説明

車載メーターパネルシステム

【課題】車載メーターの視認性を安定させることが可能な車載メーターパネルシステムを提供する。
【解決手段】正面入射光センサ10が運転者に対する入射光を検出し、背面入射光センサが表示部70の表示面に対する入射光を検出し、表示制御部100aが、これらの入射光に応じて、表示部70に表示される情報の視認性が損なわれないように、表示デザインやバックライト照度を動的に変更して表示を行うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車などの車両に搭載する車載メーターパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車などの車両には、速度計や回転数計、距離計などのメーターを搭載しており、運行状態を運転者が把握できるようになっている。また近時、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの普及に伴い、これらの表示装置が自動車向けのメーターパネルにも適用されるようになった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、従来のメーターパネルは、ヘッドライトやポジションランプの点灯に連動して、メーターパネルを照明し、視認性の向上を図っている。これは、車外灯を点灯する際は、車内の照度が低下していることを想定し、メーターパネルが視認しやすいように照明するものである。
【0004】
しかしながら、実際の運行環境にあっては、天候などの外的環境に左右される要素などもあって、車外灯の点灯タイミングと、車内照度は必ずしも一致しない。例えば、朝方や夕方などにおいては、太陽高度の関係から車内に太陽光が入射しやすくなるが、入射方向によっては必ずしもメーターパネルの照明は必要なかったりする。また事故防止の観点から昼間でもヘッドライトなどを点灯する機運もあり、必ずしも車内照度と車外灯の点灯タイミングは一致しない。これらの要因により、従来は、車載メーターの視認性の改善に対する要望が少なくなかった。
【特許文献1】特開2004−237844
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の車載メーターは、視認性の改善に対する要望が高かった。
この発明は上記の要望に応えるべくなされたもので、車載メーターの視認性を安定させることが可能な車載メーターパネルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、計器表示を行う表示手段と、運転者に向けて入射する光を検出する第1光検出手段と、表示手段が表示を行う部分に入射する光を検出する第2光検出手段と、第1光検出手段の検出結果と第2光検出手段の検出結果とに応じて、表示手段が表示する計器表示のデザインを変更する表示制御手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0007】
以上述べたように、この発明では、運転者に向けて入射する光を検出する第1光検出手段と、表示手段が表示を行う部分に入射する光を検出する第2光検出手段とを備え、これらの検出結果に応じて、表示手段が表示する計器表示のデザインを変更するようにしている。
【0008】
したがって、この発明によれば、車内に入射する光の向きに応じて表示デザインを変更することができるので、車載メーターの視認性を安定させることが可能な車載メーターパネルシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる車載メーターパネルシステムの構成を示すものである。この車載メーターパネルシステムは、例えば自動車などに搭載されるものであって、正面入射光センサ10と、背面入射光センサ20と、車外灯30と、操作部40と、制御バス50と、インタフェース(I/F)60と、表示部70と、バックライト80と、記憶部90と、制御部100とを備える。
【0010】
正面入射光センサ10は、例えば図2に示すように、フロントガラスの直下にダッシュボード上に設置され、車両の進行方向から運転者に対して入射する光(以下、正面入射光と称する)の量を検出するものである。
【0011】
背面入射光センサ20は、例えば図2に示すように、後述する表示部70の表示面上もしくは表示面の近傍に設けられ、この表示面に対して入射する光(以下、背面入射光と称する)の量を検出するものである。なお、図2は、運転席を中心とした車内を示すものであって、ハンドルについては、背面入射光センサ20の搭載位置をわかりやすくするために、一部を省略して図示している。
【0012】
車外灯30は、車両の外部に備えられるヘッドライトやポジションランプなどである。 操作部40は、運転者からの要求を受け付けるものである。
制御バス50は、車両の各センサの検出結果を制御部100に伝送したり、あるいは各部を制御するための制御信号を伝送するための制御バスである。各部をそれぞれ専用線で直結させるワイヤハーネスを代用するようにしてもよい。
【0013】
インタフェース(I/F)60は、制御バス50と制御部100との間のインタフェースであって、例えば制御バス50を通じて各センサなどから伝送された情報を取得して制御部100に出力し、また制御部100からの制御信号を制御バス50を通じて所望の機器宛てに出力する。
【0014】
表示部70は、LCD(Liquid Crystal Display)などを表示パネルとして用いた表示手段であって、速度計、回転計、燃料計、水温計、距離計などの計器表示や、警告灯などの車両の運行状況に応じた車両情報をユーザに対して映示するものである。
