車両警光灯システムおよびそれを備えた車両
【課題】対象車両に設置車両の存在を安全に認識させることができる車両警光灯システムおよびそれを備えた車両を提供することである。
【解決手段】本発明に係る車両警光灯システム100およびそれを備えた車両においては、散光式警光灯120を有するパトカー201と、被追尾車両202とが遠ざかっているか近づいているかを判定し、判定に応じて散光式警光灯120の第1モードから第5モードの放光動作レベルを変化させるプロセッサ111と、を含むものである。
【解決手段】本発明に係る車両警光灯システム100およびそれを備えた車両においては、散光式警光灯120を有するパトカー201と、被追尾車両202とが遠ざかっているか近づいているかを判定し、判定に応じて散光式警光灯120の第1モードから第5モードの放光動作レベルを変化させるプロセッサ111と、を含むものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に緊急車両等の車両警光灯システムおよびそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パトロールカーのような緊急自動車や道路維持作業車等においては、基台上に複数個の回転灯を配置するとともに、この回転灯を赤色や黄色などの着色透光材料で構成したグローブで覆い、回転灯から発生してグローブで着色された警告光を周囲に放光するようにした散光式警光灯が用いられている。
【0003】
この散光式警光灯を備えた緊急用の車両は、例えば、高速走行状態を含む通常の走行状態、または交差点等への進入の場合には、緊急用の車両の存在を周囲の車両の運転者等に報せるために、車両の周囲360度に渡って散光式警光灯の警告光を放光させる。
【0004】
例えば、交通取締りのためにパトロールカーを路上に停止させた場合、車両の特に後方からの車両の追突を防止するために、車両の前後方向に対する注意を強く喚起するために散光式警光灯を点滅させる。
【0005】
このように、散光式警光灯を用いることで、周囲の注意を有効に喚起するとともに、停車時または低速走行時における車両の危険を回避することができる。
【0006】
また、特許文献1には、乗物の灯具における点滅を制御することで他車に対する視認性を高め、同時に緊急時等における通常時とは異なる走行状態を認識させることを可能にする乗物用灯具について開示されている。
【0007】
特許文献1記載の乗物用灯具においては、乗物に備えられた灯具と、灯具の点灯を制御する点灯制御手段とを備え、点灯制御手段は異なる周波数の複数の点滅信号を時系列的に組み合わせ、組み合わせた点滅信号に基づいて灯具を点滅制御する構成である。
【0008】
さらに、特許文献2には、点滅動作が自動で適切に行われるようにして、操作性を向上し、ひいては安全性を向上することができる車両用警告灯制御装置について開示されている。
【0009】
特許文献2記載の車両用警告灯制御装置においては、少なくとも車両の後方に向けて警告光を発生させることができる光源を有する車両用警告灯を制御する装置であって、上記光源を点滅させる点滅制御手段と、車両の速さが所定値以下となったことを検出する検出手段と、この検出手段が、車両の速さが所定値以下となったことを検出したことに応答して、上記点滅制御手段を動作させる制御手段とを含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−111031号公報
【特許文献2】特開平06−20507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように、特許文献1または特許文献2に記載された装置を用いた緊急自動車は、周囲の注意を有効に喚起し、安全性を担保するものである。
【0012】
また、一般に、緊急自動車は、対象車両となる交通違反車両を認知した場合、光による散光式警光灯および音によるサイレン装置を動作させ、場合によっては、対象車両を安全に停止させるべくさらにスピーカからアナウンスを行う。
【0013】
しかしながら、特に日中、すなわち太陽光が強い場合には、緊急自動車の散光式警光灯の放光が目立たず、対象車両の搭乗者の認知が遅れる怖れがある。当該認知が遅れることにより、当該対象車両の走行が継続され、当該車両のみならず、周囲の車両も危険な状態に巻き込まれる怖れがあった。
なお、以下において緊急自動車を設置車両と呼ぶ。
【0014】
本発明の目的は、対象車両に設置車両の存在を安全に認識させることができる車両警光灯システムおよびそれを備えた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)
一の局面に従う車両警光灯システムは、警光灯を有する設置車両と、対象車両とが遠ざかっているか近づいているかを判定し、判定結果に応じて警光灯の放光動作レベルを変化させる制御部を含むものである。
【0016】
この場合、制御部により警光灯を有する設置車両と、対象車両とが遠ざかっているか近づいているかが判定され、判定結果に応じて放光動作レベルが変化される。その結果、設置車両と対象車両との遠近に応じて放光動作レベルを変化でき、対象車両に設置車両の存在を安全に認識させることができる。
【0017】
(2)
車両警光灯システムは、一の局面に従う車両警光灯システムにおいて、制御部は、設置車両の速度に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0018】
この場合、制御部は、設置車両の速度に応じて、放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を設置車両の速度に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0019】
(3)
車両警光灯システムは、一の局面または第2の車両警光灯システムにおいて、制御部は、設置車両と対象車両との相対速度に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0020】
この場合、設置車両と対象車両との相対速度に応じて放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を相対速度に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0021】
(4)
車両警光灯システムは、一の局面、第2または第3の車両警光灯システムにおいて、制御部は、設置車両と対象車両との車間距離の変化に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0022】
この場合、設置車両と対象車両との相対速度に応じて放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を車間距離の変化に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0023】
(5)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第4の車両警光灯システムにおいて、制御部は、警光灯を前方集中照射モードにおいて放光してもよい。
【0024】
この場合、制御部は、警光灯を前方集中照射モードに放光するので、対象車両に設置車両の存在を車間距離の変化に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0025】
(6)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第5の車両警光灯システムにおいて、警光灯は、散光式警光灯からなってもよい。
【0026】
この場合、警光灯は、散光式警光灯からなるので、対象車両に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を確実に認識させることができる。
(7)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第6の車両警光灯システムにおいて、警光灯は、複数の警光灯からなり、設置車両の進行方向に向かって左右側および中央側に設けられてもよい。
【0027】
この場合、警光灯は、複数の警光灯からなり、車両の進行方向に向かって左右側および中央側に設けられるので、制御部は、左右側または中央側の組み合わせによる種々のモードで警光灯を動作させることができ、対象車両に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0028】
(8)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第7の車両警光灯システムにおいて、車両に設けられた灯火類の全てを含んでもよい。
【0029】
この場合、散光式警光灯、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプ等の車両に設けられる灯火類の全てまたは一部が点灯、点滅等を行うので、対象車両に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0030】
(9)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第8の車両警光灯システムにおいて、設置車両と対象車両との車間距離に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0031】
この場合、設置車両と対象車両との車間距離に応じて放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を車間距離に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0032】
(10)
他の局面に従う車両は、一の局面、第2から第9のいずれか1項に記載の車両警光灯システムを備えたものである。
【0033】
この場合、車両は、一の局面、第2から第9のいずれか1項に記載の車両警光灯システムを備えたものであるので、対象車両に設置車両の存在を確実にかつ安全に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的側面図である。
