説明

車両

【課題】車両において、オペレータの脚の長さ、足の大きさに適合するように調節可能にするフット制御アセンブリを提供する。
【解決手段】車両は、複数の接地部材、複数の接地部材により支持されるフレーム、複数の接地部材により支持されるコンポーネント、フレームにより支持される第1部材742、第1部材により支持されるフットレスト746、フレームにより支持され、第1部材及びフットレストに対して移動可能な第2部材752及び第2部材に結合されると共にコンポーネントに動作上結合されコンポーネントへの入力を提供する足作動型制御レバー770を備える。足作動型制御レバーの初期位置は第1部材に対する第2部材の位置に基づいてセットされ、初期位置は乗り手により選択可能であり、第1部材に対する第2部材の移動により、フットレストの前部に対する足作動型制御レバーの位置が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に関する。
【背景技術】
【0002】
モータサイクルの如き2輪車両は周知である。モータサイクルに燃料貯蔵タンクを含むことも周知である。また、モータサイクルに後部サスペンションを設けることも周知である。更に、モータサイクルのティップオーバ中のダメージを最少にすることも周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
周知の2輪車両(モータサイクル)には、その円滑且つ快適な乗り心地をユーザに提供する上で、解決又は改善するべき幾つかの課題を有する。例えば、高速走行中に乗り手又は運転者に吹き付ける空気流は、特に雨天等の悪天候時には不快であると共に安全な走行を阻害する虞がある。また、何らかの原因で転倒すると、車両の構成部品である収納部等のコンポーネントにダメージを与え、走行不能又は高価な修理を要する場合もある。更に、操作部が乗り手の身長等の身体的特徴に適合しない場合には、不便であると共に乗り心地が悪く且つ事故の原因ともなり得る。
【0004】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を解決又は軽減する車両及び車両調節方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した従来技術の課題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明による2輪車両及び車両調整方法は、次の如き特徴的な構成を採用している。
【0006】
本発明はモータサイクルを含む2輪車両に関する。本発明の2輪車両は、その種々の構成部品(コンポーネント)の配置により、その重心を前に移動させる。
【0007】
本発明による2輪車両の実施例は、前輪と、この2輪車両の長手面に沿う前輪と略一線上に配置される後輪と、これら前輪及び後輪により支持されるフレームと、このフレームに旋回自在に連結され且つ後輪に支持されたスイングアームと、このスイングアーム及びフレームに連結されたサスペンションシステムとを備えている。このサスペンションシステムは、緩衝部材(ショックアブゾーバ)及びそれに連結されたリンクを含んでいる。このリンクは、2輪車両の長手方向面と直交する面内で移動する。
【0008】
本発明による2輪車両の他の実施例は、前輪と、この2輪車両の長手面に沿って前輪と略一線上に配置される後輪と、これら前輪及び後輪により支持されるフレームと、フレームの第1位置に旋回自在に連結されると共に後輪に支持されたスイングアームと、フレームの第2位値に連結されたサスペンションシステムとを備えている。この第2位置は、第1位置より高い位置である。また、サスペンションシステムは、更にスイングアームに連結されている。この2輪車両は、エンジンに連結された排気システムを更に含んでいる。この排気システムは、エンジンから後輪に向けて後方へ延び、2輪車両の第1側から第2側へ前輪の前を2輪車両の第1位置よりも低い高さで通過する。
【0009】
本発明による2輪車両の更に他の実施例は、前輪と、2輪車両の長手方向面に沿い前輪と略一線上に配置される後輪と、これら前輪及び後輪により支持されるフレームと、このフレームに連結されると共に後輪と動作上連結され後輪を駆動するエンジンと、前輪に連結され前輪を移動操縦する操縦(操舵)アセンブリと、フレームに支持されると共に動作上エンジンに連結された燃料貯蔵タンクとを備えている。操縦アセンブリは、燃料貯蔵タンクの上水平面の上である上部及び燃料貯蔵タンクの底水平面の下である下部を含んでいる。操縦アセンブリの下部は、中間部を介して上部に連結され、少なくとも中間部の一部は、燃料貯蔵タンクの前垂直面の後方に位置している。
【0010】
本発明による2輪車両の別の実施例は、前輪と、この2輪車輪の長手方向面に沿って前輪と略一線上に配置される後輪と、これら前輪及び後輪により支持されるフレームと、このフレームに連結されると共に後輪に動作上連結されて駆動するエンジンと、前輪に連結され前輪を移動させて操縦する操縦アセンブリと、フレームに支持されると共にエンジンに動作上連結された複数の燃料貯蔵タンクとを備えている。これら複数の燃料貯蔵タンクのうち第1及び第2燃料貯蔵タンクは、後輪の前方にそれぞれ左右の位置関係で配置されている。
【0011】
本発明による2輪車両の更に別の実施例は、前輪と、2輪車両の長手方向面に沿って前輪と略一線上に配置される後輪と、これら前輪及び後輪に支持されるフレームと、このフレームに連結されると共に後輪に動作上連結され駆動するエンジンと、前輪及び後輪間に配置されたエンジンと、フレームに支持されると共に支持面を有する鞍状シートと、エンジンの略前方に配置されこのエンジンに動作上連結されたバッテリとを備えている。
【0012】
本発明による更なる実施例の2輪車両は、前輪と、この2輪車両の長手方向面の前輪と略一線上に配置される後輪と、これら前輪及び後輪により支持されるフレームと、このフレームに支持されると共に後輪に動作上連結して後輪を駆動するエンジンと、このフレームに支持されると共に支持面を有する鞍状シートと、フレームに支持されると共に後輪の近傍に配置される収納部(ストレージコンパートメント)とを備えている。この収納部は、後輪の横方向の外側に配置され、長手方向面と直交方向から後輪の一部とオーバーラップする。更に、この2輪車両は少なくとも1個の支持部材を備え、2輪車両を支持すると共に2輪車両が転倒した場合に収納部の外部の破損を防止する。この少なくとも1個の支持部材は、収納部とはオーバーラップしない位置関係に配置されている。
【0013】
本発明による実施例の車両は、乗り手(ライダ)が操作する車両であり、複数の接地部材(車輪)と、この複数の接地部材により支持されるフレームと、このフレームにより支持される鞍状シートと、複数のグランド係合部材により支持されるコンポーネントと、フレームにより支持される第1部材と、この第1部材に対して移動可能な第2部材と、この第2部材に連結される足作動型制御レバーとを備えている。この足作動型制御レバーは、コンポーネントに動作上連結され、コンポーネントに対する入力を提供する。この足作動型制御レバーの初期位置は、第1部材の第2部材に対する相対位置に基づいてセットされ、ライダにより選択可能である。
【0014】
本発明による別の実施例である車両調節方法は、車両の足作動型制御レバーのフットペグ位置を調整する方法であり、サポート及びこのサポートに対して移動可能なマウントを設けるステップと、車両の足作動型制御レバーをマウントに連結するステップと、マウントをサポートに対してフットペグ位置へ移動させるステップと、マウント及びサポートを固定するステップとを備えている。
【0015】
更に他の実施例は、フレーム及び複数の接地部材を有する車両の可動ウインドシールド制御方法である。この制御方法は、車両のフレーム上に可動ウインドシールドを支持するステップと、空気流を生じさせるステップとを備えている。この空気流の第1部分は、可動ウインドシールドの前面に沿って流れる。また、空気流の第2部分は、ウインドシールドの背面に沿って流れる。可動ウインドシールドの背面を流れる第2部分の空気流は、ウインドシールドが低位置から高位置に持ち上げた際に増加する。
【0016】
更なる実施例は、ウインドシールド組立体(アセンブリ)である。このウインドシールド組立体は、基部(ベース部材)と、この基部に支持される後方ウインドシールドと、基部に支持される前方ウインドシールドとを備えている。前方ウインドシールドは、後方ウインドシールドの前方に配置されている。前方ウインドシールドは、低位置と高位置間で後方ウインドシールドに対して可動する。更に、このウインドシールド組立体は、基部に支持され且つ動作上は前方ウインドシールドに連結された駆動部を備えている。この駆動部は、前方ウインドシールドの移動を高位置及び低位置間で制御する。前方ウインドシールドは、後方ウインドシールドと離間しており、前方ウインドシールドの背面に沿って空気流を生じさせる。
【0017】
