説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】転写材の抵抗に関わらず、像担持体上のトナー像を転写材に対し良好に転写することが可能な転写装置を提供する。
【解決手段】本発明の転写装置は、
トナーとキャリアを含む液体現像剤で現像された像を担持する転写ベルト40と、前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記転写ベルト40と接触して転写材に前記像を転写させる2次転写ローラー61と、前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記転写材の像が転写される面と接触する第1接触部材141と、前記2次転写ローラー61に印加する第1バイアスと、前記第1接触部材141に印加する第2バイアスを切り換える電圧切換部150と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー及びキャリアからなる液体現像剤による像を転写材に転写する転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを用いた画像形成装置においては、像担持体上に形成されたトナー像を、絶縁性が高い転写材に対して転写しようとすると、像担持体−転写材間で、トナーの移動に伴う電流が十分に流れることがなく、転写効率が悪くなることがある。そこで、絶縁性が高い転写材に対して転写を行う場合には、転写材表面にあらかじめ、比較的導電性が高い導電性材料を塗布するなどして導電層を形成しておき、像担持体とこの導電層との間で、トナー移動による電流を流すようにして、転写効率を向上させる転写技術が知られている。
【0003】
このような技術を用いた転写技術としては、例えば、特許文献1(特開2008−270398号公報)には、図3などに関連して、絶縁基材(記録材)への転写性を確保するために、比抵抗が103Ω・cm以下の導電層を設けておき、この記録材への転写を行う
転写位置より上流側において記録材の導電層表面に電極を接触させ、さらにトナー像が形成される像担持体上で転写位置より上流側においてトナーと同極性の電位を像担持体に付与することで、像担持体と記録材の間に転写電圧差を付与してトナーを記録材上に転写する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2008−270398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転写材上の導電層の抵抗が1×103Ω・cmと低い場合には、特許文献1記載の発明
の方式で転写が可能である。しかしながら、導電層の抵抗が高い場合(表面抵抗率で1×104Ω/□以上の場合)、転写材にトナー像を転写するためには、転写部により大きな
電界が必要となり、特許文献1記載の発明のように、像担持体上表面に電位を付与する方法では充分な電界を確保することはできない。結果として、導電層の抵抗が高い場合には転写材への良好な転写性を得ることができない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記のような問題を解決するために、本発明に係る転写装置は、トナーとキャリアを含む液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ベルトと、前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記像担持体ベルトと接触して転写材に前記像を転写させる転写ローラーと、前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記転写材の像が転写される面と接触する接触部材と、前記転写ローラーもしくは前記接触部材にバイアスを印加させる切換部と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る画像形成装置は、トナーとキャリアを含む液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ベルトと、前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記像担持体ベルトと接触して転写材に前記像を転写させる転写ローラーと、前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記転写材の像が転写される面と接触する接触部材と、前記転写ローラーもしくは前記接触部材にバイアスを印加させる切換部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像形成装置は、転写材の種別を判別する転写材種別判別部を有し、
前記切換部は、前記転写材種別判別部の結果に基づいて、前記転写ローラーもしくは前記接触部材にバイアスを印加させる。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記転写材種別判別部は、転写材の体積抵抗を測定する体積抵抗測定部材を有し、測定された転写材の体積抵抗の値に基づいて転写材の種別を判別する。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記体積抵抗測定部材で測定された転写材の体積抵抗率が1×105Ω・cm以上1×1011Ω・cm未満であるとき、前記切換部は、前
記転写ローラーにバイアスを印加する。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記体積抵抗測定部で測定された転写材の体積抵抗率が1×1011Ω・cm以上であるとき、前記切換部は、前記接触部材にバイアスを印加する。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記転写材種別判別部は、転写材の表面抵抗を測定する表面抵抗測定部材を有し、測定された転写材の表面抵抗の値に基づいて転写材の種別を判別する。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記転写材種別判別部は、転写材の厚さを測定する厚さ測定部材を有し、測定された転写材の厚さの値に基づいて転写材の種別を判別する。
【0013】
以上、本発明の転写装置及び画像形成装置によれば、切換部によって、転写ローラー又は接触部材の何れかを介した電流が流れることで、転写材の抵抗が低い場合(表面抵抗率で1×104Ω/□未満の場合)であっても、転写材の抵抗が高い場合(表面抵抗率で1
