車両にスマートプレートが装着されるようになった場合には、該スマートプレートに設けられたICチップから車両登録情報などを受信するような構成であってもよい。なお、「スマートプレート」とは、車両登録情報などの各種情報を記録したICチップが設けられたナンバープレートのことである。
【0061】
・前記第1の実施形態において、RAM25の読出諾否情報データベース30には、サーバCPU23による各区分領域26A〜26Cへのアクセスを許可する期間が設定されなくてもよい。この場合、サーバCPU23は、パスワードが設定されていれば、いつでも各区分領域26A〜26Cへアクセスできることになる。
【0062】
・前記第1の実施形態において、パスワード情報はRAM25に設定されなくてもよい。すなわち、図4の情報読出処理ルーチンにおいてステップS16を設けなくてもよい。
・前記各実施形態において、RAM25の各区分領域26A〜26Cでは、各属性情報を、車両登録情報に関連付けて記録されていれば、各データベース27〜29に区分けして記録しなくてもよい。
【0063】
・前記各実施形態において、RAM25に読出諾否情報データベース30を設けなくてもよい。すなわち、一つの自治体(例えば自治体B)が、他の自治体(例えば自治体A,C)が各々独自に管轄車両として管理する産廃車両の車両関連情報を自由に読み出すことができるようにしてもよい。
【0064】
・前記各実施形態において、管理サーバ12には、ROM24及びRAM25以外に外部記録装置(例えばハードディスク)を設けてもよい。すなわち、この外部記録装置に各データベース27〜29が形成されるようにしてもよい。
【0065】
・前記各実施形態において、産廃車両を管理するシステムではなく、任意の車両を管理する車両管理システムに具体化してもよい。例えば、ディーゼルエンジンを搭載した貨物自動車(車両)のうち、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を搭載していない車両を管理する車両管理システムに具体化してもよい。
【0066】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)複数のクライアントと通信回線を介して接続される管理サーバが、前記各クライアントから車両登録情報を受信した場合に、該車両登録情報に対応する車両の車両関連情報をクライアントに送信する車両管理方法であって、前記管理サーバには、前記各クライアントにおいて管轄車両として管理される全ての車両の車両関連情報を、前記各クライアントと個別対応する複数の区分領域に、一つの区分領域には一つのクライアントにおける全管轄車両の車両関連情報が集められるようにして、前記車両登録情報と関連付けて記録する車両関連情報記録手段を設け、前記管理サーバは、前記クライアントから車両登録情報を受信した場合に、受信した車両登録情報に対応する車両の車両関連情報を前記車両関連情報記録手段から読み出し、その後、該車両関連情報を、前記車両登録情報を送信したクライアントに送信する車両管理方法。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態における産廃車両管理システムの概略図。
【図2】第1の実施形態における車両ナンバー検出装置のブロック図。
【図3】第1の実施形態における管理サーバのRAM内のブロック図。
【図4】第1の実施形態における情報読出処理ルーチンのフローチャート。
【図5】第1の実施形態における第1読み出し処理ルーチンのフローチャート。
【図6】第1の実施形態における第2読み出し処理ルーチンのフローチャート。
【図7】第1の実施形態における読出諾否情報設定処理ルーチンのフローチャート。
【図8】(a)は第2の実施形態における管理サーバのRAMに記録される読出諾否情報のうち自治体Aが管理する産廃車両に関する説明図、(b)は自治体Bが管理する産廃車両に関する説明図、(c)は自治体Cが管理する産廃車両に関する説明図。
【図9】第2の実施形態における情報読出処理ルーチンのフローチャート。
【図10】第2の実施形態における第2読み出し処理ルーチンのフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
11…産廃車両管理システム、12…管理サーバ、13…端末(クライアント)、14…インターネット(通信回線)、23…サーバCPU(車両登録情報受信手段、車両関連情報読出手段、車両関連情報送信手段、読出諾否設定手段)、25…RAM(車両関連情報記録手段、読出諾否記録手段)、26A,26B,26C…区分領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一台の車両を管轄車両として各々独自に管理する複数のクライアントと通信回線を介して接続される管理サーバを有し、該管理サーバが、前記各クライアントから車両登録情報を受信した場合に、該車両登録情報に対応する車両の車両関連情報をクライアントに送信する車両管理システムであって、
前記管理サーバは、
前記各クライアントにおいて管轄車両として管理される全ての車両の車両関連情報を、前記各クライアントと個別対応する複数の区分領域に、一つの区分領域には一つのクライアントにおける全管轄車両の車両関連情報が集められるようにして、前記車両登録情報と関連付けて記録する車両関連情報記録手段と、
前記クライアントから前記車両登録情報が送信された場合に、該車両登録情報を受信する車両登録情報受信手段と、
該車両登録情報受信手段が車両登録情報を受信した場合に、該車両登録情報に対応する車両の車両関連情報を前記車両関連情報記録手段から読み出す車両関連情報読出手段と、
該車両関連情報読出手段が読み出した車両関連情報を、前記車両登録情報を送信したクライアントに送信する車両関連情報送信手段とを備えた車両管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記車両関連情報読出手段が前記車両関連情報記録手段内の前記各区分領域のうち何れの区分領域から車両関連情報を読み出し可能であるかを設定記録する読出諾否記録手段をさらに備え、
前記車両関連情報読出手段は、前記車両登録情報受信手段が受信した前記車両登録情報に対応する車両の車両関連情報が前記読出諾否記録手段において読み出し可能と設定された区分領域に記録されている場合、該区分領域から前記車両登録情報に対応する車両の車両関連情報を読み出す請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記車両関連情報は、車両に関連した複数種類の属性情報からなり、
前記読出諾否記録手段には、前記車両関連情報読出手段が前記各種属性情報のうち何れの属性情報を読み出し可能であるかが設定記録されている請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記読出諾否記録手段には、前記車両関連情報読出手段による前記各区分領域からの前記車両関連情報の読み出しの諾否が、前記クライアント毎に個別に予め設定されている請求項2又は請求項3に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記車両登録情報受信手段が前記クライアントから前記車両登録情報を受信する毎に、前記車両関連情報読出手段が前記車両関連情報記録手段内の前記各区分領域のうち何れの区分領域から車両関連情報が読み出し可能であるかを前記読出諾否記録手段に設定するための読出諾否設定手段をさらに備えた請求項2又は請求項3に記載の車両管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate