説明

車載装置

【課題】スマートECUを容易に分離してタイヤ空気圧監視装置としての受信機能を実現するとともに、TPMSマイコンを搭載しなくてもスマートエントリーとしての受信機能を実現できるようにする。
【解決手段】受信回路11の周波数切替用信号を入力するRCO端子を備え、RCO端子には接続ケーブルを介してスマートECU20が接続される。受信回路11は、RCO端子にスマートECU20が接続され、RCO端子を介して受信回路11のXC1端子にスマートECU20より周波数切替用信号が入力された場合、スマート用の携帯機40より送信される第1の電波を受信し、RCO端子を介して受信回路11のXC1端子にスマートECU20より周波数切替用信号が入力されない場合には、タイヤセンサ31より送信される第2の電波を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートエントリー用の送信機とタイヤ空気圧監視用の送信機より送信される各電波を、受信周波数を選択して受信することが可能な車載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キーレスエントリ装置とタイヤ圧モニタリング装置との中で、高周波受信部等の共用可能な構成部材を共用化してキーレスエントリ装置とタイヤ圧モニタリング装置とを統合して一体化し、イグニッションキーのオンオフに連動してキーレスエントリ装置としての動作と、タイヤ圧モニタリング装置としての動作とが切り替わるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、例えば、米国のようにタイヤ圧モニタリング装置の装着が義務化されている地域では、タイヤ圧モニタリング装置としての機能は必要であるが、キーレスエントリ装置としての機能は不要にしたいというニーズがある。したがって、タイヤ圧モニタリング装置とキーレスエントリ装置を統合したシステムであっても、スマートエントリーの制御を行うスマートECUを容易に分離して、タイヤ圧モニタリング装置として機能するような構成が好ましい。そこで、スマートECUを要因に分離できるようにした装置もある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−81059号公報
【特許文献2】特開2009−97272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、日本のようにタイヤ圧モニタリング装置の装着が義務化されていない地域では、キーレスエントリ装置としての機能は必要であるが、タイヤ圧モニタリング装置としての機能は不要にしたいというニーズもある。
【0006】
上記特許文献2に記載された装置は、タイヤ圧モニタリング装置用マイコン(TPMSマイコン)がスマートECUより入力される電圧信号端子RCOの電圧とイグニッションスイッチの状態に応じて受信回路の受信周波数を切り替える構成となっているので、スマートエントリー装置単体として機能させようとしても、TPMSマイコンを搭載する必要があるといった問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みたもので、スマートECUを容易に分離してタイヤ空気圧監視装置としての受信機能を実現するとともに、TPMSマイコンを搭載しなくてもスマートエントリーとしての受信機能を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1の外部入力端子(XC1)を有し、当該第1の外部入力端子(XC1)に入力される信号に応じてスマートエントリー用の第1の送信機(40)より送信される第1の電波と、タイヤ空気圧監視用の第2の送信機(31)より送信される第2の電波とを、受信周波数を切り替えて受信する受信IC(16)と、受信周波数を切り替えるための周波数切替用信号を入力するための第1の周波数切替用端子(RCO)と、を備え、第1の周波数切替用端子(RCO)には、接続ケーブルを介してスマートエントリー用のスマートエントリー用制御部(20)が接続されるようになっており、受信IC(16)は、第1の周波数切替用端子(RCO)にスマートエントリー用制御部(20)が接続され、第1の周波数切替用端子(RCO)を介して第1の外部入力端子(XC1)にスマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力された場合、当該周波数切替用信号により特定される受信周波数で第1の送信機(40)より送信される第1の電波を受信し、第1の周波数切替信号用入力端子(RCO)を介して第1の外部入力端子(XC1)にスマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力されない場合には、第2の送信機(31)より送信される第2の電波を受信することを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、受信IC(16)は、第1の周波数切替信号用入力端子(RCO)を介して第1の外部入力端子(XC1)にスマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力されない場合には、第2の送信機(31)より送信される第2の電波を受信するので、接続ケーブルを取り外すことによりスマートECUを容易に分離してタイヤ空気圧監視装置としての受信機能を実現することができる。