説明

車輪の磁粉探傷用磁化装置

【課題】車輪の両側面近傍の空間において該車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度を、車輪のボス部からリム部に亘って十分に確保し得る磁粉探傷用磁化装置を提供する。
【解決手段】本発明は、径方向内側から順にボス部71、板部72及びリム部73を具備する車輪7の磁粉探傷用磁化装置100であって、ボス部71の孔711を貫通する導体1と、導体1の両端部にそれぞれ接続され、車輪7の両側面にそれぞれ対向してボス部71からリム部73まで車輪7の径方向外側に延びる一対の補助導体2とを備え、一対の補助導体2及び導体1には、交流電流が通電されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の磁粉探傷用磁化装置に関する。特に、本発明は、車輪の両側面近傍の空間において該車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度を、車輪のボス部からリム部に亘って十分に確保し得る磁粉探傷用磁化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、径方向内側から順にボス部、板部及びリム部を具備する鉄道車輪(以下、単に車輪という)の品質保証技術として、磁粉探傷法が広く適用されている。
車輪を磁粉探傷するための磁粉探傷装置としては、例えば、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の磁粉探傷装置は、車輪の全表面のいずれの方向の欠陥をも探傷可能とすることを目的として、ボス部の孔に挿入され直流電流が通電される電流貫通極と、車輪の両側面にそれぞれ対向するように配置され交流電流が通電される一対の磁化コイルとを備えている。
特許文献1に記載の磁粉探傷装置によれば、前記電流貫通極によって車輪の周方向に延びる磁束が形成されるため、これによりボス部の孔を中心として放射状に延びる放射状欠陥の検出が可能である。また、前記磁化コイルによって車輪の径方向に延びる磁束が形成されるため、これにより前記孔を中心として同心円状に延びる円周欠陥の検出が可能である。
特許文献1では、JISで規定されているA型標準試験片を用いて欠陥検出能を評価しており、磁粉模様が明瞭に観察できたことが示されている。
【0004】
一方、欧州においては、鉄道用車輪の製造規格として、BN918277、EN13262などがある。BN918277においては、磁化中の車輪の両側面近傍の空間における磁束密度が2.5mT〜8.2mTであることが要求されている。また、EN13262においては、磁化中の車輪の両側面近傍の空間における磁束密度が4mT以上であることが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−344359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の磁粉探傷装置によれば、前述のように、標準試験片に形成される磁粉模様を明瞭に観察可能である。
しかしながら、欧州における車輪の拡販に際して本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の磁粉探傷装置では、車輪の両側面近傍の空間における磁束の磁束密度(特に、車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度)が上記した欧州の規格を満足しないことが分かった。
【0007】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、車輪の両側面近傍の空間において該車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度を、車輪のボス部からリム部に亘って十分に確保し得る磁粉探傷用磁化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、径方向内側から順にボス部、板部及びリム部を具備する車輪の磁粉探傷用磁化装置であって、前記ボス部の孔を貫通する導体と、前記導体の両端部にそれぞれ接続され、前記車輪の両側面にそれぞれ対向して前記ボス部から前記リム部まで前記車輪の径方向外側に延びる一対の補助導体とを備え、前記一対の補助導体及び前記導体には、交流電流が通電されることを特徴とする車輪の磁粉探傷用磁化装置を提供する。
【0009】
本発明に係る車輪の磁粉探傷用磁化装置は、ボス部の孔を貫通する導体を備え、この導体に電流が通電されるため、導体の中心軸を中心とする同心円状に磁束が形成される。すなわち、車輪の周方向に延びる磁束が形成されることになる。導体によって形成される磁束の磁束密度は、導体から離れるに従って(すなわち、リム部に近づくに従って)低下する。
また、本発明に係る車輪の磁粉探傷用磁化装置は、前記導体の両端部にそれぞれ接続され、車輪の両側面にそれぞれ対向してボス部からリム部まで車輪の径方向外側に延びる一対の補助導体を備える。そして、この一対の補助導体に電流が通電されるため、各補助導体の中心軸を中心とする同心円状に磁束が形成される。前述のように、各補助導体は、導体の端部に接続されていると共に車輪の径方向外側に延びるため、各補助導体によって形成される磁束は車輪の周方向に延び、なお且つ、その磁束の向き(補助導体と車輪の側面との間に形成される磁束の向き)は前記導体によって形成される磁束の向きと同一である。また、各補助導体は、車輪のボス部からリム部まで延びるため、各補助導体によって形成される磁束の磁束密度は、車輪のボス部からリム部までほぼ均一となる。従って、導体及び一対の補助導体によって形成される車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度は、導体単独の場合に比べて増加すると共に、導体単独の場合に比べて車輪のボス部からリム部まで均一となりやすい。そして、車輪を磁化する際に車輪を周方向に回転させれば、車輪の両側面近傍の空間全体について、車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度を増加させることができると共に、車輪のボス部からリム部まで磁束密度を均一化させやすくなる。
