説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】寄り規制部材が端部に設けられたベルト状担持体の斜行を抑制することで色ずれを防止して良好な画像を得られる転写装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 像担持体1K、1M、1C、1Y上に形成されたトナー像を、複数のローラ部材12〜16に巻き掛けられたベルト状担持体7上に1次転写し、その後、記録媒体Pに2次転写する転写装置10において、ベルト状担持体の内面7aの少なくとも一方の端部7bに配置され、各ローラ部材の端面12a〜16aに当接する寄り規制部材30を備え、ベルト状担持体の幅方向Wにおける寄り規制部材30の位置を、ローラ部材12と対向配置され、ベルト状担持体の表面7cに接離可能な当接部材21の端部21aよりも一定距離A以上幅方向の外側に離して設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、詳しくは転写装置が備えるベルト状担持体の幅方向への移動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、原稿反射光等の光学的な画像情報を予め一様に帯電された像担持体上に照射することによって得た静電潜像を、現像装置から供給されるトナーによってトナー像として可視像化し、この可視像を転写紙等の記録媒体上に転写、定着することによって画像形成を行っている。
多色を用いてカラー画像を形成する画像形成装置では、トナー像を記録媒体に転写するのに、ベルト状担持体上で搬送される記録媒体に直接転写又はベルト状担持体上に1次転写し、その後に、記録媒体に2次転写する転写装置を用いている。
【0003】
ベルト状担持体は、ベルト自身の厚さ・周長の変動、ベルトを張架するローラ部材の傾き・直径の変動、転写装置のゆがみ等により、ベルトの幅方向のいずれか側に寄って走行する傾向にある。そこで、特許文献1、2においては、ローラ部材に巻き掛けられて張架されるベルト状担持体の裏側の両端部に寄り規制部材を設け、寄り規制部材を1つあるいは複数のローラ部材の端部に突き当てることにより、ベルト状担持体の幅方向(ローラ部材の軸方向)への位置を規制している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような寄り規制部材には例えばポリウレタンゴムなどの弾性体が用いられることから、ベルト状担持体を回転させると、ベルト状担持体の裏側に設けられた寄り規制部材が、ローラ端部に突き当たることによって幅方向位置が規制され、ベルトの寄る力によって、寄り規制部材が寄り方向につぶれるとともに、つぶれることによって、ベルト端部の盛り上がりも生じる。この盛り上がりが生じても、常にその状態が維持されていれば、ベルト幅方向への位置は変化しない。しかし、ベルト状担持体の外側には、クリーニング部材や2次転写部材等の、ベルト状担持体表面に対して接触離間する当接部材等が、ベルト状担持体の内側に配置されたローラ部材と対向配置されている。このため、ベルト状担持体とこれら当接部材とが離間状態においてベルト端部に盛り上がりがあると、当接部材とベルト状担持体との離間状態時に当接部材で押しつぶされ、ベルト状担持体が若干寄り方向と反対方向に変位する。このときベルト状担持体以外の構成となるローラ部材や2次転写部材は幅方向には移動しないため、ベルト状担持体が斜行することになり、この状態でカラー画像の作像動作を行うと、トナー像の色重ねが幅方向にズレてしまい、いわゆる色ずれが発生してしまう。
本発明は、寄り規制部材が端部に設けられたベルト状担持体の斜行を抑制することで色ずれを防止して良好な画像を得られる転写装置及び画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、像担持体上に形成されたトナー像を、複数のローラ部材に巻き掛けられたベルト状担持体で搬送される記録媒体に直接転写又は当該ベルト状担持体上に1次転写し、その後記録媒体に2次転写する転写装置において、ベルト状担持体の内面の少なくとも一方の端部に配置され、ローラ部材の端面に当接する寄り規制部材を備え、ベルト状担持体の幅方向における寄り規制部材の位置を、ローラ部材と対向配置され、ベルト状担持体の表面に接離可能な当接部材の端部よりも一定距離以上幅方向の外側に離して設置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のローラ部材に巻き掛けられたベルト状担持体の内面の少なくとも一方の端部にローラ部材の端面に当接する寄り規制部材を設け、ベルト状担持体の幅方向における寄り規制部材の位置を、ローラ部材と対向配置され、ベルト状担持体の表面に接離可能な当接部材の端部よりも一定距離以上幅方向の外側に離して設置したので、当接部材とベルト状担持体との接離時におけるベルト状担持体の幅方向への変位差が少なくなり、寄り規制部材を端部に有するベルト状担持体の斜行を抑制することができ、斜行による色ずれを防止して良好な画像を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】中間転写方式の転写装置を備えた画像形成装置の一形態を示す概略構成図。
