転倒防止具付容器
【課題】容器に係る転倒を、簡便にかつ低コストで効果的に防止するための構成を創出すること。
【解決手段】筒状の胴部の上端を開口し、下端部に接地部となる底部６を連設した合成樹脂製の容器本体を有する容器において、容器を構成する部材の一部を利用して平板状片８ａを切り離し可能に配設し、使用時には切り離し後の平板状片８ａを、この平板状片８ａの一端を底壁６ａの外側面に嵌合状に固定し、他端を底部６の底壁６ａの外周縁から外方に水平状に突出させた状態とし、平板状片８ａに転倒防止具としての機能を発揮せしめる構成とする。
【解決手段】筒状の胴部の上端を開口し、下端部に接地部となる底部６を連設した合成樹脂製の容器本体を有する容器において、容器を構成する部材の一部を利用して平板状片８ａを切り離し可能に配設し、使用時には切り離し後の平板状片８ａを、この平板状片８ａの一端を底壁６ａの外側面に嵌合状に固定し、他端を底部６の底壁６ａの外周縁から外方に水平状に突出させた状態とし、平板状片８ａに転倒防止具としての機能を発揮せしめる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は底部に転倒防止具を配設することができるようにした容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、除湿剤容器に係る考案が記載されている。この種の除湿剤容器の基本的な構成は、合成樹脂製のカップ状の容器本体内の略中央高さ位置に多くの小孔を貫通形成した仕切り板あるいは中皿を配設し、この仕切り板等の上に、塩化カルシウムあるいは塩化マグネシム等の顆粒状の潮解性薬剤を載置し、この潮解性薬剤により空気中の水分が吸収され、水分により潮解して液状となって、小孔より容器本体の底部に落下して貯留されると云うものである。
また、容器本体の上端開口部は、空気の通路となる通気孔を適宜に配設した蓋部で覆う場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】実開平６−６４７１２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ここで、上記のような除湿剤容器は室内、下駄箱、押入れ等に収納して使用されるが、邪魔にならないように細身の容器本体を使用することが多いこと、カップ状の容器本体の成形性や仕切り板等の容器本体内への設置操作性の観点から容器本体の上端開口部から底部にかけてテーパー状に縮径して上端部に比較して底部の底面積を比較的小さくしていること、仕切り板等の上に潮解性薬剤を保持するために重心が高いこと等の原因が相俟って、容器が転倒し易く、さらには水溶液が流出してしまうと云う問題がある。
【０００５】
そこで、本発明は、上記したような容器に係る転倒を、簡便にかつ低コストで効果的に防止するための構成を創出することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記技術的課題を解決する手段のうち、本発明の主たる手段は、
筒状の胴部の上端を開口し、下端部に接地部となる底部を連設した合成樹脂製の容器本体を有する容器において、
容器を構成する部材の一部を利用して平板状片を切り離し可能に配設し、
使用時には切り離し後の平板状片を、この平板状片の一端を底壁の外側面に嵌合状に固定し、他端を底部の底壁の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とし、平板状片に転倒防止具としての機能を発揮せしめる構成とする、と云うものである。
【０００７】
上記構成の転倒防止具付きの容器にあっては、一端を底壁の外側面に嵌合状に固定し、他端を底部の底壁の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とした平板状片により、底壁の接地領域を大きく広げることができ、転倒防止具としての機能を十分に発揮させることが可能となる。
【０００８】
そして、この平板状片は、容器本体を含む、容器を構成する部材の一部を利用して切り離し可能に配設されたものであり、部材の一部として一体成形することが可能であり、別途転倒防止具を作成する工程、商品に添付する工程を省くことができ、全体として低コストとすることができる。
また、使用時には平板状片を部材から切り離して容器本体の底壁に嵌合状に固定すると云う簡便な操作で転倒防止具としての機能を十分に発揮させることができる。
【０００９】
ここで、容器を構成する部材としては、容器本体、蓋材、外装材等がある。
