説明

転写箔、転写媒体および転写箔の製造方法

【課題】偽造防止媒体を剥離し、その偽造防止媒体を偽造品に貼り付けて使用する偽造を防止するために、転写箔が埋め込まれて転写されている外観とすることにより、剥離行為を防止できる転写箔を提供する。
【解決手段】接着層15と、接着層上に回折構造形成層13と、回折構造形成層の回折構造側に設けられた反射層14とを備えた転写箔であって、回折構造形成層上の回折構造側と対峙する側に、転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造2が設けられ、前記反射低減構造が、頂点間隔が2050〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造からなることを特徴とする転写箔。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティを必要とする媒体に転写される、回折格子に代表されるOVD(Optical Variable Device)を有する転写箔と、その製造方法に関するものであり、特に物品から偽造防止媒体を不正に剥離して偽造品に貼付されることを防止するための、転写箔および転写箔の製造方法関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粗悪な偽造品被害が大きな社会問題となっている。そこで偽造防止対策として、真正品であることを判定するためのラベル等の偽造防止媒体を物品に設けることにより、本物と偽物を区別できるようにする手段がある。この偽造防止媒体としては、偽造防止用機能性インキ、特殊印刷、ホログラム、磁気記録、ICタグ等、多くの偽造防止手段が採用されている。しかし、これら偽造防止策手段が物品に貼付されているとしても、偽造防止ラベルを真正品から剥がし取り、偽造品に貼りつけるといった不正行為が頻繁に行われてしまっている。
【0003】
このようなことから、偽造防止ラベルの再貼り付け防止を目的とする方法が考えられている。例えば、偽造防止ラベルに切り欠きを設け、無理に剥がそうとすると、切り欠きがきっかけとなり偽造防止ラベルが裂けてしまう方法や、偽造防止ラベルの基材を脆性材料にする方法、もしくはラベルを剥がそうとすると表面基材に“VOID”等の文字が現れ、物品にインキが付着するパターン脆性タイプのもの等がある。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、ラベル剥がし液等の有機溶剤を染みこませ、そっと偽造防止ラベルを剥がせば、ラベルが損傷しないため再使用が可能となってしまう。
【0005】
さらに、有機溶剤による剥離を防止するために、有機溶剤溶解染料が含有されていて、ラベル剥がし液等で剥がそうとした時、前記染料が印刷部よりにじみ出すことで再貼り付けを防止する方法がある(特許文献1)。
【0006】
また、ラベルの粘着層中に発泡粒子を含有することで、ドライヤー等でラベルを温めた場合、粘着層中の発泡粒子が発泡することで、再貼り付けを防止する方法がある(特許文献2)。
【0007】
さらにラベルの粘着剤を難溶性にすることで再貼り付けを防止する方法がある(特許文献3)。
【0008】
しかしながら、有機溶剤溶解染料を用いる方法では、ドライヤー等で偽造防止ラベルの表面を温めることによりきれいに剥がれる。また発泡粒子を含有させ、粘着剤を難溶性とする方法を用いても、偽造防止ラベルを貼付している物品の表層ごと削ぎ落とすことで、偽造防止ラベルに損傷を与えず再利用が可能となる。この場合、物品自身が損傷するが、物品が装置の消耗品である場合、消耗品等を使い終わった後に行うのならば、一部が損傷しても関係がないため、深刻な問題となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−204363号公報
【特許文献2】特開2000−293108号公報
【特許文献3】特開2005―266147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記偽造防止技術の問題点に鑑みてなされた発明であり、偽造防止媒体を剥離し、その偽造防止媒体を偽造品に貼り付けて使用する偽造を防止するために、転写箔が埋め込まれて転写されている外観とすることにより、剥離行為を防止する転写箔を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、接着層と、接着層上に回折構造形成層と、回折構造形成層の回折構造側に設けられた反射層とを備えた転写箔であって、回折構造形成層上の回折構造側と対峙する側に、転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられ、前記反射低減構造が、頂点間隔が200〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造からなることを特徴とする転写箔である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