説明

車両運行管理支援システム

【課題】車両運行を行う運転者の運転適正検査結果情報に基づいて、適切且つ容易に運行管理支援を行う。
【解決手段】適性検査結果情報管理手段(31)により、各運転者の運転適正検査結果情報を管理する。車両の運行に際して、運転者識別情報取得手段(32)により、各運転者固有の識別情報を取得し、運転者特定手段(33)により、現に車両の運転を行う運転者を特定して、当該運転者に関する運転適正検査結果情報を取得する。運行支援データ作成手段(34)により、特定した運転者に関する運転適正検査結果情報に基づいて、適正な車両運行を行わせるための運行支援データを作成し、運行支援データ提示手段(35)により、当該運転者に対して運行支援データを提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に対する運行管理支援システムに係り、特に各運転者の運転適性検査結果に基づいて適切な車両運行を行うための運行支援データを提供することができる車両運行管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業が所有している車両の運行に際しては、運転者個人の安全運転責任だけではなく、企業としても安全に運行するよう指導する義務がある。このため、必要に応じて、自動車学校等の運転適性検査実施機関による運転適性検査が実施されている。この運転適正検査には、例えば、状況判断力、動作の正確さ、動作の速さ、衝動抑止性、精神安定度、神経質傾向、回帰性、感情高揚性、攻撃性、非協調性、自己顕示性、社会的育成度、情緒安定性等の項目があり、運転者の安全運転意識を高め、事故を未然に防止することを目的として、企業などの安全運転管理に利用されている。運転適性検査結果は、試験結果票に記載されており、このペーパー情報を運転者本人及び企業の安全管理者が保持して、各運転者に対して個別に指導を行っているのが現状である。
【0003】
従来より運転者による無謀運転を把握して、安全運転の指導や事故状況の分析を行うための技術が開発されている。例えば、特許文献1に記載された「車両運行管理システム及びデジタル車両運行記録装置」は、車両の走行中又は停止時に発生する衝撃及び速度を信号で検出し、これらの信号及び運転者と車両に関する各種データを表示し、記録する車載機器部と、この車載機器部からの信号やデータを制御する管理部門機器部とから成る車両運行管理システムに関するものである。そして、車載機器部では、主に加速度センサからの信号及びデータをメモリーカードに記録し、その車両の運行状態を表示し、各種の条件設定を行い、メモリーカードにより管理部門機器部において記録された信号及び各種データを読み取ることにより、車両の運行状況を記録、保存、表示及び解析するようになっている。
【0004】
また特許文献2には、業務に自動車を利用する企業の各運転者による車両運行の情報を車載端末で収集し、この情報を活用することにより、企業や運転者に的確な交通事故低減のための指導を行うための技術が開示されている。この特許文献2に記載された「交通安全支援装置、交通安全支援システム及び交通安全支援プログラム」は、自動車に搭載された車載端末で収集された運行情報を加工処理して加工情報を作成し、この加工情報に含まれる交通事故の予兆情報を検出して、予兆情報に関連する交通安全の指導案を検索して指導書を作成するものである。
【特許文献1】特開2000−194895号公報
【特許文献2】特開2003−256980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように運転適性検査の結果は、状況判断力や性格特性等の運転者本人の性状や、これらに基づく指導内容として書面に記載されていものの、安全運転を指導する管理者がこれらをすべて漏れなく記憶し、複数の運転者毎にきめ細かな指導を行うことは非常に困難であった。一方、運転者本人についても、自分自身の運転特性や性格等を認識していたとしても、運転時に自らがこれを認識し直して制御することは困難であった。
【0006】
さらに、上述した特許文献1や特許文献2に記載された技術は、運転適性検査結果を利用したものではなく、せっかく運転適性検査を行って各運転者の運転特性情報を把握しているにも拘わらず、これらの情報を安全運転指導に生かすことができなかった。