本発明の更に他の実施例は、乗り手(ライダ)により操作される車両である。この車両は、前方接地部材(車輪)及び後方接地部材を含む複数の接地部材(車輪)と、これら複数の接地部材により支持されるフレームと、このフレームに支持される鞍状シートと、前方接地部材に連結されると共に前方接地部材を可動させて操縦又は操舵する操縦アセンブリ(組立体)と、鞍状シートの前方に配置されたウインドシールドとを備えている。このウインドシールドは、前方ウインドシールド部及び後方ウインドシールド部を含んでいる。前方ウインドシールド部は、後方ウインドシールド部に対して高位置及び低位置間で移動可能である。これら前方ウインドシールド部及び後方ウインドシールド部間において前方ウインドシールド部の背面に沿って空気流を生じさせる。
【発明の効果】
【0018】
上述の如き特徴的な構成を有する本発明によると、次の如き特有の効果を奏する。即ち、安定性、安全性及び快適性を兼備し、遠距離走行(ツアリング)に好適な2輪車両(モータバイク)が実現可能である。その理由は、運転者の身体的特徴に合わせて足制御アセンブリ等の位置調節機能を備えているためである。
【0019】
本発明の上述した及びその他の特徴及び作用効果は、本発明の好適な実施例を示す添付図面を参照して行う以下の詳細説明からよく理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】2輪車両の実施例を示す側面図である。
【図2】図1に示す2輪車両の斜視図である。
【図3】図1に示す2輪車両の正面図である。
【図4】図1に示す2輪車両の上面図である。
【図5】図1に示す2輪車両の後部スイングアームと、前方フレーム部及び後方フレームを含むシャーシとの斜視図である。
【図6】図5に示すシャーシの前方フレーム部の断面図である。
【図7】エアフィルタ、取付ブラケット、電子モジュール及びそれに連結されたハーネス管理部を有する図6に示す前方フレーム部の断面図である。
【図8】図1に示す2輪車両の操縦(又は操舵)アセンブリの斜視図である。
【図9】図8に示す操縦アセンブリに対する燃料貯蔵タンクの相対位置を示す図である。
【図10】図1に示す2輪車両の2個の燃料貯蔵タンクの斜視図である。
【図11】図10に示す2個の燃料貯蔵タンクの上面図である。
【図12】図8に示す操縦組立体及び図5に示す前方フレーム部に対した配置された図10の2個の燃料貯蔵タンクの斜視図である。
【図13】図5に示す後方フレーム部と、後輪及び後方スイングアームに連結された後部サスペンションの斜視図である。
【図13A】後部ボディワークの一部を示す分解図であり、図13の後部サスペンションに連結されたエアラインにアクセス可能な位置を示す。
【図14】後部サスペンションを破線で示す後方フレーム部を有する図13に示す組立体を示す図である。
【図15】後部サスペンションを断面で示す後方フレーム部を有する前方斜視図である。
【図16A】後部サスペンションが延長状態にある図13に示す組立体の側面図である。
【図16B】後部サスペンションが図16Aに示す延長状態にある後部サスペンションを示す図である。
【図17A】後部サスペンションが中間状態にある図13に示す組立体の側面図である。
【図17B】図17Aに示す中間状態にある後部サスペンションを示す図である。
【図18A】圧縮状態にある後部サスペンションを有する図13に示す組立体の側面図である。
【図18B】図18Aに対応する圧縮状態にある後部サスペンションを示す図である。
【図19】図13に示す後部サスペンションの移動比を例示する図である。
【図20】図1に示す2輪車両の排気システムの斜視図である。
【図21】図20に示す排気システムのクロスオーバ位置を示す図13に示す組立体の側面図である。
【図22】図13に示す組立体及び後部チップオーバ装置の斜視図である。
【図23】図22に示すティップオーバ装置の分解斜視図である。
【図24】左側後部ティップオーバ装置及び右側後部ティップオーバ装置を含む図13に示す組立体の背面図である。
【図25】調節可能な足制御アセンブリの1例を示す分解図である。
【図26】図25に示す調節可能な足制御アセンブリの組立状態を示す側面図である。
【図27A】従来のウインドシールドにおけるエアフローを示す図である。
【図27B】図1に示す2輪車両のウインドシールドのエアフローを示す図である。
【図28】ウインドシールドの具体例の断面図である。
【図29】図28に示すウインドシールドの分解組立図である。
【図30】図29に示すウインドシールドの組立状態の背面図である。
【図31】図28に示すウインドシールドのシザー(鋏)状機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。尚、これらの添付図において、対応する構成要素には、同様又は類似する参照符号を使用している。また、これらの添付図のサイズは、相対的なものであり、同一縮尺ではないことに留意されたい。
【0022】
以下に説明する実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。従って、当業者は、斯かる実施例に基づいて種々の変形変更が可能である。尚、ツアリングモータサイクル(長距離走行用2輪車両)を例示して本発明を説明しているが、オールテレイン(汎用)車両、モータサイクル、ウオ−タクラフト(水上車両)、ユーティリティ車両、スク−タ、ゴルフカート及び原付車両等を含むその他種々のアプリケーションが可能である。
【0023】
先ず、図1を参照して、本発明による1実施例の2輪車両(以下、単に車両という場合もある)100について説明する。この車両100は、ツアリングモータサイクルであり、位置104Aにオペレータ(操縦者)を、位置104Bに同乗者を着席させるシート102を含んでいる。更に、この車両100は、前部接地部材である車輪(前輪)110、後部接地部材である車輪(後輪)112を含んでいる。車両100は、大地(走行路面)114の上を前輪110及び後輪112で走行する。1実施例では、前輪110及び後輪112は、車両100の略中心面116(図4参照)に沿って配列されている。
【0024】
後部車輪112は、ベルト122を介してトランスミッションの駆動軸に連結されている。トランスミッションは、後輪112に駆動力、即ちパワーを供給するエンジン124に連結されている。図示の実施例において、エンジン124は、約1639cc(100立方インチ)4ストローク50°v−ツインスパーク点火ガソリンエンジンであり、米国ミネソタ州55340メディナ市ハイウエイ55の2100番地に所在のポラリスインダストリーズ・インコーポレイテッド(以下、ポラリス社という)から市販されている。一実施例では、エンジン124の最大幅は約380mm又は約15インチであり、乗り手の脚位置に対して柔軟性及び快適性を提供する。他の実施例では、後輪112は、チェーンドライブ又はその他適当な結合手段(カップリング)を介して駆動軸に連結されている。図示する実施例のドライブ構成は、上述したポラリス社から市販されているカーボン繊維強化された6速オーバードライブ定メッシュトランスミッションにより構成されている。他の実施例では、トランスミッションは連続可変トランスミッションである。
【0025】
尚、車両100は2輪車両として図示しているが、本発明は3輪、4輪、6輪及びそれ以外の車輪数を有する車両にも適用可能であることが理解されよう。また、図示の実施例はスパーク点火ガソリンエンジンであるが、電気モータ及びその他のトルク生成マシンが本発明の各実施例に適応可能である。
【0026】
前輪110は、操縦組立体130に連結されている。この操縦組立体130は、乗り手が前輪110を左右に回転するように移動させるハンドル132を含んでいる。
【0027】
エンジン124は、種々のボディワーク部品にてフレーミングされている。車両100の前方部分は、中心開口(図3参照)134を有する前方流線型部131を含んでいる。操縦アセンブリ(組立体)130は、中心開口134から延出している。前方流線型部131は静止部であり、操縦アセンブリ130と共に左右方向へ移動することはない。
【0028】
次に、図3を参照して説明する。フロントパネル136は、フロントライト組立体138をフレーミングし、前方駆動ライト組立体140、ハイビームライト142及びターン(方向指示)ライト144を含んでいる。更に、フロントパネル136は、その上にウインドシールド(又は風除け)148が延びるアクセスパネル146を含んでいる。
【0029】
再度図1を参照して説明を続けると、前方流線型部131は、エンジン124の前方下部からエンジン124の上部及びエンジン124の上からシート102へ延びるサイドパネル150を含んでいる。第2パネル152が略サイドパネル150の線に追従し且つサイドパネル150の内方へセットされる。更に、上部ボディワークグルーピング158が略シート102の前方位置で車両100の上部を覆っている。
【0030】
