説明

車輪用軸受装置

【課題】軽量化を図りつつ、部品の共通化による低コストと図った車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】内輪回転タイプの車輪用軸受装置において、外方部材10が板材またはパイプ材から塑性加工によって、外周に凹所16を有する円板状の鍔部10bが一体に形成され、内周に径方向内方に突出する環状凸部11と、この環状凸部11の両側に複列の外側転走面10aが一体に形成されると共に、鍔部10bに別体の車体取付部材14が固定され、この車体取付部材14が、凸部17を有する連結部14aと、ナックル15に固定ボルト19によって締結される取付部14cとを備え、連結部14aの凸部17が鍔部10bの凹所16に係合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置、詳しくは、軽量化を図りつつ、部品の共通化による低コストと図った車輪用軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来構造の代表的な一例として、図11に示すような従動輪用の車輪用軸受装置が知られている。この車輪用軸受装置は第3世代と称され、内方部材50と外方部材51、および両部材50、51間に保持器52を介して転動自在に収容された複列のボール53、53を備えている。内方部材50は、ハブ輪54と、このハブ輪54に固定された内輪55とからなる。ハブ輪54は、その一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ56を一体に有し、外周に内側転走面54aと、この内側転走面54aから軸方向に延びる小径段部54bが形成されている。また、車輪取付フランジ56の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト57が植設されている。
【0003】
ハブ輪54の小径段部54bには、外周に内側転走面55aが形成された内輪55が所定のシメシロを介して圧入固定されている。そして、小径段部54bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部58によって、ハブ輪54に対して内輪55が軸方向へ抜けるのを防止している。
【0004】
外方部材51は、外周にナックル59に取り付けるための車体取付フランジ51bを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、51aが形成されている。また、外方部材51と内方部材50との間に形成される環状空間の開口部にはシール60、61が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。また、内輪55の外径にはパルサーリング62が装着されている。
【0005】
ナックル59には円板状の底部59aが一体に形成されると共に、外方部材51の外周にナックル59と嵌合するためのパイロット部が形成されておらず、外方部材51の車体取付フランジ51bとナックル59とが突き合わせ状態で外方部材51がボルト(図示せず)を介して締結され、内方部材50が閉塞されている。
【0006】
また、ナックル59には複数のピン63が螺着され、これらピン63が嵌挿されるピン孔64が車体取付フランジ51bに穿設されている。ピン63は、ピン孔64に嵌挿される先端部65と、ナックル59の雌ねじ66に螺着されるねじ部67とで構成され、ナックル59に対して外方部材51が径方向に位置決めされている。これにより、外方部材51とナックル59との軸芯合せが容易にできると共に、各ボルト孔との位置合せが容易になり組立作業を簡便化することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−265361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の車輪用軸受装置では、外方部材51の外周にナックル59と嵌合するためのパイロット部が廃止されると共に、車体取付フランジ51bにピン孔64が形成され、ナックル59に螺着された複数のピン63によって外方部材51が径方向に位置決めされているため、外方部材51とナックル59との軸芯合せが容易にでき、組立作業を簡便化することができるという特徴を備えている。
【0009】
然しながら、外方部材51に車体取付フランジ51bが一体に形成されているため、ナックル59の構造・寸法によっては、車両毎に外方部材51を設計・製造する必要があった。さらに、少量の生産であっても、この生産に付随する鍛造型や熱処理コイル等を型番毎に準備する必要があり、管理コストが嵩み製造コストが高騰する問題があった。
【0010】
また、外方部材51を鋼板からプレス加工で製造する場合、こうした車体取付フランジ51bを一体で成形するには、相互に加工上での制約が生じ、製造が困難になる場合もあった。
【0011】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、軽量化を図りつつ、部品の共通化による低コストと図った車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、懸架装置を構成するナックルに取り付けられ、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材が、外周に円板状の鍔部が一体に形成され、この鍔部に車体に取り付けられるための別体の車体取付部材が設けられている。
