説明

車載レーダ点検装置とその方法

【課題】ガソリンスタンドや立体駐車場などにおいて運転者が簡易に車載レーダの送信あるいは受信方向のずれ及び動作を点検できる車載レーダ点検装置とその方法を提供する。
【解決手段】本発明は、車両1を回転する車両回転台8によって、リトロリフレクタ2と車載レーダ12,13との相対的な方向を変化させ、それぞれ車両の前面、後方、左右斜め前方、左右斜め後方及び左右側方のうちの複数カ所に取り付けられた車載レーダの動作点検をする車載レーダ点検装置とその方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載のUWBレーダあるいはミリ波レーダを点検するための車載レーダ点検装置とその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載レーダ技術が発達し、それに伴いレーダの搭載車両も普及している。車載レーダは前方追従走行を目的としたミリ波レーダと、接近車両警告、駐車支援を目的としたUWBレーダとの2種類がある。車載レーダは障害物などを検知し、あらかじめ警告を促すことで交通事故の防止や、衝突時などの被害軽減、駐車支援や前車追従走行など運転者の運転のサポートなど、交通安全への寄与が期待される。車載レーダは主にバンパーあるいはフロントグリル内部に搭載されるため、外部からの衝撃を受けやすく、レーダの機能が損なわれたり、送信あるいは受信方向にずれが生じたりすることがある。衝撃などにより生じたアンテナの送信あるいは受信方向のずれはレーダ信号を車両中心軸方向に正しく放射していないため、正面方向の規準が異なり、検出した方位に誤差が生じる。
【0003】
昨今普及してきたミリ波レーダにおいて、アンテナの送信あるいは受信方向が正しい方向を示していない場合、隣接車線の車両へ追従することが有り得、事故の要因となるため、アンテナの送信あるいは受信方向は車両中心軸方向に向かなければならない。また、今後普及が期待されるUWBレーダは、従来のレーダ技術に比べて高精度な検知を可能にする。UWBレーダを用いたレーダシステムは近距離で広角にわたって車両や人間など様々な障害物を検出し、主に安全運転のサポートを目的とする。アプリケーションとしては後方監視用に後方衝突警報と駐車補助、斜め前方のレーダでは、死角補助と車線変更補助、側方監視のレーダでは側面衝撃軽減があげられる。それぞれのレーダシステムはミリ波レーダと同様に外部衝撃の影響を受けることが考えられ、それぞれのレーダの動作を点検する必要がある。このような送受信方向のずれや故障による誤検知は交通事故を引き起こしかねないため、車載レーダシステムの正常な動作の維持に点検を必要とする。
【0004】
従来の車載レーダの照準調整検査装置と照準調整検査方法(特開2004−69658号公報―特許文献1)では、レーザ光を用いて車載レーダの照準調整を行う方法が述べられているが、予めレーダにミラー治具を取り付ける機構を必要とする。他の送信方向ずれ検出装置(特開2000−329853号公報―特許文献2)では、レーザ反射体を用いてレーザレーダの送信方向のずれを検出することが述べられているが、反射体と車両との相対位置の測定方法については述べられていない。また、衝突防止レーダシステムのテスト用シミュレータ(特開2001−517301号公報―特許文献3)は工場においてミリ波レーダをテストするための、高周波部の動作テストの手段を提供しているが、ミリ波送受信機を含む複雑なもので、簡易な点検に使えるものではなかった。
【0005】
従来、車両中心軸方向にレーダを照射するレーダのアンテナアライメント検査装置は、特開2005−331353号公報(特許文献4)に位置決めシステム及び位置決め方法として提案されており、図6に示すように、車両1の上方から撮像装置25にて撮影された平面視画像に基づいて、ミリ波レーダ20のビーム軸21の正規方向を特定し、ビーム軸21の正規方向とターゲット23の入射面22が直交するようにターゲット23を移動ユニット24にてレール25に沿って移動及び回転させて比較し、ビーム軸21の位置決めをする方法が述べられているが、車載レーダの点検方法、及び車両後方、左右斜め前方、左右斜め後方、及び左右側方に照射するレーダの点検装置とその方法については知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−69658号公報
【特許文献2】特開2000−329853号公報
【特許文献3】特開2001−517301号公報
