説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】簡単な構造で濃度センサのレンズ面を清掃する。
【解決手段】両面印刷が実行された場合に、反転路47を記録用紙Pが通過する際に可動して、被検出面上のトナーの濃度を測定する濃度センサ60のレンズ面61を摺擦する清掃装置を転写ユニット50の第3筐体部56に設けた。清掃部材110は、清掃装置が可動した際に濃度センサ60のレンズ面61に対向するようにリンク機構に設けられ、フェルト又はクリーニングブラシから構成される。清掃部材110の大きさは、例えば、横幅w1が8mm、縦幅w2が5mm、厚さh1が5mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感光体や中間転写ベルトに形成されたトナー像を記録用紙に転写・定着させることによって画像を形成する画像形成装置が知られている。かかる画像形成装置には、濃度センサを有した転写装置を備えるものがある。該画像形成装置では、転写搬送ベルト等にテスト用のパッチ画像を転写形成して、濃度センサによって該パッチ画像の濃度を測定している。
【0003】
特許文献1には、カートリッジを画像形成装置に着脱する際に、カートリッジに設けられた清掃部材が濃度センサのレンズ面を摺擦して清掃する構成が提案されている。
【0004】
特許文献2には、ソレノイドを使用して清掃部材を設けたシャッタ部材を移動させることにより、該清掃部材が濃度センサのレンズ面を摺擦して清掃する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−91650号公報
【特許文献2】特開2007−231757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡単な構造で濃度センサのレンズ面を清掃することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る転写装置は、両面印刷の際に記録媒体が搬送される反転面と、前記反転面を前記記録媒体が通過する際に可動して、被検出面上のトナーの濃度を測定するセンサのレンズ面を摺擦する清掃手段と、を有する。
【0008】
本発明の請求項2に係る転写装置は、請求項1の記載において、前記清掃手段は、前記記録媒体と接触することにより可動する。
【0009】
本発明の請求項3に係る転写装置は、請求項2の記載において、前記清掃手段は、前記センサのレンズ面を摺擦する清掃部材と、前記記録媒体と接触して、前記清掃部材を前記センサのレンズ面へ移動させるリンク機構と、を有する。
【0010】
本発明の請求項4に係る転写装置は、請求項3の記載において、前記リンク機構は、前記反転面上に位置し、前記記録媒体の通過により前記記録媒体と接触して回転する回転部材と、前記回転部材に連結され、前記回転部材の回転に伴って、前記清掃部材を前記センサのレンズ面へ移動させる移動部材と、を有する。
【0011】
本発明の請求項5に係る転写装置は、請求項4の記載において、前記記録媒体の通過後、前記回転部材を前記反転面上へ位置させる戻り手段を有する。
【0012】
本発明の請求項6に係る転写装置は、請求項4又は5の記載において、前記反転面には搬送ローラが設けられ、前記回転部材は、前記搬送ローラの軸上に設けられている。
【0013】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、両面印刷の際に記録媒体が搬送される反転路と、前記記録媒体にトナー像を転写する像保持体と、前記トナー像のトナー濃度を測定するセンサと、前記反転路を前記記録媒体が通過する際に可動して、前記センサのレンズ面を摺擦する清掃手段と、を有する。
【0014】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、請求項7の記載において、前記両面印刷が予め定められた間に実行されない場合、片面印刷が指示された際に、前記記録媒体の裏面を印刷しない両面印刷を実行する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、別個の駆動源がなくてもセンサのレンズ面を清掃することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、両面印刷の際に搬送される記録媒体で清掃手段を駆動させることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、リンク機構により反転面から離れたセンサのレンズ面も清掃できる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、記録媒体の搬送力を効率良く清掃部材に伝達することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、清掃部材が往復移動できる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、回転部材を容易に回転させることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、別個の駆動源がなくてもセンサのレンズ面を清掃することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、定期的にセンサを清掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像形成装置の構成を示す概略側面図である。
