説明

軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分及びこれを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】反発弾性を向上させることができる軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分を提供すること。
【解決手段】
ポリオール成分中に下記ポリオール(Z)を含有する軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分(A)。
ポリオール(Z):植物由来組成物にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z1)、
植物由来組成物及び/又は(Z1)と2価のカルボン酸とをポリエステル化したポリオール(Z2)、
(Z2)にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z3)並びに
(Z1)〜(Z3)にエチレンオキサイドを付加したポリオール(Z4)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールであって、平均官能基数が2〜6であり、水酸基価が15〜180mgKOH/gであるポリオール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分及びこれを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、ソファ及び自動車等の座席シート材や車両用インストルメントパネルのクラッシュパッドに一般的に使用されている。しかし、近年生産性の向上を目的に、樹脂物性(反発弾性)向上が求められている。反発弾性が低いと自動車等の座席シートの乗り心地が悪くなる。
通常、反発弾性を向上させると樹脂が硬くなってしまう。樹脂が硬くなった場合、シート材としての高反発な性能が損なわれたり、インストルメントパネルに用いた場合では、エアバック展開時に飛散するウレタンフォーム片で自動車の乗員が怪我をする可能性が高くなる。
【0003】
また近年、地球温暖化の防止や循環型社会の構築をめざした技術開発の取り組みが世界規模で行われている。二酸化炭素は、前記地球温暖化を招く原因となる気体の1つであり、該二酸化炭素の排出量の削減が求められている。例えば、現在、用いられているポリウレタンフォームの多くは、石油由来物質を原料とするものである。そのため、当該ポリウレタンフォームの製造量が増大した場合、廃棄時の焼却処理の際に発生する二酸化炭素が増大し、それにより、水、植物などに貯蔵される二酸化炭素の量と、大気中の二酸化炭素の量とのバランスが崩され、大気全体に占める二酸化炭素の量を漸増させる原因となりうる。そこで、ポリウレタンフォームの原料成分であるポリオールとして、前記石油由来物質に代えて、植物由来原料である曝気大豆油(特許文献1)又はヒマシ油(特許文献2)を用いて、ポリウレタンフォームを製造する試みがなされている。しかしながら、かかる特許文献1又は2に記載のポリウレタンフォームは、例えば、高度な快適性、安全性などを求められる自動車シートなどの乗り物シートに用いた場合、そのフォーム物性が、熱老化の防止や経年耐久性を発揮させるには不十分であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−524627号公報
【特許文献2】特開2005−320437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、反発弾性を向上させることができる軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分を提供することである。また、本発明の目的は、ソファ、自動車用シート、車両用インストルメントパネルに好適な軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するポリオール組成物を用いることにより、植物由来組成物を使用し反発弾性を向上させたポリウレタンフォームを製造できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明の軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分(A)は、軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分であって、ポリオール成分中に下記ポリオール(Z)を含有することを要旨とする。
ポリオール(Z):植物由来組成物にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z1)、
植物由来組成物及び/又は(Z1)と2価のカルボン酸とをポリエステル化したポリオール(Z2)、
(Z2)にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z3)並びに
(Z1)〜(Z3)にエチレンオキサイドを付加したポリオール(Z4)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールであって、平均官能基数が2〜6であり、水酸基価が15〜180mgKOH/gであるポリオール。
また、本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、上記本発明のポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(C)とを、発泡剤(D)、ウレタン化触媒(X)及び整泡剤(F)の存在下に反応させてなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリオール成分を用いることにより、反発弾性を向上させた軟質ポリウレタンフォームを製造できる。また本発明の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームは、反発弾性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ポリオール(Z)は、植物由来組成物にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z1)、