一方、車両100の後部は、後部ボディワークグルーピング160を含んでいる。この後部ボディワークグルーピング160は、サイドパネル162及び164を含んでいる。更に、後部ボディワークグルーピング160は、サドルバッグ170のエクステリア、後部パネル(図4参照)172及び取り外し可能なトランク174を含んでいる。図4を参照すると、車両100は、左サイドサドルバッグ176及び右サイドサドルバッグ178を含んでいる。これらサドルバッグ176、178及びトランク174は、フレームにより支持された収納(ストレージ)部であり後輪112の近傍に配置されている。図13Aに示す如く、サドルバッグ176、178は基部175を含み、この基部175はストレージ部177を含んでいる。ストレージ部177は、開位置及び閉位置間で移動可能なサドルバッグカバー179で覆われている。サドルバッグ176、178は、後輪112の外側に横方向に配置され、後輪112の一部は車両100の長手面116に対して法線方向にオーバーラップする。一方、トランク174は、鞍型シート102の支持面上に配置されている。
【0031】
次に、図5を参照して説明すると、車両100は、シャーシ180を含んでいる。このシャーシ180は、前方フレーム部182及び後方フレーム部184を含んでいる。一実施例では、前方フレーム部182及び後方フレーム部184の両方は、一体にキャスト又は鋳造されている。一例では、前方フレーム部182及び後方フレーム部184は、アルミニウムの鋳造品である。前方フレーム部182及び後方フレーム部184を鋳造することにより、従来のチューブ状フレームに対して所定のシャーシへの各種部品の取付位置を減少できる。一実施例では、部品取付位置は、機械加工により許容誤差を改善できる。加えて、車両100のトーションに対する剛性を、チューブ状フレームの車両に比較して略2倍にする。
【0032】
前方フレーム部182及び後方フレーム部184は、相互に結合されている。図示の実施例では、前方フレーム部182及び後方フレーム部184は、取付ブラケット186に結合されている。ここで、前方フレーム部182はカプラ188を介して、後方フレーム部184はカプラ189を介して結合されている。取付ブラケット186は、取付ブラケット190と共にエンジン124に結合され、エンジン124が前方フレーム部182から垂下するように構成されている。
【0033】
前方フレーム部182及び後方フレーム部184を相互に連結された別体構造にすることにより、前方フレーム部182又は後方フレーム部184の何れかが他のタイプの2輪車両に使用可能であり、これにより設計サイクルの短縮及び部品コストの低減が可能である。
【0034】
前方フレーム部182は、図6に示す如くエアチャネル192を含んでいる。前方フレーム部182は、車両100のエアボックスとして作用する。図6を参照して説明すると、エア(空気)は前方フレーム部182の前端のエア入口194から入り、操縦組立体130の操縦カラム196の周りを通過し、前方フレーム部182のエア出口222から出る。エア出口222は、エンジン124と流体的に連通しており、エンジン124にエアを導く。操縦組立体130の操縦カラム196は、前方フレーム部182のフォークジャーナル200を貫通する。フォークジャーナル200の上部197及び底部199にシールされたベアリングが圧入されており、操縦カラム196を前方フレーム部182に対して回転可能にする。
【0035】
次に、図7を参照して説明すると、エアフィルタ202がエア入口194に配置され、エアはこのエアフィルタ202を通過し、前方フレーム部182の内部192へ経てエンジン124へ到る。図3を参照すると、エアは前輪110及び流線型部131間の開口134に入る。その結果、冷たいエアがエアボックス内にそして最終的にはエンジン124内に導かれる。
【0036】
エアフィルタ202は、前方フレーム部182に連結された取付ブラケット206の前部分204に取りつけるヘッドライト組立体(図3参照)138の背後に配置されている。エアフィルタ202を前方上部に配置することにより、サービスのためにエアフィルタ202へのアクセスが容易である。図示の実施例では、エアフィルタ202はファスナである2個のカプラ208で所定位置に固定されている(但し、1個のみが図示されている)。エアフィルタ202を交換するには、カプラ208を取り外し、エアフィルタ202を所定位置から下方へスライドさせる。一度エア入口194から取り外されると、交換用エアフィルタ202を取り付け、カプラ208により固定される。
【0037】
取付ブラケット206は、ライト組立体138の支持と共に、フロントパネル136、アクセスパネル146、ウインドシールド148及びインスツルメントパネルや後方ミラーを含む付加部品を含むその他の部品を支持する。更に、取付ブラケット206はそれに連結され、ヒューズボックス(図示せず)が連結可能な取付ブラケット210を有する。同様の取付ブラケットが取付ブラケット206の左側に配置され、同様のヒューズボックスを取り付ける。ヒューズボックスを取付ブラケット206の近傍に配置することにより、アクセスパネル146を取り外し、ヒューズボックスにアクセスすることにより、作業者がヒューズを容易に交換可能にする。
【0038】
前方フレーム部182の上部アクセス開口(図6参照)212は、複数のファスナで固定されたカバー214で覆われている。また、カバー214は、ターン信号とインタフェースする電子モジュール216を支持し、ターン信号を誤ってオン状態に放置した場合に自動取消モジュールとして作用させる。電子モジュール216から後方へ延びるハーネス及び/又は付加部品は、複数のチャネル(又は凹部)220を有するハーネス管理部218によりオーガナイズされ、各種ハーネスを相互に離間した状態に保持する。
【0039】
前方フレーム部182のエア出口222(図6参照)は、エンジン124と流体連通しているシール224に連結され且つエアをエンジン124に供給する。また、前方フレーム部182の内部192と流体連通して、ドレインホース226が前方フレーム部182の前部に連結され且つクランクケースブリーズ(呼吸)用ホース228が前方フレーム部182の後部に連結されている。ドレインホース226は、ドレインプラグ230によりキャップされている。ドレインホース226は、エアボックス内に溜まった流体を排出するために使用される。クランクケースブリーズ用ホース228は、オイル蒸気及び/又は炭化水素等の移動ガスによりクランクケース内に蓄えられる圧力を下げて取り込みシステムへ戻すために使用される。
【0040】
次に、操縦(又は操舵)アセンブリ130を示す図8を参照して説明する。この操縦アセンブリ130は、ハンドル部材250及び左右グリップ252、254を含むハンドル132を含んでいる。この技術分野では周知の如く、左グリップ252及び右グリップ254は、コントロール用に構成され及び/又はエンジン124、トランスミッション及び/又は2輪車両100の前後ブレーキをコントロールする1以上の部品が関連付けられている。図8に示す如く、ハンドル132は、上ブラケット260を介して左右操縦ブレーキ256、258及び中央操縦カラム196に連結されている。
【0041】
中央操縦カラム196は、前方フレーム部182内でフォークジャーナル200を貫通している。左右操縦カラム256、258は、それぞれ前方フレーム部182の左側及び右側に配置されている。ここで、左側とは、鞍型シート102に前向きに跨り左側を意味し、右側とは、鞍型シート102に前向きに跨り右側を意味するものとする。
【0042】
また、下ブラケット262は、中央操縦カラム196と左右操縦カラム256、258を相互に連結する。上ブラケット260は前方フレーム部182の上に配置され、下ブラケット262は前方フレーム部182の下に配置されている。左右操縦カラム256、258は車軸264を介して前輪110に連結されている。更に、フェンダ266が、左右操縦カラム256、258に連結され且つ前輪110の上に配置されている。
【0043】
一実施例では、操縦アセンブリ130の一部は、少なくとも1個の燃料貯蔵タンク(図中には燃料貯蔵タンク272を示す)の前部の後方に配置されている。図10を参照して説明すると、2輪車両100の一実施例は、燃料貯蔵タンク272及び燃料貯蔵タンク274の2個の燃料貯蔵タンクを含む燃料貯蔵システム270を含んでいる。この燃料貯蔵システム270の詳細は、後述する。
【0044】
次に、図9を参照して説明すると、操縦アセンブリ130の一部は、燃料貯蔵システム270の燃料貯蔵タンク272の前部の後方に配置されている。操縦アセンブリ130は、底部276、中間部278及び上部280の3つの部分に分割してもよい。操縦組立体130の底部276は、燃料貯蔵タンク272の底面282の下へ延びる操縦アセンブリ130の一部分である。燃料貯蔵タンク272の底面282は、燃料貯蔵タンク272の最下部を通る水平面である。操縦アセンブリ130の上部280は、燃料貯蔵タンク272の上面284の上方へ延びる部分である。燃料貯蔵タンク272の上面284は、燃料貯蔵タンク272の最上部を通る水平面である。操縦アセンブリ130の中間部278は、燃料貯蔵タンク272の底面282と上面284との間の部分である。
【0045】