、接着層と、接着層上に回折構造形成層と、回折構造形成層の回折構造側に設けられた反射層とを備えた転写箔であって、回折構造形成層上の回折構造側と対峙する側に、転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に反射低減構造が設けられ、前記反射低減構造が、頂点間隔が250〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造からなることを特徴とする転写箔である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の転写箔を転写したことを特徴とする転写媒体である。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、基材上に反射率低減構造形成層を設け、前記反射率低減構造形成層の表面に転写箔の形状輪郭に沿って、微細凹凸構造からなる反射率低減構造を形成し、続いて回折構造形成層を積層して、前記回折構造形成層に回折構造を形成し、さらに反射層、接着層を順次積層する、反射率低減構造形成層と回折構造形成層との界面にて剥離する転写箔の製造方法であって、反射率低減構造形成層に設けられる微細凹凸構造を、頂点間隔が200〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造を持つスタンパーを作製し、前記スタンパーの微細凹凸構造を転写させて形成することを特徴とする転写箔の製造方法である。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、基材上に反射率低減構造形成層を設け、前記反射率低減構造形成層の表面に転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に、微細凹凸構造からなる反射率低減構造を形成し、続いて回折構造形成層を積層して、前記回折構造形成層に回折構造を形成し、さらに反射層、接着層を順次積層する、反射率低減構造形成層と回折構造形成層との界面にて剥離する転写箔の製造方法であって、反射率低減構造形成層に設けられる微細凹凸構造を、頂点間隔が250〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造を持つスタンパーを作製し、前記スタンパーの微細凹凸構造を転写させて形成することを特徴とする転写箔の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられることにより、転写箔の端部境界線が目立たなくなり、埋め込まれたような外観となるため、物品から転写箔を不正に剥離して偽造品に貼付される不正を防止でき、セキュリティ性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の、転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられ転写箔を正面から見た時の概念図である。
【図2】本発明の、転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に反射低減構造が設けられ転写箔を正面から見た時の概念図である。
【図3】本発明の転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられ転写箔を断面図を示した概念図である。
【図4】本発明の転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられ転写箔を被転写物に転写した状態を示した断面概念図である。
【図5】本発明の転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられ転写箔の製造方法において、支持体上の反射率低減構造形成層に、スタンパーに形成された反射率低減構造部を転写箔の形状輪郭に沿って転写する工程を示した概念図である。
【図6】本発明の転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられ転写箔の製造方法において、支持体上の反射率低減構造形成層に、スタンパーに形成された反射率低減構造部を光照射により形成する工程を示した概念図である。
【図7】本発明の転写箔の製造方法において転写箔の形状輪郭に沿って反射率低減構造部が成形された状態を示した概念図である。
【図8】本発明の非反射率低減構造部を転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に設けた転写箔の製造方法において、支持体上の反射率低減構造形成層に、スタンパーに形成された反射率低減構造部を熱プレスにより形成する工程を示した概念図である。
【図9】本発明の非反射率低減構造部を転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に設けた転写箔の製造方法において、支持体上の反射率低減構造形成層に、スタンパーに形成された反射率低減構造部を光照射により形成する工程を示した概念図である。