【特許文献4】特開2005−331353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、ガソリンスタンドや立体駐車場などにおいて運転者が簡易に車載レーダの送信あるいは受信方向のずれ及び動作を点検できる車載レーダ点検装置とその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの特徴は、車両を回転する車両回転台によって、リトロリフレクタと車載レーダとの相対的な方向を変化させ、それぞれ車両の前面、後方、左右斜め前方、左右斜め後方及び左右側方のうちの複数カ所に取り付けられた車載レーダの動作点検をするための車載レーダ点検装置とその方法である。
【0009】
本発明の別の特徴は、所定位置に停止させた車両の周囲にリトロリフレクタを回転させることによって、リトロリフレクタと車載レーダとの相対的な方向を変化させ、それぞれ車両の前面、後方、左右斜め前方、左右斜め後方及び左右側方のうちの複数カ所に取り付けられた車載レーダの動作点検をするための車載レーダ点検装置とその方法である。
【0010】
上記発明にあっては、報知装置を備え、運転者に対して車両正面と、後方、左右斜め前方、左右斜め後方及び左右側方のうちの複数カ所の各位置にて車載レーダの点検開始、及び動作が正常若しくは異常の判断をしてもらう旨を文字表示、音声、映像若しくはそれらの組み合わせによって報知するものとすることができる。
【0011】
また、上記発明にあっては、リトロリフレクタとして2面コーナリフレクタ、3面コーナリフレクタ若しくはルーネベルクレンズを利用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載レーダ点検装置とその方法によれば、車両正面方向、後方、左右斜め前方、左右斜め後方又は左右側方のうちの複数カ所に設置されている車載レーダを単一のリトロリフレクタにより、かつその単一のリトロリフレクタを車両の周囲に相対的に1回転させる走査にて簡単に点検することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の車載レーダ点検装置のブロック図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の車載レーダ点検装置のブロック図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の車載レーダ点検装置のブロック図。
【図4】本発明の第4の実施の形態の車載レーダ点検装置のブロック図。
【図5】本発明の第3、第4の実施の形態における車両の中心軸検出方法の説明図。
【図6】従来例のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1に示すように、車両1にはその前方左右、後方左右それぞれに安全運転、安全運転確認のためのUWBレーダ12が設置してあり、また車両1の前方中央には車両自動追従制御のためのミリ波レーダ13が設置してある。
【0016】
このレーダ搭載車両1に対する車載レーダ点検装置は、車両1をその上に乗せて回転させる回転台8と、回転台8の周縁の外側の近接した位置に設置された単一のリトロリフレクタ2と、車両1内の運転者に対して車載レーダ12,13の点検の開始、及び動作が正常若しくは異常かの判断をしてもらう旨を文字表示、音声、映像若しくはそれらの組み合わせによって報知する報知装置3と、これら回転台8の回転と報知装置3の動作を制御する制御装置4とから構成されている。
【0017】
リトロリフレクタ2は車載レーダ12,13が設置される車両1のバンパーあるいはフロントグリルの高さ程度の高さに設置する。このリトロリフレクタ2はこれに入射する電波、電磁波、光をその入射してくる方向と真逆の方向に反射させる働きをするものであり、例えば、2面コーナリフレクタ、3面コーナリフレクタ若しくはルーネベルクレンズを利用する。
【0018】
報知装置3は、車両1の回転完了、車載レーダの点検の開始、及び車載レーダの動作が正常若しくは異常かの判断をしてもらう旨を文字表示、音声、若しくはその両方で運転者に対して知らせる機能を有する。音声の場合には車両1の運転者に聞こえる場所に設置したスピーカを用い、文字表示の場合には同じく運転者から見える場所に設置したディスプレイや電光掲示板を利用する。そして、停止している回転台8の上に車両1を移動させ、回転台8を回転させて正規の点検開始の向きに車両1の向きを調整すると、車両1の移動完了を知らせるために、例えば「正面方向に電波を反射する物体が設置されました。」といった報知若しくは表示をする。車載レーダの点検の開始を知らせる場合は、例えば「今から車載レーダの点検を始めます。