【図2】画像形成装置を構成する搬送ユニットが取り付けられたカバー体と本体フレームとを示す概略斜視図である。
【図3】図2に示す搬送ユニットの分解斜視図である。
【図4】濃度センサの構成を説明する説明図である。
【図5】本実施形態に係る転写ユニットをガイド板側から見た概観図である。
【図6】図5に示す転写ユニットのA−A矢視断面図である。
【図7】図6に示す清掃手段の概観斜視図である。
【図8】本実施形態に係る転写ユニットの動作を示す説明図である。(A)は動作前の状態(初期状態)を示す転写ユニットの一部断面図であって、(B)は動作途中の状態を示す転写ユニットの一部断面図であり、(C)は動作後の状態を示す転写ユニットの一部断面図である。
【図9】画像形成装置の制御手段の実行フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。なお、各図において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎に配設されているものについては、符号の後に「Y」、「M」、「C」、「K」の英字が付されているものがある。
【0025】
まず、本発明に係る画像形成装置10の概要について説明する。図1、図2で示すように、画像形成装置10は、感光体20及び現像ユニット16を着脱可能に収容する本体フレーム12と、その感光体20及び現像ユニット16を開放・閉塞するカバー体14と、を有しており、そのカバー体14に、記録用紙Pを搬送可能な搬送ベルト34を備えた搬送ユニット18が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
現像ユニット16には、ロール状の感光体20の表面を一様に帯電する帯電ローラ22と、画像データに基づいて感光体20に画像光を照射し、静電電位の差による潜像を形成する光学箱24と、潜像にトナーを選択的に転移して可視化する現像ローラ26と、トナー像が転写された後の感光体20に摺接し、その感光体20に残留するトナーをクリーニングするクリーニング部材28と、が備えられている。
【0027】
感光体20は、表面(周面)に感光体層を有し、帯電ローラ22によって、その表面(周面)が一様に帯電された後、光学箱24から照射されるレーザー光(画像光)によって、その表面(周面)が露光され、その露光された部分の電位が減衰することにより静電潜像(画像)が形成される。なお、帯電ローラ22は、感光体20に接触し、これらの間に電圧が印加され、接触部付近の微少間隙内で放電が生じることにより、感光体20の表面(周面)を略一様に帯電する。
【0028】
光学箱24は、点滅するレーザー光を感光体20の表面(周面)に走査させ、画像データに基づいた静電潜像を感光体20の表面(周面)上に形成する。なお、光学箱24としては、LED等の発光素子を配列し、これらを画像データに基づいて点滅させるものなどが考えられる。
【0029】
現像ローラ26は、感光体20と近接して対向するように配置され、この現像ローラ26と感光体20との間に現像バイアス電圧が印加されるようになっている。これにより、現像ローラ26と感光体20との間には現像バイアス電界が形成され、電荷を有するトナーが感光体20上の露光された部分に転移して可視像を形成する。
【0030】
一方、搬送ユニット18は、少なくとも駆動ローラ30と従動ローラ32に張架された搬送ベルト34を備えており、その搬送ベルト34の内面側で、駆動ローラ30と従動ローラ32の間には、転写ローラ36が予め定められた間隔を隔てて複数(後述する各色に対応して4個)配設されている。
【0031】
この転写ローラ36は、カバー体14が閉じられたとき(カバー体14を本体フレーム12側に回転して感光体20等を閉塞したとき)、搬送ベルト34を挟んで感光体20と対向するようになっており、感光体20との間に転写電界を形成することによって、搬送ベルト34に搬送されて通過する記録用紙P上に、感光体20表面のトナー像(未定着像)を転写させるようになっている。
【0032】
また、搬送ユニット18は、両面印刷が実行指示された場合に、表面にプリントが行われた記録用紙Pを表裏反転させて搬送ベルト34の搬送面へ搬送する両面搬送部43を備えている。この両面搬送部43の反転路47は、カバー体14に取り付けられる第1筐体部52と、転写ユニット50と、で形成される。第1筐体部52と転写ユニット50には、鉛直方向に配列された複数の搬送ローラ対45が配列され、また搬送ローラ対45によって搬送される記録用紙Pをガイドするガイド板47A、47Bとが設けられている。