また、平板状片の配設個数は転倒防止具としての機能の他に、製造コスト、切り離し性や底部への嵌合の手間等を考慮し１ケであってもよいし、複数の平板状片を例えば容器の軸対称の位置に配設したりすることもできる。
【００１０】
本発明の他の構成は、上記主たる構成において、平板状片の形状を矩形状とし、底壁の外側面にこの底壁の外周縁を横断する溝状の嵌合凹部を形成し、平板状片の一端をこの嵌合凹部に嵌入する構成とする、と云うものである。
【００１１】
上記構成は、平板状片の形状、及び平板状片を底壁へ嵌合状に固定するための具体的な構成に係るものである。
【００１２】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、容器本体を上端開口部に外鍔状にフランジを配設したカップ状容器とし、このフランジの一部に弱化部を介して平板状片を切断可能に一体延設すると云うものである。
【００１３】
上記構成は、容器本体であるカップ状の容器のフランジに、弱化部を介して平板状片を一体延設するものである。
カップ状容器は、熱成形や射出成形等で成形されるが、フランジは元々、水平、平板状に成形される部位であり、金型構造の点からも、また薄肉状に形成される弱化部も含めた成形性の点でも容易に、低コストで平板状片を一体成形することができる。
【００１４】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、容器本体をカップ状容器とし、この容器本体の開口部を覆う蓋材として厚紙片を使用するものとし、この厚紙片の端部にミシン目を介して平板状片を切断可能に一体延設する、と云うものである。
【００１５】
前述した除湿剤容器や脱臭剤容器等では、容器本体の上端の開口部をシールするシール部材を外した後に、厚紙片で形成した蓋材で、適宜に隙間を空けて通気可能に、開口部を覆うようにして使用する場合が多いが、上記構成は、この蓋材となる厚紙片の端部にミシン目を介して平板状片を切断可能に一体延設するものであり、全体として低コストで平板状片を一体延設することができる。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は上記した構成であり、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成を有する転倒防止具付容器にあっては、一端を底壁の外側面に嵌合状に固定し、他端を底部の底壁の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とした平板状片により、底壁の接地領域を大きく広げて転倒防止具としての機能を十分に発揮させることができる。
【００１７】
また、平板状片は容器本体を含む、容器を構成する部材の一部を利用して切り離し可能に配設されるものであり、部材の一部として一体成形でき、別途転倒防止具を作成する工程、商品に添付する工程を省くことができ、全体としての低コストとすることができる。
また、使用時には平板状片を部材から切り離して容器本体の底壁に嵌合状に固定すると云う簡便な操作で転倒防止具としての機能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明の容器の第１実施例の半縦断正面図である。
【図２】図１の容器の半縦断側面図である。
【図３】図１の容器の底面図である。
【図４】本発明の容器の第２実施例の容器を３ケ、連結状にパッキングした例を示す斜視図である。
【図５】図４中の蓋材の展開図である。
【図６】図４中の個々の容器の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
以下、本発明の実施の形態を実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
図１〜３は本発明の転倒防止具付容器の第１実施例で、図１は半縦断正面図、図２は半縦断側面図、図３は底面図である。
この容器は除湿剤容器で、熱成形による合成樹脂製のカップ状容器である容器本体１と、厚紙片からなり通気孔１６を形成した蓋材１５と、支持部１３により容器本体１の内部の略中央高さ位置に配設される多数の小孔１２を形成した仕切り板１１から構成されており、仕切り板１１の上には潮解性薬剤Ｓである顆粒状のシリカゲルが収納されている。
【００２０】
カップ状の容器本体１は矩形筒状の胴部５と底部６を有し、上端開口部２には外鍔状にフランジ３が周設されている。また前後に位置するフランジ３部分には、薄肉に形成した弱化部８ｗを介して矩形状の平板状片８ａが一体延設されている。
この平板状片８ａは成形時には図２、３中、符号８ａ１で示されるようにフランジ３と面一状に水平な姿勢で一体成形され、パーケジングの際には符号８ａ２で示されるように下方に折り曲げて（図２中の白抜き矢印参照）使用される。