【図2】本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的平面図である。
【図3】本実施の形態に係る車両警光灯システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る第1モードの一例を示すイメージ図である。
【図5】第2モードの一例を示すイメージ図である。
【図6】第3モードの一例を示すイメージ図である。
【図7】第4モードの一例を示すイメージ図である。
【図8】第5モードの一例を示すイメージ図である。
【図9】本実施の形態に係る報知レベルテーブルを示すイメージ図である。
【図10】プロセッサの処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】図9の報知レベルテーブルの他の例を示す模式図である。
【図12】図9および図11の報知レベルテーブルのさらに他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。以下の説明では、同一部には同一の符号を付す。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0036】
本実施の形態においては、「設置車両」として、パトロールカー(以下、単にパトカーと呼ぶ。)に適用した場合について説明し、「警光灯」として散光式警光灯に適用した場合について説明する。ただし、「設置車両」は、救急車、消防車などの他の緊急自動車、普通自動車、トラック、フォークリフト、建設機械などの他の車両であってもよい。また、「警光灯」は、散光式警光灯、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプなどの設置車両の外から視認できるものであればよい。
【0037】
(実施の形態)
図1は、本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的側面図であり、図2は、本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的平面図である。
【0038】
図1および図2に示すように、車両警光灯システム100は、パトロールカー201(以下、パトカーと呼ぶ)に搭載される。ここで、パトカー201は、交通違反車両(以下、被追尾車両と呼ぶ)202を追尾している状態である。
【0039】
図1および図2に示すように、パトカー201は、走行速度V1km/時間で走行し、被追尾車両202は、走行速度V2km/時間で走行している。
パトカー201と被追尾車両202との車間距離は、距離L300である。
【0040】
<車両警光灯システム100の全体構成>
次に、本実施の形態に係るパトカー201に搭載される車両警光灯システム100の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る車両警光灯システム100の構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、車両警光灯システム100は、主にコントローラ(サイレンアンプ)110、散光式警光灯120を含む。なお、車両警光灯システム100は、GPS(global positioning system)131、ウィンカー132、ドップラーセンサ133、速度センサ134、フォグランプ135およびヘッドランプ136の一部または全てを含んでもよい。
【0042】
図3の散光式警光灯120は、パトカー201の上部に載置される。また、散光式警光灯120は、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとを含む。
【0043】
例えば、第1の左ライト121Lおよび第2の左ライト122Lは、パトカー201の上部の進行方向左側に設置される。本実施の形態においては、第1の左ライト121Lが、第2の左ライト122Lよりも外側に設置される。
第1の右ライト121Rと第2の右ライト122Rとは、パトカー201の上部の右側に設置される。本実施の形態においては、第1の右ライト121Rが、第2の右ライト122Rよりも外側に設置される。
【0044】
第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとは、コントローラ110からの指令に基づいて、点灯または点滅する。より詳細には、本実施の形態に係る第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rの各々は、回転灯ユニットまたはLED点滅ユニットなどの灯火ユニットを含む。
【0045】
第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとは、コントローラ110から出力値、点滅周期、回転速度または照射モードを示す命令を受け付けて、当該命令に応じて点灯または点滅したり、回転したりする。
【0046】
GPS131は、設置車両の位置を測定し、測定結果をコントローラ110に入力する。GPS131は、パトカー201の走行システムに装備されているものであってもよいし、車両警光灯システム100に専用に設けられたものであってもよい。
【0047】
ウィンカー132は、方向指示器の灯火類である。
また、ドップラーセンサ133は、移動している被追尾車両202に対する距離を測定するセンサである。
なお、本実施の形態においては、距離を測定するものとしているが、これに限定されず、マイクロ波ドップラーセンサを用いてマイクロ波を照射し、反射してきたマイクロ波を受信して送信波と周波数とを比較して被追尾車両202の移動速度に比例して受信波の周波数がシフトする現象(いわゆるドップラー効果)を利用してもよく、その他、レーザドップラーセンサまたは任意のセンサを用いて測定してもよい。また、ドップラーセンサ133は、パトカー201の走行システムに装備されているものであってもよいし、車両警光灯システム100に専用に設けられたものであってもよい。
【0048】
速度センサ134は、パトカー201の速度を測定し、測定結果をコントローラ110に入力する。速度センサ134は、パトカー201の走行システムに装備されているものであってもよいし、車両警光灯システム100に専用に設けられたものであってもよい。
【0049】
コントローラ110は、プロセッサ111、メモリ112、通信インターフェイス113、スイッチ114およびディスプレイ115を備える。
コントローラ110のプロセッサ111、メモリ112、通信インターフェイス113、スイッチ114およびディスプレイ115は、LAN(ローカルエリアネットワーク)またはバス(BUS)により接続され相互通信可能に設けられる。
【0050】
メモリ112は、各種のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)および/またはハードディスクなどによって実現される。メモリ112は、プロセッサ111によって実行される制御プログラム、モードテーブル112A、報知レベルテーブル112B、その他地図情報112C等を記憶する。
【0051】
通信インターフェイス113は、コントローラ110に接続可能な外部機器とデータ通信を行う。たとえば、通信インターフェイス113は、GPS131、ドップラーセンサ133、速度センサ134からのデータを、プロセッサ111に受け渡す。通信インターフェイス113は、プロセッサ111からの指令に基づいて、散光式警光灯120に指令を送信する。
【0052】
スイッチ114は、ユーザからの命令を受け付けて、ユーザからの命令をプロセッサ111に入力する。たとえば、スイッチ114は、散光式警光灯120の点灯方法を指定するための命令を受け付ける。
【0053】
ディスプレイ115は、プロセッサ111からの指令に基づいて、文字または画像を出力する。なお、コントローラ110は、スイッチ114とディスプレイ115との代わりに、タッチパネルを含んでもよい。
【0054】
プロセッサ111は、通信インターフェイス113を介して、GPS131からパトカー201の位置を取得する。
プロセッサ111は、通信インターフェイス113を介して、ドップラーセンサ133から被追尾車両202の距離を取得し、一定時間後の距離変化から被追尾車両202の走行速度V2を算出する。プロセッサ111は、通信インターフェイス113を介して、速度センサ134からパトカー201の走行速度V1を取得する。
【0055】
プロセッサ111は、メモリ112の地図情報112Cを参照し、パトカー201が高速道路上であるか、一般道路上であるかを認識し、速度センサ134からのパトカー201の走行速度V1およびドップラーセンサ133から被追尾車両202の走行速度V2に基づいて、対応するモードを決定する。
プロセッサ111は、モードテーブル112Aに基づいて、決定されたモードに応じた命令を散光式警光灯120の第1の左ライト121Lと第2の左ライト122Lと第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとに送信する。
【0056】
次に、本実施の形態に係る車両警光灯システム100のモードについて説明する。換言すれば、モードテーブル112Aに登録されている複数のモードについて説明する。
図4は、本実施の形態に係る第1モードの一例を示すイメージ図であり、図5は第2モードの一例を示すイメージ図であり、図6は第3モードの一例を示すイメージ図であり、図7は第4モードの一例を示すイメージ図であり、図8は第5モードの一例を示すイメージ図であり、図9は、本実施の形態に係る報知レベルテーブル112Bを示すイメージ図である。
【0057】
図9に示すように、報知レベルテーブル112Bの報知レベルには、5個のモード(第1モード〜第5モード)が用いられている。モードテーブル112Aには、当該5個モードが登録されている。以下では、それぞれのモードについて詳述する。
なお、当該実施例においては、5個のモードであるとしたが、これに限定されず、他の任意の数のモード、例えば、手動モード等を設けてもよい。