【0033】
ここで、現像ユニット16は、例えば、下からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に鉛直方向に配設されており、これら現像ユニット16Y〜16Kよりも記録用紙Pの搬送方向下流側(本体フレーム12の上部)には、定着装置38が配設されている。
【0034】
定着装置38は、互いの周面が対向して予め定められた圧力で圧接(ニップ)される加熱ローラ40と加圧ローラ42とを備えており、これら加熱ローラ40及び加圧ローラ42で記録用紙P上に転写された未定着のトナー像を加熱・加圧することにより、その記録用紙Pにトナー像を定着するようになっている。
【0035】
なお、定着装置38(加熱ローラ40及び加圧ローラ42)によって加熱・加圧されてトナー像が定着された記録用紙Pは、排紙トレイ44上へ排出される。そして、記録用紙Pへトナー像を転写終了後、感光体20の表面(周面)は、クリーニング部材28によってクリーニング処理され、次回の作像処理に備えるようになっている。
【0036】
また、本体フレーム12の下部には、記録用紙Pを収容する着脱自在な用紙収納部46が備えられている。この用紙収納部46は、記録用紙Pが送り出される方向と逆方向に引き抜き可能となっており、逆方向に引き抜いた際に記録用紙Pが給紙される。
【0037】
そして、用紙収納部46の先端部上部には、用紙収納部46内から記録用紙Pを1枚ずつ送り出す給紙ローラ対48が設けられており、給紙ローラ対48から送り出された記録用紙Pは、レジストローラ対49によって、予め定められたタイミングで搬送ベルト34の搬送面へ送り出され、各色のトナー像の転写位置へ搬送される。
【0038】
以上の構成を備えた画像形成装置10において、次にカバー体14に着脱可能に取り付けられる搬送ユニット18について説明する。
【0039】
図3は、図2に示す搬送ユニット18の分解斜視図である。
【0040】
図3に示すように、搬送ユニット18は、第1筐体部52と、転写ユニット50とで構成されている。
【0041】
第1筐体部52は、搬送ローラ対45の片方が配列されたガイド板47Bを有しており、このガイド板47Bが反転路47の一方の路面を形成している。すなわち、この第1筐体部52が転写ユニット50と組付けられたとき、転写ユニット50のガイド板47Aと第1筐体部52のガイド板47Bとで反転路47が形成される。
【0042】
転写ユニット50は、枠状の第2筐体部54を備えている。この第2筐体部54の上端部には、駆動ローラ30が回転可能に支持され、下端部には従動ローラ32が回転可能に支持されている。そして、その駆動ローラ30と従動ローラ32に、記録用紙Pを静電吸着可能な搬送ベルト34が巻回・張架されている。
【0043】
この搬送ベルト34の内面側で、駆動ローラ30と従動ローラ32の間には、各色毎に予め定められた間隔を隔てて転写ローラ36Y〜36Kが配設されており、各転写ローラ36Y〜36Kも第2筐体部54に回転可能に支持されている。
【0044】
また、転写ユニット50は、箱状の第3筐体部56を備えている。この第3筐体部56の外面側(カバー体14側)には、複数(図示のものは4個)のコイルバネ58が設けられ、カバー体14が閉じられたときに、転写ユニット50を本体フレーム12側へ予め定められた圧力で押圧するようになっている。これにより、各転写ローラ36Y〜36Kと搬送ベルト34は、各感光体20Y〜20Kに予め定められた圧力で圧接される。
【0045】
また、第3筐体部56の上端部からは庇部56Aが張り出しており、駆動ローラ30と対面している。この庇部50Aの上面中央部には、搬送ベルト34と対面し、搬送ベルト34に転写形成されたテスト用のトナー像の濃度を測定する濃度センサ60が配設されている。
【0046】
図4は、濃度センサ60の構成を説明する説明図である。
【0047】
濃度センサ60は、図4に示すように、搬送ベルト34の搬送方向から光が入射するようにLED照射部60Aを配設しており、LED照射部60Aから搬送ベルト34上のトナー像に対して予め定められた角度で光を照射し、トナー像からの反射光をトナー像に対し90°の角度でレンズ60Bへ入射させる。そして、このレンズ60Bを介してフォトダイオード60Cの受光面上に該反射光を結像させる。ここで、フォトダイオード60Cの直前にはマスク60Dが設けられており、トナー像の検出エリアを規制している。そして、フォトダイオード60Cに結像された反射光によって変換された電気信号は、図示しない検出装置へ送信され、トナー濃度が検出されることとなる。
【0048】
ここで、濃度センサ60の表面には透明のプラスチック61(以下、「レンズ面61」という)が搬送ベルト34に対向して設けられ、レンズ60B等、濃度センサ60内の部品を保護している。