【図2】寄り規制部材を備えた中間転写ベルトの状態を説明するための図であり、(a)は中間転写ベルトとローラ部材とをベルト移動方向から見たときの断面図段、(b)は寄り規制部材がローラ部材の端部に接触して中間転写ベルトの幅方向への変位が規制された状態を示す断面図。
【図3】寄り規制部材を備えた中間転写ベルトと2次転写部材との関係を説明するための拡大図であり、(a)は中間転写ベルトと2次転写部材との離間時において寄り規制部材による幅方向への移動を規制された状態を示す断面図、(b)は中間転写ベルトと2次転写部材との接触時において中間転写ベルトが幅方向に変位した状態を示す断面図。
【図4】本発明の主要構成となる中間転写ベルトと2次転写部材との接離部の拡大図であり、(a)は中間転写ベルトと2次転写部材との離間時において2次転写部材の端部に対して寄り規制部材を幅方向にオフセットした状態を示す断面図、(b)は中間転写ベルトと2次転写部材との接触時の状態を示す断面図。
【図5】中間転写ベルトと2次転写部材との接触時において、中間転写ベルトが幅方向に変位して斜行したときに発生する色ずれを説明する概略図。
【図6】本発明の主要構成となる中間転写ベルトとクリーニング部材との接離部の拡大図であり、(a)は中間転写ベルトとクリーニング部材との離間時においてクリーニング部材の端部に対して寄り規制部材を幅方向にオフセットした状態を示す断面図、(b)は中間転写ベルトとクリーニング部材との接触状態を示す断面図。
【図7】直接転写方式の転写装置を備えた画像形成装置の一実施形態示す概略構成図。
【図8】本発明の主要構成となるローラ部材に巻き掛けられた転写搬送ベルトとクリーニング部材との接離部の拡大図であり、(a)は転写搬送ベルトとクリーニング部材との離間時においてクリーニング部材の端部に対して寄り規制部材を幅方向にオフセットした状態を示す断面図、(b)は転写搬送ベルトとクリーニング部材との接触状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、この本発明の実施の形態について説明する。各実施の形態において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、先の説明との重複説明は極力省略する。
【0009】
図1は、この発明の一実施の形態を示す。図1に示す画像形成装置は、中間転写方式の転写装置を備えた電子写真装置である。
【0010】
装置本体100には、その中央に、無端のベルト状担持体であり、ここでは中間転写体として機能する中間転写ベルト7を備えた中間転写方式の転写装置10が配置されている。中間転写ベルト7は、多層構造、単層構造でも構わない。多層構造であればベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ポリイミド系樹脂でつくり、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってなるもの、単層であればPVDF、PC、ポリイミド等の材質を用いるものがある。中間転写ベルト7は、複数のローラ部材となる支持ローラ12,13,14、15に掛け回して図中反時計回りに回転搬送可能とされている。
【0011】
図1の例では、支持ローラ13の左側に、画像転写後に中間転写ベルト7上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置19が配置されている。ベルトクリーニング装置19は、当接部材となるクリーニング部材19aを備えている。ウレタン等で構成されたブレード状のクリーニング部材19aは、中間転写ベルト7の幅方向Wに延在している(図2参照)。クリーニング部材19aは、ブレード先端が中間転写ベルト7の回転方向に対しカウンター方向に当接するように配置されている。なお、クリーニング部材としては、上記のブレード状の他に導電性のブラシやローラを用いて静電的に回収するような構成をとっても良い。
【0012】
ブレード状のクリーニング部材19aにより回収されたトナーは、クリーニング装置19内の図示しない搬送部材により装置本体奥側へ搬送され重力等により下方へ落下させることで、トナー回収用ボトル内部へと収容している。図示はしないが、トナー回収用ボトルには、回収トナー量を検知する手段が設けられており、満杯時には機械を停止させる等でトナーがあふれることを防止している。