図9に示す如く、操縦アセンブリ130の底部276は、中間部278を介して操縦アセンブリ130の上部280に連結されている。中間部278は、少なくとも燃料貯蔵タンク272の前面288の後方に配置される部分を有する。更に、中間部278の部分286は、燃料貯蔵タンク272の後面290の前方に配置されている。燃料貯蔵タンク272の後面290は、燃料貯蔵タンク272の最後部を通る垂直面である。図示の実施例では、ハンドル132及び上ブラケット260間の連結は、前面288の後方且つ上面284の下方に配置されている。
【0046】
燃料貯蔵タンク272をその少なくとも一部が操縦アセンブリ130の中間部278の部分286の前方に配置することにより、2輪車両100の重心298(図1参照)を前へ移動するのを助ける。図示する実施例のような高速走行用2輪車両100では、車両の負荷の大部分は後輪112上にかかるのが一般的である。例えば、操縦者(オペレータ)及び/又は同乗者の負荷は、主として後輪112にかかる。更に、サドルバッグ176、178及び/又は取外可能トランク174(図1中の破線参照)内の荷物の荷重も、主として後輪112にかかる。負荷のより多くを前方へ移動させることにより、車両100の荷物運搬能力が増加でき、車両停止時に車両100を垂直状態に一層安定に保持可能にする。
【0047】
再度図1を参照して説明すると、2輪車両100の重心298を下げると共に前輪110の方向へ移動させるために採られた付加的なステップについて説明する。1例として、重心298を前方且つ下方へシフトするために、図1中に破線で示す車両100のバッテリ300の位置は、エンジン124の前方且つ前輪110の後方である。このバッテリ300は、車両100を電気的に始動させるパワーを供給すると共にエンジン124が動作していないとき車両100の各種のアクセサリ又はライトに電力を供給するために使用される。
【0048】
また、バッテリ300の位置は、このバッテリに容易にアクセス可能にする必要がある。車両100のボディパネルやシート102を取り外すことなくバッテリ300にケーブルを取り付け又は車両100から取り外しできなければならない。そのようにして、バッテリ300は、シート102又はボディパネルを取り外すことなくバッテリの充電又はジャンパを可能にする。
【0049】
1実施例では、車両100の重心298は、地面114から約487mm(19.17インチ)上方であり且つ車両100の燃料が満タンであるがトランク174、荷物及びオペレータ又は同乗者の重量を考慮に入れないと、前輪110の車軸264及び後輪112の車軸265(図5参照)を結ぶ線の中点の前方約3%である。よって、前輪110及び後輪112間の負荷は略平衡している。
【0050】
次に、図12を参照して説明すると、車両100の燃料貯蔵システム270は、従来の車両に比して前方へシフトされ、前輪110及び後輪112間での負荷の更なる平衡を支援する。図12に示す如く、右燃料貯蔵タンク272は前方フレーム部182の右側且つ前方フレーム部182の外側に配置され、左燃料貯蔵タンク274は前方フレーム部182の左側且つ前方フレーム部182の外側に配置される。右燃料貯蔵タンク272及び左燃料貯蔵タンク274は、前方フレーム部182により支持され、前方フレーム部182のエアチャネル192の周りに配置される。一実施例では、右燃料貯蔵タンク272及び左燃料貯蔵タンク274は、中心面116の周りで燃料負荷を平衡させるように配置されている。操縦組立体130は、右燃料タンク272及び左燃料貯蔵タンク274の間に配置される。一実施例では、右燃料タンク272及び左燃料貯蔵タンク274の一方又は両方の少なくとも一部分が前方フレーム部182の上部及び前方フレーム部182の底部の少なくとも一方とオーバーラップしている。
【0051】
次に、図10及び図11を参照して説明すると、右燃料貯蔵タンク272及び左燃料貯蔵タンク274は、上流体導管310及び下流体導管312を介して液連通状態である。燃料は、燃料貯蔵システム270から燃料ライン314を介してエンジン124に供給される。燃料ライン314は、右燃料貯蔵タンク272内に配置された燃料ポンプ316に接続されている。燃料ポンプ316は、燃料を右燃料貯蔵タンク272の内部から燃料ライン314を介してエンジン124にポンピングされる。一実施例では、燃料ポンプ316は一体の安全装置としてロールオーバーバルブが内蔵されている。また、燃料ポンプ316には、ベントライン324が接続され、フィルタ駆動チャコール(木炭)で満たされたキャニスタ(図示せず)に連結されている。
【0052】
図2に示す如く、車両100は、サイドスタンド320を含んでいる。他の同種車両と同様に、オペレータが車両100に着座していないとき、車両100は、前輪110、後輪112及びサイドスタンド320により支持される。その場合の一例は、オペレータが燃料貯蔵システム270に燃料を補給するときである。燃料貯蔵システム270に燃料を補給するには、燃料キャップ322を右燃料貯蔵タンク272から取り外す。そして、燃料を右燃料貯蔵タンク272に補給する。1実施例では、燃料貯蔵タンク272は、燃料キャップ322からタンク272内へ延びるフィルタネック(図示せず)を含み、燃料貯蔵タンク272及び274内に入れられる燃料の量を制御する。右燃料貯蔵タンク272内の燃料は、サイドスタンド320に支持されると車両100が左側に傾くために、ライン312を介して左燃料貯蔵タンク274内へ移動する。燃料が右燃料貯蔵タンク272から左燃料貯蔵タンク274へ移動すると、エアがライン310を介して左燃料貯蔵タンク272から右燃料貯蔵タンク274へ押し出される。
【0053】
1実施例において、燃料キャップ322は、蒸気及び圧力開放弁を含んでいる。この蒸気及び圧力開放弁は、燃料貯蔵タンク272、274内に好ましくない圧力変動が存在するのを阻止する。例えば、ライン324が詰まり且つ燃料ポンプ316がタンク272から燃料をポンプアウトし続けると、燃料キャップ322の蒸気及び圧力開放弁を介して燃料貯蔵タンク272内にエアを導入させないと燃料貯蔵タンク272が内破してしまう。
【0054】
次に、図5を参照して説明すると、スイングアーム380はピボットシャフト382を介して後方フレーム部184に回転可能に連結されている。スイングアーム380は、方向384へ下向きに回転して後方フレーム部184から遠ざかり、また方向386へ上向きに回転して後方フレーム部184に向かう。スイングアーム380は、左アーム390、右アーム392及び中間部394を含んでいる。後輪112は、左アーム390及び右アーム392間のエリア396及び中間部394の後方に受容されている。1実施例において、スイングアーム380は、一体鋳造品である。1例では、スイングアーム380は、ロストコア型プロセスにより鋳造される。
【0055】
上述した如く、後部サスペンション400が中間部394を介してスイングアーム380に連結されている。後部サスペンション400は図13乃至図15に図示されている。図13は、後方フレーム部184及びスイングアーム380の組立状態を図示している。更に、スイングアーム380に組み立てられた後輪112を図示する。1実施例では、後部車軸265は、クリップによりスイングアーム380に連結されている。
【0056】
更に、後方フレーム部184に取り付けられた支持ブラケット402が図示されている。この支持ブラケット402は、サドルバッグ176及び178及び2輪車両100の後部ボディのその他の部品を支持する。サドルバッグ176は、支持ブラケット402の左側部404で支持され、サドルバッグ178は、支持ブラケット402の右側部406で支持される。また、支持ブラケット402は、車両100の電子制御モジュール(以下、ECMという)405のヒートシンク(放熱部材)としても作用する。このECM405は、支持ブラケット402の中間部408に支持されている。
【0057】
図13に示す如く、後方フレーム部184及びスイングアーム380は、第1コネクションであるピボットシャフト382を介して回転可能に連結されている。第2コネクションは、後部サスペンション400を介して後方フレーム部184及びスイングアーム380間で行われる。1実施例では、スイングアーム380及び後部サスペンション400は、3箇所未満の位置でフレームに連結されている。1実施例において、スイングアーム380及び後部サスペンション400は、2箇所でフレームに連結されている。
【0058】
次に、図15を参照して説明すると、後部サスペンション400は、衝撃吸収部材410、プッシュロッド412及びコネクションリンク414を含んでいる。プッシュロッド412とコネクションリンク414の連結は、衝撃吸収部材410の動きを乗算計数でスケールして、スイングアーム380の動きと相関させる。
【0059】
