説明

転写装置、及び画像形成装置

【課題】転写紙の除電を効率的に行なえ、転写チリが少ない安定した画像品質が得られる転写装置を提供する。
【解決手段】転写出口ガイド板30の転写出口ガイド部材31に除電針32を設け、転写紙が転写出口ガイド板30上を搬送される際に除電針32に流れる電流を電流計41で計測し、制御回路40に備える電流検知回路で、その電流値を検知する。また、転写出口ガイド板30の転写出口ガイド部材31の下方に、複数の下流側偏芯カム33bを有する下流側回転部材33と、複数の上流側偏芯カム34bを有する上流側回転部材34とを設ける。そして、下流側回転部材33と上流側回転部材34とを、検知した電流値に応じて制御回路40により各回転部材に接続したステッピングモータを個々独立に回転制御して、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に用いられる、トナー像が転写された後の転写材を後続の装置に搬送する転写出口ガイド機構を備えた転写装置、及びこの転写装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、静電的にトナー画像が転写された後の転写材(以下、転写紙という)を、定着装置で定着する前の不安定なトナー画像が変形したり損傷したりして乱れることを抑制するために様々な転写出口ガイド機構が提案されている。
【0003】
例えば、図9に示すような、転写ベルト方式の転写装置20における転写出口ガイド機構である転写出口ガイド板30の構成も、従来から知られている。この転写装置20は、潜像担持体である感光体ドラム1上に形成されたトナー画像を、転写ニップ部で転写紙に静電的に転写させる転写工程と、転写ベルト22に静電吸着した転写紙を次工程に送り届ける搬送工程を備えている。そして、転写出口ガイド板30に設けられた除電手段である除電針32で転写紙への帯電を積極的に除電し、転写チリを防止することを目的とした除電工程も備えている。
【0004】
転写工程ではバイアスローラ26に高圧電源27によって転写バイアスを印加することによってトナー像の転写紙への転写が行われる。転写紙は駆動ローラ25と従動ローラ24との間に掛けられた無端状の転写ベルト22の回転駆動によって搬送される。それぞれ駆動ローラ25と従動ローラ24は接地されて用いられている。また、この転写装置20はカバーであるケーシング23で、下方から覆われている。
【0005】
上記転写出口ガイド板30は、接地された除電針32と、転写出口ガイド部材31と、ガイド板ホルダー37とで構成され、ケーシング23の後端部に固定されている。転写ニップ部から転写出口ガイド板30方向へと転写ベルト22によって搬送された転写紙は、転写出口ガイド部材31上で除電針32によって転写紙上の静電気が除去され、定着入口ガイド板53へと搬送され、さらに定着装置(不図示)の定着ニップ部へと搬送される。このように、転写出口ガイド板30に設けた除電針32で、帯電した転写紙を除電することで、トナー画像が転写された未定着の転写紙が帯電した状態で搬送されることに起因した画像の乱れ(以下、転写チリという)を抑制する。
【0006】
また、特許文献1には、次のような構成の転写出口ガイド板の構成が記載されている。除電部材を設けた転写出口ガイド板の角度及び高さが可変な機構を備えており、転写出口ガイド板上に設けられた測距センサで用紙の浮きを検知し、用紙に追従する形でガイド板の角度及び高さを変化させ、転写紙を積極的に密着搬送させる。そして、転写紙を積極的に密着搬送させることで、除電部材と転写紙との距離を一定に保ち除電不良を抑制できる。このように、転写紙の除電不良を抑制することで、トナー画像が転写された未定着の転写紙が帯電した状態で搬送されることに起因した転写チリを防止する構成である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、転写紙が後続の定着入口ガイド板53や定着装置のニップ部に搬送された際に、転写紙にはたわみが生じる。図9に示すような転写装置20の構成では、転写出口ガイド板30はケーシング23の後端部に固定されており、転写出口ガイド板30を上記たわみに追従させることができず、除電針32と転写紙との離間距離を適切な距離に保てない。このように適切な距離にたもてないと、転写紙に除電できない部分が残ってしまい除電不良が生じる場合がある。そして、転写紙の除電不良が生じた状態の転写紙が後続の定着入口ガイド板53や定着装置のニップ部に搬送されてしまうと、転写チリが発生するという画像不具合が生じてしまう。
【0008】
さらに、転写紙上に形成されるトナー画像は、転写紙が転写ニップ部を搬送される際、トナーと逆極性のバイアスが印加されてトナーが転写紙上に静電的に吸着される。このため、転写出口ガイド板30に設けた除電針32の位置まで搬送されておらず、除電されていない転写紙の部分には残留電荷が残っている。このように残留電荷が残っている転写紙の部分は、転写出口ガイド板30に貼り付き易く、図10に示すように、転写紙と転写出口ガイド板30の転写出口ガイド部材31とが密着し、接触面積が増えてしまう場合がある。接触面積が増えてしまうと、転写出口ガイド部材31と転写紙との摩擦帯電により転写出口ガイド部材31の表面電位が上昇し、後続紙が通過する際に異常放電によって静電的に吸着されたトナーが動き、転写チリが生じる場合がある。
【0009】
