説明

車輪用タイヤを製造する方法およびプラント

タイヤを製造するための方法およびプラントであって、半完成部品を組み立てて、不完全なグリーンタイヤ構造(13)を製造するためのライン(100)が、所定の経路に沿って生エラストマー材料の連続する長い要素を堆積して、タイヤの構成要素、たとえばトレッドバンドおよび/または側壁を形成して、前記構造を完成させるためのステーション(200)に結合される方法およびプラント。この方法は、組立てライン(100)と完成ステーション(200)との間で不完全なグリーンタイヤ構造(13)を一時的に保管するためのステップを想定し、このステップは、主に「調整」機能を果たし、その結果、組立てラインが作動しているときは組立てラインの製造物を吸収することができ、組立てラインが停止したときでさえ完成ステーションに絶えず供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、車輪用タイヤを製造する方法、および前記製造方法を実施するために使用可能なプラントに関する。
【0002】
車輪用タイヤは、一般に、少なくとも1つのカーカスプライを備えたカーカス構造であって、環状補強構造の周囲に折り返されてそれぞれ対向する末端縁部を有し、一般に各々の補強構造は、実質的に周方向環状挿入物により形成され、該挿入物上には、少なくとも1つの充填挿入物が半径方向外側位置に付与される、カーカス構造を備える。
【0003】
カーカス構造は、一般に、カーカス構造に対応して、1つまたは複数のベルト層を備えるベルト構造であって、このベルト層が、互いに対して、かつカーカスプライに対して半径方向に重畳して配置されて、織布または金属補強コードを有し、この織布または金属補強コードが、交差する方位を有し、および/またはタイヤの周方向延在方向に実質的に平行である、ベルト構造を有する。やはり、タイヤの他の半完成構成部品と同様にエラストマー材料から製造されるトレッドバンドは、ベルト構造の半径方向外側位置に付与される。
【0004】
本発明の説明部分および請求の範囲の文脈に関して、「生エラストマー材料」という用語は、少なくとも1種類のエラストマーポリマーと少なくとも1種類の補強充填剤とを含む組成物を意味すると解釈されることを指摘しなければならない。好ましくは、この組成物は、たとえば架橋剤および/または可塑剤などの添加剤も含む。架橋剤が存在すると、この材料は加熱により架橋して、完成品を形成する。
【0005】
エラストマー材料から製造されるそれぞれの側壁も、カーカス構造の側面に付与され、トレッドバンドの側縁の一方からそれぞれの環状ビード−補強構造まで各々が延在し、構造によっては、前記側壁がそれぞれの半径方向外側末端縁部を有し、この末端縁部が、トレッドバンドの側縁上に重畳し、一般に「上にある側壁」として周知のタイプの構造上の配置を形成するか、または「下にある側壁」として公知のタイプの構造上の配置では、カーカス構造とトレッドバンド自体の側縁との間に位置するように配される。
【0006】
公知の殆どのタイヤ製造方法では、カーカス構造およびベルト構造は、それぞれのトレッドバンドと共に、それぞれのワークステーションで互いに別個に製造され、その後、一緒に組み立てられることを想定している。
【0007】
詳細には、カーカス構造の製造は、先ず、1つまたは複数のカーカスプライを、通常「構築ドラム」と呼ばれる第1ドラム上に堆積し(deposit)、円筒状スリーブを形成することを想定している。環状ビード−補強構造は、1つまたは複数のカーカスプライの対向する末端縁部上に取り付けられるかまたは形成され、その結果、1つまたは複数のカーカスプライは前記環状構造の周囲に折り返される。
【0008】
同時に、外側スリーブは、第2ドラムまたは補助ドラム上に製造され、前記スリーブは、相互に重畳された半径方向の配置で堆積されたベルト層と、ベルト層上の半径方向外側位置に付与されたトレッドバンドとを備える。次に、外側スリーブを補助ドラムから取り外して、カーカススリーブに結合する。外側スリーブは、この目的上、カーカススリーブの周囲に同軸状に配置され、次に、1つまたは複数のカーカスプライは、ビードを軸方向に互いの方向に移動させることで、トロイダル構成に賦形され、同時に圧力下の流体をカーカススリーブの内側に導入して、ベルトリングおよびトレッドバンドをタイヤのカーカス構造上の半径方向外側位置に付与する。カーカススリーブおよび外側スリーブの組立ては、カーカススリーブの製造に使用する同じドラム上で行ってもよく、この場合、「1段階構築プロセス(unistage building process)」と呼ぶ。このタイヤの構築プロセスは、たとえば米国特許第3,990,931号明細書に記載されている。
【0009】
別法によると、組立ては、カーカススリーブおよび外側スリーブが移送される、いわゆる賦形ドラム上で行うことができ、その結果、タイヤの構築は、たとえば米国特許第4,207,133号明細書およびEP0 081 858号明細書に記載されているように、いわゆる「2段階構築プロセス」で行なうことができる。
【0010】
従来の構築方法では、トレッドバンドは、一般に、連続的に押し出された輪郭部品(profiled part)から製造され、幾何学的形状を安定させるために冷却された後、適切なプラットフォームまたはリール上に保管される。次に、部分または連続ストリップの形態の半完成品は供給ユニットに搬送され、供給ユニットは、連続ストリップから、部分を取り出すか、または所定の長さの部分を切断し、各々が、加工されるタイヤのベルト構造上に周方向に付与されてトレッドバンドを形成する。
【0011】
欧州特許出願公開第1,211,057A2号明細書には、グリーンタイヤの製造時に、少なくとも1つの構成要素、たとえば側壁が、実質的に円筒状のカーカス構造の中央部分を半径方向外側に賦形して形成され、次に、この中央部分の周囲に非加硫ゴムストリップを巻き、賦形されたカーカス構造の外周面上にゴムストリップを結合するタイヤ製造方法が示されている。
【0012】
欧州特許出願公開第1,201,414A2号明細書には、非加硫ゴム構成部品を組み立ててグリーンタイヤを形成するステップと、グリーンタイヤを加硫処理するステップと、非加硫ゴムストリップをグリーンタイヤの周囲に巻き、巻かれた要素は全体として、少なくとも1つの非加硫ゴム構成部品に対して所定の断面形状を有し、その結果、少なくとも1つの前記非加硫ゴム構成部品を形成するようにするタイヤ製造方法が記載されている。
【0013】
本願特許出願人は、半完成構成部品の組立てによるタイヤの製造方法に関連して、連続する長い要素を所定の経路に沿って巻くことにより、エラストマー材料から製造される構成タイヤ要素、特に、トレッドバンドおよび/または側壁の構成要素を製造することを伴う少なくとも1つのステップを導入することで、生産融通性(production flexibility)および製品の品質の点で著しい改善が得られる可能性を調査した。
【0014】