植物由来組成物及び/又は(Z1)と2価のカルボン酸とをポリエステル化したポリオール(Z2)、
(Z2)にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z3)並びに
(Z1)〜(Z3)にエチレンオキサイドを付加したポリオール(Z4)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールであって、平均官能基数が2〜6であり、水酸基価が15〜180mgKOH/gであるポリオールである。
【0009】
ポリオール(Z1)は、植物由来組成物にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオールである。
植物由来組成物は、ヒマシ油、大豆油、とうもろこし油及びパーム油が含まれ、食料として消費されない及び臭気が低い観点から、好ましくはヒマシ油である。
植物由来組成物がヒマシ油である場合、ヒマシ油は、反発弾性率の向上の観点から、純度が高いものが好ましく、精製されたものが好ましい。
【0010】
プロピレンオキサイド(以下、POと略す)は、1,2−プロピレンオキサイドである。POの付加モル数は、1級化率の観点から、植物由来組成物の活性水素当たり、1〜7モルが好ましく、さらに好ましくは3〜5モルである。
【0011】
ポリオール(Z1)は、その末端の全水酸基に対して、末端の水酸基含有基の30〜100%が1級水酸基含有基である。
末端の1級水酸基含有基の構造は、下記一般式(1)で表される。
【0012】
【化1】

【0013】
上記の一般式(1)中のR1はメチル基である。
【0014】
(Z1)において、その末端の全水酸基に対して、1級水酸基含有基が占める比率(これを本明細書中、1級水酸基率とする。以下において同様である)は、(Z1)の全末端水酸基の量を基準として30〜100%であり、(Z1)の反応性の観点から、好ましくは50〜90%、さらに好ましくは65〜75%である。1級水酸基率が30%未満の場合には、ポリオール成分としての反応性が不十分である。
【0015】
本発明において、1級水酸基率は、予め試料をエステル化の前処理した後に、1H−NMR法により測定し、算出する。
【0016】
1級水酸基率の測定方法を以下に具体的に説明する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
通常の条件で1H−NMR測定を行う。
【0017】
<1級水酸基率の計算方法>
上に述べた前処理の方法により、ポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。1級水酸基率は次の計算式により算出する。
1級水酸基率(%)=[a/(a+2×b)]×100
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。
【0018】
ポリオール(Z1)は、植物由来組成物にPOを付加重合して得られるが、(Z1)を得られやすいことから、この付加重合で用いる触媒は下記触媒(F)であることが好ましい。
【0019】
触媒(F)は、(置換)フェニル基及び3級アルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基がホウ素原子又はアルミニウム原子に結合したホウ素化合物又はアルミニウム化合物であり、これを用いてPOを開環付加重合することにより、収率良く開環重合体が得られ、末端水酸基の1級水酸基率が高いポリオールが得られるものである。
【0020】
触媒(F)としては、反応性の観点から、ホウ素化合物であることが好ましい。
【0021】
(置換)フェニル基とは、フェニル基及び/又は置換フェニル基を意味する。
フェニル基又は置換フェニル基の具体例としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−シアノフェニル基及びp−ニトロフェニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基及びp−シアノフェニル基であり、さらに好ましくはフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
【0022】
触媒(F)としては、具体的にはトリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。
【0023】
触媒(F)の使用量は特に限定されないが、製造するポリオールに対して0.0001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜1重量%である。
【0024】
ポリオール(Z2)は、植物由来組成物及び/又は(Z1)と2価のカルボン酸とをポリエステル化したポリオールである。
【0025】
(Z2)において、植物由来組成物は上述したものと同様のものが含まれ、好ましいものも同様である。
【0026】
(Z2)において、2価のカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン及びセバシン酸)及びアルケニルコハク酸(例えばドデセニルコハク酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン、フマル、シトラコン及びメサコン酸);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル、イソフタル、テレフタル及びナフタレンジカルボン酸等);並びにこれらのエステル形成性誘導体〔例えば、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)等〕;等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸並びにこれらのエステル形成性誘導体である
【0027】
(Z2)において、植物由来組成物及び(Z1)と、2価のカルボン酸とのモル比率(植物由来組成物及び(Z1)の合計モル/2価のカルボン酸のモル)は、植物度及び官能基数の観点から、0.1〜2.5が好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2.0である。
【0028】
ポリオール(Z3)は、(Z2)にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオールである。
