説明

車止めブロック

【課題】車をオーバーランさせることなく確実に停車させる車止めの機能と、広告塔の機能の2つを備えた車止めブロックを提供することにある。また、耐久性、安全性、そしてデザイン性に優れ、かつ視認性の高い車止めブロックを提供することにある。
【解決手段】車両が駐車する場所に設置するゴム製の車止めブロックであって,上端部より下方にタイヤの当接する傾斜部が形成され、前記傾斜部の下部には車両のオーバーランを防止する垂直面が形成されていることを特徴とする。ゴムの使用により、タイヤが車止めブロックに当接したときの衝撃や騒音を最低限に抑えることができる。また、タイヤが当接する傾斜面の下部に垂直面があるため、車両のオーバーランを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が駐車する場所に設置する車止めブロックに関し、特に環境にやさしく(エコロジー)、安全であり、かつ車止めブロックの機能の他に、広告塔としての機能を備えた車止めブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
車止めブロックは、車を駐車させる場合に所定の停車位置でタイヤを車止めブロックに当接させて、これにより車を止めるものであり、駐車場や車庫に設置されている。
【0003】
車止めブロックは、大小様々な車を停車させるものであるから、その度に大きな衝撃を受ける。このため、プラスチックのような軽量物では容易に損傷、破壊されてしまい車止めとしての機能を果たすことができない。よって、一般的にはコンクリート製のブロックが用いられている。
【0004】
コンクリートブロックは比重が比較的大きいので適度の大きさで適当な質量が得られ、ブロックを配置しただけでも簡単には移動せず、路面に一部を埋め込んで用いれば十分に固定され、またコストも小さい。
【0005】
しかし、コンクリートブロックは材質が非常に硬いので、駐車場内を移動する歩行者、特に老人や幼児が転倒するなどして、硬いコンクリートのブロックに身体を打ちつけた場合に、大きな怪我に結びつくことも少なくない。このため、車止めブロックの材料としては、コンクリートよりも柔らかく、身体を強く打ちつけたとしても負傷する可能性の小さい材料、即ち衝撃緩衝性を備えたものを用いることが望ましい。
【0006】
コンクリートに代わる樹脂製の車止めブロックとして、下記特許文献1には、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合体を成形したものが記載されている。しかし、これらの樹脂もコンクリートに比較すれば柔らかいが、身体を強く打ちつけたときの負傷を防ぐという点では、衝撃緩衝性を備えた材料であるとは言えない。
【0007】
一方、車止めブロックが設置される駐車場には多くの人が出入りする。このため、例えばスーパや百貨店等の駐車場においては、そこに入居している店舗名、会社名や、販売商品等を明記した看板が設置されている。例えば、下記特許文献2では、業務時には看板や車寄せとして使用され、非業務時には車止めとして使用可能な看板兼車止めが記載されている。
【0008】
ここで、駐車場には複数の自動車を整列して駐車させるために、所定の間隔を開けて複数の車止めブロックが設けられている。かかる車止めブロックに看板としての機能を持たせることができれば、別途看板を設けずとも広告の機能を向上させることもできる。従来、車止めブロックは、あくまでも車が停止位置よりもオーバーランしないようにする機能のみであり、広告塔として機能を持った車止めブロックはこれまでに存在しない。
【特許文献1】特開2000−230220号公報
【特許文献2】特開2004−300905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、車止めブロックとしての本来の機能である、車をオーバーランさせることなく確実に停車させる車止めの機能と、広告塔の機能の2つを備えた車止めブロックを提供することにある。また、耐久性、安全性、そしてデザイン性に優れ、かつ視認性の高い車止めブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両が駐車する場所に設置するゴム製の車止めブロックであって、上端部より下方にタイヤの当接する傾斜面が形成され、前記傾斜面の下部に車両のオーバーランを防止する垂直面が形成されていることを特徴とする。ゴムの使用により、車両のタイヤが車止めブロックに当接したときの衝撃や騒音を最低限に抑えることができる。また、車両のタイヤが当接する傾斜面の下部に垂直面が形成されているため、車両のオーバーランを確実に防止することができる。
【0011】
前記傾斜面に広告スペースが設けられていることは好ましい。従来の車止めブロックは、車両のオーバーランを防止する機能しか持っていなかったが、前記傾斜面に店舗名や会社名等を記入する広告スペースを設けることにより、車止めブロックに広告塔としての機能を持たせることができる。