【0058】
(第1モード)
まず、第1モードについて説明する。図4を参照して、第1モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとが、水平方向の全領域(360度の方向)に照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡が360度回転しながら)が点灯する。
【0059】
(第2モード)
次に、第2モードについて説明する。図5を参照して、第2モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとが、水平方向の全領域(360度の方向)に照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡が360度回転しながら)が点灯する。
また、第2モードにおいては、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとが前後方向のみを照射する。すなわち、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向を中心として約60°の範囲で揺動し、その領域を照射する。
なお、散光式警光灯120の第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとを回転させつつ、前後方向を中心として60°の範囲内のみで点灯させ、その他の範囲で消灯させることにより、その領域を照射してもよい。
【0060】
(第3モード)
次に、第3モードについて説明する。図6を参照して、第3モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとが、水平方向の全領域(360度の方向)に照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)が、回転しながら点灯する。
また、第3モードにおいては、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向に照射できる状態で回転停止し、点滅照射する。
【0061】
(第4モード)
続いて、第4モードについて説明する。図7を参照して、第4モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとが前後のみを照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)が前後方向を中心として約60°の範囲で揺動し、その領域を照射する。
【0062】
また、第4モードにおいては、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向に照射できる状態で回転停止し、点滅照射する。
なお、散光式警光灯120の第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)を回転させつつ、前後方向を中心として60°の範囲内のみで点灯させ、その他の領域で消灯させることにより、その領域を照射してもよい。
【0063】
(第5モード/前方集中照射モード)
最後に、第5モードについて説明する。図8を参照して、第5モードにおいては、散光式警光灯120の第1の左ライト121L、第1の右ライト121R、第2の左ライト122L、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向に照射できる状態で回転停止し、点滅照射する。
【0064】
なお、散光式警光灯120の第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)を回転させつつ、前後方向のみで点灯させ、その他の領域で消灯させることにより、前後方向のみを照射してもよい。
【0065】
(報知レベルテーブル)
次いで、本実施の形態に係る車両警光灯システム100の報知レベルについて説明する。
【0066】
図9に示す報知レベルテーブル112Bのように、本実施の形態においては、パトカー201の走行モードが、「通常警邏」の場合には、特に設定を行っておらず、パトカー201の走行モードが、「緊急走行」の場合のみに設定を行っている。
なお、走行モードが「通常警邏」の場合に、パトカー201と被追尾車両202との状態判定および報知レベルの設定を行ってもよい。
【0067】
本実施の形態においては、例えば、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「0km/時以上80km/時未満」で、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1と同じまたは走行速度V1未満の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第1モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1超過である場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択される。この第1モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202が停車準備に入ったり、その披追尾車両202の搭乗者がパトカー201の存在を認知、或いはパトカー201が披追尾車両202を安全に誘導しているときなどである。また、第2モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202の搭乗者がパトカー201を認知していないときなどである。
【0068】
また、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「80km/時以上110km/時未満」で、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1と同じまたは走行速度V1未満の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1超過である場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択される。この第3モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202が停車準備に入ったり、その披追尾車両202の搭乗者がパトカー201の存在を認知、或いはパトカー201が披追尾車両202を誘導しているときであって、一定の走行速度にある状態などである。
【0069】
また、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「110km/時以上」で、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1未満の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1と同等の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第4モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第5モードが選択される。この第4モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202を適当な距離で追尾継続しているときである。また、第5モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202がパトカー201から高速で逃走を図っていたり、危険な走行状態を継続しているときなどである。
【0070】
続いて、図10は、プロセッサ111の処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
まず、プロセッサ111は、速度センサ134から自車速度を検知する(ステップS2)。
次に、プロセッサ111は、ドップラーセンサ133からの情報を受け取り、被追尾車両202とパトカー201との車間距離L1を計測する(ステップS4)。
【0072】
続いて、プロセッサ111は、所定の時間経過したか否かを判定する(ステップS6)。プロセッサ111は、所定の時間経過していないと判定した場合には、ステップS6の処理を繰り返す(ステップS6のNo)。
一方、プロセッサ111は、所定の時間経過したと判定した場合(ステップS6のYes)には、ドップラーセンサ133からの情報を受け取り、被追尾車両202とパトカー201との車間距離L2を計測する(ステップS8)。
【0073】
続いて、プロセッサ111は、対象車両である被追尾車両202の速度を検出する(ステップS10)。ここで、プロセッサ111は、ステップS4の処理およびステップS8の処理において計測した距離L1および距離L2に基づいて、被追尾車両202の速度を検出する。
【0074】
そして、検出した被追尾車両の速度V2およびパトカー201の速度V1に基づいて、図9の報知レベルテーブル112Bの報知レベルを選定し実施する(ステップS12)。
最後に、プロセッサ111は、パトカー201の自車速度が0であるか否かを判定する(ステップS14)。パトカー201の自車速度が0でないと判定した場合には(ステップS14のNo)、ステップS2の処理に戻りステップS2からステップS12の処理を繰り返す。
一方、パトカー201の自車速度が0であると判定した場合には(ステップS14のYes)、処理を終了する。
【0075】
(他の例)
図11は、図9の報知レベルテーブル112Bの他の例を示す模式図である。
【0076】
図11に示す報知レベルテーブル112Bは、被追尾車両の相対距離(m)に基づいて、報知レベルを選定するものである。
【0077】
図11に示すように、他の例においても、パトカー201の走行モードが、「通常警邏」の場合には、特に設定を行っておらず、パトカー201の走行モードが、「緊急走行」の場合のみに設定を行っている。