また、受信IC(16)は、第1の周波数切替用端子(RCO)にスマートエントリー用制御部(20)が接続され、第1の周波数切替用端子(RCO)を介して第1の外部入力端子(XC1)にスマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力された場合、当該周波数切替用信号により特定される受信周波数で第1の送信機(40)より送信される第1の電波を受信し、第1の周波数切替信号用入力端子(RCO)を介して第1の外部入力端子(XC1)にスマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力されない場合には、第2の送信機(31)より送信される第2の電波を受信するので、特許文献2に記載された装置のように、TPMSマイコンを搭載しなくてもスマートエントリーとしての受信機能を実現することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、受信IC(16)は、第2の外部入力端子(XC2)を有し、当該第2の外部入力端子(XC2)に入力される信号に応じてスマートエントリー用の第1の送信機(40)より送信される周波数の異なる2つの第1の電波を、切り替えて受信することが可能となっており、第1の送信機(40)より送信される第1の電波の受信周波数を切り替えるための周波数切替用信号を入力するための第2の周波数切替用端子(CSEL)を備え、第2の周波数切替用端子(CSEL)には、接続ケーブルを介してスマートエントリー用のスマートエントリー用制御部(20)が接続されるようになっており、受信IC(16)は、第1、第2の周波数切替用端子(RCO、CSEL)にスマートエントリー用制御部(20)が接続され、第1の周波数切替用端子(RCO)を介して第1の外部入力端子(XC1)にスマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力された場合、第2の周波数切替用端子(CSEL)を介して第2の外部入力端子(XC2)に入力される信号により特定される受信周波数で第1の送信機(40)より送信される第1の電波を受信すること徴としている。
【0011】
このように、受信IC(16)は、第1、第2の周波数切替用端子(RCO、CSEL)にスマートエントリー用制御部(20)が接続され、第1の周波数切替用端子(RCO)を介して第1の外部入力端子(XC1)にスマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力された場合、第2の周波数切替用端子(CSEL)を介して第2の外部入力端子(XC2)に入力される信号により特定される受信周波数で第1の送信機(40)より送信される第1の電波を受信することができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、第1の周波数切替用端子(RCO)の電圧レベルに基づいて受信IC(16)の受信周波数の設定が第2の送信機(31)より送信される第2の電波を受信する周波数となっていることを判定した場合、第2の送信機(31)による第2の電波の送信を許可する送信許可手段(S102)を備えたことを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、第1の周波数切替用端子(RCO)の電圧レベルに基づいて受信IC(16)の受信周波数の設定が第2の送信機(31)より送信される第2の電波を受信する周波数となっていることを判定した場合、タイヤ空気圧監視用制御部(19)による第2の電波の送信が許可される。すなわち、スマートエントリー用制御部(20)による受信IC(16)の使用中に、タイヤ空気圧監視用制御部(19)による第2の電波が送信されてしまうような状況を回避ことができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、スマートエントリーとタイヤ空気圧監視用の共用アンテナ(12a)により受信された受信信号とスマートエントリー用の専用アンテナ(13)により受信された受信信号のいずれかを受信IC(16)に入力するアンテナ切替回路(14)と、アンテナ切替回路(14)を切り替えるための信号を入力するためのアンテナ切替用信号入力端子(ASEL)と、を備え、アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)には、接続ケーブルを介してスマートエントリー用制御部が接続されるようになっており、アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)を介してスマートエントリー用制御部(20)より入力される信号に従って共用アンテナにより受信された受信信号と専用アンテナにより受信された受信信号のいずれかが受信IC(16)に入力されるようにアンテナ切替回路が切り替わることを特徴としている。