×104Ω/□以上の場合)であっても、いずれの場合でも、像担持体上のトナー像を転
写材に対して良好に転写することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写部を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写部を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置における転写材の判別手段を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る画像形成装置における転写材の判別手段を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る画像形成装置における転写材の判別手段を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された各色の画像形成部に対し、現像装置30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下方部に配置され、転写ベルト40、2次転写部(2次転写ユニット)60、接触定着ユニット90などの構成は画像形成装置の上方部に配置されている。
【0016】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、トナーによる画像を形成するために、感光体10Y、10M、10C、10K、コロナ帯電器11Y、11M、11C、11K、LEDアレイなどの露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。コロナ帯電器11Y、11M、11C、11Kにより、感光体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて露光を行い、帯電された感光体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0017】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像ローラー20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラー20Y、20M、20C、20Kに塗布する塗布ローラーであるアニロックスローラー32Y、32M、32C、32K等を備え、各色の液体現像剤により感光体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。
【0018】
転写ベルト40は、エンドレスのベルトであり、2次転写バックアップローラー41とテンションローラー42に張架され、1次転写部50Y、50M、50C、50Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながら2次転写バックアップローラー41により回転駆動される。1次転写部50Y、50M、50C、50Kは、感光体10Y、10M、10C、10Kと転写ベルト40を挟んで1次転写ローラー51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、感光体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された感光体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を転写ベルト40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0019】
2次転写ユニット60(転写装置)は、2次転写ローラー61が転写ベルト40を挟んで2次転写バックアップローラー41と対向配置され、さらに2次転写ローラークリーニングブレード62からなるクリーニング装置が配置される。そして、2次転写ローラー61を配置した転写位置において、転写ベルト40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を転写材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の転写材に転写する。なお、2次転写バックアップローラー41は不図示の駆動源により回転駆動され、転写ベルト40を駆動するようになっている。また、この2次転写バックアップローラー41は、特許請求の範囲において、単に「ローラー」として表現される。
【0020】
経路転写材搬送経路Lの下流には、非接触定着ユニット300(予備定着手段)が配列されている。転写材は、非接触定着ユニット300における予備定着を経て、接触定着ユニット90に搬送されるようになっており、接触定着ユニット90では、用紙等の転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着させ定着させる。
【0021】
なお、非接触定着ユニット300は、赤外線ヒーターを少なくとも1本以上設けて非接触加熱部を構成し、転写材Sが接触定着部(接触定着ユニット90)に至る前にトナー像および転写材Sをプレ加熱して最終的な定着性能を向上させる。赤外線ヒーターは本実施形態では波長が2〜3μmである中波長赤外線ヒーターを使用している。
【0022】
テンションローラー42は、2次転写バックアップローラー41などと共に転写ベルト40を張架しており、転写ベルト40のテンションローラー42に張架されている箇所で、転写ベルトクリーニングブレード49からなるクリーニング装置が当接・配置され、転写ベルト40上の残りトナー、キャリアをクリーニングするようになっている。
【0023】
画像形成装置に対する転写材の供給は給紙装置(不図示)によって行われる。このような給紙装置にセットされた転写材は、所定のタイミングにて一枚ごとに転写材搬送経路Lに送り出されるようになっている。転写材搬送経路Lでは、レジストローラー101、101’によって転写材を2次転写位置まで搬送し、転写ベルト40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を転写材に転写する。2次転写された転写材は、上記のように図示されていない転写材搬送手段によって、非接触定着ユニット300を経て接触定着ユニット90に搬送される。また、転写材搬送手段で搬送される間、転写材上のトナー像は非接触定着ユニット300によって非接触予備定着を受ける。
【0024】