本発明の説明部分および請求の範囲の文脈に関して、「不完全なグリーンタイヤ構造」、より簡潔には「不完全な構造」は、加工されるグリーンタイヤであって、軸方向に互いに離間配置された環状補強構造に結合する実質的にトロイダル状のカーカス構造と、任意に、このカーカス構造にクラウン領域において結合するベルト構造とを備え、エラストマー材料から製造された少なくとも1つの構成タイヤ要素を備えないグリーンタイヤを意味すると解釈されることを指摘しなければならない。好ましくは、前記少なくとも1つの構成タイヤ要素は、トレッドバンド、トレッドバンド下層、側壁および耐磨耗ストリップの中から選択する。
【0015】
本発明の説明部分および請求の範囲の文脈に関して、「半完成構成部品組立てライン」、より簡潔には「組立てライン」は、別個に製造されて保管され、後に構築マシンに供給される半完成構成部品から、不完全なグリーンタイヤ構造を構築し、後に賦形するための一連の装置を意味するものと解釈し、こうした装置の実施例は、以下のとおりである。構築ドラム(通常、「第1段階ドラム」と呼ばれる)、賦形ドラム(通常、「第2段階ドラム」と呼ばれる)、構築および賦形ドラム(通常、「1段階ドラム」と呼ばれる)、ベルト構造を製造するためのドラム(通常、「補助ドラム」と呼ばれる)、不完全なグリーンタイヤ構造を移送するためのデバイス、ベルト構造を移送するためのデバイス、半完成品(たとえば、カーカスプライ、充填要素、ベルトストリップ、周方向環状補強挿入物または「ビードコア」を含む)を製造するためのマシン、上記の半完成品を保管するためのデバイス、並びに半完成品を上記ドラムに供給するためのマシン。
【0016】
本発明の説明部分および請求の範囲の文脈に関して、「連続する長い要素を堆積して完成させるためのステーション(または、ラインを含む)」、より簡潔には「完成ステーション」もしくは「完成ライン」という用語は、上記の不完全なグリーンタイヤ構造を完成させるための一連の装置であって、前記不完全なグリーンタイヤ構造を取り扱うための自動化デバイスと、生エラストマー材料の連続する長い要素を供給および付与するためのデバイスとを備える装置を意味するものと解釈する。完成は、上記の連続する長い要素であって、以下「長形要素」とも呼ばれるものを用いて、現場で製造し、つまりタイヤの前記構成要素が形成される直前に、前記長形要素を保管する段階を伴わなずに、エラストマー材料から製造される、前記タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成することで、達成される。
【0017】
本願特許出願人は、上記の生産融通性を達成するため、不完全なグリーンタイヤ構造を製造する組立てラインと、エラストマー材料から製造される少なくとも1つの構成タイヤ要素を形成して、前記不完全な構造を完成させる完成ラインとを結合するという目標を定めた。
【0018】
こうした異なる製造ラインの組合せにより、生産性実績の変動と、これらの製造ラインに代表的な異なる効率レベルとを調整して、高度の生産性を高レベルの生産効率と結びつける必要性が生じた。特に、本願特許出願人は、組立てラインが高度の生産性、つまり短いサイクル時間(1分またはそれ以下の)を有することを確認した。ここで「サイクル時間」は、部品(特定の場合は、不完全なグリーンタイヤ構造)の製造に必要な時間を意味する。組立てラインの高生産性は、完成ステーションとの組合せにより、組立てプロセスから、エラストマー材料から製造される少なくとも1つの構成タイヤ要素、特にトレッドバンドおよび/または側壁を付与することを伴う段階を排除することが可能であるという事実によりさらに増加する。一方、組立てラインは、かなり低く、一般に60〜70%以下というレベルの効率(つまり、実際の製造時間とプログラムされた製造時間との比率)を有し、それは、たとえば、半完成品を供給するリールを変更する必要性により、および使用する機械類が非常に複雑であるための誤作動によっても、機械の停止が反復することが原因である。これに対して、連続する長い要素を堆積して完成させるためのラインは、生産性が比較的低く、サイクル時間は一般に1.6〜2.3分の範囲であるが、同時に、効率は高い(80〜90%)。それは、使用する機械類の構造が相対的に単純であり、長形要素の連続生産により保管リールを必要としないため、マシンの停止が限られているためである。
【0019】
本願特許出願人は、半完成構成部品を組み立てるラインと、連続する長い要素を堆積して完成させるラインとを単一のプラント内に結合し、組立てラインと完成ステーションとの間における不完全なグリーンタイヤ構造を一時的に保管することを伴うステップにより、様々なラインの生産実績の変動および異なる効率レベルを調整することが可能であることを発見した。組立てラインにより製造される不完全な構造を一時的に保管することを伴うステップは、主に「調整」機能を果たし、その結果、組立てラインが作動しているときは組立てラインの製造物を吸収することができ、組立てラインが停止したときでさえ完成ステーションに絶えず供給することができる。
【0020】
本願特許出願人は、組立てラインと完成ラインとの上記の組合せは、少なくとも2つの不完全な構造を同時に処理できる完成ステーションを提供することにより、さらに改善されることを発見した。こうして、一時的な保管段階における不完全なグリーンタイヤ構造により、また完成ステーションが、組立てラインの停止時にも作動し続けるという事実により、消費される時間を短縮することができる。
【0021】
本発明は、第1の態様によると、タイヤを製造する方法であって、
(i)少なくとも1つの組立てラインで、実質的にトロイダル状の不完全なグリーンタイヤ構造を順次製造するステップであって、各々の不完全な構造の製造が、
(i−a)互いに軸方向に離間配置された環状補強構造と使用可能に(operationally)結合する少なくとも1つのカーカスプライを備える実質的に円筒状スリーブの形態のカーカス構造を構築するステップと、
(i−b)実質的にトロイダル状になるようにカーカス構造を賦形するステップを含む、ステップと、
(ii)前記少なくとも1つの組立てラインにより製造された不完全な構造を一時的に保管するステップと、
(iii)不完全な構造を少なくとも1つの完成ステーションに移送するステップと、
(iv)前記少なくとも1つの完成ステーションにおいて、各々の不完全な構造に、所定の経路に沿って生エラストマー材料の少なくとも1つの連続する長い要素を堆積して、タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成するステップと、
(v)こうして製造されたグリーンタイヤに加硫処理ステップを行なうステップとを含む方法に関する。
【0022】
好ましい実施態様によると、少なくとも2つの不完全な構造は、同じ完成ステーションで同時に処理される。
【0023】
好ましい実施態様によると、少なくとも2つの不完全な構造に対して、同じ完成ステーション内で、タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成することを伴うステップ(iv)に同時に行なわれる。
