軟部組織移植片準備デバイスおよび方法
【課題】軟部組織移植片準備のための改善されたデバイスおよび方法を提供すること。
【解決手段】ハンドル部分;該ハンドル部分から遠位に延びる本体部分;該本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタ17であって、第一の部材および第二の部材を備える、エンドエフェクタ17;ならびに少なくとも1つのフィラメント状材料Sが取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体であって、該第一の部材の組織接触表面および該第二の部材の組織接触表面のうちの少なくとも一方に並置して長手軸方向に配置される、フィラメント状材料取り付け構造体、を備える。
【解決手段】ハンドル部分;該ハンドル部分から遠位に延びる本体部分;該本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタ17であって、第一の部材および第二の部材を備える、エンドエフェクタ17;ならびに少なくとも1つのフィラメント状材料Sが取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体であって、該第一の部材の組織接触表面および該第二の部材の組織接触表面のうちの少なくとも一方に並置して長手軸方向に配置される、フィラメント状材料取り付け構造体、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本特許出願は、2009年3月27日に出願された、発明の名称「Soft Tissue Graft Preparation Devices and Methods」の米国仮出願番号61/164,036に対する優先権および利益を主張する。この米国仮出願の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、外科手術用デバイスに関し、そしてより特定すると、軟部組織移植片準備に関連して使用するための外科手術用デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の外科手術処置(関節鏡による肩の外科手術、膝靭帯再建技術および他の整形外科手術が挙げられる)は、移植片を使用する靭帯の再建を包含する。種々の移植材料(自己移植片(自家移植片としてもまた公知であり、同じ個体の1つの部位から別の部位へと移される組織)、同種移植片(ドナー組織)、異種移植片(ヒト以外の種由来の組織)および合成材料が挙げられる)が、靭帯再建において使用されている。
【0004】
外科靭帯再建の1つの例は、断裂した前十字靭帯(ACL)(膝の主要な安定靭帯である)の外科手術処置である。ACL再建は代表的に、損傷したACLを除去し、そしてこれを移植片で置き換える。ACL手順は、関節鏡により実施され得、そして一般に、脛骨および大腿骨を通る骨トンネルを調製する工程、これらの2つの骨トンネルの間に延びるように靭帯移植片を配置する工程、ならびにこの移植片の各端部をそれぞれのトンネル内で固定する工程を包含する。ACL再建の1つの方法は、骨−腱−骨(BTB)靭帯移植片を使用し、この移植片は、膝蓋骨および脛骨から採取される。別の方法は、軟部組織移植片(半腱様筋、膝窩腱、アキレス腱、大腿四頭筋など)の使用を採用する。軟部組織移植片は一般に、靭帯再建において有用であると考えられている。例えば、軟部組織移植片は、BTB移植片のように、膝蓋骨を弱化状態のままにしない。
【0005】
靭帯再建外科手術のための準備中に、移植片材料が切り取られ、大きさを整えられ、そして縫合糸がこの移植片材料に取り付けられて、この移植片のしっかりした固定を提供することを補助する。移植片への縫合糸の取り付けは一般に、種々の方法(野球ボールのようなまつり縫い、クラコフ(Krakow)縫合技術、および直線縫いが挙げられる)によって縫合糸を手で縫うことにより完了する。このプロセスにより、この移植片の各端部について、外科医または外科補助人員は、数分を費やし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
靭帯再建外科手術のための準備時間を短縮するために、移植片への縫合糸の取り付けの効率的な方法が必要とされている。外科医または外科補助人員に、一貫した結果を保証するために、縫合糸取り付けの再現性のある方法を提供することが必要とされている。従って、軟部組織移植片準備のための改善されたデバイスおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ハンドル部分;
該ハンドル部分から遠位に延びる本体部分;
該本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタであって、第一の部材および第二の部材を備える、エンドエフェクタ;ならびに
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体であって、該第一の部材の組織接触表面および該第二の部材の組織接触表面のうちの少なくとも一方に並置して長手軸方向に配置される、フィラメント状材料取り付け構造体、
を備える、軟部組織移植片準備デバイス。
(項目2)
上記第二の部材が上記第一の部材に作動可能に関連しており、該第一の部材および該第二の部材が、一方を他方に対して長手軸方向に並置させるように互いに移動可能であるように接続されている、上記項目に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目3)
上記軟部組織移植片準備デバイスが、外科手術用ステープラーであり、そして上記第一の部材が、ステープルカートリッジアセンブリであり、そして上記第二の部材が、該ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連しているアンビルアセンブリである、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目4)
上記フィラメント状材料取り付け構造体が、フィルムをさらに備え、上記少なくとも1つのフィラメント状材料が該フィルムに取り付けられている、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目5)
上記フィルムが生体吸収性ポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目6)
上記フィルムが非生体吸収性ポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目7)
上記少なくとも1つのフィラメント状材料を上記フィルムに取り付けるための生体吸収性接着剤をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目8)
上記フィルムが、該フィルム内に形成された少なくとも1つのチャネルを備え、上記少なくとも1つのフィラメント状材料が、該フィルム内の該少なくとも1つのチャネル内に少なくとも部分的に収容される、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目9)
上記チャネル内に配置された接着剤をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目10)
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
移植片材料を提供する工程;
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の表面の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該エンドエフェクタの第二の部材と該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させ、これによって該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に隣接させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを該フィラメント状材料取り付け構造体および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
(項目11)
上記フィラメント状材料取り付け構造体が、第一のフィルムをさらに備え、該第一のフィルムに、上記少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられている、上記項目に記載の方法。
(項目12)
上記エンドエフェクタの上記第一の部材がステープルカートリッジアセンブリである、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記エンドエフェクタの上記第二の部材が、上記ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連するアンビルアセンブリである、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目14)
第二のフィルムを提供する工程;および
該第二のフィルムを、上記エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程、
をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記移植片材料の中心部分への外科手術用ファスナーの配置を容易にするために、該移植片材料を整列させる工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記移植片材料を提供する工程が、外科手術用手順において使用するために、該移植片材料を選択することおよび調製することのうちの少なくとも一方を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記移植片材料が軟部組織移植片である、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18)
上記移植片材料が、患者、ドナー、およびヒト以外の種のうちの少なくとも1つから採取された生物学的組織を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目19)
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を製造する工程;
移植片材料を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
生体適合性フィルムを提供する工程;
該生体適合性フィルムを、該エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該生体適合性フィルムと該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを、該フィラメント状材料取り付け構造体、該生体適合性フィルム、および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体および該生体適合性フィルムを該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
【0008】
軟部組織移植片準備デバイスは、ハンドル部分、このハンドル部分から遠位に延びる本体部分、およびこの本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタを備える。このエンドエフェクタは、第一の部材および第二の部材を備える。この軟部組織移植片準備デバイスはまた、少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を備え、このフィラメント状材料取り付け構造体は、この第一の部材の組織接触表面および/またはこの第二の部材の組織接触表面に並置して長手軸方向に配置される。
【0009】
(要旨)
本開示は、軟部組織移植片準備デバイスに関し、この軟部組織移植片準備デバイスは、ハンドル部分、このハンドル部分から遠位に延びる本体部分、およびこの本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタを備える。このエンドエフェクタは、第一の部材および第二の部材を備える。本開示の軟部組織移植片準備デバイスはまた、少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を備え、このフィラメント状材料取り付け構造体は、この第一の部材の組織接触表面および/またはこの第二の部材の組織接触表面に並置して長手軸方向に配置される。
【0010】
本開示はまた、外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法に関し、この方法は、移植片材料を提供する工程、および少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を提供する工程という、最初の工程を包含する。この方法はまた、このフィラメント状材料取り付け構造体を、このエンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;この移植片材料を、このエンドエフェクタの第二の部材とこのフィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;この第一の部材をこの第二の部材に対して移動させ、これによってこのフィラメント状材料取り付け構造体をこの移植片材料に隣接させる工程;ならびにこのエンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーをこのフィラメント状材料取り付け構造体およびこの移植片に埋め込み、これによってこのフィラメント状材料取り付け構造体をこの移植片に固定する工程を包含する。
【0011】
本開示はまた、外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける、別の方法に関する。この方法は、少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を製造する工程、および移植片材料を提供する工程という、最初の工程を包含する。この方法はまた、このフィラメント状材料取り付け構造体をこのエンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;生体適合性フィルムを提供する工程;この生体適合性フィルムをこのエンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;この移植片材料をこの生体適合性フィルムとこのフィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;この第一の部材をこの第二の部材に対して移動させる工程;ならびにこのエンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーをこのフィラメント状材料取り付け構造体、この生体適合性フィルム、およびこの移植片材料に埋め込む工程であって、これによってこのフィラメント状材料取り付け構造体およびこの生体適合性フィルムをこの移植片材料に固定する、工程を包含する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、靭帯再建外科手術のための準備時間を短縮するための、移植片への縫合糸の取り付けの効率的な方法が提供される。外科医または外科補助人員に、一貫した結果を保証するための、縫合糸取り付けの再現性のある方法が提供される。軟部組織移植片準備のための改善されたデバイスおよび方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本開示の1つの実施形態による外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図2】図2は、本開示の別の実施形態による外科手術用ステープル留めデバイスの側面図である。
【図3A】図3Aは、本開示のなお別の実施形態による外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図3B】図3Bは、本開示の1つの実施形態によるフィラメント状材料の一部分を図示する、図3Aに示される細部の示された領域Aの拡大斜視図である。
【図4】図4は、本開示の1つの実施形態によるフィラメント状材料取り付け構造体の拡大上面図である。
【図5A】図5Aは、本開示の1つの実施形態による第一の位置にあるフィラメント状材料を示す、図4に示される細部の示された領域Iの拡大断面図である。
【図5B】図5Bは、本開示の1つの実施形態による第二の位置に配置されたフィラメント状材料を示す、図4に示される細部の示された領域Iの拡大断面図である。
【図5C】図5Cは、本開示の1つの実施形態による第三の位置に配置されたフィラメント状材料を示す、図4に示される細部の示された領域Iの拡大断面図である。
【図6A】図6Aは、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体の別の実施形態の拡大上面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのフィラメント状材料取り付け構造体の拡大側面図である。
【図7】図7は、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体のなお別の実施形態の拡大側面図である。
【図8】図8は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体およびフィルムがエンドエフェクタへの配置のために整列されて示されている、図1の外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図9A】図9Aは、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そしてフィルムがアンビルアセンブリの組織接触表面に隣接して配置されて示されている、図8のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図9B】図9Bは、本開示の1つの実施形態による、移植片材料が図9Aのフィラメント状材料取り付け構造体とフィルムとの間に配置されて示されている、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図9Aのエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図10】図10は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリに隣接して配置されて示されている、図8のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図11】図11は、本開示の1つの実施形態による、移植片材料がフィラメント状材料取り付け構造体とアンビルアセンブリとの間に配置されて示されている、図10のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図12】図12は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図11のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図13】図13は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体およびフィルムが取り付けられた移植片材料の断面図である。
【図14】図14は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料およびフィルムがエンドエフェクタへの配置のために整列されて示されている、図1の外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図15A】図15Aは、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そしてフィルムがアンビルアセンブリの組織接触表面に隣接して配置されて示されている、図14のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図15B】図15Bは、本開示の1つの実施形態による、移植片材料が図15Aのフィラメント状材料とフィルムとの間に配置されて示されている、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図15Aのエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図16】図16は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体およびフィルムがエンドエフェクタに配置されて示されている、図2の外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図17】図17は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そしてフィルムがアンビルアセンブリの組織接触表面に隣接して配置されて示されている、図16のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図18】図18は、本開示の1つの実施形態による、移植片材料がフィラメント状材料取り付け構造体とフィルムとの間に配置されて示されている、図17のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図19】図19は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そして移植片材料がフィラメント材料取り付け構造体とアンビルアセンブリとの間に配置されて示されている、図16のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図20】図20は、本開示の別の実施形態による、外科手術用ステープルデバイスの発射の直前の、図19のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図21】図21は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体が取り付けられた移植片の断面図である。
