転落検出装置及び転落監視システム
【課題】作業者が転落したことを確実に検出し、短時間で救助することを可能とする転落検出装置及び転落監視システムを提供すること。
【解決手段】転落検出装置2は、気圧センサー22(第1のセンサー)と、加速度センサー24(第2のセンサー)と、気圧センサー22の検出データを利用して、ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部11と、加速度センサー24の検出データを利用して、ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部12と、高度変化情報及び衝撃情報を利用して、ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部13と、を含む。
【解決手段】転落検出装置2は、気圧センサー22(第1のセンサー)と、加速度センサー24(第2のセンサー)と、気圧センサー22の検出データを利用して、ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部11と、加速度センサー24の検出データを利用して、ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部12と、高度変化情報及び衝撃情報を利用して、ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部13と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転落検出装置及び転落監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
豪雪地帯では家屋からの雪下ろし作業が必要であるが、屋根雪の除雪作業は機械化できずに人力に頼るしかなく、滑りやすい屋根の上での作業になるため、毎冬、転落事故が原因となる死亡事故が発生するという大きな社会問題がある。除雪作業中の転落事故の対策として、行政は複数人で作業を行うという通達をしているが、高齢化及び過疎化では、その対策には対応できていないのが現状である。そこで、屋根からの転落、積雪に埋没してからの探索、発見を短時間に行う必要性が求められている。
【0003】
特許文献1には、「車両転落検知装置10は、高度情報検出部12においてGPS装置11から取得した自車両の高度情報を検出し、車両転落検知部13において前記高度情報検出部12により検出された高度値の変化速度を演算監視して自車の転落を検知する」ことが開示されている。
【0004】
特許文献2には、「発信機体に船舶に設置された受信機に向けて電波を発射する発信手段を備えてなり、上記発信機体を吊紐により乗組員の首に吊下可能なペンダント型に形成すると共に該吊紐を上記発信手段のアンテナに用い、かつ上記発信機体に乗組員が海中に転落したことを感知して発信手段を発信作動させる転落感知信号を出力する転落感知手段を備え、更に上記発信機体に上記アンテナを介して電波を送受信するトランシーバ手段を備えてなることを特徴とする船舶乗組員携帯用無線発信機」が開示されている。
【0005】
特許文献3には、「通信機能を備える携帯端末装置であって、前記通信機能を利用して外部から前記携帯端末装置の概略位置を表す概略位置情報、気圧情報を取得する情報取得部と、前記携帯端末装置の位置で気圧を検出する気圧検出部と、前記気圧情報と前記概略位置情報とを用いて前記携帯端末装置の概略位置の基準気圧を算出し、前記気圧検出部の検出気圧と前記基準気圧とを用いて前記概略位置の高度を算出する演算部と、を備える、更に、測位を行う測位部を備え、該測位部が外部の信号源から取得した測位情報と、前記演算部で演算された高度情報と、を用いて測位を行うことを特徴とする携帯端末装置」が開示されている。
【0006】
特許文献3の「0037」段落には、「測位部30は、GPS情報を取得して測位を行う手段であるとともに、その測位情報と高度情報算出部26で得た高度情報とから携帯端末装置4の概略位置の測位を演算する演算部である。この測位部30は、外部の測位情報の信号源である複数のGPS衛星10からの衛星電波を受信する第2のアンテナ34を備え、その受信電波から測位情報としてGPS情報を取得して解析するとともに、高度情報を参照して測位演算を実行する。」と記載されている。
【0007】
また、特許文献3の「0038」段落には、「このような構成を備えたことにより、携帯端末装置4では、気圧情報と概略位置から基準気圧を算出する。この基準気圧は、例えば複数の地点の位置情報と気圧値から求めることができる。この場合、複数の地点の位置情報と気圧値から求めるには例えば、携帯端末装置4の概略位置に最も近い地点の気圧値を基準気圧とするか、もしくは、概略位置を取り囲む3点の気圧値から基準気圧を補間して算出する。」と記載されている。
【0008】
特許文献4には、「車両に搭載されるナビゲーション装置であって、前記車両の現在位置を検出する位置検出装置と、前記車両の高度を検出する高度検出装置と、前記車両内に取り付けられ、地図を用いて現在地を表示するディスプレイ装置と、前記高度検出装置により検出した高度の変化量から走行している道路の昇降を判定する昇降検知手段と、前記昇降検知手段にて判定した昇降情報と最も合致する道路上に現在位置を求める現在位置確定手段と、上記現在位置確定手段で求めた現在位置を前記ディスプレイ装置に表示する現在地表示手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置」が開示されている。
【0009】
位置検出装置はGPS受信装置であり、「0020」段落には、「GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。」と記載されている。
【0010】
高度検出装置は大気圧センサーであり、「0023」段落及び「0024」段落には、「大気圧センサ11は、絶対気圧センサなどにより、車両の周囲の大気圧を測定し、電圧として測定結果(製品仕様によるが、本発明では0V以上5V以下の電圧とする。)を出力する装置である。一般に、高度の変化に応じて気圧は変化し、その変化量は一定の関係性を有することが分かっている。そのため、本発明では高度の変化を検知する手段として気圧センサからの出力電圧を取得し、電圧の変化から高度の変化を検知することとしている。」と記載されている。
【0011】
ところで、3衛星測位(2次元測位)では2衛星のからの疑似距離がわかればよいが、この疑似距離を測るために電波の到達時間を利用している関係で、正確な時刻が必要であり、そのためもう一つの衛星よりもたらされる疑似距離とともに、原子時計の時間情報を利用するため最低3つの衛星が必要になる。
【0012】
また3次元測位(2次元+高度)を行うためには4衛星測位が必要となり、実際のGPS受信機では4つないし3つの連立方程式を解き現在位置の緯度・経度を算出し、そして緯度・経度表示の機種ではそのまま、カーナビ等では数値地図に座標を表示する。
【0013】
近年のカーナビではD−GPS(ディファレンシャルGPS)やマップマッチングの搭載が進んでいるがD−GPSが有効な場合でもその送信所から離れるに従い、誤差補正も効きにくくなり、精度劣化を引き起こす問題があった
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−118336号公報
【特許文献2】特開平6−227488号公報
【特許文献3】特開2008−241467号公報
【特許文献4】特開2008−175716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のように、GPSは検出値に誤差が生じ易く、同時に複数の衛星との通信を必用とする。従って、特許文献1,3,4においては、GPSから得られるデータには誤差が含まれており好ましくない。即ち、高層ビルが隣接するアーバンキャニオン環境等においては、たとえ十分な数の衛星を捕捉することに成功し、測位を行うことができたとしても、マルチパスの影響によって測位結果に重大な誤差が生じる場合がある。特許文献2においては、海中を前提としたものであり、海中への転落を検知することはできても、雪中に転落したのか否か、或いは転落者の状態(ダメージ)、重症度、程度等を推定することはできないという問題があった。
【0016】
従って、特許文献1〜4の手法は、屋根の雪下ろしや修理、煙突や窓の掃除、建築作業など、高所での作業を行う者が転落したことを確実に検出し、短時間で救助するための有効な手法とはなり得ない。
【0017】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、作業者が転落したことを確実に検出し、短時間で救助することを可能とする転落検出装置及び転落監視システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
【0019】
[適用例1]
本適用例に係る転落検出装置は、ユーザーの作業中の転落を検出することができる転落検出装置であって、第1のセンサーと、第2のセンサーと、前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む。
【0020】
第1のセンサーは、ユーザーの高度の変化量を特定可能な物理量を検出するセンサーであればよい。また、第2のセンサーは、ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な物理量を検出するセンサーであればよい。
【0021】
高度変化情報は、ユーザーの高度の変化量そのものの情報であってもよいし、所定の計算式を用いてユーザーの高度の変化量を計算可能な情報であってもよい。また、衝撃情報は、ユーザーに加わる衝撃の大きさそのものの情報であってもよいし、所定の計算式を用いてユーザーに加わる衝撃の大きさを計算可能な情報であってもよい。
【0022】
この転落検出装置によれば、ユーザーが携帯する転落検出装置が、当該転落検出装置に備えられた第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データを利用してユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、転落検出装置がユーザーの転落を検出した場合には、制御装置に転落情報を送信するので、制御装置の出力を監視することでユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0023】
[適用例2]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記転落判定部は、所定時間当たりの前記ユーザーの高度の変化量が所定の閾値を超え、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさが所定の閾値を超えた場合に、前記ユーザーが転落したと判定するようにしてもよい。
【0024】
ユーザーが転落すると、ユーザーの高度が短時間に変化するとともに、ユーザーが地面に衝突する際に大きな衝撃が加わる。従って、所定時間当たりの前記ユーザーの高度の変化量とユーザーに加わる衝撃の大きさがともに閾値を超えた場合に、ユーザーが転落したと判定することで、より確実な判定を行うことができる。
【0025】
[適用例3]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記第1のセンサーは、気圧センサーであり、前記高度変化情報生成部は、前記高度変化情報として、前記気圧センサーが検出する気圧の変化量の情報を生成するようにしてもよい。
【0026】
ユーザーの高度の変化に応じて気圧も変化するので、気圧センサーが検出する気圧の変化量から高度の変化量を特定することができる。
【0027】
[適用例4]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記第2のセンサーは、加速度センサーであり、前記衝撃情報生成部は、前記衝撃情報として、前記加速度センサーが検出する加速度の大きさの情報を生成するようにしてもよい。
【0028】
ユーザーに加わる衝撃の大きさに応じて、ユーザーに加わる加速度の大きさも変化するので、加速度センサーが検出する加速度の大きさから衝撃の大きさを特定することができる。
【0029】
[適用例5]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記加速度センサーは、複数軸の加速度を検出するようにしてもよい。
【0030】
[適用例6]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを保存する記憶部を含むようにしてもよい。
【0031】
このようにすれば、転落したユーザーを救助した後、第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データを読み出して解析することでユーザーの転落時の状況を詳細に把握することができる。これにより、ユーザーに適切な処置を施すことができる。
【0032】
[適用例7]
上記適用例に係る転落検出装置は、マイクロフォンと、前記マイクロフォンの検出信号から前記ユーザーの音声帯域の信号及び前記ユーザーの落下音の帯域の信号の少なくとも一方を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する音圧情報生成部と、をさらに含み、前記転落判定部は、前記高度変化情報、前記衝撃情報及び前記音圧情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定するようにしてもよい。
【0033】
ユーザーが転落すると、ユーザーの音声(悲鳴)や落下音などが発生する。従って、高度変化情報や衝撃情報だけでなく、マイクロフォンで取得した音からユーザーの音声(悲鳴)や落下音を抽出して算出した音圧情報も利用してユーザーが転落したか否かを判定することで、より確実な判定を行うことができる。
【0034】
[適用例8]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを含む転落情報を生成する転落情報生成部をさらに含み、生成した前記転落情報を外部装置に送信するようにしてもよい。
【0035】
このようにすれば、外部装置が受信するユーザーの転落情報を監視することで、転落したユーザーを救助することができる。
【0036】
[適用例9]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する時間計測部をさらに含むようにしてもよい。
【0037】
また、この転落検出装置は、時間計測部が計測した経過時間の情報を、表示部に表示するようにしてもよいし、記憶部に保存するようにしてもよい。
【0038】
このようにすれば、ユーザーを発見した時の経過時間の情報から、ユーザーの生命の危険性等を判断し、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。
【0039】
[適用例10]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記ユーザーの生体情報を検出する生体情報検出部をさらに含むようにしてもよい。