また、特許文献1に記載の構成は、除電不良を抑制するために、常に転写出口ガイド板搬送面と転写紙とを、積極的に密着搬送させる構成である。このため、図9で示した構成と同様に、摩擦帯電によって転写出口ガイド板の表面電位が上昇し、後続紙が通過する際に異常放電によって静電的に吸着されたトナーが動く、転写チリが生じる画像不具合が発生する可能性が考えられる。
【0010】
上述したように、従来の構成では、転写出口ガイド板と転写紙との摩擦帯電による、転写出口ガイド板の表面電位の上昇に関する検討が行なわれていなかった。このため、例えば、高抵抗の紙種通紙時や低温低湿環境下では、転写紙が転写出口ガイド部材に貼り付きやすくなるため、転写出口ガイド板の表面電位の上昇に起因した転写チリが生じる画像不具合が発生する場合があった。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、転写材の除電不良を発生させることなく、転写出口ガイド機構の表面電位の上昇を抑制し、転写チリが少ない安定した画像品質が得られる転写装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目標を達成するため、請求項1に記載の転写装置は、像担持体上のトナー像を静電的に転写材へ転写した後に、該転写材の電荷を除去する除電手段を有する転写出口ガイド機構を備えた転写装置において、上記除電手段で除電された電流の値を検知し、検知した値に応じて上記転写出口ガイド機構の角度及び高さを変える手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の転写装置は、請求項1に記載の転写装置において、通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド機構の角度及び高さの変化量が異なる事を特徴とするものである。
また、請求項3に記載の転写装置は、請求項1又は2に記載の転写装置において、通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド機構の角度及び高さ変更の動作開始タイミングが異なる事を特徴とするものである。
また、請求項4に記載の転写装置は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の転写装置において、通紙中の任意のタイミングで、転写出口ガイド機構の角度及び高さ変更の制御可能なことを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の画像形成装置は、転写装置として請求項1乃至4のいずれか一に記載の転写装置を備えたことを特徴とするものである。
本発明は、除電手段で除電された電流の値に応じて、転写出口ガイド機構の角度及び高さを変える。このように角度及び高さを変えれるので、例えば次のように転写出口ガイド機構と転写材との接触面積を調整できる。
ここで仮に、転写材の転写出口ガイド機構への接触面積が適切である場合の初期状態での転写出口ガイド機構は、水平であって、その上面の高さが転写材搬送方向上流側に配置されている転写搬送手段の上面と同じ高さに配置されているものとする。また、転写材搬送方向下流側に配置される定着装置の定着入口ガイド機構は、その上流側が転写出口ガイド機構の下流端と同じ高さで、定着ニップ部に向かう下流側が高くなるように傾斜して配置されているものとする。また、転写出口ガイド機構の除電手段を、転写出口ガイド機構の下流近傍に設けているものとする。このように配置された転写出口ガイド機構上を搬送される転写材は、転写出口ガイド機構と定着入口ガイド機構とに下方から支えられた状態では、転写出口ガイド機構の下流端近傍で転写出口ガイド機構から多少離間した状態となる。この状態で、除電手段と転写材との距離が適切な距離になっているものとする。
このように構成された転写出口ガイド機構上を搬送される転写材が、環境変化により転写材の含水率が極端に低くなると、転写材が転写出口ガイド機構に貼り付きやすくなり、転写材と転写出口ガイド機構との接触面積が増える。このように接触面積が増えると、摩擦帯電に起因した転写チリが発生しやすくなるとともに、摩擦帯電により転写材が帯電し、除電手段で除電される電流値も高くなる。
そこで、除電手段で除電された電流の値が高くなった場合に、転写出口ガイド機構の下流側近傍の高さは大きくは変動させず、転写出口ガイド機構の上流側を低くして角度を付け、転写出口ガイド機構の上流側近傍を転写材から離間させて、接触面積を減らすことができる。このように角度及び高さを変えることで、除電手段電と転写材との離間距離を適切な距離に保ちつつ、転写出口ガイド機構と転写材との接触面積を減らす。
したがって、転写材の除電不良を発生させることなく、転写出口ガイド機構と転写紙との接触面積を減して、転写出口ガイド機構の表面と転写紙との摩擦帯電量を減らし、転写出口ガイド機構の表面電位の上昇を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、転写材の除電不良を発生させることなく、転写出口ガイド機構の表面電位の上昇を抑制することができるので、転写チリが少ない安定した画像品質が得られる転写装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る複写機の全体概略図。
【図2】実施例1に係る転写装置の概要説明図。
【図3】転写出口ガイド板の説明図。
【図4】角度及び高さを変更する構成の説明図。
【図5】除電手段を設けた転写出口ガイド部材(a)、及び角度及び高さ変更手段(b)の説明図。
【図6】検知した電流値とステッピングモータのステップ角の関係の説明図。
【図7】転写出口ガイド板の初期状態例の説明図。