【図22】図22は、本開示による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そして移植片がフィラメント状材料取り付け構造体とアンビルアセンブリとの間に配置されて示されている、エンドエフェクタの別の実施形態の拡大側面図である。
【図23】図23は、本開示の別の実施形態による、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図22のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図24】図24は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用してフィラメント状材料を移植片に取り付ける方法を図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の軟部組織移植片準備デバイスおよび方法の目的および特徴は、種々の実施形態の説明が添付の図面を参照しながら読まれることにより、当業者に明らかになる。
【0015】
(詳細な説明)
本明細書中以下で、本開示の軟部組織移植片準備デバイス、および軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける方法の実施形態が、添付の図面を参照しながら記載される。同じ参照番号は、図面の説明全体にわたって、類似の要素または同一の要素を表し得る。図面に示される場合、および本明細書中で使用される場合、慣習的であるように、物体に対する相対的な配置を言及する際に、用語「近位」とは、デバイスまたはその構成要素の、使用者に近い方の部分をいい、そして用語「遠位」とは、デバイスまたはその構成要素の、使用者から遠い方の部分をいう。
【0016】
本明細書は、「1つの実施形態において」、「ある実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、または「他の実施形態において」との語句を使用し得る。これらの語句の各々は、本開示に従う同じ実施形態または異なる実施形態のうちの1つ以上をいい得る。本明細書の目的で、「A/B」の形態の語句は、AまたはBを意味する。本明細書の目的で、「Aおよび/またはB」の形態の語句は、「(A)、(B)、または(AおよびB)」を意味する。本明細書の目的で、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形態の語句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)」を意味する。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「フィラメント状材料」とは一般に、組織を接合するために外科的に使用される材料をいう。フィラメント状材料は、種々の材料(外科手術用ガット;絹;ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン);ポリアミド;ポリエステル(脂肪族ポリエステルが挙げられる);または組織を接合するために使用するように適合された上記材料の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)から構築され得る。フィラメント状材料は、モノフィラメント形態で構築されても、編組構造体として構築されてもよい。フィラメント状材料はまた、コア−シース構築物の形態であり得る。フィラメント状材料は、他の材料(吸収性または非吸収性のいずれか)と一緒に編まれるかまたは織られて、布を形成し得る。フィラメント状材料はまた、不織材料にされて、布(例えば、メッシュまたはフェルト)を形成し得る。フィラメント状材料は、テープ構造またはリボン様構造に構築され得る。フィラメント状材料は、当業者の知識の範囲内である手段に従って、内部身体部位での使用のために適切にするために、調整、処理および/または加工され得る。
【0018】
本開示の種々の実施形態は、組織を処置するための軟部組織移植片準備デバイス、および軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける方法を提供する。本開示の軟部組織移植片準備デバイスの実施形態は一般に、軟部組織移植片を使用する靭帯再建技術(例えば、前十字靭帯(ACL)再建技術)に関連して使用するために適切である。本開示の軟部組織移植片準備デバイスは、外科医が1つまたは複数のフィラメント状材料を軟部組織移植片(例えば、半腱様筋、薄筋、または脛骨腱移植片)の端部に効率的に取り付けることを可能にし得る。本開示の軟部組織移植片準備デバイスの実施形態は、自家移植片、同種移植片、異種移植片、および/または合成移植片と組み合わせて使用するために適切であり得る。
【0019】
本明細書中以下に記載されるフィラメント状材料取り付け方法の実施形態は、軟部組織移植片を使用するACL再建技術を目標とするが、軟部組織移植片にフィラメント様材料を取り付ける本開示の方法は、移植片が使用される他の治療(例えば、後十字靭帯(PCL)手順、肩、肘および手首の靭帯再建外科手術、ならびに/または他の整形外科手術)と共に使用され得る。本開示の実施形態による、移植片にフィラメント状材料を取り付ける方法は、機械的外科手術用ファスナーを組織に埋め込むための種々の外科手術用ステープル留めデバイスと組み合わせて使用され得る。外科手術用ステープルのアレイを組織に適用するための、3つの異なる外科手術用ステープル留めデバイスの例が、図1〜図3Bに図示されている。あるいは、他の適切な外科手術用ステープル留めデバイス(図示せず)が使用され得る。
【0020】
図1および図8において一般に10として示される外科手術用ステープル留めデバイスは、静止ハンドル14を規定する本体12、旋回可能なトリガ16、細長中心本体部分18、およびエンドエフェクタ17を備える。エンドエフェクタ17は、ステープルカートリッジアセンブリ20およびアンビルアセンブリ22を備える。本体部分18およびエンドエフェクタ17は、特定の外科手術目的に依存して、または特定の外科手術要件に適合するために、種々の形状および大きさに構成され得る。手での係合部材または親指ボタン24が、本体12の各側にスライド可能に配置される。親指ボタン24は、整列ピンアセンブリ(図示せず)を手で前進させるために移動可能である。解放機構の解放ボタン50が、本体12の近位端に配置され、ステープルカートリッジアセンブリ20を近接した位置(この位置において、ステープルカートリッジアセンブリ20は、アンビルアセンブリ22に隣接して位置する)からアンビルアセンブリ22から間隔を空けた位置(例えば、図1および図8に示されるような位置)まで戻すように、押下可能である。外科手術用デバイス10のアセンブリ、および各アセンブリについての種々の構成は、同一人に譲渡された米国特許第7,275,674号(2007年10月2日発行、その開示はその全体が本明細書中に参考として援用される)により詳細に記載されている。
【0021】
外科手術用デバイス10の構成要素は一般に、熱可塑性物質(ポリカーボネートが挙げられる)ならびに金属(ステンレス鋼およびアルミニウムが挙げられる)から形成される。特定の構成要素を形成するために選択される特定の材料は、その特定の構成要素の強度要件に依存し得る。例えば、アンビルは、外科手術等級の金属(例えば、ステンレス鋼)から形成され得、そして静止ハンドル14は、熱可塑性物質(例えば、ポリカーボネート)から形成され得る。あるいは、上には列挙されていない他の適切な材料(これは好ましくは、滅菌手順に耐え得る)が、例えば、ステープル留めデバイス10の構成要素を形成するために使用され得る。例えば、これらの材料は、外科手術での使用のために適切であり、そして特定の構成要素の強度要件を満たすことを条件とする。外科手術用ステープル留めデバイス10は、軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける、本開示の方法に関連して使用され得る。
【0022】
図2および図16において一般に100として示される外科手術用ステープル留めデバイスは、ハンドルアセンブリ112および細長本体114を備える。使い捨て装填ユニットまたはDLU 116が、細長本体114の遠位端に取り外し可能に固定される。使い捨て装填ユニット116は、複数の外科手術用ステープルを収容するステープルカートリッジアセンブリ118を有するエンドエフェクタ117、およびステープルカートリッジアセンブリ118に対して移動可能に固定されたアンビルアセンブリ120を備える。いくつかの実施形態において、使い捨て装填ユニット116は、約30mm〜約60mmの長さの、ステープルの直線の列を適用するように構成される。他の長さ(例えば、45mm)のステープルの直線の列を有する使い捨て装填ユニットもまた予測される。ハンドルアセンブリ112は、静止ハンドル部材122、可動ハンドル部材124、およびバレル部分126を備える。回転可能部材128が、バレル部分126の前端に設置されて、ハンドルアセンブリ112に対する細長本体114の回転を容易にし得る。関節運動レバー130がまた、回転可能ノブ128に隣接してバレル部分126の前端に設置されて、エンドエフェクタ117の関節運動を容易にし得る。1対の引き込みノブ132が、外科手術用ステープル留め装置100を引き込まれた位置に戻すために、バレル部分126に沿って移動可能に配置される。外科手術用デバイス100のアセンブリ、および各アセンブリについての種々の構成は、同一人に譲渡された米国特許第7,308,998号および同第7,303,107号(これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)により詳細に記載されている。外科手術用ステープル留めデバイス100は、軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける本開示の方法に関連して使用され得る。
【0023】
図3Aおよび図3Bにおいて一般に1000として示される外科手術用ステープル留めデバイスは、ハンドル1086および1087、ならびに複数のガイド1102〜1106および1110〜1116を備える。これらのガイドは、フィラメント状材料1011の一部分をハンドル1086および1087に実質的に隣接させて解放可能に保持するためのものである。ステープラー1000のハンドル1086および1087の各々は、近位端および遠位端を有し、ステープル留めアセンブリ1013がその遠位端に隣接して配置され、そして指把持部分1038がその近位端に配置されている。ハンドル1086および1087は、旋回ピン1037により互いに旋回可能に接続される。弾力性手段(例えば、ばね(図示せず))がステープラー1000に備えられて、使用者により提供される付勢力が存在しない場合にハンドル1086と1087とを離すように付勢し得る。ステープラー1000は、ハンドルに配置された、一般的に公知の構成を有するキャッチ機構1044を備えて、ハンドルのクランプの後に、ステープラー1000を組織クランプ位置に保持し得る。さらに、安全機構1045が、ハンドルの望ましくないクランプを防止するために、各ハンドル1086および1087の近位端に提供される。外科手術用デバイス1000のアセンブリ、および各アセンブリについての種々の構成は、同一人に譲渡された米国特許第5,490,856号(1996年2月13日発行、その開示はその全体が本明細書中に参考として援用される)により詳細に記載されている。外科手術用ステープル留めデバイス1000は、軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける本開示の方法に関連して使用され得る。
【0024】
図4は、本開示の1つの実施形態によるフィラメント状材料取り付け構造体を示す。フィラメント状材料取り付け構造体400は、薄いフィルム160を備え、2つのフィラメント状材料「S」がフィルム160に取り付けられている。実質的に等しい長さの2つのフィラメント状材料「S」が図4に示されているが、種々の数および種々の長さのフィラメント状材料が使用され得る。フィラメント状材料「S」の各々がフィルム160を横断し、そしてフィルム160の両側から外向きに延びる。フィルム160は、種々の形態(フィルム、リボン、シート、テープなど)に構成され得る。フィルム160は、生体吸収性であっても、部分的に生体吸収性であっても、非生体吸収性であってもよい。フィルム160を形成する際に使用するために適切な材料としては、任意の生体適合性材料が挙げられ得る。天然材料、合成材料、生体吸収性材料および/または非生体吸収性材料の任意の組み合わせが、フィルム160を形成するために使用され得る。フィルム160は、織材料、不織材料、メッシュ材料、または連続フィルムのシートから形成され得る。
【0025】
適切な非分解性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレンを含む)およびポリプロピレン(アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、およびこれらのブレンドを含む);ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレンオキシド;超高分子量ポリエチレン;ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンとのコポリマー;フッ素化ポリオレフィン(例えば、フルオロエチレン、フルオロプロピレン、フルオロPEG、およびポリテトラフルオロエチレン));ポリアミド(例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、およびポリカプロラクタム);ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート);ポリエーテル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;ポリブチルエステル(polybutester)(ブチレンテレフタレートとポリテトラメチレンエーテルグリコールとのコポリマーが挙げられる);1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー;メタクリル酸類;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル);ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン);ポリクロロフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー);アクリロニトリル−スチレンコポリマー;ABS樹脂;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファジン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;スパンデックス;シリコーン;ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、非生分解性ポリマーおよびモノマーが、互いに組み合わせられ得る。
【0026】
本開示のフィルム160およびフィラメント状材料「S」を形成するために利用され得る適切な生分解性材料としては、脂肪族ポリエステル;ポリアミド;ポリアミン;ポリアルキレンオキサレート;ポリ(酸無水物);ポリアミドエステル;コポリ(エーテル−エステル);ポリ(カーボネート)(チロシン誘導体化カーボネートが挙げられる);ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(例えば、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、およびポリ(ヒドロキシブチレート));ポリイミドカーボネート;ポリ(イミノカーボネート)(例えば、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)など);ポリオルトエステル;ポリオキサエステル(アミン基を含むものが挙げられる);ポリホスファゼン;ポリ(フマル酸プロピレン);ポリウレタン;ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニサル、ポリアスピリン、およびタンパク質治療剤);生物学的に改変された(例えば、タンパク質、ペプチド)生体吸収性ポリマー;ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
より具体的には、本発明の目的で、脂肪族ポリエステルとしては、ラクチド(乳酸、D−ラクチド、L−ラクチド、およびメソラクチドが挙げられる);グリコリド(グリコール酸が挙げられる);ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン);炭酸トリメチレン(1,3−ジオキサン−2−オン);炭酸トリメチレンのアルキル誘導体;δ−バレロラクトン;β−ブチロラクトン;γ−ブチロラクトン;ε−デカラクトン(decalactone);ヒドロキシブチレート;ヒドロキシバレレート;1,4−ジオキセパン−2−オン(その二量体である1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンを含む);1,5−ジオキセパン−2−オン;6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン;2,5−ジケトモルホリン;ピバロラクトン;α,α−ジエチルプロピオラクトン;炭酸エチレン;シュウ酸エチレン;3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オンのホモポリマーおよびコポリマー;ならびにこれらのポリマーブレンドおよびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、フィラメント状材料は、脂肪族ポリエステルを含有し得る。
【0028】
他の適切な生体分解性ポリマーとしては、ポリ(アミノ酸)(コラーゲン(I型、II型、III型)、エラスチン、フィブリン、フィブリノゲン、絹、およびアルブミンなどのタンパク質が挙げられる);ペプチド(ラミニンの配列およびフィブロネクチンの配列(RGD)が挙げられる);多糖類(例えば、ヒアルロン酸(HA)、デキストラン、アルギネート、キチン、キトサン、およびセルロース);グリコサミノグリカン;ガット;およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コラーゲンは、本明細書中で使用される場合、天然コラーゲン(例えば、動物由来のコラーゲン、ゼラチン化コラーゲン)、または合成コラーゲン(例えば、ヒト組換えコラーゲンもしくは細菌組換えコラーゲン)を包含する。
【0029】
さらに、合成により修飾された天然ポリマー(例えば、セルロースおよび多糖類誘導体であり、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、およびキトサンが挙げられる)が利用され得る。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、三酢酸セルロース、およびセルロース硫酸ナトリウム塩が挙げられる。これらはまとめて、本明細書中である実施形態において、「セルロース」と称され得る。
【0030】
ある実施形態において、フィルム160を形成するために利用され得る適切な材料としては、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、炭酸トリメチレン、カプロラクトン、およびこれらの種々の組み合わせを含む、ホモポリマー、コポリマー、および/またはブレンドが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、グリコリドと炭酸トリメチレンとのコポリマーが利用され得る。このようなコポリマーを形成する方法は、当業者の知識の範囲内であり、例えば、米国特許第4,300,565号(その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に開示される方法が挙げられる。グリコリドと炭酸トリメチレンとの適切なコポリマーは、このコポリマーの約60重量%〜約75重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約65重量%〜約70重量%の量のグリコリドを含み得、炭酸トリメチレンは、このコポリマーの約25重量%〜約40重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約30重量%〜約35重量%の量で存在する。
【0031】
フィルム160を形成するために適切な他の材料としては、ある実施形態において、グリコリドと、ジオキサノンと、炭酸トリメチレンとのコポリマーが挙げられる。このような材料としては、例えば、このコポリマーの約55重量%〜約65重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約58重量%〜約62重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約60重量%の量のポリグリコリド;このコポリマーの約10重量%〜約18重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約12重量%〜約16重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約14重量%の量のジオキサノン、およびこのコポリマーの約17重量%〜約35重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約22重量%〜約30重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約26重量%の量の炭酸トリメチレンを含むコポリマーが挙げられる。