なお、走行モードが「通常警邏」の場合に、パトカー201と被追尾車両202との状態判定および報知レベルの設定を行ってもよい。
【0078】
例えば、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「0km/時以上80km/時未満」で、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が100m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第1モードが選択され、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が100m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択される。
【0079】
また、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「80km/時以上110km/時未満」で、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が200m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択され、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が200m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択される。
【0080】
さらに、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「110km/時以上」で、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が300m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第4モードが選択され、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が300m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第5モードが選択される。
【0081】
このように、図10のステップS4の処理における車間距離(相対距離)L1に基づいて、ステップS12の処理であるレベル選定を行ってもよい。
また、車間距離の増減変化に応じて他の報知レベルテーブルを設定してステップS12の処理であるレベル選定を行ってもよい。
【0082】
(さらに他の例)
図12は、図9および図11の報知レベルテーブル112Bのさらに他の例を示す模式図である。
【0083】
図12に示すように、さらに他の例においては、パトカー201が「停車状態」にある場合で、対象車両が後方からパトカー201に近づいてくる場合に、当該対象車両に対して、注意を喚起するものである。
【0084】
例えば、さらに他の例においては、パトカー201の走行モードが「停車中」であり、パトカー201と対象車両との状態判定が、対象車両の走行速度V2が「0km/時以上80km/時未満」で、パトカー201と対象車両との相対距離が100m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択され、パトカー201と対象車両との相対距離が100m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第1モードが選択される。
【0085】
また、パトカー201と対象車両との状態判定において、対象車両の走行速度V2が「80km/時以上110km/時未満」で、パトカー201と対象車両との相対距離が200m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択され、パトカー201と対象車両との相対距離が200m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択される。
【0086】
さらに、パトカー201と対象車両との状態判定において、対象車両の走行速度V2が「110km/時以上」で、パトカー201と対象車両との相対距離が300m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第5モードが選択され、パトカー201と対象車両との相対距離が300m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第4モードが選択される。
【0087】
このように、図10のステップS4の処理における車間距離(相対距離)L1に基づいて、ステップS12の処理であるレベル選定を行ってもよい。
【0088】
(A)
以上のように、車両警光灯システム100または車両警光灯システム100を備えたパトカー201は、プロセッサ111によりパトカー201と被追尾車両202とが遠ざかっているか近づいているかが判定され、判定結果に応じて散光式警光灯120の点灯または点滅モードを変化させる。
【0089】
また、パトカー201の速度に応じて、第1モードから第5モードのいずれかに変化させるので、被追尾車両202にパトカー201の存在を安全に認識させることができる
さらに、パトカー201と被追尾車両202との相対速度または車間距離、車間距離の変化に応じて第1モードから第5モードのいずれかに変化させて対応するので、被追尾車両202にパトカー201の存在を相対速度に応じてまたは車間距離、車間距離の変化に応じてバリエーションを変化させて安全に認識させることができる。
【0090】
また、プロセッサ111は、危険度が高い場合に、散光式警光灯120を前方集中照射モードに放光するので、被追尾車両202にパトカー201の存在を車間距離の変化に応じて安全に認識させることができるとともに、被追尾車両202の周囲に、パトカー201の存在を認識させることができる。
【0091】
また、散光式警光灯120は、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとからなり、プロセッサ111は、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとの組み合わせによる種々のモードで散光式警光灯120を動作させることができ、被追尾車両202にパトカー201の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0092】
さらに、車両警光灯システム100においては、散光式警光灯120のみならず、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプ等の設置車両に設けられる灯火類の全てまたは一部が点灯、点滅等を行うので、被追尾車両202に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0093】
本実施の形態に係る車両警光灯システム100においては、散光式警光灯120が警光灯に相当し、パトロールカー(パトカー)201が設置車両に相当し、被追尾車両202が対象車両に相当し、第1モードから第5モードが放光動作レベルに相当し、プロセッサ111が制御部に相当し、車両警光灯システム100が車両警光灯システムに相当し、車間距離L300が車間距離に相当し、第5モードが前方集中照射モードに相当し、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとが複数の警光灯に相当し、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプが設置車両に設けられた灯火類に相当する。
【0094】
本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0095】
100 車両警光灯システム
120 散光式警光灯
201 パトロールカー(パトカー)
202 被追尾車両
111 プロセッサ
L300 車間距離
121L 第1の左ライト121L
122L 第2の左ライト122L
121R 第1の右ライト121R
122R 第2の右ライト122R
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に緊急車両等の車両警光灯システムおよびそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パトロールカーのような緊急自動車や道路維持作業車等においては、基台上に複数個の回転灯を配置するとともに、この回転灯を赤色や黄色などの着色透光材料で構成したグローブで覆い、回転灯から発生してグローブで着色された警告光を周囲に放光するようにした散光式警光灯が用いられている。
【0003】
この散光式警光灯を備えた緊急用の車両は、例えば、高速走行状態を含む通常の走行状態、または交差点等への進入の場合には、緊急用の車両の存在を周囲の車両の運転者等に報せるために、車両の周囲360度に渡って散光式警光灯の警告光を放光させる。
【0004】
例えば、交通取締りのためにパトロールカーを路上に停止させた場合、車両の特に後方からの車両の追突を防止するために、車両の前後方向に対する注意を強く喚起するために散光式警光灯を点滅させる。
【0005】
このように、散光式警光灯を用いることで、周囲の注意を有効に喚起するとともに、停車時または低速走行時における車両の危険を回避することができる。
【0006】
また、特許文献1には、乗物の灯具における点滅を制御することで他車に対する視認性を高め、同時に緊急時等における通常時とは異なる走行状態を認識させることを可能にする乗物用灯具について開示されている。
【0007】
特許文献1記載の乗物用灯具においては、乗物に備えられた灯具と、灯具の点灯を制御する点灯制御手段とを備え、点灯制御手段は異なる周波数の複数の点滅信号を時系列的に組み合わせ、組み合わせた点滅信号に基づいて灯具を点滅制御する構成である。
【0008】
さらに、特許文献2には、点滅動作が自動で適切に行われるようにして、操作性を向上し、ひいては安全性を向上することができる車両用警告灯制御装置について開示されている。