【0012】
前記ゴムの硬度が50度から70度の範囲にあることは好ましい。これにより、車止めブロックに衝撃緩衝性を持たせることができ、歩行者が転倒し、身体を強く打ちつけたとしても負傷リスクを最小限に抑えることができる。
【0013】
前記ゴムが古タイヤの再生ゴムであることは好ましい。これにより、環境に優しい(エコロジー)車止めブロックとすることができる。
【0014】
前記広告スペースににアルミ反射板が設けられていることは好ましい。これにより、歩行者や運転手の広告スペースへの注意度を向上させることができる。
【0015】
また、前記車止めブロックの外周の一部に反射部材を取付け、前記反射部材からの反射光により視認性を向上させることは好ましい。これにより、車両後退運転、他車両への追突回避、及び歩行者に注意を喚起することが可能となり、駐車場における車両の衝突や、歩行者が車止めブロックにつまずき、転倒することを防止できる。
【0016】
前記車止めブロックの底面に滑り止めパターンが形成されていることは好ましい。これにより、アンカーピン等の固定具によらず、例えば接着剤等により車止めブロックを地面に固定することができる。
【0017】
前記車止めブロックの内部に空洞部が設けられていることは好ましい。空洞部を設けることにより、車止めブロックの重量を軽減することができ、車止めブロックの設置の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、車をオーバーランさせることなく確実に停車させる車止めの機能と、広告塔の機能の2つを備えた車止めブロックを提供することができる。また、耐久性、安全性、そしてデザイン性に優れ、かつ視認性の高い車止めブロックを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面を参照して、本発明の車止めブロックの一実施形態である実施例について説明する。
図1は、本発明の一実施例である車止めブロック1の斜視図である。本発明の車止めブロックを古タイヤの再生ゴムを材料として製造することは好適である。再生する古タイヤの再生ゴムの硬度を50度以上70度以下とすることは好ましい。再生ゴムの硬度を70度以下とすることにより、車両のタイヤ当接時の衝撃を吸収することができ、また騒音を抑制することができる。一方、再生ゴムの硬度が50度以下になると摩耗が激しくなり、耐久性に問題が出るためである。また、再生ゴムの硬度が50度から70度の範囲にあれば、歩行者が転倒等により車止めブロックに衝突した場合でも、衝撃を十分に吸収することができ、負傷を最小限に食い止めることができる。
【0020】
この車止めブロック1の構造は、図1に示すように直方体の下部12と、その上面に4面が台形の形状の傾斜部からなる傾斜部13とで形成されている。また、傾斜部13の上面14は平面となっている。ここで、本発明の特徴とするところの一つは、傾斜部13の長手方向の面に会社名や店舗名、あるいは商品等の広告を表示する広告掲載部10が形成されていることである。
【0021】
広告掲載部10は、傾斜部13の表面から凹部となるように形成されており、車両のタイヤが傾斜部13に当接しても、直接広告掲載部10には接触しないように形成されている。広告掲載部10に広告内容(会社名、商品名、店舗名等)を表示したプレートを貼付、あるいは広告掲載部10に直接文字や絵柄を彫り込むことで、ユーザは車止めブロックを広告塔としても活用することができる。
【0022】
本実施例では、車止めブロック1の材料として古タイヤの再生ゴムを用いた。ここで使用した再生ゴムの硬度を70度以下としているので、広告掲載部10に広告内容を後から彫り込むことができる。なお、例えば金型プレスによる製造の場合には、金型に広告内容も形成することで、車止めブロックの製造時に広告内容も同時に作製するようにしても良い。
【0023】
本実施例では車止めブロック1の材料として古タイヤの再生ゴムを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、材料として天然ゴム、合成ゴム、その他これに類する材料を含むものであることはいうまでもない。
【0024】
車止めブロック1の内部には空洞部が形成されている。傾斜部13の内部に空洞部を設けることにより、傾斜部13が車両のタイヤと当接したとき、空洞部と共に全体が変形してタイヤの進行に対して抵抗する力を与えるためである。
【0025】
この車止めブロック1は、上面14からアンカーピンを打ち込み、地面に固定することができるように構成されている。車止めブロック1を設置する位置を決め、上面14からドリル等により底面15のアンカーホール15b(図4参照)まで穴を開け、そこにアンカーピンを打ち込み、地面に固定する。なお、アンカーピンを打ち込んだ後は、キャップ11によりアンカーピンをカバーする構造となっている。
【0026】