図15に示す如く、コネクションリンク414は、ピボットピン416及び関連ベアリングを介して後方フレーム部184に回転可能に連結され、且つ水平軸420の周りを方向422、424へ回転可能である。プッシュロッド412は、ラバーブッシングに受容されたカプラ426を介してスイングアーム380に回転可能に連結され、且つカプラ428を介してコネクションリンク414に回転可能に連結されている。1実施例では、カプラ428は、球状ベアリングとボルト及びナットである。衝撃吸収体(緩衝部材)410は、ラバーブッシングに受容されたカプラ430を介してスイングアーム380に回転可能に連結され、且つカプラ432を介してコネクションリンク414に回転可能に連結されている。1実施例では、カプラ432は球状ベアリングとボルト及びナットである。図15に示す衝撃吸収体410は、スイングアーム380及び後方フレーム部184に略垂直方向に連結されている。1実施例では、衝撃吸収体410は、米国イリノイ州アディソン、ノースミッチェルコート140のKYBアメリカLLCから市販されている空気緩衝部材である。
【0060】
1実施例では、衝撃吸収体410は、空気調節により衝撃吸収する。図14を参照して説明すると、衝撃吸収体410は、図示のエアライン(空気用管)454に結合されたサスペンション調節器を有する。衝撃吸収体410内の空気量は、その衝撃吸収体410に空気を加え又はそれから空気を抜き去ることにより上下に調節可能である。1実施例では、空気取込弁456は、後部ボディワーク160内からアクセス可能である。オペレータは空気取込弁456を標準のエアコンプレッサに接続して衝撃吸収体410内の空気量を調節可能である。衝撃吸収体410内の空気量を調節可能にすることにより、オペレータは運搬する荷物の重量に応じて車両100の車高を調節可能にする。
【0061】
次に、図13Aを参照して説明すると、空気取込弁456は、サドルバッグ基部175内の開口181を介して延び、且つ例えばナットである留め具183によりサドルバッグ基部175に取り付けられる。サドルバッグ基部175は、支持ブラケット402及び後方フレーム部184に結合されている。開口181の位置は、図1に示すようにサドルバッグカバー179が閉位置のとき、サドルバッグカバー179により覆われる。そこで、オペレータは、開口181から延びる空気取込弁456にアクセスするには、サドルバッグカバー179を開くことになる。開口181を収納部177から離れた位置に設けることにより、オペレータは、荷物に邪魔されることなく且つ荷物を取り除くことなく空気取込弁456にアクセス可能である。
【0062】
図16Aを参照して説明すると、後部サスペンション400は、プッシュロッド412及びコネクションリンク414が車両100の中心面116と平行でない面内で移動するように構成されている。図示の実施例では、プッシュロッド412及びコネクションリンク414は、車両100の中心面116と直交する面内で移動する。1実施例では、プッシュロッド412及びコネクションリンク414は、車両100の中心面116と平行でない複数の面内を移動する。
【0063】
次に、図16乃至図19を参照して後部サスペンション400の動作を説明する。上述した如く、後部サスペンション400は、後部サスペンション400の移動範囲にわたり略一定の移動比を示す。1実施例では、後部サスペンション400は、プッシュロッド412及びコネクションリンク414が車両100の中心面116と平行でない面内を移動するが、後部サスペンション400の移動比は、後部サスペンション400の移動範囲にわたり線形の増加比又は後部サスペンション400の移動範囲にわたり略線形の減少比である。1実施例では、後部サスペンション400は、プッシュロッド412及びコネクションリンク414が車両100の中心面116と平行である面内を移動し、後部サスペンション400の動作比は後部サスペンション400の移動範囲にわたり略一定となるように構成されている。
【0064】
図16Aは、後部サスペンション400の伸長状態時における後方フレーム部184、スイングアーム380、後輪112及び後部サスペンション400の側面図である。図16Bは、図16Aの伸長状態時における後部サスペンション400を示す。一方、図17Aは、後部サスペンション400の中間移動状態時における後方フレーム部184、スイングアーム380、後輪112及び後部サスペンション400の側面図である。図17Bは、図17Aに示す後部サスペンション400の中間移動時における後部サスペンション400を示す。また、図18Aは、後部サスペンション400の圧縮状態時における後方フレーム部184、スイングアーム380、後輪112及び後部サスペンション400の側面図である。図18Bは、図18Aに示す圧縮状態時における後部サスペンション400を示す。本発明の1実施例では、後部サスペンション400は、約5インチ(約12.7cm)の移動長を有し、シート高さ(図21中のd1)は、最高約26.5インチ(約67.31cm)である。
【0065】
図16Bに示す伸長状態時において、衝撃吸収体410の長さ(L)は伸長状態である。衝撃吸収体410及びコネクションリンク414を連結する上部カプラ432は、プッシュロッド412及びコネクションリンク414を連結する上部カプラ428よりも一般的に高い。コネクションリンク414は、水平位置から方向422へ回転する。伸長状態は、車両100にオペレータが乗車せず且つ同乗者や荷物がない状態である。
【0066】
図17Bに示す中間移動状態では、スイングアーム380の上方への移動のために、衝撃吸収体410は圧縮され、その長さ(L)は伸長状態に比較して短くなる。1実施例では、衝撃吸収体410の下部は、スイングアーム380と一緒に上方へ移動し、衝撃吸収体410の上部は、コネクションリンク414の回転により下方へ移動する。これは、オペレータの乗車や荷物が加わるためである。衝撃吸収体410及びコネクションリンク414を連結する上部カプラ432は、伸長状態に比較して低く且つプッシュロッド412及びコネクションリンク414を連結する上部カプラ428は、伸長状態に比較して高い。コネクションリンク414は、伸長状態に対して方向424へ回転する。
【0067】
図16Bに示す圧縮状態時には、衝撃吸収体410の長さ(L)は中間移動状態時に比較して短い。これは、オペレータの乗車と荷物の搭載及び/又は更なる同乗者の乗車による。衝撃吸収体410及びコネクションリンク414を連結する上部カプラ432は、中間移動状態時に比較して低く且つプッシュロッド412及びコネクションリンク414を連結する上部カプラ428は、中間移動状態時に比較して高い。コネクションリンク414は、中間移動状態に対して方向424へ回転する。
【0068】
上述した如く、後部サスペンション400は、後部サスペンション400の全移動範囲で略一定の全移動比(モーションレシオ:MR)を有する。ここで、MRとは、後車軸265の移動量を衝撃吸収体410の移動量で除した値である。図19を参照すると、車両100の中心線面116と同じ面である側面図(図16A、図17A及び図18A)からの移動を検討すると、線450で表す如く、後部サスペンション400のMRは、移動量に応じて増加している。面内のみのMRを検討すると、後部サスペンション400のリンクを移動させるレバーアーム長(後方フレーム部184を有するスイングアーム380のピボットから後部車軸265までの水平距離)及びリンケージ動作するレバーアーム長(後方フレーム部184を有するスイングアーム380のピボットから衝撃吸収体及びスイングアームまでの直交距離)の比として計算される。1実施例では、側面図からのMRは、スイングアーム380の上方移動時には約10.3%である。
【0069】
これに対して、リンケージ、プッシュロッド412及びコネクションリンク414の運動は、約26%の逆行するMRとなるように構成されている。衝撃吸収体410の進行特性及び進行性面内MRと組み合わせるとき、略一定のMRが達成される。コネクションリンク414の形態及びピボット点(カプラ428、432)の配置により、リンケージのMRが決定する。1実施例では、カプラ428、430のピボット位置は、約1.5未満の略一定の総合MRとなるように設計される。図示の実施例では、カプラ428、430のピボット位置は、略0.5の総合MRとなるように設計され、この一定のMRがサスペンションの全範囲にわたり保証される。後部サスペンション400の総合MRは、図19中において線452で表される。
【0070】
総合MRの計算は以下のように実行可能である。MRは、以下の数式1で与えられる。
【0071】
(数1)
MR = Dshock/Daxle
ここで、Dshockは衝撃吸収体410の変位(長さの変化)であり、Daxleは後車軸265の変位である。
【0072】
衝撃吸収体410の変位は以下の数式2で与えられる。
【0073】
(数2)
Dshock=Dtop+Dbottom
ここで、Dtopは車両のシャーシ180に対する衝撃吸収体410の上端の変位であり、Dbottomは車両のシャーシ180に対する衝撃吸収体410の底の変位である。Dbottomは、以下の数式3で与えられる。
【0074】
(数3)
Dbottom=Daxle(Llinkage/Lswingarm)
ここで、Llinkageはスイングアームのピボットと衝撃吸収体間の直交距離であり、Lswingarmはスイングアームのピボットと後車軸の中心間の直交距離である。また、Dtopも以下の数式4で与えられる。
【0075】
(数4)