【0032】
他の実施形態において、グリコリドと、ラクチドと、炭酸トリメチレンと、ε−カプロラクトンとのコポリマーが、フィルム160を形成するために利用され得る。このような材料としては、例えば、このコポリマーの約14重量%〜約20重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約16重量%〜約18重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約17重量%の量のカプロラクトン;このコポリマーの約4重量%〜約10重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約6重量%〜約8重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約7重量%の量のラクチド;このコポリマーの約4重量%〜約10重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約6重量%〜約8重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約7重量%の量の炭酸トリメチレン;およびこのコポリマーの約60重量%〜約78重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約66重量%〜約72重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約69重量%の量のグリコリドを含むランダムコポリマーが挙げられ得る。
【0033】
1つの実施形態において、フィルム160は、「BIOSYN」から製造される。「BIOSYN」とは、非吸収剤の生体適合性の生体吸収性材料である。「BIOSYN」は、GLYCOMER 631(ブロックコポリマー)から作製される。GLYCOMER 631は、グリコリドと、ジオキサノンと、炭酸トリメチレンとからなる合成ポリエステルである。得られるコポリマーの1つのブロックは、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)および炭酸トリメチレン(1,3−ジオキサン−2−オン)から誘導された、ランダムに組み合わせられた単位を含む。このコポリマーの第二のブロックは、グリコリドおよびp−ジオキサノンから誘導された、ランダムに組み合わせられた単位を含む。得られるポリエステルは、約60%のグリコリド、約14%のジオキサノン、および約26%の炭酸トリメチレンを含む、ABAトリブロックターポリマーである。
【0034】
図4に図示される実施形態において、フィルム160は、生体吸収性材料166を含む。生体吸収性材料166は、合成生体吸収性ポリマー(例えば、上記のもの)を含み得る。
【0035】
さらに、このフィルムは、乳化剤、可溶化剤、湿潤剤、調味剤、可塑剤、活性剤、水溶性不活性充填材、防腐剤、緩衝剤、着色剤、および安定剤のうちのいずれかまたは全てを含有し得る。この処方物への可塑剤の添加は、可撓性を改善し得る。可塑剤または可塑剤混合物は、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、スクロース、コーンシロップ、フルクトース、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、1,2−プロピレングリコール、グリセロールのモノ酢酸エステル、ジ酢酸エステルもしくはトリ酢酸エステル、または天然ゴムであり得る。
【0036】
フィルム160は、治療剤を含有し得る。治療剤としては、薬物、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ムテイン、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子(blood clotting factor)、造血因子、インターロイキン(1〜18)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−SCF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制因子、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン、性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン、黄体化ホルモン放出因子)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factor);成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質、TGF−B、タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;細胞、ウイルス、およびリボザイムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
ある実施形態において、治療剤は、以下の薬物のうちの少なくとも1種(これらの薬物の組み合わせならびに代替の形態(例えば、代替の塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態、プロドラッグおよび水和物)を含む)を含有し得る:例えば、鎮痛薬/解熱薬(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプロノルフィン、プロポキシフェン塩酸塩、プロポキシフェンナプシレート、メペリジン塩酸塩、ヒドロモルホン塩酸塩、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン酒石酸水素塩、ペンタゾシン、ヒドロコドン酒石酸水素塩、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、ナルブフィン塩酸塩、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール(butalbital)、フェニルトロキサミンクエン酸塩、ジフェンヒドラミンクエン酸塩、メトトリメプラジン、シンナメドリン塩酸塩およびメプロバメート);喘息治療薬(例えば、ケトチフェンおよびトラキサノクス);抗生物質(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリンおよびシプロフロキサシン);抗うつ薬(例えば、ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、イミプラミンパモ酸塩(imipramine pamoate)、イソカルボキサジド、トリミプラミンおよびプロトリプチリン);糖尿病治療薬(例えば、ビグアナイド類およびスルホニルウレア誘導体);抗真菌剤(例えば、グルセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アムホテリシンB、ナイスタチンおよびカンジシジン);抗高血圧薬(例えば、プロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、パルギリン塩酸塩、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジン一硫酸塩、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク、アルセロキシロンおよびフェントラミン);抗炎症薬(例えば、(非ステロイド性)インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド性)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾン);抗腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル-CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェン、インターフェロンα、レチノイン酸(ATRA)、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、ならびにピポスルファン);抗不安剤(例えば、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼペート二カリウム、ジアゼパム、ヒドロキシジンパモ酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノンおよびダントロレン);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス));抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、プロパノロール、ムチン酸イソメテプテンおよびジクロラルフェナゾン):鎮静薬/催眠薬(例えば、バルビツール酸類(例えば、ペントバルビタール、ペントバルビタールおよびセコバルビタール);およびベンゾジアゼピン類(例えば、フラゼパム塩酸塩、トリアゾラムおよびミダゾラム));抗狭心症剤(例えば、βアドレナリン遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム);および硝酸類(ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレートおよびエリスリチルテトラニトレート);抗精神病剤(例えば、ハロペリドール、ロキサピンコハク酸塩、ロキサピン塩酸塩、チオリダジン、チオリダジン塩酸塩、チオチキセン、フルフェナジン、フルフェナジンデカン酸塩、フルフェナジンエナンタート、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、ペルフェナジン、クエン酸リチウムおおよびプロクロルペラジン);抗躁病剤(例えば、炭酸リチウム);抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシル酸塩(bretylium tosylate)、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、ジソピラミドリン酸塩、プロカインアミド、キニジン硫酸塩、キニジングルコン酸塩、キニジンポリガラクツロネート、フレカイニドアセテート、トカイニドおよびリドカイン);関節炎治療剤(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン、サルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、オーロチオグルコースおよびトルメチンナトリウム);痛風治療剤(例えば、コルヒチンおよびアロプリノール);抗凝固薬(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウムおよびワーファリンナトリウム);血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびアルテプラーゼ);抗線維素溶解剤(例えば、アミノカプロン酸);血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);抗血小板剤(例えば、アスピリン);鎮痙薬(例えば、バルプロ酸、ジバルプロックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、メフェニトイン、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム、クロラゼペート二カリウム塩およびトリメタジオン);抗パーキンソン剤(例えば、エトスクシミド);抗ヒスタミン/止痒剤(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロモフェニラミン、シプロフェプタジン塩酸塩、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デキシクロルフェニラミンおよびメチジラジン);カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニンおよび副甲状腺ホルモン);抗細菌剤(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミチン酸塩、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クリンダマイシンパルミチン酸塩、クリンダマイシンリン酸塩、メトロニダゾール、メトロニダゾール塩酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、リンコマイシン塩酸塩、トブラマイシン硫酸塩、バンコマイシン塩酸塩、ポリミキシンB硫酸塩、コリスチメテートナトリウムおよびコリスチン硫酸塩);抗ウイルス剤(例えば、インターフェロンα、βまたはγ、ジドブジン、アマンタジン塩酸塩、リバビリンおよびアシクロビル);抗微生物剤(例えば、セファロスポリン類(例えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフロキシム アキセチル、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩酸セファレキシン一水和物、セファマンドールナファート、セフォキシチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジンおよびセフロキシムナトリウム);ペニシリン類(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、ペニシリンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、アゾロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウムおよびナフシリンナトリウム);エリスロマイシン類(例えば、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート(estolate)、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、エリスロマイシンステアリン酸塩およびエリスロマイシンエチルコハク酸塩);およびテトラサイクリン類(例えば、テトラサイクリン塩酸塩、ドキシサイクリン塩酸塩(hyclate)およびミノサイクリン塩酸塩、アジスロマイシン、クラリスロマイシン));抗感染剤(例えば、GM−CSF);気管支拡張薬(例えば、交感神経作用薬(例えば、エピネフリン塩酸塩、メタプロテレノール硫酸塩、テルブタリン硫酸塩、イソエタリン、イソエタリンメシル酸塩、イソエタリン塩酸塩、アルブテロール硫酸塩、アルブテロール、ビトルテロルメシレート、イソプレテレノール塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、エピネフリン酒石酸水素塩、メタプロテレノール硫酸塩、エピネフリンおよびエピネフリン酒石酸水素塩);抗コリン作用薬(例えば、臭化イプラトロピウム);キサンチン類(例えば、アミノフィリン、ジフィリン、メタプロテレノール硫酸塩、およびアミノフィリン);肥満細胞安定化剤(例えば、クロモリンナトリウム);吸入用コルチコステロイド(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)および二プロピオン酸ベクロメタゾン一水和物);サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ブデソニド;ケトチフェン;サルメテロール;キナフォエート;テルブタリン硫酸塩;トリアムシノロン;テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;メタプロテレノール硫酸塩;アルブテロール;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン);ステロイド性の化合物およびホルモン(例えば、アンドロゲン類(例えば、ダナゾール、テストステロンシピオン酸塩、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン、メチルテストステロン、フルオキシメステロンおよびテストステロンシピオン酸塩);エストロゲン類(例えば、エストラジオール、エストピペートおよび結合化エストロゲン);プロゲスチン類(例えば、酢酸メトキシプロゲステロン(methoxy progesteroneacetate)、および酢酸ノルエチンドロン);コルチコステロイド類(例えば、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロンテブテート、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;および甲状腺ホルモン(例えば、レボチロキシンナトリウム));低血糖症薬剤(例えば、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、およびトラザミド);高脂質血症薬剤(例えば、クロフィブレート、デキストロサイロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン(niacin));タンパク質(例えば、DNアーゼ、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、およびリパーゼ);核酸(例えば、治療上有用な任意のタンパク質
(本明細書中に記載されるタンパク質のいずれかが挙げられる)をコードするセンス核酸またはアンチセンス核酸);赤血球生成刺激のために有用な薬剤(例えば、エリスロポイエチン);抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、ファモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン);制吐剤/鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジン、およびスコポラミン)。本明細書中に記載される組成物および方法において有用な他の薬剤としては、ミトーテン、ハロニトロソウレア類、アントラサイクリン類、エリプチシン(ellipticine)、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、尿性卵胞性刺激ホルモン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトホルミン、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、ホリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リジノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルーカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポイエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン(erbumine)、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニール、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピール三ナトリウム(mangafodipir trisodium)、メサラミン(mesalamine)、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテルカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール(paricalcitol)、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、ドラセトロン(dolasetron)、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン(tolcapone)、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニン、および臭化イプラトロピウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性であり得る。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性ではないかもしれない。
【0038】
他の実施形態において、フィルム160は、患者から採取された生物学的組織(自家移植片)、またはドナーから採取された生物学的組織(同種移植片)またはヒト以外の種から採取された生物学的組織(異種移植片)である。
【0039】
上記のように、フィラメント状材料「S」は、モノフィラメント形態および/または編組構造体に構築され得る。フィラメント状材料「S」は、好ましくは、実質的に非毒性であり、容易に滅菌され得、良好な引っ張り強度を有し、そして認容可能な結び目を結ぶ特徴および結び目を保持する特徴を有する。フィラメント状材料「S」の形状、大きさおよびパターンは、図4に図示される構成から変動し得る。
【0040】
図5A〜図5Cは、図4に示される細部の示される領域Iの拡大側面図であり、それぞれ、フィラメント状材料「S」の第一の位置、第二の位置および第三の位置を図示する。フィルム160の上面168に対するフィラメント状材料「S」の位置は、種々の要因(フィルム160の密度、フィルム160の厚さ、フィルム160の材料組成、生体適合性接着材料(存在する場合)の厚さ、および/またはフィラメント状材料「S」の材料組成が挙げられるが、これらに限定されない)に依存し得る。