(Z3)において、その末端の全水酸基に対して、1級水酸基率は、(Z3)の全末端水酸基の量を基準として30〜100%であり、(Z3)の反応性の観点から、好ましくは50〜90%、さらに好ましくは65〜75%である。1級水酸基率が30%未満の場合には、ポリオール成分としての反応性が不十分である。
(Z3)は、(Z2)にPOを付加重合して得られるが、(Z3)を得られやすいことから、上述した(Z1)と同様に、この付加重合で用いる触媒は上記触媒(F)であることが好ましい。
【0029】
ポリオール(Z4)は、(Z1)〜(Z3)にエチレンオキサイドを付加したポリオールである。
(Z1)〜(Z3)にエチレンオキサイド(以下、EOと略す)を付加する際に用いる触媒としては、水酸化カリウム等の塩基性触媒など、公知の触媒でよい。
【0030】
ポリオール(Z)は、上記ポリオール(Z1)〜(Z4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールであり、官能基数と1級水酸基価の観点から、好ましくは(Z2)、(Z3)及び(Z4)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは(Z3)及び/又は(Z4)である。
【0031】
ポリオール(Z)は、平均官能基数が2〜6であり、反発弾性向上の観点から、好ましくは2〜6、さらに好ましくは3〜6である。
【0032】
ポリオール(Z)の水酸基価(mgKOH/g)は15〜180であり、ウレタンフォームの強度と成形性の観点から、20〜150が好ましく、さらに好ましくは30〜100である。
(Z)の水酸基価が15未満ではウレタンフォームの強度が悪くなり、180を超えると粘度が高くなり成形性が悪くなる。
【0033】
ポリオール成分(A)として、ポリオール(Z)を含有することには、(Z)中でビニルモノマー(g)を重合させて得られる重合体ポリオールを含有することも含まれる。
重合体ポリオールは、(Z)中にビニルモノマー(g)を重合して得られるポリマー粒子(P)が分散された重合体ポリオールである。
重合体ポリオールは、(Z)中でビニルモノマー(g)を公知の方法で重合して製造することができる。例えば、(Z)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(g)が重合され、得られた(g)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書及び特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
(g)としては、スチレン及び/又はアクリロニトリルが好ましい。
【0034】
本発明において、ポリオール成分(A)中には、ポリオール(Z)以外の活性水素成分(A1)を含有してもよく、(A1)としては、例えば(Z)以外のポリオール、モノオール、アミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0035】
(A1)のうち、(Z)以外のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びその他のポリオールが挙げられる。
(A1)のうち、ポリエーテルポリオールとしては、活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド(以下、AOと略す)付加物であって、(Z)以外のものが挙げられる。
活性水素含有化合物としては、多価アルコール、アミン、多価フェノール、ポリカルボン酸及びこれらの混合物が含まれる。
【0036】
多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール、炭素数3〜20の3価アルコール及び炭素数5〜20の4〜8価又はそれ以上の多価アルコールが含まれる。
【0037】
炭素数2〜20の2価アルコールとしては、脂肪族ジオール及び脂環式ジオールが含まれる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等のアルキレングリコールが挙げられる。脂環式ジオールとしては、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコールが挙げられる。
【0038】
炭素数3〜20の3価アルコールとしては、脂肪族トリオールが含まれる。脂肪族トリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びヘキサントリオール等のアルカントリオールが挙げられる。
【0039】
炭素数5〜20の4〜8価又はそれ以上の多価アルコールとしては、脂肪族ポリオール並びに糖類及びその誘導体が含まれる。脂肪族ポリオールとしては、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等のアルカンポリオール並びにこれらのアルカンポリオール及び/又は前記アルカントリオールの分子内又は分子間脱水物が挙げられる。糖類及びその誘導体としては、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド等が挙げられる。
【0040】
アミンとしては、アルカノールアミン、ポリアミン及びモノアミンが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、炭素数2〜20のモノ−、ジ−及びトリ−アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びイソプロパノールアミン)等が挙げられる。
【0041】
ポリアミン(1,2級アミノ基の数:2〜8個又はそれ以上)としては、脂肪族アミンとして、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン)、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜 ヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン)等が挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(例えば、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン及びジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式ポリアミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式ポリアミン(例えば、ピペラジン及びアミノエチルピペラジン)等が挙げられる。