Dtop=Dbottom(Ls/Lp)
=Daxle(Llinkage/Lswingarm)(Ls/Lp)
ここで、Lsは衝撃吸収体410の軸とコネクションリンク414のピボット間の直交距離であり、Lpはプッシュロッドの軸とコネクションリンク414のピボット間の直交距離である。
【0076】
次に、数式3及び数式4を数式2に代入すると、Dは、以下の数式5a及び数式5bになる。
【0077】
(数5a)
Dshock=Daxle(Llinkage/Lswingarm)+
Daxle(Llinkage/Lswingarm)(Ls/Lp)
(数5b)
Dshock=Daxle(Llinkage/Lswingarm)(1+Ls/Lp)
更に、数式1で述べた如く、MRはDshockとDaxleの比であるので、MRは以下の数式6a及び数式6bで表すことができる。
【0078】
(数式6a)
Dshock/Daxle=(Llinkage/Lswingarm)(1+Ls/Lp)
(数式6b)
MR=(Llinkage/Lswingarm)(1+Ls/Lp)
図19のグラフは、数式1乃至数式6により作成可能である。再度、線450は、コネクションリンク414やプッシュロッド412がなく、且つ衝撃吸収体410の底部がスイングアーム380に且つその頂部がシャーシ180に連結されている場合における、MRの同じ面部の進行特性を示す。線452は、総合MRであり総合MRにおけるリンケージ成分を付加した効果を示す。図19のグラフに示す如く、同じ面のリンケージは進行型であるが、総合MRは移動範囲にわたり略一定である。1実施例では、MRが略一定であることは、乗り心地の快適さを示す好ましい特性である。
【0079】
1実施例では、2個の衝撃吸収体が後部サスペンション400の位置に使用されている。各衝撃吸収態は、スイングアーム380と後方フレーム部184に連結されている。
【0080】
次に、図21を参照して説明すると、後部サスペンション400の構造により、車両100のシート高さを下げることを可能にする。図21に示す如く、オペレータの乗車位置に対応するシート102の上面は、路面114からの距離がd1である。この距離d1は、オペレータの乗車によるクッションを与えるシート102の下に設けられたパッドの深さd2も考慮する。このパッドの例はフォームである。1実施例では、距離d1は約26.5インチ(約67.3cm)であり、距離d2は約4インチ(約10.2cm)である。また、体重が約180ポンド(約82Kg)のオペレータが車両100に乗車し、且つ荷物の搭載がない場合には、路面からのクリアランスd3は約5インチ(約12.7cm)である。1実施例では、オペレータ用シートの位置502の下部の上方における高さ(d1−d3)は最大約21.5インチ(約54.6cm)である。
【0081】
また、この後部サスペンション400の構造により、位置502におけるスイングアーム380の下方に排気システム500用の十分なクリアランスを有する。1実施例では、排気システム500は、エンジン124の後方から後輪112に向け且つ後輪112を車両100の第1側を通過して車両100の第2側へピボット軸382よりも低い位置へ延びる。
【0082】
次に、図20を参照して排気システム500について説明する。この排気システム500は、エンジン124の前シリンダに連結される前ヘッドパイプ504及びエンジン124の後シリンダに接続される後ヘッドパイプ506を含んでいる。前ヘッドパイプ504及び後ヘッドパイプ506は、各々溶接シールド508、510を有し、対応するヘッドパイプ504、506の外面を覆う。ヘッドパイプ504及び506は、クロスオーバー(合体)部512に連結されている。クロスオーバー部512は、右側マフラ514及び左側マフラ516に連結されている。右側マフラ514及び左側マフラ516は、それぞれ溶接シールド518及び520で覆われている。エンジン124からの排気は、ヘッドパイプ504及び506と連通し、更にクロスオーバー部512に連通する。次に、このクロスオーバー部512は、排気を外気と連通する右側マフラ514及び左側マフラ516に連通する。
【0083】
クロスオーバー部512は、右側マフラ514に連結された第1部分522及び左側マフラ516に連結された第2部分524を含んでいる。右側マフラ514は後輪112の右側に配置され、左側マフラ516は後輪112の左側に配置されている。第2部分524は、位置502を通ってスイングアーム380の下を通過する。
【0084】
1実施例では、車両100は、ティップオーバー(転倒対応)システム600を含み、車両100が略垂直位置から望ましくない転倒するのを防止する。種々の状態において、2輪車両はオペレータが不在又はオペレータに押されているとき転倒する虞がある。転倒すると、ミラーやボディパネル等の種々の部品に好ましくないダメージを生じさせることになる。
【0085】
図4を参照すると、このティップオーバーシステム600は、左後方転倒部602、左前方転倒部604、右後方転倒部606及び右前方転倒部608を含んでいる。右前方転倒部608は左前方転倒部604と鏡像関係であり、右後方転倒部606は左後方転倒部602と鏡像関係である。
【0086】
1実施例において、車両100は、垂直状態から右又は左側へ転倒時に、それぞれ右前方転倒部608及び右後方転倒部606により又は左前方転倒部604及び左後方転倒部602により支持される。右前方転倒部608及び右後方転倒部606と左前方転倒部604及び左後方転倒部602は、車両100に燃料が満タンであり且つ約65ポンド(約29.5Kg)の荷物を搭載時に、車両100を支持可能になるように設計されている。これら右前方転倒部608、右後方転倒部606、左前方転倒部604及び左後方転倒部602により、車両100がオペレータの脚上に倒れオペレータを車両100の下敷きにするのを防止する。
【0087】
図2を参照すると、左前方転倒部604は、フットレスト610の前方に配置されている。また、左前方転倒部604は、シャーシ180に支持されている。
【0088】
図22及び図23を参照すると、左後方転倒部602が図示されている。図23を参照すると、左後方転倒部602は、略水平に延びるウイング(翼)状の水平延長部620及びカプラ621を介して水平延長部(又はウイング)620に結合された略垂直延長支持部622を含んでいる。
【0089】
水平延長ウイング620は、スイングアームピボット軸382に連結され、スイングアームピボット軸382は、ファスナ624と協働して水平延長ウイング620を車両100の他の部分に連結するためのねじ切りされた端部を含む。垂直延長支持部622は、カプラ626により後方フレーム部184に連結されている。左後方転倒部602は、後方フレーム部184に固定され、スイングアーム380とともに移動することはない。
【0090】
また、水平延長ウイング620は、第2セットのフットレスト630としても機能し、車両100の同乗者が使用可能である。フットレスト630は、水平延長ウイング620の取付部634に受容されるカプラ632を介して水平延長ウイング620に回転可能に連結されている。
【0091】
図24を参照すると、ティップオーバーシステム600は、路面114に対して車両100を左又は右へ角度a1だけ傾けられるようにする。この角度a1で、前方流線形部132及びサドルバッグ176、178は、路面114又は前輪110、後輪112及びティップオーバーシステム600を除く車両100のその他の部分に接触しない。1実施例では、この角度a1は約46°である。
【0092】
図6を参照すると、前方フレーム部182はハンドル680を含んでいる。このハンドル680は、前方フレーム部182と一体鋳造された一部分である。ハンドル680は、走行中の車両100の安全のために使用可能である。1実施例では、ロープその他の拘束部材がハンドル680に又はその開口682を介して取り付けられ、車両100の走行を安全にしている。ハンドル680は、フォークジャーナル200の前方に配置されている。従って、車両100の拘束位置は、車両100の操縦軸の前方且つフェンダ266の上方である。
【0093】
次に、図25及び図26は、フット制御アセンブリ(足制御組立体)740を図示している。周知の如く、フット制御アセンブリは、ブレーキや(ギア)シフト等の2輪車の各種制御を行う。このフット制御アセンブリ740は、オペレータのサイズ(身体)に合わせて位置調節が可能である。
【0094】
このフット制御アセンブリ740は、カプラ745を介してフレーム部材744に取り付けられるサポート742を含んでいる。更に、このフレーム部材744は、付加フレーム部材を介して前方フレーム部182に支持されている。サポート742は、オペレータが足を乗せる上面748を有するフットレスト746を支持する。図示の実施例において、フットレスト746は、サポート742に回転可能に連結している。
【0095】
更に、サポート742は、マウント752を受容するチャネル(溝)750を含んでいる。マウント752及びチャネル750は、相補形状を有する。マウント752は、チャネル750内にスライド可能に受容され、方向754及び756の第1直線軸に沿って移動するように規制されている。1実施例において、これらの方向754及び756は、図26に示す如く、フットレスト746の上面748と平行である。
