説明

転写シート、転写成形品の製造方法および転写成形品

【課題】 表面のハードコート層の厚みが均一で、高い耐擦傷性および表面硬度を備え、また、透明部でも耐候性に優れた転写成形品を得る。
【解決手段】 転写成形品形成用の転写シートが、基体シート上に転写層としてハードコート層と金属酸化物薄膜層とが全面的に形成された中間シート上に加飾層が部分的に積層形成されることによって、加飾層が形成されない透明部に金属酸化物薄膜層が形成された構成をとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材、自動車用内外装品、家電製品、携帯電話端末などのディスプレイ部分として使用でき、高い耐擦傷性および表面硬度を備え、耐候性に優れた転写成形品を製造するための転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高い耐擦傷性および表面硬度を有する樹脂板および樹脂成型品を得る方法として、図4に示すような転写シート101を用いる方法がある。転写シート101は、離型性を有する基体シート102の片面に転写層106として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるハードコート層103、加飾層104、接着層105が順次積層されたものである。この転写シート101を用いて転写成形品111を得る方法を簡単に説明する。まず、転写シート101を樹脂成形品108の表面に接着させる。そして、基体シート102を剥離して樹脂成形品108の表面に転写層106を転写することによって、最表面にハードコート層103を形成する。その後、この樹脂成形品108の表面に活性エネルギー線を照射してハードコート層103を硬化させることによって転写成形品111を形成することができる(図5(a)参照)。このように、ハードコート層103を硬化させるタイミングとして、転写シート101の作製時ではなく樹脂成形品108上にハードコート層103が転写された後に行なうようにすると(アフターキュア)、ハードコート層のクラックの発生を防ぐことができて好適である。
【0003】
【特許文献1】特開平10−58895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術においては、基体シート102にハードコート層103が形成され加飾層104が形成される前の状態であるシート(以下、中間シートという)がブロッキングを起こさないようにするため、ハードコート層103を加熱してハードコート層103の水酸基とイソシアネート基とで熱架橋反応をさせることが記載されている。ブロッキングとは基体シートの表面にコーティング層を形成した後に基体シートを巻き取ったとき、コーティング層が基体シートの裏面に接触・付着して基体シートの表面から剥離する現象である。アフターキュアタイプのハードコート層103は塗膜が完全硬化していないので柔らかく、加熱しないと高い頻度でブロッキングを起こしてしまう。
【0005】
しかし、ハードコート層を加熱して熱架橋反応させた中間シートは2〜3日の間はブロッキングが生じないものの、巻き取られた状態の中間シートを何日かの間保管すると、ハードコート層103の表面が経時変化してブロッキングが生じてしまい、ハードコート層の厚みが不均一となってしまう。その結果、ブロッキングが生じた中間シートから形成された転写シート101によって形成される転写成形品111は表面のハードコート層の厚みが不均一となってしまい、耐擦傷性および表面硬度に問題が生じてしまう。
【0006】
また、転写成形品111を水に濡れやすい環境で使用する場合、転写層106が樹脂成形品108から剥がれてしまうという耐候性の問題も生じていた(図5(b)参照)。この現象は特に加飾層104が形成されない透明部107で顕著であった。この理由は、透明部107では加飾層104が形成されていないため、加飾層104が形成された部分に比べ、ハードコート層103を通過して水分が容易に転写層106と転写成形品111との境界面に到達しやすい状態になってしまうからである。
【0007】
本発明は、表面のハードコート層の厚みが均一で高い耐擦傷性および表面硬度を備え、透明部でも転写層が樹脂成形品から剥離せず耐候性に優れた転写成形品を得るための転写シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するため、以下のような特徴を備える。
【0009】
本発明の転写成形品形成用の転写シートは、基体シート上に転写層としてハードコート層と金属酸化物薄膜層とが全面的に形成された中間シート上に加飾層が部分的に積層形成されることによって、加飾層が形成されない透明部に金属酸化物薄膜層が形成された構成である。
【0010】
また、上記の発明において、金属酸化物薄膜層の厚みが5〜500nmであってもよい。
【0011】
本発明の転写成形品の製造方法は、上記の発明の転写シートを、転写層が形成されていない基体シートの面が金型キャビティに面するように金型内に配置し、金型内に成形樹脂を流し込み、冷却固化後に基体シートを剥離することによって表面に転写層を有する樹脂成形品を得て、この樹脂成形品に活性エネルギー線を照射することによってハードコート層を硬化させる工程を備える。
【0012】