【0009】
特許文献2記載の車両用警告灯制御装置においては、少なくとも車両の後方に向けて警告光を発生させることができる光源を有する車両用警告灯を制御する装置であって、上記光源を点滅させる点滅制御手段と、車両の速さが所定値以下となったことを検出する検出手段と、この検出手段が、車両の速さが所定値以下となったことを検出したことに応答して、上記点滅制御手段を動作させる制御手段とを含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−111031号公報
【特許文献2】特開平06−20507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように、特許文献1または特許文献2に記載された装置を用いた緊急自動車は、周囲の注意を有効に喚起し、安全性を担保するものである。
【0012】
また、一般に、緊急自動車は、対象車両となる交通違反車両を認知した場合、光による散光式警光灯および音によるサイレン装置を動作させ、場合によっては、対象車両を安全に停止させるべくさらにスピーカからアナウンスを行う。
【0013】
しかしながら、特に日中、すなわち太陽光が強い場合には、緊急自動車の散光式警光灯の放光が目立たず、対象車両の搭乗者の認知が遅れる怖れがある。当該認知が遅れることにより、当該対象車両の走行が継続され、当該車両のみならず、周囲の車両も危険な状態に巻き込まれる怖れがあった。
なお、以下において緊急自動車を設置車両と呼ぶ。
【0014】
本発明の目的は、対象車両に設置車両の存在を安全に認識させることができる車両警光灯システムおよびそれを備えた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)
一の局面に従う車両警光灯システムは、警光灯を有する設置車両と、対象車両とが遠ざかっているか近づいているかを判定し、判定結果に応じて警光灯の放光動作レベルを変化させる制御部を含むものである。
【0016】
この場合、制御部により警光灯を有する設置車両と、対象車両とが遠ざかっているか近づいているかが判定され、判定結果に応じて放光動作レベルが変化される。その結果、設置車両と対象車両との遠近に応じて放光動作レベルを変化でき、対象車両に設置車両の存在を安全に認識させることができる。
【0017】
(2)
車両警光灯システムは、一の局面に従う車両警光灯システムにおいて、制御部は、設置車両の速度に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0018】
この場合、制御部は、設置車両の速度に応じて、放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を設置車両の速度に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0019】
(3)
車両警光灯システムは、一の局面または第2の車両警光灯システムにおいて、制御部は、設置車両と対象車両との相対速度に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0020】
この場合、設置車両と対象車両との相対速度に応じて放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を相対速度に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0021】
(4)
車両警光灯システムは、一の局面、第2または第3の車両警光灯システムにおいて、制御部は、設置車両と対象車両との車間距離の変化に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0022】
この場合、設置車両と対象車両との相対速度に応じて放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を車間距離の変化に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0023】
(5)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第4の車両警光灯システムにおいて、制御部は、警光灯を前方集中照射モードにおいて放光してもよい。
【0024】
この場合、制御部は、警光灯を前方集中照射モードに放光するので、対象車両に設置車両の存在を車間距離の変化に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0025】
(6)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第5の車両警光灯システムにおいて、警光灯は、散光式警光灯からなってもよい。
【0026】
この場合、警光灯は、散光式警光灯からなるので、対象車両に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を確実に認識させることができる。
(7)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第6の車両警光灯システムにおいて、警光灯は、複数の警光灯からなり、設置車両の進行方向に向かって左右側および中央側に設けられてもよい。
【0027】
この場合、警光灯は、複数の警光灯からなり、車両の進行方向に向かって左右側および中央側に設けられるので、制御部は、左右側または中央側の組み合わせによる種々のモードで警光灯を動作させることができ、対象車両に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0028】
(8)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第7の車両警光灯システムにおいて、車両に設けられた灯火類の全てを含んでもよい。
【0029】
この場合、散光式警光灯、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプ等の車両に設けられる灯火類の全てまたは一部が点灯、点滅等を行うので、対象車両に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0030】
(9)
車両警光灯システムは、一の局面、第2から第8の車両警光灯システムにおいて、設置車両と対象車両との車間距離に応じて放光動作レベルを変化させてもよい。
【0031】
この場合、設置車両と対象車両との車間距離に応じて放光動作レベルを変化させるので、その結果、対象車両に設置車両の存在を車間距離に応じて安全に認識させることができるとともに、対象車両の周囲に、設置車両の存在を認識させることができる。
【0032】
(10)
他の局面に従う車両は、一の局面、第2から第9のいずれか1項に記載の車両警光灯システムを備えたものである。
【0033】
この場合、車両は、一の局面、第2から第9のいずれか1項に記載の車両警光灯システムを備えたものであるので、対象車両に設置車両の存在を確実にかつ安全に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的側面図である。
【図2】本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的平面図である。
【図3】本実施の形態に係る車両警光灯システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る第1モードの一例を示すイメージ図である。
【図5】第2モードの一例を示すイメージ図である。
【図6】第3モードの一例を示すイメージ図である。
【図7】第4モードの一例を示すイメージ図である。
【図8】第5モードの一例を示すイメージ図である。
【図9】本実施の形態に係る報知レベルテーブルを示すイメージ図である。
【図10】プロセッサの処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】図9の報知レベルテーブルの他の例を示す模式図である。
【図12】図9および図11の報知レベルテーブルのさらに他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。以下の説明では、同一部には同一の符号を付す。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0036】
本実施の形態においては、「設置車両」として、パトロールカー(以下、単にパトカーと呼ぶ。)に適用した場合について説明し、「警光灯」として散光式警光灯に適用した場合について説明する。ただし、「設置車両」は、救急車、消防車などの他の緊急自動車、普通自動車、トラック、フォークリフト、建設機械などの他の車両であってもよい。また、「警光灯」は、散光式警光灯、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプなどの設置車両の外から視認できるものであればよい。
【0037】
(実施の形態)
図1は、本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的側面図であり、図2は、本発明に係る車両警光灯システムの概要を説明するための模式的平面図である。
【0038】
図1および図2に示すように、車両警光灯システム100は、パトロールカー201(以下、パトカーと呼ぶ)に搭載される。ここで、パトカー201は、交通違反車両(以下、被追尾車両と呼ぶ)202を追尾している状態である。
【0039】
図1および図2に示すように、パトカー201は、走行速度V1km/時間で走行し、被追尾車両202は、走行速度V2km/時間で走行している。
パトカー201と被追尾車両202との車間距離は、距離L300である。
【0040】
<車両警光灯システム100の全体構成>