【0096】
サポート742及びマウント752は、各々位置決めシステム758及び760を有し、サポート742に対するマウント752の方向754及び756への位置を規制するために使用される。図示の実施例では、サポート742は位置決めシステム758用の複数の開口762A−Cを含み、マウント752は位置決めシステム760用の開口764を含んでいる。これら各開口762A−C及び開口764は、ねじ切りされたボルト764を受容する寸法であり、マウント752をサポート742へ連結する。ねじ切りされたボルト764は、マウント752の開口に設けられたねじと係合する。ディテント、クランプその他の適当な位置決めシステムを採用することも可能である。
【0097】
開口762A−Cは、サポート742に沿って、直線状に等間隔をあけて形成され、マウント752を方向754及び756に沿って移動させて(その後固定)可能にする所定の調節間隔を提供する。1実施例では、少なくとも2個の開口762が設けられている。また、1実施例では、開口762A−Cは、細長いスロットに置換され、サポート742に対するマウント752の方向754、756に沿う位置の自由度を改善する。
【0098】
フット制御レバー770が、ピボットピン772を介してマウント752に回転可能に連結されている。更に、ピボットピン772は、第2リンク776に回転可能に連結された第1リンク774に連結されている。第2リンク776は、制御レバー770で制御される車両100の他の部品に連結されている。これら他の部品の例として、トランスミッション及びブレーキを含んでいる。
【0099】
フット制御レバー770は、フットペグ778に連結されている。動作時に、オペレータは、フットレスト746の上面748に自分の足を乗せる。次に、オペレータは、足を動かしてフットペグ778を上又は下へ動かす。これにより、フット制御レバー770をピボット772に対して回転させると共に第1リンク774をピボットピン772に対して回転させる。第1リンク774の回転は、第2リンク776を方向754又は756へ移動させる。
【0100】
フットペグ778の位置は、マウント752をサポート742のチャネル750に沿って移動させることにより、方向754及び756に沿って調節可能である。これにより、フットペグ778をオペレータの脚の長さ及び足の大きさに適合するように調節可能にする。
【0101】
また、図25に示す如く、サイドスタンド320は、ボルト780及びナット782として示すカプラを介してフレーム部材744に連結される。サイドスタンド320は、フレーム部材744に回転可能に連結される。ボルト780は、フレーム部材744の開口784の内部に挿入される。
【0102】
車両100はウインドシールド148を含み、このウインドシールド148は空気流をオペレータから遠ざける。図27Aを参照すると、従来車両では、空気流はウインドシールド148の表面に当たり、その傾斜及び車両100の走行により、ウインドシールド148の表面に沿って上方へ移動する。この空気流は、ウインドシールド148の上端を越えると、オペレータの顔等に当たる。これは、オペレータにとり悪影響を及ぼす虞がある。
【0103】
次に、図27Bを参照すると、ウインドシールド148は、前方ウインドシールド部1100及び後方ウインドシールド部1102を含んでいる。1実施例では、前方ウインドシールド部1100はガラスやプラスチックの如き略透明材料により製造されている。空気流1104は、ウインドシールド148に当たり、その第1部分1110は、略前方ウインドシールド部1100の前面に沿って上方へ移動する。空気流1104の第2部分は、前方ウインドシールド部1100及び後方ウインドシールド部1102間を前方ウインドシールド1100の背面に沿って略上方へ移動する。前方ウインドシールド部1100の上端部1114において、空気流1104の第1部分1110及び第2部分1112が干渉する。第2部分1112の上方への運動により、合成された空気流1116を斜め上方へ移動させ、空気流1116をオペレータから遠ざける。
【0104】
図29を参照すると、前方ウインドシールド部1100は、サポートブラケット1120に取り付けられている。サポートブラケット1120は、リニアアクチュエータ(作動器)1126のそり状部1124に連結されたマウント1122に回転可能に連結されている。リニアアクチュエータ1126は、ねじ切りされたロッドを回転させるモータを含み、このロッドそり状部1124と係合してそり状部1124を方向1128及び1130へ移動させる。リニアアクチュエータ1126は、取付ブラケット206に支持され、そり状部1124を除き静止状態に保持される。1実施例では、リニアアクチュエータ1126は、静岡県浜松市中条のアサヒ電装(株)から市販されている。
【0105】
サポートブラケット1120もまたサポートロッド1132に連結されている1対のリンク1129及び1131に回転可能に連結されている。リンク1129及び1131は、サポートブラケット1120の開口1134及び1136に受容されているカプラ1133及び1135を介してサポートブラケット1120に回転可能に連結されている。サポートロッド1132は、取付ブラケット206に対して方向1140及び1142へ回転する。スプリング(ばね)として示すバイアス部材1144及び1146は、それぞれ取付ブラケット206及びリンク1129及び1131と相互作用してサポートロッド1132を方向1140へバイアスする。
【0106】
第2ウインドシールド部材1102は、取付ブラケット206に連結されている。リンク1129及び1131は、図30に示す如く、それぞれ第2ウインドシールド1102の開口1148及び1150を介して延びている。
【0107】
第2ウインドシールド1102は、取付ブラケット206に対して固定され静止している。第1ウインドシールド1100は、第2ウインドシールド1102に対して方向1128及び1130へ移動可能であり、(図28中に破線で示す)上位置1152及び(図28中に実線で示す)下位置1154間で移動する。図28に示す如く、第1ウインドシールド1100は、下位置1154のとき垂直に対して第1角度で傾斜し、上位置1152のとき第1角度より小さい第2角度で傾斜している。更に、第1ウインドシールド1100の上端位置は、この第1ウインドシールドが上位置1152及び下位置1154のとき垂直方向にアライメントされている。
【0108】
図示の例では、オペレータにより作動させられた入力からの入力が下位置1154からリニアアクチュエータ1126により受けられる。1実施例では、入力はハンドルに設けられたトグルスイッチである。リニアアクチュエータ1126のモータは、そり状部材1124を方向1130へ移動させる。これにより、サポート部材1122をも方向1130へ移動させる。その結果、リンク1129及び1131を方向1142へ回転させる。サポートブラケット1122が方向1130へ移動すると、第1ウインドシールド1100も方向1130へ移動する。
【0109】
図28を参照すると、1実施例では、第1ウインドシールド1100及び第2ウインドシールド1102は、下位置1154において相互に平行であり且つ相互に離間して第1ウインドシールド1100及び第2ウインドシールド1102間に空気流を生じさせる。1実施例では、第1ウインドシールド1100及び第2ウインドシールド1102は、下位置1154において取付ブラケット206の前面204に対して45°の角度で傾斜している。上位置1152では、第1ウインドシールド1100及び第2ウインドシールド1102は、更に離間し、一層多くの空気流を第1ウインドシールド1100及び第2ウインドシールド1102間に生じさせる。リンク1129及び1131の回転により上向きに傾く。これにより、上位置1152のとき、第1ウインドシールド1100は下位置1154にある第2ウインドシールド1102と平行ではなくなる。
【0110】
1実施例では、上位置1152における空気流の量は、図27Bに示す空気流1116を生じさせる十分な値である。これは、オペレータを気象条件から守る手助けをする。下位置1154における空気流の量は、図27Bに示す如き空気流1116を生じさせるには不十分である。むしろ、空気流1116はオペレータに向かい、オペレータを冷却する。
【0111】
次に、図31を参照すると、1実施例では、シザーリンク(鋏状リンク)1158により第1ウインドシールド1100をリニアアクチュエータ1126に結合する。図31に示す如く、3対のリンク1160A−B、1162A−B及び1164A−Bが2個のダイアモンド形状(菱形)を形成する。リンク1160A−Bは第1ピボット1166で回転可能に結合されている。リンク1160A−Bは、それぞれピボット1168A−Bでリンク1162A−Bに回転可能に結合されている。リンク1162A−Bは、それぞれピボット1172A−Bでリンク1164A−Bに回転可能に結合されている。リンク1164A−Bは、ピボット1174で回転可能に結合されている。