【0042】
モノアミンとしては、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミン及びオクチルアミン);炭素数6〜20の芳香族モノアミン(例えば、アニリン及びトルイジン);炭素数4〜20の脂環式モノアミン(例えば、シクロヘキシルアミン);炭素数4〜20の複素環式モノアミン(例えば、ピペリジン)等が挙げられる。
【0043】
多価(2〜8価又はそれ以上)フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン及びフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールスルホン等のビスフェノール;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);たとえば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
【0044】
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸及びアゼライン酸等)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びトリメリット酸等)及びこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0045】
これらの活性水素含有化合物は2種以上を併用してもよい。これらの中で好ましくは多価アルコールである。
【0046】
上記活性水素含有化合物に付加させるAOとしては、PO及びEOが挙げられる。AOは、これらのみを含有することが好ましいが、AO中10重量%以下(とくに5%以下)の範囲で他のAOが併用された付加物であってもよい。他のAOとしては、炭素数4〜8のものが好ましく、1,2−、1,3−、1,4−、又は2,3−ブチレンオキシド、及びスチレンオキシド等が挙げられ、2種以上用いてもよい。
【0047】
PO及びEOを含むAOの付加形式としては、PO、EOの順序でブロック付加したものが好ましい。なお、AO付加時に用いる触媒としては、水酸化カリウム等の塩基性触媒など、通常用いられる触媒でよい。
【0048】
本発明において、ポリオール成分(A)には、上記ポリエーテルポリオールのうち、ウレタンフォームの強度と製造時の成形性の観点から、下記ポリオール(a1)を含有することが好ましい。
ポリエーテルポリオール(a1):活性水素化合物のアルキレンオキサイド付加物であって、平均官能基数が2〜8であり、水酸基価が30〜800(mgKOH/g)であるポリエーテルポリオール。
【0049】
(a1)の1分子当たりの平均官能基数は、ウレタンフォームの強度と製造時の成形性の観点から、2〜8であり、好ましくは2.9〜4.2である。この範囲以外の官能基数のものが含まれていても、平均官能基数が2〜8となればよい(他のポリオールの平均官能基数についても同様)。なお、本発明において、ポリオールの官能基数は、出発物質(例えば活性水素含有化合物)の官能基数と同一であるとみなす。
【0050】
(a1)の水酸基価は、ウレタンフォームの強度と製造時の成形性の観点から、30〜800(mgKOH/g、以下の水酸基価も同じ)であり、好ましくは35〜600、さらに好ましくは30〜500である。
【0051】
(A1)のうち、ポリエステルポリオールとしては、下記の(1)〜(5)のものが挙げられる。
(1)多価アルコールとポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのエステル化物
多価アルコールは、2価アルコール、ポリエーテルポリオール(好ましくはジオール)、3価以上の多価アルコール及びこれらの混合物であり、上述したものが挙げられる。ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体は、酸無水物及び低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等である。ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及びテレフタル酸ジメチル等が挙げられる。
(2)カルボン酸無水物及びAOとの縮合反応物
(3)上記(1)及び(2)のAO(EO、PO等)付加物
(4)ポリラクトンポリオール:例えば多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの。
(5)ポリカーボネートポリオール:例えば前記多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物。
【0052】
(A1)のうち、その他のポリオール及びモノオールとしては、ポリブタジエンポリオール等のポリジエンポリオール及びこれらの水添物;アクリル系ポリオール、特開昭58−57413号公報及び特開昭58−57414号公報等に記載された水酸基含有ビニル重合体;ヒマシ油等の天然油脂系ポリオール;ヒマシ油変性物(例えば多価アルコールエステル交換生成物、水添物)等の天然油脂系ポリオールの変性物;国際公開WO98/44016号公報に記載の末端ラジカル重合性官能基含有活性水素化合物(モノオールも含まれる。);ポリエーテルポリオールをメチレンジハライド等のアルキレンジハライド等で結合し、高分子量化した変性ポリオール;ポリエーテルポリオールのOH末端プレポリマー;前述した多価アルコール;等が挙げられる。
(A1)のうち、アミンとしては前述のものが挙げられる。
【0053】
活性水素成分(A1)のうち、生産性の観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0054】
軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分(A)中のポリオール組成物(Z)の含有量は、軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分(A)の重量を基準として、反発弾性の向上の観点から、10〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%である。
軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分(A)中のポリエーテルポリオール(a1)の含有量は、軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分(A)の重量を基準として、反発弾性の向上の観点から、10〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%である。
【0055】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、上述した本発明のポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(C)とを、触媒(X)及び整泡剤(D)の存在下に反応させてなるポリウレタンフォームの製造方法である。
【0056】
ポリイソシアネート成分(C)は、通常ポリウレタンフォ−ムに使用されるものはすべて使用でき、例えば、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート(1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネ−ト(以下、TDIと略す。)並びに粗製TDI等)、炭素数6〜10の脂肪族ポリイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト及びリジンジイソシアネート等)、炭素数6〜16の脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、1,4−シクロヘキサンジイソシアネ−ト及びノルボルナンジイソシアネート等)、炭素数8〜12の芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネ−ト及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト等)、これらの変性物(例えば、ウレタン変性物、カルボジイミド変性物、アロファネート変性物、ウレア変性物、ビューレット変性物、イソシアヌレート変性物、オキサゾリドン変性物など)並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。汎用性があり安価な面から、好ましくは、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネ−トである。
なお、粗製TDIとは、TDIの製造過程又は製造から使用までの保存時に生成する不純物を含んだTDIであり、不純物としてはTDIの前駆体であるトルエンジアミン、イソシアネート基を1つしか持たないトルエンイソシアネート及びTDIが有する2つのイソシアネート基の片方又は両方がアミノ基であるもの並びにこれらとTDIとの反応物等である。
【0057】
触媒(X)としては、ウレタン化反応を促進する通常の触媒はすべて使用でき、例として、トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル及びN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の3級アミン及びこのカルボン酸塩、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩並びにジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。
【0058】
(X)の使用量は、ウレタン化反応性の観点から、ポリオール成分(A)100重量部に対して、0.1〜3.0重量部が好ましい。
【0059】
整泡剤(D)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、例として、ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、トーレダウコーニングシリコーン(株)製の「SRX−253」、信越化学工業(株)製の「F−122」等]、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、日本ユニカー(株)製の「L−5309」、「SZ−1311」等]等のシリコーン整泡剤が挙げられる。
【0060】
整泡剤(D)の使用量は、ウレタンフォームの成形性の観点から、(A)100重量部に対して、0.1〜2重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。
【0061】
本発明の製造方法においては、必要により以下に述べるような、発泡剤(E)及び他の補助成分を用い、その存在下で反応させてもよい。
【0062】
発泡剤(E)としては、水が挙げられる。
発泡剤として水を使用する場合、水の使用量は、ポリオール成分(A)100重量部に対して、ウレタンフォームの密度の観点から、1.5〜5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.8〜3.0重量部である。
【0063】
発泡剤(D)としては水のみを用いるのが好ましいが。必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等を併用してもよい。
【0064】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としてHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22及びHCFC−142b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa及びHFC−365mfc)等が挙げられる。
【0065】
これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa及びHFC−365mfc並びにこれらの2種以上の混合物である。
【0066】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、ウレタンフォームの密度の観点から、(A)100重量部当たり、0〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜30重量部である。
