説明

車載用サイドビューカメラ

【課題】車載用サイドビューカメラにおいて、昼夜に係わらず安定して良好な撮像画像を得る。
【解決手段】車体側面のサイドターンランプのハウジング内に、サイドビューカメラを構成する複眼撮像装置11と近赤外線LEDランプ12とが収納される。複眼撮像装置11は6つの撮像ユニットからなり、そのうち3つの撮像ユニットには近赤外線カットフィルタ17が挿入される。左右の撮像ユニットには撮像領域を左右に偏寄させる直角プリズム13、14が備えられる。マイクロプロセッサ25は、昼間撮像時には、近赤外線LEDランプ12を消灯状態とし、近赤外線カットフィルタ17を有する撮像ユニットによって撮像された3つの個眼像を接合してパノラマ広角画像を生成し、夜間撮像時には、近赤外線LEDランプ12を点灯状態として、近赤外線カットフィルタ17を有しない撮像ユニットによって撮像された3つの個眼像を接合してパノラマ広角画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の側面に取付けられて、該車体の側方領域を撮像する車載用サイドビューカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の車体側面に取付けられ側方を撮像するサイドビューカメラが知られている。運転者は、例えば車庫入れや幅寄せを行うときに、サイドビューカメラにより撮像された画像を見ることによって車体側方の障害物との距離を運転席に座ったまま正確に把握でき自動車を安全に移動させることができる。
【0003】
一方、広角の被写領域を撮像することができて自動車の後方確認用カメラ等に用いることができる動き検出用撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この動き検出用撮像装置では、プリズム又はミラーを用いて広角の領域からの光を撮像装置本体へ集光するように構成されている。
【0004】
また、撮像領域の明るさに係わらず撮像領域内における移動体の動きを監視することができる撮像素子が知られている(例えば、特許文献2参照)。この撮像素子は、複数の集光用レンズが2次元に配列されたレンズアレイを有し、このレンズアレイの各レンズ列に対して可視光を透過するフィルタと、赤外光のみを透過するフィルタを備え、可視光を透過するフィルタを備えたレンズ列による撮像画像と、赤外光を透過するフィルタを備えたレンズ列による撮像画像との輝度を比較し、輝度が高い方の撮像画像に基づいて移動体の動きを検出するように構成されている。
【特許文献1】特開2008−34948号公報
【特許文献2】特開2004−186792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車載用サイドビューカメラについては、車体側方の広角領域の画像を昼夜に係わらず可能な限り鮮明に取得でき、しかも車体からあまり突出した形態とはならず当該自動車のデザインにマッチしたものでなければならないという要請がある。
【0006】
夜間において安定して鮮明な画像を得るためには、車体側方に赤外線を照射する照明装置を取付けることが考えられるが、その場合、照明装置も当該自動車のデザインにマッチしたものでなければならないし、昼夜に係わらずに良好な画像を得る上では次のような問題がある。
【0007】
すなわち、仮に上記のような赤外線を照射する照明装置を自動車のデザインにマッチした形態で取付けることができ、車体側方の領域を当該照明装置により照明できた場合であっても、サイドビューカメラには一般的に昼間撮像時の画像の色再現性を確保するために近赤外線カットフィルタが備えられることから、夜間に上記照明装置によって照明された被写体から反射される赤外線は、上記近赤外線カットフィルタによって遮られてしまい画像を得ることができない。逆に、夜間において画像を得るために近赤外線カットフィルタを省略した場合には、昼間における撮像画像の色再現性を犠牲にしなければならない。
【0008】
なお、上記特許文献1及び特許文献2に記載の撮像装置は、赤外線を被写体へ向けて照射する照明装置を有しないことから、夜間において安定的に良好な画像を得ることができず、その点で車載用サイドビューカメラに適さない。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、昼夜に係わらず安定して良好な撮像画像を得ることができ、かつ車体のデザインを改変することなく取付けることができる車載用サイドビューカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、車体の側面に取付けられて、該車体の側方領域を撮像する車載用サイドビューカメラにおいて、車体側方からの光を集光して個眼像を撮像する撮像ユニットが複数集積されてなる複眼撮像装置と、前記複眼撮像装置に近接して配置され、車体の側方領域へ赤外線を照射する光源と、を備え、前記複眼撮像装置の複数の撮像ユニットのうち一部の撮像ユニットは、集光した光の赤外線成分をカットする赤外線カットフィルタを有し、それ以外の撮像ユニットは赤外線カットフィルタを有さないことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記赤外線を照射する光源は、照射選択手段によって点灯状態と消灯状態とが切替えられることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記照射選択手段は、周囲の