【0049】
しかしながら、感光体20周りの浮遊トナー(いわゆるクラウドトナー)が、レンズ面61に付着し、レンズ面61が汚染される場合がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、レンズ面61の汚染を除去するため、レンズ面61を清掃する清掃手段を転写ユニット50に設けている。
【0051】
図5は、本実施形態に係る転写ユニット50をガイド板47A側から見た概観図であり、図6は、図5に示す転写ユニット50のA−A矢視断面図である。
【0052】
本実施形態に係る転写ユニット50の第3筐体部56には、中空部102が形成され、この中空部102には、清掃手段の一例として清掃装置100が設けられている(図6参照)。また、ガイド板47Aには、複数の搬送ローラ対45のうち片側の搬送ローラ45A、45B、45C、45Dがそれぞれ設けられている。さらに、搬送ローラ45Aと搬送ローラ45Bの間にあるガイド板47Aには、中空部102へ繋がる開口部104が設けられている(図5参照)。
【0053】
図7は、図6に示す清掃装置100の概観斜視図である。
【0054】
図7に示すように、清掃装置100は、清掃部材110と、支持軸112と、リンク機構114と、から構成される。
【0055】
清掃部材110は、清掃装置100が可動した際に濃度センサ60のレンズ面61に対向するようにリンク機構114に設けられ、フェルト又はクリーニングブラシから構成される。清掃部材110の大きさは、例えば、横幅w1が8mm、縦幅w2が5mm、厚さh1が5mmである。
【0056】
支持軸112は、開口部104と対向して水平方向に延伸して、支持軸112の両端部が転写ユニット50の第3筐体部56に支持され、リンク機構114を支持している。
【0057】
リンク機構114は、第1リンク120と、第2リンク122と、第3リンク124とを備えている。
【0058】
第1リンク120は、L字形状の板部材であり、その中心部120Aが支持軸112によって支持されている。
【0059】
この第1リンク120は、この支持軸112を中心として、リンク機構114の自重又は不図示のコイルスプリング等の付勢手段(戻り手段)により反時計方向(矢印A方向)に付勢される。この付勢により第1リンク120の一端部120Bが、ガイド板47Aの開口部104から反転路47へ突出して、該一端部120Bはガイド板47Aに配列された搬送ローラ45A及び搬送ローラ45Bの間で、これらの軸上に位置している。
【0060】
これにより、第1リンク120が反転路47を通過する記録用紙Pと接触するようになっている。
【0061】
第1リンク120の一端部120Bの幅w3は、例えば5mm〜10mmである。この一端部120Bが反転路47を通過する記録用紙Pと接触した場合、支持軸112を中心として、第1リンク120が反転路47の下方へ向けて時計回りに回転移動を開始する。ここで、反転路47を通過する記録用紙Pは、回転する搬送ローラ対45と接触すると搬送力が増すため、第1リンク120が搬送ローラ45A及び搬送ローラ45Bの軸上に設けられていれば、第1リンク120が容易に回転する。
【0062】
下方に延びている第1リンク120の他端部120Cは、ピン126を連結部として第2リンク122の一端部122Aに連結されている。
【0063】
第2リンク122は、棒部材であり、中空部102内へ濃度センサ60に向かって延出している。
【0064】
また、第2リンク122の他端部122Bは、ピン128を連結部として第3リンク124の一端部124Aに連結されている。
【0065】
第3リンク124は、板部材であり、その中央部124Bが転写ユニット50の第3筐体部56に固定された一対の挟み部材106によって軸方向に摺動可能に挟まれている。
【0066】
また、第3リンク124の他端部100Bは、その上部に清掃部材110が設けられている。
【0067】
次に、本実施形態に係る転写ユニット50の作用について説明する。
【0068】
本実施形態に係る転写ユニット50が搭載された画像形成装置10において、ユーザにより両面印刷が実行されると、まず、転写ローラ36及び感光体20等を含む画像形成部にて記録用紙Pの表面に画像が形成される。その後、記録用紙Pは、表裏反転して反転路47へ搬送される。
【0069】
ここで、本実施形態に係る転写ユニット50の清掃装置100は、反転路47を記録用紙Pが通過する際に以下のように動作する。
【0070】
図8は、図7に示す清掃装置100の動作を示す説明図である。図8(A)は清掃装置100が動作する前の状態(初期状態)を示す転写ユニット50の一部断面図であって、図8(B)は清掃装置100が動作を開始した状態を示す転写ユニット50の一部断面図であり、図8(C)は清掃装置100が動作した後の状態を示す転写ユニット50の一部断面図である。
【0071】