ここで、広告掲載部10にアルミプレート(アルミ反射板)を貼付しておくことは好ましい。古タイヤを材料とする再生ゴムを用いて製造した車止めブロックは黒色である。一方、広告掲載部10に白銀のアルミプレートを貼付すれば、コントラストの関係から、その視認性を一層高めることができるためである。また、アルミプレートは、耐食性、加工性に優れると共に、ステンレス等に比較すればコスト面においても優位性があり、好ましいためである。
【0027】
図2は、この車止めブロック1に車両のタイヤが当接した状態を示した図である。車止めブロック1は、その下部12が直方体であるため、傾斜部13が地面まで延びている従来の車止めブロックに比較して、車両のオーバーランをより確実に防止することができる。
【0028】
更に、下部12の短手方向の傾斜部には、例えば蛍光テープを貼付する反射部材貼り付け部16が形成されている。反射部材貼り付け部16に反射部材を貼り付けることにより、駐車場を移動する歩行者の視認性を高めることができる。その結果、例えばお年寄りや幼児が車止めブロック1につまずき、転倒する事故の確率を低減することができる。
【0029】
図3(a)は、車止めブロック1の長手方向の側面図である。この実施例における車止めブロック1の長手方向の幅は約550mm、下部12の高さは約45mm、傾斜部13の高さは約65mm、そして上面14の長手方向の幅は約405mmである。ここで、広告掲載部10は長さ387mm、高さ48mmである。
【0030】
図3(b)は、車止めブロック1の短手方向の断面図である。図3(b)に示すように内部には空洞部が形成されている。これにより、車両のタイヤが当接したときの衝撃を緩衝でき、かつ全体の重量の低減を図ることができる。
【0031】
図4は、車止めブロック1の底面15を示した図である。上面14からアンカーピンを打ったときには、アンカーホール15bを貫通し、地面に固定される。また、底面15には、図4に示すように点状突起15aが形成されており、かつ図4に示すようなパターンが形成されている。車止めブロック1の底面15をこのようなパターンとすることにより、底面15と地面との接着性が向上し、アンカーピンを用いずに、接着材だけによっても固定可能なものとしている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例である車止めブロックの斜視図
【図2】車止めブロックにタイヤが当接した状態を示した図
【図3】車止めブロックの長手方向の側面/短手方向の断面を示した図
【図4】車止めブロックの底面を示した図
【符号の説明】
【0033】
1…車止めブロック
10…広告掲載部
11…キャップ
12…下部
13…傾斜部
14…上面
15…底面
15a…点状突起
15b…アンカーホール
16…反射部材貼り付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が駐車する場所に設置するゴム製の車止めブロックであって、
上端部より下方にタイヤの当接する傾斜面が形成され、
前記傾斜面の下部に車両のオーバーランを防止する垂直面が形成されていることを特徴とする車止めブロック。
【請求項2】
前記傾斜面に広告スペースが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車止めブロック。
【請求項3】
前記ゴムの硬度が50度から70度の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の車止めブロック。
【請求項4】
前記広告スペースにアルミ反射板が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車止めブロック。
【請求項5】
前記車止めブロックの外周の一部に反射部材を取付け、前記反射部材からの反射光により視認性を向上させたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車止めブロック。
【請求項6】
前記車止めブロックの底面に滑り止めパターンが形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車止めブロック。
【請求項7】
前記車止めブロックの内部に空洞部が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車止めブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161908(P2009−161908A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339215(P2007−339215)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(508003871)有限会社サンセルフ (1)
【Fターム(参考)】