接触定着ユニット90は、加熱ローラー91と、この加熱ローラー91側に所定の圧力で付勢された加圧ローラー92とから構成されており、これらのニップ間に転写材を挿通させ、転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着し定着させる。
【0025】
接触定着ユニット90はSiゴムなどによる弾性層が設けられた加熱ローラー91・加圧ローラー92により構成される。加圧ローラー92と加熱ローラー91は荷重10〜80Kgfで押圧圧接されている。
【0026】
ここで、現像装置について説明するが、各色の画像形成部及び現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の画像形成部及び現像装置に基づいて説明する。
【0027】
画像形成部は、感光体10Yの外周の回転方向に沿って、感光体クリーニングブレード18Y、コロナ帯電器11Y、露光ユニット12Y、現像装置30Yの現像ローラー20Y、第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’が配置されている。
【0028】
感光体10Yと当接している感光体クリーニングブレード18Yは、感光体10Y上の転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングする。
【0029】
現像装置30Yにおける現像ローラー20Yの外周には、クリーニングブレード21Y、アニロックスローラー32Y、コンパクションコロナ発生器22Yが配置されている。アニロックスローラー32Yには、現像ローラー20Yへ供給する液体現像剤の量を調整する規制ブレード33Yが当接している。液体現像剤容器31Yの中にはオーガ34Yが収容されている。また、感光体10Yと対向する位置には、転写ベルト40を挟むようにして、1次転写部の1次転写ローラー51Yが配置されている。
【0030】
感光体10Yは、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、時計回りの方向に回転する。
【0031】
コロナ帯電器11Yは、感光体10Yと現像ローラー20Yとのニップ部より感光体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置から電圧が印加され、感光体10Yをコロナ帯電させる。露光ユニット12Yは、コロナ帯電器11Yより感光体10Yの回転方向の下流側において、コロナ帯電器11Yによって帯電された感光体10Y上に光を照射し、感光体10Y上に潜像を形成する。なお、画像形成プロセスの始めから終わりまでで、より前段に配置されるローラーなどの構成は、後段に配置されるローラーなどの構成より上流にあるものと定義する。
【0032】
現像装置30Yは、コンパクション作用を施すコンパクションコロナ発生器22Y、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Yを有する。
【0033】
また現像装置30Yは、前記の液体現像剤を担持する現像ローラー20Y、液体現像剤を現像ローラー20Yに塗布するための塗布ローラーであるアニロックスローラー32Yと、現像ローラー20Yに塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード33Yと、液体現像剤を攪拌、搬送しつつアニロックローラー32Yに供給するオーガ34Y、現像ローラー20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22Y、現像ローラー20Yのクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード21Yを有する。
【0034】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤について説明する。本発明に用いられる液体現像剤は、少なくともキャリアオイル・トナー樹脂粒子・分散剤から構成されている。
【0035】
キャリアオイルは、低揮発性でかつトナー樹脂粒子の電気泳動性を確保するために誘電率3以下の電気的絶縁性が高い溶媒を用いる。例えば炭化水素系(流動パラフィン)、シリコーンオイル、動植物油、鉱物油などを用いることができるが、本実施形態では電気絶縁性に優れているジメチルシリコンオイルを用いた。その粘度は50csである。
【0036】
トナー樹脂粒子は、少なくとも着色剤(顔料)とバインダー樹脂を含むものである。バインダー樹脂としてはポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン共重合体、ロジン変性フェノール樹脂などを用いることが可能であるが、本実施例では帯電安定性に優れるエポキシ樹脂を用いた。ベースとなるこの樹脂に対して各色顔料が15wt%程度の割合で分散されている。トナー樹脂粒子の平均粒子径は一般的に0.5〜5μmであるが、本実施形態で用いたトナー樹脂粒子の平均粒子径は2μmである。
【0037】
トナー樹脂粒子はキャリアオイルにより所望の濃度になるまで希釈・分散処理される。本実施形態では分散剤としてアミン官能基を有するポリシロキサン Finish WR1101を用いた。分散剤によりキャリアオイル中に均一分散されたトナー樹脂粒子の濃度は一般的にキャリアオイルとの重量比率で15〜35wt%にまで希釈される。本実施形態では25wt%とした。また必要に応じてキャリアオイル中に帯電制御剤が添加されることがあるが、本実施形態では帯電制御剤は使用していない。
【0038】
上記のようにして構成された液体現像剤中のトナー樹脂粒子は正電荷を帯びており、液体電子写真プロセス中においては、電位の高い構成部材から電位の低い構成部材に移動することとなる。
【0039】
アニロックスローラー32Yは、現像ローラー20Yに対して液体現像剤を供給し、塗布する塗布ローラーとして機能するものである。このアニロックスローラー32Yは、円筒状の部材であり、表面に現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に螺旋状に彫刻された溝による凹凸面が形成されたローラーである。このアニロックスローラー32Yにより、現像剤容器31Yから現像ローラー20Yへと液体現像剤が供給される。装置動作時においては、図1に示すように、オーガ34Yが反時計回り回転し、アニロックローラー32Yに液体現像剤を供給し、アニロックローラー32Yは反時計回りに回転して、現像ローラー20Yに液体現像剤を塗布する。
【0040】