【図8】転写出口ガイド板と転写紙との接触面積を少なくするように制御した際の転写出口ガイド板の説明図。
【図9】従来の転写出口ガイド板を固定的に設けた構成の説明図。
【図10】従来の転写出口ガイド板と転写紙との接触状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した一実施形態について、実施例を挙げて説明する。まず、本実施形態の複写機に概要について、図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る複写機の全体概略図である。
【0016】
この複写機には、図1に示すように装置本体100内に潜像担持体である感光体ドラム1が設けられている。感光体ドラム1の周りには、帯電装置2、現像装置3、転写装置20、クリーニング装置4、除電装置5などの作像機器が配設されている。また、クリーニング装置4の図中左側には定着装置50が配設されている。装置本体100の上部には、原稿読取装置300が設けられている。また、原稿読取装置300には、その上面に設置されているコンタクトガラス7を覆うように、自動原稿給紙装置8が開閉自在に取り付けられている。一方、装置本体100の下部には、両面ユニット67が配置されている。装置本体100は、給紙テーブル200上に載置されている。給紙テーブル200内には、複数の給紙カセット60が多段に装備されている。各給紙カセット60には、給紙ローラ61が対応して設けられている。それぞれの給紙ローラ61は、対応する給紙カセット60から繰り出した転写媒体である転写紙等を、搬送路62に搬送する。
【0017】
次に、この複写機のコピー動作について説明する。まず、コピー原稿を、自動原稿給紙装置8にセット、あるいはコンタクトガラス7上にセットする。セット後、操作画面上のスタートスイッチ(不図示)が押すと、セットされた原稿の画像情報が、原稿読取装置300により画素単位で読み取られる。この原稿読取動作に呼応して、予め選択された給紙カセット60内の転写紙が、対応する給紙ローラ61の回転により搬送路62に搬送される。搬送路62に搬送された転写紙は、給紙路63を経て、レジストローラ64に突き当てられて一旦停止される。この一旦停止された転写紙は、レジストローラ64が感光体ドラム1の回転に合せて所定のタイミングで回転することにより、感光体ドラム1の下方へ送り込まれる。
【0018】
また、原稿読取動作に呼応して、感光体ドラム1が所定方向に回転する。この感光体ドラム1の回転に伴って、まず、感光体ドラム1の表面が帯電装置2により一様に帯電される。次いで、原稿読取装置300により読み取られた原稿の画像情報に応じたレーザ光Lが、レーザ書込み装置6により感光体ドラム1の表面に照射される。これにより、感光体ドラム1の表面に原稿画像に相応した静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置3から供給される現像剤中のトナーにより可視像(トナー画像)化される。この感光体ドラム1上に形成されたトナー画像は、レジストローラ64の回転により感光体ドラム1の下方へ送り込まれた転写紙上に、転写装置20により転写される。このトナー画像の転写工程で、転写紙上に転写されずに感光体ドラム1の表面に残留したトナーは、クリーニング装置4により、感光体ドラム1の表面から除去される。また、この転写工程後の感光体ドラム1の表面に残留した電荷は、除電装置5により除電される。
【0019】
転写工程でトナー像を転写された転写紙は、転写装置20により定着装置50に搬送される。そして、この定着装置50により、転写工程で転写されたトナー画像が転写紙上に定着される。トナー画像が定着された転写紙は、排紙路65を通って機外の排紙トレイ(不図示)上に排出される。ここで、このトナー画像が定着されたシートの裏面にもトナー画像を形成する場合には、片面にトナー画像が形成された後の転写紙は、反転路66を通って、両面ユニット67に送り込まれる。この両面ユニット67に送り込まれた転写紙は、その表裏が反転されてレジストローラ64に送られて一旦停止される。この表裏が反転された転写紙は、片面へのコピー時と同様に、その裏面にトナー画像が転写・定着された後、排紙路65を通って機外の排紙トレイ上に排出される。
【0020】
次に、本実施形態の特徴部である転写装置20について、実施例を挙げて説明する。
【0021】
(実施例1)
まず、本実施形態の第1の実施例である実施例1について、図を用いて説明する。図2は、本実施例に係る転写装置20の概要説明図、図3は、転写出口ガイド板の説明図、図4は、角度及び高さを変更する構成の説明図である。また、図5は、除電手段を設けた転写出口ガイド部材(a)、及び角度及び高さ変更手段(b)の説明図、図6は、検知した電流値とステッピングモータのステップ角の関係の説明図である。そして、図7は、転写出口ガイド板の初期状態例の説明図、図8は、転写出口ガイド板と転写紙との接触面積を少なくするように制御した際の転写出口ガイド板の説明図である。
【0022】
図2に示すように、本実施例の転写装置20は、潜像担持体である感光体ドラム1と、駆動ローラ25及び従動ローラ24に架張された転写・搬送手段である転写ベルト22とで、転写ニップ部を形成している。また、転写ベルト22の転写紙搬送方向下流側には、転写ベルト22に静電吸着された転写紙を除電し、さらに下流側の定着装置50の定着入口ガイド板53まで案内する転写出口ガイド機構である、転写出口ガイド板30を備えている。また、この転写装置20はカバーであるケーシング23で、下方から覆われている。
【0023】