【0013】
中間転写ベルト7の下方には、ベルト搬送方向に沿って、ブラック・マゼンタ・シアン・イエローの4つの画像形成手段50K、50M、50C、50Yが横に並べて配置され、タンデム画像形成部を構成されている。
【0014】
各画像形成手段は、像担持体としてのドラム状の感光体1K、1M、1C、1Y1と、各感光体の周囲に配備された帯電手段4K、4M、4C、4Y、各色の現像剤となるトナーが収納された現像装置6K、6M、6C、6Y及びクリーニング装置2K、2M、2C、2Yを備えている。各画像形成手段は、これら部材が1つのユニットとして一体化されたプロセスユニットとして構成されていて、各感光体を中間転写ベルト7の表面と対向するように配置されている。各感光体と対向する中間転写ベルト7の内側ループ内には、1次転写部材となる1次転写ローラ11K、11M、11C、11Yが配置されていて、電源101から転写バイアスがそれぞれ印加されるように構成されている。
【0015】
各画像形成手段は、感光体1K、1M、1C、1Y上を帯電手段4K、4M、4C、4Yにて帯電し、図示しない露光装置から照射される露光光5K、5M、5C、5Yにより各感光体表面に静電潜像を形成する。現像装置6K、6M、6C、6Yは、静電潜像を各色のトナーでトナー像に現像して可視像化する。各色のトナーで現像されたトナー像は、1次転写ローラ11K、11M、11C、11Yとの対向部において転写バイアスによる転写電界の作用により中間転写ベルト7にそれぞれ転写される。各感光体上の転写残トナーは、クリーニング装置2K、2M、2C、2Yにてそれぞれ回収される。この回収されたトナーも、中間転写ベルト7から回収されたトナーと同様にトナー回収ボトルに収容される。
【0016】
中間転写ベルト7を巻き掛けている支持ローラ12には、中間転写ベルト7を間に介して2次転写部材であり当接部材となる2次転写ローラ21が対向配置されていて、中間転写ベルト7との間に2次転写部を形成している。この2次転写ローラ21には、電源102から転写バイアスが印加されている。転写バイアスは2次転写ローラ21ではなく、支持ローラ12に印加してもよい。2次転写ローラ21は、幅方向W(図2参照)に延在している。
【0017】
中間転写ベルト7よりも上方には、中間転写ベルト7に転写されたトナー像を記録媒体としての転写紙Pに熱と圧力で定着する定着装置30が配置されている。装置本体100の下方には、給紙装置20が配置されている。給紙装置20は、給紙トレイ23上に転写紙Pが積層して収納されているとともに、給紙ローラ26を備えている。装置本体100内には、給紙装置20と2次転写部をつなぐ給紙路29が形成されている。給紙路29には給紙ローラ27とレジストローラ28が配置されている。
【0018】
このような構成の画像形成装置では、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ12、13,14、15の1つを回転駆動して他の支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト7を反時計方向に回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段で感光体1K、1M、1C、1Yを回転して各感光体上にそれぞれ、ブラック・マゼンタ・シアン・イエローの単色のトナー像を形成する。そして、中間転写ベルト7の回転搬送とともに、1次転写ローラ11K、11M、11C、11Yに転写バイアスを印加し、それら単色のトナー像を順次中間転写ベルト7に転写して中間転写ベルト7上に合成カラートナー像を形成する。
【0019】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙ローラ27が回転駆動し、最上位の転写紙Pが1枚ずつに分離されて給紙路29に給紙される。給紙された転写紙Pは、給紙路29の搬送ローラ27で搬送され、2次転写部手前に配置されたレジストローラ28に突き当てて止められる。止められた転写紙Pは、中間転写ベルト7上の合成カラートナー像にタイミングを合わせてレジストローラ28が回転駆動することで、2次転写部へと搬送される。
【0020】
合成カラートナー像は、2次転写部に搬送され転写紙P上に転写バイアスによる転写電界の作用により転写される。画像転写後の転写紙Pは、2次転写ローラ21で搬送されつつ定着装置30へと送り込まれ、定着装置30で熱と圧力とを加えて転写画像を定着される。定着された転写紙Pは、定着装置30よりも搬送方向下流側に位置する排出ローラ32によって、装置本体100の上面に形成された排紙トレイ105上に排出されてスタックされる。
【0021】
一方、画像転写後の中間転写ベルト7は、画像転写後に中間転写ベルト7上に残留する残留トナーをベルトクリーニング装置19で除去され、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0022】