本発明の転写成形品は、樹脂成形品の表面に加飾層が部分的に形成され、さらに全面的に金属酸化物薄膜層とハードコート層とが積層形成されることによって、加飾層が形成されない透明部に金属酸化物薄膜層が形成された構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の転写シートの形成途中で形成される中間シートは、ハードコート層の表面に全面的に金属酸化物薄膜層が形成されているので、巻き取られた状態の中間シートを何日かの間保管してもブロッキングが生じない。したがって、本発明の転写シートで形成された転写成形品は表面のハードコート層の厚みが均一で、高い耐擦傷性および表面硬度を得ることができる。また、本発明の転写シートは全面的に金属酸化物薄膜層が形成されている。したがって、本発明の転写シートで形成された転写成形品は透明部でも水分が転写層と樹脂成形品との境界面に到達しないので転写層が樹脂成形品から剥がれず耐候性に優れたものとなる。
【0014】
また、本発明の転写シートによると、金属酸化物薄膜層の厚みが5〜500nmである。したがって、転写シートで形成された転写成形品の透明部を透明にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0016】
まず、本発明の転写シート1について説明する。
【0017】
転写シート1は、基体シート2上にハードコート層3と金属酸化物薄膜層4とが全面的に形成された中間シート10上に加飾層5が部分的に積層形成されることによって、加飾層5が形成されない透明部8に金属酸化物薄膜層4が形成されたものであり、通常は接着層6がさらに形成されるものである(図1参照)。ハートコート層3、金属酸化物薄膜層4、加飾層5、接着層6は転写層7として基体シート2から剥離する層である。
【0018】
基体シート2としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ビニロン樹脂、アセテート樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などのプラスチックシートを使用することができる。基体シート2の厚さとしては、10〜100μmのものを使用するとよい。基体シート2はそれ自体で剥離性を有するものを用いるとよい。また、より剥離性を安定させるために、離型層(図示せず)を形成してもよい。離型層は転写工程後に基体シート2とともに除去される層である。離型層の材質としては、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を用いるとよい。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0019】
ハードコート層3は、基体シート2を剥離した際に、基体シート2または離型層から剥離して被転写物の最外面となる層である。
【0020】
ハードコート層3は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなり、活性エネルギー線照射後に薬品や摩擦から樹脂成形品9や加飾層5を保護するための層である。本発明において活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の作製に用いるポリマーは、活性エネルギー線照射前後のハードコート層3の物理的・化学的要求性能を考慮して、特定の配合量とされる。すなわち、活性エネルギー線照射時の硬化性の点から、(メタ)アクリル当量100〜300g/eq、好ましくは150〜300g/eqとされる。(メタ)アクリル当量が300g/eqよりも大きい場合は、活性エネルギー線照射後の耐摩耗性が不十分であり、また100g/eq未満のものは得ることが難しい。また、併用する多官能イソシアネートとの反応性の点から、ポリマーの水酸基価は20〜500、好ましくは100〜300とされる。水酸基価が20未満の場合には、多官能イソシアネートとの反応が不十分であり、活性エネルギー線照射前のハードコート層3の架橋度が低い。そのため粘着性が残存したり、耐溶剤性が不足したりする。また、水酸基価が500を越えるものは得ることが難しい。ポリマーの重量平均分子量は、5000〜50000、好ましくは8000〜40000である。ポリマーの重量平均分子量が5000未満では活性エネルギー線照射前のハードコート層3の粘着性が残存したり、耐溶剤性が不足する。また、50000を越える場合には樹脂粘度が高くなりすぎ、インキの印刷作業性が低下する。
【0021】
また、ハードコート層3に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、多官能イソシアネートを含有する。多官能イソシアネートとしては、格別の限定はなく、公知の各種材料を使用できる。たとえば、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニールメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、上記の3量体、多価アルコールと上記ジイソシアネートを反応させたプレポリマーなどを用いることができる。
【0022】
また、ハードコート層3に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ポリマーと多官能イソシアネート以外に、必要に応じて以下のような成分を含有することができる。たとえば、反応性希釈モノマー、溶剤、着色剤などである。また、活性エネルギー線照射に際して電子線を用いる場合には、光重合開始剤を用いることなく充分架橋硬化を発揮することができるが、紫外線を用いる場合には、公知各種の光重合開始剤を添加する必要がある。
【0023】