この転写装置20の工程は、転写工程と、搬送工程と、除電工程とで構成されている。転写工程は、上述した転写ニップ部の転写ベルト22の裏面に、トナーと逆極性のバイアスを高圧電源27よりバイアスローラ26を介して印加し、感光体ドラム1の潜像に吸着されたトナー画像を転写紙上に転写する。また、搬送工程は、転写ベルト22に静電吸着した転写紙を転写出口ガイド板30及び定着入口ガイド板53を介して定着装置50(図2には、不図示)に送り届ける。そして、除電工程は、転写出口ガイド板30に設けた除電手段である除電針32で、転写ベルト22に静電吸着されて帯電した転写紙を除電する。
【0024】
この搬送工程及び除電工程に係る転写出口ガイド板30は、主に、次のものから構成されている。除電針32と、転写出口ガイド部材31と、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変える手段(以下、角度・高さ変更手段という)と、これらを支持するガイド板ホルダー37とである。
除電針32は、除電針32に流れる電流値を検知する手段である電流計41を介して接地されている。そして、転写ニップ部から転写出口ガイド板30方向へと転写ベルト22によって搬送された転写紙は、転写出口ガイド部材31に保持された除電針32で残留電荷が除去される。除電針32は、転写紙の残留電荷を除去することで、定着入口ガイド板53や定着ニップ部(不図示)へ進入した際の電荷の移動によるトナーの飛散や、飛散したトナーが転写紙に付着する転写紙汚れ等の異常画像の発生を防ぐ役割を持つ。また、転写出口ガイド部材31の角度・高さ変更手段は、この転写出口ガイド部材31表面と転写紙との接触面積を、除電針32で除電された電流を検知した値に応じて制御される。
【0025】
除電針32で除電された電流を検知した値に応じた制御は、除電針32に流れる電流値を検知し、検知した電流値に応じて制御回路40から、角度・高さ変更手段の駆動源に動作指令を出すことで行なわれる。電流値の検知は、除電針32に流れる電流を電流計41で計測し、制御回路40に備える電流検知回路(詳細な説明は省略)で検知する。また、制御回路40は、上記電流検知回路と、パルス信号を送るコントローラ(CTL)と、電力を供給するドライバとで構成されている。
【0026】
この制御回路40で、検知した電流値に応じて転写出口ガイド板30の角度・高さ変更手段を制御することで、除電不良を起こすことなく転写紙と転写出口ガイド部材31との接触面積を減らすことができる。そして、転写紙と転写出口ガイド部材31との接触面積を減らすことで、転写出口ガイド部材31表面と転写紙との摩擦帯電による影響を軽減し、この摩擦帯電に起因した転写チリを抑制することを可能としている。
【0027】
図3に示すように、転写出口ガイド板30の角度・高さ変更手段による転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変更は、転写出口ガイド部材31の裏側(図3中下方)に1対の回転部材を設け、これらを回転させることで行なっている。具体的には、図4に示すように、転写出口ガイド部材31の転写紙搬送方向に平行であって鉛直な両端面の略中央に、それぞれ、ガイド板ホルダー37の鉛直な側板に設けたガイド用長穴の内周面に摺動する突起部38を設けている。また、転写出口ガイド部材31の転写紙搬送方向に垂直であって水平な回転中心を持つ、転写紙搬送方向下流側の下流側回転部材33と、上流側の上流側回転部材34とを転写出口ガイド部材31の裏側適所に設けている。そして、転写出口ガイド部材31裏側の転写紙搬送方向に垂直な各回転部材を回転させて、転写出口ガイド部材31の裏側の面を下方から押圧することで、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更している。
【0028】
図5(a)に示す転写出口ガイド部材31の下方には、図5(b)に示すような下流側回転部材33と上流側回転部材34とが平行して設けられている。
下流側回転部材33は、下流側シャフト33aと、下流側シャフト33aに取り付けられた複数の下流側偏芯カム33bからなる。そして、複数の下流側偏芯カム33bが下流側シャフト33aの回転にともない転写出口ガイド部材31を裏側から押圧する。また、上流側回転部材34も同様に、上流側シャフト34aと、上流側シャフト34aに取り付けられた複数の上流側偏芯カム34bからなる。そして、複数の上流側偏芯カム34bが下流側シャフト33aの回転にともない転写出口ガイド部材31を裏側から押圧する。ここで、各回転部材は、検知した電流値に応じて制御回路40により回転制御されるステッイングモータ(STM)により回転駆動される。詳しくは、下流側回転部材33は、制御回路40による下流側シャフト33aの一端側に接続された下流側ステッピングモータ35の回転制御により回転駆動される。同様に、上流側回転部材34も、制御回路40による上流側シャフト34aの一端側に接続された上流側ステッピングモータ36の回転制御により回転駆動される。このように、制御回路40により、各回転部材に接続されたステッピングモータを、個々独立して回転制御することで、きめ細やかな転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変更の制御が可能となる。
【0029】
なお、各シャフトに取り付けられるそ、れぞれの偏芯カムの数に決まりはないが、転写出口ガイド板30の角度を主走査方向で偏りなく傾けるためには、幅10mm程度の偏芯カムを6〜10個、等間隔で配列するのが望ましい。また、各偏芯カムの材質は、高耐久で絶縁性に優れたポリアセタール(POM)を使用するのが望ましい。