【0013】
このように、内輪回転タイプの車輪用軸受装置において、外方部材が、外周に円板状の鍔部が一体に形成され、この鍔部に車体に取り付けられるための別体の車体取付部材が設けられているので、外方部材を標準化することができ、軽量化を図りつつ、部品の共通化による低コストと図った車輪用軸受装置を提供することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明のように、前記外方部材が板材またはパイプ材から塑性加工によって形成され、内周に径方向内方に突出する環状凸部と、この環状凸部の両側に複列の円弧状の外側転走面が一体に形成されると共に、前記車体取付部材が、前記鍔部に固定される連結部と、前記ナックルに固定ボルトによって締結される取付部とを備えていても良い。
【0015】
また、請求項3に記載の発明のように、前記外方部材の鍔部の外周に凹所が形成され、この凹所に係合される凸部が前記車体取付部材の連結部に形成されていれば、この凹所と凸部の係合によって、車体取付部材に対する外方部材の回り止めを行うことができ、簡便な手段で、車体取付部材と外方部材の回転方向の連結を行うことができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明のように、前記外方部材の鍔部が前記ナックルにインロウ嵌合されると共に、外周に凹所が形成され、この凹所に係合されるピンが前記車体取付部材の連結部に植設されていれば、車体取付部材の外方部材への組立性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、前記車体取付部材が、前記外方部材が通過できる開口部を有する馬蹄形状に形成され、前記開口部の寸法が前記外方部材の外径寸法より僅かに大径になるように設定されていれば、車体取付部材の外方部材への組立性を一層向上させることができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明のように、前記外方部材の鍔部が前記ナックルと車体取付部材とによって挟持された状態で、所定の軸力で押圧固定されていれば、簡便な手段で、車体取付部材と外方部材の回転方向の連結と、軸方向の位置決め固定を行うことができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明のように、前記車体取付部材が前記ナックルに間座を介して締結され、この間座の内接円径よりも前記鍔部の外径が大きく設定されていれば、軸力を高めることができ、外方部材の回り止めと軸方向の固定を確実に行うことができる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明のように、前記外方部材の鍔部の外形形状が多角形または花びら形状に形成されると共に、前記ナックルの端部に環状溝が形成され、この環状溝の形状が前記鍔部に対応する形状に形成されていれば、外方部材の回転方向の移動を制限することができる。
【0021】
また、請求項9に記載の発明のように、前記車体取付部材の連結部の内縁に前記外方部材の外径に嵌合される円筒のインロウ部が一体に形成されていれば、ナックルに対する外方部材の芯合わせを精度良く行うことができると共に、車体取付部材の強度・剛性を高めることができ、軸方向の位置決め固定を強固に行うことができる。
【0022】
また、請求項10に記載の発明のように、前記車体取付部材の連結部のインロウ部が前記外方部材と転動体との接触線の延長線まで嵌合される形状・寸法に形成されていれば、ナックルに対する外方部材の芯合わせを精度良く行うことができると共に、車体取付部材の強度・剛性を一層高めることができる。
【0023】
また、請求項11に記載の発明のように、前記車体取付部材の取付部の外縁に前記ナックルに外嵌される円筒状のインロウ部が一体に形成されていれば、車体取付部材の強度・剛性を一層高めることができる。
【0024】
また、請求項12に記載の発明のように、前記ナックルにボルト孔が複数穿設されると共に、これらボルト孔に対応する前記車体取付部材の取付部にバーリングにより円筒部が形成され、この円筒部に雌ねじが形成されて前記固定ボルトが螺着されていれば、車体取付部材の強度・剛性を高めることができる。
【0025】
また、請求項13に記載の発明のように、前記車体取付部材が鋼板からプレス加工によって形成されていれば、軽量化と低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る車輪用軸受装置は、懸架装置を構成するナックルに取り付けられ、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材が、外周に円板状の鍔部が一体に形成され、この鍔部に、車体に取り付けられるための別体の車体取付部材が設けられているので、外方部材を標準化することができ、軽量化を図りつつ、部品の共通化による低コストと図った車輪用軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1の外方部材の組立方法を示す説明図である。
【図3】図1の外方部材を示す正面図である。
