説明

車載用制御装置

【課題】可撓性を有する実装基板の撓みを抑制するように支持することができる車載用制御装置を提供する。
【解決手段】密閉構造の筐体内に発熱する回路部品を実装した可撓性を有する実装基板31,32が配設された車載用制御装置であって、前記実装基板を前記筐体6Hに固定された当該実装基板より剛性が高く撓みの抑制が可能な支持基板35上に気体通路を形成するように支持するとともに、前記実装基板の表裏に熱交換部7によって熱交換されて前記筐体内を循環する冷却気体を供給するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有し、発熱する回路部品を搭載した実装基板を配設した車載用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車載用制御装置としては、パワートランジスタを実装したパワー基板と発熱素子を実装した制御基板とを含む複数の基板を多層に備え、冷却プレート上にパワー基板を密着して配設するとともに、冷却プレートに密着して立設したアルミブロックによって各基板の一端縁部を互いにそれぞれ所定間隔で支持し、各基板の他端縁部を、パワー基板に電気接続され且つ基板外コンデンサに電気接続されたバスバーによって、互いに夫々所定管区で支持してなるように構成して、小型化され、高い構成と耐振動強度を有する、また、良好な冷却性能を有する車両用空調装置の制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−140114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、パワートランジスタを実装するパワー基板については冷却プレート上に密着させて載置するので、冷却することができるとともに、車両から伝達される振動や衝撃によって撓むことをある程度抑制することができるが、他の基板については冷却プレートに立設されたアルミブロックと支柱とによって多層支持するようにしているので、冷却効果が少ないとともに、車両からの振動や衝撃が伝達されたときに基板が撓み、実装部品に繰り返し応力が作用して損傷したり、実装部品を基板に固定するための半田付け部が損傷して接触不良を生じたりするという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、振動や衝撃が伝達されたときに、可撓性を有する基板の撓みを抑制することができるとともに、冷却効果も高めることができる車載用制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一の形態に係る車載用制御装置は、密閉構造の筐体内に発熱する回路部品を実装した可撓性を有する実装基板が配設された車載用制御装置であって、前記実装基板を前記筐体に固定された当該実装基板より剛性が高く撓みの抑制が可能な支持基板上に気体通路を形成するように支持するとともに、前記実装基板の表裏に熱交換部によって熱交換されて前記筐体内を循環する冷却気体を供給するようにしたことを特徴としている。
【0006】
この構成によると、可撓性を有する実装基板をこれより剛性が高い支持基板に気体通路を形成するように支持し、実装基板の表裏に筐体内で循環する冷却気体を供給するので、車両から振動や衝撃が車載用制御装置に伝達されたときに、実装基板の撓みを抑制して、実装部品やその固定部に繰り返し応力が作用することを抑制することができ、耐久性を向上させることができるとともに、実装基板に対する冷却性能を向上させることができる。
【0007】
また、本発明の他の形態に係る車載用制御装置は、前記支持基板は、前記実装基板を当該支持基板に植立した所要数の柱状スペーサによって支持されていることを特徴としている。
この構成によると、柱状スペーサを介して実装基板を支持基板上に支持するので、実装基板と実装基板との間に流体抵抗の少ない気体通路を形成することができ、冷却気体による実装基板の冷却効果を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の他の形態に係る車載用制御装置は、前記支持基板が導電性部材で構成されている場合に、当該支持基板と前記実装基板との間に絶縁部材を配置したことを特徴としている。
