説明

車両運行管理装置、方法及びプログラム

【課題】車両運行管理システム10において基地局11の操作者が運行管理中の車両の中から所望の車両を柔軟に選択して、表示できるようにする。
【解決手段】車両表示条件設定窓を基地局11のディスプレイ22に表示し、操作者に各検索条件を入力させる。車両表示条件設定窓には、検索名称を入力させるテキストボックス、上位の検索条件を選択するチェックボックス、各上位の検索条件に対してその下位の検索条件を選択したり数値入力したりするドロップダウンリスト、ラジオボタン及びテキストボックスが用意される。操作者が設定した複合検索条件に対応付けられたアイコンが、検索名称入りでディスプレイ22に表示され、操作者が対応のアイコンをクリックすると、複合検索条件に合致した車両がその現在地で地図画面上に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー等の車両について無線を使って運行管理する装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、1つの基地局と、タクシー等の各車両に装備された移動局との間で、データを無線により送受して、基地局の表示部における地図画面上に各車両の現在地を表示する運行管理システムを開示する(特許文献1の図1及び図5)。該運行管理システムの表示画面には、(a)各タクシーを地図画面上の現在地に空車及び実車により色分けして表示するもの(特許文献1の段落0004及び図2)、(b)運行地域を複数の地区に区分し、基地局が移動局から行き先情報を受信すると、その行き先の区分を地図画面上に表示するもの(特許文献1の段落0015及び図3)、及び(c)オペレータが指定した地区が行き先となっている実車だけを抽出して、それらの現在地を地図画面上に表示するもの(特許文献1の段落0016及び図4)がある。
【0003】
図13〜図16は従来のタクシー運行管理システムの基地局ディスプレイにおける表示画面例である。実際のディスプレイ画面はカラー表示となっている。基地局ディスプレイには、運行管理地域全体又はその所定部分の地域の地図画面が表示され、各タクシーは、その現在地が該地図画面上でアイコンで表示される。各アイコンは、その向きを各タクシーの進行方向に合わせられているとともに、各移動局又は各タクシーのID(識別子)が記入されている。
【0004】
図13は画面に表示中の地図画面の地域範囲に存在するすべてのタクシーを表示した管理画面を例示している。図13では、計10台のタクシーが地図画面上に表示されており、それらのアイコンには1〜10のIDが付けられている。
【0005】
実際の画面では、各タクシーのアイコンは実車か空車かにより色別で表示されており、例えば、空車は水色、実車は黄色となっている。図13〜図16では、色の薄いアイコンは、水色に対応して、空車を意味し、色の濃いアイコンは、黄色に対応して、実車を意味する。図13では、ID=1,3,4,5,7,8であるアイコンは、薄い色となっており、それらに対応するタクシーは空車となっている。また、ID=2,6.9,10となっているアイコンは、濃い色となっており、それらに対応するタクシーは実車となっている。
【0006】
図14は図13の地図画面に相当する地域を縦横5×6の縦横の升目の分割した地図画面を示している。図14の地図画面は特許文献1の図2に相当する。運行管理する地域範囲を複数の区分に分割し、操作者(オペレータ)は各タクシーが現在、どの区分に存在するかを把握することができる。
【0007】
図15は行き先が所定の地域区分になっている実車のみを表示した画面を示している。図15の地図画面は特許文献1の図4に相当する。各タクシーの運転手は、お客を乗せた後、適当な時期にかつ速やかに行き先を手入力し、その入力情報は移動局から基地局へ通知されることになっている。なお、行き先の入力は、具体的地名ではなく、図14の区分に対応する区分により行われてもよい。図15では、基地局の操作者は、行き先としてD5,E5の2つの区分を指定しているとともに、表示車両の状態として実車を選択している。図15では、行き先がD5又はE5になっている実車は、ID=2,5,9,10である。
【0008】
図16は行き先が所定の地域区分になっている空車のみを表示した画面を示している。各タクシーは、お客を下ろした後、速やかに、駅前とかの行き先(戻り先を含む。)を入力し、その入力情報が移動局から基地局へ通知される。なお、行き先の入力は、具体的地名ではなく、図14の区分に対応する区分により行われてもよい。図16では、基地局の操作者は、行き先としてD5の区分を指定するとともに、表示車両の状態として空車を選択している。図16では、行き先がD5になっている空車は、ID=1,7である。