【0030】
また、図3、図5(a)に示すように、転写出口ガイド部材31に設けた除電用開口に除電針32を、その上方の先端が転写出口ガイド部材31の転写紙に対向する表面から少し下方となるように、同間隔で複数設けている。本実施例の構成では、除電針32は、その先端が転写出口ガイド部材31の表面から約2mm下、直径がφ=0.5〜1.0mm、間隔は約ピッチ2mm、材質はステンレスが好適であった。そして、除電針32には、転写出口ガイド部材31の裏面の転写紙搬送方向略中央とガイド板ホルダー37の水平面との間に取りつけられた、除電した転写紙の電流を筐体へアースし逃がすアース線を兼ねる引張バネ39が接続されている。この引張バネ39を設けることにより、転写出口ガイド部材31が下流側偏芯カム33b及び上流側偏芯カム34bの動きにもフレキシブルに追従可能となっている。
【0031】
このように構成された角度・高さ変更手段の、下流側ステッピングモータ35と上流側ステッピングモータ36とを検知した電流値に応じて制御回路40が回転制御することで、転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変更が可能となる。
【0032】
各ステッピングモータは、パルス入力によって高精度に回転制御可能なものである。この特性を活かして、本実施例の角度・高さ変更手段は、多段階調整が可能となっている。このことで、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを自由に変えられると共に、多様な紙種・サイズ・通紙環境にも対応できるようになっている。また、ステッピングモータの種類は、基本ステップ角が0.72degで高精度な位置決めが可能な5相ステッピングモータを用いる事が望ましい。
【0033】
ここで、図6を用いて、検知した電流値とステッピングモータのステップ角との関係を、下流側ステッピングモータ35を例に挙げて説明する。制御回路40に備える電流検知回路では、電流計41で計測した転写紙1枚あたりの除電電流値を常時検知している。そして、図6に示すように、検出された電流値が、動作開始レベルに達した場合、制御回路40内のコントローラよりパルス信号が出力され、下流側ステッピングモータ35が回転する。この下流側ステッピングモータ35の回転により、転写出口ガイド部材31の裏側に当接する下流側偏芯カム33bの当接位置の高さが高くなるとともに、転写出口ガイド部材31の角度が大きくなるような制御が行える。そして、この下流側ステッピングモータ35の回転制御に連動して、上流側ステッピングモータ36の回転制御も行うので、細やかな転写出口ガイド部材31の角度の変更、及び高さの変更が可能となる。
【0034】
例えば、転写出口ガイド部材31への転写紙の張り付きが生じ、検出された電流値が動作開始レベルに達した場合、図7に示す初期状態の角度及び高さにの状態から、図8に示す状態に転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更する。ここで、図7に示す初期状態の例は、下流側偏芯カム33bと上流側偏芯カム34bが、それぞれのシャフトの回転軸に垂直な断面において、互いの回転軸を結ぶ線分の2等分線に線対称なハの字状に各偏芯カムが回転した状態である。そして、各偏芯カムが、互いの回転軸を結ぶ線分の2等分線に線対称なハの字状に回転しているので、転写出口ガイド部材31は水平な状態となっている。また、図8に示す状態とは、上記初期状態から下流側偏芯カム33b及び上流側偏芯カム34bを反時計回りに、それぞれ所定角度だけ回転させた転写出口ガイド部材31の転写紙搬送方向下流側が高く、上流側が低くなった状態である。
【0035】
このように転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更することで、除電針32の先端と搬送される転写紙との距離を、除電可能な適切な範囲の距離に保ちつつ、転写出口ガイド部材31と転写紙との接触面積を減らすことができる。したがって、転写紙の除電不良を発生させることなく、転写出口ガイド機構である転写出口ガイド板30の転写出口ガイド部材31表面と転写紙との接触面積を減すことができる。接触面積を減すことができるので、転写出口ガイド部材31と転写紙との摩擦帯電量を減らし、転写出口ガイド部材31の表面電位の上昇を抑制することができる。よって、本実施例の転写装置20では、転写紙の除電不良を発生させることなく、転写出口ガイド部材31の表面電位の上昇を抑制することができるので、転写紙の除電を効率的に行なえ、転写チリが少ない安定した画像品質が得られる。
【0036】
また、本実施例では、除電する電流値に応じて、転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変更するとともに、除電針32に流れる電流が動作開始レベルまで到達しない場合は、各ステッピングモータを回転させない制御が行える。つまり、除電針32に流れる電流が動作開始レベルまで到達しない、転写チリが発生する可能性が低い場合は、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更させない制御を行える。よって、本実施例の転写装置20では、転写出口ガイド部材31を可動させることに起因した、転写紙の搬送パス(搬送経路)の変化による紙詰まり等の搬送不具合が発生するリスクも抑制できる。
【0037】
(実施例2)