明るさに応じて前記光源の点灯状態と消灯状態を切替えることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記複眼撮像装置の複数の撮像ユニットにより撮像される個眼像のうち、一部の個眼像のみが表示装置に表示されることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項の発明において、前記赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なるように構成され、前記赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なった連続領域に構成され、前記赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なった連続領域に構成されて、前記赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットが撮像した複数の個眼像を接合してパノラマ広角画像を形成し、前記赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットが撮像した複数の個眼像を接合してパノラマ広角画像を形成することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項の発明において、前記複眼撮像装置と前記光源とが、サイドターンランプのハウジング内に収納されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記サイドターンランプの点滅動作時における前記複眼撮像装置の各撮像ユニットによる撮像動作は、前記サイドターンランプの消灯時に行い、前記サイドターンランプの点灯時には休止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、車載用サイドビューカメラは、撮像ユニットが複数集積されてなる複眼撮像装置と赤外線を照射する光源とを備え、複数の撮像ユニットのうち一部の撮像ユニットが赤外線カットフィルタを有し、それ以外の撮像ユニットは赤外線カットフィルタを有さないので、昼夜に係わらず安定して良好な撮像画像を得ることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、赤外線を照射する光源が点灯・消灯を切替えられるので、適正な時間帯に車体側方の領域を赤外線で照射することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、赤外線を照射する光源が周囲の明るさに応じて点灯・消灯を切替えられるので、例えば、夜間に点灯して車体側方の領域を照射し、良好な撮像画像を得ることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、複眼撮像装置によって撮像された個眼像のうち、一部の個眼像のみを表示装置に表示するので、運転者にとって見易い表示とすることができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットの撮像領域、及び赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットの撮像領域が、それぞれ互いに異なるので広範囲の領域を撮像することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、撮像ユニットの撮像領域が連続した領域になるように構成され、赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットが撮像した個眼像を接合してパノラマ広角画像を形成し、赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットが撮像した個眼像を接合してパノラマ広角画像を形成するので、運転者にとって車体側方の状況をより理解し易い画像を得ることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、複眼撮像装置と光源とがサイドターンランプのハウジング内に収納されるので、車体に特別な取付けスペースを設ける必要がなく、車体のデザインを改変することなく取付けることができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、複眼撮像装置の撮像動作をサイドターンランプの消灯時に行い点灯時には休止するので、サイドターンランプの近傍に取付けるにも拘わらず、得られる画像がサイドターンランプが出射する光によってハレーション等の障害を受けた不鮮明なものにならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の車載用サイドビューカメラ1は、図1及び図2に示されるように、自動車2の車体2aの左右側面に設けられたサイドターンランプ3のハウジング4内に収納されている。なお、サイドターンランプ3は、運転者が操作することによって、左右のいずれかのランプが点滅して歩行者又は他車に自車の走行方向を示すものである。また、サイドターンランプ3は、車体2aの側面の他の部分に取付けられてもよいし、ドアミラー5に取付けられてもよい。
【0027】