さらに、本発明に係る車輪の磁粉探傷用磁化装置は、一対の補助導体及び導体に交流電流が通電されるため、表皮効果によって車輪の両側面近傍に磁束が集中し、車輪の両側面近傍の空間における磁束密度を高めることが可能である。
以上のように、本発明に係る車輪の磁粉探傷用磁化装置によれば、車輪の両側面近傍の空間において該車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度を、車輪のボス部からリム部に亘って十分に確保することが可能である。
【0010】
好ましくは、軸心方向が前記車輪の両側面にそれぞれ対向するように配置され、交流電流が通電される一対の磁化コイルを更に備える。
【0011】
斯かる好ましい構成によれば、交流電流が通電される一対の磁化コイルが、それらの軸心方向が車輪の両側面にそれぞれ対向するように配置される。これら一対の磁化コイルによって車輪の径方向に延びる磁束が形成されることになる。
上記好ましい構成によれば、前述のように導体及び一対の補助導体によって車輪の周方向に延びる磁束が形成される一方、一対の磁化コイルによって車輪の径方向に延びる磁束が形成されるため、車輪の両側面のいずれの方向の欠陥をも探傷可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車輪の両側面近傍の空間において該車輪の周方向に延びる磁束の磁束密度を、車輪のボス部からリム部に亘って十分に確保することが可能である。このため、交流電流の電流値等を過度に大きくすることなく適宜設定することにより、欧州における規格BN918277、EN13262を満足させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る磁粉探傷用磁化装置を用いて車輪を磁化している状態を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す磁粉探傷用磁化装置を用いて、車輪の側面近傍の空間における磁束密度を測定した結果の一例を示す。
【図3】図3は、図1に示す磁粉探傷用磁化装置を用いたときの欠陥検出能を評価するために使用した標準試験片を示す模式図である。
【図4】図4は、図3に示す標準試験片に付着した磁粉模様の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁粉探傷用磁化装置を用いて車輪を磁化している状態を示す概略構成図である。図1(a)は、車輪の軸方向に直交する方向から見た正面図を示す。図1(a)において、車輪は断面で表している。図1(b)は、車輪の軸方向から見た平面図を示す。図1(b)において、磁化コイル及び交流電源の図示は省略している。
図1に示すように、本実施形態に係る磁粉探傷用磁化装置(以下、単に「磁化装置」ともいう)100は、径方向内側から順にボス部71、板部72及びリム部73を具備する車輪7の磁粉探傷用磁化装置である。
【0015】
磁化装置100は、導体1と、導体1の両端部にそれぞれ接続された一対の補助導体2(2A、2B)とを備えている。また、磁化装置100は、各補助導体2A、2Bに接続された交流電源4を備えている。
【0016】
導体1は、例えば、銅から形成されており、車輪7のボス部71に設けられた孔(車軸を挿通させるための孔)711を貫通している。本実施形態の導体1は、円柱状の一対の導体片1A、1Bから構成されており、各導体片1A、1Bをそれぞれ車輪7の側面(車輪7の軸方向に直交する方向の側面)から孔711内に挿入して、各導体片1A、1Bの対向する端部同士を当接させた状態としている。
【0017】
交流電源4から各補助導体2A、2Bに交流電流が供給されることにより、導体1にも交流電流が通電される。
導体1に交流電流が通電されることにより、導体1の中心軸を中心とする同心円状に磁束B1が形成される。すなわち、車輪7の周方向に延びる磁束B1が形成されることになる。この導体1によって形成される磁束B1の磁束密度は、導体1から離れるに従って(すなわち、リム部73に近づくに従って)低下する。
なお、図1(b)に示す磁束B1は、導体1に、紙面に垂直な方向の手前側から奥側に電流が流れている状態で形成される磁束を図示している。
【0018】
一対の補助導体2は、例えば、銅から形成されており、前述のように、導体1の両端部にそれぞれ接続されている。具体的には、本実施形態では、一方の補助導体2Aが一方の導体片1Aの端部(導体片1Bと当接しない側の端部)に接続され、他方の補助導体2Bが他方の導体片1Bの端部(導体片1Aと当接しない側の端部)に接続されている。本実施形態の一対の補助導体2は、細長い平板状とされており、車輪7の両側面にそれぞれ対向してボス部71からリム部73まで車輪7の径方向外側に延びている。
なお、本実施形態では、各補助導体2A、2Bが車輪7の軸方向から見て略同一の位置に配置されているが、本発明はこれに限るものではない。例えば、車輪7の軸方向から見て、補助導体2Aと補助導体2Bとが直交するような配置や、補助導体2Aと補助導体2Bの延びる向きが反対方向となるような配置とすることも可能である。