【0067】
低沸点炭化水素は、沸点が−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物が挙げられる。低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、ウレタンフォームの密度の観点から、(A)100重量部当たり、30部以下が好ましく、さらに好ましくは25重量部以下である。
また、液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、ウレタンフォームの密度の観点から、(A)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは25重量部以下である。
【0068】
他の補助成分としては、例えば、着色剤(染料及び顔料)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)、接着剤(ポリカプロラクトン等)等の公知の補助成分の存在下で反応させることができる。ポリオール成分(A)100重量部に対するこれらの補助成分の使用量に関しては、着色剤は、1重量部以下が好ましい。難燃剤は、5重量部以下が好ましく、さらに好ましくは2部以下である。老化防止剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.5重量部以下である。抗酸化剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0又は0.01〜0.5重量部である。接着剤は、5重量部以下が好ましく、さらに好ましくは4重量部以下である。
【0069】
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100](NCOインデックス)は、ウレタンフォームの強度の観点から、70〜130が好ましく、さらに好ましくは80〜128、特に好ましくは85〜125である。
【0070】
植物由来組成物の植物度の測定方法については、ASTM D6866に準じて測定した。
植物由来組成物を変性した化合物(本発明におけるポリオール(Z)も変性した化合物である)については、以下の計算値により植物を求める。

植物度(%)=植物由来組成物の重量×植物由来組成物の植物度(%)/(植物由来組成物を変性した化合物の重量)

例えば、ASTM D6866で測定した植物度100%であるヒマシ油[URIC H−30(伊藤製油株式会社製)]100重量部にPO20重量部を付加した化合物の植物度は下記式の通りである。
植物度(%)=100×100/(100+20)=83%
【0071】
本発明のポリオール成分(A)の植物度は、二酸化炭素の排出量を抑制し地球温暖化の防止の観点から、2〜100%が好ましく、さらに好ましくは10〜70%である。
【実施例】
【0072】
以下、本発明について実施例により説明するが、本発明はそれらにより何等制限されるものではない。
【0073】
製造例1 〔z1−1の合成〕
減圧脱水したヒマシ油[URIC H−52(伊藤製油株式会社製)]100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、70℃まで昇温した。P−TPBをヒマシ油100重量部に対し10×10-3重量部添加した。添加後、オートクレーブ中の気相を窒素で置換したのち0〜0.01MPaまで減圧した。これにプロピレンオキサイド10.3重量部をオートクレーブ内圧力0.4MPa以下、反応温度70〜80℃を維持しながら分割して投入した。投入完了後、徐々に圧力低下が起こるが、圧力降下が認められなくなるまで反応させた。これに8重量部の水を投入し圧力0,4MPa以下、温度130℃で2時間アセタール分解を行なった。この生成物に窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度100〜140℃で内容量の6重量%の水を滴下投入しながら脱アルデヒドを3時間行なった。次いで、窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度130℃〜140℃で脱水を行い、水酸基価180mgKOH/g、1級水酸基率40%のポリオール(z1−1)を得た。
【0074】
製造例2 〔z1−2の合成〕
減圧脱水したヒマシ油[URIC H−30(伊藤製油株式会社製)]100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、70℃まで昇温した。P−TPBをヒマシ油100重量部に対し10×10-3重量部添加した。添加後、オートクレーブ中の気相を窒素で置換したのち0〜0.01MPaまで減圧した。これにプロピレンオキサイド367重量部をオートクレーブ内圧力0.4MPa以下、反応温度70〜80℃を維持しながら分割して投入した。投入完了後、徐々に圧力低下が起こるが、圧力降下が認められなくなるまで反応させた。これに17重量部の水を投入し圧力0,4MPa以下、温度130℃で2時間アセタール分解を行なった。この生成物に窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度100〜140℃で内容量の14重量%の水を滴下投入しながら脱アルデヒドを3時間行なった。次いで、窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度130℃〜140℃で脱水を行い、水酸基価34mgKOH/g、1級水酸基率70%のポリオール(z1−2)を得た。
【0075】
製造例3 〔z1−3の合成〕
減圧脱水したヒマシ油[URIC H−30(伊藤製油株式会社製)]100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、70℃まで昇温した。パーフルオロトリスフェニルボラン(以下P−TPBと略記する。)をヒマシ油100重量部に対し10×10-3重量部添加した。添加後、オートクレーブ中の気相を窒素で置換したのち0〜0.01MPaまで減圧した。これにプロピレンオキサイド18.4重量部をオートクレーブ内圧力0.4MPa以下、反応温度70〜80℃を維持しながら分割して投入した。投入完了後、徐々に圧力低下が起こるが、圧力降下が認められなくなるまで反応させた。これに8重量部の水を投入し圧力0,4MPa以下、温度130℃で2時間アセタール分解を行なった。この生成物に窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度100〜140℃で内容量の6重量%の水を滴下投入しながら脱アルデヒドを3時間行なった。次いで、窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度130℃〜140℃で脱水を行い、水酸基価135mgKOH/g、1級水酸基率45%のポリオール(z1−3)を得た。