バックライト80は、上記表示部70の表示パネルの背面から照明を行うものである。なお、表示部70に有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを採用する場合には、必要としない。
【0015】
記憶部90は、制御部100の制御プログラムや制御データを記憶するものである。また記憶部90は、上記表示部70で表示する車両情報の表示デザインのデータを複数種記憶するとともに、これらの表示デザインのデータのうち、いずれを用いているかを示す表示設定データを記憶する。
【0016】
制御部100は、当該車載メーターパネルシステムの各部を統括して制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphic Processing Unit)などを搭載する。また制御部100は、表示制御部100aを備える。
【0017】
この表示制御部100aは、記憶部90に記憶されるデザインデータに基づいて、速度計、回転計、燃料計、水温計、距離計などの計器表示や、警告灯などの車両の運行状況に応じた車両情報を表示部70に表示し、運行状況に応じた速度、エンジン回転数、燃料の残量、水温、運行距離などを動的に変化させて表示する。
また表示制御部100aは、前述した各種センサの検出結果に応じて、記憶部90に記憶されるデザインデータを選択し、この選択したデザインデータに基づいて上記車両情報を表示する機能を備える。
【0018】
次に、上記構成の車載メーターパネルシステムの動作について説明する。図3は、表示制御部100aによって為される表示部70に対する表示制御を説明するためのフローチャートである。この処理は、表示制御部100aが、記憶部90に記憶される制御プログラムや制御データにしたがった処理を実施することにより実現し、エンジンの始動と共に開始される。なお、エンジンの始動よりも前に、運転者の搭乗を検出した際に開始するようにしてもよい。
【0019】
まずステップ3aにおいて表示制御部100aは、正面入射光センサ10の検出結果を参照し、正面方向から予め設定した閾値を超える量の光が入射しているか否かを判定する。ここで、正面方向から予め設定した閾値を超える量の光が入射している場合には、ステップ3bに移行し、一方、上記量の光が入射していない場合には、ステップ3eに移行する。
【0020】
ステップ3bにおいて表示制御部100aは、正面入射光センサ10の検出結果に基づいて、正面方向から予め設定した閾値を超える量の光が、予め設定した時間以上、継続して入射しているか否かを監視し、判定する。ここで、予め設定した時間以上、継続して入射していることを検出した場合には、ステップ3cに移行し、一方、予め設定した時間以上、継続して入射しなかった場合(入射が途切れた場合)には、ステップ3aに戻る。
【0021】
ステップ3cにおいて表示制御部100aは、記憶部90が記憶する表示設定データを参照し、現在の表示設定が正面入射用の表示設定が為されているか否かを判定する。ここで、現在の表示設定として、正面入射用の表示設定が為されている場合には、ステップ3aに移行し、一方、正面入射用の表示設定が為されていない場合には、ステップ3dに移行する。
【0022】
ステップ3dにおいて表示制御部100aは、記憶部90から正面入射用の表示デザインのデータを読み出し、この表示デザインに基づく表示を表示部70に行うとともに、上記データに基づいてバックライト80の明るさを調整し、ステップ3aに移行する。なお、正面入射用の表示デザインのデータは、運転者に対して入射光がある場合でも、表示部70の表示が見やすくなるように設定されたデータであって、例えば、配色の設定を通常の設定に比べて相対的にコントラストが高くなるようにしたり、バックライトの設定を通常の設定に比べて相対的に明るく設定する。ここで、表示デザインの切り替えやバックライト照度の変更が運転者に違和感を与えないように、変更の開始から終了までの間に中間色などを用いるなどして段階的に遷移させて変更するようにする。
【0023】
ステップ3eにおいて表示制御部100aは、背面入射光センサ20の検出結果を参照し、表示部70上の表示面に予め設定した閾値を超える量の光が入射しているか否かを判定する。ここで、予め設定した閾値を超える量の光が入射している場合には、ステップ3fに移行し、一方、上記量の光が入射していない場合には、ステップ3iに移行する。
【0024】
ステップ3fにおいて表示制御部100aは、背面入射光センサ20の検出結果に基づいて、表示部70上の表示面に予め設定した閾値を超える量の光が、予め設定した時間以上、継続して入射しているか否かを監視し、判定する。ここで、予め設定した時間以上、継続して入射していることを検出した場合には、ステップ3gに移行し、一方、予め設定した時間以上、継続して入射しなかった場合(入射が途切れた場合)には、ステップ3aに戻る。
【0025】
ステップ3gにおいて表示制御部100aは、記憶部90が記憶する表示設定データを参照し、現在の表示設定が背面入射用の表示設定が為されているか否かを判定する。ここで、現在の表示設定として、背面入射用の表示設定が為されている場合には、ステップ3aに移行し、一方、背面入射用の表示設定が為されていない場合には、ステップ3hに移行する。
【0026】
ステップ3hにおいて表示制御部100aは、記憶部90から背面入射用の表示デザインのデータを読み出し、この表示デザインに基づく表示を表示部70に行うとともに、上記データに基づいてバックライト80の明るさを調整し、ステップ3aに移行する。なお、背面入射用の表示デザインのデータは、表示部70の表示面に対して入射光がある場合でも、表示部70の表示が見やすくなるように設定されたデータであって、例えば、配色の設定を通常の設定に比べて相対的にコントラストが高くなるようにしたり、バックライトの設定を通常の設定に比べて相対的に明るく設定する。ここで、表示デザインの切り替えやバックライト照度の変更が運転者に違和感を与えないように、変更の開始から終了までの間に中間色などを用いるなどして段階的に遷移させて変更するようにする。