【0015】
このように、アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)を介してスマートエントリー用制御部(20)より入力される信号に従って共用アンテナにより受信された受信信号と専用アンテナにより受信された受信信号のいずれかが受信IC(16)に入力されるようにアンテナ切替回路が切り替わるようにすることができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、第1の周波数切替用端子(RCO)に接続された第1の入力端子と、第2の周波数切替用端子(CSEL)に接続された第2の入力端子とを有し、第1の入力端子に接続された第1の周波数切替用端子(RCO)に周波数切替用信号が入力されないときに第2の入力端子に接続された第2の周波数切替用端子(CSEL)の入力される信号が第2の外部入力端子(XC2)へ入力されないようにマスクする第1の論理回路(18a)を備えたことを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、第1の論理回路(18a)により、第1の周波数切替用端子(RCO)に周波数切替用信号が入力されないときに、第2の周波数切替用端子(CSEL)に入力される信号が第2の外部入力端子(XC2)へ入力されないようにマスクされるので、例えば、スマートエントリー用制御部(20)の故障や周辺ノイズ等により第2の周波数切替用端子(CSEL)に異常信号が入力されても、異常信号による影響を防止することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、第1の周波数切替用端子(RCO)に接続された第1の入力端子と、アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)に接続された第2の入力端子とを有し、第1の入力端子に接続された第1の周波数切替用端子(RCO)に周波数切替用信号が入力されないときに第2の入力端子に接続されたアンテナ切替用信号入力端子(ASEL)に入力される信号がアンテナ切替回路(14)へ入力されないようにマスクする第2の論理回路(18b)を備えたことを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、第2の論理回路(18b)により、第1の周波数切替用端子(RCO)に周波数切替用信号が入力されないときに、アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)に入力される信号がアンテナ切替回路(14)へ入力されないようにマスクされるので、例えば、スマートエントリー用制御部(20)の故障や周辺ノイズ等によりアンテナ切替用信号入力端子(ASEL)に異常信号が入力されても、異常信号による影響を防止することができる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載装置の全体構成を示す図である。
【図2】車載装置の構成を示す図である。
【図3】RCO端子、CSEL端子および受信ICにおけるXC1端子、XC2端子の各状態と、受信周波数の関係について説明するための図である。
【図4】マイコンの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る車載装置の全体構成を図1に示す。本車載装置1は、タイヤ空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System、以下、TPMSと記す)としての機能と、スマートエントリシステムとしての機能を統合する装置である。すなわち、スマートエントリー用の携帯機40とタイヤ空気圧監視用のタイヤセンサ31より送信される各電波を、受信周波数を選択して受信する装置である。車載装置1には、オートロケーション用ECU30と、スマートエントリシステムトランク用専用アンテナ13が接続されている。
【0023】
TPMSは、車両に備えられたタイヤの空気圧等の情報を各タイヤに組み付けられたタイヤセンサ31で検出し、各タイヤセンサ31より検出した情報を無線送信させ、各タイヤセンサ31より送信された情報を受信して、タイヤ空気圧や温度などに異常があればその旨を運転者に報知するシステムである。
【0024】
オートロケーション用ECU30には、車両の各タイヤに対応するように配置された各アンテナ32が接続されている。オートロケーション用ECU30は、各アンテナ32より重ならないタイミングでLF帯の電波を利用してタイヤセンサ31へ送信要求を行うようになっている。また、4つあるタイヤセンサ31より、重ならないタイミングでRF帯の電波を利用して車載装置1へ情報送信が行われるようになっている。
【0025】