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、車両運行を行う運転者の運転適正検査結果情報に基づいて、適切且つ容易に運行管理支援を行うことが可能な車両運行管理支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両運行を行う運転者の運転適正検査結果情報に基づいて、運行管理支援を行うためのシステムであって、各運転者の運転適正検査結果情報を運転者毎に管理する適性検査結果情報管理手段(31)と、車両の運行に際して、各運転者にそれぞれ付与された固有の識別情報を取得する運転者識別情報取得手段(32)と、取得した識別情報に基づいて、現に車両の運転を行う運転者を特定する運転者特定手段(33)と、特定した運転者に関する運転適正検査結果情報に基づいて、当該運転者に適正な車両運行を行わせるための運行支援データを作成する運行支援データ作成手段(34)と、当該運転者に対して、作成された運行支援データを提示する運行支援データ提示手段(35)と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで本発明は、上述した構成に加えて、運行経路に関する情報を管理する運行経路情報管理手段(36)と、現に運行を行う運行経路を特定する運行経路特定手段(37)と、特定された運行経路における交通情報を取得する交通情報取得手段(38)と、を備え、運行支援データ作成手段(34)は、特定された運行経路に関する運行経路情報及び交通情報を加味して運行支援データを作成するように構成することが可能である。
【0010】
また本発明は、各運転者の運行結果に関する情報を取得する運行結果情報取得手段(39)と、取得した運行結果情報を運転者毎に管理する運行結果情報管理手段(40)と、を備え、運行支援データ作成手段(34)は、現に運行を行う運転者の運行結果情報を加味して運行支援データを作成するように構成することが可能である。
【0011】
さらに本発明は、上述した構成に加えて、各運転者に関する運転許可情報を管理する運転許可情報管理手段(41)を備え、運行支援データ作成手段(34)は、現に運行を行う運転者に関する運転許可情報を加味して運行支援データを作成するように構成することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の発明では、予め取得した運転者の運転適正検査結果情報に基づいて、運転者毎に適正な車両運行を行わせるための運行支援データを作成し、現に車両運行を行う運転者に対して適切な指導を行うことができる。このため、各運転者の運転特性に応じて、きめ細かな運行支援を行うことにより、交通事故の発生を未然に防止して、運転者個人の安全責任だけではなく、企業としての適切な安全管理責任を果たすことに貢献することができる。
【0013】
ここで、現に運行を行う運行経路に関する情報と、当該運行経路における交通情報とを加味して運行支援データを作成し、運転者に提示する構成とした場合には、各運転者の運転特性と、時々刻々と変化する運行経路の状況とを総合的に勘案した運行支援を行うことができるので、さらに一層、安全運転及びその管理に貢献することができる。
【0014】
また、各運転者の運行結果情報を加味して運行支援データを作成し、運転者に提示する構成とした場合には、各運転者の適性試験における運転特性と、実際に運転を行った際の運転特性とを総合的に勘案した運行支援を行うことができるので、さらに一層、安全運転及びその管理に貢献することができる。
【0015】
さらに、各運転者の運転許可情報を加味して運行支援データを作成し、運転者に提示する構成とした場合には、各運転者が誤って資格外の自動車を運転したり、運転免許証の期限切れを亡失したりする等の不都合を未然に防止して、さらに一層、安全運転及びその管理に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の車両運行管理支援システムを示す概念図である。
【図2】本発明の車両運行管理支援システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の車両運行管理支援システムにおいて、運転者に提示される運行支援データの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の車両運行管理支援システムは、予め車両運行を行う運転者について運転適正検査を実施し、その結果を総合的に管理して、現に車両運行を行う運転者に対して、適切な運行管理支援を行うことにより、運転者個人の安全責任だけではなく、企業としての安全管理責任を担保するためのシステムである。
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
まず初めに、本発明の車両運行管理支援システムの概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両運行管理支援システムを示す概念図である。
【0019】
<車両運行管理支援システムの概要>