次に、本実施の形態に係るパトカー201に搭載される車両警光灯システム100の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る車両警光灯システム100の構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、車両警光灯システム100は、主にコントローラ(サイレンアンプ)110、散光式警光灯120を含む。なお、車両警光灯システム100は、GPS(global positioning system)131、ウィンカー132、ドップラーセンサ133、速度センサ134、フォグランプ135およびヘッドランプ136の一部または全てを含んでもよい。
【0042】
図3の散光式警光灯120は、パトカー201の上部に載置される。また、散光式警光灯120は、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとを含む。
【0043】
例えば、第1の左ライト121Lおよび第2の左ライト122Lは、パトカー201の上部の進行方向左側に設置される。本実施の形態においては、第1の左ライト121Lが、第2の左ライト122Lよりも外側に設置される。
第1の右ライト121Rと第2の右ライト122Rとは、パトカー201の上部の右側に設置される。本実施の形態においては、第1の右ライト121Rが、第2の右ライト122Rよりも外側に設置される。
【0044】
第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとは、コントローラ110からの指令に基づいて、点灯または点滅する。より詳細には、本実施の形態に係る第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rの各々は、回転灯ユニットまたはLED点滅ユニットなどの灯火ユニットを含む。
【0045】
第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとは、コントローラ110から出力値、点滅周期、回転速度または照射モードを示す命令を受け付けて、当該命令に応じて点灯または点滅したり、回転したりする。
【0046】
GPS131は、設置車両の位置を測定し、測定結果をコントローラ110に入力する。GPS131は、パトカー201の走行システムに装備されているものであってもよいし、車両警光灯システム100に専用に設けられたものであってもよい。
【0047】
ウィンカー132は、方向指示器の灯火類である。
また、ドップラーセンサ133は、移動している被追尾車両202に対する距離を測定するセンサである。
なお、本実施の形態においては、距離を測定するものとしているが、これに限定されず、マイクロ波ドップラーセンサを用いてマイクロ波を照射し、反射してきたマイクロ波を受信して送信波と周波数とを比較して被追尾車両202の移動速度に比例して受信波の周波数がシフトする現象(いわゆるドップラー効果)を利用してもよく、その他、レーザドップラーセンサまたは任意のセンサを用いて測定してもよい。また、ドップラーセンサ133は、パトカー201の走行システムに装備されているものであってもよいし、車両警光灯システム100に専用に設けられたものであってもよい。
【0048】
速度センサ134は、パトカー201の速度を測定し、測定結果をコントローラ110に入力する。速度センサ134は、パトカー201の走行システムに装備されているものであってもよいし、車両警光灯システム100に専用に設けられたものであってもよい。
【0049】
コントローラ110は、プロセッサ111、メモリ112、通信インターフェイス113、スイッチ114およびディスプレイ115を備える。
コントローラ110のプロセッサ111、メモリ112、通信インターフェイス113、スイッチ114およびディスプレイ115は、LAN(ローカルエリアネットワーク)またはバス(BUS)により接続され相互通信可能に設けられる。
【0050】
メモリ112は、各種のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)および/またはハードディスクなどによって実現される。メモリ112は、プロセッサ111によって実行される制御プログラム、モードテーブル112A、報知レベルテーブル112B、その他地図情報112C等を記憶する。
【0051】
通信インターフェイス113は、コントローラ110に接続可能な外部機器とデータ通信を行う。たとえば、通信インターフェイス113は、GPS131、ドップラーセンサ133、速度センサ134からのデータを、プロセッサ111に受け渡す。通信インターフェイス113は、プロセッサ111からの指令に基づいて、散光式警光灯120に指令を送信する。
【0052】
スイッチ114は、ユーザからの命令を受け付けて、ユーザからの命令をプロセッサ111に入力する。たとえば、スイッチ114は、散光式警光灯120の点灯方法を指定するための命令を受け付ける。
【0053】
ディスプレイ115は、プロセッサ111からの指令に基づいて、文字または画像を出力する。なお、コントローラ110は、スイッチ114とディスプレイ115との代わりに、タッチパネルを含んでもよい。
【0054】
プロセッサ111は、通信インターフェイス113を介して、GPS131からパトカー201の位置を取得する。
プロセッサ111は、通信インターフェイス113を介して、ドップラーセンサ133から被追尾車両202の距離を取得し、一定時間後の距離変化から被追尾車両202の走行速度V2を算出する。プロセッサ111は、通信インターフェイス113を介して、速度センサ134からパトカー201の走行速度V1を取得する。
【0055】
プロセッサ111は、メモリ112の地図情報112Cを参照し、パトカー201が高速道路上であるか、一般道路上であるかを認識し、速度センサ134からのパトカー201の走行速度V1およびドップラーセンサ133から被追尾車両202の走行速度V2に基づいて、対応するモードを決定する。
プロセッサ111は、モードテーブル112Aに基づいて、決定されたモードに応じた命令を散光式警光灯120の第1の左ライト121Lと第2の左ライト122Lと第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとに送信する。
【0056】
次に、本実施の形態に係る車両警光灯システム100のモードについて説明する。換言すれば、モードテーブル112Aに登録されている複数のモードについて説明する。
図4は、本実施の形態に係る第1モードの一例を示すイメージ図であり、図5は第2モードの一例を示すイメージ図であり、図6は第3モードの一例を示すイメージ図であり、図7は第4モードの一例を示すイメージ図であり、図8は第5モードの一例を示すイメージ図であり、図9は、本実施の形態に係る報知レベルテーブル112Bを示すイメージ図である。
【0057】
図9に示すように、報知レベルテーブル112Bの報知レベルには、5個のモード(第1モード〜第5モード)が用いられている。モードテーブル112Aには、当該5個モードが登録されている。以下では、それぞれのモードについて詳述する。
なお、当該実施例においては、5個のモードであるとしたが、これに限定されず、他の任意の数のモード、例えば、手動モード等を設けてもよい。
【0058】
(第1モード)
まず、第1モードについて説明する。図4を参照して、第1モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとが、水平方向の全領域(360度の方向)に照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡が360度回転しながら)が点灯する。
【0059】
(第2モード)
次に、第2モードについて説明する。図5を参照して、第2モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとが、水平方向の全領域(360度の方向)に照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡が360度回転しながら)が点灯する。
また、第2モードにおいては、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとが前後方向のみを照射する。すなわち、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向を中心として約60°の範囲で揺動し、その領域を照射する。
なお、散光式警光灯120の第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとを回転させつつ、前後方向を中心として60°の範囲内のみで点灯させ、その他の範囲で消灯させることにより、その領域を照射してもよい。
【0060】
(第3モード)
次に、第3モードについて説明する。図6を参照して、第3モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとが、水平方向の全領域(360度の方向)に照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)が、回転しながら点灯する。
また、第3モードにおいては、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向に照射できる状態で回転停止し、点滅照射する。
【0061】
(第4モード)
続いて、第4モードについて説明する。図7を参照して、第4モードにおいては、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとが前後のみを照射する。すなわち、第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)が前後方向を中心として約60°の範囲で揺動し、その領域を照射する。
【0062】
また、第4モードにおいては、第2の左ライト122Lと、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向に照射できる状態で回転停止し、点滅照射する。