サイドターンランプ3は、車体2aと一体に形成された楕円状のベースプレート6と、ベースプレート6に内蔵された回路基板7に実装されたLEDランプ8と、ベースプレート6の上面を覆う光透過性カバー9と、を備え、同一の回路基板7上に、サイドビューカメラ1を構成する複眼撮像装置11と、近赤外線LEDランプ12(夜間撮像用光源)とが実装されている。LEDランプ8は、アンバー色の視認が容易な任意の色光を選択することができる。
【0028】
複眼撮像装置11は略直方体形状であって、車体2a側面に対してLEDランプ8及び近赤外線LEDランプ12の光出射面よりも外方へ突出しており、プリズム13、14によって車体側方の広角の領域から集光する光の経路にLEDランプ8及び近赤外線LEDランプ12が出射する光が干渉せず、複眼撮像装置11が撮像する画像にハレーション等の障害を生じないようになっている。
【0029】
複眼撮像装置11は、図3乃至5に示されるように、6つの光学レンズL1l、L1c、L1r、L2l、L2c、L2rが2行3列に亘って一平面内に配置された光学レンズアレイ15と、各光学レンズにより形成される個眼像K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2rを撮像する固体撮像素子16と、左右列の光学レンズL1l、L1r、L2l、L2rに集光される光の領域を左右へ屈曲させる45°直角プリズム13、14と、撮像した個眼像を接合して1つのパノラマ画像に形成する画像処理装置20と、を備える。そして、一方の行の光学レンズL1l、L1c、L1rに対しては、これらの光学レンズから出射された光が固体撮像素子16に到達するまでの光路中に近赤外線カットフィルタ17が挿入されている。また、全ての光学レンズL1l、L1c、L1r、L2l、L2c、L2rは40°の画角を有する。
【0030】
各光学レンズL1l、L1c、L1r、L2l、L2c、L2rと、各光学レンズに対向する固体撮像素子16の受光領域とによって、それぞれ個別に撮像領域からの光を集光し、個眼像K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2rを独立して撮像する6つの撮像ユニットU1l、U1c、U1r、U2l、U2c、U2rが構成されている。換言すると、本複眼撮像装置11は、2行3列に集積して配置され、それぞれ独立して個眼像を撮像する6つの撮像ユニットU1l、U1c、U1r、U2l、U2c、U2rから構成されている。
【0031】
光学レンズアレイ15は、レンズホルダ18によって支持され、該レンズホルダ18と固体撮像素子16との間にはスペーサ部材19が挿入されている。スペーサ部材19の各光学レンズL1l、L1c、L1r、L2l、L2c、L2rに対向する位置には貫通孔19aが開けられ、各光学レンズから出射された光が固体撮像素子16上の対応する受光領域にのみ到達し、各光学レンズから出射した光同士が干渉しないように構成されている。
【0032】
45°直角プリズム13、14は、プリズムホルダ21によって光学レンズアレイ15に対して所定の傾斜になるようにしてレンズホルダ18に固定されている。具体的には、左右の45°直角プリズム13、14は、各々の斜辺13a、14aが光学レンズアレイ15の平面に対して70°の角度になるように配置されている。従って、120°に亘る広角の撮像領域Zの中央の略40°の領域Zcからの光が中央列の光学レンズL1c、L2cによって集光され、左側の略40°の領域Zlからの光が45°直角プリズム13によって屈曲されて左列の光学レンズL1l、L2lによって集光され、右側の略40°の領域Zrからの光が45°直角プリズム14によって屈曲されて右列の光学レンズL1r、L2rによって集光される。
【0033】
固体撮像素子16は、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサから構成され、表面に各光学レンズL1l、L1c、L1r、L2l、L2c、L2rに対応する6つの個眼像K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2rが形成される(図5参照)。ここで、中央の領域Zcの個眼像K1c、K2cは、光学レンズL1c、L2cによって上下左右が反転された画像であり、左右領域Zl、Zrの個眼像K1l、K1r、K2l、K2rは、左右のプリズム13、14により左右方向の反転が相殺され、上下方向の反転のみが残った画像となる。
【0034】
画像処理装置20について図3に戻って説明する。画像処理装置20は、固体撮像素子16上に上記のようにして形成された各個眼像K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2rをADコンバータ23を介してディジタル情報として読出し、画素補間処理や色変換処理を施して画素の欠落等の欠陥を有さない画像データに変換する画像処理プロセッサとしてのDSP24と、画像処理プロセッサ24によって処理された画像データ(個眼像)を上下左右の反転を正常に戻した上で接合してパノラマ広角画像を生成するマイクロプロセッサ25(照射選択手段)と、生成した画像を表示する液晶パネル等から構成される表示装置26と、を備える。各個眼像の固体撮像素子16からの読出しタイミングはタイミングジェネレータ(T/G)27によって与えられる。表示装置26に表示されるパノラマ広角画像Pの例を図6に示す。本実施形態のパノラマ広角画像Pは120°の画角を有する。
【0035】