【0040】
また、この転落検出装置は、生体情報検出部が検出した生体情報を、表示部に表示するようにしてもよいし、記憶部に保存するようにしてもよい。
【0041】
このようにすれば、ユーザーの生体情報からユーザーの生命の危険性等を判断し、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。
【0042】
[適用例11]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成する作業参考情報生成部をさらに含むようにしてもよい。
【0043】
このようにすれば、ユーザーが作業を開始する前に作業の参考となる情報を得ることができるので、危険性等に注意しながら作業を行うことができる。
【0044】
[適用例12]
本適用例に係る転落監視システムは、ユーザーが転落した否かを監視する転落監視システムであって、上記のいずれかの転落検出装置と、制御装置と、を含み、前記転落装置は、前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを示す転落情報を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記転落情報を受信する。
【0045】
この転落監視システムによれば、ユーザーが携帯する転落検出装置が、当該転落検出装置に備えられた第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データに基づいてユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、転落検出装置がユーザーの転落を検出した場合には、制御装置に転落情報を送信するので、監視者は、制御装置の出力を監視することでユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0046】
[適用例13]
本適用例に係る転落監視システムは、ユーザーが転落した否かを監視することができる転落監視システムであって、前記ユーザーに携帯される情報端末と、制御装置と、を含み、前記情報端末は、第1のセンサーと、第2のセンサーと、を含み、前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む。
【0047】
この転落監視システムによれば、制御装置が、ユーザーが携帯する転落検出装置に備えられた第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データを利用してユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、監視者は、制御装置の出力を監視することでユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0048】
また、この転落監視システムによれば、制御装置を処理能力の高いサーバーで実現し、各ユーザーに関する情報の演算や保存を集中管理することで、転落検出装置の処理負荷を大幅に軽減することができる。従って、転落検出装置を小型化し、ユーザーがより携帯しやすくすることができる。
【0049】
[適用例14]
本適用例に係る転落検出方法は、ユーザーの作業中の転落を検出する転落検出方法であって、第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成ステップと、第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成ステップと、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定ステップと、を含む。
【0050】
[適用例15]
本適用例に係るプログラムは、ユーザーの作業中の転落を検出するプログラムであって、コンピューターを、第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部として機能させる。
【0051】
[適用例16]
本適用例に係る記録媒体は、上記適用例に係るプログラムを記録した、コンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態の転落監視システムの概要についての説明図。
【図2】転落検出装置の外観の一例を示す図。
【図3】第1実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図4】ユーザーが雪下ろしの作業を行う際の通常の気圧及び加速度の変化の一例を示す図。
【図5】ユーザーが雪下ろしの作業中に転落した場合の気圧及び加速度の変化の一例を示す図。
【図6】第1実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図7】第1実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図8】制御装置の表示部に表示される画像の一例を示す図。
【図9】第2実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図10】第2実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図11】第3実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図12】第3実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図13】第3実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図14】第4実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図15】第4実施形態における転落検出装置と制御装置の構成例を示す図。
【図16】第4実施形態における転落検出装置の処理と制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図17】第5実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図18】第5実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図19】第5実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図20】第6実施形態における転落検出装置の構成例を示す図。
【図21】第6実施形態における制御装置の構成例を示す図。
【図22】第6実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図23】第6実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0054】
1.第1実施形態
1−1.転落監視システムの概要
図1は、本実施形態の転落監視システムの概要について説明するための図である。図1に示すように、本実施形態の転落監視システムでは、ユーザー3が転落検出装置2を携帯し、例えば、家屋5の屋根の雪下ろしの作業を行う。ユーザー3が作業中に誤って転落した場合、転落検出装置2が転落を検出し、例えば家屋5の内部等に設置された不図示の制御装置にユーザー3の転落情報(ユーザー3が転落した旨、転落後のユーザー3の姿勢、ユーザー3が転落した時刻等の情報)を送信するとともに警報音を出力する。この制御装置は、転落検出装置2からユーザー3の転落情報を受信してユーザー7の救助を要請する表示ととともに特定の音を出力する。この表示や音に気付いた監視者(ユーザー3の家族等)や当該監視者から救援要請を受けた者は、ユーザー3の救助に向かい、転落検出装置2が発する警報音を頼りに、ユーザー3をいち早く発見し、救助することができる。
【0055】
図2は、転落検出装置2の外観の一例を示す図である。図2に示すように、転落検出装置2は、例えば、操作部26、表示部32(液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)、音出力部34(マイクロフォン等)等を備えた携帯型の装置であって、転落検出機能を有するスマートフォン等の携帯情報端末であってもよい。表示部32に対する接触検出機構を設けることで表示部32を操作部として兼用してもよい。
【0056】
ユーザー3は、転落検出装置2を衣服のポケット等に入れたり、バンド等で体や衣服に装着する。あるいは、ユーザー3は、腕時計タイプの転落検出装置2を腕に装着するようにしてもよい。なお、ユーザー3は、転落検出装置2を下着の上に装着するのが望ましい。ユーザー3は、家屋の除雪作業は重労働であるために防寒着を着用した上に転落検出装置2を装着すると、身体の運動による発熱で防寒着を脱衣することがあるが、下着の上に装着することで未装着の状態を避けることができる。
【0057】
転落検出装置2の表示部32には、例えば、ユーザー3が転落してからの経過時間等の情報が表示され、音出力部34からは警報音等が出力される。
【0058】
1−2.転落監視システムの構成
図3は、本実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図3の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図3に示すように、本実施形態の転落監視システム1は、転落検出装置2と制御装置4を含む。
【0059】
[転落検出装置の構成]
転落検出装置2は、処理部(CPU:Central Processing Unit)10、通信部20、気圧センサー22、加速度センサー24、操作部26、記憶部28、記録媒体30、表示部32、音出力部34を含んで構成されている。本実施形態の転落検出装置2は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0060】
気圧センサー22(第1のセンサーの一例)は、ユーザーの位置の気圧を検出する。一般に、気圧がわかれば、次式(1)により、高度を計算できることが知られている。
【0061】
【数1】
【0062】
式(1)において、tは気相の平均温度(℃)、p0は海面気圧(hPa)、pは気圧の観測値(hPa)である。
【0063】
式(1)において、0.00366×tは温度による補正項であり、温度tが不明であれば、次式(2)より、高度hを近似的に計算してもよい。
【0064】
【数2】
【0065】
ユーザーの作業中の高度と気圧をそれぞれh1、p1、ユーザーの転落後の高度と気圧をそれぞれh2、p2とすると、式(2)より、次式(3)が得られる。
【0066】
【数3】
【0067】
従って、式(3)より、気圧センサー22が検出する気圧の変化量から高度の変化量を計算することができる。
【0068】
気圧センサー22としては、圧力の変化を振動子の周波数の変化として捉える周波数変化型、圧力の変化を静電容量の変化として捉える静電容量型、圧力の変化をピエゾ抵抗の抵抗値の変化として捉えるピエゾ抵抗型などのセンサーを適用することができる。なお、現在のところ、周波数変化型の気圧センサーは、静電容量型やピエゾ抵抗型の気圧センサーよりも高い分解能が得られており、周波数変化型の気圧センサーであれば1Pa以下の分解能も実現可能である。また、圧電振動子として水晶振動子を用いることで温度特性も良好な周波数変化型の気圧センサーを実現することができる。
【0069】
加速度センサー24(第2のセンサーの一例)は、ユーザーに加わる加速度を検出する。ユーザーに加わる衝撃が大きいほど加速度も大きいので、加速度センサー24が検出する加速度の大きさからユーザーが転落により衝撃を受けたか否かをある程度判断することができる。また、ユーザーが静止している時、加速度センサー24は重力加速度(1G)のみを検出するので、ユーザーが転落検出装置2をあらかじめ決められた所定の向きに装着しておけば、加速度センサー24の検出値からユーザーの転落後の姿勢をある程度判断することができる。あるいは、ユーザーが作業前にあらかじめ決められた姿勢(直立姿勢等)で静止し、この時加速度センサー24が検出する重力加速度の向きを基準にして、加速度センサー24の検出値からユーザーの転落後の姿勢をある程度判断することができる。なお、加速度センサー24は、1軸方向の加速度のみを検出可能であってもよいが、検出軸と直交する向きに加わる加速度を正しく検出できないので、2軸以上(複数軸)の加速度を検出可能である方がよい。ただし、2軸の加速度センサーでは、2つの検出軸と互いに直交する向きに加わる加速度を正しく検出できないので、加速度センサー24は3軸以上の加速度を検出可能であることが望ましい。
【0070】
操作部26は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理部(CPU)10に出力する。
【0071】
表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、処理部(CPU)10から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
【0072】
音出力部34は、スピーカー等の音を出力する装置である。
【0073】
記憶部28は、処理部(CPU)10が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部28は、処理部(CPU)10の作業領域として用いられ、操作部26から入力されたデータ、記録媒体30から読み出されたプログラムやデータ、処理部(CPU)10が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
【0074】
処理部(CPU)10は、記憶部28や記録媒体30に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)10は、気圧センサー22や加速度センサー24からデータを取得して記憶部28あるいは記録媒体30等に保存し、取得したこれらのデータに基づいて各種の計算処理を行う。また、処理部(CPU)10は、操作部26からの操作信号に応じた各種の処理、表示部32に各種の情報を表示させる処理、音出力部34に各種の音を出力させる処理、通信部20を介した制御装置4とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0075】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)10は、高度変化情報生成部11、衝撃情報生成部12、転落判定部13、時間計測部14、転落情報生成部15、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)10は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0076】
高度変化情報生成部11は、気圧センサー22の検出データ(気圧データ)を取得し、当該検出データ(気圧データ)に基づいて、ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する処理を行う。例えば、前記の式(3)を用いて気圧の変化量から高度の変化量を特定することができるので、本実施形態では、高度変化情報生成部11は、高度変化情報として気圧の変化量の情報を生成する。ただし、高度変化情報生成部11は、式(3)を用いて、高度の変化量を算出し、高度変化情報としてもよい。
