説明

軌道用作業列車におけるトロの油圧ブレーキの油圧路装置

【課題】 作業車とトロとの間の油圧を伝達するホースが切断等して油圧が喪失したとき直ちにブレーキが作動してトロの移動を規制できる、軌道用作業列車におけるトロの油圧ブレーキの油圧器装置を提供する。
【解決手段】 作業車1に連結装置4を介してトロ3を連結した軌道用作業列車の前記作業車1に油圧ユニット5を搭載する。該油圧ユニット5と前記トロ3に設けた車輪制動用のブレーキ装置10の油圧管路7を、油圧ホース6を介して接続し、該油圧ホース6と前記油圧管路7の間に開閉弁8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クローラ式走行装置を備えたバックホーなどの作業車に連結器を介してトロを連結して構成した軌道用作業列車の前記トロは、前記作業車に搭載した油圧ユニットに連けいした油圧ブレーキを備えているが、本発明は該油圧ブレーキの油圧路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記の油圧路装置は、トロ側の油圧ブレーキに通じる油圧管路の端末に逆止弁を備えた接続手段を装置し、該接続手段にトロ側の油圧ブレーキに連通させた油圧ホースの端末を接続して構成する一方、トロの車輪は油圧ブレーキに油圧がかかっていないときは制動され、油圧をかけたときは走行状態になるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の油圧路装置は前記の通りの構成であるので、ブレーキ装置に油圧をかけた状態のとき、すなわち走行状態下にあるとき、ホース端末が何等かの原因で、例えば、連結器が外れるなどでカプラ等の接続手段から離れたり、ホースが切断したりしても、逆止弁の存在により油圧が油圧管路内に残り、ブレーキを作動させることができずにトロが逸走し、殊に、傾斜地等でこのような事態が生じたときは、大事故に直結しかねない。
【0004】
本発明は、斯様な常況に対処できる軌道用作業列車におけるトロの油圧ブレーキの油圧路装置を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
作業車に連結装置を介してトロを連結した軌道用作業列車の前記作業車に油圧ユニットを搭載し、該油圧ユニットと前記トロに設けた車輪制動用のブレーキの油圧管路を、油圧ホースを介して接続し、該油圧ホースと前記油圧管路の間に開閉弁を設けた構成としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、開閉弁を開放すると油圧ユニットからの油圧は油圧ホースと油圧管路を経てブレーキに作用してこれを解除して作業列車を走行状態に行うことができ、この走行状態時に、油圧ホースが切断等しても管路内の油圧は該切断部からの駆動油の漏出により、直ちに減圧され、従って、ブレーキ装置が作動し、トロの逸走を確実に防ぐ、油圧路装置を提供できる。
【実施例】
【0007】
図面は本発明に係る軌道用作業列車におけるトロの油圧ブレーキの油圧路装置の一実施例を示し、図1は本発明装置を適用した軌道用作業列車の略示説明図、図2はトロの底面図である。
【0008】
図中、1は作業車(クローラ走行装置を備えた軌陸両用の作業車などで、ここでは、トロの走行駆動車となるものであれば良い)で、油圧ユニット2を搭載し、該油圧ユニット2は運転席に備えた操作装置によって制御するようにしてある。
【0009】
3はトロで、トロ3は連結装置4を介して前記作業車1に連結し、作業車1と共に軌道用作業列車を構成する。
【0010】
連結装置4は、トロ3の先端と作業車1の後端のそれぞれに設けた連結器4a,4aと、該連結器4a,4aを接続する連結棒4bで構成し、この連結装置4を用いてトロ3の後側に他のトロを連結できるようにしてある。
【0011】
また、トロ3は作業車1に搭載した前記油圧ユニット2と油圧ホース(ゴム製であるが樹脂製でも良い)6を介して連通する油圧管路7を備え、油圧管路7は一端を開閉弁8を介して前記油圧ホース6に接続し、他の一端をトロ3に装置したシリンダ9に連通させ、シリンダ9はピストン棒9aにおいてブレーキ装置10の作動板10aに連けいしてある。
【0012】
ブレーキ装置10は、トロ3に揺動自在に枢着した前記作動板10aの一端をリンク機構10bの一端に連けいさせ、リンク機構10bの他の一端を揺動材10cに接続し、揺動材10cの先端に、トロ3の車軸11に設けたディスク10eを接離するブレーキパッド10dを設けて構成したものである。
【0013】
また、前記開閉弁8は、外部からの操作レバー8aの操作によってホース6と油圧管路7間を開閉し、油圧ユニット5、油圧ホース6および油圧管路7とで成す油圧路の開閉を行う。
【0014】
なお、油圧ホース6は油圧管路7の端末と差し込み式の接続手段を利用すると、油圧管路7との接続作業を簡単に行うことができ、実施例の場合は、逆止弁を備えたカプラー(前記差し込み機能を備えた)を用い、逆止弁に油圧路に備わせて透孔を開設して逆止弁としての機能を喪失させて単に油路の開閉機能が行えるように加工したものを用いている。要するに、開閉弁は、ホース6側から油圧の開閉を行なえるものであれば良い。
【0015】
そして、操作レバー8aを操作して閉状態から開状態に開閉弁8を開放すると、油圧ユニット5からの油圧が油圧ホース6、油圧管路7を順次経てシリンダ9に注入され、その結果、リンク機構10bが作動してブレーキパッド10dによって車軸(輪)を制動状態から開放し、車輪13すなわち作業車1とトロ3で成る作業列車は軌条上を自在に走行できる状態となる。
【0016】
そして、走行中に何等かの原因でホース6が損傷を受けると、該損傷部から駆動油が漏出し、漏出と同時に油圧がなくなり、該油圧の喪失をシリンダ9が検出してリンク機構10bに伝え、ブレーキパッド10dによってディスク10eが挟持され、所謂ブレーキがかかってトロ3の移動が規制されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明装置を適用した軌道用作業列車の略示説明図。
【図2】トロの底面図。
【符号の説明】
【0018】
1 作業車
3 トロ
4 連結装置
5 油圧ユニット
6 油圧ホース
7 油圧管路
8 開閉弁
10 ブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車に連結装置を介してトロを連結した軌道用作業列車の前記作業車に油圧ユニットを搭載し、該油圧ユニットと前記トロに設けた車輪制動用のブレーキの油圧管路を、油圧ホースを介して接続し、該油圧ホースと前記油圧管路の間に開閉弁を設けた、油圧ブレーキの油圧路装置。

【図1】
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【図2】
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