【0024】
製造されるタイヤがベルト構造も必要とする場合、本発明による方法では、ステップ(i)は、
(i−c)ベルト構造を製造するステップと、
(i−d)ベルト構造を前記カーカス構造に結合するステップとをさらに含む。
【0025】
この場合、ベルト構造をカーカス構造と結合するステップ(i−d)は、カーカス構造を実質的にトロイダル状に賦形することを伴うステップ(i−b)の前後または同時に行なうことができる。
【0026】
その他の態様では、本発明は、タイヤを製造するプラントであって、
実質的にトロイダル状の不完全なグリーンタイヤ構造を製造する少なくとも1つの組立てラインであって、実質的に円筒状スリーブの形態のカーカス構造を構築するための少なくとも1つの装置と、実質的にトロイダル状であるように、前記カーカス構造を賦形するための少なくとも1つの装置とを備え、前記カーカス構造が、互いに軸方向に離間配置された環状補強構造と使用可能に結合された少なくとも1つのカーカスプライを備える、組立てラインと、
前記少なくとも1つの組立てラインにより製造された不完全な構造を一時的に保管するための少なくとも1つの保管ステーションと、
少なくとも1つの完成ステーションであって、生エラストマー材料の連続する長い要素を供給するための少なくとも1つの部材と、前記組立てラインにより供給される不完全な構造を取り扱う少なくとも2つのユニットとを備え、前記取扱ユニットが、前記不完全な構造に対して、不完全な構造の少なくとも一方の軸を中心とした回転運動(rotational movement)と、前記少なくとも1つの供給部材に対する平行移動(translatory movement)とを与えて、前記不完全な構造に、所定の経路に沿って前記連続する長い要素を堆積して、タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成する完成ステーションとを備えるプラントに関する。
【0027】
さらに他の態様によると、本発明は、不完全なグリーンタイヤ構造を完成するステーションであって、
生エラストマー材料の連続する長い要素を供給するための少なくとも1つの部材と、
不完全なグリーンタイヤ構造を取り扱うための少なくとも2つのユニットであって、前記取扱ユニットが、前記不完全な構造に対して、前記不完全な構造の少なくとも一方の軸を中心とした回転運動と、前記少なくとも1つの供給部材に対する平行移動とを与えて、前記不完全な構造に、所定の経路に沿って前記連続する長い要素を堆積して、タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成するユニットとを備える完成ステーションに関する。
【0028】
好ましい一実施態様によると、前記完成ステーションは、連続する長い要素を供給するための少なくとも2つの部材を備える。
【0029】
その他の特性的な特徴および利点は、本発明に基づく車輪用タイヤを製造するための方法およびプラントに関する、好ましいが排他的ではない実施態様の詳細な説明から、より明確に分かるであろう。
【0030】
この説明は、本明細書において、添付の図面に関して行なうが、これらの図面は、非制限的な実施例の単なる一例として示すものである。
【0031】
図1を参照すると、1は、本発明によりタイヤを製造するためのプラントであって、組立てライン100と、完成ステーション200と、保管ステーション300とを備えるプラントを全体的に指示する。
【0032】
本発明は、一般的にタイヤ、たとえば図3に2で全体的に示すタイプのタイヤであって、本質的に、実質的にトロイダル状のカーカス構造3と、カーカス構造3の周囲の半径方向外側位置に周方向に延在するベルト構造4と、ベルト構造4の半径方向外側位置に付与されるトレッドバンド5と、カーカス構造3上に側方に、対向側部に付与される1対の側壁6であって、各々、トレッドバンドの側縁から、前記カーカス構造の半径方向内縁付近の領域に延在する側壁とを備えるタイヤを製造することを目的とする。
【0033】
各々の側壁6は、対応する半径方向外側端部部分6aであって、図5に点線で示すように、通常「下にある側壁」として周知のタイプの構造的配置に従って、トレッドバンド5の端部により少なくとも部分的に被覆された部分6aを有する。別法によると、側壁6の半径方向外側端部部分6aは、図5に実線で示すように、トレッドバンド5の対応する端部上に側方に重畳して、通常「上にある側壁」として周知のタイプの構造的配置を形成する。
【0034】
カーカス構造3は、1対の環状補強構造7を備え、この構造7は、通常「ビード」と呼ばれる領域に組み込まれ、各々の構造は、たとえば、実質的に周方向の環状補強挿入物8であって、通常「ビードコア」と呼ばれ、半径方向外側位置にエラストマー充填物9を支持する挿入物8から構成される。1つまたは複数のカーカスプライ10の末端縁部10aは、各々の環状補強構造の周囲に折り返され、前記プライは、タイヤ2の周方向を横断して延在する織布または金属コードを備え、こうしたコードは、必要に応じて、環状補強構造7の一方から他方まで、所定の傾斜を有する。
【0035】
自立式タイヤ、または特殊な用途のために設計されるタイヤの場合、たとえば、通常「ルーネット」と呼ばれるタイプの補助補強挿入物を想定することもでき、こうした挿入物は、側壁6の付近で、カーカスプライ10の内側または互いに結合された2つのカーカスプライの間に付与される。図5に点線11で示すように、これらの補助弾性支持挿入物は各々、半径方向内側縁部11aが環状補強構造7の一方の付近に配置され、半径方向外側縁部11bがベルト構造4の側縁4aの付近に配置される。
【0036】
次に、ベルト構造4は、1つまたは複数のベルト層12a、12bであって、互いに隣接したベルト層の間でそれぞれ交差した状態で、タイヤの周方向延在部分に対して適切に傾斜している金属または織布コードを備えたベルト層12a、12b、ならびに、ベルト層12a、12bの周囲に軸方向に隣接する巻回で周方向に巻かれた1つまたは複数のコードを備えた任意の外側ベルト層12cとを備えている。側壁6およびトレッドバンド5の各々は、本質的に、適切な厚さの少なくとも1つのエラストマー材料層を備える。トレッドバンド5は、トレッドバンド5に対応して、適切な組成および物理/化学特性を有するエラストマー材料の、いわゆる下層(図示しない)も有し、この下層は、実際のトレッドバンドと下にあるベルト構造4との間の界面として作用する。
【0037】
カーカス構造3およびベルト構造4のそれぞれの構成部品、たとえば、特に環状補強構造7、カーカスプライ10、ベルト層12a、12b、および外側ベルト層12cを形成することを意図されたその他の補強要素は、それ以前の処理ステップで製造された半完成品の形態でプラント1に供給され、その結果、これらは互いに適切に組み立てることができる。
【0038】