レーダの電源を入れてください。」といった報知若しくは表示をする。車載レーダの動作が正常若しくは異常かの判断をしてもらう場合は、例えば「前方方向に障害物があることを示す警報あるいは表示が出ていますか?警報あるいは表示が出ている場合、あなたの車載レーダは正しく動作しています。もし警報あるいは表示が出ていない場合、車載レーダは正しく動作していない可能性があります。販売店、修理工場にお問い合わせください。」といった報知若しくは表示をする。さらに、回転台8が1回転して車両1が最初の位置まで移動してきた場合には、例えば、「以上で車載レーダの点検を終了します。」といった報知若しくは表示をする。
【0019】
制御装置4は回転台8の回転を制御し、また点検の各工程において報知装置3を制御して運転者に対して上記の報知をさせる制御をする。尚、制御装置4は、回転台8の回転を制御する場合、本実施の形態では回転台8を停止させることなく適切な速度で1回転させる制御をする。しかしながら、制御装置4により、大部分の車両1において車載レーダ12,13が搭載されている場所、つまり、回転角度が0°の運転者から見て真正面の位置、左回りで約30°の同じく右斜め前方の位置、90°の同じく右側方の位置、150°の右斜め後方の位置、180°の真後の位置、210°の左斜め後方の位置、270°の左側方の位置、330°の左斜め前方の位置のそれぞれ、あるいはその内の予め選択的に設定した複数の回転位置にて回転台8を一時停止させ、対応する位置に設置されている車載レーダ12,13の動作を運転者に点検させる制御をするようにしてもよい。
【0020】
次に、上記の構成の車載レーダ点検装置を動作させることにより実行される車載レーダ点検方法は次の通りである。運転者に指示して車両1を回転台8上に移動させ、回転台8を回転させて正規の点検開始の向きに車両1の向きを調整する。そして、「正面方向に電波を反射する物体が設置されました。」といった報知若しくは表示をして運転者に車両1の移動完了を知らせる。そして、例えば「今から車載レーダの点検を始めます。レーダの電源を入れてください。」といった報知若しくは表示をして、車載レーダの点検の開始を知らせる。
【0021】
この後、制御装置4により回転台8の回転を開始し、その上の車両1の回転を開始する。そして、車載レーダ12,13が設置されている蓋然性の高い回転位置、運転者から見て真正面の位置、右斜め前方の位置、右側方の位置、右斜め後方の位置、真後の位置、左斜め後方の位置、左側方の位置、左斜め前方の位置がリトロリフレクタ2を向くようになった時にそれぞれ、あるいはその内の予め選択的に設定した複数の回転位置それぞれにて、車載レーダの動作が正常若しくは異常かの判断を運転者にしてもらうために、例えば「前方方向に障害物があることを示す警報あるいは表示が出ていますか?警報あるいは表示が出ている場合、あなたの車載レーダは正しく動作しています。もし警報あるいは表示が出ていない場合、車載レーダは正しく動作していない可能性があります。販売店、修理工場にお問い合わせください。」といった報知若しくは表示をする。
【0022】
回転台8が1回転して車両1が最初の位置まで移動してきた場合には、例えば、「以上で車載レーダの点検を終了します。」といった報知若しくは表示をして点検終了を知らせる。
【0023】
この車載レーダ12,13の点検には、車載レーダ12,13より電波を送信し、リトロリフレクタ2により反射し、その反射信号を送り出し元の車載レーダ12,13で受信し、受信した反射信号からリトロリフレクタ2の位置を判定し、その判定結果を車載レーダ12,13自身のユーザインターフェースにより運転者に確認してもらう。
【0024】
車載レーダ12,13がリトロリフレクタ2を検出しない、若しくは検出できてもリトロリフレクタ2とは異なる場所を示している場合、車載レーダ12,13に故障が生じているので、運転者にこの点も確認してもらうことになる。
【0025】
尚、回転台8を所定の回転位置で一時的に停止させながら回転させる制御をすると、運転者にとって車載レーダ12,13の動作点検、確認をゆっくり、また正確に行えるように担保できる。
【0026】
このように、本実施の形態の車載レーダ点検装置とその方法によれば、ガソリンスタンドや立体駐車場などにおいて運転者が簡易に車載レーダの送信あるいは受信方向のずれ及び動作を点検できる。