【図4】本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】図4の外方部材を示す正面図である。
【図6】本発明に係る車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係る車輪用軸受装置の第4の実施形態を示す縦断面図である。
【図8】本発明に係る車輪用軸受装置の第5の実施形態を示す縦断面図である。
【図9】本発明に係る車輪用軸受装置の第6の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】本発明に係る車輪用軸受装置の第7の実施形態を示す縦断面図である。
【図11】従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
懸架装置を構成するナックルに取り付けられ、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材が板材またはパイプ材から塑性加工によって、外周に凹所を有する円板状の鍔部が一体に形成され、内周に径方向内方に突出する環状凸部と、この環状凸部の両側に複列の外側転走面が一体に形成されると共に、前記鍔部に別体の車体取付部材が固定され、この車体取付部材が、凸部を有する連結部と、前記ナックルに固定ボルトによって締結される取付部とを備え、前記連結部の凸部が前記鍔部の凹所に係合されている。
【実施例1】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、(a)〜(c)は、図1の外方部材の組立方法を示す説明図、図3は、図1の外方部材を示す正面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
【0030】
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材1と外方部材10、および両部材1、10間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)6、6を備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0031】
ハブ輪2は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の円周等配位置に車輪を固定するためのハブボルト5が植設されている。また、ハブ輪2の外周にはアウター側(一方)の内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる小径段部2bが形成されている。そして、外周にインナー側(他方)の内側転走面3aが形成された内輪3がこの小径段部2bに圧入され、さらに、小径段部2bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部2cにより、所定の軸受予圧が付与された状態で、ハブ輪2に対して内輪3が軸方向に固定されている。これにより、装置の強度・剛性が高まると共に、軽量・コンパクト化を図ることができる。
【0032】
ハブ輪2は、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼(JIS規格のSC系機械構造用炭素鋼)で形成され、アウター側の内側転走面2aをはじめ、後述するシール8が摺接するシールランド部となる基部4aから小径段部2bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部2cは、鍛造後の素材表面硬さ25HRC以下の未焼入れ部としている。こうした高周波焼入れパターンによりハブ輪2の強度が向上すると共に、内輪3の嵌合面におけるフレッティング摩耗が抑制されて耐久性が向上する。また、加締部2cの加工性を向上させ、塑性変形によるクラック等の発生を防止することができる。一方、内輪3および転動体6はSUJ2等からなる高炭素クロム鋼からなり、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
【0033】
外方部材10は略円筒状に形成され、インナー側の端部外周に円板状の鍔部10bを一体に有し、内周に径方向内方に突出する環状凸部11と、この環状凸部11の両側に複列の円弧状の外側転走面10a、10aが一体に形成されている。また、これら複列の外側転走面10a、10aの両端部には円筒状の嵌合部12、13が形成されている。
【0034】
内方部材1と外方部材10の両転走面間には複列の転動体6、6が収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。そして、内方部材1と外方部材10との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
【0035】
ここでは、転動体6、6をボールとした複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず、転動体6に円すいころを使用した複列円すいころ軸受で構成されたものであっても良い。
【0036】