この構成によると、支持基板と実装基板との間に絶縁部材を配置することにより、冷却気体の風量が小さい場合に、支持基板と実装基板との間隔を電気的な絶縁距離を確保できない間隔まで近接させて冷却気体の有効利用が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発熱する回路部品を実装し可撓性を有する実装基板を密閉構造の筐体内に配置した車載用制御装置で、車両から伝達される振動や衝撃に対して実装基板の撓みを抑制して実装された回路部品の損傷や回路部品を固定する半田付け部の損傷を抑制して接触不良の発生を防止することができるとともに、実装基板に対する冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用し得る電気駆動車両の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】電力変換装置を示す正面板部を取り外した状態の模式的縦断面図である。
【図3】図2のA−A線上の断面図である。
【図4】液冷ヒートシンクの平面図である。
【図5】液冷ヒートシンクの底面図である。
【図6】支持基板の装着状態を示す平面図である。
【図7】制御基板の装着状態を示す平面図である。
【図8】制御基板及び支持基板を示す拡大正面図である。
【図9】制御基板に実装した回路部品の熱伝導状態を示す説明図である。
【図10】制御基板及び支持基板の冷却風吹込み状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を電気駆動車両としての電気自動車に適用した場合の概略構成を示す図である。
図中、1は電気自動車であって、この電気自動車1は、例えば車両前部側に前端を駆動する電動モータ2が配設されているとともに、この電動モータ2を駆動する車載制御装置としての電力変換装置3及びこの電力変換装置3に対して制御信号を供給する車両制御装置4が配設され、さらに電力変換装置3及び車両制御装置4に対して電源を供給する多数の蓄電池を収納する蓄電池収納部5が配設されている。
【0012】
電力変換装置3は、図2〜図5に示すように、直方体状の液密性を有する筐体6を有する。この筐体6は、上下に2分割された上端を開放した箱状の下部分割筐体6Lと、上下端部を開放した角筒状の上部分割筐体6Hと、下部分割筐体6L及び上部分割筐体6H間に介挿された両者の分割面を閉塞する所定の厚みを有する平板状に形成された例えば水冷式の液冷ヒートシンク7とで構成されている。ここで、上部分割筐体6Hは上端部が蓋体8によって閉塞されている。
【0013】
液冷ヒートシンク7は、図4及び図5に示すように、所定の厚みを有する扁平な直方体形状に形成され、前端側に比較的幅狭で左右方向に両端部近傍まで延長する気体通路11が上下に貫通して形成されているとともに、後端側に気体通路11に比較して幅広で左右方向に両端部近傍まで延長する気体通路12が上下に貫通して形成されている。
そして、液冷シートシンク7の前端面には、冷却媒体としの冷却水が供給される冷却水供給口13及び冷却水排出口14が外部に露出して突出形成されている。なお、電気自動車1には、図示しないが、冷却水排出口14から排出される冷却後の冷却水を冷却する電気自動車1の前面に設けられたラジエータなどの熱交換器と、この熱交換器で冷却された冷却水を貯留するリザーバタンクと、このリザーバタンクに貯留された冷却水をポンプで加圧して冷却水供給口13に供給する冷却システムが設けられている。
【0014】
また、液冷ヒートシンク7の上面における気体通路11及び12間には、図4に示すように、前述した蓄電池で構成される直流電源の直流電力を昇降圧するチョッパ回路を構成するパワーモジュールとしてのIGBTモジュール21と、チョッパ回路から出力される直流電力を例えば3相交流電力に変換するインバータを構成するパワーモジュールとしての3個のIGBTモジュール22とが冷却水挿通溝17の延長方向と直交する方向に所定間隔を保って並列配置されている。ここで、IGBTモジュール21及び22は、直列に接続されたスイッチング素子としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、保護回路等を内蔵している。
【0015】
また、液冷ヒートシンク7の下面における気体通路11及び12間には、図5に示すように、前述したチョッパ回路を構成する比較的大型の立方体形状のリアクトル23が冷却水排出口14側の半部に配置されているとともに、このリアクトル23と隣接して冷却水供給口13側に放熱フィン24が配設され、さらに図3及び図5に示すように放熱フィン24の気体通路12側に設けられた放熱フィン24で冷却された冷却風を気体通路12側に送風するルーバー付きの送風ファン25とが配置されている。
【0016】
さらに、前述したチョッパ回路を構成するコンデンサ26及び前記チョッパ回路及びインバータ間に介挿される平滑用の3つのコンデンサ27が、図3に示すように、その端子側を液冷ヒートシンク7の気体通路12内に接触することなく所定の間隔を開けて挿通した状態で下部分割筐体6Lに固定されている。