【0027】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態の車載レーダ点検装置とその方法について、図2を用いて説明する。第1の実施の形態が車両1を乗せた回転台8を回転させるようにしたのに対して、本実施の形態では、車両1は所定の場所に停止させておき、その周囲をリトロリフレクタ2に自走させながら車載レーダ12,13の動作を運転者に確認させる点に特徴がある。
【0028】
図2に示すように、本実施の形態の車載レーダ点検装置は、所定の位置に停止させた車両1の周囲を円移動する単一のリトロリフレクタ2と、このリトロリフレクタ2を円移動させるリフレクタ移動装置7と、車両1内の運転者に対して車載レーダ12,13の点検の開始、及び動作が正常若しくは異常かの判断をしてもらう旨を文字表示、音声、映像若しくはそれらの組み合わせによって報知する報知装置3と、これらリフレクタ移動装置7の動作と報知装置3の動作を制御する制御装置4とから構成されている。
【0029】
リトロリフレクタ2、報知装置3については第1の実施の形態と同様の構成、機能を持つ。そして、リフレクタ移動装置7は制御装置4によって制御され、リトロリフレクタ2を車両1の周囲を所定の速度で円移動させる働きをする。その構成としては、例えば、リング状のレールを敷設し、そのレール上に自走式の台車を置き、台車にリトロリフレクタ2を取り付けることで、台車をレール上で自走させることによってリトロリフレクタ2も円移動するように構成することができる。あるいは、回転駆動される回転板の円周部にあるいは回転リングにリトロリフレクタ2を取り付け、回転板あるいは回転リングを回転させることでリトロリフレクタ2を円移動させる構成であってもよい。
【0030】
このリトロリフレクタ2も、第1の実施の形態と同様に、車載レーダ12,13が設置される車両1のバンパーあるいはフロントグリルの高さ程度の高さに設置する。
【0031】
制御装置4はリフレクタ移動装置7を制御してリトロリフレクタ2の円移動を制御し、また報知装置3を制御して運転者に対して上記の報知をさせる制御をする。尚、本実施の形態にあっても、制御装置4は、リトロリフレクタ2が停止することなく適切な速度で1回転するように制御をする。しかしながら、制御装置4により、リトロリフレクタ2が大部分の車両1において車載レーダ12,13が搭載されている場所、つまり、回転角度が0°の運転者から見て真正面の位置、左回りで約30°の同じく右斜め前方の位置、90°の同じく右側方の位置、150°の右斜め後方の位置、180°の真後の位置、210°の左斜め後方の位置、270°の左側方の位置、330°の左斜め前方の位置のそれぞれ、あるいはその内の予め選択的に設定した複数の回転位置にて一時停止し、対応する位置に設置されている車載レーダ12,13の動作を運転者に点検させる制御をするようにしてもよい。
【0032】
本実施の形態の車載レーダ点検装置を用いた車載レーダ点検方法は、第1の実施の形態のものとほぼ同様である。運転者に指示して車両1を所定の点検位置に移動、停止させ、リトロリフレクタ2が車両1の真正面に位置する点検開始の位置となるように調整する。以後の制御、点検方法は、制御装置4がリフレクタ移動装置7によるリトロリフレクタ7の円移動を制御する点以外、第1の実施の形態と同様である。
【0033】
尚、リトロリフレクタ7を所定の回転位置で一時的に停止させながら円移動させる制御をすると、運転者にとって車載レーダ12,13の動作点検、確認をゆっくり、また正確に行えるように担保できる。
【0034】
本実施の形態によっても第1の実施の形態と同様に、ガソリンスタンドや立体駐車場などにおいて運転者が簡易に車載レーダの送信あるいは受信方向のずれ及び動作を点検できる。
【0035】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態の車載レーダ点検装置とその方法について、図3、図5を用いて説明する。本実施の形態の特徴は、第1の実施の形態に対して、車両中心軸を自動検出してその中心軸上の車両前方の位置にリトロリフレクタ2を位置決めしてミリ波レーダの動作点検が厳密に行えるようにした点にある。以下、図1に示した第1の実施の形態と共通する要素には同一の符号を用いて説明する。
【0036】
本実施の形態では、回転台8の中央上方の位置に回転台8上の車両1を撮像するカメラのような撮像装置5を設置し、この撮像装置5が撮像した車両1の画像から図5に示す方法によって車両中心軸を検出し、制御装置4によりこの車両中心軸上にリトロリフレクタ2が位置するように回転台8を移動させる制御をする。
【0037】