組立てライン100は、一般に、1つまたは複数のカーカスプライ10が最初に上に巻かれる構築ドラム14を備え、前記1つまたは複数のプライは供給装置14a(先行技術で十分に周知の方法で実現されるため、詳細には説明しない)から供給され、この供給装置に沿って、構築ドラム14の周方向延在部分に関連する適切な長さの部分に切断された後、構築ドラム14上に付与されて、実質的に円筒状の、いわゆる「カーカススリーブ」を形成する。環状補強構造7はプライ10の末端縁部10a上に取り付けられ、前記末端縁部10aは折り返され、その結果、プライ10により形成されたバックフォルド内に補強構造を係合させる。必要に応じて、組立てライン100は、予備ステップで付与される、または1つまたは複数のプライ10および/またはカーカス構造3のその他の構成部品を堆積すること(deposition)を伴うステップで挿入される、補助補強挿入物を、1つまたは複数のカーカスプライ10に結合するためのデバイスを備える。特に、上記の補助弾性補強挿入物または「ルーネット」11は、1つまたは複数のカーカスプライ10を付与する前に構築ドラム14上に直接付与するか、または追加のカーカスプライ10を付与する前に一方のカーカスプライ上に付与することが想定される。
【0039】
構成部品の組立てが完了した後、移送デバイス(図示しない)は、カーカス構造3を構築ドラム14から取り出して、カーカス構造3を賦形ドラム15上に移送する。
【0040】
別法によると、カーカス構造3の構成部品の組立ては、賦形ドラム15上に直接行なわれ、したがって、賦形ドラム15は構築ドラムの機能も果たし、この場合、ドラム15は、「1段階」と呼ばれるタイプであり、供給装置14aから供給される1つまたは複数のカーカスプライ10および環状補強構造7は、ドラム15上に直接組み立てられ、したがって、構築ドラム14を使用する必要はない。
【0041】
ベルト構造は、一般に補助ドラム16上に形成されて、その後、カーカス構造2に結合される。詳細には、そのために、補助ドラム16は、ベルト構造4を付与するためのデバイス17と相互に作用することが可能であり、このデバイス17は、たとえば、少なくとも1つの供給装置17aを備え、この供給装置17aに沿って、連続ストリップの形態の半完成品が供給され、次に、補助ドラム16の周方向延在部分に対応する長さを有する部分に切断され、それと同時に、対応するベルト層12a、12bが補助ドラム16上に形成されることが想定される。1つまたは複数の追加の補強挿入物、たとえば、ベルト層12a、12bの上部に付与されて、軸方向に隣接する周方向巻回の形態の外側ベルト層12cを形成する連続コードを供給する組立体(図示しない)も、ベルト層を供給する装置17aに結合される。
【0042】
適切な移送デバイスが作動すると、補助ドラム16上に配置されたベルト構造4は、補助ドラム16から離脱し、円筒状スリーブの形態で賦形ドラム15上に配置されたカーカス構造上に移送される。移送デバイスは、実質的に環状の形状を有する移送部材18(一般に、「移送デバイス」と呼ばれる)を備え、この移送部材18は、補助ドラム16の周囲に配置されるまで移動し、ベルト構造4を補助ドラム16から取り出す。補助ドラム16は、本質的に公知の方法でベルト構造4を離脱させ、ベルト構造4は、移送部材18により移動して、カーカス構造3を支持する賦形ドラム15上の同軸状の中心位置に配置される。賦形ドラム15は、賦形ドラム自体が、賦形ドラム上のカーカス構造3に係合するように設計されたデバイスと相互作用することが可能な位置から移動すると、移送部材18と相互作用することが可能であると想定される。
【0043】
次に、環状補強構造7を互いに軸方向に移動させて、同時に、圧力下の流体を内部に導入することで、1つまたは複数のカーカスプライ10を、移送部材18により保持されたベルト構造4の内面に接触させることによって、カーカス構造3がトロイダル構成に賦形される。圧延ステップ(rolling step)は、任意の適切な方法で行なうことができ、賦形ステップ後、または賦形ステップと同時にベルト構造4上で行なわれ、ベルト層12a、12b、12cは1つまたは複数のカーカスプライ10に対してより良好に付着する。
【0044】
次に、各々の不完全なグリーンタイヤ構造13は、保管ステーション300に移送され、次に完成ステーション200に移送される。
【0045】
本発明による方法の好ましい実施態様によると、不完全な構造13は賦形ドラム15から離脱され、手動または自動搬送デバイスを使って、完成ステーション200に移送されるまで、完成ステーション200に隣接する保管ステーション300内に配置される。
【0046】
別法による実施態様では、不完全な構造13は賦形ドラム15上に保持され、手動または自動搬送デバイスを使用して保管ステーション300内に配置される。
【0047】
保管ステーション300は、1つもしくは複数の手動キャリッジまたは1つもしくは複数の自動もしくは半自動プラットフォーム(図1に略図を示す)を備え、その上に不完全な構造13が配置される。
【0048】
完成ステーション200に対する不完全な構造13の移送は(処理される不完全な構造は、13a、13bで示す)、好ましくは取扱い部材20a、20b(以下で詳細に説明する)により行ない、これらの取扱い部材は、各々の不完全なグリーンタイヤ構造を順に取り出して、これらに供給部材19a、19b、19cの作用を受けさせる。
【0049】
このため、各々の取扱い部材20a、20bには、自動化アーム21の端部に支持部材15a、15bが設けられ、これらの支持部材上には、不完全な構造13a、13bが支持されて移動される。支持部材15a、15bは、たとえば、各保管ステップ後に、不完全な構造13が上に移送されるドラムにより形成される。このドラムは、一般に、不完全な構造自体を賦形(必要な場合、構築も)するために使用される構造に類似する構造を有する。
【0050】
別法によると、支持部材15a、15bは、その上で各々の不完全な構造13a、13bが賦形された(必要な場合、構築も行なわれる)ドラムと同じ賦形ドラム15である。この場合、上記のとおり、組立てステップの後、各々の不完全なタイヤ構造13a、13bは、その賦形ドラム15上に係合した状態を維持し、上で述べたように保管ステーション300、次に完成ステーション200に移送され、タイヤの少なくとも1つの構成要素が付与される。賦形ドラム15は、完了後に得られるグリーンタイヤ13cから離脱すると、組立てライン100に戻り、別のタイヤ構造13を製造するために再使用される。
【0051】
上記のグリーンタイヤ構造13a、13bを完成するには、タイヤ2の少なくとも1つの構成要素、たとえばトレッドバンド、下層、側壁または耐磨耗性ストリップを付与する必要があることを説明しなければならない。以下で、一例として、トレッドバンドおよび側壁を堆積する場合のみを説明するが、同じ手順を使用して、上記の不完全なタイヤ構造上に、上記のタイヤ2を完成するために必要なすべてのエラストマー材料からなる構成要素を堆積することが可能である。
【0052】
本発明によると、タイヤの構成要素、たとえばトレッドバンド5および/または側壁6を付与することを伴う少なくとも1つのステップは、生エラストマー材料の少なくとも1つの連続する長い要素を所定の経路に沿って、好ましくは前記不完全なタイヤ構造の幾何学的軸(好ましくは、実質的に半径方向に対称の軸)の周囲に連続する巻回で、堆積することにより行なわれる。