規制ブレード33Yは、厚さ200μm程度の金属ブレードであり、アニロックスローラー32Yの表面に当接し、アニロックスローラー32Yによって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制し、現像ローラー20Yに供給する液体現像剤の量を調整する。
【0041】
現像ローラークリーニングブレード21Yは、現像ローラー20Yの表面に当接するゴム等で構成され、現像ローラー20Yが感光体10Yと当接する現像ニップ部より現像ローラー20Yの回転方向の下流側に配置されて、現像ローラー20Yに残存する液体現像剤を掻き落として除去するものである。
【0042】
コンパクションコロナ発生器22Yは、現像ローラー20Y表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、コンパクションコロナ発生器22Yによって、コンパクション部位でコンパクションコロナ発生器22Y側から現像ローラー20Yに向かって電界が印加される。なお、このコンパクションのための電界印加手段は、図1に示すコロナ放電器のコロナ放電に代えて、コンパクションローラーなどを用いても良い。
【0043】
現像ローラー20Yに担持されてコンパクションされた現像剤は、現像ローラー20Yが感光体10Yに当接する現像ニップ部において、所定の電界印加によって、感光体10Yの潜像に対応して現像される。
【0044】
現像残りの現像剤は、現像ローラークリーニングブレード21Yによって掻き落として除去され現像剤容器31Y内の回収部に滴下して再利用される。尚、このようにして再利用されるキャリア及びトナーは混色状態ではない。
【0045】
1次転写の上流側に配置される感光体スクイーズ装置は、感光体10Yに対向して現像ローラー20Yの下流側に配置して感光体10Yに現像されたトナー像の余剰キャリアを回収するものである。この感光体スクイーズ装置は、感光体10Yに摺接して回転する弾性ローラー部材から成る第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’とから構成され、感光体10Y上に現像されたトナー像から余剰なキャリア及び本来不要なカブリトナーを回収し、顕像(トナー像)内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。なお、感光体スクイーズローラー13Y、13Y’には、所定のバイアス電圧が印加されている。
【0046】
上記の第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’からなるスクイーズ装置を経た感光体10Y表面は、1次転写部50Yに進入する。
【0047】
1次転写部50Yでは、感光体10Yに現像された現像剤像を1次転写ローラー51Yにより転写ベルト40へ転写する。この1次転写部においては、1次転写バックアップローラー51に印加される転写バイアスの作用によって、感光体10上のトナー像は転写ベルト40側に転写される。ここで、感光体10Yと転写ベルト40は等速度で移動する構成であり、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、感光体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。
【0048】
上記現像装置30Yの現像プロセスと同様のプロセスによって、現像装置30M、30C、30Kにおいても、それぞれの感光体10M、10C、10K上にマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像が各々形成される。そして、転写ベルト40はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色の1次転写部50のニップを通過し、各色の感光体上の現像剤(現像像)が転写され、色重ねされて2次転写ユニット60(転写装置)のニップ部に進入する。
【0049】
2次転写ユニット60を経た転写ベルト40は、再び1次転写部50で転写像を受けるために周回するが、1次転写部50が実行される上流側において転写ベルト40は、転写ベルトクリーニングブレード49などによってクリーニングが実施される。
【0050】
転写ベルト40は、ポリイミド基層上にポリウレタンの弾性中間層を設け、さらにその上にPFA表層が設けられている三層構造となっている。このような転写ベルト40では、ポリイミド基層側において駆動ローラー41、テンションローラー42で張架され、PFA表層側においてトナー像が転写されるようにして用いられる。このように形成された弾性を有する転写ベルト40は、転写材表面への追従性、応答性がよいために、2次転写時において、特に粒子径が小さいトナー粒子を転写材の凹部に対して送り込み転写させるのに有効である。
【0051】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置における転写装置である2次転写ユニット60のより詳しい構成について説明する。図2及び図3は共に本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写を説明する図である。
【0052】
図2(A)は2次転写ユニット60でトナー像の転写を受ける転写材Sの断面を示している。この転写材Sは表面抵抗率が1×104Ω/□以上である。また、図2(B)はそ
のような転写材Sを転写した時の電流経路(a→b→c)を示している。
【0053】
図2で説明する転写においては、転写材Sとして、PPC用紙(例:FujiXerox社J紙・P紙など)やオフセット印刷で用いられる塗工紙(例:王子製紙社ウルトラサテン金藤・OKトップコート紙など)などを想定している。これらPPC用紙や塗工紙転写材の体積抵抗率は1×104〜109Ω・cmである。
【0054】
一方、図3(A)は2次転写ユニット60でトナー像の転写を受ける転写材Sの断面を示しているが、この転写材Sは、元の転写材Sorgとこの元転写材Sorgの表面に形成された導電層Cの2層構造のものであり、この転写材S上の導電層の表面抵抗率は1×105
Ω/□以上、1×1011Ω/□未満である。また、図3(B)はそのような転写材Sを転
写した時の電流経路(a→b→c)を示している。
【0055】
ここで、図3(A)に示す転写材Sについて説明する。トナー像を転写しようとする転写Sorgがポリエステルやポリスチレンなどの熱可塑性の透明フィルムや合成紙(例:ユ
ポ製スーパーユポFRB−110など)の場合、これら転写材Sorgの体積抵抗率は1×