次に、上記実施の形態の車載レーダ点検装置を用いた車載レーダ点検方法について説明する。回転台8をその予め引いた基準線あるいは円周上の基準点に付けたマークがリトロリフレクタ2と一致する回転位置を基準位置とし、制御装置4により回転台8の回転を制御して基準位置に停止させておく。そして、撮像装置5によって回転台8上の車両1を撮像して車両中心軸検出装置6に伝送する。図5に示すように、車両中心軸検出装置6は、上方から撮像された車両1を画像処理により長方形近似し、長方形近似した車両9から左右の車両長辺11を抽出する。そして、左右の車両長辺11の中心線を車両中心軸10とする。車両の前後については、あらかじめ車両1を回転台8上に前向きに停止させる取り決めにしておくことで、例えば、図5においては車両中心軸10の下方側を前方と決定する。また、車両中心軸10のリトロリフレクタ2からのずれ角度は、回転台8に基準線を引いておき、あるいは円周上の基準点にマークを付けておき、車両中心軸10が基準線からあるいは基準点のマークから何度ずれているかを割り出す。
【0038】
このようにして車両中心軸検出装置6により車両中心軸10を検出すれば、制御装置4は車両中心軸10を検出したずれ角度だけ補正し、車両中心軸10がリトロリフレクタ2を通るようにして点検開始位置とする。
【0039】
この点検開始位置の設定が完了すれば、第1の実施の形態の方法と同様に車載レーダ点検を実行する。
【0040】
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用、効果を有する上に、通常車両1の前方中央に搭載されるミリ波レーダ13の点検がより厳密に行える効果を有する。
【0041】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態の車載レーダ点検装置とその方法について、図4及び図5を用いて説明する。本実施の形態の特徴は、第2の実施の形態に対して、車両中心軸を自動検出してその中心軸上の車両前方の位置にリトロリフレクタ2を位置決めしてミリ波レーダ13の動作点検が厳密に行えるようにした点にある。以下、図2に示した第2の実施の形態と共通する要素には同一の符号を用いて説明する。
【0042】
本実施の形態では、リトロリフレクタ2の回転円の中心点の上方の位置に当該回転円内に置かれた車両1を撮像するカメラのような撮像装置5を設置し、この撮像装置5が撮像した車両1の画像から第3の実施の形態と同様に図5に示す方法によって車両中心軸10を検出し、制御装置4によりこの車両中心軸上にリトロリフレクタ2が位置するようにリトロリフレクタ2を移動させ点検開始位置とする制御をする。
【0043】
次に、上記実施の形態の車載レーダ点検装置を用いた車載レーダ点検方法について説明する。リトロリフレクタ2を通る中心線を基準位置とする。そして、撮像装置5によって車両1を撮像して車両中心軸検出装置6に伝送し、車両中心軸検出装置6により図5に示す方法によって車両中心軸10を検出する。本実施の形態でも、車両の前後については、あらかじめ車両1をリトロリフレクタ2に向けて停止させる取り決めにしておくことで、例えば、図5においては車両中心軸10の下方側を前方と決定する。そして、車両中心軸10のリトロリフレクタ2からのずれ角度を割り出す。
【0044】
このようにして車両中心軸検出装置6により車両中心軸10を検出すれば、制御装置4は車両中心軸10を検出したずれ角度だけリフレクタ移動装置7を動作させてリトロリフレクタ2を反対方向に移動させ、車両中心軸10がリトロリフレクタ2を通るようにして点検開始位置とする。
【0045】
この点検開始位置の設定が完了すれば、第2の実施の形態の方法と同様に車載レーダ点検を実行する。
【0046】
この第4の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の作用、効果を有する上に、通常車両1の前方中央に搭載されるミリ波レーダ13の点検がより厳密に行える効果を有する。
【0047】
尚、上記の各実施の形態において車載レーダの搭載数と搭載位置は特に限定されるものではない。また、ミリ波レーダ13と共にUWBレーダ12を搭載した車両1に対しても、あるいは複数台のUWBレーダ12だけを搭載した車両1に対してもその搭載レーダの自動点検が実施できる。
【符号の説明】
【0048】
1…車両 2…リトロリフレクタ
3…報知装置 4…制御装置
5…撮像装置 6…車両中心軸検出装置
7…リフレクタ移動装置 8…回転台
9…長方形近似した車両 10…車両中心軸
11…車両長辺 12…UWBレーダ
13…ミリ波レーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の複数箇所に搭載されている車載レーダを点検するための車載レーダ点検装置であって、