【0053】
好ましくは、トレッドバンド5の付与、および側壁6の付与は共に、以下に詳細に説明するように、上記の手順を使用して行なわれる。しかし、別の方法で、たとえば側壁を供給するための装置(図示しない)により側壁6を形成することも可能であり、こうした装置は、ワークステーションに結合し、エラストマー材料の連続ストリップの形態の少なくとも1つの半完成品を供給するように設計され、側壁は、この半完成品から、構築ドラム15の周方向延在部分および得られるタイヤ2に応じて、所定の長さの部分の形態に切断される。同様に、トレッドバンド5は、たとえば、連続ストリップ状の半完成品であって、適切な長さの部分に切断する作業によりトレッドバンドが得られる半完成品を供給する装置により、補助ドラム16上に形成されたベルト構造4に対して直接製造することができる。
【0054】
別法による好ましい解決方法では、前記完成ステーション200の内部には、少なくとも2つ、より好ましくは3つの供給部材19a、19b、19cが存在し、前記供給部材の各々は、生エラストマー材料のそれぞれの連続する長い要素を不完全な構造13a、13b上に、好ましくは前記カーカス構造3の軸方向外側の位置、および/または前記ベルト4の半径方向外側の位置に堆積するように、設計される。各々の供給部材19a、19b、19cは、たとえば、押出機、付与ローラまたはその他の部材を備え、これらは、処理されるタイヤに隣接して配置される場合、生エラストマー材料の連続する長い要素を不完全な構造13a、13bに直接供給および堆積させ、それと同時に、前記不完全な構造13a、13bの軸の周囲に前記長い要素を巻く。
【0055】
詳細には、少なくとも1つの供給部材19aが、トレッドバンド5をベルト構造4の半径方向外側位置に付与するためのユニットの一部を形成することが想定される。第1供給部材19aは、第1の連続する長い要素をベルト構造4に対して直接供給し、トレッドバンド5を形成するように設計することができる。
【0056】
トレッドバンド5の製造が、いわゆる下層の形成を必要とする場合、第1供給部材19aが介入する前に、第2供給部材19bがベルト構造4に対して直接、上記のエラストマー材料の下層を形成するように意図される第2の長い要素を堆積することが想定される
【0057】
側壁6を1つまたは複数のカーカスプライ10の軸方向外側位置に付与するためのユニットの一部を形成する第3の供給部材19cも、想定することが好ましい。第3の供給部材19cは、第3の連続する長い要素をカーカスプライ10に対して直接供給するように設計される。
【0058】
異なる実施態様では、上記の3つの供給部材19a、19bおよび19cは、それぞれ第1トレッドバンド、第2トレッドバンドおよび側壁を形成することを意図されると想定することができる。この場合、取扱ユニット20aは、このユニットに対応する不完全な構造13aを部材19aおよび19cの付近に運び、取扱ユニット20bは、このユニットに対応する不完全な構造13bを部材19bおよび19cの付近に運ぶ。こうして、たとえば、互いに異なる混合物を含むトレッドバンドを有する2つのタイヤに対して同時にに処理することが可能である。
【0059】
前記完成ステーション200では、各々の取扱ユニット20a、20bは、供給部材19a、19b、19cと相互作用して、不足している1つまたは複数の構成要素、たとえばトレッドバンド5および/または側壁6を製造する。各々の取扱ユニット20a、20bは、事実上、前記不完全な構造13a、13bを支持する支持部材15a、15bを作動させて、前記不完全なタイヤ構造の幾何学的軸(好ましくは、実質的に半径方向に対称な軸)の周囲で前記不完全なタイヤ構造を回転させ、各々の長い要素が、上記の不完全な構造13a、13bに対して周方向に分配されるようにする。同時に、取扱ユニット20a、20bは、不完全な構造13a、13bと供給部材19a、19b、19cとの制御された相対運動を行なって、長い要素を周方向の巻回で分配し、所望の厚さおよび幾何学的形状要件に従ってトレッドバンド5および/または側壁6を形成する。
【0060】
図1および図2に示す、構造上好ましい解決方法では、各々の取扱ユニット20a、20bは、支持部材15a、15bが、たとえば支持部材の幾何学的軸と一致するシャンク29により片持ち梁状に固定される終端ヘッド22を支持する少なくとも1つの自動化アーム21内に組み込まれる。図示(図2)の実施例では、自動化アーム21は、固定プラットフォーム24上の第1垂直軸の周囲で回転可能な基部23と、第2の好ましくは水平軸の周囲で揺動するように基部23に拘束された第1部分25と、やはり好ましくは水平である第3の軸の周囲で揺動するように第1部分25に拘束された第2部分26と、第3の揺動軸に対して垂直な軸に沿って、第2部分26により回転可能に支持された第3部分27とを備える。自動化アーム21のヘッド22は、その端部が、互いに対して垂直な第5および第6の揺動軸の周囲で揺動することが可能であるように、第3部分27に拘束され、モータ28により回転可能に作動することが可能な一次ドラム15を回転可能に支持する。
【0061】
自動化アーム21は、不完全な構造13a、13bを、下層の形成に意図された第2供給部材19b(該当する場合)の前面に、次に第1供給部材19aの前面に搬送して適切に移動させ、この動作で、トレッドバンド5の形成が完了する。
【0062】
次に、不完全な構造13a、13bは、第3供給部材19cに移送されて、第3供給部材19cの前面に適切に移動され、一方の側壁6が、おおよそ環状補強構造7から開始して、以前に形成されているトレッドバンド5の対応する側縁まで、カーカス構造3に対して側方に形成される。第3供給部材19cの前面で不完全な構造13a、13bが転倒すると、先に形成された側壁6に対向するカーカス構造3の側部で、第2の側壁6の形成が開始される。
【0063】
上記の作動シーケンスは、側壁6の半径方向外側端部部分6aが、通常「上にある側壁」と呼ばれるタイプの構造的配置に従って、トレッドバンド5の側縁上に側方に重畳する、側壁6の形成を可能にする。
【0064】
しかし、本発明によると、同様に単純な方法で、通常「下にある側壁」と呼ばれるタイプの構造的配置の側壁6を形成することが可能である。
【0065】
このため、ベルト構造4がカーカス構造3に係合した直後、不完全な構造13a、13bは第3供給部材19cの前面に移送され、側壁6の形成が行なわれた後、第2供給部材19b(該当する場合)および第1供給部材19aの前面に運ばれて、トレッドバンド5が形成される。こうして得られたトレッドバンド5の対向側縁は、側壁6の半径方向外側端部部分6a上に重畳する。
【0066】
