説明

車室構造

【課題】室内空間が充分に取れない縦二人乗りの新しい小型車などでリヤシートの乗員が開放感を感じることができるとともに、リヤシートに取り付けた乳幼児用拘束装置に乳幼児を着座させた場合であっても、乳幼児が視覚的な不快感を感じることがない車室構造を提供する。
【解決手段】シート2の上方の天井部30に、車室外の自然光を車室内に取り込み可能な透光部31を備え、シート2に着座した乗員の頭部を支持するヘッドレスト10を備えている車室構造であって、ヘッドレスト10は使用位置と天井部30側の非使用位置とにわたって位置変更自在に構成され、非使用位置のヘッドレスト10は透光部31の少なくとも一部分を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
シートの上方の天井部に、車室外の自然光を車室内に取り込み可能な透光部を備え、
前記シートに着座した乗員の頭部を支持するヘッドレストを備えている車室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内の乗員が開放感を感じることができるようにシートの上方の天井部にサンルーフや窓を設けた自動車がある(特許文献1参照)。
この種の自動車のうち、フロントシートの後方に1名の同乗者のみが着座可能なリヤシートを備えたコンパクトカーなどでは車幅方向の寸法を抑えてコンパクトな構造にすることができるが、リヤシートの乗員が左右を車室内の側壁に囲まれて閉塞感を感じる虞がある。
そこで、リヤシートの上方の天井部にもウィンドシールドやサンルーフなどの透光部を設け、車室外の自然光を室内に取り入れることで空間的な広がりを演出し、リヤシートの乗員ができるだけ開放感を感じることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−290175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記コンパクトカーのリヤシートに大人が着座する場合、大人は顔を前方に向けて座るので、シートバックにしっかりと背中をつけた状態であっても、天井部の透光部から入射した日光や外部の強い光で着座者が視覚的な不快感を感じることはない。
しかしながら、リヤシートに乳幼児用拘束装置(ベビーシートやチャイルドシートなど)を取り付けて乳幼児を着座させる場合、乳幼児用拘束装置は、乳幼児の腰が完全には据わっていないことや背中が立った状態の着座姿勢は不安定なことを考慮して、乳幼児をやや後方に寝かせた状態で着座させるように設計されているため、乳幼児は顔を上方に向けて座ることになり、前記透光部から入射した日光で乳幼児が視覚的な不快感を感じる虞がある。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、室内空間が充分に取れない縦二人乗りの新しい小型車などでリヤシートの乗員が開放感を感じることができるとともに、リヤシートに取り付けた乳幼児用拘束装置に乳幼児を着座させた場合であっても、乳幼児が視覚的な不快感を感じることがない車室構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
シートの上方の天井部に、車室外の自然光を車室内に取り込み可能な透光部を備え、
前記シートに着座した乗員の頭部を支持するヘッドレストを備えている車室構造であって、
前記ヘッドレストは使用位置と前記天井部側の非使用位置とにわたって位置変更自在に構成され、
前記非使用位置のヘッドレストは前記透光部の少なくとも一部分を覆う点にある。(請求項1)
【0006】
上記の構成によれば、本発明の車室構造は、シートの上方の天井部に、車室外の自然光を車室内に取り込み可能な透光部を備えているから、乳幼児用拘束装置(ベビーシートやチャイルドシートなど)を必要としない乗員に対しては開放感のある室内空間を提供できる。
一方、乳幼児用拘束装置をリヤシートに取り付ける場合は、ヘッドレストを前記天井部側の非使用位置に位置変更させることにより、ヘッドレストが日陰を作る庇の役割りを果たし、透光部からの強い光をヘッドレストで遮って強い光が乳幼児の顔に届くのを防ぐことができる。このように、ヘッドレストをサンシェードとして使用することができる。
また、ヘッドレストを前記天井部側の非使用位置に位置変更させることにより、乳幼児用拘束装置をリヤシートに取り付ける際にヘッドレストが邪魔になることがないので、乳幼児用拘束装置の取り付け・取り外しも容易になる。
さらに、自分で乳幼児用拘束装置への乗降が可能な子供の場合は、ヘッドレストを天井部側に移動させた状態で乗降することにより、乳幼児用拘束装置の上端部を手で掴むことができる空間が確保されるので、子供の乗降性も向上する。