なお、散光式警光灯120の第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)を回転させつつ、前後方向を中心として60°の範囲内のみで点灯させ、その他の領域で消灯させることにより、その領域を照射してもよい。
【0063】
(第5モード/前方集中照射モード)
最後に、第5モードについて説明する。図8を参照して、第5モードにおいては、散光式警光灯120の第1の左ライト121L、第1の右ライト121R、第2の左ライト122L、第2の右ライト122Rとの内部(反射鏡)が前後方向に照射できる状態で回転停止し、点滅照射する。
【0064】
なお、散光式警光灯120の第1の左ライト121Lと、第1の右ライト121Rとの内部(反射鏡)を回転させつつ、前後方向のみで点灯させ、その他の領域で消灯させることにより、前後方向のみを照射してもよい。
【0065】
(報知レベルテーブル)
次いで、本実施の形態に係る車両警光灯システム100の報知レベルについて説明する。
【0066】
図9に示す報知レベルテーブル112Bのように、本実施の形態においては、パトカー201の走行モードが、「通常警邏」の場合には、特に設定を行っておらず、パトカー201の走行モードが、「緊急走行」の場合のみに設定を行っている。
なお、走行モードが「通常警邏」の場合に、パトカー201と被追尾車両202との状態判定および報知レベルの設定を行ってもよい。
【0067】
本実施の形態においては、例えば、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「0km/時以上80km/時未満」で、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1と同じまたは走行速度V1未満の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第1モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1超過である場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択される。この第1モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202が停車準備に入ったり、その披追尾車両202の搭乗者がパトカー201の存在を認知、或いはパトカー201が披追尾車両202を安全に誘導しているときなどである。また、第2モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202の搭乗者がパトカー201を認知していないときなどである。
【0068】
また、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「80km/時以上110km/時未満」で、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1と同じまたは走行速度V1未満の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1超過である場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択される。この第3モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202が停車準備に入ったり、その披追尾車両202の搭乗者がパトカー201の存在を認知、或いはパトカー201が披追尾車両202を誘導しているときであって、一定の走行速度にある状態などである。
【0069】
また、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「110km/時以上」で、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1未満の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1と同等の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第4モードが選択され、被追尾車両202の走行速度V2が、走行速度V1超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第5モードが選択される。この第4モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202を適当な距離で追尾継続しているときである。また、第5モードが選択されるような場面としては、披追尾車両202がパトカー201から高速で逃走を図っていたり、危険な走行状態を継続しているときなどである。
【0070】
続いて、図10は、プロセッサ111の処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
まず、プロセッサ111は、速度センサ134から自車速度を検知する(ステップS2)。
次に、プロセッサ111は、ドップラーセンサ133からの情報を受け取り、被追尾車両202とパトカー201との車間距離L1を計測する(ステップS4)。
【0072】
続いて、プロセッサ111は、所定の時間経過したか否かを判定する(ステップS6)。プロセッサ111は、所定の時間経過していないと判定した場合には、ステップS6の処理を繰り返す(ステップS6のNo)。
一方、プロセッサ111は、所定の時間経過したと判定した場合(ステップS6のYes)には、ドップラーセンサ133からの情報を受け取り、被追尾車両202とパトカー201との車間距離L2を計測する(ステップS8)。
【0073】
続いて、プロセッサ111は、対象車両である被追尾車両202の速度を検出する(ステップS10)。ここで、プロセッサ111は、ステップS4の処理およびステップS8の処理において計測した距離L1および距離L2に基づいて、被追尾車両202の速度を検出する。
【0074】
そして、検出した被追尾車両の速度V2およびパトカー201の速度V1に基づいて、図9の報知レベルテーブル112Bの報知レベルを選定し実施する(ステップS12)。
最後に、プロセッサ111は、パトカー201の自車速度が0であるか否かを判定する(ステップS14)。パトカー201の自車速度が0でないと判定した場合には(ステップS14のNo)、ステップS2の処理に戻りステップS2からステップS12の処理を繰り返す。
一方、パトカー201の自車速度が0であると判定した場合には(ステップS14のYes)、処理を終了する。
【0075】
(他の例)
図11は、図9の報知レベルテーブル112Bの他の例を示す模式図である。
【0076】
図11に示す報知レベルテーブル112Bは、被追尾車両の相対距離(m)に基づいて、報知レベルを選定するものである。
【0077】
図11に示すように、他の例においても、パトカー201の走行モードが、「通常警邏」の場合には、特に設定を行っておらず、パトカー201の走行モードが、「緊急走行」の場合のみに設定を行っている。
なお、走行モードが「通常警邏」の場合に、パトカー201と被追尾車両202との状態判定および報知レベルの設定を行ってもよい。
【0078】
例えば、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「0km/時以上80km/時未満」で、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が100m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第1モードが選択され、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が100m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択される。
【0079】
また、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「80km/時以上110km/時未満」で、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が200m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択され、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が200m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択される。
【0080】
さらに、パトカー201の走行モードが「緊急走行」であり、パトカー201と被追尾車両202との状態判定が、パトカー201の走行速度V1が「110km/時以上」で、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が300m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第4モードが選択され、パトカー201と被追尾車両202との相対距離が300m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第5モードが選択される。
【0081】
このように、図10のステップS4の処理における車間距離(相対距離)L1に基づいて、ステップS12の処理であるレベル選定を行ってもよい。
また、車間距離の増減変化に応じて他の報知レベルテーブルを設定してステップS12の処理であるレベル選定を行ってもよい。
【0082】
(さらに他の例)
図12は、図9および図11の報知レベルテーブル112Bのさらに他の例を示す模式図である。
【0083】
図12に示すように、さらに他の例においては、パトカー201が「停車状態」にある場合で、対象車両が後方からパトカー201に近づいてくる場合に、当該対象車両に対して、注意を喚起するものである。
【0084】