本発明の実施形態に係る車両運行管理支援システムでは、自動車学校等の運転適性検査実施機関において、車両運行に従事する従業員に対して運転適性試験を実施する。この運転適性試験は、運転者の運転適正を把握することができればどのような形式であってもよいが、例えばK2式やOD式のように、運転者の状況判断力、動作の正確さ、動作の速さ、衝動抑止性、精神安定度、神経質傾向、回帰性、感情高揚性、攻撃性、非協調性、自己顕示性、社会的育成度、情緒安定性等を把握するようになっている。各検査結果項目は、それぞれ点数化されており、項目毎及び総合的な点数により運転適正結果を把握することができる。各運転者の運転適性検査結果情報は、管理センター等に設置された管理コンピュータ100において、後述する運転適性検査結果データベース(運転適性検査結果DB)42として管理される。
【0020】
また、各運転者には、運転者を個別に識別するための識別情報(個人ID)を記憶したIDカード27を所持させる。このIDカード27には、個人情報に加えて、運転者の運行結果情報、運転許可情報、運転適性検査結果情報等を記憶してもよい。ここで、運行結果情報とは、各運転者が実際に自動車を運転した際における、急発進、急ブレーキ、ルートミスの回数等の運行に関する情報のことである。また、運転許可情報とは、運転を許可する車両の種別、運転を許可するルート、運転免許証の有効期限等の情報のことである。
【0021】
管理センターで管理を行う各車両210には、カーナビゲーションシステムの機能を備えた車載コンピュータ200が搭載されている。この車載コンピュータ200は、付帯装置として、カードリーダ21、GPS装置22、表示装置23、スピーカ装置24、加速度センサ25、無線通信装置26等を備えている。
【0022】
カードリーダ21は、各運手者が所持するIDカード27から、識別情報を含む個人情報を読み込むための装置である。IDカード27としては、例えば非接触型のICカードを使用することができる。この場合、カードリーダ21からIDカード27に対してキャリアを送信して、電磁誘導によりIDカード27に電力を供給し、キャリアの変調により、IDカード27とカードリーダ21との間で情報の送受信を行う。このような構成からなるIDカード27は、一般に普及している市販品を用いることができるので、容易かつ安価に情報通信を行うためのシステムを構築することができる。また、近年の携帯電話では、このようなIDカード27の機能を搭載した機種が普及してきており、各運転者に対して事業連絡用の携帯電話を所持させることにより、IDカード27の所持を忘れる等の不都合を解消することができる。
【0023】
GPS装置22、表示装置23、スピーカ装置24は、一般的なカーナビゲーションシステムに搭載されたものを使用することができる。GPS装置22により車両の現在位置を把握し、運行経路を特定することができる。表示装置23の表示画面には、運行支援データを含む各種の情報が表示される。スピーカ装置24は、例えばアンプ、スピーカ、イコライザ等を備えており、運行支援データを含む各種の情報を音声情報として発生することができる。
【0024】
無線通信装置26は、車載コンピュータ200と管理コンピュータ100との間で各種情報を送受信するための装置であり、一般的な携帯電話の機能を用いてもよいし、無線インターネットに接続することができる機器を用いてもよい。
【0025】
加速度センサ25は、車両に加わる加速度を測定するための装置で、現在普及している自動車では、エアバッグの膨張制御、サスペンション制御、ABS等に広く利用されている。本実施形態では、車両の発進、減速、停止時における加速度を測定するために利用する。
【0026】
<具体的な構成>
次に、本発明の車両運行管理支援システムの具体的な構成について説明する。
図2は、本発明の車両運行管理支援システムの構成を示す機能ブロック図、図3は、本発明の車両運行管理支援システムにおいて、運転者に提示される運行支援データの一例を示す模式図である。
【0027】
本発明の実施形態に係る車両運行支援システムは、基本構成要素として、図2に示すように、適性検査結果情報管理手段31、運転者識別情報取得手段32、運転者特定手段33、運行支援データ作成手段34、運行支援データ提示手段35を備えている。さらに、運行経路情報管理手段36、運行経路特定手段37、交通情報取得手段38、運行結果情報取得手段39、運行結果情報管理手段40、運転許可情報管理手段41を備えている。各手段は、上述した管理コンピュータ100、車載コンピュータ200及びその付帯機器により構成されるもので、各手段の構成要素がプログラムである場合には、管理コンピュータ100及び車載コンピュータ200を構成するCPU、ROM、RAM等のハードウェアがプログラムに従って動作することにより、各手段の機能を発揮するようになっている。
【0028】
<適性検査結果情報管理手段>
適性検査結果情報管理手段31は、車両運行を行う各運転者の運転適正検査結果情報を、運転者毎に管理するための手段であり、本実施形態では管理コンピュータ100の機能として実現される。すなわち、管理コンピュータ100は、各運転者の運転適正検査結果情報を格納した運転適正検査結果データベース(運転適正検査結果DB)42を備えており、運転者の運転適正検査結果情報を管理することができるようになっている。