【特許文献1】特開平7−65291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の運行管理システムを含む従来技術では、基地局の操作者は、実車と空車との相違や、行き先が指定地域の実車等、システムが用意している検索条件でしか、画面に表示する車両を選択することができない。また、一部の地域に車両が多数、表示され、該当車両をさらに絞り込んだり、逆に、該当車両が少な過ぎて、表示車両を増やそうとしたりする場合には、従来技術では対処することができない。
【0010】
本発明の目的は、画面に表示する該当車両を操作者が柔軟に選択することができる車両運行管理装置、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、1以上の各車両にそれぞれ装備された1以上の各移動局から無線を使って、各車両について現在地を含む複数種の運行管理データを収集し、各車両に対応付けて保存する。保存する運行管理データには、最新のものだけでなく、過去のものを含ませることができる。そして、操作者に検索要求車両についての複合検索条件を設定できるようにしておき、操作者がその複合検索条件に係る検索を指示した場合には、その複合検索条件に該当する車両を保存中の運行管理データに基き検索して、該当資料についてその現在地を表示器の地図画面上に表示する。
【0012】
本発明の車両運行管理装置は次のものを備えている。
運行管理中の1以上の各車両にそれぞれ配備された1以上の各移動局から、現在地を含む各車両についての複数種の運行管理データを受信する受信手段、
受信した運行管理データを各車両に対応付けて記憶装置に保存するデータ保存手段、
検索要求車両について複合検索条件を操作者に設定させる複合検索条件設定手段、
操作者が設定して検索指示した複合検索条件に該当する車両を前記記憶装置の運行管理データに基づき検索する検索手段、及び
該当車両について、その現在地を表示器の地図画面上に表示する表示手段。
【0013】
本発明の車両運行管理方法は次のステップを備えている。
運行管理中の1以上の各車両にそれぞれ配備された1以上の各移動局から、現在地を含む各車両についての複数種の運行管理データを受信するステップ、
受信した運行管理データを各車両に対応付けて記憶装置に保存するステップ、
検索要求車両について複合検索条件を操作者に設定させるステップ、
操作者が設定して検索指示した複合検索条件に該当する車両を前記記憶装置の運行管理データに基づき検索するステップ、及び
該当車両について、その現在地を表示器の地図画面上に表示するステップ。
【0014】
本発明のプログラムは、本発明の前述の車両運行管理装置の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1以上の各車両の移動局から現在地を含む各車両についての複数種の運行管理データを、移動局からの無線により収集するとともに、操作者には希望の複合検索条件を設定できるようして、その複合検索条件に該当する車両を収集データに基き検索して、それを地図画面上の現在地に表示するので、表示画面上の車両を操作者の希望に合わせて柔軟に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は車両運行管理システム10の概略図である。この車両運行管理システム10は、1つの基地局11と、複数の移動局12とを備えている。なお、図1では、移動局12は、図面の簡略化上、1台のみ記載し、他を省略している。この車両運行管理システム10は、また、タクシーだけでなく、バスやトラックも同時に管理している。
【0017】
基地局11は、PC(パーソナルコンピュータ)15、無線機16及びアンテナ17を備えている。PC15は、さらに、PC本体20、キーボード21及びディスプレイ22を備えている。ディスプレイ22はカラー表示に対応している。無線機16は、ケーブルを介してPC15とデータを送受するとともに、アンテナ17における電波の送出及び捕捉により各移動局12とデータを送受自在になっている。
【0018】
各移動局12は、各車両25に装備され、GPS受信機26及び無線機27を備えている。GPS受信機26は、受信したGPS電波に基づき車両25の現在地を検出し、検出データは無線機27へ送られる。無線機27は、アンテナ28における電波の送出及び捕捉により基地局11とデータを送受する。移動局12から基地局11へ送られるデータには、現在地に係るデータの他に、車両25の運転手が手入力した行き先や実車か空車か等に係るデータ、車両25に装備される車速センサや燃料センサ等のセンサの検出データが含まれる。
【0019】