処理の途中で、各々の供給部材19a、19b、19cは、好ましくは一定の位置に留まり、不完全な構造13a、13bは、支持部材15a、15bを作動させる自動化アーム21により回転して横断方向に適切に移動し、各々の連続する長い要素を不完全な構造13a、13b上に分配させて、適切な形状および厚さの層をカーカス構造3および/またはベルト構造4上に構成する。
【0067】
各々の供給部材19a、19b、19cにより供給される連続する長い要素は、好ましくは、部分的に重畳する巻回で堆積され、有利にはテーパ付きの平坦部分を有すると、巻回の重複程度および/または供給部材自体が供給する長い要素の断面プロファイルに対する不完全なタイヤ構造の表面の方向を変えることにより、形成されるエラストマー層の厚さを調整することができる。
【0068】
トレッドバンド5および側壁6の形成が完了すると、自動化アーム21は、再び不完全な構造13a、13b(この時点では完成したグリーンタイヤであり、13cで指示する)を移送して、供給部材19a、19b、19cから離れるように移動させ、グリーンタイヤ13cを支持部材15a、15bから離脱させるデバイスの前面に配置する。
【0069】
本発明によるプラント1では、取出ステーション400が想定され、この取出ステーション400では、それぞれの支持部材15a、15bから離脱した後のグリーンタイヤ13cが、一時的に保管され、次に最終的な成形および加硫処理ステップに移送される(先行技術で十分に周知の技術を用いて行なわれるため、本明細書では詳細に説明しない)。取出ステーション400は、上記のとおり、保管ステーション300に類似の方法で設計される。図1では、取出ステーション400は点線で示され、単に図面を分かりやすくするという理由で、保管ステーション300に対して傾斜している。取出ステーション400は、取扱ユニット20a、20bによるタイヤ構造の取扱いが容易になるように、たとえば、様々な垂直高さで保管ステーション300と整列して配置される。
【0070】
本発明によると、プラント1の各々の完成ステーションは、少なくとも2つの不完全な構造の処理を同時に行なうように設計される。このため、図1および図2で分かるように、完成ステーション200は、各々が支持部材15a、15b上に支持された第1および第2の不完全なタイヤ構造13a、13bをそれぞれ移動させる第1および第2取扱ユニット20a、20bを想定する。このように、不完全な構造13a、13bは、供給部材19a、19b、および19c付近に順次運ばれ得る。
【0071】
可能な実施態様では、各々の完成ステーション200は、供給部材19a、19b、19cが、生エラストマー材料のそれぞれの長い要素が、完成ステーション200の支持表面に対して実質的に同じ高さに供給されるように配置されることを想定する。
【0072】
好ましい実施態様によると(図1および図2に示す)、完成ステーションは、3つの供給部材19a、19bおよび19cを備える。好ましくは、これらのうちの2つ、たとえば部材19aおよび19bは、生エラストマー材料から製造されたそれぞれの長い要素が、実質的に同じ高さに供給されるように配置され、第3の供給部材19cは、生エラストマー材料のそれぞれの長い要素が、最初の2つの供給部材19aおよび19bの高さより垂直に高い高さに供給されるように配置され、この高さは、完成ステーション200の支持表面に対して画定される。
【0073】
好ましい実施態様によると、完成ステーション200では、供給部材19a、19bおよび19cは、同じ垂直対称平面(plane of vertical symmetry)(図1および図2に「α」で示す)に対して対称に配置される。好ましくは、取扱ユニット20a、20bも、同じ垂直対称平面「α」(図1および図2参照)に対して対称に配置される。
【0074】
こうして、同じ完成ステーション200内の取扱ユニット20a、20bは、2つの構造間の機械的な干渉という問題を生じることなく、2つの不完全なタイヤ構造を同時に処理することができ、グリーンタイヤの完成に要する時間、ひいては保管ステーション300内で各々の不完全な構造が費やす時間が短縮する。
【0075】
さらに、少なくとも2つの不完全な構造の同時処理は、完成ステーション200の停止時間より長い組立てライン100の機械の停止時間を完全に活用することを可能にし、その結果、プラント1の全体の生産性は、少なくとも組立てライン100の生産性に近い値まで増加する。
【0076】
さらに、供給部材19a、19bおよび19cおよび取扱ユニット20a、20bが、対称垂直平面「α」に対して対称に配置されている結果として、完成ステーション200の装填および取出ステップを処理領域とは異なる領域で管理し(たとえば、図1に示すように、取扱ユニット20a、20bに対する対向側部上で)、1つの保管ステーション300(不完全な構造が、このステーションから取り込まれる)および1つの取出ステーション400を両方の取扱ユニット20a、20bに使用することが可能であり、プラント1の管理という点で明らかに有利である。
【0077】
本発明によるプラントのモジュール性により、数個の組立てラインおよび/または数個の完成ステーションを結合して効果的に管理し、製造要件に応じて構成を変えることが可能である。たとえば、高品質タイヤ(たとえば、一次装備品に意図された高性能タイヤ)の製造を高生産性で行なう必要がある場合、プラント1は、各々の組立てライン100が、組立てラインに対応して、少なくとも2つの完成ステーション200を有するように設計される。こうして、この組立てラインから得られる全体の製造は、上記のとおり長い要素を堆積して完了し、その結果、高品質の製造物が低い不合格数で提供される。
【0078】
一方、標準の製造性能がプラントに要求されるが(たとえば、転換に意図される(intended for change-over))、高品質の製造に割り当てられた時間が、全体の製造時間に比べて短い場合、少なくとも2つの組立てラインが各々の完成ステーションに結合される。この場合、完成ステーションは、様々な組立てラインから供給される少量のバッチを受領するようにプログラムされ、各々の組立てラインは、従来の方法を用いて、半完成品からトレッドバンドおよび/または側壁を有するグリーンタイヤ構造を完成することができるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明によるタイヤの製造プラントの略上面図を示す。
【図2】図1によるプラントの部分を構成する完成ステーションの立面図を示す。
【図3】本発明により得られるタイヤの略部分断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを製造する方法であって、
(i)少なくとも1つの組立てライン(100)で、実質的にトロイダル状の不完全なグリーンタイヤ構造(13、13a、13b)を順次製造するステップであって、各々の不完全な構造(13、13a、13b)の製造が、
(i−a)互いに軸方向に離間配置された環状補強構造(7)と使用可能に結合する少なくとも1つのカーカスプライ(10)を備える実質的に円筒状スリーブの形態のカーカス構造(3)を構築するステップと、
