説明

車載オーディオ装置

【課題】車室内で芳香効果を発生させることができ、効果的に搭乗者の気分向上、及び改善を補助することができる車載オーディオ装置を提供する。
【解決手段】オーディオ回路を構成する複数の電子部品のうちの発熱部品107の放熱を行うためのヒートシンク108に接触するように、一定の熱が加えられた時に芳香効果を発生する芳香体109を内部に収容した収容器110を配置する。車載オーディオ装置101が動作すると発熱部品107が自己発熱した熱がヒートシンク108および収容器110を介して芳香体109に伝わり、芳香効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内で芳香効果を発生し、搭乗者の気分向上や改善を補助する車載オーディオ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の芳香発生装置として、芳香発生装置は、香料が含有された芳香体を加熱することにより、芳香体から香料を蒸散させて、芳香を発生させるためのものが知られている(例えば特許文献1参照)。
さらに、車載用芳香装置として、シガライタソケット及び端子部を介して車両から芳香装置に電力が供給され、その電力に基づいて、加熱手段は収容部を介して芳香剤を加熱芳香させるものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−263066号公報
【特許文献2】特開2002−186660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の従来の装置では、限られた車室内に芳香装置を設置するための専用のスペースが必要となり、さらに、芳香剤を加熱するためにシガライタソケットのような専用の電源接続部品が必要であるという課題があった。
【0004】
本発明は、車室内で芳香効果を発生させるために、既存の車載用オーディオとその熱源を利用することで、専用の部品、及び設置スペースを必要とせずに芳香効果を得ることができる車載オーディオ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車載オーディオ装置は、オーディオ回路を構成する複数の電子部品のひとつである発熱部品と、前記発熱部品に接触して前記発熱部品が発生した熱を放熱する放熱器と、前記放熱器に接触して前記放熱器が放熱した熱が熱伝導される収容器と、前記収容器に収容された芳香体とを備えた構成を有している。
【0006】
ここで、発熱部品とは、比較的大きな値の電流が流入する半導体素子からなる電子部品であって、通電すると自己発熱し、オーディオ装置を動作させる際には部品の発熱部分に放熱器を接触させて動作させる必要がある電子部品を指す。
【0007】
この構成により、既存の車載用オーディオが備える発熱部品が放出する熱を利用することができ、専用の部品および専用のスペースを必要とせずに車室内で芳香効果を発生させることができる。
【0008】
また、本発明の車載オーディオ装置は、前記オーディオ回路が配置される本体部と、前記本体部に着脱可能に設けられ自装置を操作するための操作部と、前記操作部と前記本体部とが着脱する前記本体部の面に設けられた挿排口と、前記挿排口を開閉するシャッタとを有し、前記シャッタを閉じたときに前記収容器と前記シャッタとが前記芳香体を密閉する構成を有している。
【0009】
この構成により、シャッタの開閉をユーザーが調整することで、芳香の拡散量を調整することができる。
【0010】
また、本発明の車載オーディオ装置は、前記放熱器は前記収容器を移動可能に保持する保持部を有し、前記収容器は、前記操作部が離脱して前記シャッタが開いた状態において前記挿排口から取出し可能に配置された構成を有している。
【0011】
この構成により、車載オーディオ装置の内部に配置された芳香体の交換を容易に行うことができ、使用者の好みに合わせた芳香作用を発生させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既存の車載用オーディオ装置を利用することで、芳香発生装置専用の電源、及び設置スペースを必要とすることなく車室内で芳香効果を発生させることができ、効果的に搭乗者の気分向上、及び改善を補助することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る車載オーディオ装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の外観図である。図1に示すとおり、車載オーディオ装置101はその前面に操作部102が配置され、その奥側に設けられた本体部103を有している。すなわち、車載オーディオ装置1は所謂デタッチャブル構造を有していて、車載オーディオ本体部103から操作部102を取り外すことができる。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態における車載オーディオ装置において操作部をはずした状態における構成を示す図である。図2に示すように、操作部102が本体部103に着脱可能な構成となっているが、例えば操作部102と本体部103とは図示していないコネクタなどにより、電気的に接続されている。