【図10】本発明の非反射率低減構造部を転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に設けた転写箔の製造方法において反射率低減構造部が成形された状態を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の被転写物16に転写された転写箔1を示しており、転写箔の形状輪郭に沿って非反射率低減構造部が設けられているため、転写箔の端部境界線が目立たなくなり、埋め込まれたような外観となった状態を示している。
【0019】
図2は反射部4及び回折構造部3の上に形成される反射率低減構造部2を転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に設け、形状輪郭に沿った領域以外の領域には、文字パターン「TOP」を設けた状態を示しており、傾けると、反射光の強度の違いでパターンが出現する状態を示している。文字パターン「TOP」の部分にだけ反射率低減構造部2が形成されており、角度によって「TOP」文字パターンが観察できる。
【0020】
図3は本発明の転写箔1の断面図を示した概念図であり、支持体11上に反射率低減構造形成層12が積層されており、低減構造形成層12表面には反射率低減構造部2が転写箔の形状輪郭に沿って形成され、その上に回折構造形成層13が積層され、回折構造形成層13の表面には回折構造部3が形成され、回折構造部3の表面には反射層14が設けられ、更に接着層15が積層されている。
【0021】
図4は本発明の転写箔1を被転写物16に転写した状態を示した断面概念図であり、転写時には反射率低減構造形成層12と回折構造形成層13の界面から剥離し、転写された箔の表面には反射率低減構造部2が転写箔の形状輪郭に沿って形成されている。
【0022】
図5、図6、図7は、本発明の転写箔1の表面に形成される反射率低減構造部2の成形方法を示しており、支持体11上に積層された反射率低減構造形成層12と表面に反射率低減構造部2を形成したスタンパー21とを重ね合わせ、透明固定冶具23にセットし、硬化光22を照射することにより、反射率低減構造形成層12表面に反射率低減構造部2を転写箔の形状輪郭に沿って形成する工程を示している。
【0023】
図8、図9、図10は、本発明の反射率低減構造部2を転写箔の形状輪郭に沿った領域と、転写箔の形状輪郭に沿った領域以外の領域には、パターン状に反射率低減構造部2を設ける転写箔の製造方法を示しており、支持体11上に積層された反射率低減構造形成層12と表面に反射率低減構造部2と非反射率低減構造部5とを形成したスタンパー21とを重ね合わせ、透明固定冶具23にセットし、硬化光22を照射することにより、反射率低減構造形成層12表面に反射率低減構造部2を形成する工程を示している。
【0024】
形成された反射率低減構造部2を持つ反射率低減構造形成層12上に、さらに回折構造形成層13を積層し、回折構造形成層13表面にホログラムや回折格子といった回折構造部3を形成したスタンパーを用い、熱プレスにより転写成形する。
【0025】
更に回折構造形成層13表面の回折構造部3の表面に反射層14として、金属や金属酸化物を真空の抵抗加熱方式やEB加熱方式により薄膜形成し、更にその上に接着層15を設け転写箔を製造する。接着層15として粘着剤を用いる場合には剥離紙を貼り合わせる必要がある。
【0026】
製造された転写箔1は、被転写物16に転写して使用されるが、転写後、支持体11を剥がすと、反射率低減構造形成層12と回折構造形成層13の界面~剥がれ、転写箔1の表面の反射率低減構造部2が現れる。
【0027】
本発明における反射低減構造部2の構造としては、頂点間隔が200〜400nm、アスペクト比が0.25以上の凹凸構造にある。原理的には、頂点間隔が200〜400nmと可視光波長よりも小さいスケールなので凹凸による可視光波長域(400nmから700nm)で光の干渉による強め合いがないこと、アスペクト比が0.25以上という、凹凸構造の深さ方向の規定により散乱・反射が抑制され、散乱も小さくなるためであり、照射光の入射角に拘わらず、法線方向へ回折光を射出するのを防ぐことができる。また頂点間隔が小さすぎると、アスペクト比を維持した場合でも深さが浅くなってしまうため、反射が増加してしまう。このため頂点間隔は200nm以上が好ましい。
【0028】
凹凸構造における凹部または凸部の配置パターンは、マトリックス状、ハニカム状に限定されるものではなく、矩形格子等の別の周期性を伴う配置パターン、あるいはランダムな凸部パターンであつても良い。少なくとも回折構造形成層の表面に2次元的に反射率低減構造部2が形成されていれば良い。
【0029】
