説明

転写装置および画像形成装置

【課題】転写ローラーの凹部内に液体現像剤が堆積するのを効果的に抑制しつつ、画像形成装置を小型コンパクトにかつ安価に製造する。
【解決手段】キャリアー液塗布ローラー15eでキャリアー液が塗布された転写ローラー9を転写ローラークリーニングローラー14cでクリーニングする。転写ローラー9の凹部9eと塗布ローラー15eとが対向する時の転写ローラー9の回転中心から塗布ローラー15eの周面までの距離L1、同じく転写ローラー9の回転中心からクリーニングローラー14cの周面までの距離L2、及び転写ローラー9の凹部9eを除く周面までの半径R(mm)が、L2 < L1 < R の関係を有する。これにより、クリーニングローラ
ー14cおよび塗布ローラー15eの凹部9e内への進入量が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹部を有するとともにトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて現像された像が転写される転写ローラーを備える転写装置および画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凹部を有する感光体に形成された潜像を液体トナーにより現像してトナー像を形成し、凹部を有する転写ローラーを感光体に当接させるとともに回転させることでトナー像を転写ローラーに転写し、転写ローラーに転写されたトナー像を転写紙等の転写材に転写する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、感光体に形成されたトナー像が転写ローラーに転写された後、感光体が感光体クリーニングローラーでクリーニングされて、感光体に残留する残留液体トナーが除去される。また、転写ローラーに転写されたトナー像が転写材に転写された後、転写ローラーが転写ローラークリーニングローラーでクリーニングされて、転写ローラーに残留する残留液体トナーが除去される。
【0004】
しかし、感光体が感光体クリーニングローラーでクリーニングされても残留液体トナーが完全に除去されることはなく、残留液体トナーは感光体に設けられた感光体の凹部内に堆積される。そして、画像形成装置が長時間使用されると、感光体の凹部内に堆積された液体トナーは凹部外に滲みだして、感光体の周辺の部材を汚してしまう。そこで、特許文献1に記載の画像形成装置では、ウエブクリーニング装置で感光体の凹部内をクリーニングしたり、吸引ポンプで感光体の凹部内に堆積した液体トナーを吸引したりして、感光体の凹部内の液体トナーを除去している。なお、特許文献1には転写ローラーの凹部内に堆積される液体トナーについては言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−317980号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の画像形成装置では、転写ローラーの凹部以外の外周面が感光体に当接される。このため、感光体のトナー像が転写ローラーに転写された後、感光体に残留する残留液体トナーが転写ローラーに転写される。その場合、凹部に転写ローラーの回転方向側に隣接する転写ローラーの外周面に転写された液体トナーは凹部に移動して転写ローラーの凹部内に堆積する。そして、画像形成装置が長時間使用されると、転写ローラーの凹部内に堆積した液体トナーは凹部外に滲みだして、転写ローラーの周辺の部材を汚してしまう。そこで、特許文献1に記載の感光体の凹部のクリーニングに用いられるウエブクリーニング装置や吸引ポンプを転写ローラーの凹部のクリーニングに適用することが考えられる。
【0007】
しかしながら、ウエブクリーニング装置や吸引ポンプは比較的大型であるとともに構造が複雑である。このため、大きなスペースが必要となるばかりでなく、コストが高いという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、転写ローラーの
凹部内に堆積する液体現像剤を効果的に除去しつつ、小型コンパクトにかつ安価に製造することのできる転写装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するために、本発明に係る転写装置および画像形成装置によれば、転写ローラーの凹部と塗布ローラーとが対向する時の転写ローラーの回転中心から塗布ローラーの周面までの距離L1(mm)、転写ローラーの凹部とクリーニングローラーとが対向する時の転写ローラーの回転中心からクリーニングローラーの周面までの距離L2(mm)、及び転写ローラーの凹部を除く周面までの半径R(mm)が、L2 < L1 < Rの関係を有する。この関係を有する転写装置および画像形成装置の具体的な構成としては、転写ローラーの凹部がクリーニングローラーに対向するとき、被当接部または転写ローラーの回転軸と同軸に配設された支持部に当接してクリーニングローラーを凹部内に進入させた位置に規制する第1規制ローラーと、転写ローラーの回転により転写ローラーの凹部が塗布ローラーに対向するとき、被当接部に当接して塗布ローラーを凹部内に進入させた位置に規制する第2規制ローラーとを有し、クリーニングローラーの半径R1(mm)、第1規制ローラーの半径R2(mm)、塗布ローラーの半径R3(mm)、及び第2規制ローラーの半径R4(mm)が、(R1−R2) > (R3−R4)の関係を有する。
【0010】
したがって、転写ローラーの凹部がクリーニングローラーに対向しない位置にあるときは、クリーニングローラーは転写ローラーの凹部を除く周面に当接される。したがって、像が転写材に転写された後の転写ローラーの凹部を除く周面をクリーニングローラーによりクリーニングすることが可能となる。これにより、転写後の転写ローラーに付着する残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)を除去することができる。
【0011】
また、転写ローラーの凹部がクリーニングローラーに対向する位置にあるときは、クリーニングローラーが転写ローラーの凹部内に進入する。このとき、第1規制ローラーが被当接部または支持部に当接することにより、クリーニングローラーの凹部内への進入量が予め定められた最大進入量に規制される。したがって、このクリーニングローラーにより、凹部以外の転写ローラーの外周面から凹部内へ進入した直後の凹部の傾斜面の領域に堆積しがちな残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)を効果的に除去することが可能となる。これにより、凹部内に残留液体現像剤が溜まることを防止することができるとともに、残留液体現像剤が凹部から滲み出してくることも防止できる。更に、このように残留液体現像剤が凹部内に堆積することがほとんどないので、画像形成装置が長期間使用されても、凹部内に残留液体現像剤が堆積することにより、転写ローラー以外の他のローラーの汚染や転写材の汚染等の転写ローラーの周辺の部材の汚染をより効果的に防止することが可能となる。その結果、凹部内に堆積する残留液体現像剤による画像欠陥を防止でき、高画質の画像を得ることができる。
【0012】
更に、転写ローラーの凹部が塗布ローラーに対向しない位置にあるときは、塗布ローラーは転写ローラーの凹部を除く外周面に当接される。したがって、転写後の転写ローラーの凹部以外の外周面に、残留トナーを除去しやすくするためのトナー除去液を塗布ローラーにより塗布することが可能となる。これにより、転写後の転写ローラーに付着する残留トナーを一層効果的に除去することができる。
【0013】
また、転写ローラーの凹部が塗布ローラーに対向する位置にあるときは、塗布ローラーが転写ローラーの凹部内に進入する。このとき、第2規制ローラーが被当接部または支持部に当接することにより、塗布ローラーの凹部内への進入量が予め定められた第2の最大進入量に規制される。その場合、クリーニングローラーの半径と第1規制の半径との差(絶対値)が、塗布ローラーの半径と第2規制ローラーの半径との差(絶対値)より大きいので、簡単な構成で、クリーニングローラーの外周面の凹部内への最大進入量を、塗布ロ
ーラーの外周面の凹部内への第2の最大進入量より大きくすることが可能となる。そして、このように塗布ローラーの第2の最大進入量がクリーニングローラーの最大進入量より小さいので、トナー除去液を転写ローラーのほぼ前述の領域内に堆積させることが可能となる。したがって、塗布ローラーによって凹部内の転写ローラーに塗布されたトナー除去液をクリーニングローラーにより効果的に除去することができる。これにより、一層高画質の画像を得ることができる。
【0014】
このようにして、本発明の転写装置および画像形成装置では、残留液体現像剤が凹部内に堆積することがほとんどないので、前述の特許文献1に記載されているようなウエブクリーニング機構や吸引ポンプを不要にすることができ、画像形成装置を簡単な構造とすることができる。そして、画像形成装置が簡単な構造になることから、高い信頼性を得ることができるとともに省スペース化を図ることができる安価な画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる転写装置の実施の形態の一例を備える画像形成装置の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーを支持する支持フレームの転写ローラーに対する位置決めを説明する断面図である。
【図3】図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーを支持する支持フレームの転写ローラーに対する位置決めを説明する斜視図である。
【図4】図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーを支持する支持フレームの転写ローラーに対する位置決めを説明する部分正面図である。
【図5】図1に示す例の転写ローラークリーニング部およびキャリアー液塗布部を示す斜視図である。
【図6】図1に示す例の転写ローラークリーニング部およびキャリアー液塗布部を部分的に示す部分斜視図である。