【0041】
図5Aは、フィルム160の上面168に対して第一の位置に位置するフィラメント状材料「S」を示し、この位置において、フィラメント状材料「S」の下面181は、フィルム160の上面168に隣接して配置される。フィラメント状材料「S」は、例えば、生体適合性接着材料(図示せず、例えば、シアノアクリレート、ウレタン、または他の適切な接着材料)を使用して、フィルム160に取り付けられ得る。フィラメント状材料「S」は、フィルム160に織り込まれてもよい。
【0042】
図5Bは、フィルム160の上面168に対して第二の位置に位置するフィラメント状材料「S」を示し、この位置において、フィラメント状材料「S」の下面181は、フィルム160の上面168より下に配置される。フィルム160は、チャネルまたは溝を備え得、このチャネルまたは溝は、フィルム160の上面168より下にフィラメント状材料「S」の一部分を受容するために適切な寸法にされる。生体適合性接着材料(図示せず)が、このチャネル内に配置され得る。
【0043】
図5Cは、フィルム160の上面168に対して第三の位置に位置するフィラメント状材料「S」を示し、この位置において、フィラメント状材料「S」の下面181は、フィルム160の上面168より下に配置され、そしてフィラメント状材料「S」の上面184は、フィルム160の上面168と実質的に同一面に配置される。フィルム160の上面168に対するフィラメント状材料「S」の位置は、図5A〜図5Cに図示される第一の位置、第二の位置および第三の位置から、変動し得る。
【0044】
図6A〜図6Bは、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体の別の実施形態を示す。図6Aおよび図6Bのフィラメント状材料取り付け構造体500は、フィルム160を横切って横断するフィラメント状材料「S」の各々の部分が、フィルム160の上面168と下面184との間に完全に包まれることを除いて、図4に示されるフィラメント状材料取り付け構造体400と類似である。図6Bは、図6Aのフィラメント状材料取り付け構造体500の側面図であり、上面168と下面184との間に配置されたフィラメント状材料「S」を示す。本開示の1つの実施形態において、フィラメント状材料「S」は、フィルム160の製造中に、フィルム160内に包まれる。例えば、フィルム160は、原樹脂および硬化剤を含有し得、そしてフィラメント状材料「S」は、その製造プロセスの硬化工程前に、フィルム160内に(例えば、図6Aおよび図6Bに示されるように)配置され得る。あるいは、またはさらに、フィラメント状材料「S」は、フィルム160の製造後に、例えば、針などの穿刺器具を使用して、フィルム160内に挿入され得る。
【0045】
図7は、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体の別の実施形態を示す。フィラメント状材料取り付け構造体700は、第一のフィルム160A、第二のフィルム160B(ここでフィルム160Aが第二のフィルム160Bを覆う)、および第一のフィルム160Aと第二のフィルム160Bとの間の界面に取り付けられた2つのフィラメント状材料「S」を備える。第一のフィルム160Aおよび第二のフィルム160Bのうちのいずれかまたは両方が、生体吸収性材料を含有し得る。第一のフィルム160Aおよび第二のフィルム160Bは、同じ材料から形成され得る。
【0046】
図8を参照すると、図1の外科手術用ステープル留めデバイスが、フィラメント状材料取り付け構造体160(例えば、図6Aに示される)がステープルカートリッジアセンブリ20の組織接触表面21への配置されるために整列され、そしてフィルム176がアンビルアセンブリ22の組織接触表面23への配置のために整列されて、示されている。フィルム176は、生体吸収性材料を含有し得る。フィルム176は、生体適合性材料を含有し得る。
【0047】
図9Aおよび図9Bを参照すると、図8の外科手術用ステープル留めデバイスのエンドエフェクタ17が、フィラメント状材料取り付け構造体160がステープルカートリッジアセンブリ20の組織接触表面21に隣接して配置され、そしてフィルム176がアンビルアセンブリ22の組織接触表面23に隣接して配置されて、示されている。図9Bにおいて、エンドエフェクタ17は、移植片材料「G」が、フィラメント状材料取り付け構造体160とフィルム176との間に配置されて、示されている。
【0048】
移植片材料「G」は、硬質であり得、半硬質であり得、柔軟であり得、弾力性であり得、弾性であり得、圧縮可能であり得、膨張可能であり得、そして/または可撓性であり得る。本開示のいくつかの実施形態において、移植片材料「G」は、患者から採取された生物学的組織(自家移植片)、またはドナーから採取された生物学的組織(同種移植片)またはヒト以外の種から採取された生物学的組織(異種移植片)である。図9Bに図示される実施形態において、移植片材料「G」は、天然起源の生体適合性材料から形成され、そして生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。移植片材料「G」を形成するために適切な材料の例としては、自家移植片、同種移植片または異種移植片;軟部組織、結合組織、鉱物質除去骨マトリックスおよびこれらの組み合わせが挙げられる。移植片材料「G」を形成するために適切な材料の他の例としては、上に列挙されたものが挙げられる、生体吸収性材料または非生体吸収性材料が挙げられ得る。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態において、フィルム176は省略される。例えば、図10および図11に協同で示されるように、図8の外科手術用ステープル留めデバイスのエンドエフェクタ17は、ステープルカートリッジアセンブリ20に隣接して配置されたフィラメント状材料取り付け構造体160、およびフィラメント状材料取り付け構造体160とアンビルアセンブリ22との間に配置され得る移植片材料「G」を備え得る。
【0050】
図12は、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射の直前の、図9Aおよび図9Bのエンドエフェクタ17を示す。図13は、フィラメント状材料取り付け構造体160とフィルム176とが、複数の機械的外科手術用ファスナー「F」により、例えば、図1および図8の外科手術用ステープラーデバイスを使用して取り付けられた、移植片材料「G」を示す。
【0051】
図14を参照すると、図1の外科手術用ステープル留めデバイス10が示されており、エンドエフェクタへの配置のために整列されたフィラメント状材料「S」およびフィルム176を備える。図15Aは、フィラメント状材料「S」がステープルカートリッジアセンブリ20の組織接触表面21に隣接して配置され、そしてフィルム176がアンビルアセンブリ22の組織接触表面23に隣接して配置されて示された、図14のエンドエフェクタ17の拡大図である。フィルム176は、省略され得る。図15Bは、移植片材料「G」が図15Aのフィラメント状材料「S」とフィルム176との間に配置されて示されている、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射の直前の、図15Aのエンドエフェクタの図である。
【0052】
図16を参照すると、図2の外科手術用ステープル留めデバイスが、フィラメント状材料取り付け構造体1400がステープルカートリッジアセンブリ118の組織接触表面1421に実質的に隣接して配置され、そしてフィルム1476がアンビルアセンブリ120の組織接触表面1423に実質的に隣接して配置されて、示されている。図17および図18は、図16のエンドエフェクタ117の拡大図である。図17に示されるように、フィラメント状材料取り付け構造体1400は、フィルム1460および2つのフィラメント状材料「S」を備える。フィラメント状材料取り付け構造体1400は、図6Aに示されるフィラメント状材料取り付け構造体160と類似であるので、フィラメント状材料取り付け構造体1400のさらなる説明は、簡潔にするために、省略される。
【0053】
図18を参照すると、エンドエフェクタ117が、移植片材料「G」がフィラメント状材料取り付け構造体1400とフィルム1476との間に配置されて示されている。フィルム1476は、省略され得る(例えば、図19および図20を参照のこと)。
【0054】
図19および図20は、図16の外科手術用ステープラーデバイスのエンドエフェクタ117の拡大図である。図19において、エンドエフェクタ117は、フィラメント状材料取り付け構造体1400がステープルカートリッジアセンブリ118の組織接触表面に実質的に隣接して配置され、そして移植片材料「G」がフィラメント状材料取り付け構造体1400とアンビルアセンブリ120との間に配置されて示されている。図20は、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図19に示されるエンドエフェクタ117を図示する。
【0055】
図21は、フィラメント状材料取り付け構造体1400が複数の機械的外科手術用ファスナー「F」によって、例えば、図2および図16の外科手術用ステープラーデバイスを使用して取り付けられている、移植片材料「G」を示す。
【0056】
図22および図23は、フィラメント状材料取り付け構造体1400および移植片材料「G」を備えるエンドエフェクタ117Aを示す。図22および図23のエンドエフェクタ117Aは、アンビルアセンブリとステープルカートリッジアセンブリとの相対位置が逆になっていることを除いて、図17〜図20に示されるエンドエフェクタ117と類似である。図17〜図20において、アンビルアセンブリ120は、エンドエフェクタ117の上部材であり、そしてステープルカートリッジアセンブリ118は、エンドエフェクタ117の下部材である。図22および図23に示される代替の実施形態において、アンビルアセンブリ2020がエンドエフェクタ117Aの下部材であり、そしてステープルカートリッジアセンブリ2018がエンドエフェクタ117Aの上部材である。
【0057】
図23を参照すると、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図22のエンドエフェクタ117Aが、フィラメント状材料取り付け構造体1400がステープルカートリッジアセンブリ2018の組織接触表面2019に実質的に隣接して配置され、そして移植片材料「G」がフィラメント状材料取り付け構造体1400とアンビルアセンブリ2020の組織接触表面2021との間に配置されて示されている。
【0058】
図24は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用デバイス(例えば、図1および図8に示される10)のエンドエフェクタ(例えば、図1および図8〜図12に示される17)を使用して、移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法を図示する流れ図である。本明細書中に適用される方法の工程は、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせて、および本明細書中に提供される順序とは異なる順序で実施され得ることが理解されるべきである。
【0059】
工程2410において、生体適合性フィルム(例えば、図6Aに示される160)を備えるフィラメント状材料取り付け構造体(例えば、図6Aに示される500)が、少なくとも1つのフィラメント状材料(例えば、図6Aに示される「S」)がこの生体適合性フィルムに取り付けられた状態で製造される。
【0060】
工程2420において、移植片材料(例えば、図9Bに示される「G」)が、外科手術手順において使用するために選択および/または調製される。この移植片材料は、天然起源の任意の生体適合性材料から形成され得る。この移植片材料は、軟部組織移植片であり得る。この移植片材料は、自家移植片、同種移植片、または異種移植片を含み得る。この移植片材料は、合成材料、または天然材料と合成材料との組み合わせを含み得る。移植片材料として使用するために適切であり得る材料の例は、商標PARIETEXTM Composite(PCO)のもとでTyco Healthcare Group LP(Covidienとして事業経営中)により市販されている、ポリマーメッシュ材料である。
【0061】
工程2430において、フィラメント状材料取り付け構造体が、エンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接して配置される。このエンドエフェクタの第一の部材は、ステープルカートリッジアセンブリ(例えば、図1および図8に示される20)であり得る。
【0062】
任意の工程2440において、生体適合性フィルム(例えば、図8に示される176)が提供され、そしてエンドエフェクタの第二の部材に隣接して配置される。任意の工程2440は、特定の外科手術目的に依存して包含され得るか、または特定の外科手術要件に適合するために包含され得る。
【0063】
工程2450において、移植片材料が、生体適合性フィルムとフィラメント状材料取り付け構造体(例えば、図6Aに示される500)との間に、例えば、フィラメント状材料取り付け構造体に隣接して配置される。任意の工程2440が省略される場合、この移植片材料は、エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接して配置され得る。このエンドエフェクタの第二の部材は、ステープルカートリッジアセンブリ(例えば、図1および図8に示される20)に作動可能に関連する、アンビルアセンブリ(例えば、図1および図8に示される22)であり得る。この移植片材料は、このエンドエフェクタの第二の部材と整列させられて、この移植片材料の中心部分へのファスナーの配置を容易にし得る。
【0064】
工程2460において、第一の部材が第二の部材に対して移動させられ、フィラメント状材料取り付け構造体および生体適合性フィルムを、移植片材料に隣接させる。任意の工程2440が省略される場合、工程2460において第二の部材に対して第一の部材を移動させることは、フィラメント状材料取り付け構造体を移植片材料に隣接させる。
【0065】
工程2470において、ステープルカートリッジアセンブリからの複数の機械的外科手術用ファスナー(例えば、図13に示される「F」)が、フィラメント状材料取り付け構造体、生体適合性フィルム、および移植片材料内に、エンドエフェクタを使用して埋め込まれ、これによって、このフィラメント状材料取り付け構造体およびこの生体適合性フィルムを、この移植片材料に固定する。任意の工程2440が省略される場合、ステープルカートリッジアセンブリからの複数の機械的外科手術用ファスナーは、工程2470において、フィラメント状材料取り付け構造体および移植片材料内に、エンドエフェクタを使用して埋め込まれ、これによって、このフィラメント状材料取り付け構造体をこの移植片材料に固定する。
【0066】
本開示の実施形態が、図示および説明の目的で、添付の図面を参照しながら詳細に記載されたが、本発明のプロセスおよび装置は、これらの実施形態により限定されると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。上記実施形態に対する種々の改変が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0067】
10 外科手術用デバイス
12 本体
14 静止ハンドル
16 トリガ
17 エンドエフェクタ
18 本体部分
20 ステープルカートリッジアセンブリ
22 アンビルアセンブリ
24 親指ボタン
50 解放ボタン
160 フィルム
400 フィラメント状材料取り付け構造体
S フィラメント状材料
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本特許出願は、2009年3月27日に出願された、発明の名称「Soft Tissue Graft Preparation Devices and Methods」の米国仮出願番号61/164,036に対する優先権および利益を主張する。この米国仮出願の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、外科手術用デバイスに関し、そしてより特定すると、軟部組織移植片準備に関連して使用するための外科手術用デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の外科手術処置(関節鏡による肩の外科手術、膝靭帯再建技術および他の整形外科手術が挙げられる)は、移植片を使用する靭帯の再建を包含する。種々の移植材料(自己移植片(自家移植片としてもまた公知であり、同じ個体の1つの部位から別の部位へと移される組織)、同種移植片(ドナー組織)、異種移植片(ヒト以外の種由来の組織)および合成材料が挙げられる)が、靭帯再建において使用されている。
【0004】
外科靭帯再建の1つの例は、断裂した前十字靭帯(ACL)(膝の主要な安定靭帯である)の外科手術処置である。ACL再建は代表的に、損傷したACLを除去し、そしてこれを移植片で置き換える。ACL手順は、関節鏡により実施され得、そして一般に、脛骨および大腿骨を通る骨トンネルを調製する工程、これらの2つの骨トンネルの間に延びるように靭帯移植片を配置する工程、ならびにこの移植片の各端部をそれぞれのトンネル内で固定する工程を包含する。ACL再建の1つの方法は、骨−腱−骨(BTB)靭帯移植片を使用し、この移植片は、膝蓋骨および脛骨から採取される。別の方法は、軟部組織移植片(半腱様筋、膝窩腱、アキレス腱、大腿四頭筋など)の使用を採用する。軟部組織移植片は一般に、靭帯再建において有用であると考えられている。例えば、軟部組織移植片は、BTB移植片のように、膝蓋骨を弱化状態のままにしない。
【0005】
靭帯再建外科手術のための準備中に、移植片材料が切り取られ、大きさを整えられ、そして縫合糸がこの移植片材料に取り付けられて、この移植片のしっかりした固定を提供することを補助する。移植片への縫合糸の取り付けは一般に、種々の方法(野球ボールのようなまつり縫い、クラコフ(Krakow)縫合技術、および直線縫いが挙げられる)によって縫合糸を手で縫うことにより完了する。このプロセスにより、この移植片の各端部について、外科医または外科補助人員は、数分を費やし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
靭帯再建外科手術のための準備時間を短縮するために、移植片への縫合糸の取り付けの効率的な方法が必要とされている。外科医または外科補助人員に、一貫した結果を保証するために、縫合糸取り付けの再現性のある方法を提供することが必要とされている。従って、軟部組織移植片準備のための改善されたデバイスおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ハンドル部分;
該ハンドル部分から遠位に延びる本体部分;
該本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタであって、第一の部材および第二の部材を備える、エンドエフェクタ;ならびに
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体であって、該第一の部材の組織接触表面および該第二の部材の組織接触表面のうちの少なくとも一方に並置して長手軸方向に配置される、フィラメント状材料取り付け構造体、
を備える、軟部組織移植片準備デバイス。
(項目2)
上記第二の部材が上記第一の部材に作動可能に関連しており、該第一の部材および該第二の部材が、一方を他方に対して長手軸方向に並置させるように互いに移動可能であるように接続されている、上記項目に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目3)
上記軟部組織移植片準備デバイスが、外科手術用ステープラーであり、そして上記第一の部材が、ステープルカートリッジアセンブリであり、そして上記第二の部材が、該ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連しているアンビルアセンブリである、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目4)
上記フィラメント状材料取り付け構造体が、フィルムをさらに備え、上記少なくとも1つのフィラメント状材料が該フィルムに取り付けられている、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目5)
上記フィルムが生体吸収性ポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目6)
上記フィルムが非生体吸収性ポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目7)
上記少なくとも1つのフィラメント状材料を上記フィルムに取り付けるための生体吸収性接着剤をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目8)
上記フィルムが、該フィルム内に形成された少なくとも1つのチャネルを備え、上記少なくとも1つのフィラメント状材料が、該フィルム内の該少なくとも1つのチャネル内に少なくとも部分的に収容される、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目9)
上記チャネル内に配置された接着剤をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の軟部組織移植片準備デバイス。
(項目10)
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
移植片材料を提供する工程;