また、前記シートがリヤシートであり、運転者のみ乗車してフロントシートに着座する際に、リヤシートのヘッドレストを非使用位置に設定して前記天井部に沿わせることで、リヤシートにISOFIXタイプやシートベルト固定式のチャイルドシートを取り付けてあるか否かにかかわらず、運転者の後方視界を確保することができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記非使用位置のヘッドレストは頭部支持面が車室内側を向くと、次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0008】
前記非使用位置のヘッドレストは頭部支持面が車室内側を向くから、車室内外観を自然な状態に保つことができる。(請求項2)
【0009】
本発明において、
前記非使用位置のヘッドレストは頭部支持面とは反対側の背面が車室内側を向くと、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0010】
前記非使用位置のヘッドレストは頭部支持面とは反対側の背面が車室内側を向くから、ヘッドレストの背面に乳幼児が好む絵柄を描いて前記背面が乳幼児に見えるようにすることができ、乳幼児に好ましい環境を与えることができる。従って、乳幼児が快適に乗車することができる。(請求項3)
【0011】
本発明において、
前記ヘッドレストは前記使用位置と非使用位置とにわたって位置変更自在に車体側の支持部材に支持され、
前記支持部材は前記使用位置のヘッドレストの上端部の後方に位置し、
前記ヘッドレストの上端部が、車両後方側ほど上方に位置するように傾斜した支持軸を介して前記支持部材に連結されるとともに、前記ヘッドレストが前記支持軸の軸芯周りに回転自在に構成され、
前記ヘッドレストが前記軸芯周りに回転することで前記使用位置と非使用位置との一方から他方に位置変更し、
前記非使用位置のヘッドレストが前記天井部に沿うと、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0012】
前記ヘッドレストが前記軸芯周りに回転することで前記使用位置と非使用位置との一方から他方に位置変更するから、ヘッドレストの位置変更機構を回転機構で構成することができて、簡素化できるとともに小型化でき、車室内の空間を広くすることができる。
さらに、位置変更機構の部品点数を削減でき、軽量化することができる。そして、ヘッドレストを前記使用位置と非使用位置との一方から他方に位置変更させる場合、ヘッドレストを支持軸の軸芯周りに回転させるだけでよく、ヘッドレストの位置変更操作を簡単に行うことができる。
また、前記支持軸は車両後方側ほど上方に位置するように傾斜しているから、ヘッドレストを前記軸芯周りに回転させることで、前記使用位置で略上下方向に沿っているヘッドレストを非使用位置で天井部に沿わせやすくすることができるとともに、前記非使用位置で天井部に沿っているヘッドレストを使用位置で略上下方向に沿わせやすくすることができる。(請求項4)
【0013】
本発明において、
前記ヘッドレストは前記使用位置と非使用位置の間の中間位置で車体側部の窓部を覆うと、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0014】
前記ヘッドレストは前記使用位置と非使用位置の間の中間位置で車体側部の窓部を覆うから、朝日や夕日など低い位置から浅い角度で差し込む日光についてもヘッドレストで遮って前記日光が乳幼児の顔に当たるのを防止できる。(請求項5)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、
室内空間が充分に取れない縦二人乗りの小型車などでリヤシートの乗員が開放感を感じることができるとともに、リヤシートに取り付けた乳幼児用拘束装置に乳幼児を着座させた場合であっても、乳幼児が視覚的な不快感を感じることがない車室構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】縦二人乗りの小型車の部分開放図(室内を見やすいように側部のドアや車体側壁を一部省略して示した縦二人乗りの小型車の部分開放図)
【図2】リヤシートの使用位置のヘッドレストを示す斜視図
【図3】リヤシートのヘッドレストの作用(作動)を示す斜視図(ヘッドレストの使用位置と非使用位置と中間位置を示す図)
【図4】ルーフリヤクロスメンバーによるヘッドレストの支持構造を車両後方側から見た斜視図(ルーフリヤクロスメンバーの内部を示す為、車両外側を覆うアウターパネル類は省略してある)
【図5】リヤシートのヘッドレストの支持構造を後ろ上方から見た斜視図(ヘッドレストが見える様に、天井部のサンルーフやシールドを省いてある)
【図6】図4のX−X断面図