一方、液冷ヒートシンク7に固定されたIGBTモジュール21及び22の上方には、図2及び図3に示すように、IGBTモジュール21及び22に内蔵されたIGBTのゲートを制御するゲート駆動回路等の制御回路を実装した実装基板としての制御基板31及び電源回路やリレー等を実装した電源基板32が平行に配置されている。
【0017】
これら制御基板31及び電源基板32のそれぞれは、上部分割筐体6Hの内周面に、固定された支持部材33によって支持されている。この支持部材33は、図6に示すように、上部分割筐体6Hの前後左右の内壁に固定された複数のL字状の固定金具34と、この固定金具34によって支持された金属板又は厚手のガラス入りエポキシ樹脂等の剛性の高い支持基板35と、この支持基板35の上面における前後端部及び前後方向の中央部にそれぞれ植立された複数本の絶縁部材で構成されたスペーサ36とで構成されている。ここで、スペーサ36は、図8で拡大に示すように、頭部に雌ねじ部が形成された円柱部36aと、この円柱部36aの下端面から下方に突出する支持基板35に形成された取付孔37内に貫通される支持突起36bとで構成されている。ここで、支持基板35の剛性は制御基板31及び電源基板32の剛性に比較して倍以上に設定されている。
【0018】
そして、スペーサ36の上端に、個別に制御基板31及び電源基板32が載置され、これら制御基板31及び電源基板32にスペーサ36に対向して形成されたねじ挿通孔38に取付ねじ39を挿通してスペーサ36の雌ねじ部に螺合させることにより、図7及び図8に示すように、スペーサ36上に制御基板31及び電源基板32がねじ止め固定されている。したがって、支持基板35と制御基板31及び電源基板32との間には所定の空間に設けられるとともに、薄くて撓み易い制御基板31及び電源基板32を剛性の高い支持基板35で撓むことなく保持することができる。
【0019】
また、支持基板35と制御基板31及び電源基板32との間隔は、後述する送風ファン40の冷却風吐出風量を小さくするとともに、全体の構成を小型化するために、電気的な絶縁距離より短く設定しており、このため、支持基板35と制御基板31及び電源基板32との間の電気的な絶縁を確保するために、絶縁部材としての絶縁シート41がスペーサ36の中間部に固定されて配置されている。
【0020】
このように、支持基板35上にスペーサ36を介して制御基板31及び電源基板32を個別に載置することにより、図9に示すように、制御基板31及び電源基板32に実装した回路部品42が発熱して、その熱がリード43を介して制御基板31及び電源基板32の下面側の半田付け等の電気的接続部44に熱伝導されて基板全体の温度が上昇するが、この場合に、制御基板31及び電源基板32の下方に気体通路を形成する空間が形成されているので、基板裏面側の温度上昇を抑制することができる。
【0021】
さらに、上部分割筐体6Hにおける右内壁の気体通路12に対向する位置に、制御基板31及び電源基板32と支持基板35とに対向する送風ファン40が配設されている。この送風ファン40を配置するために、制御基板31及び電源基板32とこれらの支持基板35とが図4及び図5に示すように右後方部に切欠き部31a,32a及び35aが形成されている。
【0022】
また、送風ファン40は空気吸込み口が上部分割筐体6Hの右内壁側の下方に開口されており、気体通路12から送風ファン25によって供給される冷却風を吸込み、前面に配設された図示しないルーバーによって、図10に示すように、制御基板31及び電源基板32の表裏を通って気体通路11側に達するように冷却風を分散送風する。
また、液冷ヒートシンク7に対して下部分割筐体6L及び上部分割筐体6Hが図2及び図3に示すように、パッキン等のシール部材45及び46を介して連結されるとともに、上部分割筐体6Hに蓋体8がパッキン等のシール部材47を介して連結されて筐体6が密封構造とされている。
【0023】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、電力変換装置3を電気自動車1に搭載して、液冷ヒートシンク7の冷却水供給口13及び冷却水排出口14を電気自動車1に搭載した冷却システムに連結することにより、冷却システムから冷却水が冷却水供給口13に供給されるとともに、冷却水排出口14から排出される冷却後の冷却水が冷却システムに戻される。このとき、液冷ヒートシンク7の冷却水供給口13及び冷却水排出口14が直接外部に露出しているので、冷却システムとの接続を容易に行うことができるとともに、その接続の際に筐体6の液密性が崩れることはなく、冷却水が筐体6内に漏れることを確実に防止することができる。
【0024】