次に、中間転写ベルト7の構成について説明する。中間転写ベルト7は、ベルト自身の厚さ・周長の変動、ベルトを張架するローラ部材の傾き・直径の変動、そして転写装置10のゆがみ等により、その幅方向Wのいずれかの方向に寄る傾向にある。幅方向Wとは、本形態の場合、ローラ部材の軸線方向、記録紙Pの幅方向にも該当する。
【0023】
そこで、図2(a)に示すように、中間転写ベルト7の内面7aの片側の端部7bに中間転写ベルト7を支持するローラ部材12〜15の端面12a〜15aにベルト移動時に当接する寄り規制部材となる寄り止めガイド30を設けている。寄り止めガイド30は、中間転写ベルト7の内面7aの片側の端部7bだけでなく、両端に設けてもよい。寄り止めガイド30は、中間転写ベルト7の内面7aから内方(ローラ部材の内側)に向かって突出して形成されている。寄り止めガイド30はポリウレタンゴム等の弾性体を用いて、断面角形状とされていて、中間転写ベルト7の全周にわたって設けられている。
【0024】
このため、中間転写ベルト7が回転移動すると、ベルト内面7aに設けられた寄り止めガイド30の内端面30aが、図2(b)に示すように、各ローラ部材12〜15の端面12a〜15aに突き当たることによって、中間転写ベルト7の幅方向Wへの位置を規制している。図示のように、寄り止めガイド30は弾性体であるために、中間転写ベルト7の寄る力によって、符号W1で示すベルト寄り方向につぶれる。またつぶれることによって、中間転写ベルト7の端部7bの盛り上がり、盛り上がり部Eも生じることがある。
【0025】
このように寄り止めガイド30のつぶれ、中間転写ベルト7の盛り上がり部Eが生じても、常にその状態が維持されていれば、中間転写ベルト7の幅方向の位置は変化しないので問題にはならない。ところが、ベルト外側には、本形態では、図3に示すように、例えば2次転写ローラ21が駆動ローラ12と対向配置されて、中間転写ベルト7の表面7cに当接して配置されている。そして2次転写ローラ21は、通常の作像動作中となる、少なくとも各感光体へのトナー像の形成から2次転写が終了するまではベルト表面7cに当接しているが、画像濃度調整動作(いわゆるプロコン)中や、位置合わせの調整中等にはベルト表面7cから離間するように構成されている。
【0026】
このため、図3(a)に示すように、2次転写ローラ21の表面21aがベルト表面7cから離間しているときは、寄り止めガイド30がつぶれており、ベルトの盛り上がりが生じているが、図3(b)に示すように、2次転写ローラ21の表面21aがベルト表面7cに当接すると、2次転写ローラ21がベルトの盛り上がり部Eが押しつぶすことによって、中間転写ベルト7が若干、寄り方向W1と反対方向W2に移動する。
【0027】
しかし、中間転写ベルト7は、通常の作像動作中においては2次転写ローラ21と各ローラ部材とで挟持された状態で搬送方向に移動する。このため、挟持部(当接部)において、中間転写ベルト7は移動するが、ローラ部材12〜15は回転のみで幅方向(軸方向)Wへは移動しないため、中間転写ベルト7が図5に示すように、寄り止めガイド30によって規制されていない寄り方向W1と反対方向W2に斜行することになる。このような中間転写ベルト7の斜行状態でカラー画像の作像動作を行うと、トナー像の中間転写ベルト7の表面7cへの狙いの書き込み位置がぶれて色重ねがズレてしまい、いわゆる色ずれが発生してしまう。
【0028】
そこで、この中間転写ベルト7の斜行を防ぐために、中間転写ベルト7の内面7a側に設けている寄り止めガイ30の位置を規定した。この寄り止めガイ30の位置について図4を用いて説明する。上述したように、中間転写ベルト7の斜行は、2次転写ローラ21の軸線方向(幅方向W)への長さに対して、寄り止めガイド30の位置が近い(あるいは寄り止めガイド30上にローラが来る)場合に上記の不具合が生じる。つまり、寄り止めガイド30の寄り方向W1への変位により発生した盛り上がり部Eと2次転写ローラ21とが対向する位置関係にあると、盛り上がり部Eが当接時に押しつぶされることにより斜行が生じてしまう。
【0029】
このため、図4(a)に示すように、中間転写ベルト7の表面7cと2次転写ローラ21の表面21aとが離間状態(離間時)のときに、2次転写ローラ21の端部21bから寄り止めガイド30の内端面30aまでをある一定距離(図中A)以上離して配置すれば、図4(b)に示すように中間転写ベルト7の表面7cと2次転写ローラ21の表面21aとが当接状態になっても、2次転写ローラ21がベルトの盛り上がり部Eが押しつぶされることが無くなる。すなわち、中間転写ベルト7の表面7cと2次転写ローラ21の表面21aとの接離状態による、寄り止めガイド30のつぶれ量やベルトの盛り上がり状態の差が少なくなり、影響が極めて少なくなる。この一定距離Aは、寄り止めガイド30、ローラ部材12、2次転写ローラ21の材質・寸法等にもよるが、凡そ2次転写ローラ21の端面21bからガイド30の内端面30aまでの距離Aを5mm以上離せばそれらに因らず効果を得られる。