図7で示した全面に反射低減構造部2を形成した転写箔1では、転写箔1の形状輪郭に沿った領域の表面の反射が低減され、転写箔の端部境界線が目立たなくなり、埋め込まれたような外観となる。図10で示したパターン状に反射低減構造部2を形成した箔では、形状輪郭に沿った領域以外の領域に、パターン状に反射低減構造部2が設けられ、見る角度により回折光以外の光がパターン状に確認できるため偽造防止効果を高めることになる。
【0030】
本発明を構成する支持体11、反射率低減構造形成層12、回折構造形成層13、反射層14、接着層15に使用する材料に関して説明する。
【0031】
基材1としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネート(PC)などの樹脂からなるフィルム又はシートであり、反射率低減構造形成層12を硬化させるために、透明であることが必要である。
【0032】
反射率低減構造形成層12には光硬化性樹脂等が使用できる。例えば、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0033】
回折構造形成層13には熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、が使用できる。例えば、熱可塑性樹脂では、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等があげられる。
【0034】
また、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加して架橋させたウレタン樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等が使用できる。その厚さとしては0.5〜5.0μmが好ましい。
【0035】
反射層14にはアルミニウム、金、銀、銅、Sn(スズ)及びこれらの金属を含む合金や金属の酸化物、硫化物を使用することができ、厚みとしては100Å〜1000Åが好ましい。
【0036】
反射層14のパターン化はマスクを用いパターン状に蒸着して形成し、回折構造形成部5上に蒸着層14を設け、更にその上に透明な樹脂塗液をパターン状にレジストとして設け、乾燥後エッチング液にて、露出した蒸着膜からなる反射層14を除去してパターンを形成することもできる。反射層14としてアルミ蒸着膜を用いる場合には、水酸化ナトリウム水溶液をエッチング液として用いることが知られている。
【0037】
接着層15は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル酢酸共重合樹脂等の熱可塑性樹脂が使用できる。膜厚は1〜20μmが好ましい。
【0038】
頂点間隔が2500〜400nm、アスペクト比が0.25以上の凹凸構造は、ガラス基板上に塗布されたEB樹脂に電子ビーム描画して、凹凸構造を得るのが一般的である。形成された凹凸構造上に金や銀の薄膜を形成し、その上に金属めっきを行うことにより、スタンパー21を形成する。
【0039】
作製したスタンパーを21そのまま用いて、反射率低減構造形成層12に加熱加圧を行い、基材側から紫外線あるいは電子線を照射して硬化させ表面の反射率低減構造部2を転写成形しても良いが、一般的にはスタンパー21は複製して用いられている。
【0040】
また回折構造部3も同様の方法で形成でき、回折構造形成層13に回折構造部3を持つスタンパー13を用い回折構造部3に加熱加圧を行い転写形成する。
【0041】
作製した転写箔1を被転写物16に貼付け、基材1を剥がすと、反射率低減構造形成層12と回折構造形成層13との界面にて剥離し、転写箔1は表面に反射率低減構造部2を持った回折構造形成層13となる。
【実施例】
【0042】
以下実施例により詳細に説明する。厚さ25μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体11の片面に、反射率低減構造形成層12として下記の配合比からなる組成物をグラビア印刷法により、塗布厚3μm、乾燥温度110℃で塗布し形成し
た。
<反射率低減構造形成層>
不飽和基含有ウレタン樹脂 100部
光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア184) 1.5部
離型剤(ビックケミー社製アクリルシリコーンBYK−3700) 3部
溶剤(メチルエチルケトン) 400部
その後、頂点間隔350nm、アスペクト比0.5の微細凹凸構造を転写箔1の形状輪郭に沿った領域とパターン状に有するニッケルスタンパー(母型)と、前記フィルムを線圧500N/cm、130℃で加熱圧接し、その状態で、支持体側からメタルハライドランプを使用して200mJ/cm2の光量を照射して硬化させた。そして、このエンボス加工したフィルムをニッケルスタンパー(母型)から剥離して、反射率低減構造が形成されたエンボス加工フィルムを得た。さらに表面硬度をあげるため、エンボス加工面から窒素雰囲気下、高圧水銀灯で300mJ/cm2の光量を追加露光した。
【0043】
回折構造形成層として、下記の配合比からなる組成物を、グラビア印刷法によって、塗布厚2μm、乾燥温度110℃で塗布した。