【図7】(a)は凹部が転写ローラークリーニングローラーおよびキャリアー液塗布ローラーに対向しない位置にある状態を示す図、(b)は凹部が転写ローラークリーニングローラーおよびキャリアー液塗布ローラーに対向する位置にある状態を示す図である。
【図8】(a)ないし(d)は図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーおよびキャリアー液塗布ローラーの作動の一部を説明する図である。
【図9】(a)ないし(c)は図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーおよびキャリアー液塗布ローラーの作動の残部を説明する図である。
【図10】(a)は図1に示す例の凹部内に進入した転写ローラークリーニングローラーによる凹部内に堆積した液体現像剤を除去する前の状態を示す図、(b)は転写ローラークリーニングローラーによる凹部内に堆積した液体現像剤を除去した状態を示す図である。
【図11】本発明の転写装置の実施の形態の他の例を部分的に示す部分斜視図である。
【図12】図11に示す転写ローラー、転写ローラークリーニングローラー、およびキャリアー液塗布ローラーの横断面を部分的に示す図である。
【図13】(a)ないし(d)は図11に示す例の転写ローラークリーニングローラーおよびキャリアー液塗布ローラーの作動の一部を説明する図である。
【図14】(a)ないし(d)は図11に示す例の転写ローラークリーニングローラーおよびキャリアー液塗布ローラーの作動の残部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる転写装置の実施の形態の一例を備える画像形成装置の一部を模
式的にかつ部分的に示す図である。以下の説明において、各回転方向および各移動方向は、各図に矢印で示された方向である。
【0017】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、静電潜像を担持する潜像担持体である感光体2を備えている。この感光体2は図示しない駆動源により駆動されて反時計回りに回転する。
【0018】
感光体2の周囲には帯電部3が配設されている。更に、帯電部3から、感光体2の回転方向に向かって、順に、露光部4、現像部5、感光体スクイーズ部6、一次転写部7、および感光体クリーニング部8が配設されている。なお、図1に図示されないが、一次転写部7と感光体クリーニング部8との間には、感光体2を除電する除電部が配設される。
【0019】
帯電部3はスコロトロンまたはコロトロン等の帯電部材で、感光体2の表面を一様に帯電する。また、露光部4はレーザー光等の潜像形成部材で、感光体2の一様帯電された表面に、静電潜像を形成する。
【0020】
現像部5は、液体現像剤貯留部5a、アニロックスローラー5b、現像剤量規制部材5c、中間ローラー5d、現像ローラー5e、中間ローラークリーニング部5f、現像ローラークリーニング部5g、および液体現像剤回収部5hを有する。液体現像剤貯留部5aは撹拌ローラー5iで撹拌されたトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を貯留する。アニロックスローラー5bは反時計回りに回転されて液体現像剤貯留部5aに貯留されている液体現像剤を汲み上げる。現像剤量規制部材5cはアニロックスローラー5bで汲み上げられた液体現像剤の量を規制する。中間ローラー5dは反時計回りに回転される。そして、中間ローラー5dには、現像剤量規制部材5cで量規制されるとともにアニロックスローラー5cにより搬送される液体現像剤が供給される。現像ローラー5eは時計回りに回転されて中間ローラー5dから液体現像剤が供給される。そして、現像ローラー5eと感光体2とで形成される現像ニップにおいて、現像ローラー5eは供給された液体現像剤で感光体2に形成された静電潜像を現像して感光体2にトナー像を形成する。
【0021】
中間ローラークリーニング部5fは中間ローラー5dをクリーニングする。すなわち、中間ローラークリーニング部5fは、現像ローラー5eに液体現像剤を供給した後の中間ローラー5dに残留する液体現像剤を中間ローラークリーニングブレード5jで除去する。現像ローラークリーニング部5gは現像ローラー5eをクリーニングする。すなわち、現像ローラークリーニング部5gは、感光体2の静電潜像を現像した後の現像ローラー5eに残留する液体現像剤を現像ローラークリーニングローラー5kで除去する。そして、現像ローラークリーニングローラー5kに付着した液体現像剤は現像ローラークリーニングブレード5mで除去される。液体現像剤回収部5hは中間ローラークリーニング部5fで除去された液体現像剤および現像ローラークリーニング部5gで除去された液体現像剤を回収して貯留する。
【0022】
更に、感光体スクイーズ部6は、第1の感光体スクイーズ部6a、第2の感光体スクイーズ部6b、第1の感光体スクイーズローラー6c、第2の感光体スクイーズローラー6d、第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6e、第1の感光体スクイーズ貯留部6f、第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6g、第2の感光体スクイーズ貯留部6hを有する。
【0023】
第1の感光体スクイーズローラー6cは現像ニップから感光体2の回転方向側に所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第1の感光体スクイーズローラー6cは感光体2をスクイーズして現像部5から現像された液体現像剤のキャリアー液および非画像部のトナー等を除去する。第1の感光体スクイーズローラークリーニングブ
レード6eは第1の感光体スクイーズローラー6cをクリーニングして、第1の感光体スクイーズローラー6cに付着する液体現像剤を除去する。第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6eで除去された液体現像剤は第1の感光体スクイーズ貯留部6fに貯留される。第1の感光体スクイーズ貯留部6fに貯留された液体現像剤は現像部5の液体現像剤回収部5hに回収される。
【0024】
第2の感光体スクイーズローラー6dは第1の感光体スクイーズローラー6cから感光体2の回転方向側に所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第2の感光体スクイーズローラー6dは第1の感光体スクイーズローラー6cでスクイーズされた感光体2をスクイーズして液体現像剤(主に、キャリアー液)を除去する。第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6gは第2の感光体スクイーズローラー6dをクリーニングして、第2の感光体スクイーズローラー6dに付着する液体現像剤を除去する。第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6gで除去された液体現像剤は第2の感光体スクイーズ貯留部6hに貯留される。第2の感光体スクイーズ貯留部6hに貯留された液体現像剤は現像部5の液体現像剤回収部5hに回収される。
【0025】
一次転写部7には、時計回りに回転する転写ローラー9が配設される。図2ないし図4に示すように、転写ローラー9は、円柱状の基材9aおよび一定厚みまたは略一定厚みの弾性部材であるブランケットシート9bを有する。基材9aはその軸方向両端部に転写ローラー9の回転軸と同軸に配設されるとともに連続した横断面円形の外周面で形成された一対の第1および第2のローラー支持部9c,9d(本発明の被当接部または支持部に相
当)、および軸方向で一対の第1および第2のローラー支持部9c,9dの間の外周部に
設けられた凹部9eを有する。ブランケットシート9bは、その両端部がそれぞれ凹部9e内に軸方向に延設された一対の巻取軸9f、9gに巻き取られて固定される。したがって、この凹部9eにより転写ローラー9の外周面に不連続部が形成される。そして、ブランケットシート9bは所定の張力が付与されて凹部9e、第1および第2のローラー支持部9c,9dを除く基材9aの外周面の一部に密着して巻き付けられて貼着される。その
場合、基材9aの外周面に貼着されたブランケットシート9bの外径と第1および第2のローラー支持部9c,9dの各外径とが同じまたは略同じにされている。また、凹部9e
内に位置するブランケットシート9bの両端部は、凹部9e内に進むにつれて互いに接近するように傾斜した傾斜面9r,9sとされている。
【0026】
更に、転写ローラー9の凹部9eにはシート状のカバー部材9hが設けられる。カバー部材9hは凹部9eの開口端の内側近傍においてブランケットシート9bの両端部間の間隙を覆うように配設される。このカバー部材9hの外周面は、転写ローラー9と同心円の円弧に形成される。
【0027】
一次転写部7では、感光体2と転写ローラー9がそれぞれ予め定められた所定の食い込み量となるように定位置に位置決めされて画像形成装置1の装置本体(不図示)に回転可能に軸支されている。その場合、図1に示すように感光体2と転写ローラー9との食い込みにより、一次転写ニップ7aが形成される。そして、一次転写ニップ7aにより、感光体2に転写されたトナー像が転写ローラー9に転写される。
【0028】
一次転写部7より転写ローラー9の回転方向側の所定の位置に二次転写部10が配設される。二次転写部10は転写ローラー9と二次転写ローラー11を有する。そして、転写ローラー9と二次転写ローラー11は、それぞれ予め定められた所定の食い込み量となるように定位置に位置決めされて画像形成装置1の装置本体に回転可能に軸支されている。その場合、転写ローラー9と二次転写ローラー11との食い込みにより、二次転写ニップ10aが形成される。そして、二次転写ニップ10aにより、転写ローラー9に転写されたトナー像が転写紙等の転写材12に転写される。図示しないが、二次転写部10で転写
材12に転写されたトナー像は、液体現像剤を用いた従来の画像形成装置と同様に定着部で定着される。これにより、画像が転写材12に形成される。
【0029】
感光体クリーニング部8は感光体2をクリーニングする。すなわち、感光体クリーニング部8は、一次転写後に感光体2に残留する液体現像剤を感光体クリーニングブレード8aで除去する。そして、除去された液体現像剤は液体現像剤回収部8bに貯留される。