図2は基地局11が各移動局12から入手して記憶装置に保存する最新の情報を例示している。それら情報には、各移動局12又は各車両25のID(識別子)としての番号、各移動局12又は各車両25が所属しているグループの番号、タクシーやバス等の種別、実車か空車かの状態、速度(車速)、現在地としての緯度及び経度、及び基地局11がデータを受信した時刻が含まれている。図2の表における各行のデータには、各移動局12又は各車両25のIDが含まれているので、保存データは該IDに対応付けられている。
【0020】
図2の表における項目の内、番号、状態、速度、緯度及び経度のデータは移動局12からの受信したものである。グループ及び車種のデータは、移動局12からの受信してもよいし、移動局12の番号(ID)に対応付けてグループ及び車種の情報を記録したデータベースをPC15に用意し、移動局12から受信した番号に対してそれに対応付けられているグループ及び車種をデータベースから検索して、入手することもできる。
【0021】
各車両25に対して基地局11に保存するデータには、最新のデータだけでなく、直近の所定期間における複数の過去の時点で受信したデータも含めることができる。これにより、各車両25の所定の種類のデータについてはその履歴に基づく検索も可能にすることができる。図2の表における項目名の速度は、そのデータを基地局11が各車両25から受信することなく、各移動局12から複数の時点で受信した現在地のデータと、基地局11側に装備する地図データとに基づきPC15において算出することも可能である。
【0022】
図3は基地局11が操作者に車両表示条件を入力させる車両表示条件設定窓を示している。該設定窓は、操作者がメニューより車両表示条件設定の項目を選択するのに伴い、ディスプレイ22の画面の最前面にアクティブウィンドウとして現れる。操作者は、希望する幾つかの車両表示条件について、それに名前を付けて予め登録しておき、必要時には、登録済みの車両表示条件の中から所望のものを選択したり、内容を一部修正したりして、迅速に、表示希望の車両についてその現在地をディスプレイ22の地図画面上に表示させて、それらを把握できるようになる。
【0023】
図3の例では、操作者は、検索名称が"タクシー空車"、"バス回送"、"トラック空荷"及び"大型速度違反"となっている車両表示条件が予め設定済みとなっていて、それらのタブが表示されている。操作者は、検索名称付きのタブを選択することにより各検索名称の検索条件を車両表示条件設定窓に呼び出して、設定済みの検索条件の内容を確認したり、適宜、修正したりすることができる。
【0024】
操作者は、新規の車両表示条件を追加する場合には、図3のタブの中の"なし"をマウスのクリックボタンによりクリックする。これにより、未入力の車両表示条件が車両表示条件設定窓に表示される。操作者は、テキストボックス、チェックボックス、ラジオボタン、リストボックス、ドロップダウンリスト、及びコンボボックスを使用して、検索名称及び所望の検索条件を入力又は選択して、所望の複合検索条件を設定する。
【0025】
図3における"タクシー空車"の検索条件は、(a)車種がタクシーであること、(b)平均車速が10km/h以下であること、(c)空車であること、かつ(d)上記(a)〜(c)の条件が車両運行管理システム10分以上継続して現在に至っていることの複合検索条件になっている。なお、"間隔"の代わりに、"時間"のラジオボタンを選択すれば、過去の所定期間の開始時刻及び終了時刻を指定することができるようになっている。図3の"移動局状態"における左右の選択欄("空車"→"無効")は、状態が左の欄の状態から右の欄の状態へ変化した車両を検索条件としたものである。右の欄が"無効"となっている場合は、状態変化がなく、左の欄の状態が維持されていることを意味する。
【0026】
図4は操作者が"全車"のアイコンを選択した場合のディスプレイ22の表示画面である。図4〜図7の表示画面では、図3の車両表示条件設定窓で設定した各検索条件に付けた検索名称と同一の名称を付けた複数のアイコンが、"全車"と記入したアイコンの右側に一列に整列して表示されている。操作者は、これらアイコンの1つをクリックすることにより、各検索名称に対応する複合検索条件に該当する車両に検索して、それを地図画面上に表示することができる。
【0027】
図4では、地図画面上に、その表示地域に存在する全部の運行管理車両が表示される。操作者は、地図画面の地図を上下左右にスクロールして、運行管理地域全体における他の地域の地図画面をディスプレイ22に表示したり、地図の縮尺を増減して、表示したりすることもできる。
【0028】