【0076】
製造例4 〔z2−1の合成〕
減圧脱水したヒマシ油[URIC H−30(伊藤製油株式会社製)]100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、70℃まで昇温した。P−TPBをヒマシ油100重量部に対し10×10-3重量部添加した。添加後、オートクレーブ中の気相を窒素で置換したのち0〜0.01MPaまで減圧した。これにプロピレンオキサイド27.6重量部をオートクレーブ内圧力0.4MPa以下、反応温度70〜80℃を維持しながら分割して投入した。投入完了後、徐々に圧力低下が起こるが、圧力降下が認められなくなるまで反応させた。これに8重量部の水を投入し圧力0,4MPa以下、温度130℃で2時間アセタール分解を行なった。この生成物に窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度100〜140℃で内容量の6重量%の水を滴下投入しながら脱アルデヒドを3時間行なった。次いで、窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度130℃〜140℃で脱水を行い、水酸基価125mgKOH/g、1級水酸基率45%のポリオール(z2−1中間体)を得た。
減圧脱水した(z2−1中間体)100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたガラスコルベンに仕込み、N,N-ジメチルホルムアミド8.0重量部に無水フタル酸6.1重量部を溶解させた溶液を25℃にて投入し30分間攪拌した。さらに、塩化チオニルを3.1重量部を3時間かけて滴下投入し、投入終了後3時間エステル化反応を20〜30℃で実施した。さらに、炭酸水素ナトリウム5重量%水溶液を52.0重量部投入し中和した。その後、130〜140℃、圧力0〜0.01MPaにて3時間減圧留去し、水酸基価120mgKOH/gのエステル化物(z2−1)を得た。
【0077】
製造例5〔z2−2の合成〕
減圧脱水したヒマシ油[URIC H−30(伊藤製油株式会社製)]100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたガラスコルベンに仕込み、N,N-ジメチルホルムアミド8.0重量部に無水フタル酸7.8重量部を溶解させた溶液を25℃にて投入し30分間攪拌した。さらに、塩化チオニルを12.4重量部を3時間かけて滴下投入し、投入終了後3時間エステル化反応を20〜30℃で実施した。さらに、炭酸水素ナトリウム5重量%水溶液を131重量部投入し中和した。その後、130〜140℃、圧力0〜0.01MPaにて3時間減圧留去し、水酸基価151mgKOH/gのエステル化物{ポリオール(z2−2)}を得た。
【0078】
製造例6 〔z2−3の合成〕
減圧脱水したヒマシ油[URIC H−30(伊藤製油株式会社製)]100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたガラスコルベンに仕込み、N,N-ジメチルホルムアミド8.0重量部に無水フタル酸7.8重量部を溶解させた溶液を25℃にて投入し30分間攪拌した。さらに、塩化チオニル12.4重量部を3時間かけて滴下投入し、投入終了後3時間エステル化反応を20〜30℃で実施した。さらに、炭酸水素ナトリウム5重量%水溶液を131重量部投入し中和した。その後、130〜140℃、圧力0〜0.01MPaにて3時間減圧留去し、水酸基価151mgKOH/gのエステル化物(z2−3中間体)を得た。
減圧脱水した(z2−3中間体)100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたガラスコルベンに仕込み、N,N-ジメチルホルムアミド8.0重量部に無水フタル酸0.04重量部を溶解させた溶液を25℃にて投入し30分間攪拌した。さらに、塩化チオニル0.13重量部を3時間かけて滴下投入し、投入終了後3時間エステル化反応を20〜30℃で実施した。さらに、炭酸水素ナトリウム5重量%水溶液を1.4重量部投入し中和した。その後、130〜140℃、圧力0〜0.01MPaにて3時間減圧留去し、水酸基価147mgKOH/gのエステル化物{ポリオール(z2−3)}を得た。
【0079】
製造例7 〔z4−1の合成〕
減圧脱水したヒマシ油[URIC H−30(伊藤製油株式会社製)]100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、70℃まで昇温した。P−TPBをヒマシ油100重量部に対し10×10-3重量部添加した。添加後、オートクレーブ中の気相を窒素で置換したのち0〜0.01MPaまで減圧した。これにプロピレンオキサイド18.4重量部をオートクレーブ内圧力0.4MPa以下、反応温度70〜80℃を維持しながら分割して投入した。投入完了後、徐々に圧力低下が起こるが、圧力降下が認められなくなるまで反応させた。これに8重量部の水を投入し圧力0,4MPa以下、温度130℃で2時間アセタール分解を行なった。この生成物に窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度100〜140℃で内容量の6重量%の水を滴下投入しながら脱アルデヒドを3時間行なった。次いで、窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度130℃〜140℃で脱水を行い、水酸基価135mgKOH/g、1級水酸基率40%のポリオール(z4−1中間体)を得た。