【0077】
衝撃情報生成部12は、加速度センサー24の検出データ(加速度データ)を取得し、当該検出データ(加速度データ)に基づいて、ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する処理を行う。例えば、転落時の衝撃により、ユーザーに重力加速度と逆方向に大きな加速度が加わるので、加速度の大きさから衝撃の大きさを特定することができる。そこで、本実施形態では、衝撃情報生成部12は、衝撃情報として加速度の大きさを生成する。ただし、衝撃情報生成部12は、加速度の大きさに基づいて衝撃の大きさを算出し、衝撃情報としてもよい。
【0078】
転落判定部13は、高度変化情報生成部11が生成した高度変化情報(気圧の変化量)と衝撃情報生成部12が生成した衝撃情報(加速度の大きさ)に基づいて、ユーザーが転落したか否かを判定する処理を行う。例えば、図4(A)及び図4(B)は、ユーザーが雪下ろしの作業を行う際の通常の気圧及び加速度の変化の一例を示す図である。一方、図5(A)及び図5(B)は、ユーザーが雪下ろしの作業中に転落した場合の気圧及び加速度の変化の一例を示す図である。図4(A)及び図5(A)において、横軸は時間、縦軸は気圧を表す。また、図4(B)及び図5(B)において、横軸は時間、縦軸は加速度を表す。図4(A)及び図4(B)の例では、ユーザーは、時刻t1までに屋根に登り、時刻t1〜t2において雪下ろしの作業を行い、時刻t2以降で屋根から降りている。一方、図5(A)及び図5(B)の例では、ユーザーは、時刻t1までに屋根に登り、時刻t1〜t2において雪下ろしの作業を行い、時刻t2〜t3で屋根から転落して雪面に衝突し、時刻t4以降は動けずに静止している。図4(A)と図4(B)を比較すると、図4(A)では、ユーザーが屋根から降りる時に気圧がP1からP2まで緩やかに変化しているのに対して、図4(B)では、ユーザーの転落時に気圧がP1からP2まで急激に変化している。また、図5(A)と図5(B)を比較すると、図5(A)では、ユーザーが屋根から降りる時に加速度は重力加速度(1G)の前後でわずかに変化しているのに対して、図5(B)では、ユーザーの転落時に重力加速度(1G)よりも相当大きな加速度が加わっている。
【0079】
そこで、転落判定部13は、所定時間当たりのユーザーの高度の変化量(本実施形態では、所定時間当たりの気圧の変化量(気圧変化の傾き))が所定の閾値を超え、ユーザーに加わる衝撃の大きさ(本実施形態では、加速度の大きさ)が所定の閾値を超えた場合に、ユーザーが転落したと判定する。
【0080】
時間計測部14は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する処理を行う。
【0081】
転落情報生成部15は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定された場合、ユーザーが転落したことを含む転落情報を生成する処理を行う。転落情報は、ユーザーの転落に関する情報であり、ユーザーが転落したことの他、例えば、転落した時刻、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落してからの経過時間、転落後のユーザーの姿勢等の情報を含むようにしてもよい。
【0082】
通信制御部16は、通信部20を介して制御装置4との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部16は、転落情報生成部15が生成した転落情報を制御装置4に送信する処理を行う。
【0083】
表示制御部17は、表示部32の表示を制御する処理を行う。
【0084】
音出力制御部18は、音出力部34の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部18は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定された場合、音出力部34に警報音を出力させる処理を行う。
【0085】
記録媒体30は、コンピューター読み取り可能な記録媒体であり、特に本実施形態では、コンピューターを上記の各部として機能させるためのプログラムが記憶されている。そして、本実施形態の処理部(CPU)10は、記録媒体30に記憶されているプログラムを実行することで、高度変化情報生成部11、衝撃情報生成部12、転落判定部13、時間計測部14、転落情報生成部15、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部28や記録媒体30に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、高度変化情報生成部11、衝撃情報生成部12、転落判定部13、時間計測部14、転落情報生成部15、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0086】
なお、記録媒体30は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
【0087】
[制御装置の構成]
制御装置4は、処理部(CPU)50、通信部60、操作部62、記憶部64、記録媒体66、表示部68、音出力部70を含んで構成されている。本実施形態の制御装置4は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0088】
操作部62は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、操作信号を処理部(CPU)50に出力する。
【0089】
表示部68は、LCD等により構成される表示装置であり、処理部(CPU)50から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
【0090】
音出力部70は、スピーカー等の音を出力する装置である。
【0091】
記憶部64は、処理部(CPU)50が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部64は、処理部(CPU)50の作業領域として用いられ、操作部62から入力されたデータ、記録媒体66から読み出されたプログラムやデータ、処理部(CPU)50が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
【0092】
処理部(CPU)50は、記憶部64や記録媒体66に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)50は、操作部62からの操作信号に応じた各種の処理、表示部68に各種の情報を表示させる処理、音出力部70に各種の音を出力させる処理、通信部60を介した転落検出装置2とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0093】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)50は、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)50は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0094】
通信制御部51は、通信部60を介して転落検出装置2との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部51は、転落検出装置2から転落情報を受信して記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する処理を行う。
【0095】
表示制御部52は、表示部32の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、表示制御部52は、受信した転落情報を表示部68に表示させる処理を行う。
【0096】
音出力制御部53は、音出力部70の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部53は、転落情報を受信した場合、音出力部70に救助を要請する特定の音を出力させる処理を行う。
【0097】
記録媒体66は、コンピューター読み取り可能な記録媒体であり、特に本実施形態では、コンピューターを上記の各部として機能させるためのプログラムが記憶されている。そして、本実施形態の処理部(CPU)50は、記録媒体66に記憶されているプログラムを実行することで、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部64や記録媒体66に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0098】
なお、記録媒体66は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
【0099】
1−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図6は、転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0100】
まず、処理部(CPU)10は、加速度センサー24から加速度データを取得し、加速度の大きさを算出する(S10)。処理部(CPU)10は、取得した加速度データを記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する。
【0101】
次に、処理部(CPU)10は、気圧センサー22から気圧データを取得し、気圧変化の傾きを算出する(S12)。処理部(CPU)10は、取得した気圧データを記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する。
【0102】
次に、まだユーザーが転落したと判定されていなければ(S14のN)、処理部(CPU)10は、ステップS10で算出した加速度が所定の閾値Aよりも大きいか否かを判定する(S16)。
【0103】
加速度が閾値Aよりも大きい場合(S16のY)、次に、処理部(CPU)10は、ステップS10で算出した気圧変化の傾きが所定の閾値Bよりも大きいか否かを判定する(S18)。
【0104】
気圧変化の傾きが閾値Bよりも大きい場合(S18のY)、処理部(CPU)10は、ユーザーが転落したと判定し、経過時間の計測を開始する(S18)。続いて、処理部(CPU)10は、ユーザーが転落した旨の情報、転落時の衝撃の大きさ(加速度の大きさ)や落下距離(気圧変化量)等の情報を制御装置4に送信し、音出力部34から警報音を出力する(S22)。処理部(CPU)10は、さらに、ユーザーが転落した時刻の情報も制御装置4に送信してもよい。
【0105】
次に、処理部(CPU)10は、加速度データに基づいてユーザーの姿勢を算出し、当該ユーザーの姿勢情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存するとともに制御装置4に送信する(S24)。
【0106】
一方、ユーザーが転落したと判定された後(S14のY)も、処理部(CPU)10は、加速度データに基づいてユーザーの姿勢を算出し、当該ユーザーの姿勢情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存するとともに制御装置4に送信する(S24)。
【0107】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの姿勢と転落後の経過時間の情報を制御装置4に送信する(S26)。
【0108】
次に、処理部(CPU)10は、操作部26に対する転落後の経過時間の計測を終了する操作が行われたか否かを判定し(S28)、当該操作が行われた場合(S28のY)、ユーザーの転落後の経過時間の計測を終了し、経過時間の計測結果を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S30)。
【0109】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S32のY)まで、所定時間が経過する毎に(S34のY)、S10〜S30の処理を繰り返し行う。
【0110】
なお、処理部(CPU)10は、表示部32に、ユーザーの姿勢や転落後の経過時間などの転落情報を表示するようにしてもよい。
【0111】
[制御装置の処理]
図7は、制御装置4の処理部(CPU)50の処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0112】
処理部(CPU)50は、転落検出装置2からユーザーが転落した旨の情報を受信した場合(S50のY)、音出力部70から救助を要請する音を出力する(S52)。
【0113】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から、ユーザーの姿勢と転落後の経過時間の情報を受信する(S54)。
【0114】
次に、処理部(CPU)50は、ユーザーの転落情報を表示部68に表示する(S56)。図8に表示部68に表示される画面の一例を示す。図8の例では、ユーザーが転落した旨の情報、転落からの経過時間、転落後の姿勢画像を含む画面になっている。なお、処理部(CPU)50は、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落した時刻等の転落情報をさらに表示するようにしてもよい。
【0115】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2に対応付けてあらかじめ設定された他の情報端末に、ユーザーの転落情報を転送する(S58)。具体的には、制御装置4の記憶部64には、転落検出装置2と転送先の情報端末との対応関係の設定情報が記憶されており、処理部(CPU)50は、この対応情報を参照し、転落検出装置2に対応付けられた情報端末に転落情報を送信する。
【0116】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S60のY)まで、所定時間が経過する毎に(S62のY)、S50〜S58の処理を繰り返し行う。
【0117】
このような処理により、リアルタイムに変化する最新のユーザーの転落情報が制御装置4の表示部68に更新されながら表示されるとともに、他の情報端末(例えば、監視者の携帯電話機等)に送信される。監視者は、制御装置4や他の情報端末に表示された転落情報、例えば、ユーザーが転落してからの経過時間、ユーザーの転落後の姿勢(雪に埋没している姿勢)、姿勢が変化するか否か(ユーザーが動けるか否か)等を確認することでユーザーの危険度を総合的に推測することができる。監視者は、その結果に応じて、救急車を呼ぶ必要があるか、自力で救助する場合にはどの程度慎重に救助すべきか(例えば、頭が上を向いていればプローブを頭に突き刺さないように注意する)等、適切な救助計画を立てることができる。
【0118】