1010〜1013Ω・cmである。これら転写材Sorgを用いて転写を行う場合、2次転写
ローラー61と転写ベルト40の間に転写バイアスを作用させても、その抵抗の高さが原因となり転写材Sorg表面と転写ベルト40の間にトナーを移動させるのに充分な電位差
が発生せず良好な転写性が得られなかった。
【0056】
そこで、上記のような高抵抗の転写材Sorgに対しては転写材Sorgの印字面側表面に導電層Cを設けて、導電層表面にバイアス電位を与えることで良好な転写性を確保することが可能となる。
【0057】
転写材Sorgに形成する導電層Cとしては、例えば、下記の組成を有する材料を、キス
コーターで塗布することにより、膜厚が6umで、表面抵抗率が1.26×106Ω/□
である導電層Cを形成することができる。
アンチモン複酸化物:3.1wt%
重合脂肪酸系ポリエステルアミドブロック共重合体: 0.8wt%
イソプロパノール:12.4wt%
1− ブタノール:80.5wt%
炭酸ガス:3.2wt%
なお、導電層Cを形成するための導電性付与材料としてはその他にポリオレフィン、ポリビロール、ポリアニリン等の有機導電性ポリマーや、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物等の無機導電材を含む塗工材料を使用することができる。
【0058】
また、導電層Cを形成する際の塗工方法はその他に、ナイフコーター、スプレーコーター、バーコーター、スクイズコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等各種公知の塗工方法を塗工材料にあわせて選択することが可能である。
【0059】
また、本実施形態中の転写材Sおよび転写材Sorg上の導電層Cの抵抗値は、高抵抗・
抵抗率計ハイレスタ(三菱化学アナリティック製)により測定した結果である。
【0060】
次に、2次転写ユニット60で各構成に付与されるバイアス電圧について説明する。2次転写ユニット60においては、2次転写バックアップローラー41は、アースに接地されるようになっている。また、電圧切換部150によって、−1500Vのバイアス電圧のうち第1バイアス電圧(本例では−1500V)が2次転写ローラー61に対し、又、第2バイアス電圧(本例では−1500V)が第1接触部材141に印加されるように調整することができるようになっている。
【0061】
第1接触部材141は、転写材表面の導電層Cに接する電極部材である。第1接触部材141として、本実施形態においては、ステンレス製ブラシを用いたが、他にアルミ製・鉄製などの金属ブラシであってもよい。またブラシ構造に限らず金属製ローラーもしくは表面に導電性の弾性層を設けたローラー対によって転写材を担持搬送しつつ電極部材として作用する電極ローラーであってもよい。この第1接触部材141は、転写材上の導電層Cに接している必要があり、転写材幅方向では全域で転写材と接触していることが望ましいが、幅方向端部のみで接触していても良い。
【0062】
表面抵抗率が1×104Ω/□以上である転写材S上を利用して転写を行う場合、特許
文献1のように像担持体(転写ベルト40)表面に転写電位を付与する方法では良好な転写性が得られない。これは、転写材の表面抵抗が大きいため、中間転写体上から転写材表面の導電層に流れる電流が小さくなりトナー像を転写材表面に転写するのに必要な電流が確保できないからである。電流を確保するために転写ベルト40表面に与える電位を大きくすることも考えられるが、非接触電位付与手段の電位を上げても電位付与手段と転写ベルト40表面の間で放電が発生してしまい中間転写体上の電位を一定以上に上昇させることはできない。
【0063】
そこで本実施例では転写ベルト40の内部にあって2次転写部にてニップを形成する転写材S印字面側の2次転写バックアップローラー41に0V(接地電位)を与え、さらに2次転写部にてニップを形成する転写材S印字面とは反対側に接する2次転写ローラー61、もしくは、転写部以外で転写材S印字面側に接触する第1接触部材141にトナーとは逆極性の転写電位を与えた。本実施形態ではトナーは正帯電であるため、2次転写ローラー61もしくは第1接触部材141に与えた転写電位は、トナーの極性と異なる極性である−1500Vとした。
【0064】
これにより、転写ニップ内部で転写ベルト40表面と転写材S表面の間に電界を発生させ、トナー像を転写材Sに転写するために必要な電流を確保することができる。したがって、転写材S表面抵抗が高い場合(表面抵抗率で1×104Ω/□以上の場合)であって
も転写部にてトナー像を転写材Sに転写するために必要な電流を確保することが可能となる。
【0065】
また、転写材Sの体積抵抗率が1×109Ω・cm未満の時は図2に示すように2次転
写ローラー61に転写電圧を印加することで転写に必要な電流を確保することができる。このとき、第1接触部材141と転写ベルト40との間の放電現象を防ぐために第1接触部材141は2次転写ニップ部から最低でも30mmは離す必要がある。2次転写ニップ
部から第1接触部材141の表面抵抗(距離に比例する)は大きくなるため、2次転写ローラー61に転写電圧を印加した方がより大きい電流を確保することができる。
【0066】
一方で転写材Sの体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上のときは、転写材Sの表面に形成された導電層Cを利用して、転写に必要な電圧を流すようにする。すなわち、図3に示すように第1接触部材141に転写電圧を印加することで、転写材表面の導電層Cを介して、転写に必要な電流を確保することができる。
【0067】
このように印加する転写電圧を転写材Sの種類に応じて第1接触部材141にするか2次転写ローラー61にするか切り換えることで、最適な電流経路を確保しトナー像を転写するために必要な電流を確保することが可能となる。
【0068】
以上より、転写材Sの表面抵抗が高い場合(表面抵抗率で1×104Ω/□以上)であ
っても2次転写ローラーもしくは第1接触部材141に転写電圧を印加することで転写に必要な電界(電流)を確保することができ、さらに転写材Sの種類に応じていずれかに転写電圧を与えるか切り換える電圧切換部を設けることで、さまざまな種類の転写材Sに対応できるようになる。結果として、転写ベルト40上のトナー像を転写材Sに対して良好に転写することが可能となった。
【0069】
以上、本発明の転写装置及び画像形成装置によれば、切換部によって、2次転写ローラー61又は第1接触部材141の何れかを介した電流が流れることで、転写材の抵抗が低い場合(表面抵抗率で1×104Ω/□未満の場合)であっても、転写材の抵抗が高い場