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の表面の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該エンドエフェクタの第二の部材と該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させ、これによって該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に隣接させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを該フィラメント状材料取り付け構造体および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
(項目11)
上記フィラメント状材料取り付け構造体が、第一のフィルムをさらに備え、該第一のフィルムに、上記少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられている、上記項目に記載の方法。
(項目12)
上記エンドエフェクタの上記第一の部材がステープルカートリッジアセンブリである、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記エンドエフェクタの上記第二の部材が、上記ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連するアンビルアセンブリである、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目14)
第二のフィルムを提供する工程;および
該第二のフィルムを、上記エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程、
をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記移植片材料の中心部分への外科手術用ファスナーの配置を容易にするために、該移植片材料を整列させる工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記移植片材料を提供する工程が、外科手術用手順において使用するために、該移植片材料を選択することおよび調製することのうちの少なくとも一方を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記移植片材料が軟部組織移植片である、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18)
上記移植片材料が、患者、ドナー、およびヒト以外の種のうちの少なくとも1つから採取された生物学的組織を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目19)
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を製造する工程;
移植片材料を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
生体適合性フィルムを提供する工程;
該生体適合性フィルムを、該エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該生体適合性フィルムと該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを、該フィラメント状材料取り付け構造体、該生体適合性フィルム、および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体および該生体適合性フィルムを該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
【0008】
軟部組織移植片準備デバイスは、ハンドル部分、このハンドル部分から遠位に延びる本体部分、およびこの本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタを備える。このエンドエフェクタは、第一の部材および第二の部材を備える。この軟部組織移植片準備デバイスはまた、少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を備え、このフィラメント状材料取り付け構造体は、この第一の部材の組織接触表面および/またはこの第二の部材の組織接触表面に並置して長手軸方向に配置される。
【0009】
(要旨)
本開示は、軟部組織移植片準備デバイスに関し、この軟部組織移植片準備デバイスは、ハンドル部分、このハンドル部分から遠位に延びる本体部分、およびこの本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタを備える。このエンドエフェクタは、第一の部材および第二の部材を備える。本開示の軟部組織移植片準備デバイスはまた、少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を備え、このフィラメント状材料取り付け構造体は、この第一の部材の組織接触表面および/またはこの第二の部材の組織接触表面に並置して長手軸方向に配置される。
【0010】
本開示はまた、外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法に関し、この方法は、移植片材料を提供する工程、および少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を提供する工程という、最初の工程を包含する。この方法はまた、このフィラメント状材料取り付け構造体を、このエンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;この移植片材料を、このエンドエフェクタの第二の部材とこのフィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;この第一の部材をこの第二の部材に対して移動させ、これによってこのフィラメント状材料取り付け構造体をこの移植片材料に隣接させる工程;ならびにこのエンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーをこのフィラメント状材料取り付け構造体およびこの移植片に埋め込み、これによってこのフィラメント状材料取り付け構造体をこの移植片に固定する工程を包含する。
【0011】
本開示はまた、外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける、別の方法に関する。この方法は、少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を製造する工程、および移植片材料を提供する工程という、最初の工程を包含する。この方法はまた、このフィラメント状材料取り付け構造体をこのエンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;生体適合性フィルムを提供する工程;この生体適合性フィルムをこのエンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;この移植片材料をこの生体適合性フィルムとこのフィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;この第一の部材をこの第二の部材に対して移動させる工程;ならびにこのエンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーをこのフィラメント状材料取り付け構造体、この生体適合性フィルム、およびこの移植片材料に埋め込む工程であって、これによってこのフィラメント状材料取り付け構造体およびこの生体適合性フィルムをこの移植片材料に固定する、工程を包含する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、靭帯再建外科手術のための準備時間を短縮するための、移植片への縫合糸の取り付けの効率的な方法が提供される。外科医または外科補助人員に、一貫した結果を保証するための、縫合糸取り付けの再現性のある方法が提供される。軟部組織移植片準備のための改善されたデバイスおよび方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本開示の1つの実施形態による外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図2】図2は、本開示の別の実施形態による外科手術用ステープル留めデバイスの側面図である。
【図3A】図3Aは、本開示のなお別の実施形態による外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図3B】図3Bは、本開示の1つの実施形態によるフィラメント状材料の一部分を図示する、図3Aに示される細部の示された領域Aの拡大斜視図である。
【図4】図4は、本開示の1つの実施形態によるフィラメント状材料取り付け構造体の拡大上面図である。
【図5A】図5Aは、本開示の1つの実施形態による第一の位置にあるフィラメント状材料を示す、図4に示される細部の示された領域Iの拡大断面図である。
【図5B】図5Bは、本開示の1つの実施形態による第二の位置に配置されたフィラメント状材料を示す、図4に示される細部の示された領域Iの拡大断面図である。
【図5C】図5Cは、本開示の1つの実施形態による第三の位置に配置されたフィラメント状材料を示す、図4に示される細部の示された領域Iの拡大断面図である。
【図6A】図6Aは、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体の別の実施形態の拡大上面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのフィラメント状材料取り付け構造体の拡大側面図である。
【図7】図7は、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体のなお別の実施形態の拡大側面図である。
【図8】図8は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体およびフィルムがエンドエフェクタへの配置のために整列されて示されている、図1の外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図9A】図9Aは、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そしてフィルムがアンビルアセンブリの組織接触表面に隣接して配置されて示されている、図8のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図9B】図9Bは、本開示の1つの実施形態による、移植片材料が図9Aのフィラメント状材料取り付け構造体とフィルムとの間に配置されて示されている、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図9Aのエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図10】図10は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリに隣接して配置されて示されている、図8のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図11】図11は、本開示の1つの実施形態による、移植片材料がフィラメント状材料取り付け構造体とアンビルアセンブリとの間に配置されて示されている、図10のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図12】図12は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図11のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図13】図13は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体およびフィルムが取り付けられた移植片材料の断面図である。
【図14】図14は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料およびフィルムがエンドエフェクタへの配置のために整列されて示されている、図1の外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図15A】図15Aは、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そしてフィルムがアンビルアセンブリの組織接触表面に隣接して配置されて示されている、図14のエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図15B】図15Bは、本開示の1つの実施形態による、移植片材料が図15Aのフィラメント状材料とフィルムとの間に配置されて示されている、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図15Aのエンドエフェクタの拡大斜視図である。
【図16】図16は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体およびフィルムがエンドエフェクタに配置されて示されている、図2の外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図17】図17は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そしてフィルムがアンビルアセンブリの組織接触表面に隣接して配置されて示されている、図16のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図18】図18は、本開示の1つの実施形態による、移植片材料がフィラメント状材料取り付け構造体とフィルムとの間に配置されて示されている、図17のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図19】図19は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そして移植片材料がフィラメント材料取り付け構造体とアンビルアセンブリとの間に配置されて示されている、図16のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図20】図20は、本開示の別の実施形態による、外科手術用ステープルデバイスの発射の直前の、図19のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図21】図21は、本開示の1つの実施形態による、フィラメント状材料取り付け構造体が取り付けられた移植片の断面図である。
【図22】図22は、本開示による、フィラメント状材料取り付け構造体がステープルカートリッジアセンブリの組織接触表面に隣接して配置され、そして移植片がフィラメント状材料取り付け構造体とアンビルアセンブリとの間に配置されて示されている、エンドエフェクタの別の実施形態の拡大側面図である。
【図23】図23は、本開示の別の実施形態による、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図22のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【図24】図24は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用してフィラメント状材料を移植片に取り付ける方法を図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の軟部組織移植片準備デバイスおよび方法の目的および特徴は、種々の実施形態の説明が添付の図面を参照しながら読まれることにより、当業者に明らかになる。
【0015】
(詳細な説明)
本明細書中以下で、本開示の軟部組織移植片準備デバイス、および軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける方法の実施形態が、添付の図面を参照しながら記載される。同じ参照番号は、図面の説明全体にわたって、類似の要素または同一の要素を表し得る。図面に示される場合、および本明細書中で使用される場合、慣習的であるように、物体に対する相対的な配置を言及する際に、用語「近位」とは、デバイスまたはその構成要素の、使用者に近い方の部分をいい、そして用語「遠位」とは、デバイスまたはその構成要素の、使用者から遠い方の部分をいう。
【0016】
本明細書は、「1つの実施形態において」、「ある実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、または「他の実施形態において」との語句を使用し得る。これらの語句の各々は、本開示に従う同じ実施形態または異なる実施形態のうちの1つ以上をいい得る。本明細書の目的で、「A/B」の形態の語句は、AまたはBを意味する。本明細書の目的で、「Aおよび/またはB」の形態の語句は、「(A)、(B)、または(AおよびB)」を意味する。本明細書の目的で、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形態の語句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)」を意味する。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「フィラメント状材料」とは一般に、組織を接合するために外科的に使用される材料をいう。フィラメント状材料は、種々の材料(外科手術用ガット;絹;ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン);ポリアミド;ポリエステル(脂肪族ポリエステルが挙げられる);または組織を接合するために使用するように適合された上記材料の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)から構築され得る。フィラメント状材料は、モノフィラメント形態で構築されても、編組構造体として構築されてもよい。フィラメント状材料はまた、コア−シース構築物の形態であり得る。フィラメント状材料は、他の材料(吸収性または非吸収性のいずれか)と一緒に編まれるかまたは織られて、布を形成し得る。フィラメント状材料はまた、不織材料にされて、布(例えば、メッシュまたはフェルト)を形成し得る。フィラメント状材料は、テープ構造またはリボン様構造に構築され得る。フィラメント状材料は、当業者の知識の範囲内である手段に従って、内部身体部位での使用のために適切にするために、調整、処理および/または加工され得る。
【0018】
本開示の種々の実施形態は、組織を処置するための軟部組織移植片準備デバイス、および軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける方法を提供する。本開示の軟部組織移植片準備デバイスの実施形態は一般に、軟部組織移植片を使用する靭帯再建技術(例えば、前十字靭帯(ACL)再建技術)に関連して使用するために適切である。本開示の軟部組織移植片準備デバイスは、外科医が1つまたは複数のフィラメント状材料を軟部組織移植片(例えば、半腱様筋、薄筋、または脛骨腱移植片)の端部に効率的に取り付けることを可能にし得る。本開示の軟部組織移植片準備デバイスの実施形態は、自家移植片、同種移植片、異種移植片、および/または合成移植片と組み合わせて使用するために適切であり得る。
【0019】
本明細書中以下に記載されるフィラメント状材料取り付け方法の実施形態は、軟部組織移植片を使用するACL再建技術を目標とするが、軟部組織移植片にフィラメント様材料を取り付ける本開示の方法は、移植片が使用される他の治療(例えば、後十字靭帯(PCL)手順、肩、肘および手首の靭帯再建外科手術、ならびに/または他の整形外科手術)と共に使用され得る。本開示の実施形態による、移植片にフィラメント状材料を取り付ける方法は、機械的外科手術用ファスナーを組織に埋め込むための種々の外科手術用ステープル留めデバイスと組み合わせて使用され得る。外科手術用ステープルのアレイを組織に適用するための、3つの異なる外科手術用ステープル留めデバイスの例が、図1〜図3Bに図示されている。あるいは、他の適切な外科手術用ステープル留めデバイス(図示せず)が使用され得る。
【0020】
図1および図8において一般に10として示される外科手術用ステープル留めデバイスは、静止ハンドル14を規定する本体12、旋回可能なトリガ16、細長中心本体部分18、およびエンドエフェクタ17を備える。エンドエフェクタ17は、ステープルカートリッジアセンブリ20およびアンビルアセンブリ22を備える。本体部分18およびエンドエフェクタ17は、特定の外科手術目的に依存して、または特定の外科手術要件に適合するために、種々の形状および大きさに構成され得る。手での係合部材または親指ボタン24が、本体12の各側にスライド可能に配置される。親指ボタン24は、整列ピンアセンブリ(図示せず)を手で前進させるために移動可能である。解放機構の解放ボタン50が、本体12の近位端に配置され、ステープルカートリッジアセンブリ20を近接した位置(この位置において、ステープルカートリッジアセンブリ20は、アンビルアセンブリ22に隣接して位置する)からアンビルアセンブリ22から間隔を空けた位置(例えば、図1および図8に示されるような位置)まで戻すように、押下可能である。外科手術用デバイス10のアセンブリ、および各アセンブリについての種々の構成は、同一人に譲渡された米国特許第7,275,674号(2007年10月2日発行、その開示はその全体が本明細書中に参考として援用される)により詳細に記載されている。
【0021】