以上に説明したように、本実施形態の転落監視システムによれば、高所で作業するユーザーが携帯する転落検出装置2が、当該転落検出装置2に備えられた気圧センサー22と加速度センサー24の各検出データを利用してユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、転落検出装置2がユーザーの転落を検出した場合には、制御装置4に転落情報を送信するので、監視者は、制御装置4の出力を監視することで、ユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0119】
また、本実施形態の転落監視システムによれば、気圧変化の傾きと加速度がともに閾値を超えた場合にユーザーが転落したと判定するので、より確実な判定を行うことができる。
【0120】
また、本実施形態の転落監視システムによれば、転落検出装置2は、ユーザーの転落情報を保存するので、転落したユーザーを救助した後、救助者や病院の医師等は、これらの情報を読み出して解析することでユーザーの転落時の状況を詳細に把握することができる。これにより、ユーザーに適切な処置を施すことができる。特に、転落検出装置2は、ユーザーが転落後の経過時間を計測するので、救助者がユーザーを発見した時の経過時間の情報から、ユーザーの生命の危険性等を判断し、救助者や病院の医師等は、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。さらに、この経過時間の情報は保存されるので、救助に要した時間の情報を収集することができる。
【0121】
2.第2実施形態
2−1.転落監視システムの概要
第1実施形態の転落監視システムでは、加速度の大きさと気圧変化の傾きからユーザーが転落したか否かの判定を行っている。これに対して、第2実施形態の転落監視システムでは、さらに、転落時にユーザーが発する悲鳴等の音声や落下音を検出することで、ユーザーが転落したか否かの判定をより確実に行う。
【0122】
2−2.転落監視システムの構成
図9は、第2実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図9の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図9に示すように、第2実施形態の転落監視システム1は、第1実施形態と同様に、転落検出装置2と制御装置4を含む。図9の転落検出装置2及び制御装置4において、第1実施形態(図3)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0123】
[転落検出装置の構成]
図9に示すように、転落検出装置2は、第1実施形態(図3)の構成に対して、マイクロフォン36が追加されるとともに、処理部(CPU)10に音圧情報生成部19が追加されている。
【0124】
処理部(CPU)10の音圧情報生成部19は、マイクロフォン36の検出信号からユーザーの音声帯域の信号及びユーザーの落下音の帯域の信号を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する。マイクロフォン36の検出信号には、例えば、鳥の鳴き声等の雑音が含まれるので、音圧情報生成部19は、周波数フィルター処理を行い、ユーザーの音声帯域の信号とユーザーの落下音の帯域の信号を抽出し、抽出した信号の強度(音圧値)を算出する。ただし、音圧情報生成部19は、ユーザーの音声帯域の信号とユーザーの落下音の帯域の信号のいずれか一方を抽出するようにしてもよい。
【0125】
そして、転落判定部13は、高度変化情報生成部11が生成した高度変化情報(具体的には気圧変化の傾き)、衝撃情報生成部12が生成した衝撃情報(具体的には加速度の大きさ)及び音圧情報生成部19が生成した音圧情報(音圧値)に基づいて、ユーザーが転落したか否かを判定する。具体的には、転落判定部13は、気圧変化の傾きが所定の閾値を超え、かつ、ユーザーに加わる衝撃の大きさ(加速度の大きさ)が所定の閾値を超え、かつ、マイクロフォン36の検出信号から抽出された信号の音圧が所定の閾値を超えた場合に、ユーザーが転落したと判定する。
【0126】
第2実施形態における転落検出装置2のその他の構成は、第1実施形態(図3)と同様であるので、その説明を省略する。
【0127】
[制御装置の構成]
図9に示すように、第2実施形態における制御装置4の構成は第1実施形態(図3)と同様であるため、その説明を省略する。
【0128】
2−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図10は、第2実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0129】
まず、処理部(CPU)10は、第1実施形態(図6のS10,S12)と同様に、ステップS10及びS12の処理を行う。
【0130】
次に、処理部(CPU)10は、マイクロフォン36の検出信号を取得し、ユーザーの音声(悲鳴)と落下音を抽出して音圧を算出する(S114)。
【0131】
次に、まだユーザーが転落したと判定されていなければ(S116のN)、処理部(CPU)10は、第1実施形態(図6のS16,S18)と同様に、ステップS118及びS120の判定処理を行う。
【0132】
加速度が閾値Aよりも大きく、かつ、気圧変化の傾きが閾値Bよりも大きい場合(S118のYかつS120のY)、処理部(CPU)10は、ステップS114で算出した音圧が所定の閾値Cよりも大きいか否かを判定する(S122)。
【0133】
音圧が閾値Cよりも大きい場合(S122のY)、処理部(CPU)10は、ユーザーが転落したと判定し、第1実施形態(図6のS20〜S30)と同様に、ステップS124〜S134の処理を行う。
【0134】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S136のY)まで、所定時間が経過する毎に(S138のY)、S110〜S134の処理を繰り返し行う。
【0135】
なお、処理部(CPU)10は、表示部32に、ユーザーの姿勢や転落後の経過時間などの転落情報を表示するようにしてもよい。
【0136】
[制御装置の処理]
第2実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50による転落検出処理のフローチャートは、第1実施形態(図7)と同様であるので、その図示及び説明を省略する。
【0137】
以上に説明したように、第2実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、気圧変化の傾きと加速度がともに閾値を超え、ユーザーの音声(悲鳴)や落下音の音圧が閾値を超えた場合にユーザーが転落したと判定するので、より確実な判定を行うことができる。
【0138】
3.第3実施形態
3−1.転落監視システムの概要
第3実施形態の転落監視システムでは、転落検出装置2は、ユーザーの転落情報だけでなく、ユーザーの生体情報も取得する。さらに、転落検出装置2は、ユーザーの生体情報を制御装置4に送信するとともに表示部32にリアルタイムに表示する。制御装置4は、ユーザーの生体情報を受信し、当該生体情報を表示部68にリアルタイムに表示するとともに他の情報端末に転送する。監視者は、制御装置4や他の情報端末の表示を監視することで、ユーザーの転落後の状態をリアルタイムに把握することができ、救助者は、転落したユーザーを発見した後、転落検出装置2の表示を確認しながら、適切な応急処置を行うことができる。
【0139】
3−2.転落監視システムの構成
図11は、第3実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図11の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図11に示すように、第3実施形態の転落監視システム1は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、転落検出装置2と制御装置4を含む。図11の転落検出装置2及び制御装置4において、第2実施形態(図9)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0140】
[転落検出装置の構成]
図11に示すように、転落検出装置2は、第2実施形態(図9)の構成に対して、生体情報センサー38(生体検出部の一例)が追加されている。
【0141】
生体情報センサー38(生体検出部の一例)は、ユーザーの生体情報を検出する。ユーザーの生体情報は、心拍数、脈拍数、呼吸数、あるいは、血圧等である。生体情報センサー38としては専用のセンサーを用いてもよいし、例えば、加速度センサー24を用いてユーザーの胸等の動きを検出し、処理部(CPU)10が、加速度センサー24の検出データから心拍数を算出するようにしてもよい。あるいは、生体情報センサー38としてマイクロフォンを設け、処理部(CPU)10が、当該マイクロフォンにより検出されるユーザーの心音や呼吸音から心拍数や呼吸数を算出するようにしてもよい。
【0142】
処理部(CPU)10の表示制御部17は、第1実施形態と同様の処理に加えて、検出されたユーザーの生体情報を表示部32に表示させる処理を行う。
【0143】
また、通信制御部16は、第1実施形態と同様の処理に加えて、検出されたユーザーの生体情報を制御装置4に送信する処理を行う。
【0144】
第3実施形態における転落検出装置2のその他の構成は、第2実施形態(図9)と同様であるので、その説明を省略する。
【0145】
[制御装置の構成]
図11に示すように、第3実施形態における制御装置4の構成は第1実施形態(図3)及び第2実施形態(図9)と同様であるため、その説明を省略する。
【0146】
3−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図12は、第3実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。なお、図12において、第2実施形態(図10)と同様の処理を行うステップには同じ符号を付している。
【0147】
まず、処理部(CPU)10は、第2実施形態(図10のS110〜S128)と同様に、ステップS110〜S128の処理を行う。
【0148】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの生体情報を取得し、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存するとともに、表示部32に表示する(S129)。
【0149】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を制御装置4に送信する(S130)。
【0150】
次に、処理部(CPU)10は、第2実施形態(図10のS132,S134)と同様に、ステップS132及びS134の処理を行う。
【0151】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S136のY)まで、所定時間が経過する毎に(S138のY)、S110〜S134の処理を繰り返し行う。
【0152】
[制御装置の処理]
図13は、第3実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50による転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0153】
まず、処理部(CPU)50は、第1実施形態(図7のS50,S52)と同様に、ステップS150及びS152の処理を行う。
【0154】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を受信する(S154)。
【0155】
次に、処理部(CPU)50は、ユーザーの転落情報を表示部68に表示する(S156)。表示部68に表示される転落情報は、ユーザーが転落した旨の情報、転落からの経過時間、転落後のユーザーの姿勢や生体情報、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落した時刻等の情報である。
【0156】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2に対応付けてあらかじめ設定された他の情報端末に、ユーザーの転落情報を転送する(S158)。
【0157】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S160のY)まで、所定時間が経過する毎に(S162のY)、S150〜S158の処理を繰り返し行う。
【0158】
このような処理により、リアルタイムに変化する最新のユーザーの転落情報が制御装置4の表示部68に更新されながら表示されるとともに、他の情報端末に送信される。監視者は、制御装置4や他の情報端末に表示された転落情報、例えば、ユーザーが転落してからの経過時間、ユーザーの転落後の姿勢(雪に埋没している姿勢)、姿勢が変化するか否か(ユーザーが動けるか否か)、ユーザーが危険な状態にあるか否か(生体情報が弱いか否か)等を確認することでユーザーの危険度を総合的に推測することができる。監視者は、その結果に応じて、適切な救助計画を立てることができる。
【0159】
また、救助者は、ユーザーを発見した後、転落検出装置2の表示部32にリアルタイムに変化しながら表示されるユーザーの生体情報に応じて、適切な応急処置を行うことができる。
【0160】
以上に説明したように、第3実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態や第2実施形態と同様の効果に加えて、転落検出装置2は、ユーザーの生体情報を保存するので、転落したユーザーを救助した後、救助者や病院の医師等は、この生体情報を読み出して解析することでユーザーの生命の危険性等を判断し、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。
【0161】
4.第4実施形態
4−1.転落監視システムの概要
第4実施形態の転落監視システムでは、制御装置4は、通信ネットワークを介してサーバーから気象情報を周期的に受信して保存する。転落検出装置2は、ユーザーの前回の雪下ろし作業の日時の情報を保存しておき、ユーザーが作業を開始する前に、前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間の気象情報に基づいて、今回の雪下ろし作業の参考となる情報を生成して表示する。
【0162】
4−2.転落監視システムの構成
図14は、第4実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図14の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図14に示すように、第4実施形態の転落監視システム1は、転落検出装置2、制御装置4及びサーバー6を含み、制御装置4とサーバー6は、通信ネットワーク7(インターネットやLAN等)を介してデータ通信を行う。
【0163】