合(表面抵抗率で1×104Ω/□以上の場合)であっても、いずれの場合でも、像担持
体上のトナー像を転写材に対して良好に転写することが可能となるのである。
【0070】
次に、切換部150の切り換え動作を適正に行うための構成について説明する。これまで述べたように、転写材Sの種類によって、転写を行う際に必要となる電流を確保するために、切換部150によって転写電圧を適正な分だけ適正な構成に印加する必要がある。そこで、本実施形態では図4に示すように給紙部(不図示)により給紙された用紙が第1接触部材141を通過する前の位置で、転写材Sの種別を判別する判別手段を設けた。
【0071】
図4では転写材Sの判別手段として、転写材Sの体積抵抗を測定する体積抵抗測定部120を設けた構成を示している。体積抵抗測定部120は、体積抵抗率が1×106Ω・
cmで厚さ3mmの導電弾性層を有する直径φ20mmのローラー対121を互いに圧接させることにより構成される。これら2本のローラー間に電位差を設け、さらにローラー対121によって転写材Sが担持搬送された時に流れる電流を、電流測定部123で測定することによって転写材Sの体積抵抗値を測定する。
【0072】
この体積抵抗測定部120によって測定された体積抵抗をもとに算出される体積抵抗率が1×104〜109Ω・cmのとき、切換部150により転写電圧を2次転写ローラー61側に印加することで良好な転写性が得られた。一方で、体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上のとき、同様に2次転写ローラー側に転写電圧を印加しても良好な転写性は得られなかった。これは、転写材Sの厚み方向の抵抗(体積抵抗)が大きいために転写部にて必要な電界(電流)を確保できなかったためである。
【0073】
そこで、体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上の時は切換部により第1接触部材141に転写電圧を与えることで良好な転写性を得ることができた。これは転写材S厚み方向ではなく転写材S表面を電流経路として利用して転写に必要な電流を確保したためである。この時、転写材Sの表面抵抗率が1×1010Ω/□以上の場合は転写材S表面を経由しても必要な電流を確保しにくいため、転写材Sorg表面に導電層Cを設けると必要な電流を
確保することが可能となる。
【0074】
なお、上述の体積抵抗測定部120により測定された結果をもとに算出される体積抵抗率は、先に述べた三菱化学アナリティック製の高抵抗・抵抗率計ハイレスタにより測定された体積抵抗率と一致していることを確認した。
【0075】
ここで、体積抵抗測定部120に基づく転写材の種別判別手段により切換部150を切り換えて、各構成に転写バイアスを印加する際の制御について説明する。
【0076】
体積抵抗測定部120における電流測定部123で測定された測定値は、コントローラー130に入力される。このようなコントローラー130としては、CPUやRAM、ROM等を備える汎用の情報処理装置を用いることができる。コントローラー130は、入力された所定情報に基づいて、切換部150を制御することができるように、前記CPUに実行させるプログラムを予め前記ROMに記憶させる。
【0077】
前記ROMには、電流測定部123で測定された測定値に対応する転写材の種別を記憶すると共に、当該転写材種別に応じて切換部150によって、2次転写ローラー61に印加する第1バイアス電圧と、第1接触部材141に印加する第2バイアス電圧を記憶するテーブルを有しており、CPUはこのテーブルに基づいて、切換部150を制御するようになっている。
【0078】
以上のように転写材S判別手段を設けることで、転写材Sに応じて切換部150を切り換えて最適な転写電圧印加方法を選択できることとなる。結果として、さまざまな種類の転写材Sに対して良好な転写性を確保することが可能となった。
【0079】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図5は本発明の他の実施形態に係る画像形成装置における転写材の判別手段を説明する図である。
【0080】
本実施形態では図5に示すように給紙部(不図示)により給紙された転写材が第1接触部材141の場所を通過する前の位置に転写材の表面抵抗を測定する表面抵抗測定部110を設けた。
【0081】
図5では転写材Sの種別を判別する手段として、転写材Sの表面抵抗を測定する表面抵抗測定部110を設けた。表面抵抗測定部110は、体積抵抗率が1×106Ω・cmで
厚さ3mmの導電弾性層を有する直径φ20mmの2本のローラーを互いに圧接させ、このローラー対を転写材搬送方向に2対配置(第1ローラー対111、第2ローラー対112)することで構成される。これらローラー対のうち転写材印字面側のローラー間に電位差を設け、さらに両ローラー対によって転写材が担持搬送された時に印字面側の2本のローラー間に流れる電流を電流測定部113で測定することによって転写材Sの表面抵抗値を測定する。
【0082】
表面抵抗測定部110によって測定された表面抵抗をもとに算出された表面抵抗率が1×104〜109Ω/□の時、電圧切換部150により転写電圧を第1接触部材141に印加することで良好な転写性が得られた。一方で、表面抵抗率が1×1010Ω/□以上の時、同様に第1接触部材141側に転写電圧を印加しても良好な転写性は得られなかった。これは、転写材の表面抵抗が大きいために転写部にて必要な電界(電流)を確保できなかったためである。そこで、表面抵抗率が1×1010Ω/□以上の時は電圧切換部150により2次転写ローラー61に転写電圧を与えることで良好な転写性を得ることができた。これは転写材表面ではなく転写材厚み方向を電流経路として利用して転写に必要な電流を確保したためである。また、転写材の表面抵抗率が1×1010Ω/□以上の時で電圧切り
替え手段により2次転写ローラー61に転写電圧を印加しても良好な転写性が得られない場合は、転写材表面に導電層Cを設け第1接触部材141に転写電圧を印加すると必要な電流を確保することが可能となる。
【0083】
なお、上述の表面抵抗測定手段により測定された結果をもとに算出される表面抵抗率は、先に述べた三菱化学アナリティック製の高抵抗・抵抗率計ハイレスタにより測定された表面抵抗率と一致していることを確認した。
【0084】
ここで、表面抵抗測定部110に基づく転写材の種別判別手段により電圧切換部150を切り換えて、各構成に転写バイアスを印加する際の制御について説明する。
【0085】