外科手術用デバイス10の構成要素は一般に、熱可塑性物質(ポリカーボネートが挙げられる)ならびに金属(ステンレス鋼およびアルミニウムが挙げられる)から形成される。特定の構成要素を形成するために選択される特定の材料は、その特定の構成要素の強度要件に依存し得る。例えば、アンビルは、外科手術等級の金属(例えば、ステンレス鋼)から形成され得、そして静止ハンドル14は、熱可塑性物質(例えば、ポリカーボネート)から形成され得る。あるいは、上には列挙されていない他の適切な材料(これは好ましくは、滅菌手順に耐え得る)が、例えば、ステープル留めデバイス10の構成要素を形成するために使用され得る。例えば、これらの材料は、外科手術での使用のために適切であり、そして特定の構成要素の強度要件を満たすことを条件とする。外科手術用ステープル留めデバイス10は、軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける、本開示の方法に関連して使用され得る。
【0022】
図2および図16において一般に100として示される外科手術用ステープル留めデバイスは、ハンドルアセンブリ112および細長本体114を備える。使い捨て装填ユニットまたはDLU 116が、細長本体114の遠位端に取り外し可能に固定される。使い捨て装填ユニット116は、複数の外科手術用ステープルを収容するステープルカートリッジアセンブリ118を有するエンドエフェクタ117、およびステープルカートリッジアセンブリ118に対して移動可能に固定されたアンビルアセンブリ120を備える。いくつかの実施形態において、使い捨て装填ユニット116は、約30mm〜約60mmの長さの、ステープルの直線の列を適用するように構成される。他の長さ(例えば、45mm)のステープルの直線の列を有する使い捨て装填ユニットもまた予測される。ハンドルアセンブリ112は、静止ハンドル部材122、可動ハンドル部材124、およびバレル部分126を備える。回転可能部材128が、バレル部分126の前端に設置されて、ハンドルアセンブリ112に対する細長本体114の回転を容易にし得る。関節運動レバー130がまた、回転可能ノブ128に隣接してバレル部分126の前端に設置されて、エンドエフェクタ117の関節運動を容易にし得る。1対の引き込みノブ132が、外科手術用ステープル留め装置100を引き込まれた位置に戻すために、バレル部分126に沿って移動可能に配置される。外科手術用デバイス100のアセンブリ、および各アセンブリについての種々の構成は、同一人に譲渡された米国特許第7,308,998号および同第7,303,107号(これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)により詳細に記載されている。外科手術用ステープル留めデバイス100は、軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける本開示の方法に関連して使用され得る。
【0023】
図3Aおよび図3Bにおいて一般に1000として示される外科手術用ステープル留めデバイスは、ハンドル1086および1087、ならびに複数のガイド1102〜1106および1110〜1116を備える。これらのガイドは、フィラメント状材料1011の一部分をハンドル1086および1087に実質的に隣接させて解放可能に保持するためのものである。ステープラー1000のハンドル1086および1087の各々は、近位端および遠位端を有し、ステープル留めアセンブリ1013がその遠位端に隣接して配置され、そして指把持部分1038がその近位端に配置されている。ハンドル1086および1087は、旋回ピン1037により互いに旋回可能に接続される。弾力性手段(例えば、ばね(図示せず))がステープラー1000に備えられて、使用者により提供される付勢力が存在しない場合にハンドル1086と1087とを離すように付勢し得る。ステープラー1000は、ハンドルに配置された、一般的に公知の構成を有するキャッチ機構1044を備えて、ハンドルのクランプの後に、ステープラー1000を組織クランプ位置に保持し得る。さらに、安全機構1045が、ハンドルの望ましくないクランプを防止するために、各ハンドル1086および1087の近位端に提供される。外科手術用デバイス1000のアセンブリ、および各アセンブリについての種々の構成は、同一人に譲渡された米国特許第5,490,856号(1996年2月13日発行、その開示はその全体が本明細書中に参考として援用される)により詳細に記載されている。外科手術用ステープル留めデバイス1000は、軟部組織移植片にフィラメント状材料を取り付ける本開示の方法に関連して使用され得る。
【0024】
図4は、本開示の1つの実施形態によるフィラメント状材料取り付け構造体を示す。フィラメント状材料取り付け構造体400は、薄いフィルム160を備え、2つのフィラメント状材料「S」がフィルム160に取り付けられている。実質的に等しい長さの2つのフィラメント状材料「S」が図4に示されているが、種々の数および種々の長さのフィラメント状材料が使用され得る。フィラメント状材料「S」の各々がフィルム160を横断し、そしてフィルム160の両側から外向きに延びる。フィルム160は、種々の形態(フィルム、リボン、シート、テープなど)に構成され得る。フィルム160は、生体吸収性であっても、部分的に生体吸収性であっても、非生体吸収性であってもよい。フィルム160を形成する際に使用するために適切な材料としては、任意の生体適合性材料が挙げられ得る。天然材料、合成材料、生体吸収性材料および/または非生体吸収性材料の任意の組み合わせが、フィルム160を形成するために使用され得る。フィルム160は、織材料、不織材料、メッシュ材料、または連続フィルムのシートから形成され得る。
【0025】
適切な非分解性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレンを含む)およびポリプロピレン(アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、およびこれらのブレンドを含む);ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレンオキシド;超高分子量ポリエチレン;ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンとのコポリマー;フッ素化ポリオレフィン(例えば、フルオロエチレン、フルオロプロピレン、フルオロPEG、およびポリテトラフルオロエチレン));ポリアミド(例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、およびポリカプロラクタム);ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート);ポリエーテル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;ポリブチルエステル(polybutester)(ブチレンテレフタレートとポリテトラメチレンエーテルグリコールとのコポリマーが挙げられる);1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー;メタクリル酸類;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル);ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン);ポリクロロフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー);アクリロニトリル−スチレンコポリマー;ABS樹脂;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファジン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;スパンデックス;シリコーン;ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、非生分解性ポリマーおよびモノマーが、互いに組み合わせられ得る。
【0026】
本開示のフィルム160およびフィラメント状材料「S」を形成するために利用され得る適切な生分解性材料としては、脂肪族ポリエステル;ポリアミド;ポリアミン;ポリアルキレンオキサレート;ポリ(酸無水物);ポリアミドエステル;コポリ(エーテル−エステル);ポリ(カーボネート)(チロシン誘導体化カーボネートが挙げられる);ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(例えば、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、およびポリ(ヒドロキシブチレート));ポリイミドカーボネート;ポリ(イミノカーボネート)(例えば、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)など);ポリオルトエステル;ポリオキサエステル(アミン基を含むものが挙げられる);ポリホスファゼン;ポリ(フマル酸プロピレン);ポリウレタン;ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニサル、ポリアスピリン、およびタンパク質治療剤);生物学的に改変された(例えば、タンパク質、ペプチド)生体吸収性ポリマー;ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
より具体的には、本発明の目的で、脂肪族ポリエステルとしては、ラクチド(乳酸、D−ラクチド、L−ラクチド、およびメソラクチドが挙げられる);グリコリド(グリコール酸が挙げられる);ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン);炭酸トリメチレン(1,3−ジオキサン−2−オン);炭酸トリメチレンのアルキル誘導体;δ−バレロラクトン;β−ブチロラクトン;γ−ブチロラクトン;ε−デカラクトン(decalactone);ヒドロキシブチレート;ヒドロキシバレレート;1,4−ジオキセパン−2−オン(その二量体である1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンを含む);1,5−ジオキセパン−2−オン;6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン;2,5−ジケトモルホリン;ピバロラクトン;α,α−ジエチルプロピオラクトン;炭酸エチレン;シュウ酸エチレン;3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オンのホモポリマーおよびコポリマー;ならびにこれらのポリマーブレンドおよびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、フィラメント状材料は、脂肪族ポリエステルを含有し得る。
【0028】
他の適切な生体分解性ポリマーとしては、ポリ(アミノ酸)(コラーゲン(I型、II型、III型)、エラスチン、フィブリン、フィブリノゲン、絹、およびアルブミンなどのタンパク質が挙げられる);ペプチド(ラミニンの配列およびフィブロネクチンの配列(RGD)が挙げられる);多糖類(例えば、ヒアルロン酸(HA)、デキストラン、アルギネート、キチン、キトサン、およびセルロース);グリコサミノグリカン;ガット;およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コラーゲンは、本明細書中で使用される場合、天然コラーゲン(例えば、動物由来のコラーゲン、ゼラチン化コラーゲン)、または合成コラーゲン(例えば、ヒト組換えコラーゲンもしくは細菌組換えコラーゲン)を包含する。
【0029】
さらに、合成により修飾された天然ポリマー(例えば、セルロースおよび多糖類誘導体であり、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、およびキトサンが挙げられる)が利用され得る。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、三酢酸セルロース、およびセルロース硫酸ナトリウム塩が挙げられる。これらはまとめて、本明細書中である実施形態において、「セルロース」と称され得る。
【0030】
ある実施形態において、フィルム160を形成するために利用され得る適切な材料としては、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、炭酸トリメチレン、カプロラクトン、およびこれらの種々の組み合わせを含む、ホモポリマー、コポリマー、および/またはブレンドが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、グリコリドと炭酸トリメチレンとのコポリマーが利用され得る。このようなコポリマーを形成する方法は、当業者の知識の範囲内であり、例えば、米国特許第4,300,565号(その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に開示される方法が挙げられる。グリコリドと炭酸トリメチレンとの適切なコポリマーは、このコポリマーの約60重量%〜約75重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約65重量%〜約70重量%の量のグリコリドを含み得、炭酸トリメチレンは、このコポリマーの約25重量%〜約40重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約30重量%〜約35重量%の量で存在する。
【0031】
フィルム160を形成するために適切な他の材料としては、ある実施形態において、グリコリドと、ジオキサノンと、炭酸トリメチレンとのコポリマーが挙げられる。このような材料としては、例えば、このコポリマーの約55重量%〜約65重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約58重量%〜約62重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約60重量%の量のポリグリコリド;このコポリマーの約10重量%〜約18重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約12重量%〜約16重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約14重量%の量のジオキサノン、およびこのコポリマーの約17重量%〜約35重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約22重量%〜約30重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約26重量%の量の炭酸トリメチレンを含むコポリマーが挙げられる。
【0032】
他の実施形態において、グリコリドと、ラクチドと、炭酸トリメチレンと、ε−カプロラクトンとのコポリマーが、フィルム160を形成するために利用され得る。このような材料としては、例えば、このコポリマーの約14重量%〜約20重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約16重量%〜約18重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約17重量%の量のカプロラクトン;このコポリマーの約4重量%〜約10重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約6重量%〜約8重量%、いくつかの実施形態においては、このコポリマーの約7重量%の量のラクチド;このコポリマーの約4重量%〜約10重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約6重量%〜約8重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約7重量%の量の炭酸トリメチレン;およびこのコポリマーの約60重量%〜約78重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約66重量%〜約72重量%、ある実施形態においては、このコポリマーの約69重量%の量のグリコリドを含むランダムコポリマーが挙げられ得る。
【0033】
1つの実施形態において、フィルム160は、「BIOSYN」から製造される。「BIOSYN」とは、非吸収剤の生体適合性の生体吸収性材料である。「BIOSYN」は、GLYCOMER 631(ブロックコポリマー)から作製される。GLYCOMER 631は、グリコリドと、ジオキサノンと、炭酸トリメチレンとからなる合成ポリエステルである。得られるコポリマーの1つのブロックは、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)および炭酸トリメチレン(1,3−ジオキサン−2−オン)から誘導された、ランダムに組み合わせられた単位を含む。このコポリマーの第二のブロックは、グリコリドおよびp−ジオキサノンから誘導された、ランダムに組み合わせられた単位を含む。得られるポリエステルは、約60%のグリコリド、約14%のジオキサノン、および約26%の炭酸トリメチレンを含む、ABAトリブロックターポリマーである。
【0034】
図4に図示される実施形態において、フィルム160は、生体吸収性材料166を含む。生体吸収性材料166は、合成生体吸収性ポリマー(例えば、上記のもの)を含み得る。
【0035】
さらに、このフィルムは、乳化剤、可溶化剤、湿潤剤、調味剤、可塑剤、活性剤、水溶性不活性充填材、防腐剤、緩衝剤、着色剤、および安定剤のうちのいずれかまたは全てを含有し得る。この処方物への可塑剤の添加は、可撓性を改善し得る。可塑剤または可塑剤混合物は、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、スクロース、コーンシロップ、フルクトース、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、1,2−プロピレングリコール、グリセロールのモノ酢酸エステル、ジ酢酸エステルもしくはトリ酢酸エステル、または天然ゴムであり得る。
【0036】
フィルム160は、治療剤を含有し得る。治療剤としては、薬物、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ムテイン、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子(blood clotting factor)、造血因子、インターロイキン(1〜18)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−SCF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制因子、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン、性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン、黄体化ホルモン放出因子)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factor);成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質、TGF−B、タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;細胞、ウイルス、およびリボザイムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