一方、スマートエントリシステムは、車両の使用者が所持する携帯機40が車両周辺の無線通信エリアに入ったときに、車載装置1と携帯機40との間で認証を行い、認証成立時には、車両のドアのアンロックやエンジン始動の許可といった制御を実施するものである。このスマートエントリシステムにおいて、車載装置1は、LF帯の電波を利用して携帯機への認証を行い、携帯機40は、RF帯の電波を利用して車載装置1への情報送信を行っている。
【0026】
つまり、携帯機40およびタイヤセンサ31は、いずれもRF帯の電波を利用して車載装置1に対する情報送信を行っている。本実施形態においては、携帯機40より送信される電波の周波数は、314メガヘルツ(MHz)と312メガヘルツ(MHz)の2種類となっており、タイヤセンサ31送信される電波の周波数は、315メガヘルツ(MHz)となっている。
【0027】
このため、車載装置1は、TPMSとスマートエントリシステムとしての受信回路を共用するようにし、受信周波数を切り替えて携帯機40およびタイヤセンサ31より送信される各電波を受信するようにしている。
【0028】
図2に、本車載装置1の構成を示す。本車載装置1は、チューナ10とスマートECU20により構成されている。なお、チューナ10は、DATA端子、RCO端子、CSEL端子、ASEL端子を有している。なお、DATA端子は、受信IC16により受信された受信データをスマートECU20へ送出するための端子であり、RCO端子は、携帯機40より送信される電波(第1の電波)と各タイヤセンサ31より送信される電波(第2の電波)の受信周波数を切り替えるための周波数切替信号を入力するための端子であり、CSEL端子は、携帯機40より送信される電波(第1の電波)の受信周波数を切り替えるための周波数切替信号を入力するための端子であり、ASEL端子は、アンテナ切替回路14を切り替えるためのアンテナ切替信号を入力するための端子である。
【0029】
DATA端子、RCO端子、CSEL端子、ASEL端子は、スマートECU20に接続された接続ケーブルとコネクタ接続されるようになっている。本車載装置1は、チューナ10とスマートECU20との間を、接続ケーブルを用いてコネクタ接続することによりTPMSとスマートエントリシステムの統合システムとして機能し、チューナ10とスマートECU20との間の接続ケーブルを外すことによりTPMS単体として機能するようになっている。また、チューナ10とスマートECU20との間を、接続ケーブルを用いてコネクタ接続した場合、後述するTPMSマイコン19を未実装の状態としても、スマートエントリシステムとして機能するようになっている。
【0030】
なお、RCO端子、CSEL端子、ASEL端子の各入力端子は、スマートECU20が接続されない場合に空き端子となるため、それぞれ図示しない抵抗を介してプルダウン接続されている。
【0031】
チューナ10は、RF帯の電波を受信する受信回路11、+B端子に接続されたバッテリより供給される電源電圧を5Vに変換するレギュレータ17、AND回路18a、18bおよびTPMSとしての機能を制御するTPMSマイコン19を備えている。
【0032】
受信回路は11、アンテナマッチング切替回路12、スマートエントリシステムトランク用専用アンテナ13、アンテナ切替回路14、フィルタ15および受信IC16を備えている。
【0033】
アンテナマッチング切替回路12は、スマートエントリシステムとTPMSとで共用してRF帯の電波を受信する共用アンテナ12aを有している。AND回路18aの出力信号の論理レベルに応じて共用アンテナ12aのインピーダンスマッチングが切り替わるようになっている。
【0034】
スマートエントリシステムトランク用専用アンテナ13は、スマートエントリシステム用の携帯機40より送信される電波を受信するためのもので、車両のトランクルーム内に配置される。なお、このスマートエントリシステムトランク用専用アンテナ13は、コネクタ端子を介して接続されるようになっており、不要な場合には、容易に取り外すことが可能となっている。
【0035】
アンテナ切替回路14は、AND回路18bの出力信号の論理レベルに従って受信IC16に接続するアンテナの切替を行う。
【0036】
フィルタ15は、アンテナ切替回路14を介して受信IC16に入力される信号のノイズを除去するためのものである。フィルタ15は、バンドパスフィルタとして機能するようになっている。
【0037】
受信IC16は、受信周波数を切り替えてアンテナ切替回路14を介して入力される信号を受信する。受信IC16は、受信周波数を切り替えるための第1の外部入力端子XC1と、受信周波数を切り替えるための第2の外部入力端子XC2端子を有している。
【0038】
AND回路18aの第1の入力端子はRCO端子に接続され、AND回路18aの第2の入力端子はCSEL端子に接続され、AND回路18aの出力端子は、受信IC16のXC2端子に接続されている。AND回路18aは、RCO端子を介して周波数切替信号が入力されないときに受信IC16のXC2端子へ入力される信号をマスクするようになっている。
【0039】