【0016】
そして、図2に示すとおり、操作部102の背面側であり、本体部103の面のうちの操作部102と本体部103とが着脱する面に、後述する芳香体109が収容される収容器110を本体部103の内部へ挿入するための(あるいは内部に挿入された収容器110を外部へ排出するための)挿排口111と、この挿排口111を開閉するシャッタ112が設けられている。本実施の形態においては、シャッタ112はユーザの手動操作によって横方向に左右にスライド可能に設けられているが、上下にスライドして挿排口111を開閉するようにしても良く、また、電動で開閉するように構成しても良い。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の内部構成図である。図3に示すように、本体部103の内部には、ラジオ受信機104やCDプレーヤ105が設けられ、それらの機能を制御するために設けられたマイコンや各種制御ICなどの電子部品が取付けられた回路基板106が、車載オーディオ本体部103を取り囲む筐体103aにビス止めや半田付けなどによってそれぞれ固定されている。
【0018】
図4は、本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の回路基板の構成を示す図である。
【0019】
図4に示すように、回路基板106には、オーディオ回路としての、車載オーディオ装置101の全体を制御するためのマイコンやICあるいはその周辺回路に用いる電子部品、さらにはラジオ受信機104が実装されているほか、CDプレーヤ105や他の外部機器との電気接続のためのコネクタなども実装されている。
【0020】
回路基板106には、上述の電子部品を用いて、ラジオやCDの音声出力の際に、ラジ
オ受信機104やCDプレーヤー105などの機能を制御する回路へ電源を供給するための電源回路や、ラジオやCDの音声を出力する際に増幅するための音声増幅回路などが構成されている。
【0021】
電源回路や音声増幅回路に用いられる電子部品のひとつに、電源回路や音声増幅回路の性質上、比較的大きな値の電流が流入する半導体素子からなり、通電すると自己発熱する、いわゆる発熱部品107がある。この発熱部品107を用いて車載オーディオ装置101を動作させる際には部品の発熱部分に放熱器としてのヒートシンク108を接触させて動作させる必要がある。そのため、図4に示すように発熱部品107から発生する熱を吸熱及び放熱するヒートシンク108は、半田付けやビス止めにより回路基板106に実装されている。
【0022】
本実施の形態の車載オーディオ101は、車載オーディオ101を搭載する車両の車室内で芳香効果を発生させるために、芳香体109を車載オーディオ101の内部に交換可能に備えている。具体的には、例えばゲル状などのやわらかい固体からなる芳香体109が金属製の収容器110に収容され、発熱部品107が放出した熱がヒートシンク108を介して伝導されるようにヒートシンク108と収容器110とが接触した状態にて車載オーディオ装置101内部に配置されている。
【0023】
以下に、図5および図6を用いて芳香体109、収容器110、ヒートシンク108の構造についてその詳細を説明する。図5は本発明の実施の形態における車載オーディオの芳香体の収容器の外観図である。図6は本発明の実施の形態における車載オーディオのヒートシンクの外観図である。
【0024】
図5に示すように、本実施の形態において芳香体109は直方体の形状をしている。芳香体109は直方体の形状を保っているものの、ゲル状のやわらかい物質であるため、さらには、芳香体109に対して全体的に熱を加えるため、芳香体109の側面および図5の紙面に向かって奥側の面を覆うように金属性の材質からなる収容器110がその内部に芳香体109を収容する。ただし、詳細は後述するが芳香体109の交換のため、および芳香体109からの芳香効果(芳香の拡散)量を調整することができるように、収容器110を構成する面のうち、図5の紙面に向かって手前側の面は開いた状態になっている。
【0025】