【0019】
交流電源4から各補助導体2A、2Bの端部に交流電流が供給されることにより、各補助導体2A、2Bに交流電流が通電される。各補助導体2A、2Bに交流電流が通電されることにより、各補助導体2A、2Bの中心軸を中心とする同心円状に磁束B2が形成される。前述のように、各補助導体2A、2Bは、導体1の端部に接続されていると共に車輪7の径方向外側に延びるため、各補助導体2A、2Bによって形成される磁束B2は車輪7の周方向に延び、なお且つ、その磁束B2の向き(補助導体2と車輪7の側面との間に形成される磁束B2の向き)は導体1によって形成される磁束B1の向きと同一である。また、各補助導体2A、2Bは、車輪7のボス部71からリム部73まで延びるため、各補助導体2A、2Bによって形成される磁束B2の磁束密度は、車輪7のボス部71からリム部73までほぼ均一となる。
なお、図1(b)に示す磁束B2は、補助導体2Aに、リム部73側からボス部71側に電流が流れている状態(導体1に、紙面に垂直な方向の手前側から奥側に電流が流れている状態)で形成される磁束を図示している。
【0020】
従って、導体1及び一対の補助導体2によって形成される車輪7の周方向に延びる磁束(磁束B1、B2が重畳された磁束)の磁束密度は、導体1単独の場合に比べて増加すると共に、導体1単独の場合に比べて車輪7のボス部71からリム部73まで均一となりやすい。そして、車輪7を磁化する際に車輪7を周方向に回転させれば、車輪7の両側面近傍の空間全体について、車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度を増加させることができると共に、車輪7のボス部71からリム部73まで磁束密度を均一化させやすくなる。
【0021】
さらに、磁化装置100は、一対の補助導体2及び導体1に交流電流が通電されるため、表皮効果によって車輪7の両側面近傍に磁束が集中し、車輪7の両側面近傍の空間における磁束密度を高めることが可能である。
【0022】
以上のように、本実施形態に係る磁化装置100によれば、車輪7の両側面近傍の空間において車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度を、車輪7のボス部71からリム部73に亘って十分に確保することが可能である。
【0023】
また、本実施形態に係る磁化装置100は、好ましい構成として、軸心3Nの方向が車輪7の両側面にそれぞれ対向するように配置された一対の磁化コイル3(3A、3B)を備えている。具体的には、各磁化コイル3A、3Bは、車輪7の側面に対向する軸心3Nの周りに巻回された導線によって形成されており、軸心3Nが車輪7の軸と略一致するように配置されている。また、磁化装置100は、磁化コイル3Aに接続された交流電源5と、磁化コイル3Bに接続された交流電源6とを備えている。
【0024】
交流電源5から磁化コイル3Aに交流電流が供給されることにより、磁化コイル3Aに交流電流が通電され、車輪7の径方向に延びる磁束(車輪7の軸を中心として放射状に延びる磁束)が形成される。同様にして、交流電源6から磁化コイル3Bに交流電流が供給されることにより、磁化コイル3Bに交流電流が通電され、車輪7の径方向に延びる磁束が形成される。
【0025】
本実施形態に係る磁化装置100によれば、前述のように導体1及び一対の補助導体2によって車輪7の周方向に延びる磁束が形成される一方、一対の磁化コイル3によって車輪7の径方向に延びる磁束が形成されるため、車輪7の両側面のいずれの方向の欠陥をも探傷可能である。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例について説明する。
前述した構成を有する磁化装置100を用いて車輪7を磁化し、その際の車輪7の側面近傍の空間における磁束密度(車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度、及び、車輪7の径方向に延びる磁束の磁束密度)を測定する試験を行った。
具体的には、交流電源4から各補助導体2A、2Bに交流電流を供給することにより、各補助導体2A、2B及び導体1に交流電流を通電させ、その際に車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度を測定した。
次に、交流電源4からの交流電流の供給を停止した後、交流電源5から磁化コイル3Aに交流電流を供給すると共に、交流電源6から磁化コイル3Bに交流電流を供給することにより、各磁化コイル3A、3Bに交流電流を通電させ、その際に車輪7の径方向に延びる磁束の磁束密度を測定した。
【0027】
また、本発明の比較例として、前述した特許文献1に記載の装置と同様に、一対の補助導体2を設けることなく、直流電源から導体1に直流電流を供給することにより、導体1に直流電流を通電させ、その際に車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度を測定する試験を行った。
【0028】
なお、実施例及び比較例における磁束密度の測定には、日本マテック社製のドイトロメータを用いた。
【0029】
図2は、以上に説明した試験において磁束密度を測定した結果の一例を示す。図2(a)は、磁束密度を測定した部位(A、B、C)を説明する説明図である。図2(a)において符号Aで示す部位は、車輪7のリム部73と補助導体2Aとの間の空間部位である。また、符号Bで示す部位は、車輪7の板部72(板部72の中央)と補助導体2Aとの間の空間部位である。さらに、符号Cで示す部位は、車輪7のボス部71と補助導体2Aとの間の空間部位である。図2(b)は、図2(a)に示す各部位において車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度を測定した結果を示す。図2(c)は、図2(a)に示す各部位において車輪7の径方向に延びる磁束の磁束密度を測定した結果を示す。