また、マイクロプロセッサ25は、ドライバ28を介して近赤外線LEDランプ12に接続されており、明るさセンサ29により検出した周囲の明るさが基準値以下になったときに近赤外線LEDランプ12を消灯状態から点灯状態へ切替える。さらに、マイクロプロセッサ25は、LEDランプ8を点滅制御する図示しない点滅制御装置から制御信号sを受信し、LEDランプ8が消灯している間に読出した画像データ(個眼像)に基づいてパノラマ広角画像Pを生成し、LEDランプ8が点灯している間には、画像データ(個眼像)を読出さない。この制御については後述する。
【0036】
次に、本実施形態の車載用サイドビューカメラ1の動作を説明する。まず、昼間撮像時における動作を説明する。マイクロプロセッサ25は、前述の通り、明るさセンサ29により検出した周囲の明るさが基準値よりも大きい場合には、昼間であると判断して近赤外線LEDランプ12を消灯状態とし、固体撮像素子16から読出した6個の個眼像K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2rのうち近赤外線カットフィルタ17を有する撮像ユニットU1l、U1c、U1rが撮像した3つの個眼像K1l、K1c、K1rに基づいてパノラマ広角画像Pを生成する。
【0037】
個眼像K1l、K1c、K1rは、近赤外線の領域の光を近赤外線カットフィルタ17によってカットされた光によって形成されるので良好な色再現性を有し、マイクロプロセッサ25によって生成されたパノラマ広角画像Pは120°の広角の領域を鮮明に再現する画像になる。
【0038】
夜間撮像時には、マイクロプロセッサ25は、明るさセンサ29により検出した周囲の明るさが基準値以下になり、夜間であると判断して近赤外線LEDランプ12を点灯状態とする。そして、固体撮像素子16から読出した6個の個眼像K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2rのうち近赤外線カットフィルタ17を有しない撮像ユニットU2l、U2c、U2rが撮像した3つの個眼像K2l、K2c、K2rに基づいてパノラマ広角画像Pを生成する。
【0039】
個眼像K2l、K2c、K2rは、近赤外線LEDランプ12が出射する近赤外線光によって照明された被写体からの反射光によって形成され、近赤外線カットフィルタ17によって遮断されないので夜間においても鮮明な画像になり、生成されたパノラマ広角画像Pも鮮明な画像になる。
【0040】
以上のように、本実施形態のサイドビューカメラ1は、サイドターンランプ3のハウジング4内に収納されるので、自動車2のデザインを改変することなく取付けることができ、夜間においては近赤外線LEDランプ12によって被写体を照明するので、昼夜に係わらず安定して良好なパノラマ広角画像Pを得ることができる。
【0041】
さらに、本実施形態のサイドビューカメラ1は、サイドターンランプ3と同一のハウジング4内に収納されるので、サイドビューカメラ1による撮像タイミングがサイドターンランプ3の方向指示のための点滅タイミングと重なったときには、LEDランプ8からの光によって撮像画像にハレーション等の障害が生じる可能性があるが、撮像タイミングを次のように制御することによって撮像画像に障害が生じないようになされている。
【0042】
以下、マイクロプロセッサ25が実行する撮像タイミングについて、図7を参照して説明する。図7は、夜間撮像時におけるサイドターンランプ3の点滅、固体撮像素子16による個眼像の撮像タイミング、及び近赤外線LEDランプ12の点灯タイミングを示す。なお、近赤外線LEDランプ12は継続的に点灯されており、被写体によって反射された近赤外線が継続的に複眼撮像装置11に集光されているとする。
【0043】
LEDランプ8は、点滅制御装置(不図示)によって所定の周期T(例えば、0.5秒)で点滅制御される。LEDランプ8は、点灯している期間T1においても予め決められたデューティ比で細かな点滅(以下、調光点滅という)を繰返し、消灯している期間T2には継続的に消灯される。点灯期間T1におけるLEDランプ8の調光点滅は、人間の目には継続して点灯しているように見える。
【0044】
マイクロプロセッサ25は、LEDランプ8を上記のように制御する点滅制御装置から制御信号sを受信することによってLEDランプ8の点滅タイミングを認識し、その点滅タイミングに基づいて、固体撮像素子16による撮像タイミングを制御する。具体的には、マイクロプロセッサ25は、固体撮像素子16による個眼像の撮像を、LEDランプ8の消灯期間T2には継続的に実行し、LEDランプ8の点灯期間T1には調光点滅の微小な消灯期間に実行し、点灯期間には休止する。
【0045】
以上のように、複眼撮像装置11による撮像動作がLEDランプ8の消灯時にのみ行われ、点灯時には休止されるので、サイドビューカメラ1による撮像タイミングがサイドターンランプ3の点滅タイミングと重なったときでも、LEDランプ8からの光によるハレーション等の障害が生じず鮮明な画像を得ることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、45°直角プリズム13、14を用いて左右列の光学レンズL1l、L1r、L2l、L2rによる集光方向を広角方向へ変更していたが、ミラー等の他の光学部材を用いてもよい。また、光学部材によって集光方向を変更される各撮像ユニットU1l、U1r、U2l、U2rの撮像領域は不連続であってもよい。この場合には、表示装置26に表示される画像はパノラマ広角画像ではなく、各個眼像K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2rが個別に表示される。