表面抵抗測定部110における電流測定部113で測定された測定値は、コントローラー130に入力される。このようなコントローラー130としては、CPUやRAM、ROM等を備える汎用の情報処理装置を用いることができる。コントローラー130は、入力された所定情報に基づいて、電圧切換部150を制御することができるように、前記CPUに実行させるプログラムを予め前記ROMに記憶させる。
【0086】
前記ROMには、電流測定部113で測定された測定値に対応する転写材の種別を記憶すると共に、当該転写材種別に応じて切換部150によって、2次転写ローラー61に印加する第1バイアス電圧と、第1接触部材141に印加する第2バイアス電圧を記憶するテーブルを有しており、CPUはこのテーブルに基づいて、切換部150を制御するようになっている。
【0087】
このように転写材Sを判別する手段として表面抵抗測定部110を設け、転写材Sに応じて電圧切換部150を切り換えて最適な転写電圧印加方法を選択できることとなる。結果として、さまざまな種類の転写材に対して良好な転写性を確保することが可能となった。
【0088】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の他の実施形態に係る画像形成装置における転写材の判別手段を説明する図である。
【0089】
本実施形態では図6のように給紙部(不図示)により給紙された転写材が第1接触部材141の場所を通過する前の位置に転写材の厚みを測定する厚み測定手段を設けた。
【0090】
図6では転写材を判別する手段として、転写材の厚みを測定する厚さ測定部126を設けた。厚さ測定部126は、吸引搬送部125にレーザー変位計を照射しておき、転写材Sが吸引搬送部125に搬送された際のレーザー変位計の読み値と転写材Sが存在しない時の読み値の差を転写材厚さとして測定する手段である。厚さ測定手段としてはこの他にローラー対により転写材を担持搬送しその時のローラーの変位量をレーザー変位計で測定するものなどがある。
【0091】
転写材Sの体積抵抗(注意:体積抵抗率ではない)は転写材の厚みにより変化する。よって転写材の材質ごとにその厚みを測定することで転写材の体積抵抗がわかることになる。
ここで本実施形態では印刷用塗工紙として利用される王子製紙製のウルトラサテン金藤を用いた。ウルトラサテン金藤は同じ構成でその厚み(坪量)がことなる水準が存在する。
【0092】
以下、表1に各ウルトラサテン金藤に対して、転写電圧の印加方法を変えた時の転写性の結果を示す。(印加電圧=−1500V)
【0093】
【表1】

表1からわかるように同じ材質の転写材であっても、その厚み(坪量)によって最適な転写電圧の印加方法が異なる。
【0094】
ここで、厚さ測定部126に基づく転写材の種別判別手段により電圧切換部150を切り換えて、各構成に転写バイアスを印加する際の制御について説明する。
【0095】
厚さ測定部126で測定された転写材厚さは、コントローラー130に入力される。このようなコントローラー130としては、CPUやRAM、ROM等を備える汎用の情報処理装置を用いることができる。コントローラー130は、入力された所定情報に基づいて、電圧切換部150を制御することができるように、前記CPUに実行させるプログラムを予め前記ROMに記憶させる。
【0096】
前記ROMには、厚さ測定部126で測定された転写材厚さに応じて切換部150によって、2次転写ローラー61に印加する第1バイアス電圧と、第1接触部材141に印加する第2バイアス電圧を記憶するテーブルを有しており、CPUはこのテーブルに基づいて、切換部150を制御するようになっている。
【0097】
以上から、転写材判別手段によって転写材の厚みを測定することにより、電圧切換部150で最適な電圧印加方法を切り替えて転写することで良好な転写性を確保することが可能となった。
【0098】
以上、本発明の転写装置及び画像形成装置によれば、電圧切換部150によって、2次転写ローラー61又は第1接触部材141の何れかを介した電流が流れることで、転写材の抵抗が低い場合(表面抵抗率で1×104Ω/□未満の場合)であっても、転写材の抵
抗が高い場合(表面抵抗率で1×104Ω/□以上の場合)であっても、いずれの場合で
も、像担持体上のトナー像を転写材に対して良好に転写することが可能となるのである。
【0099】
また、本発明の転写装置及び画像形成装置によれば、転写部にて転写ニップを構成する転写材裏面側の2次転写ローラー61もしくは転写部以外で転写材印字面側に接触する第
1接触部材141にトナーと逆極性の転写バイアスを印加し、さらに転写電圧をこれら2つのうち最適な方に印加することで、転写材表面もしくは転写材上の導電層の抵抗が高い場合(表面抵抗率で1×104〜1010Ω/□の場合)であっても転写部にてトナー像を
転写材に転写するために必要な電流を確保することが可能となり、結果としてトナー像の転写材への良好な転写性を得ることが可能となった。
【0100】
また、本発明の転写装置及び画像形成装置においては、転写材判別手段を設け、その結果に基づいて電圧切換部150によって転写電圧の印加方法を切り換えることで、転写材の種類に応じて最適な電流経路を選択しトナー像を転写するのに必要な電流を確保することが可能となる。結果として、さまざまな種類の転写材に対して良好な転写性を得ることが可能となった。
【0101】
また、本発明の転写装置及び画像形成装置においては、転写材判別手段として転写材の体積抵抗を測定する体積抵抗測定手段を設け、その結果に基づいて電圧切換部150によって転写電圧の印加方法を切り換えることで、転写材の体積抵抗に応じて最適な電流経路を選択しトナー像を転写するのに必要な電流を確保することが可能となる。結果として、さまざまな種類の転写材に対して良好な転写性を得ることが可能となった。
【0102】
また、本発明の転写装置及び画像形成装置においては、転写材判別手段として転写材の表面抵抗を測定する表面抵抗測定手段を設け、その結果に基づいて電圧切換部150によって転写電圧の印加方法を切り換えることで、転写材の体積抵抗に応じて最適な電流経路を選択しトナー像を転写するのに必要な電流を確保することが可能となる。結果として、さまざまな種類の転写材に対して良好な転写性を得ることが可能となった。
【0103】
また、本発明の転写装置及び画像形成装置においては、転写材判別手段として転写材の厚みを測定する厚み測定手段を設け、その結果に基づいて電圧切換部150によって転写電圧の印加方法を切り換えることで、転写材の厚みに応じて最適な電流経路を選択しトナー像を転写するのに必要な電流を確保することが可能となる。結果として、さまざまな種類の転写材に対して良好な転写性を得ることが可能となった。