【0030】
図1ないし図4に示すように二次転写部10より転写ローラー9の回転方向側には、一対の第1および第2の支持フレーム13a,13bが画像形成装置1の装置本体(不図示
)に設けられる。その場合、第1および第2の支持フレーム13a,13bは連結軸13
cで互いに一体的に連結されている。また、第1および第2の支持フレーム13a,13
bは装置本体に回動軸13dにより一体回動するように設けられる。第1および第2の支持フレーム13a,13bには、それぞれ第1ないし第4のローラー13e,13f;13
g,13hが、それぞれ対応する第1および第2の支持フレーム13a,13bの対向面(内面側)に位置して回転するように設けられる。その場合、第1および第2のローラー13e,13fは転写ローラー9の一方のローラー支持部9cの外周面に当接するとともに
、第3および第4のローラー13g,13hは転写ローラー9の他方のローラー支持部9
dの外周面に当接する。
【0031】
各第1および第2の支持フレーム13a,13bと装置本体との間には、それぞれ第1
および第2の付勢スプリング13i,13jが縮設される。そして、各第1および第2の
支持フレーム13a,13bは、それぞれ第1および第2の付勢スプリング13i,13jの付勢力で回動軸13dを中心に反時計回りに回動するように付勢される。これにより、第1ないし第4のローラー13e,13f;13g,13hが、それぞれ対応する転写ロー
ラー9のローラー支持部9c,9dの外周面に当接する。したがって、第1および第2の
支持フレーム13a,13bが凹部9eの位置に関係なく転写ローラー9に対して位置決
めされる。
【0032】
図1、図5、および図6に示すように、第1および第2の支持フレーム13a,13b
の間には転写ローラークリーニング部14が配設される。この転写ローラークリーニング部14は、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14b、転写ローラー
クリーニングローラー14c、転写ローラークリーニングブレード14d、転写ローラー9の液体現像剤回収部14e、回動軸14f、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14h(符号14hは図示しないが、第2の支持フレーム13b側に
配設される第2のクリーニング部本体付勢スプリングを示し、第1の支持フレーム13b側に配設される第1のクリーニング部本体付勢スプリング14gと同じである。説明の便宜上、明細書では符号14hを用いる。)、第1および第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定部材14i,14j、第1および第2の転写ローラークリーニング
ローラー当接荷重調節部材14k,14m、第1および第2の転写ローラークリーニング
ローラー当接荷重設定軸部14n,14o、転写ローラークリーニングローラー14cの
両端の回転軸14p、本発明の第1規制ローラーであるころ状(円筒状)の第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14r(符号14qは図7(a),(b)に図示)を有する。
【0033】
第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bは第1および第2の支持
フレーム13a,13bに回動軸14fにより回動するように設けられる。
【0034】
転写ローラークリーニングローラー14cは第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに回転するように設けられる。この転写ローラークリーニングローラ
ー14cは転写ローラー9の外周面に当接された状態で転写ローラー9の回転に対してカ
ウンタ回転する。そして、転写ローラークリーニングローラー14cはカウンタ回転により、二次転写終了後に転写ローラー9をクリーニングして転写ローラー9に残留する液体現像剤を効果的に除去する。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cはバイアスが印加される。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cによる残留トナーの除去率が向上される。転写ローラークリーニングローラー14cに印加されるバイアスは、転写ローラー9に感光体2からトナー像を転写するためのバイアスが印加されるが、例えばトナーがプラス極性である場合は、転写ローラー9に印加されるバイアスの電位より低い電位である。
【0035】
転写ローラークリーニングブレード14dは転写ローラークリーニングローラー14cに当接されて第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに設けられる
。転写ローラークリーニングブレード14dは転写ローラークリーニングローラー14cをクリーニングして転写ローラークリーニングローラー14cに付着する液体現像剤を除去する。液体現像剤回収部14eは、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに設けられる。この液体現像剤回収部14eは、転写ローラークリーニングロ
ーラー14cから除去された液体現像剤を回収して貯留する。
【0036】
第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hはそれぞれ対応す
る第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bと第1および第2の転写
ローラークリーニングローラー当接荷重設定部材14i,14jとの間に縮設される。そ
して、これらの第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hは第
1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bを、これらの第1および第2
のクリーニング部本体フレーム14a,14bが回動軸14fを中心に回動して転写ロー
ラークリーニングローラー14cが転写ローラー9に当接するように付勢する。
【0037】
第1および第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定部材14i,14j
は、それぞれ対応する第1および第2の支持フレーム13a,13bに固定される。これ
らの第1および第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定部材14i,14
jはそれぞれ第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hの一端
を支持する。これにより、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,
14hの付勢力による転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への当接荷重を定荷重に設定する。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への当接力は比較的大きい。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cが転写ローラー9に予め定められた所定量食い込むので、二次転写後に転写ローラー9に残留する残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)および塗布されたキャリアー液が転写ローラークリーニングローラー14cと転写ローラー9との間をほとんど通過しない。その結果、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニング性が良好になる。
【0038】
第1および第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重調節部材14k,14m
は、それぞれ第1および第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定軸部14n,14oのねじ部(不図示)に螺合される。そして、第1および第2のクリーニング部
本体付勢スプリング14g,14hの付勢力により、第1および第2の転写ローラークリ
ーニングローラー当接荷重調節部材14k,14mは第1および第2の転写ローラークリ
ーニングローラー当接荷重設定部材14i,14jに当接される。
【0039】
第1の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定軸部14nは、対応する第1の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定部材14iを摺動可能に貫通するとともに第1のクリーニング部本体フレーム14aに相対回動可能に連結される。第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定軸部14oは、対応する第2の転写ローラーク
リーニングローラー当接荷重設定部材14jを摺動可能に貫通するとともに第2のクリーニング部本体フレーム14bに相対回動可能に連結される。また、第1および第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定軸部14n,14oは、それぞれ第1および
第2のクリーニング部付勢スプリング14g,14hを嵌合支持する。そして、第1およ
び第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重調節部材14k,14mが回転され
ることで、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hの付勢力
が調節される。このように第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,
14hの付勢力が調節されることで、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hの付勢力による転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラ
ー9への当接荷重が所望の値に調節される。
【0040】
図6に示すように、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14r
は転写ローラークリーニングローラー14cの両端の回転軸14pに、それぞれ転写ローラークリーニングローラー14cと同心または略同心で回転可能に設けられる。図7(a)に示すように、転写ローラークリーニングローラー14cが凹部9e以外の転写ローラー9の連続した外周面のブランケットシート9bに当接する位置にあるときは、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rは、それぞれ第1および第2の
ローラー支持部9c,9dから離間している。
【0041】
また、図7(b)に示すように転写ローラー9の外周面の不連続部である凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるときは、ブランケットシート9bが凹部9e内に進入しているため、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bは第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hの付勢力により転写ローラークリーニングローラー14cが凹部9e内に進入する方向に回動する。すると、転写ローラークリーニングローラー14cが凹部9e内のブランケットシート9bの傾斜面9rに当接しながら凹部9e内に進入する。そして、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rが第1および第2のローラー支持部9c,9dに当接する。このとき、前述のように第1および第2の支持フレーム13a,13b
が凹部9eの位置に関係なく転写ローラー9に対して位置決めされている。その結果、転写ローラークリーニングローラー14cは凹部9e内への進入が規制されるとともに、転写ローラー9が回転することでブランケットシート9bから離間する。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cはカバー部材9hに当接しない。そして、転写ローラークリーニングローラー14cの外周面の凹部9e内への最大進入量は、最大進入量t1に規制される。
【0042】
更に図1、図5、および図6に示すように、二次転写部10より転写ローラー9の回転方向側で転写ローラークリーニング部14より転写ローラー9の回転方向側と反対方向側には、トナー除去液塗布部であるキャリアー液塗布部15が配設される。このキャリアー液塗布部15は、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15b、キャリアー液貯
留部15c、キャリアー液供給ローラー15d、キャリアー液塗布ローラー15e、回動軸15f、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15h(符号15hは図
示しないが、第2の支持フレーム13b側に配設される第2の塗部本体付勢スプリングを示し、第1の支持フレーム13b側に配設される第1の塗部本体付勢スプリング15gと同じである。説明の便宜上、明細書では符号15hを用いる。)、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定部材15i,15j、第1および第2のキャリアー液
塗布ローラー当接荷重調節部材15k,15m、第1および第2のキャリアー液塗布ロー
ラー当接荷重設定軸部15n,15o、キャリアー液塗布ローラー15eの両端の回転軸
15p、本発明の第2規制ローラーであるころ状(円筒状)の第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15r(符号15qは図7(a),(b)に図示)を有する。
【0043】
第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bは、第1および第2の支持フレー
ム13a,13bに回動軸15fにより回動するように設けられる。キャリアー液貯留部
15cは転写ローラー9に塗布するトナー除去液(クリーニング液)であるキャリアー液を貯留する。キャリアー液供給ローラー15dは第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに回転するように設けられる。そして、キャリアー液供給ローラー15dは
回転することでキャリアー液貯留部15c内に貯留されたキャリアー液を汲み上げてキャリアー液塗布ローラー15eに供給する。
【0044】
キャリアー液塗布ローラー15eはキャリアー液供給ローラー15dに当接されて第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに設けられる。キャリアー液供給ローラ
ー15dおよびキャリアー液塗布ローラー15eは塗布部本体フレーム15aに、互いにトレイル回転するように設けられる。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9の回転に対してトレイル回転する。
【0045】
そして、キャリアー液塗布ローラー15eはトレイル回転により、キャリアー液供給ローラー15dから供給されたキャリアー液を二次転写終了後の転写ローラー9のブランケットシート9bの外周面に塗布する。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接力が小さいことから、キャリアー液が転写ローラー9により一層効果的に塗布される。その結果、キャリアー液塗布ローラー15eによる転写ローラー9へのキャリアー液塗布性が良好となる。
【0046】
また、転写ローラークリーニングローラー14cはキャリアー液塗布ローラー15eより鉛直上方となるように配設される。具体的には、転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9との当接位置がキャリアー液塗布ローラー15eより鉛直上方となるように配設される。
【0047】
第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hはそれぞれ対応する第1お
よび第2の塗布部本体フレーム15a,15bと第1および第2のキャリアー液塗布ロー
ラー当接荷重設定部材15i,15jとの間に縮設される。そして、これらの第1および
第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hは第1および第2の塗布部本体フレーム
15a,15bを、これらの第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bが回動軸15fを中心に回動してキャリアー液塗布ローラー15eが転写ローラー9に当接するように付勢する。
【0048】
第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定部材15i,15jは、それ
ぞれ対応する第1および第2の支持フレーム13a,13bに固定される。これらの第1
および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定部材15i,15jはそれぞれ第1
および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの一端を支持する。これにより、
第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの付勢力によるキャリアー液
塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接荷重を定荷重に設定する。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接力は比較的小さい。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9への食い込みが比較的小さく、転写ローラー9にキャリアー液をより一層効果的に塗布する。その結果、キャリアー液塗布ローラー15eによる転写ローラー9へのキャリアー液塗布性が良好となる。
【0049】
また、クリーニング部本体フレーム14a,14bの回動軸14fと第1および第2の
塗布部本体フレーム15a,15bの回動軸15fとが独立して設けられるので、転写ロ
ーラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への当接荷重とキャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接荷重は互いに独立する。
【0050】
第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重調節部材15k,15mは、それ
ぞれ第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定軸部15n,15oのねじ
部(不図示)に螺合される。そして、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの付勢力により、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重調節部材
15k,15mは第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定部材15i,15jに当接される。
【0051】
第1のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定軸部15nは、対応する第1のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定部材15iを摺動可能に貫通するとともに第1の塗布部本体フレーム15aに相対回動可能に連結される。第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定軸部15oは、対応する第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定部材15jを摺動可能に貫通するとともに第2の塗布部本体フレーム15bに相対回動可能に連結される。また、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重設定軸部15n,15