図8(A)〜(C)に示すように、本実施形態に係る転写ユニット50に設けられた清掃装置100は、反転路47を通過する記録用紙Pの先端と接触して可動し、濃度センサ60のレンズ面61を摺擦する。その後、清掃装置100は、記録用紙Pの後端が通過するまで記録用紙Pと接触し続け、記録用紙Pの後端が通過して記録用紙Pとの接触が解除されると、図8(C)の状態から、図8(A)と同一の初期状態に戻る。
【0072】
具体的には、清掃装置100の清掃部材110及びリンク機構114の各部材が以下のように動作する。
【0073】
まず、図8(A)に示すように、リンク機構114の第1リンク120は、初期状態において、リンク機構114の自重又は不図示のコイルスプリング等の付勢手段により反時計方向に付勢され、第1リンク120の一端部120Bが、ガイド板47Aの開口部10から反転路47へ突出した状態となっている。この状態は、記録用紙Pの先端が反転路47において第1リンク120の一端部120Bの位置する箇所を通過する直前まで保たれている。
【0074】
記録用紙Pの先端が、第1リンク120の一端部120Bの位置する箇所を通過すると、記録用紙Pの先端は第1リンク120の一端部120Bと接触する。記録用紙Pと接触した一端部120Bは、図8(B)に示すように、記録用紙Pの反転路47下方へ向かう搬送力によって押し下げられ、第1リンク120は、支持軸112を中心として、反転路47下方へ向けて時計回りに回転移動する。
【0075】
これに伴って、第1リンク120にピン126で結合された第2リンク122は、濃度センサ60側へ向けて上部斜め方向に移動する。さらに、第2リンク122にピン128で結合された第3リンク124は、挟み部材106によって摺動可能に挟まれながら、濃度センサ60のレンズ面61に対して平行に移動する。
【0076】
第3リンク124の移動に伴って、該第3リンク124に設けられた清掃部材110は、濃度センサ60のレンズ面61へ移動してこれを摺擦する。清掃部材110は、図8(C)に示すように、記録用紙Pの後端が反転路47において第1リンク120の一端部120Bの位置する箇所を通過するまで(記録用紙Pとの接触が解除されるまで)、レンズ面61と接触され続ける。
【0077】
図8(C)に示す状態で、記録用紙Pの後端が反転路47において第1リンク120の一端部120Bの位置する箇所を通過した場合、第1リンク120は、リンク機構114の自重又は不図示のコイルスプリング等の付勢手段により支持軸112を中心として、反転路47上方へ向けて反時計回りに回転移動する。これに伴って、第1リンク120にピン126で結合された第2リンク122は、反転路47へ向けて下部斜め方向に移動する。さらに、第2リンク122にピン128で結合された第3リンク124は、挟み部材106によって摺動可能に挟まれながら、反転路47へ向けて下部斜め方向に移動する。
【0078】
第3リンク124の移動に伴って、該第3リンク124に設けられた清掃部材110は、濃度センサ60のレンズ面61と接触する位置から反転路47へ向けて下部斜め方向に移動し、濃度センサ60から離れてレンズ面61との接触が解除される。この結果、清掃装置100は、図8(C)に示す状態から図8(A)に示す初期状態に戻る。
【0079】
以上より、本実施形態によれば、両面印刷の際の記録用紙Pの搬送力を清掃装置100の駆動源とすることで、引用文献2に記載の駆動源としてソレノイドを用いる構造に比べ、簡単な構造で濃度センサのレンズ面61が清掃される。
【0080】
また、引用文献1に記載の、カートリッジを画像形成装置に着脱する際に、カートリッジに設けられた清掃部材が濃度センサのレンズ面を摺擦して清掃する構成と比べ、カートリッジを着脱する頻度と、両面印刷する頻度とでは、両面印刷する頻度の方が高いことが推認され、本実施形態によれば、濃度センサ60のレンズ面61が適切に清掃される。
【0081】
さらに、片面印刷の際に搬送される記録用紙Pの搬送力を清掃装置100の駆動源としても良いが、この場合、濃度センサ60のレンズ面61が頻繁に清掃される。本実施形態では、両面印刷の際に反転搬送される記録用紙Pの搬送力を清掃装置100の駆動源とするので、濃度センサ60のレンズ面61の清掃頻度が適切に調整される。
【0082】
なお、本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
【0083】
例えば、リンク機構114は、第1リンク120、第2リンク122、第3リンク124からなる構成を説明したが、そのリンクの個数は限定されない。
【0084】
また、清掃装置100は、記録用紙Pと接触することにより可動する構成を説明したが、両面印刷の際に可動する搬送ローラ対45等を駆動源として可動するようにしても良い。
【0085】
さらに、転写ユニット50は、画像形成装置10から着脱されるユニット化した構成を説明したが、転写ユニット50の各構成要素が画像形成装置10と一体となった構成であっても良い。