【0029】
<運転者識別情報取得手段>
運転者識別情報取得手段32、車両の運行に際して、各運転者にそれぞれ付与された固有の識別情報を取得するための手段であり、本実施形態では、車載コンピュータ200に接続されたカードリーダ21の機能として実現される。上述したように、各運転者に所持させるIDカード27には、各運転者を個別に識別するための識別情報が記憶されており、カードリーダ21がIDカード27から識別情報を読み取ることにより、当該車両の運転者を識別することができる。この際、運転者に関する他の個人情報を読み込んでもよい。
【0030】
<運転者特定手段>
運転者特定手段33は、カードリーダ21により取得した識別情報に基づいて、現に車両の運転を行う運転者を特定するための手段であり、本実施形態では、管理コンピュータ100の機能として実現される。すなわち、無線通信装置26を用いて、車載コンピュータ200と管理コンピュータ100との間で無線通信を行い、管理コンピュータ100に運転者の識別情報を送信する。管理コンピュータ100は、各運転者の識別情報と管理情報とを紐付けした運転者データベース(運転者DB)43を備えており、運転者の識別情報に基づいて、現に車両の運行を行う運転者が特定される。
【0031】
<運行支援データ作成手段>
運行支援データ作成手段34は、特定した運転者に関する運転適正検査結果情報に基づいて、当該運転者に適正な車両運行を行わせるための運行支援データを作成するための手段であり、本実施形態では、管理コンピュータ100の機能として実現される。すなわち、管理コンピュータ100では、現に車両の運行を行う運転者に関する運転適正検査結果情報を参照し、数値化された各項目に基づいて、各運転者に特有の運行支援データが作成される。
【0032】
<運転適性検査結果と運行支援データ>
運転適性検査における判断項目としては、例えばK2型の場合、状況判断力、動作の正確さ、動作の速さ、衝動抑止性、精神安定度、神経質傾向、回帰性、感情高揚性、攻撃性、非協調性、自己顕示性、社会的育成度、情緒安定性等を挙げることができる。また、OD式の判断項目としては、注意力、判断力、柔軟性、決断力、緻密性、動作の安定性、適応性、身体的健康度、精神的健康度、社会的成熟度、情緒不安定性、衝迫性・暴発性、自己中心性、神経質・過敏性、虚飾性、運転マナー等を挙げることができる。運行支援データの作成では、数値化された運転適正検査結果情報に基づき、所定のアルゴリズムを用いて演算を行うとともに、演算結果に対応する文言データを予め用意しておき、演算結果に基づいて文言データを取得することにより、運行支援データが作成される。
【0033】
運行支援データは、例えば、「柔軟性」評価が低い運転者は、運転に必要なスムースで的確な判断力が不足するため、ゆとりのある運転を徹底させる必要がある。このため、「不慣れな道では、熟知している道へ迂回して下さい」、「目的地までの経路を事前に十分調査して下さい」等の運行支援データが作成される。また、「判断力」評価が低い運転者は、交通量の多い道路や複雑な道路を運転するときに、正しい状況判断ができずにスムースな走行ができなかったり、接触事故を起こしたりする可能性がある。このため、「現在、交通量が多い道路を走行中です」、「他車の動向に注意して『かもしれない運転』に心掛けて下さい」等の運行支援データが作成される。
【0034】
<運行支援データ提示手段>
運行支援データ提示手段35は、現に車両の運行を行う運転者に対して、作成された運行支援データを提示するための手段であり、本実施形態では、車載コンピュータ200及びその付帯機器である表示装置23及びスピーカ装置24の機能として実現される。すなわち、無線通信装置26を用いて、車載コンピュータ200と管理コンピュータ100との間で無線通信を行い、車載コンピュータ200において運行支援データを取得し、この運行支援データを表示装置23の表示画面に表示したり、音声情報として発生したりすることにより、運転者に対して運行支援データが提示される。
【0035】
図3は、運転者に提示される運行支援データの一例を示す模式図である。運行支援データは、表示装置23の表示画面に表示される文言データと、スピーカ装置24から発生される音声データとからなる。すなわち、図3に示すように、表示装置23の表示画面には、当該車両を運行する運転者に対応した運行支援データが表示される。図3に示す例では、「判断力」評価が低い運転者が、交通量が多く複雑な道路を運転する際に表示される運行支援データであり、「現在、交通量が多い道路を走行中です」、「他車の動向に注意して『かもしれない運転』に心掛けて下さい」という文言が表示される。なお、運転状況によっては表示装置23の表示画面を目視することができない場合もあるため、スピーカ装置24により、当該運行支援データを読み上げた音声を発生することが好ましい。
【0036】
<運行経路情報管理手段>