oは、それぞれ第1および第2の塗布部付勢スプリング15g,15hを嵌合支持する。
そして、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー当接荷重調節部材15k,15mが
回転されることで、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの付勢力
が調節される。このように第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの
付勢力が調節されることで、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15h
の付勢力によるキャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接荷重が所望の値に調節される。
【0052】
図6に示すように、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rはキャリ
アー液塗布ローラー15cの両端の回転軸15pに、それぞれキャリアー液塗布ローラー15cと同心または略同心で回転可能に設けられる。図7(a)に示すように、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9e以外の転写ローラー9の連続した外周面のブランケットシート9bに当接する位置にあるときは、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rは、それぞれ第1および第2のローラー支持部9c,9dから離間している。
【0053】
また、図7(b)に示すように転写ローラー9の外周面の不連続部である凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向する位置にあるときは、ブランケットシート9bが凹部9e内に進入しているため、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bは
第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの付勢力によりキャリアー液
塗布ローラー15eが凹部9e内に進入する方向に回動する。すると、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9e内のブランケットシート9bの傾斜面9rに当接しながら凹部9e内に進入する。そして、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rが
第1および第2のローラー支持部9c,9dに当接する。このとき、前述のように第1お
よび第2の支持フレーム13a,13bが凹部9eの位置に関係なく転写ローラー9に対
して位置決めされている。その結果、キャリアー液塗布ローラー15eは凹部9e内への進入が規制されるとともに、転写ローラー9が回転することでブランケットシート9bから離間する。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eはカバー部材9hに当接しない。そして、キャリアー液塗布ローラー15eの外周面の凹部9e内への最大進入量は、第2の最大進入量t2に規制される。
【0054】
ところで、この例の画像形成装置1では、転写ローラークリーニングローラー14cの半径R1(mm)はキャリアー液塗布ローラー15eの半径R3(mm)より大きい。また、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rの半径R2(mm
)は第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rの半径R4(mm)と等し
いかまたは略等しい。したがって、転写ローラークリーニングローラー14cの半径R1(mm)と第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rの半径R2
(mm)との差は、キャリアー液塗布ローラー15eの半径R3(mm)と第1および第
2の塗布ローラー側ローラー15q,15rの半径R4(mm)との差より大きい((R
1−R2)>(R3−R4)>0)。その結果、転写ローラークリーニングローラー14cの外周面の凹部9e内への最大進入量t1は、キャリアー液塗布ローラー15eの外周面の凹部9e内への第2の最大進入量t2より大きい(t1>t2)。このとき、転写ローラー9の凹部9eとキャリアー液塗布ローラー15eとが対向する時の転写ローラー9の回転中心からキャリアー液塗布ローラー15eの周面までの距離L1(mm)転写ローラー9の凹部9eと転写ローラークリーニングローラー14cとが対向する時の転写ローラー9の回転中心から転写ローラークリーニングローラー14cの周面までの距離L2(mm)、及び転写ローラー9の凹部9eを除く周面までの半径R(mm)が、L2 < L1 < R の関係を有する。
【0055】
次に、この例の転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eの作動について説明する。
図8(a)に示すように、転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eのいずれにも対向しない位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eは、いずれも連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接する。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eはキャリアー液を円弧状のブランケットシート9bの外周面に塗布するとともに、転写ローラークリーニングローラー14cは円弧状のブランケットシート9bをクリーニングしてこの円弧状のブランケットシート9bに付着する残留液体現像剤および塗布されたキャリアー液を除去する。このとき、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rと第1および第2の塗布ローラー側ローラ
ー15q,15rは、ブランケットシート9bから離間する。そして、転写ローラー9の
回転で、図8(b)に示すようにキャリアー液塗布ローラー15eは連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面から離間する直前位置となる。
【0056】
転写ローラー9の更なる回転で、図8(c)に示すようにキャリアー液塗布ローラー15eが連続した円弧状のブランケットシート9bの傾斜面9rに当接しつつ移動した後外周面から離間するとともに、転写ローラークリーニングローラー14cが連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面から離間する直前位置となる。すると、キャリアー液塗布ローラー15eによるキャリアー液の塗布が停止する。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9e内に進入するとともに、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rがそれぞれ第1および第2のローラー支持部9c,9dに当接する。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eは第2の最大進入量t2まで凹部9e内に進入する。
【0057】
転写ローラー9の更なる回転で、図8(d)に示すように転写ローラークリーニングローラー14cが連続した円弧状のブランケットシート9bの傾斜面9rに当接しつつ移動した後外周面から離間するとともに、キャリアー液塗布ローラー15eが第2の最大進入量t2に保持されてブランケットシート9bの外周面から離間した状態が維持される。すると、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニングが停止するとともに、キャリアー液塗布ローラー15eによるキャリアー液の塗布停止が継続される。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9e内に進入するとともに、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rがそれぞれ第1およ
び第2のローラー支持部9c,9dに当接する。これにより、転写ローラークリーニング
ローラー14cは最大進入量t1まで凹部9e内に進入する。
【0058】
転写ローラー9の更なる回転で、図9(a)に示すようにキャリアー液塗布ローラー15eがブランケットシート9bの傾斜面9sに当接した後、ブランケットシート9bの傾斜面に当接しながら移動して連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接す
る位置となる。すると、キャリアー液塗布ローラー15eによるキャリアー液の塗布が開始される。このとき、転写ローラークリーニングローラー14cは最大進入量t1に保持されてブランケットシート9bの外周面から離間した状態が維持される。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニング停止が継続される。
【0059】
転写ローラー9の更なる回転で、図9(b)に示すように転写ローラークリーニングローラー14cがブランケットシート9bの傾斜面9sに当接した後、ブランケットシート9bの傾斜面に当接しながら移動して連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接する位置となる。すると、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニングが開始される。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eによる円弧状のブランケットシート9bへのキャリアー液の塗布が継続される。