ここで、外方部材10は、SCr420やSCM415等の浸炭鋼からなる板材またはパイプ材から塑性加工によって形成されている。具体的には、外方部材10は、パイプ材からプレス加工および冷間のローリング加工によって形成されている。そして、浸炭焼入れによって表面硬さを55〜64HRCの範囲に硬化処理されている。外方部材10の材質としてこれ以外にも、SCM440等の浸炭鋼、あるいは冷間圧延鋼板やS45C等の炭素鋼を例示することができる。冷間圧延鋼板や炭素鋼の場合、少なくとも外方部材10の複列の外側転走面10a、10aが高周波焼入れによって表面硬さを55〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。そして、複列の外側転走面10a、10aが、研削加工によって所定の寸法、精度に形成されている。なお、その後、必要に応じて超仕上げ加工が施される。
【0037】
外方部材10の鍔部10bには別体の車体取付部材14が固定され、この車体取付部材14を介して外方部材10はナックル15に締結される。車体取付部材14はSCr420やSCM415等の鋼板からプレス加工によって円板状に形成され、鍔部10bに固定される連結部14aと、この連結部14aから傾斜部14bを介してナックル15に固定ボルト19によって締結される取付部14cとを備えている。
【0038】
また、図3に示すように、外方部材10の鍔部10bの外周には凹所16が形成され、この凹所16に係合される凸部17が車体取付部材14の連結部14aにプレス加工によって形成されている。この凹所16と凸部17の係合によって、車体取付部材14に対する外方部材10の回り止めを行うことができ、簡便な手段で、車体取付部材14と外方部材10の回転方向の連結を行うことができる。
【0039】
さらに、車体取付部材14の取付部14cには、締結用のボルト孔18が複数(ここでは2個)穿設され、ナックル15にはこれらボルト孔18に対応する位置に雌ねじ20が形成され、この雌ねじ20に固定ボルト19が螺着されている(図1参照)。
【0040】
本実施形態では、外方部材10に鍔部10bが一体に形成され、この鍔部10bに別体の車体取付部材14が回り止め機構によって連結されると共に、この車体取付部材14を介して外方部材10がナックル15に締結されているので、外方部材10を標準化することができ、軽量化を図りつつ、部品の共通化による低コストと図った車輪用軸受装置を提供することができる。
【0041】
次に、図2を用いて、外方部材10をナックル15に締結するまでの組立工程について説明する。(a)に示すように、車体取付部材14に外方部材10を嵌挿し、外方部材10の鍔部10bに形成された凹所16を車体取付部材14の凸部17に係合させる。その後、(b)に示すように、車体取付部材14と外方部材10をセットにした状態で、ナックル15に当接させ、車体取付部材14のボルト孔18とナックル15の雌ねじ20の位相を合わせる。最後に、(c)に示すように、固定ボルト19がボルト孔18を介して雌ねじ20に螺着され、外方部材10が車体取付部材14を介してナックル15に締結される。
【0042】
なお、外方部材10および車体取付部材14の外表面にカチオン電着塗装によって所定の防錆皮膜を形成しても良い。このカチオン電着塗装の下地処理(前処理)としてリン酸亜鉛処理を施すのが好ましい。このリン酸亜鉛処理は、素材となる鋼材の表面が化学反応で粗面化されるため、塗料の食い付きが良くなって付着性が向上するからである。このように、外方部材10および車体取付部材14の表面に防錆皮膜を形成することにより、アルミ合金等の軽合金製のナックル11との電飾を防止することができ、耐久性を向上させることができる。防錆皮膜はカチオン電着塗装に限らず他の塗装膜であっても良く、また、メッキ処理であっても良い。例えば、レイデント塗装、アニオン電着塗装、フッ素系電着塗装等の防錆処理、あるいは、亜鉛メッキ、ユニクロメッキ、クロメートメッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、無電解ニッケルメッキ、カニゼンメッキ等の金属メッキを例示することができる。
【0043】
また、ここでは、車体取付部材14が鋼板からプレス加工によって形成されたものを例示したが、アルミ合金等の軽合金から形成しても良いし、鋼板製の芯金に合成樹脂を射出成形により一体に接合したものでも良い。
【実施例2】
【0044】
図4は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図、図5は、図4の正面図である。なお、この実施形態は、前述した第1の実施形態(図1)と基本的には車体取付部材の構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材1と外方部材10、および両部材1、10間に転動自在に収容された複列の転動体6、6を備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0046】
外方部材10は略円筒状に形成され、インナー側の端部外周に円板状の鍔部10bを一体に有し、内周に径方向内方に突出する環状凸部11と、この環状凸部11の両側に複列の円弧状の外側転走面10a、10aが一体に形成されている。また、これら複列の外側転走面10a、10aの両端部には円筒状の嵌合部12、13が形成されている。
【0047】
ここで、外方部材10の鍔部10bに別体の車体取付部材21が固定され、この車体取付部材21を介して外方部材10はナックル15に締結される。車体取付部材21はSCr420やSCM415等の鋼板からプレス加工によって円板状に形成され、鍔部10bに固定される連結部21aと、ナックル15に固定ボルト19によって締結される取付部20bとを備えている。