【0030】
つまり、幅方向Wにおける寄り止めガイド30の位置を、2次転写ローラ21の端部となる端面21bよりも一定距離A以上幅方向Wの外側に離して設置することで、寄り止めガイド30の変位により盛り上がったベルト部分Eと2次転写ローラ21とが干渉しなくなるので、2次転写ローラ21と中間転写ベルト7との接触時におけるベルトの幅方向Wへの変位差が少なくなるので、寄り止めガイド30を端部に有する中間転写ベルト7の斜行を抑制することができ、斜行による色ずれを防止して良好な画像を得られる。すなわち、ガイド部材・ローラ・ベルトの材質・寸法等に因らず、2次転写ローラ21の接離動作に起因する色ずれを防止できる。
【0031】
上記形態では、中間転写ベルト7の表面7cに接離する当接部材を2次転写ローラ21として説明したが、中間転写ベルト7の表面7cには、図1に示したように、本形態ではクリーニング部材19aの先端19cも接触している。クリーニング部材19aもクリーニング以外は中間転写ベルト7の表面7cから離間された状態となるので、図6(a)、図6(b)に示すように、中間転写ベルト7の幅方向Wにおける寄り止めガイド30の位置を、クリーニング部材19aの端部となる端面19bよりも一定距離A以上幅方向Wの外側に離して設置することでも、クリーニング部材19aの先端19cと中間転写ベルト7の表面7cとの接触時におけるベルトの幅方向Wへの変位差が少なくなる。このため、クリーニング部材19aの接離動作に起因する寄り止めガイド30を端部に有する中間転写ベルト7の斜行を抑制することができ、斜行による色ずれを防止して良好な画像を得られる。
【0032】
上記形態では、中間転写方式の転写装置10を例に、ベルト状担持体を、各感光体からトナー像が1次転写され、転写されたトナー像を転写紙Pに2次転写する中間転写ベルト7の斜行とその抑制手法について説明したが、転写装置の転写方式やベルト状担持体は、上記のものに限定されるものではない。
【0033】
例えば、図7に示すように、直接転写方式の転写装置10Aを備えた画像形成装置にも適用することができる。図7に示す画像形成装置は、装置本体100Aの中央に、無端のベルト状担持体であり、ここでは転写搬送部材として給紙装置20から給紙された転写紙Pを吸着搬送する転写搬送ベルト70を備えた転写装置10Aが配置されている。転写搬送ベルト70は、複数のローラ部材となる支持ローラ61,62,63,64,65,66に掛け回して図中反時計回りに回転搬送可能とされている。そして、転写搬送ベルト70には、ベルト搬送方向に沿って、ブラック・マゼンタ・シアン・イエローの4つの画像形成手段50K、50M、50C、50Yが並べて配置されている。画像形成手段50K、50M、50C、50Yが備える感光体1K、1M、1C、1Yと対向する転写ベルト70の内側ループ内には、転写部材となる転写ローラ11K、11M、11C、11Yが配置されていて、図示しない電源から転写バイアスが印加されるように構成されている。
【0034】
転写搬送ベルト70は、給紙装置20から給紙された転写紙Pを吸着搬送する。転写搬送ベルト70には、当接部材となるブレード状のクリーニング部材19aが支持ローラ63と対向配置されて、転写搬送ベルト70の表面70cに接離可能に配置されている。
【0035】
このような構成の画像形成装置では、各感光体上に形成されたトナー像を、各感光体と転写ローラ11K、11M、11C、11Yとの対向部に構成される転写部において転写搬送ベルト70上に給紙装置20から給紙路29、レジストローラ28によって搬送される転写紙Pに順次重ねて転写し、転写後に転写搬送ベルト70上に残ったトナーをクリーニング部材19aにて回収する。トナー像を転写された転写紙Pは、定着装置30にて熱と圧力とを加えて転写画像を定着され、定着装置30よりも搬送方向下流側に位置する排出ローラ32によって、装置本体100Aの上面に形成された排紙トレイ105A上に排出されてスタックされる。
【0036】
図8(a)に示すように、転写搬送ベルト70の内側70aの片側の端部70bには、転写搬送ベルト70を支持するローラ部材61〜66の端面61a〜61aにベルト移動時に当接する寄り規制部材となる寄り止めガイド30をベルト全周にわたって設けている無。無論転写搬送ベルト70の内側70aの両端に寄り止めガイド30を設けてもよい。
【0037】