各車両25は、その現在地が地図画面上でアイコンで表示される。各アイコンは、その向きを各車両25の進行方向に合わせられているとともに、各移動局又は各車両25のIDが記入されている。実際の画面はカラー表示であり、各IDのアイコンの色は、図2の"状態"の(色名)で示した色で表示されている。例えば、ID=1の車両では黄色で表示されている。
【0029】
図5は空車であるタクシーのみを表示した画面である。図2の表から分かるように、ID=3,4の車両が、地図画面上の現在地に表示される。
【0030】
図6は図5の表示画面に他の車両も半透明で示した表示画面である。図6では、半透明のアイコンが見え難いので、その位置を破線の円で囲っている。実際の画面では、空車のタクシー以外の車両のアイコンは、空車のタクシーのアイコンと区別するために、色を半透明にして、表示されるのみであり、破線の円は表示されない。操作者からの指示により又は予めの設定により、ディスプレイ22の地図画面には、複合検索条件に該当する車両だけでなく、地図画面の地域内に存在していて複合検索条件に該当しなかった車両をその現在地に半透明で表示するようにすることができる。
【0031】
図7は大型速度違反の車両を地図画面上に示した表示画面である。図2の表によれば、ID=10のトラックがそれに該当し、図7の地図画面にその現在地(ホームベース型のアイコン)と速度違反を開始した地点(菱形のアイコンでかつ過去の色として現在地のアイコンの色とは別の色)とに表示される。速度違反開始した地点は、該トラックについて過去に受信した速度に基づき決定される。
【0032】
このようなトラックを表示する検索条件を設定する車両表示条件設定窓の入力例では、検索名称に"大型速度違反"と名付けるとともに、移動局種別を大型車に、移動局速度を80km/hより大、時刻の間隔を直近10分というように、設定する。なお、該トラックの速度違反が瞬間的なものであり、現在は80km/h以下に戻っている場合には、該トラックを全く表示しないか、過去の速度違反地点のみ、ID付きの過去用のアイコンで表示することもできる。操作者は、無線を介して該トラックの運転手に直ちに注意することができる。また、このような速度違反の事実はデータベースに所定期間残しておくこともできる。したがって、違反の多い地点を知ることもできる。
【0033】
図8は乗禁地区違反の車両表示条件を設定する設定窓を示す。例えば、銀座等では、タクシーは午後10時から翌日の午前1時までは指定乗り場以外の所からお客を乗せることが条例で禁止されている。例えば、車両運行管理システム10の運行管理地域におけるエリア1がこのような乗車禁止区域であったとすると、図8に示されているように、移動局種別=タクシー、移動局エリア=エリア1、移動局状態="空車"→"実車"、時刻="22:00"→"1:00"に設定する。
【0034】
図8の乗禁地区違反の車両表示条件設定に伴い、ディスプレイ22の地図画面には、"乗禁地区違反"のアイコンが表示される。操作者は、該アイコンをクリックすることにより、ディスプレイ22の地図画面を、乗禁地区違反の車両表示条件に該当するタクシーについてその現在地を地図画面上に表示したものへ切替えることができる。操作者が該アイコンをクリックした現時刻が22:00〜1:00内であれば、22:00〜現時刻の該当タクシーが表示され、22:00〜1:00外であれば、昨夜の22:00〜1:00の該当タクシーが表示される。また、データベースに保存した過去所定期間の情報に基き、2日前とか、3日前、さらには、今週1週間における該当タクシーを表示することも可能である。
【0035】
図9は運行管理データ受信処理方法38のフローチャートである。運行管理データ受信処理方法38はPC15において一定時間間隔で実施される。S39では、いずれかの移動局12からデータを受信したか否かを判定し、判定結果が正であれば、S40へ進み、否であれば、運行管理データ受信処理方法38を直ちに終了する。S40では、受信データがGPS(現在地)データまたは状態(この状態には実車か空車かの状態だけでなく、車速等の車両の運行状態に関するすべての状態を含む。)通知であるか否かを判定し、判定結果が正であれば、S41へ進み、否であれば、運行管理データ受信処理方法38を終了する。
【0036】
S41では、GPSデータ及び状態データを内部メモリに保存する。内部メモリには、各車両25について、それから受信した最新の情報(データ)のみを保存しておく。該内部メモリはRAM等の揮発性メモリであり、PC15のCPUにおける演算に使用されるものである。受信したGPSデータ及び状態データは、内部メモリだけでなく、S42においてデータベースにも保存される。データベースには、各車両25について、それから受信した最新の情報(データ)だけでなく、過去所定期間に受信したデータも保存される。データベースのデータは内蔵ハードディスク装置(図示せず)等の大容量の不揮発性メモリに保存される。なお、典型的には、データベースのデータは、所定期間が経過すると、古いものから順番に廃棄される。