運行経路情報管理手段36は、運行経路に関する情報を管理するための手段であり、本実施形態では管理コンピュータ100の機能として実現される。すなわち、管理コンピュータ100は、運行経路に関する情報を格納した運行経路データベース(運行経路DB)44を備えており、運行経路情報を管理することができるようになっている。運行経路に関する情報とは、例えば、道幅が狭い、車両通行量が多い、高速走行の車両が多い、児童生徒の通行がある、屈曲路が多い、急な坂道がある等の情報のことである。
【0037】
<運行経路特定手段>
運行経路特定手段37は、現に運行を行う運行経路を特定するための手段であり、本実施形態では、車載コンピュータ200及びその付帯機器であるGPS装置22の機能として実現される。すなわち、GPS装置22により車両の現在位置を特定し、無線通信装置26を用いて、車載コンピュータ200と管理コンピュータ100との間で無線通信を行い、管理コンピュータ100に対して車両の現在位置情報を送信することにより、管理コンピュータ100において、当該車両が現に運行を行っている運行経路を特定する。そして、運行支援データ作成手段34の機能により、運行経路データベース44から取得した運行経路に関する運行経路情報を取得し、運転者の運転適性検査結果情報に当該運行経路情報を加味して、運行支援データを作成する。
【0038】
なお、これとは別に、車両に搭載したカーナビゲーションシステムを用いて、現に運行を行う運行経路に関する情報を取得し、参考情報として運転者に提示してもよい。この場合には、無線通信装置26を用いて、車載コンピュータ200と交通情報センターに設置されたコンピュータとの間で無線通信を行い、車載コンピュータ200において現に運行を行う運行経路に関する情報を取得し、参考情報として表示装置23の表示画面に表示したり、音声情報として発生したりする。
【0039】
<交通情報取得手段>
交通情報取得手段38は、運行経路における交通情報を取得するための手段であり、本実施形態では、管理コンピュータ100の機能として実現される。すなわち、管理コンピュータ100は、交通情報センターに設置されたコンピュータとの間で通信を行い、交通情報センターから交通情報を取得する。そして、管理コンピュータ100では、運行支援データ作成手段34の機能により、運転者の運転適性検査結果情報に交通情報を加味して、運行支援データを作成する。交通情報は、VICS(Vehicle Information and Communication System/登録商標)として財団法人道路交通情報通信システムセンターにより提供されているものを使用することができる。この交通情報には、渋滞情報、工事情報、天候情報等の情報が含まれている。
【0040】
なお、これとは別に、車両に搭載したカーナビゲーションシステムを用いて、現に運行を行う運行経路に関する交通情報を取得し、参考情報として運転者に提示してもよい。この場合には、無線通信装置26を用いて、車載コンピュータ200と交通情報センターに設置されたコンピュータとの間で無線通信を行い、車載コンピュータ200において現に運行を行う運行経路に関する交通情報を取得し、参考情報として表示装置23の表示画面に表示したり、音声情報として発生したりする。
【0041】
<運行結果情報取得手段>
運行結果情報取得手段39は、各運転者の運行結果に関する情報を取得するための手段であり、本実施形態では、車載コンピュータ200及びその付帯機器であるGPS装置22や加速度センサ25の機能として実現する。すなわち、車両の発進、減速、停止時における加速度を測定し、GPS装置22により得られた位置情報とともに運行結果情報を作成する。運行結果情報とは、例えば各運転者が実際に自動車を運転した際における、急発進、急ブレーキ、ルートミスの回数等の運行に関する情報のことである。
【0042】
<運行結果情報管理手段>
運行結果情報管理手段40は、取得した運行結果情報を運転者毎に管理するための手段であり、本実施形態では、管理コンピュータ100の機能として実現される。すなわち、無線通信装置26を用いて、車載コンピュータ200と管理コンピュータ100との間で無線通信を行い、運行結果情報取得手段39で取得した運行結果情報を管理コンピュータ100に送信する。管理コンピュータ100では、受信した運行結果情報に基づいて、運行結果データベース(運行結果DB)45を構築し、運行結果情報を運転者毎に管理する。そして、管理コンピュータ100では、運行支援データ作成手段34の機能により、運転者の運転適性検査結果情報に運行結果情報を加味して、運行支援データを作成する。
【0043】
<運転許可情報管理手段>