ハードコート層3の形成方法としては、グラビア印刷法などの印刷法があるが、5μm程の比較的厚い膜を形成するために、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を用いるのが好ましい。
【0024】
ハードコート層3は、基体シート2上への塗膜形成および巻き取り段階においては、活性エネルギー線は照射せず硬化反応させないままで留めておき、樹脂成型品9への転写後に活性エネルギー線を照射し硬化反応させるアフターキュアタイプである。また、ポリマーの水酸基と多官能イソシアネートとのウレタン硬化反応には一定の熱量が必要であるためハードコート層3の塗工後巻取り前に百数十度の熱処理をかけて熱架橋反応をさせる。
【0025】
金属酸化物薄膜層4は酸化アルミ、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物で形成される薄膜層であり、ハードコート層3上に全面的に形成されるものである。金属酸化物薄膜層4はハードコート層3の形成直後、遅くとも2〜3日以内に形成することによって、中間シート10を形成するのが好ましい。このようにすると巻き取られた状態の中間シート10を何日か保管してもブロッキングが生じないようにすることができる。したがって、本発明の転写シートで形成された転写成形品は表面のハードコート層が均一で高い耐擦傷性および表面硬度を備えることができる。
【0026】
金属酸化物薄膜層4はブロッキング防止の機能とともに水分透過防止の機能も持つ。したがって、転写シート1を用いて形成される後述の転写成形品11(図2参照)は、加飾層5が形成されない透明部8にも金属酸化物薄膜層4が形成されていて水に濡れやすい環境で使用しても水分が転写層7と樹脂成形品9との境界面に達することがないので、転写層7が樹脂成形品9から剥がれることのない耐候性を備えることができる。
【0027】
金属酸化物薄膜層4は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより形成できる。厚みは5〜500nmに形成するのがよい。この程度の厚みであれば、透明部8の透明性を損なうことはない。
【0028】
加飾層5の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。加飾層5の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。加飾層5の厚さとしては、1〜30μmが好ましい。加飾層5は着色インキに限らず、金属蒸着層等を形成して金属光沢のある意匠表現をする場合もある。金属蒸着層の材質としては、アルミ、クロム、銅、スズなどを用いる。金属蒸着層の形成は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いればよい。
【0029】
加飾層5を部分的に形成することによって、加飾層5が形成されない透明部8が形成される。金属酸化物薄膜層4は全面的に形成されるので透明部8にも金属酸化物薄膜層が形成されることになる。
【0030】
また、接着層6を必要に応じて形成してもよい。接着層6は、転写シート1を樹脂成形品9に接着させるための層である。樹脂成形品9の材質がポリアクリル系樹脂の場合は、接着層6の材質としてポリアクリル系樹脂を用いるとよい。また、樹脂成形品9の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを、接着層6の材質として使用すればよい。接着層6の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコーティングや、グラビア印刷、スクリーン印刷法などを用いるとよい。接着層6の乾燥膜厚は、1〜5μmとするのが一般的である。
【0031】
次に、転写シート1を使用して転写成形品11を製造する方法について説明する。
【0032】
転写成形品11を形成するための樹脂成形品9に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の熱可塑性樹脂がいずれも使用できる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上を混合して使用することも可能である。
【0033】
成形同時転写法によって、転写シート1から、樹脂成形品9上へ転写層7を転写する転写工程は次のようにして行う(図3参照)。まず、可動型と固定型とからなる成形用金型31内に転写シート1を転写層7が形成されていない面が金型キャビティに面するように送り込む。その際、枚葉の転写シート1を1枚ずつ送り込んでもよいし、長尺の転写シート1の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。転写シート1の金型内の配置は、長尺の転写シート1を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写シート1と成形用金型31との見当が一致するようにするとよい。また、転写シート1を間欠的に送り込む際に、転写シート1の位置をセンサーで検出した後に転写シート1を可動型と固定型とで固定するようにしてもよい。成形用金型31を閉じた後、ゲートから成形樹脂32を金型内に射出充填させた後に冷却固化して樹脂成形品9を形成するのと同時にその面に転写シート1を接着させる(図3(a)参照)。樹脂成形品9を冷却した後、成形用金型31を開いて樹脂成形品9を取り出す。最後に、基体シート2を剥がすと、転写層7が樹脂成形品9の表面に転写され、転写工程が完了する(図3(b)参照)。こうして表面に転写層7を有する樹脂成形品9が形成される。