【0060】
転写ローラー9の更なる回転で、図9(c)に示すように転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eがともに連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接した状態となる。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eによるブランケットシート9bへのキャリアー液の塗布および転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニングがともに行われる。
【0061】
ところで、図10(a)に示すように転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9との当接位置を通過する際に、残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)およびキャリアー液塗布ローラー15eにより塗布されたキャリアー液は、ブランケットシート9bが凹部9e以外の転写ローラー9の外周面から凹部9e内へ進入した直後のブランケットシート9bの傾斜面9r,9sの領域AおよびBに堆
積しがちとなる。
【0062】
そこで、前述のような転写ローラークリーニングローラー14cの一連の作動により、ブランケットシート9bの傾斜面9r,9sの領域AおよびBに堆積しがちな残留液体現
像剤(残留トナー、残留キャリアー液)およびキャリアー液塗布ローラー15eにより塗布されたキャリアー液が除去される。このとき、前述のように転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9e内への最大進入量t1がキャリアー液塗布ローラー15eの凹部9e内への第2の最大進入量t2より大きいことで、図10(a)に示すように凹部9e内へ大きく進入した転写ローラークリーニングローラー14cによってまず領域Aに堆積したトナーおよびキャリアー液が転写ローラークリーニングローラー14cによって効率よく除去されるか、領域Bに移動する(このため、領域Aの残留液体現像剤および塗布キャリアー液は図10(a)には示されていない)。次に、図10(b)に示すように領域Bが転写ローラークリーニングローラー14cの当接位置に来ることで、領域Aに堆積したトナーおよびキャリアー液が転写ローラークリーニングローラー14cによって効率よく除去される。
【0063】
この例の転写装置および画像形成装置1によれば、転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向しない位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cは転写ローラー9の凹部9e以外の外周面に当接される。したがって、二次転写後の転写ローラー9の凹部9e以外の外周面を転写ローラークリーニングローラー14cによりクリーニングすることが可能となる。これにより、二次転写後の転写ローラー9に付着する残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)を除去することができる。また、転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cは転写ローラー9の凹部9e内に進入する。このとき、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rが第1および第2のローラー支持部9c,9dに当接することで、転写ロ
ーラークリーニングローラー14cの凹部9e内への進入量が最大進入量t1に規制される。したがって、この転写ローラークリーニングローラー14cにより、凹部9eを除く転写ローラー9の外周面から凹部9e内へ進入した直後のブランケットシート9bの傾斜面9r,9sの領域AおよびBに堆積しがちな残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリ
アー液)および塗布キャリアー液を効果的に除去することが可能となる。これにより、凹部9e内に残留液体現像剤および塗布キャリアー液が溜まることを防止することができるとともに、残留液体現像剤および塗布キャリアー液が凹部9eから滲み出してくることも防止できる。更に、このように残留液体現像剤および塗布キャリアー液が凹部9e内に堆積することがほとんどないので、画像形成装置1が長期間使用されても、凹部9e内に残留液体現像剤および塗布キャリアー液が堆積することにより、転写ローラー9以外の他のローラーの汚染や転写材12の汚染等の転写ローラー9の周辺の部材の汚染をより効果的に防止することが可能となる。その結果、凹部9e内に堆積する残留液体現像剤および塗布キャリアー液による画像欠陥を防止でき、高画質の画像を得ることができる。
【0064】
更に、転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向しない位置にあるときは、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9の凹部9e以外の外周面に当接される。したがって、二次転写後の転写ローラー9の凹部9e以外の外周面に、残留トナーを除去しやすくするためのキャリアー液をキャリアー液塗布ローラー15eにより塗布することが可能となる。これにより、二次転写後の転写ローラー9に付着する残留トナーを効果的に除去することができる。また、転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向する位置にあるときは、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9の凹部9e内に進入する。このとき、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rが第1および第2のローラー支持部9c,9dに当接することで、キャリアー液塗布ローラー15eの凹部9e内への進入量が第2の最大進入量t2に規制される。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cの半径R1(mm)と第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rの半径R2(mm)との差
が、キャリアー液塗布ローラー15eの半径R3(mm)と第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rの半径R4(mm)との差より大きい((R1−R2)>(
R3−R4))ので、簡単な構成で、転写ローラークリーニングローラー14cの外周面の凹部9e内への最大進入量t1を、キャリアー液塗布ローラー15eの外周面の凹部9e内への第2の最大進入量t2より大きくすることが可能となる。
【0065】
そして、このようにキャリアー液塗布ローラー15eの第2の最大進入量t2が転写ローラークリーニングローラー14cの最大進入量t1より小さいので、キャリアー液はブランケットシート9bのほぼ前述の領域AおよびB内に堆積させることが可能となる。したがって、この転写ローラークリーニングローラー15eにより、キャリアー液塗布ローラー15eによって凹部9e内のブランケットシート9bに塗布されたキャリアー液を効果的に除去することができる。これにより、一層高画質の画像を得ることができる。
【0066】
このようにして、この例の転写装置および画像形成装置1では、残留液体現像剤および塗布キャリアー液が転写ローラー9の凹部9e内に堆積することがほとんどないので、前述の特許文献1に記載されているようなウエブクリーニング機構や吸引ポンプを不要にすることができ、転写装置および画像形成装置1を簡単な構造とすることができる。そして、転写装置および画像形成装置1が簡単な構造になることから、転写装置および画像形成装置1の高い信頼性を得ることができるとともに省スペース化を図ることができる安価な転写装置および画像形成装置を実現することができる。
【0067】
図11は本発明の転写装置の実施の形態の他の例を部分的に示す部分斜視図、図12は図11における横断面図である。
図11および図12に示すように、この例の転写装置および画像形成装置1では、転写
ローラー9の基材9aが、更に第3および第4のローラー支持部9i,9jを有する。こ
れらの第3および第4のローラー支持部9i,9jは、それぞれ第1および第2のローラ
ー支持部9c,9dの内側に隣接して設けられる。その場合、第1および第2のローラー
支持部9c,9dは塗布ローラー側ローラー支持部に相当するとともに、第3および第4
のローラー支持部9i,9jは本発明のクリーニングローラー側ローラー支持部に相当す
る。
【0068】
第3および第4のローラー支持部9i,9jは、凹部9eに対応する以外の部分の外周
面が第1および第2のローラー支持部9c,9dの外周面の半径と同じまたは略同じ半径
の円弧に形成される。また、凹部9eに対応する第3および第4のローラー支持部9i,
9jの部分は凹部に形成される。その場合、第3および第4のローラー支持部9i,9j
の凹部は、第3および第4のローラー支持部9i,9jの回転方向両端面が傾斜面9k,9m;9n,9oとされるとともに、これらの傾斜面の間の第3および第4のローラー支持部9i,9jの外周面が円弧面9p,9q(符号9qは図示されないが、前述と同様に説明の便宜上用いる。)とされる。各傾斜面9k,9m;9n,9oはそれぞれブランケットシー
ト9bの傾斜面9r,9sと軸方向に整合または略整合する傾斜面に形成されるとともに
、円弧面9p,9qはそれぞれ転写ローラー9の外周面と同心または略同心の円の円弧面
に形成される。その場合、第3および第4のローラー支持部9i,9jの傾斜面9k,9m;9n,9oの間の円弧面9p,9qの半径R6(mm)は、転写ローラー9の外周面の半