(i−b)実質的にトロイダル状になるように前記カーカス構造(3)を賦形するステップとを含む、ステップと、
(ii)前記少なくとも1つの組立てライン(100)により製造された前記不完全な構造(13、13a、13b)を一時的に保管するステップと、
(iii)前記不完全な構造(13、13a、13b)を少なくとも1つの完成ステーション(200)に搬送するステップと、
(iv)前記少なくとも1つの完成ステーション(200)において、各々の不完全な構造(13、13a、13b)に、所定の経路に沿って生エラストマー材料の少なくとも1つの連続する長い要素を堆積して、前記タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成するステップと、
(v)こうして製造されたグリーンタイヤ(13c)に加硫処理ステップを行なうステップとを含む方法。
【請求項2】
少なくとも2つの不完全な構造(13、13a、13b)が、同じ完成ステーション(200)で同時に処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの不完全な構造(13、13a、13b)に対して、同じ完成ステーション(200)内で前記タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成するステップ(iv)が同時に行なわれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(i)が、
(i−c)ベルト構造(4)を製造するステップと、
(i−d)前記ベルト構造(4)を前記カーカス構造(3)に結合するステップとを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ベルト構造(4)を前記カーカス構造(3)に結合するステップ(i−d)が、前記カーカス構造(3)を実質的にトロイダル状に賦形するステップ(i−b)の前に行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ベルト構造(4)を前記カーカス構造(3)に結合するステップ(i−d)が、前記カーカス構造(3)を実質的にトロイダル状に賦形するステップ(i−b)の後に行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ベルト構造(4)を前記カーカス構造(3)に結合するステップ(i−d)が、前記カーカス構造(3)を実質的にトロイダル状に賦形するステップ(i−b)と同時に行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記構築ステップ(i−a)が構築ドラム(14)上で行なわれ、前記賦形ステップ(i−b)が賦形ドラム(15)上で行なわれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記構築ステップ(i−a)および前記賦形ステップ(i−b)が共に、同じ構築および賦形ドラム上で行なわれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記一時的保管ステップ(ii)が、保管ステーション(300)内で行なわれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記一時的保管ステップ(ii)の前に、前記不完全な構造(13、13a、13b)が賦形、または構築および賦形ドラム(15)から離脱される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
堆積形成ステップ(iv)で、各々の不完全な構造(13、13a、13b)がそれぞれの支持部材(15a、15b)上に支持される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記支持部材(15a、15b)が賦形、または構築および賦形ドラム(15)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記形成ステップ(iv)が、前記不完全な構造(13、13a、13b)の軸の周囲に周方向の巻回で長い要素を堆積して行なわれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記巻回が部分的に重畳する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記タイヤ(2)の前記構成要素が、トレッドバンド、トレッドバンドの下層、側壁および耐磨耗性ストリップの中から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記トレッドバンドおよび側壁が、ステップ(iv)により、各々の不完全な構造(13、13a、13b)上に形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記トレッドバンド、前記トレッドバンドの下層および前記側壁が、ステップ(iv)により、各々の不完全な構造(13、13a、13b)上に形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
各々の不完全な構造(13、13a、13b)が、前記不完全な構造(13、13a、13b)の少なくとも一方の軸を中心とした回転運動、および連続する長い要素の少なくとも1つの供給部材(19a、19b、19c)に対する平行移動により前記完成ステーション内で移動される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(iv)により製造される前記グリーンタイヤが、前記支持部材(15a、15b)から離脱されて、前記加硫処理ステップ(v)に搬送される前に一時的に保管される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
組立てライン(100)から供給される前記不完全な構造(13、13a、13b)が、少なくとも2つの完成ステーション(200)に移送される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも2つの組立てライン(100)から供給される不完全な構造(13、13a、13b)のバッチが、完成ステーション(200)に移送される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
タイヤを製造するプラントであって、
実質的にトロイダル状の不完全なグリーンタイヤ構造(13、13a、13b)を製造するための少なくとも1つの組立てライン(100)であって、実質的に円筒状スリーブの形態のカーカス構造(3)を構築するための少なくとも1つの装置と、実質的にトロイダル状になるように前記カーカス構造(3)を賦形するための少なくとも1つの装置とを備え、前記カーカス構造(3)が、互いに軸方向に離間配置された環状補強構造(7)に使用可能に結合された少なくとも1つのカーカスプライ(10)を備える、組立てライン(100)と、