【0086】
さらにまた、ユーザにより両面印刷が実行されない場合であっても、濃度センサ60のレンズ面61を清掃するため、画像形成装置10は、ユーザによる印刷処理の実行指示があった場合に、以下のフローを実行する制御手段を設けるようにしても良い。なお、この制御手段は、少なくともメモリ、CPU、プログラムを含んで構成される。
【0087】
図9は、画像形成装置10の制御手段の実行フローを示す図である。
【0088】
ステップ100では、実行指示された印刷処理の印刷種別が、片面印刷であるか、或いは両面印刷であるか判断する。片面印刷であると判断した場合にはステップ102に進み、両面印刷であると判断した場合にはステップS104に進む。
【0089】
ステップ102では、記録用紙Pの片面印刷を実行する。
【0090】
ステップ104では、記録用紙Pの両面印刷を実行する。
【0091】
ステップ106では、例えば1日或いは1週間等予め定められた期間又は100枚或いは500枚等予め定められた印刷枚数をタイマーで計測し、この間で両面印刷が未実行であるか否か判断する。肯定した場合にはステップ108に進み、否定した場合にはステップ110に進む。
【0092】
ステップ108では、表面が印刷された記録用紙Pを反転路47に搬送して、清掃装置100を可動させた後、裏面を印刷しないまま記録用紙Pを排出部44上へ排出する。
【0093】
ステップ110では、印刷処理が終了したか否かを判断する。肯定した場合には処理を終了し、否定した場合にはステップ100に戻る。
【0094】
以上の制御の結果、片面印刷の実行指示があった場合でも反転路47に記録用紙Pが搬送されて清掃装置100が可動するため、定期的に濃度センサ60のレンズ面61が清掃される。なお、反転路47に記録用紙Pを搬送するタイミングは、図9に示すようなユーザによる印刷処理の実行指示があった場合に限られず、ソフトウェアタイマやハードウェアタイマによる割り込み処理で両面印刷を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 画像形成装置
20 感光体(像保持体)
34 搬送ベルト(被検出面)
45A、45B 搬送ローラ
47 反転路
47A ガイド板(反転面)
50 転写ユニット(転写装置)
60 濃度センサ(センサ)
61 レンズ面
100 清掃装置(清掃手段)
110 清掃部材
114 リンク機構(リンク機構、戻り手段)
120 第1リンク(回転部材)
122、124 第2リンク、第3リンク(移動部材)
P 記録用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面印刷の際に記録媒体が搬送される反転面と、
前記反転面を前記記録媒体が通過する際に可動して、被検出面上のトナーの濃度を測定するセンサのレンズ面を摺擦する清掃手段と、
を有する転写装置。
【請求項2】
前記清掃手段は、前記記録媒体と接触することにより可動する請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記清掃手段は、
前記センサのレンズ面を摺擦する清掃部材と、
前記記録媒体と接触して、前記清掃部材を前記センサのレンズ面へ移動させるリンク機構と、
を有する請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記リンク機構は、
前記反転面上に位置し、前記記録媒体の通過により前記記録媒体と接触して回転する回転部材と、
前記回転部材に連結され、前記回転部材の回転に伴って、前記清掃部材を前記センサのレンズ面へ移動させる移動部材と、
を有する請求項3に記載の転写装置。
【請求項5】
前記記録媒体の通過後、前記回転部材を前記反転面上へ位置させる戻り手段を有する請求項4に記載の転写装置。
【請求項6】
前記反転面には搬送ローラが設けられ、前記回転部材は、前記搬送ローラの軸上に設けられている請求項4又は5に記載の転写装置。
【請求項7】
両面印刷の際に記録媒体が搬送される反転路と、
前記記録媒体にトナー像を転写する像保持体と、
前記トナー像のトナー濃度を測定するセンサと、
前記反転路を前記記録媒体が通過する際に可動して、前記センサのレンズ面を摺擦する清掃手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項8】
前記両面印刷が予め定められた間に実行されない場合、片面印刷が指示された際に、前記記録媒体の裏面を印刷しない両面印刷を実行する請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−210765(P2010−210765A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54879(P2009−54879)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】