図15は、第4実施形態における転落検出装置2と制御装置4の構成例を示す図である。本実施形態の転落検出装置2及び制御装置4は、図15の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図15の転落検出装置2及び制御装置4において、第3実施形態(図11)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0164】
[転落検出装置の構成]
図15に示すように、第4実施形態における転落検出装置2は、第3実施形態(図11)の構成に対して、処理部(CPU)10に作業参考情報生成部21が追加されている。
【0165】
処理部(CPU)10の通信制御部16は、第3実施形態と同様の処理に加えて、制御装置2から周期的に気象情報を取得し、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する処理を行う。ただし、ユーザーが今回の作業の開始を示す所定の操作を行った時に、何らかの理由で記憶部28あるいは記録媒体30等に最新の気象情報が保存されていない場合、通信制御部16は、制御装置2から最新の気象情報を受信する。
【0166】
作業参考情報生成部21は、ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成する処理を行う。雪下ろし作業に関する作業参考情報は、例えば、屋根にどの程度の雪が溜まっているか、屋根がどの程度滑りやすくなっているか等の情報である。
【0167】
第4実施形態における転落検出装置2のその他の構成は、第3実施形態(図11)と同様であるので、その説明を省略する。
【0168】
[制御装置の構成]
図15に示すように、第4実施形態における制御装置4は、第3実施形態(図11)の構成に対して、通信部72が追加されている。
【0169】
本実施形態では、サーバー6に過去の気象情報が蓄積されており、処理部(CPU)50の通信制御部51は、第3実施形態と同様の処理に加えて、サーバー6から周期的に気象情報を取得し、記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する処理を行う。また、通信制御部51は、記憶部64あるいは記録媒体66等に保存した気象情報を転落検出装置2に送信する処理を行う。
【0170】
第4実施形態における制御装置4のその他の構成は、第1実施形態(図3)と同様であるので、その説明を省略する。
【0171】
4−3.転落監視システムの処理
転落検出装置2及び制御装置4は、第3実施形態と同様の転落検出処理に加えて、ユーザーの作業開始前に作業参考情報を生成する処理を行う。
【0172】
[作業参考情報の生成処理]
図16(A)及び図16(B)は、作業参考情報を生成する処理のフローチャートの一例を示す図である。図16(A)は、転落検出装置2の処理部(CPU)10の処理のフローチャートの一例を示し、図16(B)は、制御装置4の処理部(CPU)50の処理のフローチャートの一例を示している。
【0173】
制御装置4の処理部(CPU)50は、設定時刻(例えば、毎日同じ時刻)になる度に(S250のY)、サーバー6から気象情報を受信し(S252)、受信した気象情報を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する(S254)。
【0174】
ユーザーが転落検出装置2の操作部26に対して作業開始の操作を行うと(S210のY)、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、現在の時刻情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S212)。
【0175】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存された気象情報が最新でなければ(S214のN)、制御装置4に最新の気象情報の送信を要求する(S216)。
【0176】
制御装置4の処理部(CPU)50は、転落検出装置2から最新の気象情報の送信要求があった場合(S256のY)、転落検出装置2に最新の気象情報を送信する(S258)。
【0177】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、制御装置4から最新の気象情報を受信し(S218)、受信した気象情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S220)。
【0178】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間の気象情報から、今回の作業の作業参考情報を生成し(S222)、表示部32に表示する。
【0179】
そして、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、処理を終了する(S226のY)まで、所定時間が経過する毎に(S228のY)、S210〜S224の処理を繰り返し行う。
【0180】
また、制御装置4の処理部(CPU)50は、処理を終了する(S260のY)まで、所定時間が経過する毎に(S262のY)、S250〜S258の処理を繰り返し行う。
【0181】
以上に説明したように、第4実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果に加えて、ユーザーが作業を開始する前に作業の参考となる情報を得ることができるので、危険性等に注意しながら作業を行うことができる。
【0182】
5.第5実施形態
5−1.転落監視システムの概要
第4実施形態の転落監視システムでは、1つの制御装置4が複数の転落検出装置2とデータ通信を行う。各転落検出装置2は雪下ろし作業を行う各ユーザーに携帯され、制御装置4は、例えば、市役所や町内会の施設等に設置される。制御装置4の表示部には、現在作業中のユーザー、人数、作業エリア等の情報が表示され、監視者は、これらの情報を過去の実績と照らし合わせることで事故が起こる確率を推定し、例えば、あらかじめ救急病院に連絡して負傷者の受け入れ体制を整えておくことができる。また、実際にユーザーが転落した場合、制御装置4の表示部に、転落したユーザーの情報と転落情報が表示され、監視者は救急車を要請する等、当該ユーザーを迅速に救助することができる。
【0183】
5−2.転落監視システムの構成
図17は、第5実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図17の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図17に示すように、第5実施形態の転落監視システム1は、複数の転落検出装置2(2a,2b,2c,・・・)と制御装置4を含み、制御装置4と各転落検出装置2(2a,2b,2c,・・・)は、通信ネットワーク7(インターネットやLAN等)を介してデータ通信を行う。本実施形態では、制御装置4が複数の転落検出装置2とそれぞれデータ通信を行うために、各転落検出装置2には、固有の識別番号(固有識別番号)が割り当てられており、制御装置4と各転落検出装置2とのデータ通信の際には、通信対象のデータとともに通信対象の転落検出装置2の固有識別番号の情報も送受信される。
【0184】
第4実施形態における転落検出装置2と制御装置4の構成は、第3実施形態(図11)と同様であるので、図示及び説明を省略する。ただし、本実施形態では、各転落検出装置2は、固有識別番号の情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に記憶し、制御装置4は各転落検出装置2の固有識別番号の情報、ユーザー情報、固有識別番号とユーザー情報の対応情報等を記憶部64あるいは記録媒体66等に記憶している。ユーザー情報は、例えば、ユーザーID、氏名、住所、緊急連絡先等の情報である。
【0185】
5−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図18は、第5実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。なお、図18において、第3実施形態(図12)と同様の処理を行うステップには同じ符号を付している。
【0186】
まず、処理部(CPU)10は、第3実施形態(図12のS110〜S124)と同様に、ステップS110〜S124の処理を行う。
【0187】
次に、処理部(CPU)10は、固有識別番号、ユーザーが転落した旨の情報等を制御装置4に送信し、音出力部34から警報音を出力する(S126)。
【0188】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、第3実施形態(図12のS128,S129)と同様に、ステップS128,S129の処理を行う。
【0189】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、固有識別番号、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を制御装置4に送信する(S130)。
【0190】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、第3実施形態(図12のS132,S134)と同様に、ステップS132,S134の処理を行う。
【0191】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S136のY)まで、所定時間が経過する毎に(S138のY)、S110〜S134の処理を繰り返し行う。
【0192】
なお、本実施形態では、各転落検出装置2がそれぞれ図18の処理を行う。
【0193】
[制御装置の処理]
図19は、第5実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50の処理のフローチャートの一例を示す図である。なお、図19において、第3実施形態(図13)と同様の処理を行うステップには同じ符号を付している。
【0194】
処理部(CPU)50は、転落検出装置2から固有識別番号とユーザーが転落した旨の情報を受信した場合(S150のY)、第3実施形態(図10のS152)と同様に、ステップS152の処理を行う。
【0195】
次に、処理部(CPU)50は、ステップS150で受信した固有識別番号が割り当てられた転落検出装置2から、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を受信する(S154)。
【0196】
次に、処理部(CPU)50は、ユーザー情報とユーザーの転落情報を表示部68に表示する(S156)。具体的には、処理部(CPU)50は、ステップS150で受信した固有識別番号と対応づけて記憶されているユーザー情報を検索し、転落したユーザーの情報を転落情報とともに表示部68に表示する。
【0197】
次に、処理部(CPU)50は、第3実施形態(図10のS158)と同様に、ステップS158の処理を行う。
【0198】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S160のY)まで、所定時間が経過する毎に(S162のY)、S150〜S158の処理を繰り返し行う。
【0199】
このような処理により、転落したユーザーのユーザー情報とともに、リアルタイムに変化する最新の当該ユーザーの転落情報が制御装置4の表示部68に更新されながら表示される。監視者は、制御装置4に表示されたユーザー情報と転落情報等を確認することで転落したユーザーの氏名や住所を特定するとともに危険度を推測することができる。これにより、監視者は、迅速かつ適切な救助の指示を行うことができる。
【0200】
なお、本実施形態では、制御装置4が各転落検出装置2を対象としてそれぞれ図19の処理を行う。
【0201】
以上に説明したように、第5実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果に加えて、専門の監視者が、複数のユーザーの作業を一括して監視することができるので、ユーザーの転落に気付かないような事態を避けることができるとともに、救助の指示を迅速に行うことができる。
【0202】
6.第6実施形態
6−1.転落監視システムの概要
第1実施形態〜第5実施形態の転落監視システムでは、ユーザーの転落検出処理の大部分を転落検出装置が行っている。これに対して、第6実施形態では、転落検出装置は気圧デー、加速度データ、ユーザーの生体情報の検出処理を行い、通信ネットワーク7を介して制御装置4に送信する。そして、制御装置4が、各転落検出装置からの検出データに基づいて、各ユーザーの転落判定処理や転落情報の生成処理等を行う。すなわち、制御装置4が各ユーザーに関する情報を集中管理し、転落検出装置2の処理負荷を軽減する。
【0203】
6−2.転落監視システムの構成
第6実施形態の転落監視システムの構成は、第5実施形態(図17)と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
【0204】
[転落検出装置の構成]
図20は、第6実施形態における転落検出装置の構成例を示す図である。図20において、第3実施形態(図11)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0205】
第6実施形態における転落検出装置2は、処理部(CPU)10、通信部20、気圧センサー22、加速度センサー24、操作部26、記憶部28、記録媒体30、表示部32、音出力部34、マイクロフォン36、生体情報センサー38を含んで構成されている。本実施形態の転落検出装置2は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0206】
通信部20、気圧センサー22、加速度センサー24、操作部26、記憶部28、記録媒体30、表示部32、音出力部34、マイクロフォン36、生体情報センサー38の各機能は、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態で説明した各部の機能と同様であるので、その説明を省略する。
【0207】
処理部(CPU)10は、記憶部28や記録媒体30に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)10は、気圧センサー22、加速度センサー24、マイクロフォン36、生体情報センサー38からデータを取得する処理、操作部26からの操作信号に応じた各種の処理、表示部32に各種の情報を表示させる処理、音出力部34に各種の音を出力させる処理、通信部20を介した制御装置4とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0208】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)10は、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)10は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0209】