【0037】
S43では、現在選択されている車両表示条件に従い、該当車両についてディスプレイ22の画面上に現在地を表示する。S43によりディスプレイ22に表示される画面は、図10の車両検索方法50により決定される。
【0038】
図10は車両検索方法50のフローチャートである。車両検索方法50は、操作者が、図4等の検索名称付きアイコンをクリックする時等、検索実行を指示した時に実行される。S51では、操作者が指示した検索条件に合致する車両25があるか否かを内部メモリ(図9のS41)のデータに基づき判定し、判定が正であれば、S52へ進み、判定が否であれば、S53へ進む。S52では、S51において検索条件に合致したと判断した車両25のIDを内部メモリに保存する。
【0039】
S53では、操作者が指示した検索条件に合致する車両25があるか否かを過去のデータ、すなわちデータベース(図9のS42)のデータに基づき判定し、判定が正であれば、S54へ進み、判定が否であれば、S55へ進む。S54では、S53において検索条件に合致したと判断した車両25のIDを内部メモリに保存する。
【0040】
S55では、IDが内部メモリに保存された車両25について、その現在地を地図画面上に表示する。この表示画面の例は図4〜図7である。
【0041】
図11は車両運行管理装置60のブロック図である。車両運行管理装置60の具体例は基地局11のPC15に実装されて運行管理データ受信処理方法38(図9)及び車両検索方法50(図10)を実施するアプリケーションプログラムである。車両運行管理装置60における車両には、タクシー、バス、トラック、バイク便や自転車便等におけるバイク等の車両が含まれる。また、車両運行管理装置60は、単一種の車両(例:タクシーだけ又はバスだけ)についての運行管理に限定されず、複数種の車両(例:前述の図4〜図7におけるタクシー、バス及びトラックの混在)についての運行管理も含まれる。車両運行管理装置60は、データ受信手段61、データ保存手段62、複合検索条件設定手段63、検索手段64及び表示手段65を備えている。車両運行管理装置60は、運行管理データ生成手段70及び複合検索条件登録手段71を適宜、備えることもできる。
【0042】
データ受信手段61は、運行管理中の1以上の各車両にそれぞれ配備された1以上の各移動局から、現在地を含む各車両についての複数種の運行管理データを受信する。データ保存手段62は、受信した運行管理データを各車両に対応付けて記憶装置74に保存する。複合検索条件設定手段63は、検索要求車両について複合検索条件を操作者に設定させる。
【0043】
検索手段64は、操作者が設定して検索指示した複合検索条件に該当する車両を記憶装置74の運行管理データに基づき検索する。表示手段65は、該当車両について、その現在地を表示器75の地図画面上に表示する。
【0044】
データ保存手段62が、各車両に対応付けて記憶装置74に保存する運行管理データの種類は図2の表の2列以降に列挙されている項目である。図2の表では、各行のデータは、車両のIDとしての"番号"に対応付けられている。複合検索条件設定手段63は、例えば、複合検索条件の入力用に、図2や図8の車両表示条件設定窓を表示器75に表示して、操作者に、複合検索条件の設定を行わせる。記憶装置74の具体例は、運行管理データ受信処理方法38(図9)のS41,S42で説明した内部メモリ及びデータベースである。表示手段65が該当車両について表示器75に表示する地図画面の具体例は図5のものである。
【0045】
こうして、操作者は、所望の複合検索条件を柔軟に設定して、該複合検索条件に該当する車両の現在地を表示器75の地図画面から把握することができる。
【0046】
好ましくは、データ保存手段62は、記憶装置74に、各車両の運行管理データについて最新のものと共に過去のものも保持させておく。結果、車両運行管理装置60は、操作者に対して、最新の運行管理データに基づく該当車両の検索だけでなく、過去の運行管理データに基づく該当車両の検索を提供することができる。
【0047】
好ましくは、車両運行管理装置60は、さらに、運行管理データ生成手段70を備えることができる。運行管理データ生成手段70は、各移動局から受信して記憶装置74に保存している運行管理データを加工して、受信した運行管理データとは別の運行管理データを新規に生成する。これに対して、データ保存手段62は、新規に生成された別の運行管理データを記憶装置74に保存し、複合検索条件設定手段63は、検索要求車両について別の運行管理データに係る検索条件を含む複合検索条件を操作者に設定可能にさせる。