次に、本実施形態の第2の実施例である実施例2について説明する。本実施例の転写装置20と、実施例1の転写装置20とでは、次の点のみが異なる。本実施例の転写装置20の転写出口ガイド板30では、通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変化量を異ならせる点である。その他の構成・動作に関わる点は上述した実施例1の転写装置20と同様であるので、同様な点は適宜省略して説明する。
【0038】
本実施例の転写装置20では、実施例1の転写装置20と同様に転写出口ガイド部材31の角度及び高さは、下流側ステッピングモータ35と上流側ステッピングモータ36の、制御回路40による個々独立した回転制御で行なっている。本実施例では、この制御回路40による個々独立した回転制御の利点を、実施例1よりも活かすこととした。具体的には、通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、任意に転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変化させる変化量を異ならせることとした。
【0039】
例えば、一般に坪量が高くなる厚紙や、用紙の種類がOHP等である転写紙は、固有抵抗が高い部類であるため、普通紙に比べて除電針32に流れる電流値も相対的に高めとなる。しかし、剛性が高い(コシが強い)ため、検知した電流値のみに基づき、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更する構成では、除電針32と転写紙との距離が離れる傾向にある。また、転写出口ガイド部材31の角度が大きくなると、転写紙の搬送角度が大きくなり、定着ローラ侵入時の衝突によるジャムやしわの発生等の搬送不具合が発生するリスクが高まる。このため、厚紙や、用紙の種類がOHP等の転写紙は、普通紙よりも角度の変更量は低めに設定することが望ましい。
【0040】
また、用紙の種類がOHP等の転写紙では、固有抵抗が高く転写紙の帯電量が高まるため、普通紙に比べて転写出口ガイド部材31に張り付く力が強まる。しかも、剛性が高いため、転写出口ガイド部材31と接触した際の接触力も高まり、転写出口ガイド部材31と転写紙との摩擦帯電による転写チリのリスクがさらに高まる。
【0041】
これらのため、検知した電流値のみに基づき、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更する構成では、厚紙やOHP等よりも、利用頻度の高い普通紙により適した制御を行わざるを得ない。このため、厚紙やOHP等の固有抵抗が高く、かつ剛性の高い紙種を通紙した場合は、普通紙等を通紙した場合よりも、転写チリの発生を抑制できる余裕度が低くなってしまう。なお、従来は普通紙と、厚紙やOHP等の固有抵抗が高く、かつ剛性の高い紙種とを同等なレベルで、画質と搬送性を両立させる転写出口ガイド機構は存在しなかった。
【0042】
また、用紙の種類が同一であっても用紙サイズにより、転写出口ガイド板30上を搬送される際のたわみ量が異なる場合があり、除電針32と転写紙との距離も異なってくる。このため、検知した電流値のみに基づき、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更する構成では、利用頻度の低い用紙サイズよりも、利用頻度の高い用紙サイズにより適した制御を行わざるを得ない。このため、例えば長尺サイズ紙等の利用頻度の低い用紙サイズの転写紙では、利用頻度の高い用紙サイズの転写紙を通紙した場合よりも、転写チリの発生を抑制できる余裕度が低くなってしまう。
【0043】
そこで、本実施例の転写装置20では、通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、任意に転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変化させる変化量を異ならせている。このように構成することで、転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変化量を、通紙される転写紙に最適なものにでき、搬送品質を損なうことなく、転写チリの余裕度を向上させることができる。例えば、普通紙に比べ固有抵抗が高く、かつ剛性の高い用紙の種類や紙厚の厚い転写紙を通紙した場合でも、通紙する転写紙に合わせた転写出口ガイド部材31の角度及び高さに変更することができる。したがって、固有抵抗が高く、かつ剛性の高い転写紙を通紙した場合も、搬送品質を損なうことなく、転写チリの余裕度を向上させることができる。
【0044】
また、転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変化量を、通紙される転写紙に最適なものにでき、たわんだ転写紙と、転写出口ガイド部材31との擦れを低減することができる。そして。たわんだ転写紙と、転写出口ガイド部材31との擦れを低減することで、転写出口ガイド部材31表面電位上昇を抑え、転写チリ発生のリスクを、より低減させることができる。例えば、同一の用紙の種類でも長尺サイズ紙は搬送角度を上げ、用紙のたわみのよる転写紙と、転写出口ガイド部材31との擦れを低減して、転写出口ガイド部材31表面電位の上昇を抑え、転写チリ発生のリスクを低減することができる。
【0045】
ここで、用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じた、各ステッピングモータの回転角の変化量は、あらかじめ実験等で最適値を求め、制御回路40に記憶部(不図示)に記憶させておく。