そして、電気自動車1のイグニッションスイッチがオン状態とされると、電力変換装置3が作動状態となり、アクセルペダル等が操作されることにより、車両制御装置4から制御指令が入力されることにより、電力変換が開始されて制御指令に応じた3相電力を電動モータ2に供給する。
このように、電力変換装置3が作動状態となると、各回路部品が発熱することになり、特に発熱量の大きいIGBTモジュール21,22とリアクトル23とは直接液冷ヒートシンク7に接触されて固定されているので、液冷ヒートシンク7を流れる冷却水によって冷却される。
【0025】
これに加えて、液冷ヒートシンク7の下面に、リアクトル23と近接し、且つ冷却水供給口13側に放熱フィン24が配設され、この放熱フィン24の気体通路12側に送風ファン25が配設されているので、液冷ヒートシンク7の低温が放熱フィン24に伝導されることになり、この放熱フィン24で筐体6内に閉じ込められた空気を冷却する。
そして、冷却された空気が送風ファン25のルーバーによって冷却風としてコンデンサ26及び27に分散されて吹き付けられ、これらコンデンサ26及び27を冷却する。このとき、コンデンサ26及び27は、図3に示すように、液冷ヒートシンク7の気体通路12に対して前後方向に所定の間隔を開けて挿通されているので、冷却風がコンデンサ26及び27の全側面を冷却して通ることができ、コンデンサ26及び27の冷却効果を向上させることができる。
【0026】
そして、液冷ヒートシンク7の上面側の気体通路12の上方にも気体通路12に対向して送風ファン40が配設されており、この送風ファン40によって、上部分割筐体6Hの右側壁の下面側からコンデンサ26及び27を冷却した冷却風を取込み、ルーバーによって、図10に示すように、制御基板31及び電源基板32と支持基板35との間の空間部、制御基板31の下部及び電源基板32の上部側に冷却風を分散して吹き込む。この冷却風によって制御基板31及び電源基板32に実装されている発熱部品を冷却するとともに、IGBTモジュール21,22を冷却し、これらを冷却後の冷却風が気体通路11を通って放熱フィン24に戻って冷却され、再度送風ファン25によって、コンデンサ26及び27に吹き付けされる冷却風循環路が形成される。
【0027】
このように、上記実施形態によると、下部分割筐体6L及び上部分割筐体6Hが液冷ヒートシンク7を介して連結され、液冷ヒートシンク7によって、発熱部品となるIGBTモジュール21,22、リアクトル23を直接冷却することができる。このとき、下部分割筐体6L及び上部分割筐体6Hが液冷ヒートシンク7によって分断されるが、液冷ヒートシンク7に所定距離離間した気体通路11及び12を形成することにより、下部分割筐体6L及び上部分割筐体6H間で気体通路11及び12を通じて気体の流入出が可能となり、下部分割筐体6L及び上部分割筐体6Hに温度差が生じることを防止することができる。
【0028】
しかも、液冷ヒートシンク7に放熱フィン24を装着するとともに、この放熱フィン24に送風ファン25を配置することにより、冷却風を形成することができる。この送風ファン25と上部側の送風ファン40とによって強制的に冷却風を循環する冷却風循環路を形成することができ、筐体6の内部温度をむらなく平均化することができる。このため、発熱部品のレイアウトの自由度を向上させることができるとともに、放熱のための空間を広くとる必要がなく、全体を小型化することができる。このとき、放熱フィン24が冷却水供給口13側に設けられているので、空気の冷却効果をより高めることができる。
【0029】
このとき、制御基板31及び電源基板32はこれらを支持する支持基板35に対してスペーサ36分の間隔を開けて平行に支持されているので、送風ファン40から吐出される冷却風が制御基板31及び電源基板32とこれらを支持する支持基板35間に吹き込まれると、この冷却風が制御基盤31及び電源基盤32とこれを支持する支持基板35間の気体通路を通ることになり、冷却風が上下方向に飛散することなく確実に送風ファン40とは反対側の端部まで到達することになり、冷却効果を向上させることができる。
【0030】
また、剛性の低い制御基板31及び電源基板32をそれぞれ剛性の高い支持基板35でスペーサ36を介して支持するようにしたので、電気自動車1のように車体から伝達される振動や衝撃が多く伝達される場合に、振動や衝撃によって制御基板31及び電源基板32が撓むことを防止することができ、制御基板31及び電源基板32が撓むことによる繰り返し応力によって実装された電気部品が破損したり、制御基板31及び電源基板32と実装される電気部品とを電気的に接続する半田付け等の電気的接続部44が破損して接触不良を起こしたりすることを確実に防止することができる。
【0031】