【００２１】
ここで、図１〜３は、除湿剤容器として使用を開始した状態で、容器本体１の開口部２を密閉するためにフランジ３に貼着されているアルミラミネートフィルム等のシール部材（図示省略）を剥がし、その後、このシール部材の外装材として使用していた厚紙製の蓋材１５で開口部２を覆った状態を示している。
【００２２】
そして、使用を開始する際には平板状片８ａをフランジ３から弱化部８ｗにより切り離し、底部６の底壁６ａに嵌合状に固定して転倒防止具としての機能を発揮させるようにして使用する。
本実施例では、平板状片８ａの一端を底部６の底壁６ａの外側面に、底壁６ａの外周縁を横断するように形成した溝状の嵌合凹部７に嵌入、固定し、他端を
底部６の底壁６ａの外周縁から外方に水平状に突出させた状態としている。
【００２３】
図２の側面図には容器本体１の前後に、一対の平板状片８ａを底壁６ａに嵌合状に固定した状態が示されているが、このように平板状片８ａを転倒防止具として使用することにより、容器の転倒を効果的に防止することができる。
【００２４】
そして、このような構成の除湿剤容器では、蓋材１５の通気孔１６を通って容器本体１内に進入した空気中の水分が潮解性薬剤Ｓ（シリカゲル）により吸収され、この潮解性薬剤Ｓが水分により潮解して液状となって、小孔１２よりの底部５に落下して貯留される。
【００２５】
ここで、本実施例の容器本体１は熱成形によるカップ状容器であるが、平板状片８ａは、フランジ３を水平、平板状に延設して成形することができ、金型構造の点からも、また薄肉状に形成される弱化部も含めた成形性の点からも、容易に、低コストで一体成形することができる。
さらに熱成形の場合、通常、フランジ３の外側には金型からはみだした余分な溶融樹脂、所謂、バリが発生するが、このようにはみだしたバリを平板状片８ａを成形するのに利用することもでき、この点からも低コストで提供することが可能である。勿論、このような平板状片８ａを有するカップ状の容器は、熱成形だけではなく射出成形によっても成形することができる。
【００２６】
なお、図１の正面図は平板状片８ａの切り離し前の状態を示しており、図３の底面図の上部には平板状片８ａの切り離し前の状態を、下部には平板状片８ａを切り離して底部６ａの嵌合凹部７に嵌入した状態を示している。また図３では分かりやすいように、底壁６ａの嵌合凹部７に嵌入した状態の平板状片８ａを黒で塗り潰して示している。
【００２７】
次に、図４〜６は本発明の転倒防止具付容器の第２実施例を説明するためのもので、図４は容器を３ケ、連結状にパッキングした例を示す斜視図、図５は図４中の厚紙片２１ｐの展開図、図６は図４中の個々の容器の底面図である。
除湿剤容器は図４に示されるように複数の容器を上方から外装する厚紙片２１ｐにより連結状にパッキングして販売されることが多い。
【００２８】
図５は図４中の厚紙片２１ｐを平面状にした展開図で、ミシン目２２、折目線２３、スリット２４、そして通気孔２５が形成されている。図５中、この厚紙片２１ｐの下端部にはミシン目２２により切り離し可能に２ケの平板状片８ｂが延設されている。
すなわ、本第２実施例は第１実施例の容器本体１のフランジ３に切り離し可能に一体延設される平板状片８ｂの替わりに、この厚紙片２１ｐに一体延設される平板状片８ｂを転倒防止具として利用するものである。
【００２９】
図６の底面図の上部には平板状片８ｂの嵌入前の状態を、下部には平板状片８ｂを切り離して底部６ａの嵌合凹部７に嵌入した状態を示している。また、厚紙片２１ｐは個々の除湿剤容器では蓋材２１として使用されている。
そして、厚紙片２１ｐの一部にミシン目２２により切り離し可能に平板状片８ｂを一体延設する構成とすることにより、全体として低コストで転倒防止具を付設することができる。
【００３０】
以上、実施例に沿って本願発明の実施形態とその作用効果について説明したが、本願発明はこれら実施例に限定されるものではない。
上記実施例では、容器として除湿剤容器の例について説明したが、除湿剤容器に限らず、底部に向けて縮径した容器、収納物の収納位置により重心が高くなる容器、内部に液体成分を収納した容器等、転倒しやすい、あるいは転倒すると液漏れが発生する容器等に効果的に使用することができる。
【００３１】
また、上記実施例では容器の前後に一対の矩形状の平板状片を配設する例を示したが、この平板状片の配設箇所及び配設数、さらには平板状片の形状は使用目的に応じて適宜選択できるものである。