通信制御部16は、通信部20を介して制御装置4との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部16は、気圧センサー22、加速度センサー24、マイクロフォン36、生体情報センサー38からデータを取得し、制御装置4に送信する処理を行う。また、通信制御部16は、操作部26からユーザーの転落後の経過時間の計測を終了するための操作信号を受け取って、経過時間の計測の終了を指示する経過時間計測終了信号を制御装置4に送信する処理を行う。さらに、通信制御部16は、制御装置4から転落情報を受信する処理を行う。
【0210】
表示制御部17は、表示部32の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、制御装置4から受信した転落情報を表示部32に表示させる処理を行う。
【0211】
音出力制御部18は、音出力部34の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部18は、制御装置4から転落情報を受信した場合、音出力部34に警報音を出力させる処理を行う。
【0212】
本実施形態の処理部(CPU)10は、記録媒体30に記憶されているプログラムを実行することで、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部28や記録媒体30に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0213】
[制御装置の構成]
図21は、第6実施形態における制御装置の構成例を示す図である。図21において、第3実施形態(図11)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0214】
第6実施形態における制御装置4は、処理部(CPU)50、通信部60、操作部62、記憶部64、記録媒体66、表示部68、音出力部70を含んで構成されている。本実施形態の制御装置4は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0215】
通信部60、操作部62、記憶部64、記録媒体66、表示部68、音出力部70の各機能は、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態で説明した各部の機能と同様であるので、その説明を省略する。
【0216】
処理部(CPU)50は、記憶部64や記録媒体66に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)50は、操作部62からの操作信号に応じた各種の処理、表示部68に各種の情報を表示させる処理、音出力部70に各種の音を出力させる処理、通信部60を介した転落検出装置2とのデータ通信を制御する処理、転落検出装置2から受信したデータから転落情報を生成する処理等を行う。
【0217】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)50は、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53、高度変化情報生成部54、衝撃情報生成部55、転落判定部56、時間計測部57、転落情報生成部58、音圧情報生成部59を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)50は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0218】
通信制御部51は、通信部60を介して転落検出装置2との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部51は、気圧センサー22、加速度センサー24、マイクロフォン36、生体情報センサー38の検出データを転落検出装置2から受信する処理を行う。また、通信制御部51は、転落検出装置2から経過時間計測終了信号を転落検出装置2から受信する処理を行う。さらに、通信制御部16は、転落検出装置2に転落情報を送信する処理を行う。
【0219】
表示制御部52は、表示部32の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、表示制御部52は、転落情報生成部58が生成した転落情報を表示部68に表示させる処理を行う。
【0220】
音出力制御部53は、音出力部70の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部53は、転落判定部56によりユーザーが転落したと判定された場合、音出力部70に救助を要請する特定の音を出力させる処理を行う。
【0221】
高度変化情報生成部54は、転落検出装置2から取得した気圧センサー22の検出データ(気圧データ)に基づいて、第1実施形態で説明したのと同様に、高度変化情報を生成する処理を行う。
【0222】
衝撃情報生成部55は、転落検出装置2から取得した加速度センサー24の検出データ(加速度データ)に基づいて、第1実施形態で説明したのと同様に、ユーザーに加わる衝撃情報を生成する処理を行う。
【0223】
転落判定部56は、第1実施形態で説明したのと同様に、高度変化情報生成部54が生成した高度変化情報(気圧変化の傾き)と衝撃情報生成部55が生成した衝撃情報(加速度の大きさ)に基づいて、ユーザーが転落したか否かを判定する処理を行う。
【0224】
時間計測部57は、第1実施形態で説明したのと同様に、転落判定部56によりユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する処理を行う。
【0225】
転落情報生成部58は、転落判定部57によりユーザーが転落したと判定された場合、転落情報を生成する処理を行う。転落情報は、ユーザーの転落に関する情報であり、転落した時刻、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落してからの経過時間、転落後のユーザーの姿勢や生体情報等の情報を含むようにしてもよい。
【0226】
音圧情報生成部59は、転落検出装置2から取得したマイクロフォン36の検出信号(音データ)から、第2実施形態で説明したのと同様に、ユーザーの音声帯域の信号及びユーザーの落下音の帯域の信号を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する。
【0227】
本実施形態の処理部(CPU)50は、記録媒体66に記憶されているプログラムを実行することで、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53、高度変化情報生成部54、衝撃情報生成部55、転落判定部56、時間計測部57、転落情報生成部58、音圧情報生成部59として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部64や記録媒体66に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53、高度変化情報生成部54、衝撃情報生成部55、転落判定部56、時間計測部57、転落情報生成部58、音圧情報生成部59の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0228】
6−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図22は、第6実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0229】
まず、処理部(CPU)10は、加速度センサー24から加速度データを取得する(S310)。
【0230】
次に、処理部(CPU)10は、気圧センサー22から気圧データを取得する(S212)。
【0231】
次に、処理部(CPU)10は、マイクロフォン36の検出信号(音データ)をする(S314)。
【0232】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの生体情報を取得する(S316)。
【0233】
次に、処理部(CPU)10は、固有識別番号とともに、ステップS310,S312,S314,S316でそれぞれ取得した加速度データ、気圧データ、音データ、ユーザーの生体情報を制御装置4に送信する(S318)。
【0234】
次に、処理部(CPU)10は、制御装置4から転落情報を受信した場合(S320のY)、当該転落情報を表示部32に表示し、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S322)。
【0235】
次に、処理部(CPU)10は、音出力部34から警報音を出力する(S324)。
【0236】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーが操作部26を操作し、制御装置4によるユーザーの転落後の経過時間の計測を終了するための所定の操作が行われた場合(S326のY)、経過時間の計測の終了を指示する経過時間計測終了信号を制御装置4に送信する(S328)。
【0237】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S330のY)まで、所定時間が経過する毎に(S332のY)、S310〜S328の処理を繰り返し行う。
【0238】
なお、本実施形態では、各転落検出装置2がそれぞれ図22の処理を行う。
【0239】
[制御装置の処理]
図23は、第6実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0240】
まず、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から、固有識別番号、加速度データ、気圧データ、音データ、生体情報を受信する(S350)。
【0241】
次に、処理部(CPU)50は、加速度の大きさ、気圧変化の傾き、ユーザーの音声と落下音の音圧を算出する(S352)。
【0242】
次に、まだユーザーが転落したと判定されていなければ(S354のN)、処理部(CPU)50は、ステップS352で算出した加速度が所定の閾値Aよりも大きいか否かを判定する(S356)。
【0243】
加速度が閾値Aよりも大きい場合(S356のY)、次に、処理部(CPU)50は、ステップS352で算出した気圧変化の傾きが所定の閾値Bよりも大きいか否かを判定する(S358)。
【0244】
気圧変化の傾きが閾値Bよりも大きい場合(S358のY)、次に、処理部(CPU)50は、ステップS352で算出した音圧が所定の閾値Cよりも大きいか否かを判定する(S360)。
【0245】
音圧が閾値Cよりも大きい場合(S360のY)、処理部(CPU)50は、ユーザーが転落したと判定し、経過時間の計測を開始する(S362)。続いて、処理部(CPU)50は、音出力部70から救助を要請する音を出力する(S364)。
【0246】
次に、処理部(CPU)50は、当該ユーザーの転落情報を生成し、当該転落情報を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存するとともに、表示部68に表示する(S366)。
【0247】
一方、ユーザーが転落したと判定された後(S354のY)も、処理部(CPU)50は、当該ユーザーの転落情報を生成し、当該転落情報を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存するとともに、表示部68に表示する(S366)。
【0248】
次に、処理部(CPU)50は、ステップS366で生成した転落情報を転落検出装置2に送信する(S368)。
【0249】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から経過時間計測終了信号を受信した場合(S372のY)、ユーザーの転落後の経過時間の計測を終了し、経過時間の計測結果を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する(S372)。
【0250】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S374のY)まで、所定時間が経過する毎に(S376のY)、S350〜S372の処理を繰り返し行う。
【0251】
なお、本実施形態では、制御装置4が各転落検出装置2を対象としてそれぞれ図23の処理を行う。
【0252】
以上に説明したように、第6実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果に加えて、処理能力の高い制御装置4(サーバー)が各ユーザーに関する情報の演算や保存を集中管理することで、転落検出装置2の処理負荷を大幅に軽減することができる。従って、転落検出装置2を小型化し、ユーザーがより携帯しやすくすることができる。
【0253】
7.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0254】
[変形例1]
本実施形態において、ユーザーが転落した場合、転落検出装置2は、警告音を出力しているが、当該警報音をユーザーが解除できるようにしてもよい。そして、ユーザーにより警報音の解除操作が行われた場合、転落検出装置2は、当該解除操作が行われた旨を制御装置4に送信するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザーが転落したが怪我をしなかったような場合やユーザーが転落したと誤って判定された場合等に、ユーザーの意思で無事であることを監視者に知らせることができる。
【0255】
[変形例2]
また、第6実施形態において、第4実施形態と同様に、制御装置4が通信ネットワーク7を介してサーバー6とデータ通信を行って気象情報を周期的に受信し、各ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成するようにしてもよい。そして、制御装置4が各転落検出装置2に各ユーザーに対する作業参考情報を送信し、各転落検出装置2が各ユーザーに対する作業参考情報を受信して表示部32に表示するようにしてもよい。
【0256】
なお、本実施形態では、雪下ろしを例に挙げて説明したが、本発明は、屋根の修理、煙突や窓の掃除、建築工事などの高所で行う作業全般に対して適用することができる。
【0257】
[変形例3]
本実施形態において、転落検出装置2の処理部(CPU)10の時間計測部14は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を複数のタイマーで計測し、操作部26に対する別々の操作を行うことで各タイマーが計測を終了して計測結果を保存するようにしてもよい。例えば、第1のタイマーは、ユーザーが転落してから救助されるまで(救助者がユーザーを発見して所定の操作を行うまで)の時間を計測して保存し、第2のタイマーは、ユーザーが転落してから病院に搬送されるまで(救助者や病院の医師が、ユーザーが病院に到着した後に所定の操作を行うまで)の時間を計測して保存するようにしてもよい。これにより、救助に要した時間の情報だけでなく病院までの搬送に要した時間の情報も収集することができる。
【0258】