<回折構造形成層>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とウレタン樹脂の混合物 25部
溶剤
(メチルエチルケトン) 70部
(トルエン) 30部
その後、頂点間隔0.05mm、アスペクト比0.1の回折構造を有するニッケルスタンパー(母型)と、前記フィルムを線圧500N/cm、180℃で加熱圧接し硬化させた。そして、このエンボス加工したフィルムをニッケルスタンパー(母型)から剥離して、回折構造が形成されたエンボス加工フィルムを得た。
【0044】
成形された回折構造上に反射層14として金属薄膜であるAl薄膜を、真空蒸着法にて膜厚80nmを全面に設け、その後、前記回折構造の形成部分に位置整合させてパターンマスクを一時的に設けた後、アルカリ処理によって、パターンマスクが設けられていない部分の金属反射層を除去した。
【0045】
次に接着層として、下記の配合比からなる組成物をグラビア印刷法によって、塗布厚4.0μm、乾燥温度110℃で塗布した。
<接着層>
ポリエステル樹脂 30部
溶剤
(トルエン) 40部
(メチルエチルケトン) 40部
以上のようにして作製した転写箔を、被転写媒体(紙)に転写し、偽造防止物品とし、作製した偽造防止物品を目視観察した。従来の回折構造付転写箔に比べ、本発明による回折構造付き転写箔は転写箔の端部境界線が目立たなくなり、埋め込まれたような外観となった。また転写箔1の形状輪郭に沿った領域以外の部分には、箔表面の反射光量による潜像が付与されており、偽造防止効果が高まった。
【符号の説明】
【0046】
1・・・転写箔
2・・・反射率低減構造部
3・・・回折構造部
4・・・反射部
5・・・非反射率低減構造部
11・・・支持体
12・・・反射率低減構造形成層
13・・・回折構造形成層
14・・・反射層
15・・・接着層
16・・・被転写物
21・・・スタンパー
22・・・硬化光
23・・・透明固定治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着層と、接着層上に回折構造形成層と、回折構造形成層の回折構造側に設けられた反射層とを備えた転写箔であって、回折構造形成層上の回折構造側と対峙する側に、転写箔の形状輪郭に沿って反射低減構造が設けられ、前記反射低減構造が、頂点間隔が200〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造からなることを特徴とする転写箔。
【請求項2】
接着層と、接着層上に回折構造形成層と、回折構造形成層の回折構造側に設けられた反射層とを備えた転写箔であって、回折構造形成層上の回折構造側と対峙する側に、転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に反射低減構造が設けられ、前記反射低減構造が、頂点間隔が200〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造からなることを特徴とする転写箔。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の転写箔を転写したことを特徴とする転写媒体。
【請求項4】
基材上に反射率低減構造形成層を設け、前記反射率低減構造形成層の表面に転写箔の形状輪郭に沿って、微細凹凸構造からなる反射率低減構造を形成し、続いて回折構造形成層を積層して、前記回折構造形成層に回折構造を形成し、さらに反射層、接着層を順次積層する、反射率低減構造形成層と回折構造形成層との界面にて剥離する転写箔の製造方法であって、反射率低減構造形成層に設けられる微細凹凸構造を、頂点間隔が200〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造を持つスタンパーを作製し、前記スタンパーの微細凹凸構造を転写させて形成することを特徴とする転写箔の製造方法。
【請求項5】
基材上に反射率低減構造形成層を設け、前記反射率低減構造形成層の表面に転写箔の形状輪郭に沿った領域と、形状輪郭に沿った領域以外の領域に文字や模様状に、微細凹凸構造からなる反射率低減構造を形成し、続いて回折構造形成層を積層して、前記回折構造形成層に回折構造を形成し、さらに反射層、接着層を順次積層する、反射率低減構造形成層と回折構造形成層との界面にて剥離する転写箔の製造方法であって、反射率低減構造形成層に設けられる微細凹凸構造を、頂点間隔が200〜400nmでアスペクト比が0.25以上の微細凹凸構造を持つスタンパーを作製し、前記スタンパーの微細凹凸構造を転写させて形成することを特徴とする転写箔の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−192586(P2012−192586A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57577(P2011−57577)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】