【0048】
また、図5に示すように、車体取付部材21は、外方部材10が通過できる開口部22を有するU字(馬蹄)形状に形成されている。すなわち、開口部22の寸法は、外方部材10の外径寸法より僅かに大径になるように設定されている。これにより、車体取付部材21の外方部材10への組立性を一層向上させることができる。車体取付部材21の取付部21bには、締結用のボルト孔18が複数(ここでは3個)穿設されると共に、ナックル15にはこれらボルト孔18に対応する位置に雌ねじ20が形成され、この雌ねじ20に固定ボルト19が螺着されている(図4参照)。
【0049】
また、外方部材10の鍔部10bはナックル15にインロウ嵌合されると共に、外周には凹所16が形成され、この凹所16に係合されるピン23が車体取付部材21の連結部21aに植設されている。このような形状の車体取付部材21によって外方部材10への組立性を向上させることができる。また、この凹所16とピン23との係合によって、前述した実施形態と同様、車体取付部材21に対する外方部材10の回り止めを行うことができ、簡便な手段で、車体取付部材21と外方部材10の回転方向の連結を行うことができる。なお、外方部材10と車体取付部材21との連結(回り止め)は、これ以外に電気溶接やレーザー溶接等の接合手段を用いても良い。
【実施例3】
【0050】
図6は、本発明に係る車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した第2の実施形態(図4)と基本的には外方部材の一部の構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材1と外方部材23、および両部材1、23間に転動自在に収容された複列の転動体6、6を備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0052】
外方部材23はSCr420やSCM415等の浸炭鋼からなる板材またはパイプ材から塑性加工によって略円筒状に形成され、インナー側の端部外周に円板状の鍔部23aを一体に有し、内周に径方向内方に突出する環状凸部11と、この環状凸部11の両側に複列の円弧状の外側転走面10a、10aが一体に形成されている。また、これら複列の外側転走面10a、10aの両端部には円筒状の嵌合部12、13が形成されている。
【0053】
ここで、外方部材23の鍔部23aに別体の車体取付部材21が固定され、この車体取付部材21を介して外方部材23はナックル24に締結される。ナックル24の端部には環状溝24aが形成され、この環状溝24aに外方部材23の鍔部23aがインロウ嵌合されている。そして、ナックル24に間座19aを介して固定ボルト19が締結され、鍔部23aがナックル24と車体取付部材21とによって挟持された状態で、所定の軸力で押圧固定されている。これにより、ナックル24に対する外方部材23の芯合わせを精度良く行うことができると共に、車体取付部材21に対する外方部材23の回り止めを行うことができ、簡便な手段で、車体取付部材21と外方部材23の回転方向の連結と、軸方向の位置決め固定を行うことができる。
【0054】
なお、鍔部23aの外径φAを固定ボルト19の間座19aの内接円径φBよりも可能な限り大きく(φA>φB)設定することにより、軸力を高めることができ、外方部材23の回り止めと軸方向の固定を確実に行うことができる。
【0055】
また、図示はしないが、外方部材23の鍔部23aの外形形状を多角形や花びら形状にすると共に、ナックル24の環状溝24aをこの鍔部23aに対応する形状に形成することにより、外方部材23の回転方向の移動を制限しても良い。
【実施例4】
【0056】
図7は、本発明に係る車輪用軸受装置の第4の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した第3の実施形態(図6)と基本的には車体取付部材の構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材1と外方部材23、および両部材1、23間に転動自在に収容された複列の転動体6、6を備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0058】
本実施形態では、前述した実施形態と同様、外方部材23の鍔部23aに別体の車体取付部材25が固定され、この車体取付部材25を介して外方部材23はナックル24に締結されている。車体取付部材25はSCr420やSCM415等の鋼板からプレス加工によって形成され、鍔部23aに固定される連結部21aと、ナックル24に固定ボルト19によって締結される取付部21bとを備えている。
【0059】
ここで、連結部21aの内縁には、外方部材23の外径に嵌合される円筒のインロウ部26が一体に形成されると共に、取付部21bの外縁には、ナックル24に外嵌される円筒状のインロウ部27が一体に形成されている。これにより、ナックル24に対する外方部材23の芯合わせをさらに精度良く行うことができると共に、車体取付部材25の強度・剛性を高めることができ、車体取付部材25と外方部材23の回転方向の連結と、軸方向の位置決め固定をより強固に行うことができる。
【実施例5】
【0060】