また、平板状片を容器本体のフランジ、蓋材となる厚紙片に一体延設する例を説明したが、この他にも成形性、切り離し性、コスト、そして商品のパッキング性等を考慮して容器を構成する外装材等、他の部材や他の部位に一体連接することもできる。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
以上説明したように本発明の転倒防止具付容器は、部材に一体延設した平板状片により、簡便にかつ低コストで転倒防止具としての機能を発揮させるものであり、重心が高く、液状成分を収納する除湿剤容器等の分野で幅広い使用展開が期待される。
【符号の説明】
【００３３】
１ ；容器本体
２ ；開口部
３ ；フランジ
５ ；胴部
６ ；底部
６ａ；底壁
７ ；嵌合凹部
８ａ、８ｂ；平板状片
９ ；弱化部
１１；仕切り板
１２；小孔
１３；支持部
１５；蓋材
１６；通気孔
２１；蓋材
２１ｐ；厚紙片
２２；ミシン目
２３；折目線
２４；スリット
２５；通気孔
Ｓ ；潮解性薬剤
【技術分野】
【０００１】
本発明は底部に転倒防止具を配設することができるようにした容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、除湿剤容器に係る考案が記載されている。この種の除湿剤容器の基本的な構成は、合成樹脂製のカップ状の容器本体内の略中央高さ位置に多くの小孔を貫通形成した仕切り板あるいは中皿を配設し、この仕切り板等の上に、塩化カルシウムあるいは塩化マグネシム等の顆粒状の潮解性薬剤を載置し、この潮解性薬剤により空気中の水分が吸収され、水分により潮解して液状となって、小孔より容器本体の底部に落下して貯留されると云うものである。
また、容器本体の上端開口部は、空気の通路となる通気孔を適宜に配設した蓋部で覆う場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】実開平６−６４７１２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ここで、上記のような除湿剤容器は室内、下駄箱、押入れ等に収納して使用されるが、邪魔にならないように細身の容器本体を使用することが多いこと、カップ状の容器本体の成形性や仕切り板等の容器本体内への設置操作性の観点から容器本体の上端開口部から底部にかけてテーパー状に縮径して上端部に比較して底部の底面積を比較的小さくしていること、仕切り板等の上に潮解性薬剤を保持するために重心が高いこと等の原因が相俟って、容器が転倒し易く、さらには水溶液が流出してしまうと云う問題がある。
【０００５】
そこで、本発明は、上記したような容器に係る転倒を、簡便にかつ低コストで効果的に防止するための構成を創出することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記技術的課題を解決する手段のうち、本発明の主たる手段は、
筒状の胴部の上端を開口し、下端部に接地部となる底部を連設した合成樹脂製の容器本体を有する容器において、
容器を構成する部材の一部を利用して平板状片を切り離し可能に配設し、
使用時には切り離し後の平板状片を、この平板状片の一端を底壁の外側面に嵌合状に固定し、他端を底部の底壁の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とし、平板状片に転倒防止具としての機能を発揮せしめる構成とする、と云うものである。
【０００７】
上記構成の転倒防止具付きの容器にあっては、一端を底壁の外側面に嵌合状に固定し、他端を底部の底壁の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とした平板状片により、底壁の接地領域を大きく広げることができ、転倒防止具としての機能を十分に発揮させることが可能となる。
【０００８】
そして、この平板状片は、容器本体を含む、容器を構成する部材の一部を利用して切り離し可能に配設されたものであり、部材の一部として一体成形することが可能であり、別途転倒防止具を作成する工程、商品に添付する工程を省くことができ、全体として低コストとすることができる。
また、使用時には平板状片を部材から切り離して容器本体の底壁に嵌合状に固定すると云う簡便な操作で転倒防止具としての機能を十分に発揮させることができる。
【０００９】
ここで、容器を構成する部材としては、容器本体、蓋材、外装材等がある。
また、平板状片の配設個数は転倒防止具としての機能の他に、製造コスト、切り離し性や底部への嵌合の手間等を考慮し１ケであってもよいし、複数の平板状片を例えば容器の軸対称の位置に配設したりすることもできる。
【００１０】