運転許可情報管理手段41は、各運転者に関する運転許可情報を管理するための手段であり、本実施形態では、管理コンピュータ100の機能として実現される。すなわち、管理コンピュータ100は、各運転者の運転許可情報を格納した運転許可データベース(運転許可DB)46を備えており、運転者の運転許可情報を管理することができるようになっている。運転許可情報とは、例えば、運転を許可する車両の種別、運転を許可するルート、運転免許証の有効期限等の情報のことである。そして、管理コンピュータ100では、運行支援データ作成手段34の機能により、運転者の運転適性検査結果情報に運転許可情報を加味して、運行支援データを作成する。
【0044】
なお、本発明は、管理コンピュータ100及び車載コンピュータ200及びその付属機器により各手段を構成しているが、管理コンピュータ100の機能として記載した手段を車載コンピュータ200の機能として実現するような構成としてもよいし、車載コンピュータ200の機能として記載した手段を管理コンピュータ100の機能として実現するような構成としてもよいし、さらに、管理コンピュータ100及び車載コンピュータ200の双方の機能が相俟って一の手段の機能を発揮するような構成としてもよく、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の車両運行管理支援システムは、運転者の運転適性検査結果を正確に把握管理して、現に車両運行を行う運転者に対して適切な運行支援データを提供する必要がある企業や団体、例えば、ルート巡回により設備点検や顧客訪問を行う電力会社、荷物の配送を行う運送会社、船舶運航会社、鉄道会社等における車両運行管理支援に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
21 カードリーダ
22 GPS装置
23 表示装置
24 スピーカ装置
25 加速度センサ
26 無線通信装置
27 IDカード
31 適性検査結果情報管理手段
32 運転者識別情報取得手段
33 運転者特定手段
34 運行支援データ作成手段
35 運行支援データ提示手段
36 運行経路情報管理手段
37 運行経路特定手段
38 交通情報取得手段
39 運行結果情報取得手段
40 運行結果情報管理手段
41 運転許可情報管理手段
42 運転適正検査結果データベース
43 運転者データベース
44 運行経路データベース
45 運行結果データベース
46 運転許可データベース
100 管理コンピュータ
200 車載コンピュータ
210 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運行を行う運転者の運転適正検査結果情報に基づいて、運行管理支援を行うためのシステムであって、
各運転者の運転適正検査結果情報を運転者毎に管理する適性検査結果情報管理手段(31)と、
車両の運行に際して、各運転者にそれぞれ付与された固有の識別情報を取得する運転者識別情報取得手段(32)と、
取得した識別情報に基づいて、現に車両の運転を行う運転者を特定する運転者特定手段(33)と、
特定した運転者に関する運転適正検査結果情報に基づいて、当該運転者に適正な車両運行を行わせるための運行支援データを作成する運行支援データ作成手段(34)と、
当該運転者に対して、作成された運行支援データを提示する運行支援データ提示手段(35)と、
を備えたことを特徴とする車両運行管理支援システム。
【請求項2】
運行経路に関する情報を管理する運行経路情報管理手段(36)と、
現に運行を行う運行経路を特定する運行経路特定手段(37)と、
前記運行経路における交通情報を取得する交通情報取得手段(38)と、
を備え、
前記運行支援データ作成手段(34)は、特定された運行経路に関する運行経路情報及び交通情報を加味して運行支援データを作成することを特徴とする請求項1に記載の車両運行管理支援システム。
【請求項3】
各運転者の運行結果に関する情報を取得する運行結果情報取得手段(39)と、
取得した運行結果情報を運転者毎に管理する運行結果情報管理手段(40)と、を備え
前記運行支援データ作成手段(34)は、現に運行を行う運転者の運行結果情報を加味して運行支援データを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両運行管理支援システム。
【請求項4】
各運転者に関する運転許可情報を管理する運転許可情報管理手段(41)を備え、
前記運行支援データ作成手段(34)は、現に運行を行う運転者に関する運転許可情報を加味して運行支援データを作成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両運行管理支援システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−60025(P2011−60025A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209548(P2009−209548)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】