図8は、本発明に係る車輪用軸受装置の第5の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した第3の実施形態(図6)と基本的には車体取付部材の構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材1と外方部材23、および両部材1、23間に転動自在に収容された複列の転動体6、6を備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0062】
本実施形態では、前述した実施形態と同様、外方部材23の鍔部23aに別体の車体取付部材28が固定され、この車体取付部材28を介して外方部材23はナックル24に締結されている。車体取付部材28はSCr420やSCM415等の鋼板からプレス加工によって形成され、鍔部23aに固定される連結部21aと、ナックル24に固定ボルト19によって締結される取付部21bとを備えている。
【0063】
ここで、連結部21aの内縁には、外方部材23の外径に嵌合される円筒状の嵌合部29が一体に形成されている。この嵌合部29は、前述した嵌合部26よりも幅広に形成され、外方部材23の外径に形成された左右の円筒部に嵌合される寸法、すなわち、外方部材23と転動体6との接触線の延長線まで嵌合される形状・寸法に形成されている。これにより、ナックル24に対する外方部材23の芯合わせを精度良く行うことができると共に、車体取付部材25の強度・剛性を一層高めることができる。
【実施例6】
【0064】
図9は、本発明に係る車輪用軸受装置の第6の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した第5の実施形態(図8)と基本的には車体取付部材とナックルの構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材1と外方部材23、および両部材1、23間に転動自在に収容された複列の転動体6、6を備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0066】
本実施形態では、前述した実施形態と同様、外方部材23の鍔部23aに別体の車体取付部材30が固定され、この車体取付部材30を介して外方部材23はナックル31に締結されている。車体取付部材30はSCr420やSCM415等の鋼板からプレス加工によって形成され、鍔部23aに固定される連結部30aと、ナックル31に固定ボルト19によって締結される取付部30bとを備えている。
【0067】
ここで、連結部30aは円筒状の嵌合部29が一体に形成され、外方部材23の外径に所定のシメシロを介して圧入されている。また、ナックル31には、締結用のボルト孔31aが複数穿設され、取付部30bには、ナックル31のボルト孔31aに対応する位置に雌ねじ32が形成され、この雌ねじ32に固定ボルト19が螺着されている。この取付部30bの雌ねじ32形成部分はバーリングにより形成されている。これにより、車体取付部材30の強度・剛性を高めることができる。
【実施例7】
【0068】
図10は、本発明に係る車輪用軸受装置の第7の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した第5の実施形態(図8)と基本的には車輪用軸受の構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
この車輪用軸受装置は駆動輪用の第2世代と称され、内方部材33と外方部材23、および両部材33、23間に転動自在に収容された複列の転動体6、6を備えている。内方部材33は、ハブ輪34と、このハブ輪34に圧入固定された一対の内輪3、3とからなる。
【0070】
ハブ輪34は、アウター側の端部に車輪取付フランジ4を一体に有し、外周にこの車輪取付フランジ4から肩部34aを介して軸方向に延びる小径段部34bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)34cが形成されている。そして、一対の内輪3、3のうちアウター側の内輪3が肩部34aに衝合された状態で、一対の内輪3、3が小径段部34bに所定のシメシロを介して圧入固定されている。
【0071】
ハブ輪34はS53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、肩部34aから小径段部34bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
【0072】
内方部材33と外方部材23との間に形成される環状空間の開口部にはシール9、9が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
【0073】
ここで、本実施形態では、外方部材23の鍔部23aに別体の車体取付部材30が固定され、この車体取付部材30を介して外方部材23はナックル31に締結されている。連結部30aは円筒状の嵌合部29が一体に形成され、外方部材23の外径に所定のシメシロを介して圧入されている。また、取付部30bには、締結用のボルト孔18が複数穿設され、ナックル24のこれらボルト孔18に対応する位置に雌ねじ20が形成され、この雌ねじ20に固定ボルト19が螺着されている。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る車輪用軸受装置は、内輪回転タイプの第2世代または第3世代構造の車輪用軸受装置に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1、33 内方部材