径(外径)R5(mm)より小さいとともに円弧状のカバー部材9hの外周面の半径R7(mm)より大きい(R7<R6<R5)。
【0069】
また、この例の画像形成装置1では、転写ローラークリーニングローラー14cの半径R1(mm)とキャリアー液塗布ローラー15eの半径R3(mm)は互いに等しいかあるいは略等しい(R1=R3またはR1≒R3)。更に、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rの半径R2(mm)は、第1および第2の塗布ローラ
ー側ローラー15q,15rの半径R4(mm)より小さい(R2<R4)。したがって
、この例の画像形成装置1においても、転写ローラークリーニングローラー14cの半径R1(mm)と第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rの半径
R2(mm)との差(R1−R2)は、キャリアー液塗布ローラー15eの半径R3(mm)と第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rの半径R4(mm)との
差(R3−R4)より大きい((R1−R2)>(R3−R4)>0)。
【0070】
凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるとき、第1のクリーニングローラー側ローラー14qは、第3のローラー支持部9iの傾斜面9k,
9mおよび円弧面9pに当接しながら移動するとともに、第2のクリーニングローラー側ローラー14rは、第4のローラー支持部9jの傾斜面9n,9oおよび円弧面9qに当
接しながら回転する。そして、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14qがそれぞれ円弧面9p,9qに当接するとき、転写ローラークリーニングローラー14cの外周面は凹部9e内に最大進入量t1だけ進入する。
【0071】
一方、凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるとき、キャリアー液塗布ローラー15eは、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rは、それぞれ前述の例と同様に不連続部のない第1および第2のローラー支持部
9c,9dの外周面に当接しながら回転する。したがって、第1および第2の塗布ローラ
ー側ローラー15q,15qがそれぞれ第1および第2のローラー支持部9c,9dの外周面に当接するとき、キャリアー液塗布ローラー15eの外周面は凹部9e内に第2の最大進入量t2だけ進入する。その場合、各ローラーの半径R1,R2,R3,R4が(R1−
R2)>(R3−R4)であるとともに、第3および第4のローラー支持部9i,9jが
凹部を有するので、前述の例と同様に転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9
e内への最大進入量t1は、キャリアー液塗布ローラー15eの凹部9e内への第2の最大進入量t2より大きい(t1>t2)。
【0072】
次に、この例の転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eの作動について説明する。
図13(a)に示すように、転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eのいずれにも対向しない位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eは、いずれも連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接する。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eはキャリアー液を円弧状のブランケットシート9bの外周面に塗布するとともに、転写ローラークリーニングローラー14cは円弧状のブランケットシート9bをクリーニングしてこの円弧状のブランケットシート9bに付着する残留液体現像剤および塗布されたキャリアー液を除去する。このとき、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rと第1および第2の塗布ローラー側ロー
ラー15q,15rは、ともにブランケットシート9bから離間する。そして、転写ロー
ラー9の回転で、図13(b)に示すようにキャリアー液塗布ローラー15eは連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面から離間する直前位置となる。
【0073】
転写ローラー9の更なる回転で、キャリアー液塗布ローラー15eがブランケットシート9bの傾斜面9rに当接しつつ移動する。第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rがそれぞれ第3および第4のローラー支持部9i,9jの円弧面9p,9qに
当接すると、キャリアー液塗布ローラー15eの凹部9eへの進入が停止する。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eは第2の最大進入量t2だけ凹部9e内へ進入する。転写ローラー9の更なる回転で、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15
rがそれぞれ円弧面9p,9qに当接しながら回転することにより、キャリアー液塗布ロ
ーラー15eが傾斜面9rから離間する。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eは第2の最大進入量t2が維持される。
【0074】
図13(c)に示すように、転写ローラー9の更なる回転で転写ローラークリーニングローラー14cは連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面から離間する直前位置となる。このとき、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rは円弧面
9p,9qに当接していて、キャリアー液塗布ローラー15eは第2の最大進入量t2に
維持される。
【0075】
転写ローラー9の更なる回転で、転写ローラークリーニングローラー14cがブランケットシート9bの傾斜面9rに当接しつつ移動する。図13(d)に示すように、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rがそれぞれ第3および第4の
ローラー支持部9i,9jの円弧面9p,9qに当接すると、転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9eへの進入が停止する。このとき、転写ローラークリーニングローラー14cは最大進入量t1だけ凹部9e内へ進入する。図14(a)に示すように、転写ローラー9の更なる回転で、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rがそれぞれ円弧面9p,9qに当接しながら回転することにより、転写ローラークリーニングローラー14cが傾斜面9rから離間する。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニングが停止する。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cは最大進入量t1が維持される。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eはブランケットシート9bから離間して第2の最大進入量t2に維持される。
【0076】
転写ローラー9の更なる回転で、キャリアー液塗布ローラー15eがブランケットシート9bの傾斜面9sに当接した後、図14(b)に示すようにブランケットシート9bの
傾斜面9sに当接しながら移動して連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接する位置となる。すると、キャリアー液塗布ローラー15eによるキャリアー液の塗布が開始される。このとき、転写ローラークリーニングローラー14cは最大進入量t1に保持されてブランケットシート9bの外周面から離間した状態が維持される。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニング停止が継続される。
【0077】
転写ローラー9の更なる回転で、転写ローラークリーニングローラー14cはブランケットシート9bの傾斜面9sに当接した後、ブランケットシート9bの傾斜面9sに当接しながら移動して、図14(c)に示すように連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接する位置となる。すると、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニングが開始される。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eによる円弧状のブランケットシート9bへのキャリアー液の塗布が継続される。
【0078】
転写ローラー9の更なる回転で、図14(d)に示すように転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eがともに連続した円弧状のブランケットシート9bの外周面に当接した状態となる。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eによるブランケットシート9bへのキャリアー液の塗布および転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニングがともに行われる。
【0079】
この例の転写装置および画像形成装置1によれば、転写ローラークリーニングローラー14cの第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14qが当接する第
3および第4のローラー支持部9i,9jが凹部を有するので、転写ローラークリーニン