また、病院に設置された情報端末(パソコン等)と転落検出装置2に同じ特殊な形状のコネクターを設け、転落検出装置2のコネクターを当該情報端末のコネクターに接続することで、転落検出装置2に保存されているユーザーの転落情報が当該情報端末に表示されるようにしてもよい。さらに、上記の第2のタイマーは、操作部26に対して所定の操作を行う代わりに、転落検出装置2のコネクターを情報端末のコネクターに接続した時に、計測を終了して計測結果を保存するようにしてもよい。このようにすれば、病院までの搬送に要した時間の情報を確実に収集することができる。
【0259】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0260】
1 転落監視システム、2,2a,2b,2c 転落検出装置、3 ユーザー、4 制御装置、5 家屋、6 サーバー、7 通信ネットワーク、10 処理部(CPU)、11 高度変化情報生成部、12 衝撃情報生成部、13 転落判定部、14 時間計測部、15 転落情報生成部、16 通信制御部、17 表示制御部、18 音出力制御部、19 音圧情報生成部、20 通信部、21 作業参考情報生成部、22 気圧センサー、24 加速度センサー、26 操作部、28 記憶部、30 記録媒体、32 表示部、34 音出力部、36 マイクロフォン、38 生体情報センサー、50 処理部(CPU)、60 通信部、62 操作部、64 記憶部、66 記録媒体、68 表示部、70 音出力部、72 通信部、51 通信制御部、52 表示制御部、53 音出力制御部、54 高度変化情報生成部、55 衝撃情報生成部、56 転落判定部、57 時間計測部、58 転落情報生成部、59 音圧情報生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、転落検出装置及び転落監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
豪雪地帯では家屋からの雪下ろし作業が必要であるが、屋根雪の除雪作業は機械化できずに人力に頼るしかなく、滑りやすい屋根の上での作業になるため、毎冬、転落事故が原因となる死亡事故が発生するという大きな社会問題がある。除雪作業中の転落事故の対策として、行政は複数人で作業を行うという通達をしているが、高齢化及び過疎化では、その対策には対応できていないのが現状である。そこで、屋根からの転落、積雪に埋没してからの探索、発見を短時間に行う必要性が求められている。
【0003】
特許文献1には、「車両転落検知装置10は、高度情報検出部12においてGPS装置11から取得した自車両の高度情報を検出し、車両転落検知部13において前記高度情報検出部12により検出された高度値の変化速度を演算監視して自車の転落を検知する」ことが開示されている。
【0004】
特許文献2には、「発信機体に船舶に設置された受信機に向けて電波を発射する発信手段を備えてなり、上記発信機体を吊紐により乗組員の首に吊下可能なペンダント型に形成すると共に該吊紐を上記発信手段のアンテナに用い、かつ上記発信機体に乗組員が海中に転落したことを感知して発信手段を発信作動させる転落感知信号を出力する転落感知手段を備え、更に上記発信機体に上記アンテナを介して電波を送受信するトランシーバ手段を備えてなることを特徴とする船舶乗組員携帯用無線発信機」が開示されている。
【0005】
特許文献3には、「通信機能を備える携帯端末装置であって、前記通信機能を利用して外部から前記携帯端末装置の概略位置を表す概略位置情報、気圧情報を取得する情報取得部と、前記携帯端末装置の位置で気圧を検出する気圧検出部と、前記気圧情報と前記概略位置情報とを用いて前記携帯端末装置の概略位置の基準気圧を算出し、前記気圧検出部の検出気圧と前記基準気圧とを用いて前記概略位置の高度を算出する演算部と、を備える、更に、測位を行う測位部を備え、該測位部が外部の信号源から取得した測位情報と、前記演算部で演算された高度情報と、を用いて測位を行うことを特徴とする携帯端末装置」が開示されている。
【0006】
特許文献3の「0037」段落には、「測位部30は、GPS情報を取得して測位を行う手段であるとともに、その測位情報と高度情報算出部26で得た高度情報とから携帯端末装置4の概略位置の測位を演算する演算部である。この測位部30は、外部の測位情報の信号源である複数のGPS衛星10からの衛星電波を受信する第2のアンテナ34を備え、その受信電波から測位情報としてGPS情報を取得して解析するとともに、高度情報を参照して測位演算を実行する。」と記載されている。
【0007】
また、特許文献3の「0038」段落には、「このような構成を備えたことにより、携帯端末装置4では、気圧情報と概略位置から基準気圧を算出する。この基準気圧は、例えば複数の地点の位置情報と気圧値から求めることができる。この場合、複数の地点の位置情報と気圧値から求めるには例えば、携帯端末装置4の概略位置に最も近い地点の気圧値を基準気圧とするか、もしくは、概略位置を取り囲む3点の気圧値から基準気圧を補間して算出する。」と記載されている。
【0008】
特許文献4には、「車両に搭載されるナビゲーション装置であって、前記車両の現在位置を検出する位置検出装置と、前記車両の高度を検出する高度検出装置と、前記車両内に取り付けられ、地図を用いて現在地を表示するディスプレイ装置と、前記高度検出装置により検出した高度の変化量から走行している道路の昇降を判定する昇降検知手段と、前記昇降検知手段にて判定した昇降情報と最も合致する道路上に現在位置を求める現在位置確定手段と、上記現在位置確定手段で求めた現在位置を前記ディスプレイ装置に表示する現在地表示手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置」が開示されている。
【0009】
位置検出装置はGPS受信装置であり、「0020」段落には、「GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。」と記載されている。
【0010】
高度検出装置は大気圧センサーであり、「0023」段落及び「0024」段落には、「大気圧センサ11は、絶対気圧センサなどにより、車両の周囲の大気圧を測定し、電圧として測定結果(製品仕様によるが、本発明では0V以上5V以下の電圧とする。)を出力する装置である。一般に、高度の変化に応じて気圧は変化し、その変化量は一定の関係性を有することが分かっている。そのため、本発明では高度の変化を検知する手段として気圧センサからの出力電圧を取得し、電圧の変化から高度の変化を検知することとしている。」と記載されている。
【0011】
ところで、3衛星測位(2次元測位)では2衛星のからの疑似距離がわかればよいが、この疑似距離を測るために電波の到達時間を利用している関係で、正確な時刻が必要であり、そのためもう一つの衛星よりもたらされる疑似距離とともに、原子時計の時間情報を利用するため最低3つの衛星が必要になる。
【0012】
また3次元測位(2次元+高度)を行うためには4衛星測位が必要となり、実際のGPS受信機では4つないし3つの連立方程式を解き現在位置の緯度・経度を算出し、そして緯度・経度表示の機種ではそのまま、カーナビ等では数値地図に座標を表示する。
【0013】
近年のカーナビではD−GPS(ディファレンシャルGPS)やマップマッチングの搭載が進んでいるがD−GPSが有効な場合でもその送信所から離れるに従い、誤差補正も効きにくくなり、精度劣化を引き起こす問題があった
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−118336号公報
【特許文献2】特開平6−227488号公報
【特許文献3】特開2008−241467号公報
【特許文献4】特開2008−175716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のように、GPSは検出値に誤差が生じ易く、同時に複数の衛星との通信を必用とする。従って、特許文献1,3,4においては、GPSから得られるデータには誤差が含まれており好ましくない。即ち、高層ビルが隣接するアーバンキャニオン環境等においては、たとえ十分な数の衛星を捕捉することに成功し、測位を行うことができたとしても、マルチパスの影響によって測位結果に重大な誤差が生じる場合がある。特許文献2においては、海中を前提としたものであり、海中への転落を検知することはできても、雪中に転落したのか否か、或いは転落者の状態(ダメージ)、重症度、程度等を推定することはできないという問題があった。
【0016】
従って、特許文献1〜4の手法は、屋根の雪下ろしや修理、煙突や窓の掃除、建築作業など、高所での作業を行う者が転落したことを確実に検出し、短時間で救助するための有効な手法とはなり得ない。
【0017】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、作業者が転落したことを確実に検出し、短時間で救助することを可能とする転落検出装置及び転落監視システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
【0019】
[適用例1]
本適用例に係る転落検出装置は、ユーザーの作業中の転落を検出することができる転落検出装置であって、第1のセンサーと、第2のセンサーと、前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む。
【0020】
第1のセンサーは、ユーザーの高度の変化量を特定可能な物理量を検出するセンサーであればよい。また、第2のセンサーは、ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な物理量を検出するセンサーであればよい。
【0021】
高度変化情報は、ユーザーの高度の変化量そのものの情報であってもよいし、所定の計算式を用いてユーザーの高度の変化量を計算可能な情報であってもよい。また、衝撃情報は、ユーザーに加わる衝撃の大きさそのものの情報であってもよいし、所定の計算式を用いてユーザーに加わる衝撃の大きさを計算可能な情報であってもよい。
【0022】
この転落検出装置によれば、ユーザーが携帯する転落検出装置が、当該転落検出装置に備えられた第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データを利用してユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、転落検出装置がユーザーの転落を検出した場合には、制御装置に転落情報を送信するので、制御装置の出力を監視することでユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0023】
[適用例2]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記転落判定部は、所定時間当たりの前記ユーザーの高度の変化量が所定の閾値を超え、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさが所定の閾値を超えた場合に、前記ユーザーが転落したと判定するようにしてもよい。
【0024】
ユーザーが転落すると、ユーザーの高度が短時間に変化するとともに、ユーザーが地面に衝突する際に大きな衝撃が加わる。従って、所定時間当たりの前記ユーザーの高度の変化量とユーザーに加わる衝撃の大きさがともに閾値を超えた場合に、ユーザーが転落したと判定することで、より確実な判定を行うことができる。
【0025】
[適用例3]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記第1のセンサーは、気圧センサーであり、前記高度変化情報生成部は、前記高度変化情報として、前記気圧センサーが検出する気圧の変化量の情報を生成するようにしてもよい。
【0026】
ユーザーの高度の変化に応じて気圧も変化するので、気圧センサーが検出する気圧の変化量から高度の変化量を特定することができる。
【0027】
[適用例4]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記第2のセンサーは、加速度センサーであり、前記衝撃情報生成部は、前記衝撃情報として、前記加速度センサーが検出する加速度の大きさの情報を生成するようにしてもよい。
【0028】
ユーザーに加わる衝撃の大きさに応じて、ユーザーに加わる加速度の大きさも変化するので、加速度センサーが検出する加速度の大きさから衝撃の大きさを特定することができる。
【0029】
[適用例5]
上記適用例に係る転落検出装置において、前記加速度センサーは、複数軸の加速度を検出するようにしてもよい。
【0030】
[適用例6]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを保存する記憶部を含むようにしてもよい。
【0031】
このようにすれば、転落したユーザーを救助した後、第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データを読み出して解析することでユーザーの転落時の状況を詳細に把握することができる。これにより、ユーザーに適切な処置を施すことができる。
【0032】
[適用例7]
上記適用例に係る転落検出装置は、マイクロフォンと、前記マイクロフォンの検出信号から前記ユーザーの音声帯域の信号及び前記ユーザーの落下音の帯域の信号の少なくとも一方を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する音圧情報生成部と、をさらに含み、前記転落判定部は、前記高度変化情報、前記衝撃情報及び前記音圧情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定するようにしてもよい。
【0033】
ユーザーが転落すると、ユーザーの音声(悲鳴)や落下音などが発生する。従って、高度変化情報や衝撃情報だけでなく、マイクロフォンで取得した音からユーザーの音声(悲鳴)や落下音を抽出して算出した音圧情報も利用してユーザーが転落したか否かを判定することで、より確実な判定を行うことができる。
【0034】
[適用例8]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを含む転落情報を生成する転落情報生成部をさらに含み、生成した前記転落情報を外部装置に送信するようにしてもよい。
【0035】
このようにすれば、外部装置が受信するユーザーの転落情報を監視することで、転落したユーザーを救助することができる。
【0036】
[適用例9]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する時間計測部をさらに含むようにしてもよい。
【0037】
また、この転落検出装置は、時間計測部が計測した経過時間の情報を、表示部に表示するようにしてもよいし、記憶部に保存するようにしてもよい。
【0038】
このようにすれば、ユーザーを発見した時の経過時間の情報から、ユーザーの生命の危険性等を判断し、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。
【0039】
[適用例10]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記ユーザーの生体情報を検出する生体情報検出部をさらに含むようにしてもよい。