【図7】リヤシートに取り付けた乳幼児用拘束装置に乳幼児を着座させた状態の車室構造を示す斜視図
【図8】ヘッドレストが非使用位置にある第1別実施形態の車室構造の斜視図
【図9】ヘッドレストが使用位置にある第2別実施形態の車室構造の斜視図
【図10】ヘッドレストが非使用位置にある第2別実施形態の車室構造の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1に、フロントシート1の後方に1名の同乗者のみが着座可能なリヤシート2を備えた縦二人乗りのコンパクトカーを示してある。フロントシート1に着座した乗員の頭部を支持するヘッドレスト7はシートバック6の上端部に連結されている。
一方、リヤシート2に着座した乗員の頭部を支持するヘッドレスト10は、図2,図3,図6にも示すように、使用位置(図3の実線で示すヘッドレスト10の位置)とルーフ30(天井部に相当)側の非使用位置(図3の二点鎖線で示すヘッドレスト10の位置)とにわたって位置変更自在に車体側のルーフリヤクロスメンバー20(支持部材に相当)に支持され、リヤシート2のシートバック4の上端から上方に離間している。
【0018】
また、前記コンパクトカーは、リヤシート2の上方のルーフ30に、車室外の自然光を車室内に取り込み可能なウインドシールド31(透光部に相当)を備えている。前記非使用位置のヘッドレスト10はルーフ30に沿う姿勢でウインドシールド31の透光面の後端部(透光部の一部分に相当)を車室内側から覆う。
【0019】
[ルーフリヤクロスメンバー20の構造]
ルーフリヤクロスメンバー20はルーフ30の後端部の左右一対の角部間に架設され、図4〜図6に示すように、縦断側面視で上端部側ほど車両前方側Frに位置する状態に傾斜して、前記使用位置のヘッドレスト10の上端部10Jの後方(車両後方側Rr)に位置している。ルーフリヤクロスメンバー20の幅方向の両端部20F(上端部と下端部)は車室外側にフランジ状に折り曲げられている。
【0020】
また、ルーフリヤクロスメンバー20の車幅方向中央部の車室外側の面20Nに補強材としての板状のリンフォース21が固着されて補強部35が形成されている。ルーフリヤクロスメンバー20の車室内側の面20Mは、縦断側面視でヘッドレスト10の上端部10Jとは反対側に凹む湾曲面に形成され、車室外側の面20Nは車室外側に凸の突曲面に形成されている。
【0021】
[ヘッドレスト10の構造]
フロントシート1のヘッドレスト7とリヤシート2のヘッドレスト10とは、シートバック6の上端部に対する連結部(フロントシート1の場合)とルーフリヤクロスメンバー20に対する連結部(リヤシート2の場合)との構造が異なっているが、残りの部分は互いに略同一構造に形成され、いずれもヘッドレストフレームと、ヘッドレストフレームに支持されるヘッドレストパッドと、ヘッドレストパッドを覆う表皮材とを備えて円盤状(正面視で円形)に形成されている。
【0022】
そして、図6に示すように、ヘッドレスト10の前半部10M(車両前方側Frの部分)が、車両前方側Frに向かって窄まる円錐台状に形成され、前面である頭部支持面12が、シート後方側(車両後方側Rr)に凹の球面状に形成されている。ヘッドレスト10の後半部10N(車両後方側Rrの部分)は部分球状に形成され、頭部支持面12とは反対側の背面13がシート後方側に凸の球面状に形成されて、ルーフリヤクロスメンバー20の車室内側の面20M(湾曲面)に沿っている。符号14は前記前半部10Mのテーパ状の周面である。
【0023】
[リヤシート2のヘッドレスト10の支持構造]
図4〜図6に示すように、車両後方側Rrほど上方に位置するように傾斜した段付きの支持軸23を介して、ヘッドレスト10の上端部10Jがルーフリヤクロスメンバー20の車幅方向中央部に連結されるとともに、ヘッドレスト10が支持軸23の軸芯O周りに回転自在に構成され、ヘッドレスト10が前記軸芯O周りに回転することで前記使用位置と非使用位置とにわたって位置変更自在に構成されている。
【0024】
前記支持軸23の一端部23B(図6参照)はルーフリヤクロスメンバー20の補強部35に挿通されて固定されている。補強部35と支持軸23は直交している。
【0025】
また、前記支持軸23の他端部23A(ヘッドレスト側の端部に相当)が回転自在に挿通される環状部材33がヘッドレスト10の上端部10Jに内蔵されている。前記環状部材33は、ヘッドレスト10の上端部10J側のヘッドレストフレームに固着され、ヘッドレスト10の上端部10Jの背面13側に位置している。前記支持軸23の他端部23Aが回転自在に挿通された環状部材33は、ヘッドレスト10の前記軸芯O周りの回転に伴って、支持軸23の他端部23Aに対して摺動しながら回転する。
【0026】