【0030】
図2(b)の実施例に示すように、本実施形態に係る磁化装置100において、補助導体2及び導体1に4500Aの交流電流を通電させることにより、部位A(リム部73近傍の空間部位)、部位B(板部72近傍の空間部位)及び部位C(ボス部71近傍の空間部位)のいずれについても、車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度が規格BN918277で規定されている2.5mT〜8.2mTを満足することが分かった。また、部位A〜部位Cのいずれについても、車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度が規格EN13262で規定されている4mT以上を満足することが分かった。
【0031】
一方、図2(b)の比較例に示すように、導体1に直流電流を通電させるだけでは、その電流値を6000Aと大きく設定したとしても、部位Cについて、車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度が規格BN918277を満足するだけであった。部位A〜部位Cのいずれについても、車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度は規格EN13262を満足しなかった。
仮に、導体1に通電させる電流値を6倍(36000A)程度に高めることが可能であるならば、部位A〜部位Cのいずれについても、車輪7の周方向に延びる磁束の磁束密度が規格EN13262を満足する可能性はある。しかしながら、部位Cについては、磁束密度が過度に大きくなりすぎて、規格BN918277を満足しない可能性が高い。
【0032】
このように、本実施形態に係る磁化装置100によれば、導体1及び一対の補助導体2によって磁束を形成するため、導体1単独の場合に比べて小さな電流で磁束密度が増加すると共に、導体1単独の場合に比べてボス部71からリム部まで均一な磁束密度になりやすい。従って、規格BN918277及び規格EN13262を比較的容易に満足させることが可能である。
【0033】
また、図2(c)の実施例2に示すように、本実施形態に係る磁化装置100の磁化コイル3のターン数を5として、3000Aの交流電流を通電させることにより、部位A、部位B及び部位Cのいずれについても、車輪7の径方向に延びる磁束の磁束密度が規格BN918277に規定された2.5mT〜8.2mTを満足することが分かった。ただし、部位Aについては、車輪7の径方向に延びる磁束の磁束密度が規格EN13262に規定された4mT以上にやや足りなかった。
【0034】
このため、図2(c)の実施例1に示すように、磁化コイル3のターン数を5から7に増加させて磁化強度を高めたところ、部位A〜部位Cのいずれについても、車輪7の径方向に延びる磁束の磁束密度が規格BN918277及び規格EN13262の双方を満足することが分かった。
【0035】
なお、本実施形態に係る磁化装置100を用いて車輪7を磁化し、図3に示すようなASTMで規定されている標準試験片(ASTM CX−230)を用いて欠陥検出能を評価する試験も行った。図4は、この試験によって観察された標準試験片に付着した磁粉模様の一例を示す。
【0036】
本実施形態に係る磁化装置100によれば、前述のように、従来の導体1単独の場合に比べて小さな電流で磁束密度が増加すると共に、従来の導体1単独の場合に比べてボス部71からリム部73まで均一な磁束密度が得られる。このため、従来と同等以上に明瞭に磁粉模様を観察可能であることが確認できた。
【符号の説明】
【0037】
1・・・導体
1A,1B・・・導体片
2,2A,2B・・・補助導体
3,3A,3B・・・磁化コイル
4,5,6・・・交流電源
7・・・車輪
71・・・ボス部
72・・・板部
73・・・リム部
100・・・磁粉探傷用磁化装置
711・・・ボス部の孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内側から順にボス部、板部及びリム部を具備する車輪の磁粉探傷用磁化装置であって、
前記ボス部の孔を貫通する導体と、
前記導体の両端部にそれぞれ接続され、前記車輪の両側面にそれぞれ対向して前記ボス部から前記リム部まで前記車輪の径方向外側に延びる一対の補助導体とを備え、
前記一対の補助導体及び前記導体には、交流電流が通電されることを特徴とする車輪の磁粉探傷用磁化装置。
【請求項2】
軸心方向が前記車輪の両側面にそれぞれ対向するように配置され、交流電流が通電される一対の磁化コイルを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の車輪の磁粉探傷用磁化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−68564(P2013−68564A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208707(P2011−208707)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【出願人】(591027042)日本電磁測器株式会社 (17)
【Fターム(参考)】