さらに、上述したように、送風ファン40の吐出風量を小さく抑制するととともに、小型化の要求によって、制御基板31及び電源基板32とこれらを支持する支持基板35との間の間隔を電気的な絶縁距離以下に設定した場合に、制御基板31及び電源基板32とこれを支持する支持基盤35との間に絶縁部材としての絶縁シート41を設けることにより、制御基板31及び電源基板32とこれらを支持する支持基板35との絶縁を確保することができる。
【0032】
また、上記効果を有する電力変換装置3を搭載することにより、走行環境による温度変化にかかわらず耐久性の高い電気自動車を提供することができる。
なお、上記実施形態においては、送風ファン40を上部分割筐体6Hの右後端部に配設した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制御基板31及び電源基板32とこれらを支持する支持基板35との間に冷却風を吐出できればよく、任意の位置に設置することができる。このとき、送風ファン25との関係で、液冷ヒートシンク7の上下で良好な冷却風循環路が形成されればよいものである。
【0033】
また、上記実施形態においては、制御基板31及び電源基板32とこれらを支持する支持基板35との間隔を狭めて両者間に絶縁シート41を設置する場合について説明したが、制御基板31及び電源基板32とこれらを支持する支持基板35との間の距離を電気的な絶縁距離以上に設定できる場合には、絶縁シート41を省略することができる。
また、上記実施形態においては、制御基板31と電源基板32とを有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制御基板と電源基板とが一体化された基板や他のパワー基板等を多層に形成する場合にも本発明を適用することができる。
【0034】
さらに、上記実施形態においては熱交換器として液冷ヒートシンクを適用した場合について説明したが、他の構成の熱交換器を適用することもできる。
また、上記実施形態においては、本発明を車載制御装置としての電力変換装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車両の空調装置の制御装置や電動パワーステアリング装置の制御装置等の他の任意の車載用制御装置に本発明を適用することができる。
【0035】
さらに、上記実施形態においては、本発明による電力変換装置を電気自動車に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、軌条を走行する鉄道車両にも本発明を適用することができ、任意の電気駆動車両に適用することができ、さらに電力変換装置としては電気駆動車両にかぎらず、他の産業機器における電動モータ等のアクチュエータを駆動する場合に本発明の電力変換装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…電気自動車、2…電動モータ、3…電力変換装置、4…車両制御装置、5…蓄電池収納部、6…筐体、6L…下部分割筐体、6H…上部分割筐体、7…液冷ヒートシンク、8…蓋体、11,12…気体通路、13…冷却水供給口、14…冷却水排出口、21,22…IGBTモジュール、24…リアクトル、25…送風ファン、26,27…コンデンサ、31…制御基板、32…電源基板、33…支持部材、34…固定金具、35…支持基板、36…スペーサ、39…取付ねじ、40…送風ファン、41…絶縁シート、42…回路部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉構造の筐体内に発熱する回路部品を実装した可撓性を有する実装基板が配設された車載用制御装置であって、
前記実装基板を前記筐体に固定された当該実装基板より剛性が高く撓みの抑制が可能な支持基板上に気体通路を形成するように支持するとともに、前記実装基板の表裏に熱交換部によって熱交換されて前記筐体内を循環する冷却気体を供給するようにしたことを特徴とする車載用制御装置。
【請求項2】
前記支持基板は、前記実装基板を当該支持基板に植立した所要数の柱状スペーサによって支持されていることを特徴とする請求項1に記載の車載用制御装置。
【請求項3】
前記支持基板が導電性部材で構成されている場合に、当該支持基板と前記実装基板との間に絶縁部材を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−119587(P2012−119587A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269726(P2010−269726)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】