上記のように、前記ヘッドレスト10を前記軸芯0周りに回転させるための回転機構(位置変更機構)40は、支持軸23の他端部23Aを回転自在に挿通させる環状部材33をヘッドレスト10の上端部10Jに内蔵して構成されている。これにより、回転機構40を構成する環状部材33を隠すことができ、安全性を確保することができるとともに、外観品質を向上させることができる。また、環状部材33を隠すためのカバー等を新たに設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0027】
図6に示すように、前記使用位置のヘッドレスト10の上端部10Jの背面13は、ルーフリヤクロスメンバー20の車室内側の面20Mに対向している。また、前記非使用位置のヘッドレスト10は頭部支持面12が車室内側(下方)を向く。これにより、車室内外観を自然な状態に保つことができる。
【0028】
図3に示すように、ヘッドレスト10が使用位置から非使用位置に位置変更する場合、ヘッドレスト10は支持軸23の軸芯O周りに回転して車体側面側を通り(一点鎖線のヘッドレスト10)、ルーフ30側(二点鎖線のヘッドレスト10)に移動する。ヘッドレスト10は使用位置から前記軸芯O周りに180度回転して非使用位置に位置する。また、前記ヘッドレスト10は前記使用位置と非使用位置の間の中間位置(図3の一点鎖線で示すヘッドレスト10の位置)で車体側部の窓部70を覆う。
【0029】
非使用位置のヘッドレスト10の背面13はルーフ30に対向する。この様にヘッドレスト10をルーフ30側の非使用位置に配置することにより、シートバック4の上方のバックガラス11を遮るものが無くなる為、運転席の乗員からの後方視界を良好に保つことができる。そして、車室内の空間がヘッドレスト10で狭まるのを抑制することができる。
【0030】
前記ヘッドレスト10が前記使用位置と非使用位置と中間位置に位置した状態では環状部材33が支持軸23に摩擦保持されて使用位置と非使用位置と中間位置が決められる。摩擦保持以外の手段(例えばロック機構)で前記使用位置と非使用位置と中間位置を決めてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、
(1) 本発明の車室構造は、リヤシート2の上方のルーフ30に、車室外の自然光を車室内に取り込み可能なウインドシールド31を備えているから、乳幼児用拘束装置(ベビーシートやチャイルドシートなど)を必要としない乗員に対しては開放感のある室内空間を提供できる。
一方、図7に示すように、乳幼児用拘束装置50をリヤシート2に取り付ける場合は、ヘッドレスト10をルーフ30側の非使用位置に位置変更させることにより、ヘッドレスト10が日陰Sを作る庇の役割りを果たし、ウインドシールド31からの強い光をヘッドレスト10で遮って強い光が乳幼児60の顔に届くのを防ぐことができる。このように、ヘッドレスト10をサンシェードとして使用することができる。
また、ヘッドレスト10をルーフ30側の非使用位置に位置変更させることにより、乳幼児用拘束装置50をリヤシート2に取り付ける際にヘッドレスト10が邪魔になることがないので、乳幼児用拘束装置50の取り付け・取り外しも容易になる。
さらに、自分で乳幼児用拘束装置50への乗降が可能な子供の場合は、ヘッドレスト10をルーフ30側に移動させた状態で乗降することにより、乳幼児用拘束装置50の上端部を手で掴むことができる空間が確保されるので、子供の乗降性も向上する。
また、運転者のみ乗車してフロントシート1に着座する際、リヤシート2のヘッドレスト10を非使用位置に設定してルーフ30に沿わせることで、リヤシート2にISOFIXタイプやシートベルト固定式のチャイルドシートを取り付けてあるか否かにかかわらず、運転者の後方視界を確保することができる。
【0032】
(2) 前記ヘッドレスト10が支持軸23の軸芯O周りに回転することで前記使用位置と非使用位置との一方から他方に位置変更するから、ヘッドレスト10の位置変更機構を回転機構40で構成することができて、簡素化できるとともに小型化でき、車室内の空間を広くすることができる。
さらに、位置変更機構の部品点数を削減でき、軽量化することができる。そして、ヘッドレスト10を前記使用位置と非使用位置との一方から他方に位置変更させる場合、ヘッドレストを支持軸23の軸芯O周りに回転させるだけでよく、ヘッドレスト10の位置変更操作を簡単に行うことができる。
また、前記支持軸23は車両後方側Rrほど上方に位置するように傾斜しているから、ヘッドレスト10を前記軸芯O周りに回転させることで、前記使用位置で略上下方向に沿っているヘッドレスト10を非使用位置でルーフ30に沿わせやすくすることができるとともに、前記非使用位置でルーフ30に沿っているヘッドレスト10を使用位置で略上下方向に沿わせやすくすることができる。
【0033】