【0034】
転写層7を有する樹脂成形品9の表面に、活性エネルギー線を照射することによって、ハードコート層3が硬化した転写成形品11が形成される(図2参照)。この転写成形品11は、樹脂成形品9の表面に加飾層5が部分的に形成され、さらに全面的に金属酸化物薄膜層4とハードコート層3とが積層形成されることによって、加飾層5が形成されない透明部8に金属酸化物薄膜層4が形成されたものである。
【実施例1】
【0035】
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基体シート2とし、グリシジルメタアクリレートを主成分とするポリマーとイソホロンジイソシアネートと光重合開始剤とを含む紫外線線硬化型インキでグラビア印刷によって5μmの厚みにハードコート層3を全面的に形成した。ハードコート層3には形成直後に熱処理をかけて熱架橋反応を行った。次いで、ハードコート層3を形成した翌日に金属酸化物薄膜層4として真空蒸着法により厚み約300nmの酸化アルミ薄膜を全面的に形成して加飾層5が形成される前の状態である中間シート10を形成した。この中間シート10は1週間ほど巻き取られた状態で保管してもブロッキングが起こらなかった。
【0036】
この中間シート10に対し、加飾層5、接着層6を順次グラビア印刷法により形成することによって、転写層7としてハードコート層3、金属酸化物薄膜層4、加飾層5および接着層6が積層された転写シート1を得た。ここで、加飾層5はアクリル系インキ、接着層6は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系インキとした。転写シート1は加飾層5が部分的に形成され、加飾層5が形成されない透明部8にも金属酸化物薄膜層4が形成されたものであった。
【0037】
このように形成された転写シート1を転写層7が形成されていない面が金型キャビティに面するように成形用金型31内に配置し、型締めした後、金型内に成形樹脂32を流し込み、冷却固化して得られた樹脂成形品9から基体シート2を剥離することによって、表面に転写層7を有する樹脂成形品9を得た。この樹脂成形品9に紫外線を照射することによってハードコート層3が硬化した転写成形品11を得た。
【0038】
このようにして得られた転写成形品11は、樹脂成形品9の表面に加飾層5が部分的に形成され、さらに全面的に金属酸化物薄膜層4とハードコート層3とが積層形成されることによって、加飾層5が形成されない透明部8に金属酸化物薄膜層4が形成されたものである。この転写成形品11は表面のハードコート層3の厚みが均一で高い耐擦傷性および表面硬度を備え、水に濡れやすい環境で使用しても透明部8でも転写層7が樹脂成形品9から剥離せず耐候性に優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の転写シートの製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の転写成形品を示す断面図である。
【図3】成形同時転写法により樹脂成形品の表面に転写層を設ける一工程を示す断面図である。
【図4】従来の転写シートを示す断面図である。
【図5】従来の転写成形品を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 転写シート
2 基体シート
3 ハードコート層
4 金属酸化物薄膜層
5 加飾層
6 接着層
7 転写層
8 透明部
9 樹脂成形品
10 中間シート
11 転写成形品
31 成形用金型
32 成形樹脂
101 転写シート
102 基体シート
103 ハードコート層
104 加飾層
105 接着層
106 転写層
107 透明部
108 樹脂成形品
111 転写成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体シート上に転写層としてハードコート層と金属酸化物薄膜層とが全面的に形成された中間シート上に加飾層が部分的に積層形成されることによって、加飾層が形成されない透明部に金属酸化物薄膜層が形成されていることを特徴とする転写成形品形成用の転写シート。
【請求項2】
金属酸化物薄膜層の厚みが5〜500nmである請求項1に記載の転写シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の転写シートを、転写層が形成されていない基体シートの面が金型キャビティに面するように金型内に配置し、金型内に成形樹脂を流し込み、冷却固化後に基体シートを剥離することによって表面に転写層を有する樹脂成形品を得て、この樹脂成形品に活性エネルギー線を照射することによってハードコート層を硬化させることを特徴とする転写成形品の製造方法。
【請求項4】
樹脂成形品の表面に加飾層が部分的に形成され、さらに全面的に金属酸化物薄膜層とハードコート層とが積層形成されることによって、加飾層が形成されない透明部に金属酸化物薄膜層が形成されていることを特徴とする転写成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−94861(P2010−94861A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266219(P2008−266219)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】