また、AND回路18bの第1の入力端子はRCO端子に接続され、AND回路18bの第2の入力端子はASEL端子に接続され、AND回路18bの出力端子は、アンテナ切替回路14に接続されている。AND回路18bは、RCO端子を介して周波数切替信号が入力されないときにASEL端子よりアンテナ切替回路14へ入力される信号をマスクするようになっている。
【0040】
図3に、受信IC16におけるXC1端子、XC2端子の各状態と、RCO端子、CSEL端子および受信周波数の関係を示す。なお、図中、S1は、受信周波数がS1=314メガヘルツ(MHz)となることを示しており、S2は、受信周波数がS2=312メガヘルツ(MHz)となることを示しており、T3は、受信周波数がT3=315メガヘルツ(MHz)となることを示している。なお、AND回路18a、18bが設けられているため、XC1が0で、かつ、XC2が1となる状態とはならない。
【0041】
TPMSマイコン19は、メモリを内蔵し、このメモリに格納されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0042】
次に、図4を参照して、TPMSマイコン19の処理について説明する。TPMSマイコン19は、車両のイグニッションスイッチがオン状態になった場合、または車両より入力される車速信号に基づいて車両が走行を開始したことを判定した場合、図4に示す処理を周期的に実施する。
【0043】
まず、RCO端子の電圧がハイレベルか否かを判定する(S100)。ここで、接続ケーブルを介してスマートECU20が接続されていてもスマートECU20がスリープ状態となっている場合、接続ケーブルを介してスマートECU20が接続されていない場合、スマートECU20の故障している場合等、スマートECU20よりRCO端子に周波数切替信号が入力されない場合、S100の判定はNOとなり、オートロケーションECU30へLF帯の電波送信の許可を通知する(S102)。
【0044】
なお、この許可通知に応じてオートロケーションECU30からタイヤセンサ31へタイヤ空気圧等の情報等の送信指示が行われる。そして、タイヤセンサ31より送信されるタイヤ空気圧等の情報が受信回路11により受信され、この受信回路11よりタイヤ空気圧等の情報が入力されると、このタイヤ空気圧等の情報をメインボデーECU50へ送出する。
【0045】
また、接続ケーブルを介してスマートECU20が接続され、RCO端子の電圧がハイレベルとなっている場合、S100の判定はNOとなり、S100の判定を繰り返す。すなわち、オートロケーションECU30を介したタイヤセンサ31へ送信要求を実施することなく、S102の判定を繰り返す。
【0046】
なお、スマートECU20は、RCO端子の電圧がハイレベルとなるように周波数切替信号を出力する間に、携帯機40との間で認証を行い、認証成立時には、車両のドアのアンロックやエンジン始動の許可といった制御を実施する。
【0047】
上記した構成によれば、受信回路11は、第1の周波数切替信号用入力端子RCOを介して第1の外部入力端子XC1にスマートECU20より周波数切替用信号が入力されない場合には、タイヤセンサ31より送信される第2の電波を受信するので、接続ケーブルを取り外すことによりスマートECUを容易に分離してタイヤ空気圧監視装置としての受信機能を実現することができる。また、受信回路11は、第1の周波数切替用端子RCOにスマートECU20が接続され、第1の周波数切替用端子RCOを介して第1の外部入力端子XC1にスマートエントリー用制御部20より周波数切替用信号が入力された場合、当該周波数切替用信号により特定される受信周波数で携帯機40より送信される第1の電波を受信し、第1の周波数切替信号用入力端子RCOを介して第1の外部入力端子XC1にスマートECU20より周波数切替用信号が入力されない場合には、タイヤセンサ31より送信される第2の電波を受信するので、特許文献2に記載された装置のように、TPMSマイコンを搭載しなくてもスマートエントリーとしての受信機能を実現することができる。
【0048】
更に、受信回路11は、第1、第2の周波数切替用端子RCO、CSELにスマートECU20が接続され、第1の周波数切替用端子RCOを介して第1の外部入力端子XC1にスマートECU20より周波数切替用信号が入力された場合、第2の周波数切替用端子CSELを介して第2の外部入力端子XC2に入力される信号により特定される受信周波数で携帯機40より送信される第1の電波を受信することができる。
【0049】
また、第1の周波数切替用端子RCOの電圧レベルに基づいて受信回路11の受信周波数の設定がタイヤセンサ31より送信される第2の電波を受信する周波数となっていることを判定した場合、タイヤセンサ31による第2の電波の送信許可が行われる。すなわち、スマートECU20による受信回路11の使用中に、タイヤ空気圧監視用制御部(19)による第2の電波が送信されてしまうような状況を回避ことができる。
【0050】