【0046】
(実施例3)
次に、本実施形態の第3の実施例である実施例3について説明する。本実施例の転写装置20と、実施例1、2の転写装置20とでは、次の点のみが異なる。本実施例の転写装置20の転写出口ガイド板30では、通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変化させる動作開始タイミングを異ならせる点である。その他の構成・動作に関わる点は上述した実施例1、2の転写装置20と同様であるので、同様な点は適宜省略して説明する。
【0047】
転写出口ガイド板30上を搬送される転写紙は、通紙する用紙の種類・サイズ・坪量によって、除電針32に流れる電流の総量は異なる。このため、検知した電流値のみに基づき、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更する構成では、利用頻度の低い用紙よりも、利用頻度の高い用紙の種類、サイズ、坪量により適した制御を行わざるを得ない。例えば、用紙の種類、坪量が同一であっても、通紙する転写紙が小サイズ紙では除電針32に流れる電流の総量は少なく、利用頻度の高い用紙のサイズと同じ動作開始タイミングでは、転写チリ発生のリスクが高まる。
【0048】
また、用紙の種類、坪量によって、固有抵抗は異なり、転写紙に保持される電荷量もことなってくる。このため、検知した電流値のみに基づき、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変更する構成では、利用頻度の低い固有抵抗の用紙よりも、利用頻度の高い固有抵抗の用紙の種類、坪量により適した制御を行わざるを得ない。例えば、用紙の種類、サイズが同一であっても、通紙する転写紙が坪量が高いほど固有抵抗が高くなり、転写紙に保持される電荷量が高くなるため、利用頻度の高い用紙の坪量と同じ動作開始タイミングでは、転写チリ発生のリスクが高まる。また、用紙のサイズ、坪量が同一であっても、通紙する用紙の種類がOHP等のように固有抵抗が高い場合も同様に、転写紙に保持される電荷量が高くなるため、利用頻度の高い固有抵抗が低い普通紙等と同じ動作開始タイミングでは、転写チリ発生のリスクが高まる。
【0049】
そこで、本実施例では、通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変化させる動作開始タイミングを異ならせることとした。このように構成することで、通紙する転写紙に応じた動作開始タイミングとすることができ、転写チリ発生のリスクを、より低減することができる。例えば、通紙する用紙の種類、坪量が同一であっても、転写紙が小サイズ紙の場合、動作開始のトリガとなる電流の検出基準値を下げ、角度及び高さの変更のタイミングを早めることで、より転写チリ発生のリスクを低減できる。また、用紙の種類、サイズが同一であっても、通紙する転写紙が坪量が高いほど動作開始のトリガとなる電流の検出基準値を下げ、角度及び高さの変更のタイミングを早めることで、より転写チリ発生のリスクを低減できる。また、用紙のサイズ、坪量が同一であっても、通紙する用紙の種類の固有抵抗が高いものほど動作開始のトリガとなる電流の検出基準値を下げ、角度及び高さの変更のタイミングを早めることで、より転写チリ発生のリスクを低減できる。
【0050】
また、上述した本実施形態の複写機の転写装置20では、転写出口ガイド機構である転写出口ガイド板30の角度・高さ変更手段による転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変更は、通紙中の任意のタイミングで行なうことができる。すなわち、転写出口ガイド板30の角度・高さ変更手段は、通紙前の用紙選択時以外に、除電針32で電流を検知することで通紙中にも動作可能であり、特に通紙中の動作タイミングは問わない。このことで、画像形成装置である複写機の通紙動作を停止して、生産性を落とすことなく、転写チリ発生のリスクを低減させることができる。また、異なる用紙の種類の転写紙を交互通紙する際にも、用紙の種類に応じた最適な転写出口ガイド部材31の角度及び高さでの転写紙搬送を可能とすることができる。
【0051】
ここで、転写紙が転写出口ガイド部材31上を搬送される際の上下動によるトナー画像の乱れは、転写出口ガイド板30の角度・高さ変更手段による変更量が大きく成ることが多い初期状態への変更時に発生する可能性が高い。そこで、転写紙が転写出口ガイド部材31上を搬送される際の上下動によるトナー画像の乱れを抑制するため、初期状態への変更タイミングは、搬送される転写紙の紙間時のタイミングで行うことが望ましい。特に、通紙前に用紙の種類、サイズ、坪量が選択可能な構成では、転写紙が転写出口ガイド部材31上を転写紙が通過していないタイミングで、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを初期状態にして、その後の変更量を小さくできる。このことで、転写紙が転写出口ガイド部材31上を搬送される際の上下動によるトナー画像の乱れをさらに抑制できるとともに、転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変更に要する時間を短縮できる。
【0052】