ある実施形態において、治療剤は、以下の薬物のうちの少なくとも1種(これらの薬物の組み合わせならびに代替の形態(例えば、代替の塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態、プロドラッグおよび水和物)を含む)を含有し得る:例えば、鎮痛薬/解熱薬(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプロノルフィン、プロポキシフェン塩酸塩、プロポキシフェンナプシレート、メペリジン塩酸塩、ヒドロモルホン塩酸塩、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン酒石酸水素塩、ペンタゾシン、ヒドロコドン酒石酸水素塩、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、ナルブフィン塩酸塩、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール(butalbital)、フェニルトロキサミンクエン酸塩、ジフェンヒドラミンクエン酸塩、メトトリメプラジン、シンナメドリン塩酸塩およびメプロバメート);喘息治療薬(例えば、ケトチフェンおよびトラキサノクス);抗生物質(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリンおよびシプロフロキサシン);抗うつ薬(例えば、ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、イミプラミンパモ酸塩(imipramine pamoate)、イソカルボキサジド、トリミプラミンおよびプロトリプチリン);糖尿病治療薬(例えば、ビグアナイド類およびスルホニルウレア誘導体);抗真菌剤(例えば、グルセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アムホテリシンB、ナイスタチンおよびカンジシジン);抗高血圧薬(例えば、プロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、パルギリン塩酸塩、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジン一硫酸塩、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク、アルセロキシロンおよびフェントラミン);抗炎症薬(例えば、(非ステロイド性)インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド性)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾン);抗腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル-CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェン、インターフェロンα、レチノイン酸(ATRA)、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、ならびにピポスルファン);抗不安剤(例えば、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼペート二カリウム、ジアゼパム、ヒドロキシジンパモ酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノンおよびダントロレン);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス));抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、プロパノロール、ムチン酸イソメテプテンおよびジクロラルフェナゾン):鎮静薬/催眠薬(例えば、バルビツール酸類(例えば、ペントバルビタール、ペントバルビタールおよびセコバルビタール);およびベンゾジアゼピン類(例えば、フラゼパム塩酸塩、トリアゾラムおよびミダゾラム));抗狭心症剤(例えば、βアドレナリン遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム);および硝酸類(ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレートおよびエリスリチルテトラニトレート);抗精神病剤(例えば、ハロペリドール、ロキサピンコハク酸塩、ロキサピン塩酸塩、チオリダジン、チオリダジン塩酸塩、チオチキセン、フルフェナジン、フルフェナジンデカン酸塩、フルフェナジンエナンタート、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、ペルフェナジン、クエン酸リチウムおおよびプロクロルペラジン);抗躁病剤(例えば、炭酸リチウム);抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシル酸塩(bretylium tosylate)、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、ジソピラミドリン酸塩、プロカインアミド、キニジン硫酸塩、キニジングルコン酸塩、キニジンポリガラクツロネート、フレカイニドアセテート、トカイニドおよびリドカイン);関節炎治療剤(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン、サルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、オーロチオグルコースおよびトルメチンナトリウム);痛風治療剤(例えば、コルヒチンおよびアロプリノール);抗凝固薬(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウムおよびワーファリンナトリウム);血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびアルテプラーゼ);抗線維素溶解剤(例えば、アミノカプロン酸);血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);抗血小板剤(例えば、アスピリン);鎮痙薬(例えば、バルプロ酸、ジバルプロックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、メフェニトイン、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム、クロラゼペート二カリウム塩およびトリメタジオン);抗パーキンソン剤(例えば、エトスクシミド);抗ヒスタミン/止痒剤(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロモフェニラミン、シプロフェプタジン塩酸塩、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デキシクロルフェニラミンおよびメチジラジン);カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニンおよび副甲状腺ホルモン);抗細菌剤(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミチン酸塩、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クリンダマイシンパルミチン酸塩、クリンダマイシンリン酸塩、メトロニダゾール、メトロニダゾール塩酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、リンコマイシン塩酸塩、トブラマイシン硫酸塩、バンコマイシン塩酸塩、ポリミキシンB硫酸塩、コリスチメテートナトリウムおよびコリスチン硫酸塩);抗ウイルス剤(例えば、インターフェロンα、βまたはγ、ジドブジン、アマンタジン塩酸塩、リバビリンおよびアシクロビル);抗微生物剤(例えば、セファロスポリン類(例えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフロキシム アキセチル、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩酸セファレキシン一水和物、セファマンドールナファート、セフォキシチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジンおよびセフロキシムナトリウム);ペニシリン類(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、ペニシリンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、アゾロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウムおよびナフシリンナトリウム);エリスロマイシン類(例えば、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート(estolate)、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、エリスロマイシンステアリン酸塩およびエリスロマイシンエチルコハク酸塩);およびテトラサイクリン類(例えば、テトラサイクリン塩酸塩、ドキシサイクリン塩酸塩(hyclate)およびミノサイクリン塩酸塩、アジスロマイシン、クラリスロマイシン));抗感染剤(例えば、GM−CSF);気管支拡張薬(例えば、交感神経作用薬(例えば、エピネフリン塩酸塩、メタプロテレノール硫酸塩、テルブタリン硫酸塩、イソエタリン、イソエタリンメシル酸塩、イソエタリン塩酸塩、アルブテロール硫酸塩、アルブテロール、ビトルテロルメシレート、イソプレテレノール塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、エピネフリン酒石酸水素塩、メタプロテレノール硫酸塩、エピネフリンおよびエピネフリン酒石酸水素塩);抗コリン作用薬(例えば、臭化イプラトロピウム);キサンチン類(例えば、アミノフィリン、ジフィリン、メタプロテレノール硫酸塩、およびアミノフィリン);肥満細胞安定化剤(例えば、クロモリンナトリウム);吸入用コルチコステロイド(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)および二プロピオン酸ベクロメタゾン一水和物);サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ブデソニド;ケトチフェン;サルメテロール;キナフォエート;テルブタリン硫酸塩;トリアムシノロン;テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;メタプロテレノール硫酸塩;アルブテロール;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン);ステロイド性の化合物およびホルモン(例えば、アンドロゲン類(例えば、ダナゾール、テストステロンシピオン酸塩、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン、メチルテストステロン、フルオキシメステロンおよびテストステロンシピオン酸塩);エストロゲン類(例えば、エストラジオール、エストピペートおよび結合化エストロゲン);プロゲスチン類(例えば、酢酸メトキシプロゲステロン(methoxy progesteroneacetate)、および酢酸ノルエチンドロン);コルチコステロイド類(例えば、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロンテブテート、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;および甲状腺ホルモン(例えば、レボチロキシンナトリウム));低血糖症薬剤(例えば、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、およびトラザミド);高脂質血症薬剤(例えば、クロフィブレート、デキストロサイロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン(niacin));タンパク質(例えば、DNアーゼ、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、およびリパーゼ);核酸(例えば、治療上有用な任意のタンパク質
(本明細書中に記載されるタンパク質のいずれかが挙げられる)をコードするセンス核酸またはアンチセンス核酸);赤血球生成刺激のために有用な薬剤(例えば、エリスロポイエチン);抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、ファモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン);制吐剤/鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジン、およびスコポラミン)。本明細書中に記載される組成物および方法において有用な他の薬剤としては、ミトーテン、ハロニトロソウレア類、アントラサイクリン類、エリプチシン(ellipticine)、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、尿性卵胞性刺激ホルモン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトホルミン、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、ホリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リジノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルーカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポイエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン(erbumine)、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニール、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピール三ナトリウム(mangafodipir trisodium)、メサラミン(mesalamine)、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテルカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール(paricalcitol)、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、ドラセトロン(dolasetron)、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン(tolcapone)、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニン、および臭化イプラトロピウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性であり得る。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性ではないかもしれない。
【0038】
他の実施形態において、フィルム160は、患者から採取された生物学的組織(自家移植片)、またはドナーから採取された生物学的組織(同種移植片)またはヒト以外の種から採取された生物学的組織(異種移植片)である。
【0039】
上記のように、フィラメント状材料「S」は、モノフィラメント形態および/または編組構造体に構築され得る。フィラメント状材料「S」は、好ましくは、実質的に非毒性であり、容易に滅菌され得、良好な引っ張り強度を有し、そして認容可能な結び目を結ぶ特徴および結び目を保持する特徴を有する。フィラメント状材料「S」の形状、大きさおよびパターンは、図4に図示される構成から変動し得る。
【0040】
図5A〜図5Cは、図4に示される細部の示される領域Iの拡大側面図であり、それぞれ、フィラメント状材料「S」の第一の位置、第二の位置および第三の位置を図示する。フィルム160の上面168に対するフィラメント状材料「S」の位置は、種々の要因(フィルム160の密度、フィルム160の厚さ、フィルム160の材料組成、生体適合性接着材料(存在する場合)の厚さ、および/またはフィラメント状材料「S」の材料組成が挙げられるが、これらに限定されない)に依存し得る。
【0041】
図5Aは、フィルム160の上面168に対して第一の位置に位置するフィラメント状材料「S」を示し、この位置において、フィラメント状材料「S」の下面181は、フィルム160の上面168に隣接して配置される。フィラメント状材料「S」は、例えば、生体適合性接着材料(図示せず、例えば、シアノアクリレート、ウレタン、または他の適切な接着材料)を使用して、フィルム160に取り付けられ得る。フィラメント状材料「S」は、フィルム160に織り込まれてもよい。
【0042】
図5Bは、フィルム160の上面168に対して第二の位置に位置するフィラメント状材料「S」を示し、この位置において、フィラメント状材料「S」の下面181は、フィルム160の上面168より下に配置される。フィルム160は、チャネルまたは溝を備え得、このチャネルまたは溝は、フィルム160の上面168より下にフィラメント状材料「S」の一部分を受容するために適切な寸法にされる。生体適合性接着材料(図示せず)が、このチャネル内に配置され得る。
【0043】
図5Cは、フィルム160の上面168に対して第三の位置に位置するフィラメント状材料「S」を示し、この位置において、フィラメント状材料「S」の下面181は、フィルム160の上面168より下に配置され、そしてフィラメント状材料「S」の上面184は、フィルム160の上面168と実質的に同一面に配置される。フィルム160の上面168に対するフィラメント状材料「S」の位置は、図5A〜図5Cに図示される第一の位置、第二の位置および第三の位置から、変動し得る。
【0044】
図6A〜図6Bは、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体の別の実施形態を示す。図6Aおよび図6Bのフィラメント状材料取り付け構造体500は、フィルム160を横切って横断するフィラメント状材料「S」の各々の部分が、フィルム160の上面168と下面184との間に完全に包まれることを除いて、図4に示されるフィラメント状材料取り付け構造体400と類似である。図6Bは、図6Aのフィラメント状材料取り付け構造体500の側面図であり、上面168と下面184との間に配置されたフィラメント状材料「S」を示す。本開示の1つの実施形態において、フィラメント状材料「S」は、フィルム160の製造中に、フィルム160内に包まれる。例えば、フィルム160は、原樹脂および硬化剤を含有し得、そしてフィラメント状材料「S」は、その製造プロセスの硬化工程前に、フィルム160内に(例えば、図6Aおよび図6Bに示されるように)配置され得る。あるいは、またはさらに、フィラメント状材料「S」は、フィルム160の製造後に、例えば、針などの穿刺器具を使用して、フィルム160内に挿入され得る。
【0045】
図7は、本開示によるフィラメント状材料取り付け構造体の別の実施形態を示す。フィラメント状材料取り付け構造体700は、第一のフィルム160A、第二のフィルム160B(ここでフィルム160Aが第二のフィルム160Bを覆う)、および第一のフィルム160Aと第二のフィルム160Bとの間の界面に取り付けられた2つのフィラメント状材料「S」を備える。第一のフィルム160Aおよび第二のフィルム160Bのうちのいずれかまたは両方が、生体吸収性材料を含有し得る。第一のフィルム160Aおよび第二のフィルム160Bは、同じ材料から形成され得る。
【0046】
図8を参照すると、図1の外科手術用ステープル留めデバイスが、フィラメント状材料取り付け構造体160(例えば、図6Aに示される)がステープルカートリッジアセンブリ20の組織接触表面21への配置されるために整列され、そしてフィルム176がアンビルアセンブリ22の組織接触表面23への配置のために整列されて、示されている。フィルム176は、生体吸収性材料を含有し得る。フィルム176は、生体適合性材料を含有し得る。
【0047】
図9Aおよび図9Bを参照すると、図8の外科手術用ステープル留めデバイスのエンドエフェクタ17が、フィラメント状材料取り付け構造体160がステープルカートリッジアセンブリ20の組織接触表面21に隣接して配置され、そしてフィルム176がアンビルアセンブリ22の組織接触表面23に隣接して配置されて、示されている。図9Bにおいて、エンドエフェクタ17は、移植片材料「G」が、フィラメント状材料取り付け構造体160とフィルム176との間に配置されて、示されている。
【0048】
移植片材料「G」は、硬質であり得、半硬質であり得、柔軟であり得、弾力性であり得、弾性であり得、圧縮可能であり得、膨張可能であり得、そして/または可撓性であり得る。本開示のいくつかの実施形態において、移植片材料「G」は、患者から採取された生物学的組織(自家移植片)、またはドナーから採取された生物学的組織(同種移植片)またはヒト以外の種から採取された生物学的組織(異種移植片)である。図9Bに図示される実施形態において、移植片材料「G」は、天然起源の生体適合性材料から形成され、そして生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。移植片材料「G」を形成するために適切な材料の例としては、自家移植片、同種移植片または異種移植片;軟部組織、結合組織、鉱物質除去骨マトリックスおよびこれらの組み合わせが挙げられる。移植片材料「G」を形成するために適切な材料の他の例としては、上に列挙されたものが挙げられる、生体吸収性材料または非生体吸収性材料が挙げられ得る。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態において、フィルム176は省略される。例えば、図10および図11に協同で示されるように、図8の外科手術用ステープル留めデバイスのエンドエフェクタ17は、ステープルカートリッジアセンブリ20に隣接して配置されたフィラメント状材料取り付け構造体160、およびフィラメント状材料取り付け構造体160とアンビルアセンブリ22との間に配置され得る移植片材料「G」を備え得る。
【0050】
図12は、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射の直前の、図9Aおよび図9Bのエンドエフェクタ17を示す。図13は、フィラメント状材料取り付け構造体160とフィルム176とが、複数の機械的外科手術用ファスナー「F」により、例えば、図1および図8の外科手術用ステープラーデバイスを使用して取り付けられた、移植片材料「G」を示す。
【0051】
図14を参照すると、図1の外科手術用ステープル留めデバイス10が示されており、エンドエフェクタへの配置のために整列されたフィラメント状材料「S」およびフィルム176を備える。図15Aは、フィラメント状材料「S」がステープルカートリッジアセンブリ20の組織接触表面21に隣接して配置され、そしてフィルム176がアンビルアセンブリ22の組織接触表面23に隣接して配置されて示された、図14のエンドエフェクタ17の拡大図である。フィルム176は、省略され得る。図15Bは、移植片材料「G」が図15Aのフィラメント状材料「S」とフィルム176との間に配置されて示されている、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射の直前の、図15Aのエンドエフェクタの図である。
【0052】
図16を参照すると、図2の外科手術用ステープル留めデバイスが、フィラメント状材料取り付け構造体1400がステープルカートリッジアセンブリ118の組織接触表面1421に実質的に隣接して配置され、そしてフィルム1476がアンビルアセンブリ120の組織接触表面1423に実質的に隣接して配置されて、示されている。図17および図18は、図16のエンドエフェクタ117の拡大図である。図17に示されるように、フィラメント状材料取り付け構造体1400は、フィルム1460および2つのフィラメント状材料「S」を備える。フィラメント状材料取り付け構造体1400は、図6Aに示されるフィラメント状材料取り付け構造体160と類似であるので、フィラメント状材料取り付け構造体1400のさらなる説明は、簡潔にするために、省略される。