(3) 前記ヘッドレスト10は前記使用位置と非使用位置の間の中間位置(図3の一点鎖線で示すヘッドレスト10の位置)で車体側部の窓部70を覆うから、朝日や夕日など低い位置から浅い角度で差し込む日光についてもヘッドレスト10で遮って前記日光が乳幼児60の顔に当たるのを防止できる。
【0034】
[別実施形態]
(1) 図8に示すように、車幅方向に沿う横軸45の軸芯を回転中心とするヒンジ機構を用いて前記ヘッドレスト10を回転させることで、前記ヘッドレスト10を使用位置と非使用位置とにわたって位置変更自在に構成してもよい。符号Bは使用位置から非使用位置に向かうヘッドレスト10の回転方向を示している。
【0035】
(2) 図9,図10に示すように、縦断側面視でルーフリヤクロスメンバー20の周面に沿ってヘッドレスト10を往復摺動可能なレール機構を設け、ヘッドレスト10を前記周面に対して摺動させることで、ヘッドレスト10を使用位置と非使用位置とにわたって位置変更自在に構成してもよい。図10の符号Cは使用位置から非使用位置に向かうヘッドレスト10の位置変更方向(移動方向)を示している。
【0036】
(3) 折りたたみヒンジ機構を介してルーフリヤクロスメンバー20にヘッドレスト10を支持させ、ヘッドレスト10をルーフリヤクロスメンバー20に対して折り畳み、あるいは折り畳み解除することで、前記ヘッドレスト10を使用位置と非使用位置とにわたって位置変更自在に構成してもよい。
【0037】
(4) 本発明は、前記シートバック4を車両前方側Frに倒して荷室拡大を図るフォールディング機構を設けてある自動車にも適用することができる。
【0038】
(5) 前記非使用位置のヘッドレスト10が頭部支持面12とは反対側の背面13が車室内側を向くように構成してもよい。この構成によれば、ヘッドレスト10の背面13に乳幼児が好む絵柄を描いて、前記背面13が乳幼児に見えるようにすることができ、乳幼児60に好ましい環境を与えることができる。従って、乳幼児60が快適に乗車することができる。
【0039】
(6) 前記ヘッドレスト10内にサンシェード機構を組み込むことで乳幼児用拘束装置50の着用時に快適なリヤシート環境を確保することができる。
【0040】
(7) 前記ヘッドレスト10は、ルーフ30側に移動させた場合に、少なくともリヤシート2のシートバック4寄りの上方を覆う位置に配置されるようにし、ウィンドシールド31の全体を覆う大きさにしても良いが、乳幼児60の頭部の上方に位置するようにすれば、ウィンドシールド31の一部分を覆う程度の大きさであっても良い。
【符号の説明】
【0041】
2 シート(リヤシート)
10 ヘッドレスト
10J ヘッドレストの上端部
12 頭部支持面
13 頭部支持面とは反対側の背面
20 支持部材
23 支持軸
30 天井部(ルーフ)
31 透光部
70 車体側部の窓部
O 軸芯
Rr 車両後方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの上方の天井部に、車室外の自然光を車室内に取り込み可能な透光部を備え、
前記シートに着座した乗員の頭部を支持するヘッドレストを備えている車室構造であって、
前記ヘッドレストは使用位置と前記天井部側の非使用位置とにわたって位置変更自在に構成され、
前記非使用位置のヘッドレストは前記透光部の少なくとも一部分を覆う車室構造。
【請求項2】
前記非使用位置のヘッドレストは頭部支持面が車室内側を向く請求項1記載の車室構造。
【請求項3】
前記非使用位置のヘッドレストは頭部支持面とは反対側の背面が車室内側を向く請求項1記載の車室構造。
【請求項4】
前記ヘッドレストは前記使用位置と非使用位置とにわたって位置変更自在に車体側の支持部材に支持され、
前記支持部材は前記使用位置のヘッドレストの上端部の後方に位置し、
前記ヘッドレストの上端部が、車両後方側ほど上方に位置するように傾斜した支持軸を介して前記支持部材に連結されるとともに、前記ヘッドレストが前記支持軸の軸芯周りに回転自在に構成され、
前記ヘッドレストが前記軸芯周りに回転することで前記使用位置と非使用位置との一方から他方に位置変更し、
前記非使用位置のヘッドレストが前記天井部に沿う請求項1〜3のいずれか一つに記載の車室構造。
【請求項5】
前記ヘッドレストは前記使用位置と非使用位置の間の中間位置で車体側部の窓部を覆う請求項4記載の車室構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−86697(P2013−86697A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230426(P2011−230426)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】