また、アンテナ切替用信号入力端子ASELを介してスマートECU20より入力される信号に従って共用アンテナにより受信された受信信号と専用アンテナにより受信された受信信号のいずれかが受信回路11に入力されるようにアンテナ切替回路が切り替わるようにすることができる。
【0051】
また、AND回路18aにより、第1の周波数切替用端子RCOに周波数切替用信号が入力されないときに、第2の周波数切替用端子CSELに入力される信号が第2の外部入力端子XC2へ入力されないようにマスクされるので、例えば、スマートUCU20の故障や周辺ノイズ等により第2の周波数切替用端子CSELに異常信号が入力されても、異常信号による影響を防止することができる。
【0052】
また、AND回路18bにより、第1の周波数切替用端子RCOに周波数切替用信号が入力されないときに、アンテナ切替用信号入力端子ASELに入力される信号がアンテナ切替回路14へ入力されないようにマスクされるので、例えば、スマートECU20の故障や周辺ノイズ等によりアンテナ切替用信号入力端子ASELに異常信号が入力されても、異常信号による影響を防止することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0054】
例えば、上記実施形態では、2つの外部入力端子XC1、XC2端子を有する受信IC16を用いた構成を示したが、このような構成に限定さえるものではなく、外部入力端子XC1のみを有する受信IC16を用いた構成や、3つ以上の入力端子を有する受信IC16を用いた構成としてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、AND回路18a、18bを用いて第1の周波数切替用端子RCOに周波数切替用信号が入力されないときに第2の周波数切替用端子CSELやアンテナ切替回路14に異常信号が入力されないようにマスクする構成を示したが、AND回路以外の論理回路を用いて構成するようにしてもよい。また、AND回路18a、18bを設けることなく、第2の周波数切替用端子CSELの入力された信号が受信回路11のXC1端子に直接入力され、アンテナ切替用信号入力端子ASELに入力された信号がアンテナ切替回路14に直接入力されるように構成してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、チューナ10にTPMSマイコン19を搭載してTPMSとして機能する構成を示したが、例えば、チューナ10の回路基板にTPMSマイコン19を搭載するパッド、SIN端子、SOUT端子等を設けないようにして、チューナ10にTPMS機能を備えない構成としてもよい。そして、このようなTPMS機能を備えない構成のチューナ10と、図2に示したようなTPMSとして機能する構成のチューナ10を選択的にスマートECU20に接続するようにするようにしてもよい。なお、チューナ10にTPMS機能を備えない構成では、チューナ10のRCO端子にスマートECU20の電源が接続されるように構成すればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、本車載装置1に接続されたオートロケーションECU30へLF帯の電波送信の許可を通知する構成を示したが、オートロケーションECU30を備えることなく、本車載装置1に搭載されたTPMSマイコン19から各タイヤセンサ31に対して電波送信を許可するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 車載装置
10 チューナ
11 受信回路
12 アンテナマッチング切替回路
12a 共用アンテナ
13 スマートエントリシステムトランク用専用アンテナ
14 アンテナ切替回路
15 フィルタ
16 受信IC
17 レギュレータ
18a、18b AND回路
19 TPMSマイコン
20 スマートECU
30 オートロケーション用ECU
31 タイヤセンサ
32 アンテナ
40 携帯機
50 メインボデーECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部入力端子(XC1)を有し、当該第1の外部入力端子(XC1)に入力される信号に応じてスマートエントリー用の第1の送信機(40)より送信される第1の電波と、タイヤ空気圧監視用の第2の送信機(31)より送信される第2の電波とを、受信周波数を切り替えて受信する受信IC(16)と、
前記受信周波数を切り替えるための周波数切替用信号を入力するための第1の周波数切替用端子(RCO)と、を備え、
前記第1の周波数切替用端子(RCO)には、接続ケーブルを介して前記スマートエントリー用のスマートエントリー用制御部(20)が接続されるようになっており、