【0053】
図18を参照すると、エンドエフェクタ117が、移植片材料「G」がフィラメント状材料取り付け構造体1400とフィルム1476との間に配置されて示されている。フィルム1476は、省略され得る(例えば、図19および図20を参照のこと)。
【0054】
図19および図20は、図16の外科手術用ステープラーデバイスのエンドエフェクタ117の拡大図である。図19において、エンドエフェクタ117は、フィラメント状材料取り付け構造体1400がステープルカートリッジアセンブリ118の組織接触表面に実質的に隣接して配置され、そして移植片材料「G」がフィラメント状材料取り付け構造体1400とアンビルアセンブリ120との間に配置されて示されている。図20は、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図19に示されるエンドエフェクタ117を図示する。
【0055】
図21は、フィラメント状材料取り付け構造体1400が複数の機械的外科手術用ファスナー「F」によって、例えば、図2および図16の外科手術用ステープラーデバイスを使用して取り付けられている、移植片材料「G」を示す。
【0056】
図22および図23は、フィラメント状材料取り付け構造体1400および移植片材料「G」を備えるエンドエフェクタ117Aを示す。図22および図23のエンドエフェクタ117Aは、アンビルアセンブリとステープルカートリッジアセンブリとの相対位置が逆になっていることを除いて、図17〜図20に示されるエンドエフェクタ117と類似である。図17〜図20において、アンビルアセンブリ120は、エンドエフェクタ117の上部材であり、そしてステープルカートリッジアセンブリ118は、エンドエフェクタ117の下部材である。図22および図23に示される代替の実施形態において、アンビルアセンブリ2020がエンドエフェクタ117Aの下部材であり、そしてステープルカートリッジアセンブリ2018がエンドエフェクタ117Aの上部材である。
【0057】
図23を参照すると、外科手術用ステープル留めデバイスの発射の直前の、図22のエンドエフェクタ117Aが、フィラメント状材料取り付け構造体1400がステープルカートリッジアセンブリ2018の組織接触表面2019に実質的に隣接して配置され、そして移植片材料「G」がフィラメント状材料取り付け構造体1400とアンビルアセンブリ2020の組織接触表面2021との間に配置されて示されている。
【0058】
図24は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用デバイス(例えば、図1および図8に示される10)のエンドエフェクタ(例えば、図1および図8〜図12に示される17)を使用して、移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法を図示する流れ図である。本明細書中に適用される方法の工程は、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせて、および本明細書中に提供される順序とは異なる順序で実施され得ることが理解されるべきである。
【0059】
工程2410において、生体適合性フィルム(例えば、図6Aに示される160)を備えるフィラメント状材料取り付け構造体(例えば、図6Aに示される500)が、少なくとも1つのフィラメント状材料(例えば、図6Aに示される「S」)がこの生体適合性フィルムに取り付けられた状態で製造される。
【0060】
工程2420において、移植片材料(例えば、図9Bに示される「G」)が、外科手術手順において使用するために選択および/または調製される。この移植片材料は、天然起源の任意の生体適合性材料から形成され得る。この移植片材料は、軟部組織移植片であり得る。この移植片材料は、自家移植片、同種移植片、または異種移植片を含み得る。この移植片材料は、合成材料、または天然材料と合成材料との組み合わせを含み得る。移植片材料として使用するために適切であり得る材料の例は、商標PARIETEXTM Composite(PCO)のもとでTyco Healthcare Group LP(Covidienとして事業経営中)により市販されている、ポリマーメッシュ材料である。
【0061】
工程2430において、フィラメント状材料取り付け構造体が、エンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接して配置される。このエンドエフェクタの第一の部材は、ステープルカートリッジアセンブリ(例えば、図1および図8に示される20)であり得る。
【0062】
任意の工程2440において、生体適合性フィルム(例えば、図8に示される176)が提供され、そしてエンドエフェクタの第二の部材に隣接して配置される。任意の工程2440は、特定の外科手術目的に依存して包含され得るか、または特定の外科手術要件に適合するために包含され得る。
【0063】
工程2450において、移植片材料が、生体適合性フィルムとフィラメント状材料取り付け構造体(例えば、図6Aに示される500)との間に、例えば、フィラメント状材料取り付け構造体に隣接して配置される。任意の工程2440が省略される場合、この移植片材料は、エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接して配置され得る。このエンドエフェクタの第二の部材は、ステープルカートリッジアセンブリ(例えば、図1および図8に示される20)に作動可能に関連する、アンビルアセンブリ(例えば、図1および図8に示される22)であり得る。この移植片材料は、このエンドエフェクタの第二の部材と整列させられて、この移植片材料の中心部分へのファスナーの配置を容易にし得る。
【0064】
工程2460において、第一の部材が第二の部材に対して移動させられ、フィラメント状材料取り付け構造体および生体適合性フィルムを、移植片材料に隣接させる。任意の工程2440が省略される場合、工程2460において第二の部材に対して第一の部材を移動させることは、フィラメント状材料取り付け構造体を移植片材料に隣接させる。
【0065】
工程2470において、ステープルカートリッジアセンブリからの複数の機械的外科手術用ファスナー(例えば、図13に示される「F」)が、フィラメント状材料取り付け構造体、生体適合性フィルム、および移植片材料内に、エンドエフェクタを使用して埋め込まれ、これによって、このフィラメント状材料取り付け構造体およびこの生体適合性フィルムを、この移植片材料に固定する。任意の工程2440が省略される場合、ステープルカートリッジアセンブリからの複数の機械的外科手術用ファスナーは、工程2470において、フィラメント状材料取り付け構造体および移植片材料内に、エンドエフェクタを使用して埋め込まれ、これによって、このフィラメント状材料取り付け構造体をこの移植片材料に固定する。
【0066】
本開示の実施形態が、図示および説明の目的で、添付の図面を参照しながら詳細に記載されたが、本発明のプロセスおよび装置は、これらの実施形態により限定されると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。上記実施形態に対する種々の改変が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0067】
10 外科手術用デバイス
12 本体
14 静止ハンドル
16 トリガ
17 エンドエフェクタ
18 本体部分
20 ステープルカートリッジアセンブリ
22 アンビルアセンブリ
24 親指ボタン
50 解放ボタン
160 フィルム
400 フィラメント状材料取り付け構造体
S フィラメント状材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部分;
該ハンドル部分から遠位に延びる本体部分;
該本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタであって、第一の部材および第二の部材を備える、エンドエフェクタ;ならびに
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体であって、該第一の部材の組織接触表面および該第二の部材の組織接触表面のうちの少なくとも一方に並置して長手軸方向に配置される、フィラメント状材料取り付け構造体、
を備える、軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項2】
前記第二の部材が前記第一の部材に作動可能に関連しており、該第一の部材および該第二の部材が、一方を他方に対して長手軸方向に並置させるように互いに移動可能であるように接続されている、請求項1に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項3】
前記軟部組織移植片準備デバイスが、外科手術用ステープラーであり、そして前記第一の部材が、ステープルカートリッジアセンブリであり、そして前記第二の部材が、該ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連しているアンビルアセンブリである、請求項1に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項4】
前記フィラメント状材料取り付け構造体が、フィルムをさらに備え、前記少なくとも1つのフィラメント状材料が該フィルムに取り付けられている、請求項1に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項5】
前記フィルムが生体吸収性ポリマーを含有する、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項6】
前記フィルムが非生体吸収性ポリマーを含有する、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフィラメント状材料を前記フィルムに取り付けるための生体吸収性接着剤をさらに備える、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項8】
前記フィルムが、該フィルム内に形成された少なくとも1つのチャネルを備え、前記少なくとも1つのフィラメント状材料が、該フィルム内の該少なくとも1つのチャネル内に少なくとも部分的に収容される、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項9】
前記チャネル内に配置された接着剤をさらに備える、請求項8に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項10】
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
移植片材料を提供する工程;
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の表面の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該エンドエフェクタの第二の部材と該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させ、これによって該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に隣接させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを該フィラメント状材料取り付け構造体および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
【請求項11】
前記フィラメント状材料取り付け構造体が、第一のフィルムをさらに備え、該第一のフィルムに、前記少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エンドエフェクタの前記第一の部材がステープルカートリッジアセンブリである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記エンドエフェクタの前記第二の部材が、前記ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連するアンビルアセンブリである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第二のフィルムを提供する工程;および
該第二のフィルムを、前記エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程、
をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記移植片材料の中心部分への外科手術用ファスナーの配置を容易にするために、該移植片材料を整列させる工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記移植片材料を提供する工程が、外科手術用手順において使用するために、該移植片材料を選択することおよび調製することのうちの少なくとも一方を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記移植片材料が軟部組織移植片である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記移植片材料が、患者、ドナー、およびヒト以外の種のうちの少なくとも1つから採取された生物学的組織を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を製造する工程;
移植片材料を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
生体適合性フィルムを提供する工程;
該生体適合性フィルムを、該エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該生体適合性フィルムと該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを、該フィラメント状材料取り付け構造体、該生体適合性フィルム、および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体および該生体適合性フィルムを該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
【請求項1】
ハンドル部分;
該ハンドル部分から遠位に延びる本体部分;
該本体部分の遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタであって、第一の部材および第二の部材を備える、エンドエフェクタ;ならびに
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体であって、該第一の部材の組織接触表面および該第二の部材の組織接触表面のうちの少なくとも一方に並置して長手軸方向に配置される、フィラメント状材料取り付け構造体、
を備える、軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項2】
前記第二の部材が前記第一の部材に作動可能に関連しており、該第一の部材および該第二の部材が、一方を他方に対して長手軸方向に並置させるように互いに移動可能であるように接続されている、請求項1に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項3】
前記軟部組織移植片準備デバイスが、外科手術用ステープラーであり、そして前記第一の部材が、ステープルカートリッジアセンブリであり、そして前記第二の部材が、該ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連しているアンビルアセンブリである、請求項1に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項4】
前記フィラメント状材料取り付け構造体が、フィルムをさらに備え、前記少なくとも1つのフィラメント状材料が該フィルムに取り付けられている、請求項1に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項5】
前記フィルムが生体吸収性ポリマーを含有する、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項6】
前記フィルムが非生体吸収性ポリマーを含有する、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフィラメント状材料を前記フィルムに取り付けるための生体吸収性接着剤をさらに備える、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項8】
前記フィルムが、該フィルム内に形成された少なくとも1つのチャネルを備え、前記少なくとも1つのフィラメント状材料が、該フィルム内の該少なくとも1つのチャネル内に少なくとも部分的に収容される、請求項4に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項9】
前記チャネル内に配置された接着剤をさらに備える、請求項8に記載の軟部組織移植片準備デバイス。
【請求項10】
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
移植片材料を提供する工程;
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の表面の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該エンドエフェクタの第二の部材と該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させ、これによって該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に隣接させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを該フィラメント状材料取り付け構造体および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体を該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
【請求項11】
前記フィラメント状材料取り付け構造体が、第一のフィルムをさらに備え、該第一のフィルムに、前記少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エンドエフェクタの前記第一の部材がステープルカートリッジアセンブリである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記エンドエフェクタの前記第二の部材が、前記ステープルカートリッジアセンブリに作動可能に関連するアンビルアセンブリである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第二のフィルムを提供する工程;および
該第二のフィルムを、前記エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程、
をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記移植片材料の中心部分への外科手術用ファスナーの配置を容易にするために、該移植片材料を整列させる工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記移植片材料を提供する工程が、外科手術用手順において使用するために、該移植片材料を選択することおよび調製することのうちの少なくとも一方を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記移植片材料が軟部組織移植片である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記移植片材料が、患者、ドナー、およびヒト以外の種のうちの少なくとも1つから採取された生物学的組織を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
外科手術用デバイスのエンドエフェクタを使用して移植片材料にフィラメント状材料を取り付ける方法であって、
少なくとも1つのフィラメント状材料が取り付けられたフィラメント状材料取り付け構造体を製造する工程;
移植片材料を提供する工程;
該フィラメント状材料取り付け構造体を、該エンドエフェクタの第一の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
生体適合性フィルムを提供する工程;
該生体適合性フィルムを、該エンドエフェクタの第二の部材の組織接触表面に隣接させて配置する工程;
該移植片材料を、該生体適合性フィルムと該フィラメント状材料取り付け構造体との間に配置する工程;
該第一の部材を該第二の部材に対して移動させる工程;ならびに
該エンドエフェクタを使用して、機械的外科手術用ファスナーを、該フィラメント状材料取り付け構造体、該生体適合性フィルム、および該移植片材料に埋め込む工程であって、これによって、該フィラメント状材料取り付け構造体および該生体適合性フィルムを該移植片材料に固定する、工程、
を包含する、方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−227550(P2010−227550A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43537(P2010−43537)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
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