【0047】
また、6つの個眼像のうち一部の個眼像が表示装置26に表示されるように構成してもよい。例えば、昼間撮像時には、近赤外線カットフィルタ17を介して形成された中央の個眼像K1cのみが表示装置26に拡大して表示され、夜間撮像時には、中央の個眼像K2cのみが表示装置26に拡大して表示されるようにしてもよい。
【0048】
さらに、本実施形態では、マイクロプロセッサ25は、明るさセンサ29からの検出値を基準値と比較することによって、撮像ユニットU1l〜U1rを用いる昼間撮像用の動作と、撮像ユニットU2l〜U2rを用いる夜間撮像用の動作を切替えていたが、この切替えは、例えば、マイクロプロセッサ25が、まず昼間撮像用の動作を行い、それによって取得した画像の鮮明度が低下したことを検出したときに、夜間撮像用動作に切替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用サイドビューカメラが取付けられた自動車の側面図。
【図2】同車載用サイドビューカメラが収納されたサイドターンランプの斜視図。
【図3】同車載用サイドビューカメラにおける複眼撮像装置の構成を示す図。
【図4】同車載用サイドビューカメラにおける複眼撮像装置の正面図。
【図5】同車載用サイドビューカメラにおける固体撮像素子の正面図。
【図6】同車載用サイドビューカメラにおける表示装置に表示されるパノラマ広角画像の例を示す図。
【図7】同車載用サイドビューカメラにおけるサイドターンランプ、複眼撮像装置、及び近赤外線LEDランプの動作タイミングを示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0050】
1 車載用サイドビューカメラ
2a 車体
3 サイドターンランプ
4 ハウジング
11 複眼撮像装置
12 近赤外線LEDランプ(光源)
17 近赤外線カットフィルタ(赤外線カットフィルタ)
25 マイクロプロセッサ(照射選択手段)
K1l、K1c、K1r、K2l、K2c、K2r 個眼像
P パノラマ広角画像
U1l、U1c、U1r、U2l、U2c、U2r 撮像ユニット
Z、Zl、Zc、Zr 撮像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側面に取付けられて、該車体の側方領域を撮像する車載用サイドビューカメラにおいて、
車体側方からの光を集光して個眼像を撮像する撮像ユニットが複数集積されてなる複眼撮像装置と、
前記複眼撮像装置に近接して配置され、車体の側方領域へ赤外線を照射する光源と、を備え、
前記複眼撮像装置の複数の撮像ユニットのうち一部の撮像ユニットは、集光した光の赤外線成分をカットする赤外線カットフィルタを有し、それ以外の撮像ユニットは赤外線カットフィルタを有さないことを特徴とする車載用サイドビューカメラ。
【請求項2】
前記赤外線を照射する光源は、照射選択手段によって点灯状態と消灯状態とが切替えられることを特徴とする請求項1に記載の車載用サイドビューカメラ。
【請求項3】
前記照射選択手段は、周囲の明るさに応じて前記光源の点灯状態と消灯状態を切替えることを特徴とする請求項2に記載の車載用サイドビューカメラ。
【請求項4】
前記複眼撮像装置の複数の撮像ユニットにより撮像される個眼像のうち、一部の個眼像のみが表示装置に表示されることを特徴とする請求項1に記載の車載用サイドビューカメラ。
【請求項5】
前記赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なるように構成され、前記赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車載用サイドビューカメラ。
【請求項6】
前記赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なった連続領域に構成され、前記赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットの撮像領域が互いに異なった連続領域に構成されて、前記赤外線カットフィルタを有した複数の撮像ユニットが撮像した複数の個眼像を接合してパノラマ広角画像を形成し、前記赤外線カットフィルタを有しない複数の撮像ユニットが撮像した複数の個眼像を接合してパノラマ広角画像を形成することを特徴とする請求項5に記載の車載用サイドビューカメラ。
【請求項7】
前記複眼撮像装置と前記光源とが、サイドターンランプのハウジング内に収納されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車載用サイドビューカメラ。
【請求項8】
前記サイドターンランプの点滅動作時における前記複眼撮像装置の各撮像ユニットによる撮像動作は、前記サイドターンランプの消灯時に行い、前記サイドターンランプの点灯時には休止することを特徴とする請求項7に記載の車載用サイドビューカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−286234(P2009−286234A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140117(P2008−140117)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】