前記受信IC(16)は、前記第1の周波数切替用端子(RCO)に前記スマートエントリー用制御部(20)が接続され、前記第1の周波数切替用端子(RCO)を介して前記第1の外部入力端子(XC1)に前記スマートエントリー用制御部(20)より前記周波数切替用信号が入力された場合、当該周波数切替用信号により特定される受信周波数で前記第1の送信機(40)より送信される前記第1の電波を受信し、前記第1の周波数切替信号用入力端子(RCO)を介して前記第1の外部入力端子(XC1)に前記スマートエントリー用制御部(20)より前記周波数切替用信号が入力されない場合には、前記第2の送信機(31)より送信される前記第2の電波を受信することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記受信IC(16)は、第2の外部入力端子(XC2)を有し、当該第2の外部入力端子(XC2)に入力される信号に応じて前記スマートエントリー用の第1の送信機(40)より送信される周波数の異なる2つの第1の電波を、切り替えて受信することが可能となっており、
前記第1の送信機(40)より送信される前記第1の電波の受信周波数を切り替えるための周波数切替用信号を入力するための第2の周波数切替用端子(CSEL)を備え、
前記第2の周波数切替用端子(CSEL)には、前記接続ケーブルを介して前記スマートエントリー用のスマートエントリー用制御部(20)が接続されるようになっており、
前記受信IC(16)は、前記第1、第2の周波数切替用端子(RCO、CSEL)に前記スマートエントリー用制御部(20)が接続され、前記第1の周波数切替用端子(RCO)を介して前記第1の外部入力端子(XC1)に前記スマートエントリー用制御部(20)より周波数切替用信号が入力された場合、前記第2の周波数切替用端子(CSEL)を介して前記第2の外部入力端子(XC2)に入力される前記信号により特定される受信周波数で前記第1の送信機(40)より送信される前記第1の電波を受信することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記第1の周波数切替用端子(RCO)の電圧レベルに基づいて前記受信IC(16)の受信周波数の設定が前記第2の送信機(31)より送信される前記第2の電波を受信する周波数となっていることを判定した場合、前記第2の送信機(31)による前記第2の電波の送信を許可する送信許可手段(S102)を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記スマートエントリーと前記タイヤ空気圧監視用の共用アンテナ(12a)により受信された受信信号と前記スマートエントリー用の専用アンテナ(13)により受信された受信信号のいずれかを前記受信IC(16)に入力するアンテナ切替回路(14)と、
前記アンテナ切替回路(14)を切り替えるための信号を入力するためのアンテナ切替用信号入力端子(ASEL)と、を備え、
前記アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)には、前記接続ケーブルを介して前記スマートエントリー用制御部が接続されるようになっており、
前記アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)を介して前記スマートエントリー用制御部(20)より入力される前記信号に従って前記共用アンテナにより受信された受信信号と前記専用アンテナにより受信された受信信号のいずれかが前記受信IC(16)に入力されるように前記アンテナ切替回路が切り替わることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車載装置。
【請求項5】
前記第1の周波数切替用端子(RCO)に接続された第1の入力端子と、前記第2の周波数切替用端子(CSEL)に接続された第2の入力端子とを有し、前記第1の入力端子に接続された前記第1の周波数切替用端子(RCO)に前記周波数切替用信号が入力されないときに前記第2の入力端子に接続された第2の周波数切替用端子(CSEL)に入力される信号が前記第2の外部入力端子(XC2)へ入力されないようにマスクする第1の論理回路(18a)を備えたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つまたは3に記載の車載装置。
【請求項6】
前記第1の周波数切替用端子(RCO)に接続された第1の入力端子と、前記アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)に接続された第2の入力端子とを有し、前記第1の入力端子に接続された前記第1の周波数切替用端子(RCO)に前記周波数切替用信号が入力されないときに前記第2の入力端子に接続された前記アンテナ切替用信号入力端子(ASEL)に入力される信号が前記アンテナ切替回路(14)へ入力されないようにマスクする第2の論理回路(18b)を備えたことを特徴とする請求項4に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−62621(P2012−62621A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205287(P2010−205287)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】