発熱部品107の放熱に用いられるヒートシンク108は、図6に示すように発熱部品107が取付けられる面とは反対の面に芳香体109を収容した収容器110が載置できるように保持部108aが収容器110の底面と接触するように設けられ、さらに、ヒートシンク108は、収容器110を前後方向(図4において紙面に向かって垂直な方向)にスライド(移動)可能にガイドするために収容器110の側面と接触するガイド部108bが設けられている。すなわち、ヒートシンク108は直方体の収容器110の3面に接触するように断面コ字状に形成されて収容器110を保持している。
【0026】
さらに、ヒートシンク108の保持部108aは、次のように設定されている。すなわち、芳香体109を収容した収容器110がヒートシンク108に保持された状態において、収容器110が成す面のうち図5の紙面に向かって手前側の面と図2に示す挿排口111とが合致するように保持部108aの高さ位置が設定されている。これにより、挿排口111が開いた状態において収容器110を車載オーディオ装置101の内部へ収容する、あるいは車載オーディオ装置110の内部から外部へ取り出すことが容易にできることとなる。
【0027】
また、挿排口111は、図2に示すとおり、収容器110が成す面のうち図5の紙面に向かって手前側の面と同じ四角形の形状をしている。図7に示すとおり、この挿排口11
1の四角形を成す4辺のうち、シャッタ112が移動して通過する1辺(図2において左側の側辺)を除いた3辺からは、収容器110を囲うように平面が延在している。
【0028】
また、シャッタ112にもシャッタ112を閉めた状態において収容器110の左側の側面と接触する平面が設けられている。これにより、シャッタ112を完全に閉めた状態においては、収容器110の4つの側面の挿排口111付近がそれぞれの平面と接触したうえでシャッタ112が芳香体109を密閉することになるので、車載オーディオ装置101の本体部103の筐体103aに設けられたCD挿排口や他の放熱用の通気口などから芳香が拡散することがなくなる。
【0029】
次に、本実施の形態の車載オーディオ装置101において、芳香体109を加熱し芳香効果を発生させる作用について説明する。
【0030】
上述したとおり、回路基板106に実装された電子部品のうち、発熱部品107は、ラジオやCDなどの音声出力の際に、ラジオ受信機104やCDプレーヤー105などを制御する回路への電源生成や、音声の増幅をすることにより発熱する。
【0031】
発熱部品107はヒートシンク108とビス止めされることなどによって互いに接触しており、発熱部品107から発生した熱は、熱伝導によりヒートシンク108に伝わり放熱されると共に、発熱部品107の熱を吸熱することで、ヒートシンク108は加熱されて熱を帯びた状態となる。
【0032】
芳香体109は、例えば家庭用の芳香剤などの、一般的に使用されているゲル状のものを用いているが、固形粒子状の芳香体を用いてもよい。これらの芳香体109は、一定の熱が加えられた時に芳香効果を持つものである。
【0033】
図5に示すように、芳香体109は、収容器110の内部と接触する形で収容されており、収容器110はヒートシンク108と接触している。したがって、ヒートシンク108が発熱部品107の発熱により熱を帯び、その熱が伝導されて収容器110も熱を帯びた際には、熱伝導により芳香体109も加熱される状態になる。
【0034】
すなわち、収容器110は加熱されたヒートシンク108と接触することにより、熱伝導によって加熱された状態になる。加熱された収容体110内部に収容された芳香体109にも一定の熱が加わることで、芳香効果が発生することとなる。
【0035】
次に、本実施の形態の車載オーディオ装置101の内部に配置された芳香体109が収容された収容器110の交換方法について説明する。
【0036】
車載オーディオ装置101を構成する操作部102は、デタッチャブル構造となっており、操作部102と本体部103とが着脱可能な構成となっていて、使用者がCDのディスクを挿入する時に操作部102を離脱させる(はずす)ことにより車載オーディオ装置101の本体部103が使用者に向けて見える状態になる。
【0037】
この状態において、車載オーディオ装置101の本体部103前面に設けられたシャッタ12を左へ向けてスライドさせることで挿排口を開けて、使用者は挿入口111からヒートシンク108の保持部108aに載置された収容器110をガイド部108bのレールにガイドされて収容器110を取り外すことが可能である。また、取り外した収容器110を本体部103の内部へ装着する際も、同様に挿排口111からガイド部108bを通じてヒートシンク108の保持部108aに定置させることが可能である。
【0038】