例えば、さらに他の例においては、パトカー201の走行モードが「停車中」であり、パトカー201と対象車両との状態判定が、対象車両の走行速度V2が「0km/時以上80km/時未満」で、パトカー201と対象車両との相対距離が100m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択され、パトカー201と対象車両との相対距離が100m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第1モードが選択される。
【0085】
また、パトカー201と対象車両との状態判定において、対象車両の走行速度V2が「80km/時以上110km/時未満」で、パトカー201と対象車両との相対距離が200m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第3モードが選択され、パトカー201と対象車両との相対距離が200m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第2モードが選択される。
【0086】
さらに、パトカー201と対象車両との状態判定において、対象車両の走行速度V2が「110km/時以上」で、パトカー201と対象車両との相対距離が300m以下の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第5モードが選択され、パトカー201と対象車両との相対距離が300m超過の場合には、報知レベルテーブル112Bにおいて報知レベルは、第4モードが選択される。
【0087】
このように、図10のステップS4の処理における車間距離(相対距離)L1に基づいて、ステップS12の処理であるレベル選定を行ってもよい。
【0088】
(A)
以上のように、車両警光灯システム100または車両警光灯システム100を備えたパトカー201は、プロセッサ111によりパトカー201と被追尾車両202とが遠ざかっているか近づいているかが判定され、判定結果に応じて散光式警光灯120の点灯または点滅モードを変化させる。
【0089】
また、パトカー201の速度に応じて、第1モードから第5モードのいずれかに変化させるので、被追尾車両202にパトカー201の存在を安全に認識させることができる
さらに、パトカー201と被追尾車両202との相対速度または車間距離、車間距離の変化に応じて第1モードから第5モードのいずれかに変化させて対応するので、被追尾車両202にパトカー201の存在を相対速度に応じてまたは車間距離、車間距離の変化に応じてバリエーションを変化させて安全に認識させることができる。
【0090】
また、プロセッサ111は、危険度が高い場合に、散光式警光灯120を前方集中照射モードに放光するので、被追尾車両202にパトカー201の存在を車間距離の変化に応じて安全に認識させることができるとともに、被追尾車両202の周囲に、パトカー201の存在を認識させることができる。
【0091】
また、散光式警光灯120は、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとからなり、プロセッサ111は、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとの組み合わせによる種々のモードで散光式警光灯120を動作させることができ、被追尾車両202にパトカー201の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0092】
さらに、車両警光灯システム100においては、散光式警光灯120のみならず、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプ等の設置車両に設けられる灯火類の全てまたは一部が点灯、点滅等を行うので、被追尾車両202に設置車両の存在を確実に安全に認識させることができる。
【0093】
本実施の形態に係る車両警光灯システム100においては、散光式警光灯120が警光灯に相当し、パトロールカー(パトカー)201が設置車両に相当し、被追尾車両202が対象車両に相当し、第1モードから第5モードが放光動作レベルに相当し、プロセッサ111が制御部に相当し、車両警光灯システム100が車両警光灯システムに相当し、車間距離L300が車間距離に相当し、第5モードが前方集中照射モードに相当し、第1の左ライト121Lと、第2の左ライト122Lと、第1の右ライト121Rと、第2の右ライト122Rとが複数の警光灯に相当し、ヘッドライト、フォグランプ、ウィンカーランプ、ワーニングライト、ブレーキランプが設置車両に設けられた灯火類に相当する。
【0094】
本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0095】
100 車両警光灯システム
120 散光式警光灯
201 パトロールカー(パトカー)
202 被追尾車両
111 プロセッサ
L300 車間距離
121L 第1の左ライト121L
122L 第2の左ライト122L
121R 第1の右ライト121R
122R 第2の右ライト122R
【特許請求の範囲】
【請求項1】
警光灯を有する設置車両と、対象車両とが遠ざかっているか近づいているかを判定し、前記判定結果に応じて前記警光灯の放光動作レベルを変化させる制御部を含むことを特徴とする車両警光灯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記設置車両の速度に応じて前記放光動作レベルを変化させることを特徴とする請求項1記載の車両警光灯システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記設置車両と前記対象車両との相対速度に応じて前記放光動作レベルを変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両警光灯システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記設置車両と前記対象車両との車間距離の変化に応じて前記放光動作レベルを変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記警光灯を前方集中照射モードにおいて放光することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項6】
前記警光灯は、散光式警光灯からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項7】
前記警光灯は、複数の警光灯からなり、前記設置車両の進行方向に向かって左右側および中央側に設けられたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項8】
前記警光灯は、前記設置車両に設けられた灯火類の全てまたは一部を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項9】
設置車両と対象車両との車間距離に応じて放光動作レベルを変化させることを特徴とする車両警光灯システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の車両警光灯システムを備えたことを特徴とする車両。
【請求項1】
警光灯を有する設置車両と、対象車両とが遠ざかっているか近づいているかを判定し、前記判定結果に応じて前記警光灯の放光動作レベルを変化させる制御部を含むことを特徴とする車両警光灯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記設置車両の速度に応じて前記放光動作レベルを変化させることを特徴とする請求項1記載の車両警光灯システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記設置車両と前記対象車両との相対速度に応じて前記放光動作レベルを変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両警光灯システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記設置車両と前記対象車両との車間距離の変化に応じて前記放光動作レベルを変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記警光灯を前方集中照射モードにおいて放光することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項6】
前記警光灯は、散光式警光灯からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項7】
前記警光灯は、複数の警光灯からなり、前記設置車両の進行方向に向かって左右側および中央側に設けられたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項8】
前記警光灯は、前記設置車両に設けられた灯火類の全てまたは一部を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両警光灯システム。
【請求項9】
設置車両と対象車両との車間距離に応じて放光動作レベルを変化させることを特徴とする車両警光灯システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の車両警光灯システムを備えたことを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−95404(P2013−95404A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243343(P2011−243343)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(312001937)株式会社パトライト (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(312001937)株式会社パトライト (15)
【Fターム(参考)】
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