【0048】
新規作成される別の運行管理データの具体例は、空車の車両がその行き先まで到達する予想到達時刻とか、各車両についての直近所定期間又は過去の所定期間における平均車速とかである。この場合、予想到達時刻は、移動局から受信した車速、行き先、及び現在地に基づき算出することができる。また、平均車速は、各期間内の複数の時点で移動局から受信した瞬間車速に基き算出することができる。こうして、操作者が設定できる検索条件を豊富化することができる。
【0049】
表示手段65は、表示器75の地図画面上に、該当車両の現在地については不透明で表示するとともに、非該当車両の現在地については半透明で表示することができる。この画面の具体例は図6の画面である。これにより、該当車両は非該当車両により埋没することなく地図画面上に表示されるとともに、非該当車両の現在地も同時に把握可能になる。
【0050】
好ましくは、車両運行管理装置60は、さらに、複合検索条件登録手段71を備える。複合検索条件登録手段71は、操作者に複合検索条件を予め設定させてそれを登録する。これに対して、表示手段65は、登録済みの複合検索条件に対応付けた複合検索条件実施指示用アイコン(例:図4〜図7の"タクシー空車"、"バス回送"、"トラック空荷"及び"大型速度違反"の名前付きのアイコン)を表示器75に表示する。検索手段64は、操作者によりクリックされた複合検索条件実施指示用アイコンに対応付けられた複合検索条件を、操作者が設定して検索指示した複合検索条件と扱う。
【0051】
図12は車両運行管理方法85のフローチャートである。車両運行管理方法85は、車両運行管理装置60において実施される。車両運行管理方法85は、S86,S87,S88,S89,S90を備えている。S88は、S86より前に実施することができる。
【0052】
S86では、運行管理中の各車両に配備された各移動局から、現在地を含む各車両についての複数種の運行管理データを受信する。S87では、受信した運行管理データを各車両に対応付けて記憶装置74に保存する。S88では、検索要求車両について複合検索条件を操作者に設定させる。S89では、操作者が設定して検索指示した複合検索条件に該当する車両を記憶装置74の運行管理データに基づき検索する。S90では、該当車両について、その現在地を表示器75の地図画面上に表示する。
【0053】
S86〜S90の処理は、車両運行管理装置60(図11)のデータ受信手段61〜表示手段65の機能にそれぞれ対応している。したがって、データ受信手段61〜表示手段65の機能について述べたそれぞれの具体的態様はS86〜S90の処理についてのそれぞれの具体的態様としても適用可能である。車両運行管理方法85では、また、車両運行管理装置60の運行管理データ生成手段70及び複合検索条件登録手段71の機能に対応する処理を実行するステップを適宜、追加可能である。運行管理データ生成手段70に対応するステップは、記憶装置74の運行管理データを利用するので、車両運行管理方法85では、S87の後で実施され、該ステップを反映する複合検索条件設定処理を行うために、S88は、該ステップの後に実施される。複合検索条件登録手段71に対応するステップは、S88の前に実施される。
【0054】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータを車両運行管理装置60の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、車両運行管理方法85の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0055】
本明細書は様々な発明を開示している。それら発明は、発明の最良の形態の項で説明した各装置及び各方法だけでなく、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を自明の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】車両運行管理システムの概略図である。
【図2】基地局が各移動局から入手して記憶装置に保存する情報を例示す図である。
【図3】基地局が操作者に車両表示条件を入力させる車両表示条件設定窓を示す図である。
【図4】操作者が"全車"のアイコンを選択した場合のディスプレイの表示画面である。
【図5】空車であるタクシーのみを表示した画面である。
【0057】
【図6】図5の表示画面に他の車両も半透明で示した表示画面である。
【図7】大型速度違反の車両を地図画面上に示した表示画面である。
【図8】乗禁地区違反の車両表示条件を設定する設定窓を示す図である。