前記車両を回転させる回転台と、
前記回転台の回転円の円外でかつ当該回転円の円周近くに設置された単一のリトロリフレクタと、
前記回転台の回転を制御する回転台駆動装置とを具備していることを特徴とする車載レーダ点検装置。
【請求項2】
前記車両に向けて車載レーダの動作確認指示を文字表示、音声、映像若しくはそれらの組み合わせによって報知する報知装置を具備していることを特徴とする請求項1に記載の車載レーダ点検装置。
【請求項3】
前記回転台上の車両を撮像するための撮像装置と、
前記撮像装置の撮像した画像から前記回転台上の車両の前後方向の中心軸を検出する車両中心軸検出装置と、
前記車両中心軸検出装置が検出する車両の中心軸が前記リトロリフレクタの正面に交わる基本位置に位置させ、かつ、前記基本位置から予め設定した回転角度毎に前記回転台駆動装置による前記回転台の回転を停止させる回転位置制御を行う回転位置制御装置を具備していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載レーダ点検装置。
【請求項4】
前記リトロリフレクタは、2面コーナリフレクタ、3面コーナリフレクタ若しくはルーネベルクレンズであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載レーダ点検装置。
【請求項5】
車両の複数箇所に搭載されているレーダを点検するための車載レーダ点検装置であって、
点検車両を停止させる所定の場所において、前記車両の回転範囲よりも外側の位置で当該車両の周囲を回転移動する単一のリトロリフレクタと、
前記リトロリフレクタを回転移動させるリフレクタ移動装置とを具備していることを特徴とする車載レーダ点検装置。
【請求項6】
前記車両に向けて車載レーダの動作確認指示を文字表示、音声、映像若しくはそれらの組み合わせによって報知するための報知装置を具備していることを特徴とする請求項5に記載の車載レーダ点検装置。
【請求項7】
前記所定の位置に停止している車両を撮像するための撮像装置と、
前記撮像装置の撮像した画像から前記車両の前後方向の中心軸を検出する車両中心軸検出装置と、
前記車両中心軸検出装置が検出する車両の中心軸が前記リトロリフレクタの正面に交わる基本位置に位置合わせし、かつ、前記基本位置から予め設定した回転移動角度毎に前記リフレクタ移動装置による前記リトロリフレクタの回転移動を停止させるリフレクタ位置制御をするリフレクタ位置制御装置とを具備していることを特徴とする請求項5又は6に記載の車載レーダ点検装置。
【請求項8】
前記リトロリフレクタは、2面コーナリフレクタ、3面コーナリフレクタ若しくはルーネベルクレンズであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の車載レーダ点検装置。
【請求項9】
所定の位置に停止している車両の周囲をリトロリフレクタが走査するように、前記車両を回転させ、若しくは前記リトロリフレクタを回転移動させる走査工程と、
運転者に対して車載レーダの点検の開始、及び動作が正常若しくは異常かの判断をしてもらう旨を、文字表示、音声、映像若しくはそれらの組み合わせによって報知する報知工程とを有することを特徴とする車載レーダ点検方法。
【請求項10】
前記走査工程の開始に先立つ工程として、
前記所定の位置に停止している車両を上方の位置から撮像する車両撮像工程と、
撮像画像から車両中心軸を検出する中心軸検出工程と、
前記リトロリフレクタと車両の中心軸とが重なるように前記リトロリフレクタ若しくは車両を移動させる位置合わせ工程とを具備し、
前記走査工程では、前記リトロリフレクタが前記車両の正面、後方、左右斜め前方、左右斜め後方及び左右側方の位置で停止するように、前記リトロリフレクタを移動させ、若しくは前記車両を回転させ、
前記報知工程では、運転者に対して車両正面、後方、左右斜め前方、左右斜め後方及び左右側方の各位置にて車載レーダの点検開始、及び動作が正常若しくは異常の判断をしてもらう旨を文字表示、音声、映像若しくはそれらの組み合わせによって報知することを特徴とする請求項9に記載の車載レーダ点検方法。
【請求項11】
前記リトロリフレクタには、2面コーナリフレクタ、3面コーナリフレクタ若しくはルーネベルクレンズを用いることを特徴とする請求項9又は10に記載の車載レーダ点検方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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