減圧脱水した(z4−1中間体)100重量部を撹拌装置、温度制御装置及び原料供給ラインを備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、130℃まで昇温した。水酸化カリウムを(z4−1中間体)100重量部に対し2.5重量部添加した。添加後、オートクレーブ中の気相を窒素で置換したのち0〜0.01MPaまで減圧した。これにエチレンオキサイド58.9重量部をオートクレーブ内圧力0.4MPa以下、反応温度120〜140℃を維持しながら分割して投入した。投入完了後、徐々に圧力低下が起こるが、圧力降下が認められなくなるまで反応させた。次いで、ケイ酸アルミニウム(キョーワード600、協和化学株式会社製)4重量部をろ過機上に均一になるように投入し、上記の反応物に5重量部の水を投入攪拌したものをろ過し、ろ液に窒素を液中バブリングさせながら、減圧条件、温度130℃〜140℃で脱水を行い、水酸基価85.1mgKOH/g、1級水酸基率58%のポリオール(z4−1)を得た。
【0080】
〔実施例1〜19及び比較例1〜3:ウレタンフォームの作成〕
表1〜表3に示した部数にて、ポリオール、架橋剤、触媒、整泡剤、連通化剤及び水を25℃で撹拌混合した。さらに、イソシアネートを加え、ホモミキサーで撹拌混合した後300mm×300mm×100mmの金型に注入し、金型温度60℃で6分発泡硬化させ、軟質ポリウレタンフォームを得た。
なお、ポリオール、架橋剤、触媒、整泡剤、連通化剤、イソシアネートは上記製造例で合成したポリオールの他に以下のものを使用した。
【0081】
(y1)ヒマシ油(URIC H−30(伊藤製油株式会社製))(水酸基価160mgKOH/g)植物度100%
(a1−1)ペンタエリスリトールにPOとEOを付加したポリエーテルポリオール(水酸基価39mgKOH/g)
(a1−2)ペンタエリスリトールにPOを付加したポリエーテルポリオール(水酸基価400mgKOH/g)
(c1)ペンタエリスリトールにPOとEOを付加したポリエーテルポリオール中で、アクリルニトリルとスチレンとを共重合して得られた重合体ポリオール(水酸基価20mgKOH/g)
(d1)架橋剤1:ソルビトールにEOを付加したポリエーテルポリオール(水酸基価1057mgKOH/g)
(d2)架橋剤2:グリセリンにEOを付加したポリエーテルポリオール(水酸基価842mgKOH/g)
(d3)架橋剤3:エチレングリコール(水酸基価1807mgKOH/g)
(e1)触媒1:DABCO 33LV(エアープロダクツ ジャパン(株)製)
(e2)触媒2:TOYOCAT ET(東ソー(株)製)
(f1)東レ・ダウコーニング(株)製「L−5309」
(f2)東レ・ダウコーニング(株)製「SF−2972」
(g1)グリセリンにEO付加後、POとEOをランダム付加したポリエーテルポリオール(水酸基価25mgKOH/g)
(h1)有機ポリイソシアネート:三井化学(株)製「コスモネート TM-20」(TDI-80(2,4−及び2,6−TDI、2,4-体の比率が80重量%)/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(重量比)(NCO%:44.6))
【0082】
得られたウレタンフォームをJIS K6401により反発弾性率およびコア密度を測定した。得られた結果を表1に示す。
なお、表中の平均植物度は、{Σ(各成分の重量×各成分の植物度)}÷(フォーム重量)×100により算出し記載した。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
表1〜表3から、植物度が同程度のものを比較し、すなわち、実施例1,3〜8、18、19は比較例2と、実施例2、9、10及び12は比較例3と、実施例11、13〜17は比較例1と比較し、実施例のものが比較例に対して同等以上に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のポリオール成分を使用して得られるポリウレタンフォームは、反発弾性率に優れる。したがって、クッション材、バック材、インストルメントパネル用ポリウレタンフォームとして用として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分であって、ポリオール成分中に下記ポリオール(Z)を含有する軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分(A)。
ポリオール(Z):植物由来組成物にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z1)、
植物由来組成物及び/又は(Z1)と2価のカルボン酸とをポリエステル化したポリオール(Z2)、
(Z2)にプロピレンオキサイドを付加したポリオールであって末端水酸基の1級水酸基率が30〜100%のポリオール(Z3)並びに
(Z1)〜(Z3)にエチレンオキサイドを付加したポリオール(Z4)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールであって、平均官能基数が2〜6であり、水酸基価が15〜180mgKOH/gであるポリオール。
【請求項2】
さらに、下記ポリエーテルポリオール(a1)を含有する請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分。
ポリエーテルポリオール(a1):活性水素化合物のアルキレンオキサイド付加物であって、平均官能基数が2〜8であり、水酸基価が30〜800(mgKOH/g)であるポリエーテルポリオール。
【請求項3】
ポリオール(Z)の含有量がポリオール成分(A)の重量を基準として10〜90重量%である請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分。
【請求項4】
植物由来組成物がヒマシ油である請求項1〜3のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール成分。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(C)とを触媒(X)及び整泡剤(D)の存在下で反応させてなる軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2011−252039(P2011−252039A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125067(P2010−125067)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】