【図9】運行管理データ受信処理方法のフローチャートである。
【図10】車両検索方法のフローチャートである。
【0058】
【図11】車両運行管理装置のブロック図である。
【図12】車両運行管理方法のフローチャートである。
【図13】画面に表示中の地図画面の地域範囲に存在するすべてのタクシーを表示した管理画面を例示す図である。
【図14】図13の地図画面に相当する地域を縦横5×6の縦横の升目の分割した地図画面を示す図である。
【図15】行き先が所定の地域区分になっている実車のみを表示した画面を示す図である。
【図16】従来のタクシー運行管理システムの基地局ディスプレイにおける表示画面例である。
【符号の説明】
【0059】
60:車両運行管理装置、61:データ受信手段、62:データ保存手段、63:複合検索条件設定手段、64:検索手段、65:表示手段、70:運行管理データ生成手段、71:複合検索条件登録手段、74:記憶装置、75:表示器、85:車両運行管理方法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行管理中の1以上の各車両にそれぞれ配備された1以上の各移動局から、現在地を含む各車両についての複数種の運行管理データを受信する受信手段、
受信した運行管理データを各車両に対応付けて記憶装置に保存するデータ保存手段、
検索要求車両について複合検索条件を操作者に設定させる複合検索条件設定手段、
操作者が設定して検索指示した複合検索条件に該当する車両を前記記憶装置の運行管理データに基づき検索する検索手段、及び
該当車両について、その現在地を表示器の地図画面上に表示する表示手段、
を備えることを特徴とする車両運行管理装置。
【請求項2】
前記データ保存手段は、前記記憶装置に、各車両の運行管理データについて最新のものと共に過去のものも保持させておくことを特徴とする請求項1記載の車両運行管理装置。
【請求項3】
各移動局から受信して前記記憶装置に保存している運行管理データを加工して、受信した運行管理データとは別の運行管理データを新規に生成する運行管理データ生成手段、
新規に生成された別の運行管理データを前記記憶装置に保存する前記データ保存手段、及び
検索要求車両について前記別の運行管理データに係る検索条件を含む複合検索条件を操作者に設定可能にさせる前記複合検索条件設定手段、
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の車両運行管理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、表示器の地図画面上に、該当車両の現在地については不透明で表示するとともに、非該当車両の現在地については半透明で表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両運行管理装置。
【請求項5】
操作者に複合検索条件を予め設定させてそれを登録する複合検索条件登録手段、
登録済みの複合検索条件に対応付けた複合検索条件実施指示用アイコンを前記表示器に表示する前記表示手段、及び
操作者によりクリックされた複合検索条件実施指示用アイコンに対応付けられた複合検索条件を、操作者が設定して検索指示した複合検索条件として扱う前記検索手段、
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両運行管理装置。
【請求項6】
運行管理中の1以上の各車両にそれぞれ配備された1以上の各移動局から、現在地を含む各車両についての複数種の運行管理データを受信するステップ、
受信した運行管理データを各車両に対応付けて記憶装置に保存するステップ、
検索要求車両について複合検索条件を操作者に設定させるステップ、
操作者が設定して検索指示した複合検索条件に該当する車両を前記記憶装置の運行管理データに基づき検索するステップ、及び
該当車両について、その現在地を表示器の地図画面上に表示するステップ、
を備えることを特徴とする車両運行管理方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の車両運行管理装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−116774(P2009−116774A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291708(P2007−291708)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(595120530)株式会社ケンウッド・エンジニアリング (22)
【Fターム(参考)】