2、34 ハブ輪
2a、3a 内側転走面
2b、34b 小径段部
2c 加締部
3 内輪
4 車輪取付フランジ
4a 車輪取付フランジのインナー側の基部
5 ハブボルト
6 転動体
7 保持器
8、9 シール
10、23 外方部材
10a 外側転走面
10b、23a 鍔部
11 環状凸部
12、13 嵌合部
14、21、25、28、30 車体取付部材
14a、21a、30a 連結部
14b 傾斜部
14c、21b、30b 取付部
15、24、31 ナックル
16 凹所
17 凸部
18、31a ボルト孔
19 固定ボルト
19a 間座
20、32 雌ねじ
22 開口部
24a 環状溝
26、27 インロウ部
29 嵌合部
34a 肩部
34c セレーション
50 内方部材
51 外方部材
51a 外側転走面
51b 車体取付フランジ
52 保持器
53 ボール
54 ハブ輪
54a、55a 内側転走面
54b 小径段部
55 内輪
56 車輪取付フランジ
57 ハブボルト
58 加締部
59 ナックル
59a 底部
60、61 シール
62 パルサーリング
63 ピン
64 ピン孔
65 先端部
66 雌ねじ
67 ねじ部
A 鍔部の外径
B 間座の内接円径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸架装置を構成するナックルに取り付けられ、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、
前記外方部材が、外周に円板状の鍔部が一体に形成され、この鍔部に車体に取り付けられるための別体の車体取付部材が設けられていることを特徴とする車輪用軸受装置。
【請求項2】
前記外方部材が板材またはパイプ材から塑性加工によって形成され、内周に径方向内方に突出する環状凸部と、この環状凸部の両側に複列の円弧状の外側転走面が一体に形成されると共に、前記車体取付部材が、前記鍔部に固定される連結部と、前記ナックルに固定ボルトによって締結される取付部とを備えている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記外方部材の鍔部の外周に凹所が形成され、この凹所に係合される凸部が前記車体取付部材の連結部に形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項4】
前記外方部材の鍔部が前記ナックルにインロウ嵌合されると共に、外周に凹所が形成され、この凹所に係合されるピンが前記車体取付部材の連結部に植設されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項5】
前記車体取付部材が、前記外方部材が通過できる開口部を有する馬蹄形状に形成され、前記開口部の寸法が前記外方部材の外径寸法より僅かに大径になるように設定されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
【請求項6】
前記外方部材の鍔部が前記ナックルと車体取付部材とによって挟持された状態で、所定の軸力で押圧固定されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項7】
前記車体取付部材が前記ナックルに間座を介して締結され、この間座の内接円径よりも前記鍔部の外径が大きく設定されている請求項6に記載の車輪用軸受装置。
【請求項8】
前記外方部材の鍔部の外形形状が多角形または花びら形状に形成されると共に、前記ナックルの端部に環状溝が形成され、この環状溝の形状が前記鍔部に対応する形状に形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項9】
前記車体取付部材の連結部の内縁に前記外方部材の外径に嵌合される円筒のインロウ部が一体に形成されている請求項1乃至8いずれかに記載の車輪用軸受装置。
【請求項10】
前記車体取付部材の連結部のインロウ部が前記外方部材と転動体との接触線の延長線まで嵌合される形状・寸法に形成されている請求項9に記載の車輪用軸受装置。
【請求項11】
前記車体取付部材の取付部の外縁に前記ナックルに外嵌される円筒状のインロウ部が一体に形成されている請求項1乃至10いずれかに記載の車輪用軸受装置。
【請求項12】
前記ナックルにボルト孔が複数穿設されると共に、これらボルト孔に対応する前記車体取付部材の取付部にバーリングにより円筒部が形成され、この円筒部に雌ねじが形成されて前記固定ボルトが螺着されている請求項1乃至11いずれかに記載の車輪用軸受装置。
【請求項13】
前記車体取付部材が鋼板からプレス加工によって形成されている請求項1乃至12いずれかに記載の車輪用軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−76423(P2013−76423A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214963(P2011−214963)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】