前記少なくとも1つの組立てライン(100)により製造された前記不完全な構造(13、13a、13b)を一時的に保管するための少なくとも1つの保管ステーション(300)と、
少なくとも1つの完成ステーション(200)であって、前記完成ステーション(200)が、生エラストマー材料の連続する長い要素を供給するための少なくとも1つの部材(19a、19b、19c)と、前記組立てライン(100)により供給された前記不完全な構造(13、13a、13b)を取り扱うための少なくとも2つのユニット(20a、20b)とを備え、前記取扱ユニット(20a、20b)が、前記不完全な構造(13、13a、13b)に、前記不完全な構造(13、13a、13b)の少なくとも一方の軸を中心とした回転運動、および前記少なくとも1つの供給部材(19a、19b、19c)に対する平行移動を与えて、前記不完全な構造(13、13a、13b)上に、所定の経路に沿って前記連続する長い要素を堆積して、前記タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成することができる、完成ステーション(200)とを備えるプラント。
【請求項24】
カーカス構造(3)を構築するための前記装置が構築ドラム(14)である、請求項23に記載のプラント。
【請求項25】
前記カーカス構造(3)を実質的にトロイダル状に賦形するための前記装置が賦形ドラム(15)である、請求項23に記載のプラント。
【請求項26】
前記カーカス構造(3)を構築するための前記装置および前記カーカス構造(3)を賦形するための前記装置が、1段階ドラムに組み込まれる、請求項23に記載のプラント。
【請求項27】
前記組立てライン(100)が、ベルト構造(4)を形成するための少なくとも1つの補助ドラム(16)を備える、請求項23〜26のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項28】
前記組立てライン(100)が、前記ベルト構造(4)を前記カーカス構造(3)の外側の半径方向の位置に移送するための少なくとも1つの移送部材(18)を備える、請求項27に記載のプラント。
【請求項29】
前記少なくとも1つの完成ステーション(200)により製造されたグリーンタイヤ(13c)の取出ステーション(400)をさらに備える、請求項23〜28のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項30】
少なくとも1つの完成ステーション(200)が、少なくとも2つの供給部材(19a、19b、19c)を備える、請求項23〜29のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項31】
前記少なくとも1つの完成ステーション(200)が、3つの供給部材(19a、19b、19c)を備える、請求項30に記載のプラント。
【請求項32】
第1供給部材(19a)および第2供給部材(19b)が、生エラストマー材料のそれぞれの長い要素が、実質的に同じ高さに供給されるように配置される、請求項30または31に記載のプラント。
【請求項33】
第3の供給部材(19c)が、生エラストマー材料のそれぞれの長い要素が、第1供給部材(19a)および第2供給部材(19b)の高さより垂直に高い高さに供給されるように配置される、請求項32に記載のプラント。
【請求項34】
前記少なくとも2つの供給部材(19a、19b、19c)が、同一の対称垂直平面(α)に対して対称に配置される、請求項30〜33のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項35】
前記少なくとも2つの取扱ユニット(20a、20b)が、前記対称垂直平面(α)に対して対称に配置される、請求項34に記載のプラント。
【請求項36】
少なくとも2つの完成ステーション(200)が、各々の組立てライン(100)に結合する、請求項23〜35のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項37】
少なくとも2つの組立てライン(100)が、各々の完成ステーション(200)に結合される、請求項23〜35に記載のプラント。
【請求項38】
完成ステーションであって、生エラストマー材料の連続する長い要素を供給するための少なくとも1つの部材(19a、19b、19c)と、グリーンタイヤの不完全な構造(13、13a、13b)を取り扱うための少なくとも2つのユニット(20a、20b)とを備え、前記取扱ユニット(20a、20b)が、前記不完全な構造(13、13a、13b)に対して、前記不完全な構造(13、13a、13b)の少なくとも一方の軸を中心とした回転運動、および前記少なくとも1つの供給部材(19a、19b、19c)に対する平行移動を与えて、前記不完全な構造(13、13a、13b)上に、所定の経路に沿って前記連続する長い要素を堆積して、前記タイヤの少なくとも1つの構成要素を形成することができる完成ステーション。
【請求項39】
少なくとも2つの供給部材(19a、19b、19c)を備える、請求項38に記載の完成ステーション。
【請求項40】
3つの供給部材(19a、19b、19c)を備える、請求項39に記載の完成ステーション。
【請求項41】
第1供給部材(19a)および第2供給部材(19b)が、生エラストマー材料のそれぞれの長い要素が、実質的に同じ高さに供給されるように配置される、請求項39または40に記載の完成ステーション。
【請求項42】
第3の供給部材(19c)が、生エラストマー材料のそれぞれの長い要素が、前記第1供給部材(19a)および前記第2供給部材(19b)の高さより垂直に高い高さに供給されるように配置される、請求項41に記載の完成ステーション。
【請求項43】
前記少なくとも2つの供給部材(19a、19b、19c)が、同一の対称垂直平面(α)に対して対称に配置される、請求項39〜42のいずれか1項に記載の完成ステーション。
【請求項44】
前記少なくとも2つの取扱ユニット(20a、20b)が、前記対称垂直平面(α)に対して対称に配置される、請求項43に記載の完成ステーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−505424(P2006−505424A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549402(P2004−549402)
【出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003077
【国際公開番号】WO2004/041520
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(598164186)ピレリ・プネウマティチ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (123)
【Fターム(参考)】