【0104】
また、本発明の転写装置及び画像形成装置においては、転写材の体積抵抗率が1×104〜1×1010Ω・cmの時、電圧切換部150により2次転写ローラー61に転写電圧
を印加することで、転写に必要な電流を確保することが可能となる。結果として上記転写材に対して良好な転写性を得ることが可能となった。
【0105】
また、本発明の転写装置及び画像形成装置においては、転写材の体積抵抗率が1×105以上で1×1011Ω・cm未満の時、電圧切換部150により第1接触部材141に転
写電圧を印加することで、転写に必要な電流を確保することが可能となる。結果として上記転写材に対して良好な転写性を得ることが可能となった。
【符号の説明】
【0106】
10Y、10M、10C、10K・・・感光体、11Y、11M、11C、11K・・・コロナ帯電器、12Y、12M、12C、12K・・・露光ユニット、13Y、13M、13C、13K・・・第1感光体スクイーズローラー、13Y’、13M’、13C’、13K’・・・第2感光体スクイーズローラー、14Y、14Y’、14M、14M’、14C、14C’、14K、14K’、・・・感光体スクイーズローラークリーニングブレード、18Y、18M、18C、18K・・・感光体クリーニングブレード、20Y、20M、20C、20K・・・現像ローラー、21Y、21M、21C、21K・・・現像ローラークリーニングブレード、22Y、22M、22C、22K・・・コンパクションコロナ発生器、30Y、30M、30C、30K・・・現像装置、31Y、31M、3
1C、31K・・・現像剤容器、32Y、32M、32C、32K・・・アニロックスローラー、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、33Y、33M、33C、33K・・・規制ブレード、34Y、34M、34C、34K・・・オーガ(供給ローラー)、40・・・転写ベルト、41・・・2次転写バックアップローラー、42・・・テンションローラー、45・・・現像剤回収部、46・・・転写ベルトクリーニングローラー、47・・転写ベルトクリーニングローラークリーニングブレード、49・・・転写ベルトクリーニングブレード、50Y、50M、50C、50K・・・1次転写部、51Y、51M、51C、51K・・・1次転写バックアップローラー、60・・・2次転写ユニット、61・・・2次転写ローラー、85・・・2次転写ユニット回収貯留部、90・・・接触定着ユニット、91・・・加熱ローラー、92・・・加圧ローラー、101、101’・・・レジストローラー、110・・・表面抵抗測定部、111・・・第1ローラー対、112・・・第2ローラー対、113・・・電流測定部、120・・・体積抵抗測定部、121・・・ローラー対、123・・・電流測定部、125・・・吸引搬送部、126・・・厚さ測定部、130・・・コントローラー、141・・・第1接触部材、
150・・・電圧切換部、300・・・非接触定着ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含む液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ベルトと、
前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記像担持体ベルトと接触して転写材に前記像を転写させる転写ローラーと、
前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記転写材の像が転写される面と接触する接触部材と、
前記転写ローラーもしくは前記接触部材にバイアスを印加させる切換部と、を有することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
トナーとキャリアを含む液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ベルトと、
前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記像担持体ベルトと接触して転写材に前記像を転写させる転写ローラーと、
前記トナーの極性と異なる極性のバイアスが印加されると共に前記転写材の像が転写される面と接触する接触部材と、
前記転写ローラーもしくは前記接触部材にバイアスを印加させる切換部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
転写材の種別を判別する転写材種別判別部を有し、
前記切換部は、前記転写材種別判別部の結果に基づいて、前記転写ローラーもしくは前記接触部材にバイアスを印加させる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写材種別判別部は、転写材の体積抵抗を測定する体積抵抗測定部材を有し、測定された転写材の体積抵抗の値に基づいて転写材の種別を判別する請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記体積抵抗測定部材で測定された転写材の体積抵抗率が1×105Ω・cm以上1×1
11Ω・cm未満であるとき、
前記切換部は、前記転写ローラーにバイアスを印加する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記体積抵抗測定部で測定された転写材の体積抵抗率が1×1011Ω・cm以上であるとき、
前記切換部は、前記接触部材にバイアスを印加する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写材種別判別部は、転写材の表面抵抗を測定する表面抵抗測定部材を有し、測定された転写材の表面抵抗の値に基づいて転写材の種別を判別する請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写材種別判別部は、転写材の厚さを測定する厚さ測定部材を有し、測定された転写材の厚さの値に基づいて転写材の種別を判別する請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145819(P2012−145819A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4914(P2011−4914)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】