本発明の他の構成は、上記主たる構成において、平板状片の形状を矩形状とし、底壁の外側面にこの底壁の外周縁を横断する溝状の嵌合凹部を形成し、平板状片の一端をこの嵌合凹部に嵌入する構成とする、と云うものである。
【００１１】
上記構成は、平板状片の形状、及び平板状片を底壁へ嵌合状に固定するための具体的な構成に係るものである。
【００１２】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、容器本体を上端開口部に外鍔状にフランジを配設したカップ状容器とし、このフランジの一部に弱化部を介して平板状片を切断可能に一体延設すると云うものである。
【００１３】
上記構成は、容器本体であるカップ状の容器のフランジに、弱化部を介して平板状片を一体延設するものである。
カップ状容器は、熱成形や射出成形等で成形されるが、フランジは元々、水平、平板状に成形される部位であり、金型構造の点からも、また薄肉状に形成される弱化部も含めた成形性の点でも容易に、低コストで平板状片を一体成形することができる。
【００１４】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、容器本体をカップ状容器とし、この容器本体の開口部を覆う蓋材として厚紙片を使用するものとし、この厚紙片の端部にミシン目を介して平板状片を切断可能に一体延設する、と云うものである。
【００１５】
前述した除湿剤容器や脱臭剤容器等では、容器本体の上端の開口部をシールするシール部材を外した後に、厚紙片で形成した蓋材で、適宜に隙間を空けて通気可能に、開口部を覆うようにして使用する場合が多いが、上記構成は、この蓋材となる厚紙片の端部にミシン目を介して平板状片を切断可能に一体延設するものであり、全体として低コストで平板状片を一体延設することができる。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は上記した構成であり、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成を有する転倒防止具付容器にあっては、一端を底壁の外側面に嵌合状に固定し、他端を底部の底壁の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とした平板状片により、底壁の接地領域を大きく広げて転倒防止具としての機能を十分に発揮させることができる。
【００１７】
また、平板状片は容器本体を含む、容器を構成する部材の一部を利用して切り離し可能に配設されるものであり、部材の一部として一体成形でき、別途転倒防止具を作成する工程、商品に添付する工程を省くことができ、全体としての低コストとすることができる。
また、使用時には平板状片を部材から切り離して容器本体の底壁に嵌合状に固定すると云う簡便な操作で転倒防止具としての機能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明の容器の第１実施例の半縦断正面図である。
【図２】図１の容器の半縦断側面図である。
【図３】図１の容器の底面図である。
【図４】本発明の容器の第２実施例の容器を３ケ、連結状にパッキングした例を示す斜視図である。
【図５】図４中の蓋材の展開図である。
【図６】図４中の個々の容器の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
以下、本発明の実施の形態を実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
図１〜３は本発明の転倒防止具付容器の第１実施例で、図１は半縦断正面図、図２は半縦断側面図、図３は底面図である。
この容器は除湿剤容器で、熱成形による合成樹脂製のカップ状容器である容器本体１と、厚紙片からなり通気孔１６を形成した蓋材１５と、支持部１３により容器本体１の内部の略中央高さ位置に配設される多数の小孔１２を形成した仕切り板１１から構成されており、仕切り板１１の上には潮解性薬剤Ｓである顆粒状のシリカゲルが収納されている。
【００２０】
カップ状の容器本体１は矩形筒状の胴部５と底部６を有し、上端開口部２には外鍔状にフランジ３が周設されている。また前後に位置するフランジ３部分には、薄肉に形成した弱化部８ｗを介して矩形状の平板状片８ａが一体延設されている。
この平板状片８ａは成形時には図２、３中、符号８ａ１で示されるようにフランジ３と面一状に水平な姿勢で一体成形され、パーケジングの際には符号８ａ２で示されるように下方に折り曲げて（図２中の白抜き矢印参照）使用される。
【００２１】