本形態においても、クリーニング部材19aは、クリーニング以外は転写搬送ベルト70の表面70cから離間された状態となるので、図8(a)、図8(b)に示すように、転写搬送ベルト70の幅方向Wにおける寄り止めガイド30の位置を、クリーニング部材19aの端部となる端面19abよりも一定距離A以上幅方向Wの外側に離して設置することで、クリーニング部材19aの先端19cと転写搬送ベルト70の表面70cとの接触時におけるベルトの幅方向Wへの変位差が少なくなる。このため、クリーニング部材19aの接離動作に起因する寄り止めガイド30を端部に有する転写搬送ベルト70の斜行を抑制することができ、斜行による色 ずれを防止して良好な画像を得られる。
【0038】
上記各形態において、クリーニング部材19aおよび2次転写ローラ21は、幅方向Wには移動しないように支持されているため、各面19b、21bと寄り止めガイド30の内端面30aとの一定距離Aの確保するのに、寄り止めガイド30の位置を移動するようにしたが、クリーニング部材19aおよび2次転写ローラ21が幅方向Wへの位置を調整可能な場合には、寄り止めガイド30の内端面30aに対してクリーニング部材19aおよび2次転写ローラ21を幅方向Wへの位置を移動して一定距離Aを確保するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1K、1M、1C、1Y 像担持体
7 中間転写ベルト(ベルト状担持体)
70 転写搬送ベルト(ベルト状担持体)
7a、70a ベルト状担持体の内面
7b、70b ベルト状担持体の端部
7c、70c ベルト状担持体の表面
10、10A 転写装置
12〜15 複数のローラ部材
12〜15a ローラ部材の端面
19a クリーニング部材(当接部材)
21 2次転写部材(当接部材)
30 寄り規制部材
61〜66 複数のローラ部材
61〜66a ローラ部材の端面
70 転写搬送ベルト(ベルト状担持体)
A 一定距離
P 記録媒体
W 幅方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2004−184697号公報
【特許文献2】特開平9−230745号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成されたトナー像を、複数のローラ部材に巻き掛けられたベルト状担持体で搬送される記録媒体に直接転写又は当該ベルト状担持体上に1次転写し、その後記録媒体に2次転写する転写装置において、
前記ベルト状担持体の内面の少なくとも一方の端部に配置され、前記ローラ部材の端面に当接する寄り規制部材を備え、
前記ベルト状担持体の幅方向における前記寄り規制部材の位置を、前記ローラ部材と対向配置され、前記ベルト状担持体の表面に接離可能な当接部材の端部よりも一定距離以上幅方向の外側に離して設置することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
請求項1記載の転写装置において、
前記寄り規制部材の幅方向への位置を、前記当接部材の端部よりも5mm以上外側に離して設置することを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の転写装置において、
前記当接部材は、前記ベルト状担持体の幅方向に延在し、前記ベルト状担持体に転写されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写時を含む画像形成動作時には前記ベルト状担持体に当接し、前記画像形成動作時以外は前記ベルト状担持体から離間する2次転写部材であることを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の転写装置において、
前記当接部材は、前記ベルト状担持体の幅方向に延在し、同ベルト状担持体に接離可能なクリーニング部材であることを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つの記載の転写装置において、
前記ベルト状担持体は、前記記録媒体を前記像担持体との対向位置へと搬送する転写搬送ベルトであることを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1つの記載の転写装置において、
前記ベルト状担持体は、前記像担持体上に形成されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトであることを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92739(P2013−92739A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236225(P2011−236225)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】