以上、本実施形態の複写機に係る転写装置20では、次のような作用・効果を奏することができる。除電針32で除電された電流値に応じて、制御回路40により転写出口ガイド板30の角度・高さ変更手段を制御することができる。このように角度・高さ変更手段を制御できるので、例えば、除電針32で除電された電流値が高い場合に、除電針32と転写紙との離間距離を適切な距離に保ちつつ、転写出口ガイド部材31と転写紙との接触面積を減らすように調整できる。したがって、転写紙の除電不良を発生させることなく、転写出口ガイド部材31と転写紙との接触面積を減して、転写出口ガイド部材31表面と転写紙との摩擦帯電量を減らし、転写出口ガイド部材31の表面電位の上昇を抑制できる。よって、転写紙の除電不良を発生させることなく、転写出口ガイド部材31の表面電位の上昇を抑制することができるので、転写紙の除電を効率的に行なえ、転写チリが少ない安定した画像品質が得られる転写装置20を提供できる。
また、本実施形態の複写機に係る転写装置20では、次のような作用・効果を奏することができる。通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、任意に転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変化量を異ならせるので、通紙される転写紙に最適なものとすることができる。したがって、搬送品質を損なうことなく、転写チリの余裕度を向上させることができる。また、転写出口ガイド部材31の角度及び高さの変化量を、通紙される転写紙に最適なものにでき、たわんだ転写紙と、転写出口ガイド部材31との擦れを低減することができる。そして、たわんだ転写紙と、転写出口ガイド部材31との擦れを低減することで、転写出口ガイド部材31表面電位上昇を抑え、転写チリ発生のリスクも低減させることができる。
また、本実施形態の複写機に係る転写装置20では、次のような作用・効果を奏することができる。通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド部材31の角度及び高さを変化させる動作開始タイミングを異ならせることができる。このことで、通紙する転写紙に応じた動作開始タイミングにできる。通紙する転写紙に応じた動作開始タイミングすることで、より転写チリ発生のリスクを、より低減することができる。
また、本実施形態の複写機に係る転写装置20では、次のような作用・効果を奏することができる。転写出口ガイド板30の角度・高さ変更手段は、通紙前の用紙選択時以外に、除電針32で電流を検知することで通紙中にも動作可能であり、特に通紙中の動作タイミングは問わない。このことで、画像形成装置である複写機の通紙動作を停止して、生産性を落とすことなく、転写チリ発生のリスクを低減させることができる。また、異なる用紙の種類の転写紙を交互通紙する際にも、用紙の種類に応じた最適な転写出口ガイド部材31の角度及び高さでの転写紙搬送を可能とすることができる。
また、本実施形態の複写機では、上述したいずれか一の転写装置20を備えることで、備えた転写装置20と同様な作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 現像装置
4 クリーニング装置
5 除電装置
20 転写装置
22 転写ベルト
23 ケーシング
24 従動ローラ
25 駆動ローラ
26 バイアスローラ
27 高圧電源
30 転写出口ガイド板
31 転写出口ガイド部材
32 除電針
33 下流側回転部材
33a 下流側シャフト
33b 下流側偏芯カム
34 上流側回転部材
34a 上流側シャフト
34b 上流側偏芯カム
35 下流側ステッピングモータ
36 上流側ステッピングモータ
37 ガイド板ホルダー
38 突起部
39 引張バネ
40 制御回路
41 電流計
50 定着装置
53 定着入口ガイド板
100 装置本体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2008−197587号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上のトナー像を静電的に転写材へ転写した後に、該転写材の電荷を除去する除電手段を有する転写出口ガイド機構を備えた転写装置において、
上記除電手段で除電された電流の値を検知し、検知した値に応じて上記転写出口ガイド機構の角度及び高さを変える手段を備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
請求項1に記載の転写装置において、
通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド機構の角度及び高さの変化量が異なる事を特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の転写装置において、
通紙前に選択された用紙の種類、サイズ、坪量のいずれか、又はいずれか2つ以上の組み合わせに応じて、転写出口ガイド機構の角度及び高さ変更の動作開始タイミングが異なる事を特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の転写装置において、
通紙中の任意のタイミングで、転写出口ガイド機構の角度及び高さ変更の制御可能なことを特徴とする転写装置。
【請求項5】
転写装置として請求項1乃至4のいずれか一に記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−185332(P2012−185332A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48396(P2011−48396)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】