ここで、図１〜３は、除湿剤容器として使用を開始した状態で、容器本体１の開口部２を密閉するためにフランジ３に貼着されているアルミラミネートフィルム等のシール部材（図示省略）を剥がし、その後、このシール部材の外装材として使用していた厚紙製の蓋材１５で開口部２を覆った状態を示している。
【００２２】
そして、使用を開始する際には平板状片８ａをフランジ３から弱化部８ｗにより切り離し、底部６の底壁６ａに嵌合状に固定して転倒防止具としての機能を発揮させるようにして使用する。
本実施例では、平板状片８ａの一端を底部６の底壁６ａの外側面に、底壁６ａの外周縁を横断するように形成した溝状の嵌合凹部７に嵌入、固定し、他端を
底部６の底壁６ａの外周縁から外方に水平状に突出させた状態としている。
【００２３】
図２の側面図には容器本体１の前後に、一対の平板状片８ａを底壁６ａに嵌合状に固定した状態が示されているが、このように平板状片８ａを転倒防止具として使用することにより、容器の転倒を効果的に防止することができる。
【００２４】
そして、このような構成の除湿剤容器では、蓋材１５の通気孔１６を通って容器本体１内に進入した空気中の水分が潮解性薬剤Ｓ（シリカゲル）により吸収され、この潮解性薬剤Ｓが水分により潮解して液状となって、小孔１２よりの底部５に落下して貯留される。
【００２５】
ここで、本実施例の容器本体１は熱成形によるカップ状容器であるが、平板状片８ａは、フランジ３を水平、平板状に延設して成形することができ、金型構造の点からも、また薄肉状に形成される弱化部も含めた成形性の点からも、容易に、低コストで一体成形することができる。
さらに熱成形の場合、通常、フランジ３の外側には金型からはみだした余分な溶融樹脂、所謂、バリが発生するが、このようにはみだしたバリを平板状片８ａを成形するのに利用することもでき、この点からも低コストで提供することが可能である。勿論、このような平板状片８ａを有するカップ状の容器は、熱成形だけではなく射出成形によっても成形することができる。
【００２６】
なお、図１の正面図は平板状片８ａの切り離し前の状態を示しており、図３の底面図の上部には平板状片８ａの切り離し前の状態を、下部には平板状片８ａを切り離して底部６ａの嵌合凹部７に嵌入した状態を示している。また図３では分かりやすいように、底壁６ａの嵌合凹部７に嵌入した状態の平板状片８ａを黒で塗り潰して示している。
【００２７】
次に、図４〜６は本発明の転倒防止具付容器の第２実施例を説明するためのもので、図４は容器を３ケ、連結状にパッキングした例を示す斜視図、図５は図４中の厚紙片２１ｐの展開図、図６は図４中の個々の容器の底面図である。
除湿剤容器は図４に示されるように複数の容器を上方から外装する厚紙片２１ｐにより連結状にパッキングして販売されることが多い。
【００２８】
図５は図４中の厚紙片２１ｐを平面状にした展開図で、ミシン目２２、折目線２３、スリット２４、そして通気孔２５が形成されている。図５中、この厚紙片２１ｐの下端部にはミシン目２２により切り離し可能に２ケの平板状片８ｂが延設されている。
すなわ、本第２実施例は第１実施例の容器本体１のフランジ３に切り離し可能に一体延設される平板状片８ｂの替わりに、この厚紙片２１ｐに一体延設される平板状片８ｂを転倒防止具として利用するものである。
【００２９】
図６の底面図の上部には平板状片８ｂの嵌入前の状態を、下部には平板状片８ｂを切り離して底部６ａの嵌合凹部７に嵌入した状態を示している。また、厚紙片２１ｐは個々の除湿剤容器では蓋材２１として使用されている。
そして、厚紙片２１ｐの一部にミシン目２２により切り離し可能に平板状片８ｂを一体延設する構成とすることにより、全体として低コストで転倒防止具を付設することができる。
【００３０】
以上、実施例に沿って本願発明の実施形態とその作用効果について説明したが、本願発明はこれら実施例に限定されるものではない。
上記実施例では、容器として除湿剤容器の例について説明したが、除湿剤容器に限らず、底部に向けて縮径した容器、収納物の収納位置により重心が高くなる容器、内部に液体成分を収納した容器等、転倒しやすい、あるいは転倒すると液漏れが発生する容器等に効果的に使用することができる。
【００３１】
また、上記実施例では容器の前後に一対の矩形状の平板状片を配設する例を示したが、この平板状片の配設箇所及び配設数、さらには平板状片の形状は使用目的に応じて適宜選択できるものである。
また、平板状片を容器本体のフランジ、蓋材となる厚紙片に一体延設する例を説明したが、この他にも成形性、切り離し性、コスト、そして商品のパッキング性等を考慮して容器を構成する外装材等、他の部材や他の部位に一体連接することもできる。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