グローラー14cの半径R1(mm)と第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rの半径R2(mm)との差(R1−R2)をそれほど大きくしなくても
、転写ローラークリーニングローラー14cの最大進入量t1をキャリアー液塗布ローラー15eの第2の最大進入量t2より効果的に大きくすることが可能となる。
この例の転写装置および画像形成装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は前述の例と同じである。
【0080】
なお、本発明の転写装置および画像形成装置は、前述の実施の形態の各例に限定されることはない。例えば、転写ローラークリーニングローラー14cの半径R1(mm)、第1および第2のクリーニングローラー側ローラー14q,14rの半径R2(mm)、キ
ャリアー液塗布ローラー15eの半径R3(mm)、および、第1および第2の塗布ローラー側ローラー15q,15rの半径R4(mm)の関係は、前述の各例に限定されるこ
とはなく、(R1−R2)>(R3−R4)>0の関係を満たしさえすれば、任意に設定することができる。また、前述の実施の形態の各例ではキャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに供給するキャリアー液供給部材としてキャリアー液供給ローラー15dを用いているが、キャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに滴下するキャリアー液滴下部材等の他のキャリアー液供給部材を用いることもできる。更に、前述の実施の形態の各例では残留トナーを容易に除去することを可能にするためにキャリアー液を用いているが、公知の他のトナー除去液を用いることもできる。要は、本発明の転写装置および画像形成装置は、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…画像形成装置、2…感光体、3…帯電部、4…露光部、5…現像部、6…感光体スクイーズ部、7…一次転写部、8…感光体クリーニング部、5e…現像ローラー、6a…第1の感光体スクイーズローラー、6c…第2の感光体スクイーズローラー、9…転写ローラー、9a…基材、9b…ブランケットシート、9c,9d…ローラー支持部、9e…凹
部、9i…第3のローラー支持部、9j…第4のローラー支持部、9k,9m,9n,9o
…傾斜面、9p,9q…円弧面、9r,9s…傾斜面、10…二次転写部、10a…二次転写ニップ、11…二次転写ローラー、12…転写材、13a…第1の支持フレーム、13b…第2の支持フレーム、13e…第1のローラー、13f…第2のローラー、13g…第3のローラー、13h…第4のローラー、13i…第1の付勢スプリング、13j…第2の付勢スプリング、14…転写ローラークリーニング部、14a…第1のクリーニング部本体フレーム、14b…第2のクリーニング部本体フレーム、14c…転写ローラークリーニングローラー、14i…第1の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材、14j…第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材、14k…第1の転写ローラークリーニングローラー当接荷重調節部材、14m…第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重調節部材、14g…第1の塗布部本体付勢スプリング、14h…第2の塗布部本体付勢スプリング、14n…第1の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定軸部、14o…第2の転写ローラークリーニングローラー当接荷重設定軸部、14p…回転軸、14q…第1のクリーニングローラー側ローラー、14r…第2のクリーニングローラー側ローラー、15…キャリアー液塗布部、15a…第1の塗布部本体フレーム、15b…第2の塗布部本体フレーム、15d…キャリアー液供給ローラー、15e…キャリアー液塗布ローラー、15i…第1のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材、15j…第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材、15k…第1の塗布部本体回動規制部材、15m…第2の塗布部本体回動規制部材、15g…第1の塗布部本体付勢スプリング、15h…第2の塗布部本体付勢スプリング、15n…第1の塗布部本体回動規制軸部、15o…第2の塗布部本体回動規制軸部、15p…回転軸、15q…第1の塗布ローラー側ローラー、15r…第2の塗布ローラー側ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に凹部を有し、トナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像された像を転写材に転写する転写ローラーと、
前記転写ローラーと当接して前記転写ローラーにトナー除去液を塗布する塗布ローラーと、
前記塗布ローラーでトナー除去液が塗布された前記転写ローラーに当接して前記転写ローラーをクリーニングするクリーニングローラーと、を有し、
前記転写ローラーの回転により、前記転写ローラーの前記凹部と前記塗布ローラーとが対向する時の前記転写ローラーの回転中心から前記塗布ローラーの周面までの距離L1(mm)、前記転写ローラーの前記凹部と前記クリーニングローラーとが対向する時の前記転写ローラーの回転中心から前記クリーニングローラーの周面までの距離L2(mm)、及び前記転写ローラーの前記凹部を除く周面までの半径R(mm)が、
L2 < L1 < R
の関係を有することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記転写ローラーの前記凹部が前記クリーニングローラーに対向するとき、被当接部に当接して前記クリーニングローラーを前記凹部内に進入させた位置に規制する第1規制ローラーと、
前記転写ローラーの回転により前記転写ローラーの前記凹部が前記塗布ローラーに対向するとき、前記被当接部に当接して前記塗布ローラーを前記凹部内に進入させた位置に規制する第2規制ローラーと、を有し、
前記クリーニングローラーの半径R1(mm)、前記第1規制ローラーの半径R2(mm)、前記塗布ローラーの半径R3(mm)、及び前記第2規制ローラーの半径R4(mm)が、
|R1−R2| > |R3−R4|
の関係を有する請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
潜像が形成される潜像担持体と、
トナー及びキャリア液を含む液体現像剤で前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で現像された像を担持する像担持体と、
周面に凹部を有し、前記像担持体に担持された像を転写材に転写する転写ローラーと、
前記転写ローラーと当接して前記転写ローラーにトナー除去液を塗布する塗布ローラーと、
前記塗布ローラーでトナー除去液が塗布された前記転写ローラーに当接して前記転写ローラーをクリーニングするクリーニングローラーと、を有し、
前記転写ローラーの回転により、前記転写ローラーの前記凹部と前記塗布ローラーとが対向する時の前記転写ローラーの回転中心から前記塗布ローラーの周面までの距離L1(mm)、前記転写ローラーの前記凹部と前記クリーニングローラーとが対向する時の前記転写ローラーの回転中心から前記クリーニングローラーの周面までの距離L2(mm)、及び前記転写ローラーの前記凹部を除く周面までの半径R(mm)が、
L2 < L1 < R
の関係を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
潜像が形成される潜像担持体と、
トナー及びキャリア液を含む液体現像剤で前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で現像された像を担持する像担持体と、
周面に凹部を有し、前記像担持体に担持された像を転写材に転写する転写ローラーと、
前記転写ローラーと当接して前記転写ローラーにトナー除去液を塗布する塗布ローラーと、
前記転写ローラーの回転軸と同軸に配設された支持部と、
前記転写ローラーの回転により前記転写ローラーの前記凹部が前記クリーニングローラーに対向するとき、前記支持部に当接して前記クリーニングローラーを前記凹部内に進入させた位置に規制する第1規制ローラーと、
前記転写ローラーの回転により前記転写ローラーの前記凹部が前記塗布ローラーに対向するとき、前記支持部に当接して前記塗布ローラーを前記凹部内に進入させた位置に規制する第2規制ローラーと、を有し、
前記クリーニングローラーの半径R1(mm)、前記第1規制ローラーの半径R2(mm)、前記塗布ローラーの半径R3(mm)、及び前記第2規制ローラーの半径R4(mm)が、
|R1−R2| > |R3−R4|
の関係を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニングローラーの半径R1(mm)は前記塗布ローラーの半径R3(mm)より大きい請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記転写ローラーの軸方向端部に配設された半径R5(mm)のローラーであり、
前記ローラーの半径R5(mm)は、前記転写ローラーの回転中心から前記転写ローラーの前記凹部を除く周面までの距離と等しいかもしくは略等しい請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニングローラーの回転方向は、前記転写ローラーの回転方向と同じである請求項4ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−208348(P2012−208348A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74396(P2011−74396)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】