【0027】
ステップ3iにおいて表示制御部100aは、記憶部90が記憶する表示設定データを参照し、現在の表示設定が通常用の表示設定が為されているか否かを判定する。ここで、現在の表示設定として、通常用の表示設定が為されている場合には、ステップ3aに移行し、一方、通常用の表示設定が為されていない場合には、ステップ3jに移行する。
【0028】
ステップ3jにおいて表示制御部100aは、記憶部90から通常用の表示デザインのデータを読み出し、この表示デザインに基づく表示を表示部70に行うとともに、上記データに基づいてバックライト80の明るさを調整し、ステップ3aに移行する。なお、通常用の表示デザインのデータは、通常の運行環境で表示部70の表示が見やすくなるように設定されたデータである。ここで、表示デザインの切り替えやバックライト照度の変更が運転者に違和感を与えないように、変更の前後の中間色などを用いるなどして段階的に行うようにする。
【0029】
以上のように、上記構成の車載メーターパネルシステムでは、運転者に対する入射光と、表示部70の表示面に対する入射光をそれぞれ検出し、いずれの状況であっても、表示部70に表示される情報の視認性が損なわれないように、表示デザインやバックライト照度を動的に変更するようにしている。
【0030】
したがって、上記構成の車載メーターパネルシステムによれば、車内への光の入射角度の変化があっても、これに合わせて動的に表示デザインやバックライト照度を変更するので、車載メーターの視認性を安定させることがすることができる。
【0031】
また上記構成の車載メーターパネルシステムでは、所定時間以上、同じ入射状況が継続した場合に、表示デザインやバックライト照度などを変更するようにしているので、短時間の入射により頻繁にデザイン変更が生じることが無く、運転者の混乱を避けることができる。
【0032】
さらに上記構成の車載メーターパネルシステムでは、表示デザインの切り替えを行う際に、切り替えの前後のデザインの間の中間色などを用いた表示を段階的に行うことで、運転者に切り替えの違和感を感じさせないようにしているので、運転者の混乱を避けることができる。
【0033】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0034】
その一例として例えば、上記実施の形態では、運転者に対する入射光と、表示部70の表示面に対する入射光をそれぞれ検出し、この検出結果に基づいて表示デザインを変更するように構成したが、操作部40を通じた運転者からの要求に応じて、表示デザインを変更するようにしてもよい。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明に係わる車載メーターパネルシステムの一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した車載メーターパネルシステムを適用した運転席の構成を示す図。
【図3】図1に示した車載メーターパネルシステムの動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0036】
10…正面入射光センサ、20…背面入射光センサ、30…車外灯、40…操作部、50…制御バス、60…インタフェース、70…表示部、80…バックライト、90…記憶部、100…制御部、100a…表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器表示を行う表示手段と、
運転者に向けて入射する光を検出する第1光検出手段と、
前記表示手段が表示を行う部分に入射する光を検出する第2光検出手段と、
前記第1光検出手段の検出結果と前記第2光検出手段の検出結果とに応じて、前記表示手段が表示する計器表示のデザインを変更する表示制御手段とを具備することを特徴とする車載用メーターパネルシステム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第1光検出手段または前記第2光検出手段が予め設定した時間以上継続して光を検出した場合に、この検出結果に応じて、前記表示手段が表示する計器表示のデザインを変更することを特徴とする請求項1に記載の車載用メーターパネルシステム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第1光検出手段の検出結果と前記第2光検出手段の検出結果とに応じて、前記表示手段が表示する計器表示のデザインを段階的に変更することを特徴とする請求項1に記載の車載用メーターパネルシステム。
【請求項4】
計器表示を行う表示手段と、
この表示手段を照明する照明手段と、
運転者に向けて入射する光を検出する第1光検出手段と、
前記表示手段が表示を行う部分に入射する光を検出する第2光検出手段と、
前記第1光検出手段の検出結果と前記第2光検出手段の検出結果とに応じて、前記照明手段の照度を制御する照度制御手段とを具備することを特徴とする車載用メーターパネルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−227253(P2009−227253A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78727(P2008−78727)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】