以上説明したように本発明の転倒防止具付容器は、部材に一体延設した平板状片により、簡便にかつ低コストで転倒防止具としての機能を発揮させるものであり、重心が高く、液状成分を収納する除湿剤容器等の分野で幅広い使用展開が期待される。
【符号の説明】
【００３３】
１ ；容器本体
２ ；開口部
３ ；フランジ
５ ；胴部
６ ；底部
６ａ；底壁
７ ；嵌合凹部
８ａ、８ｂ；平板状片
９ ；弱化部
１１；仕切り板
１２；小孔
１３；支持部
１５；蓋材
１６；通気孔
２１；蓋材
２１ｐ；厚紙片
２２；ミシン目
２３；折目線
２４；スリット
２５；通気孔
Ｓ ；潮解性薬剤
【特許請求の範囲】
【請求項１】
筒状の胴部(5)の上端を開口し、下端部に接地部となる底部(6)を連設した合成樹脂製の容器本体(1)を有する容器であって、前記容器を構成する部材の一部を利用して平板状片を切り離し可能に配設し、使用時には切り離し後の前記平板状片を、該平板状片の一端を前記底壁(6a)の外側面に嵌合状に固定し、他端を前記底部(6)の底壁(6a)の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とし、前記平板状片に転倒防止具としての機能を発揮せしめる構成としたことを特徴とする転倒防止具付容器。
【請求項２】
平板状片の形状を矩形状とし、底壁(6a)の外側面に該底壁(6a)の外周縁を横断する溝状の嵌合凹部(7)を形成し、前記平板状片の一端を前記嵌合凹部(7)に嵌入する構成とした請求項１記載の転倒防止具付容器。
【請求項３】
容器本体(1)を上端開口部(2)に外鍔状にフランジ(3)を配設したカップ状容器とし、該フランジ(3)の一部に弱化部(9)を介して平板状片(8a)を切断可能に一体延設した請求項１または２記載の転倒防止具付容器。
【請求項４】
容器本体(1)をカップ状容器とし、該容器本体(1)の上端の開口部を覆う蓋材(21)として厚紙片(21p)を使用するものとし、該厚紙片(21p)の端部にミシン目(22)を介して平板状片(8b)を切り離し可能に一体延設した請求項１または２記載の転倒防止具付容器。
【請求項１】
筒状の胴部(5)の上端を開口し、下端部に接地部となる底部(6)を連設した合成樹脂製の容器本体(1)を有する容器であって、前記容器を構成する部材の一部を利用して平板状片を切り離し可能に配設し、使用時には切り離し後の前記平板状片を、該平板状片の一端を前記底壁(6a)の外側面に嵌合状に固定し、他端を前記底部(6)の底壁(6a)の外周縁から外方に水平状に突出させた状態とし、前記平板状片に転倒防止具としての機能を発揮せしめる構成としたことを特徴とする転倒防止具付容器。
【請求項２】
平板状片の形状を矩形状とし、底壁(6a)の外側面に該底壁(6a)の外周縁を横断する溝状の嵌合凹部(7)を形成し、前記平板状片の一端を前記嵌合凹部(7)に嵌入する構成とした請求項１記載の転倒防止具付容器。
【請求項３】
容器本体(1)を上端開口部(2)に外鍔状にフランジ(3)を配設したカップ状容器とし、該フランジ(3)の一部に弱化部(9)を介して平板状片(8a)を切断可能に一体延設した請求項１または２記載の転倒防止具付容器。
【請求項４】
容器本体(1)をカップ状容器とし、該容器本体(1)の上端の開口部を覆う蓋材(21)として厚紙片(21p)を使用するものとし、該厚紙片(21p)の端部にミシン目(22)を介して平板状片(8b)を切り離し可能に一体延設した請求項１または２記載の転倒防止具付容器。
【図１】
【図２】
【図４】
【図５】
【図３】
【図６】
【図２】
【図４】
【図５】
【図３】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−２４６１６６（Ｐ２０１１−２４６１６６Ａ）
【公開日】平成２３年１２月８日（２０１１．１２．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１２１５７８（Ｐ２０１０−１２１５７８）
【出願日】平成２２年５月２７日（２０１０．５．２７）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１２月８日（２０１１．１２．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年５月２７日（２０１０．５．２７）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
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