また、使用者はこの収容体挿入口111から、芳香作用の異なる香料を含んだ芳香体109を収容した収容器110を挿入することにより、使用者の要求に合わせて、芳香体109を自由に交換することができる。
【0039】
次に、車載オーディオ装置101によって発熱部品107が自己発熱し、その熱がヒートシンク108および収容器110を介して収容器110の内部の芳香体109に伝導することで芳香体109に一定量の熱が加えられ、芳香体109が蒸散可能となった状態での、芳香効果の切り替えについて説明する。
【0040】
芳香効果の切り替え、すなわち香料の蒸散量を切り替える手段として、上述したとおり、車載オーディオ装置101には、本体部103の筐体103aに形成された挿入口111を開閉可能に設けられたシャッター112を有している。
【0041】
使用者が車載用オーディオ装置101の操作部102を本体部103から離脱して、シャッタ112を開けることにより、芳香体109の香料が拡散する。この際、使用者がシャッタ112の開き度合いを調節して挿入口111の開閉量を調整することによって、香料の拡散量を調整し、車室内への芳香効果を調整することができる。
【0042】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態によれば、芳香体109が収容された収容器110を発熱部品107の放熱を行うヒートシンク108に接触させて配置することにより、車室内で芳香効果を発生させるための専用の部品、及び設置スペースを必要とせずに芳香効果を得ることができる車載オーディオ装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明にかかる車載オーディオ装置は、芳香発生装置専用の電源、及び設置スペースを必要とすることなく車室内で芳香効果を発生させることができ、効果的に搭乗者の気分向上、及び改善を補助することができるという効果を有し、搭乗者の気分向上や改善を補助する車載オーディオ装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の外観図
【図2】本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の操作部をはずした状態における構成図
【図3】本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の内部構成を示す図
【図4】本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の回路基板構成図
【図5】本発明の実施の形態における車載オーディオの芳香体を収容する収容器の外観図
【図6】本発明の実施の形態における車載オーディオのヒートシンクの外観図
【図7】本発明の実施の形態における車載オーディオ装置の挿排口の構成図
【符号の説明】
【0045】
101 車載オーディオ装置
102 操作部
103 本体部
103a 筐体
104 ラジオ受信機
105 CDプレイヤ
106 回路基板
107 発熱部品
108 ヒートシンク
108a 保持部
108b ガイド部
109 芳香体
110 収容器
111 挿排口
112 シャッタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ回路を構成する複数の電子部品のひとつである発熱部品と、
前記発熱部品に接触して前記発熱部品が発生した熱を放熱する放熱器と、
前記放熱器に接触して前記放熱器が放熱した熱が熱伝導される収容器と、
前記収容器に収容された芳香体とを備えた車載オーディオ装置。
【請求項2】
前記オーディオ回路が配置される本体部と、
前記本体部に着脱可能に設けられ自装置を操作するための操作部と、
前記操作部と前記本体部とが着脱する前記本体部の面に設けられた挿排口と、
前記挿排口を開閉するシャッタとを有し、
前記シャッタを閉じたときに前記収容器と前記シャッタとが前記芳香体を密閉することを特徴とした請求項1に記載の車載オーディオ装置。
【請求項3】
前記放熱器は前記収容器を移動可能に保持する保持部を有し、
前記収容器は、前記操作部が離脱して前記シャッタが開いた状態において前記挿排口から取出し可能に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の車載オーディオ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−228589(P2010−228589A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78427(P2009−78427)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】