【0112】
図31に示す如く、ピボット1166は静止状態に保持される。ピボット1170はリニアアクチュエータ1126に結合され、矢印1128及び1130で示す方向に移動する。ピボット1174は、ウインドシールド1100に結合され、ピボット1170の移動に応じて方向1128及び1130へ移動する。シザーリンク1158は、ピボット1170の移動を増幅する作用を有する。リンク1160A−B、1162A−B及び1164A−Bの長さに基づき、方向1130へのピボット1174の移動は、ピボット1170の方向1130への移動よりも大きい。これにより、ウインドシールド1110の移動範囲を大きくすることができる。1実施例では、ピボット1170及びピボット1174の移動比は、1:2以上であり得る。1実施例では、ピボット1170及び1174の移動比は1:3より大きい。1実施例では、ピボット1170及び1174の移動比は、1:3.4125である。1実施例では、ウインドシールド1100の移動範囲は約203mmである。
【0113】
以上、本発明の好適な実施例について詳述した。しかし、斯かる実施例は本発明の単なる例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱することなく種々の変形変更が可能であることに留意されたい。
【符号の説明】
【0114】
100 2輪車両
102 サドルシート
110 前輪(接地部材)
112 後輪(接地部材)
124 エンジン
130 操縦(操舵)アセンブリ
148 ウインドシールド
160 後方ボディ部
174−178 収納部(ストレージコンパートメント)
179 カバー
180 フレーム
182 エアボックス
200 フォークジャーナル
202 エアフィルタ
206 ベース部材
266 フェンダ
270 燃料貯蔵手段
272 第1燃料貯蔵タンク
274 第2燃料貯蔵タンク
300 バッテリ
310 第2液導管
312 第1液導管
322 燃料キャップ
380 スイングアーム
382 ピボット軸
400 サスペンションシステム
410 衝撃吸収体
412 第1リンク
414 第2リンク
420 第1ピボット点
454 サスペンション調節器
500 排気システム
504 前方ヘッドパイプ
506 後方ヘッドパイプ
512 クロスオーバ部
514 第1(右側)マフラ
516 第2(左側)マフラ
600 ティップオーバ(転倒防止)システム
602、604、606、608 サポート部材
610 フットレスト
680 ハンドル
740 足制御システム
742 サポート
746 フットレスト
748 フットレストの上面
750 チャネル
764 カプラ
770 制御レバー
778 フットペグ
1100 前方(第2)ウインドシールド
1102 後方(第1)ウインドシールド
1104 空気流
1106 前方ウインドシールドの前面
1108 前方ウインドシールドの背面
1110 空気流の第1部分
1112 空気流の第2部分
1126 リニア駆動装置
1158 シザー状リンクシステム
1160、1162、1164 リンク
1166 静止ピボット
1168 ピボット
1170 駆動ピボット
1174 被駆動ピボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接地部材(110、112)、該複数の接地部材により支持されるフレーム(180)、該フレームにより支持されるストラドルシート(102)、前記複数の接地部材により支持されるコンポーネント、前記フレームにより支持される第1部材(742)、該第1部材により支持されるフットレスト、前記フレームにより支持され、前記第1部材及び前記フットレストに対して移動可能な第2部材(752)及び該第2部材に結合されると共に前記コンポーネントに動作上結合され該コンポーネントへの入力を提供する足作動型制御レバーを備え、
前記足作動型制御レバーの初期位置は前記第1部材に対する前記第2部材の位置に基づいてセットされ、前記初期位置は前記乗り手により選択可能であり、前記第1部材に対する前記第2部材の移動により、前記フットレストの前部に対する前記足作動型制御レバーの位置が変更されることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記第2部材は前記第1部材に対して移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第2部材は前記第1部材に対して第1線形軸に沿って移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記第1部材はチャネル(750)を含み、前記第2部材は前記第1部材の前記チャネル内に受容される第1部分(760)を含み、前記チャネルと前記第1部分は相補形状であるむことを特徴とする請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記足作動型制御レバーの初期位置は、前記第2部材の前記第1部材に対する予め決められた複数位置から選択されることを特徴とする請求項3に記載の車両。
【請求項6】
前記予め決められた複数位置は、直線に沿う離間した位置であることを特徴とする請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記第2部材の前記第1部材に対する前記予め決められた複数位置のうち選択された1つにおける前記第1部材に対し前記第2部材を固定するカプラ(764)を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の車両。
【請求項8】
前記第1部材はサポートであり、前記第2部材はマウントであり、前記足作動型制御レバーは前記マウントに回転可能に連結され、前記マウントは前記サポートに対して移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項9】
前記フットレスト(746)は前記サポートに回転可能に結合されていることを特徴とする請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記フットレストは上面を含み、前記マウントは前記フットレストの前記上面に対して平行方向へ移動可能であることを特徴とする請求項9に記載の車両。
【請求項11】
車両の足作動型制御レバー(770)のフットペグ(778)の位置を調節するフットペグ位置調節方法であって、
サポート(742)及び該サポート内に設けられたチャネル内で前記サポートに対して移動可能なマウント(752)を設けるステップと、
前記車両の前記足作動型制御レバーを前記マウントに結合するステップと、
前記マウントを前記サポートに対して移動させ前記フットペグを位置決めし、前記マウント及び前記サポートを一緒に固定するのに先立って、前記マウント及び前記サポートのチャネルにより、前記マウントが前記サポートに対して第1線形軸に沿って運動するように規制するするステップと、
前記マウント及び前記サポートを一緒に固定するステップと
を備えることを特徴とするフットペグ位置調節方法。
【請求項12】
前記足作動型制御レバーは前記マウントに回転可能にカップリングされていることを特徴とする請求項11に記載のフットペグ位置調節方法。
【請求項13】
前記サポート及び前記マウントは相補形状を含み、前記サポートに対する前記マウントの運動を第1線形軸に規制することを特徴とする請求項11に記載のフットペグ位置調節方法。
【請求項14】
前記マウントを前記サポートに固定可能な予め決められた複数の調節位置を設けるステップと、
前記予め決められた調節位置の第1位置を選択するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項11に記載のフットペグ位置調節方法。
【請求項15】
前記マウント及び前記サポートを一緒に固定するステップは、前記サポートに対する前記マウントの位置を前記第1位置に位置決めし、前記マウントを前記サポートに前記第1位置にファスナ(764)で位置決めすることを特徴とする請求項14に記載のフットペグ位置調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−121585(P2011−121585A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5915(P2011−5915)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【分割の表示】特願2009−546411(P2009−546411)の分割
【原出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(505035585)ポラリス インダストリーズ インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】