【0040】
また、この転落検出装置は、生体情報検出部が検出した生体情報を、表示部に表示するようにしてもよいし、記憶部に保存するようにしてもよい。
【0041】
このようにすれば、ユーザーの生体情報からユーザーの生命の危険性等を判断し、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。
【0042】
[適用例11]
上記適用例に係る転落検出装置は、前記ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成する作業参考情報生成部をさらに含むようにしてもよい。
【0043】
このようにすれば、ユーザーが作業を開始する前に作業の参考となる情報を得ることができるので、危険性等に注意しながら作業を行うことができる。
【0044】
[適用例12]
本適用例に係る転落監視システムは、ユーザーが転落した否かを監視する転落監視システムであって、上記のいずれかの転落検出装置と、制御装置と、を含み、前記転落装置は、前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを示す転落情報を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記転落情報を受信する。
【0045】
この転落監視システムによれば、ユーザーが携帯する転落検出装置が、当該転落検出装置に備えられた第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データに基づいてユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、転落検出装置がユーザーの転落を検出した場合には、制御装置に転落情報を送信するので、監視者は、制御装置の出力を監視することでユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0046】
[適用例13]
本適用例に係る転落監視システムは、ユーザーが転落した否かを監視することができる転落監視システムであって、前記ユーザーに携帯される情報端末と、制御装置と、を含み、前記情報端末は、第1のセンサーと、第2のセンサーと、を含み、前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む。
【0047】
この転落監視システムによれば、制御装置が、ユーザーが携帯する転落検出装置に備えられた第1のセンサーと第2のセンサーの各検出データを利用してユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、監視者は、制御装置の出力を監視することでユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0048】
また、この転落監視システムによれば、制御装置を処理能力の高いサーバーで実現し、各ユーザーに関する情報の演算や保存を集中管理することで、転落検出装置の処理負荷を大幅に軽減することができる。従って、転落検出装置を小型化し、ユーザーがより携帯しやすくすることができる。
【0049】
[適用例14]
本適用例に係る転落検出方法は、ユーザーの作業中の転落を検出する転落検出方法であって、第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成ステップと、第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成ステップと、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定ステップと、を含む。
【0050】
[適用例15]
本適用例に係るプログラムは、ユーザーの作業中の転落を検出するプログラムであって、コンピューターを、第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部として機能させる。
【0051】
[適用例16]
本適用例に係る記録媒体は、上記適用例に係るプログラムを記録した、コンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態の転落監視システムの概要についての説明図。
【図2】転落検出装置の外観の一例を示す図。
【図3】第1実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図4】ユーザーが雪下ろしの作業を行う際の通常の気圧及び加速度の変化の一例を示す図。
【図5】ユーザーが雪下ろしの作業中に転落した場合の気圧及び加速度の変化の一例を示す図。
【図6】第1実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図7】第1実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図8】制御装置の表示部に表示される画像の一例を示す図。
【図9】第2実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図10】第2実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図11】第3実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図12】第3実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図13】第3実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図14】第4実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図15】第4実施形態における転落検出装置と制御装置の構成例を示す図。
【図16】第4実施形態における転落検出装置の処理と制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図17】第5実施形態の転落監視システムの構成例を示す図。
【図18】第5実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図19】第5実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図20】第6実施形態における転落検出装置の構成例を示す図。
【図21】第6実施形態における制御装置の構成例を示す図。
【図22】第6実施形態における転落検出装置の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図。
【図23】第6実施形態における制御装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0054】
1.第1実施形態
1−1.転落監視システムの概要
図1は、本実施形態の転落監視システムの概要について説明するための図である。図1に示すように、本実施形態の転落監視システムでは、ユーザー3が転落検出装置2を携帯し、例えば、家屋5の屋根の雪下ろしの作業を行う。ユーザー3が作業中に誤って転落した場合、転落検出装置2が転落を検出し、例えば家屋5の内部等に設置された不図示の制御装置にユーザー3の転落情報(ユーザー3が転落した旨、転落後のユーザー3の姿勢、ユーザー3が転落した時刻等の情報)を送信するとともに警報音を出力する。この制御装置は、転落検出装置2からユーザー3の転落情報を受信してユーザー7の救助を要請する表示ととともに特定の音を出力する。この表示や音に気付いた監視者(ユーザー3の家族等)や当該監視者から救援要請を受けた者は、ユーザー3の救助に向かい、転落検出装置2が発する警報音を頼りに、ユーザー3をいち早く発見し、救助することができる。
【0055】
図2は、転落検出装置2の外観の一例を示す図である。図2に示すように、転落検出装置2は、例えば、操作部26、表示部32(液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)、音出力部34(マイクロフォン等)等を備えた携帯型の装置であって、転落検出機能を有するスマートフォン等の携帯情報端末であってもよい。表示部32に対する接触検出機構を設けることで表示部32を操作部として兼用してもよい。
【0056】
ユーザー3は、転落検出装置2を衣服のポケット等に入れたり、バンド等で体や衣服に装着する。あるいは、ユーザー3は、腕時計タイプの転落検出装置2を腕に装着するようにしてもよい。なお、ユーザー3は、転落検出装置2を下着の上に装着するのが望ましい。ユーザー3は、家屋の除雪作業は重労働であるために防寒着を着用した上に転落検出装置2を装着すると、身体の運動による発熱で防寒着を脱衣することがあるが、下着の上に装着することで未装着の状態を避けることができる。
【0057】
転落検出装置2の表示部32には、例えば、ユーザー3が転落してからの経過時間等の情報が表示され、音出力部34からは警報音等が出力される。
【0058】
1−2.転落監視システムの構成
図3は、本実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図3の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図3に示すように、本実施形態の転落監視システム1は、転落検出装置2と制御装置4を含む。
【0059】
[転落検出装置の構成]
転落検出装置2は、処理部(CPU:Central Processing Unit)10、通信部20、気圧センサー22、加速度センサー24、操作部26、記憶部28、記録媒体30、表示部32、音出力部34を含んで構成されている。本実施形態の転落検出装置2は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0060】
気圧センサー22(第1のセンサーの一例)は、ユーザーの位置の気圧を検出する。一般に、気圧がわかれば、次式(1)により、高度を計算できることが知られている。
【0061】
【数1】
【0062】
式(1)において、tは気相の平均温度(℃)、p0は海面気圧(hPa)、pは気圧の観測値(hPa)である。
【0063】
式(1)において、0.00366×tは温度による補正項であり、温度tが不明であれば、次式(2)より、高度hを近似的に計算してもよい。
【0064】
【数2】
【0065】
ユーザーの作業中の高度と気圧をそれぞれh1、p1、ユーザーの転落後の高度と気圧をそれぞれh2、p2とすると、式(2)より、次式(3)が得られる。
【0066】
【数3】
【0067】
従って、式(3)より、気圧センサー22が検出する気圧の変化量から高度の変化量を計算することができる。
【0068】
気圧センサー22としては、圧力の変化を振動子の周波数の変化として捉える周波数変化型、圧力の変化を静電容量の変化として捉える静電容量型、圧力の変化をピエゾ抵抗の抵抗値の変化として捉えるピエゾ抵抗型などのセンサーを適用することができる。なお、現在のところ、周波数変化型の気圧センサーは、静電容量型やピエゾ抵抗型の気圧センサーよりも高い分解能が得られており、周波数変化型の気圧センサーであれば1Pa以下の分解能も実現可能である。また、圧電振動子として水晶振動子を用いることで温度特性も良好な周波数変化型の気圧センサーを実現することができる。
【0069】
加速度センサー24(第2のセンサーの一例)は、ユーザーに加わる加速度を検出する。ユーザーに加わる衝撃が大きいほど加速度も大きいので、加速度センサー24が検出する加速度の大きさからユーザーが転落により衝撃を受けたか否かをある程度判断することができる。また、ユーザーが静止している時、加速度センサー24は重力加速度(1G)のみを検出するので、ユーザーが転落検出装置2をあらかじめ決められた所定の向きに装着しておけば、加速度センサー24の検出値からユーザーの転落後の姿勢をある程度判断することができる。あるいは、ユーザーが作業前にあらかじめ決められた姿勢(直立姿勢等)で静止し、この時加速度センサー24が検出する重力加速度の向きを基準にして、加速度センサー24の検出値からユーザーの転落後の姿勢をある程度判断することができる。なお、加速度センサー24は、1軸方向の加速度のみを検出可能であってもよいが、検出軸と直交する向きに加わる加速度を正しく検出できないので、2軸以上(複数軸)の加速度を検出可能である方がよい。ただし、2軸の加速度センサーでは、2つの検出軸と互いに直交する向きに加わる加速度を正しく検出できないので、加速度センサー24は3軸以上の加速度を検出可能であることが望ましい。
【0070】
操作部26は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理部(CPU)10に出力する。
【0071】
表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、処理部(CPU)10から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
【0072】
音出力部34は、スピーカー等の音を出力する装置である。
【0073】
記憶部28は、処理部(CPU)10が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部28は、処理部(CPU)10の作業領域として用いられ、操作部26から入力されたデータ、記録媒体30から読み出されたプログラムやデータ、処理部(CPU)10が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
【0074】
処理部(CPU)10は、記憶部28や記録媒体30に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)10は、気圧センサー22や加速度センサー24からデータを取得して記憶部28あるいは記録媒体30等に保存し、取得したこれらのデータに基づいて各種の計算処理を行う。また、処理部(CPU)10は、操作部26からの操作信号に応じた各種の処理、表示部32に各種の情報を表示させる処理、音出力部34に各種の音を出力させる処理、通信部20を介した制御装置4とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0075】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)10は、高度変化情報生成部11、衝撃情報生成部12、転落判定部13、時間計測部14、転落情報生成部15、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)10は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0076】
高度変化情報生成部11は、気圧センサー22の検出データ(気圧データ)を取得し、当該検出データ(気圧データ)に基づいて、ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する処理を行う。例えば、前記の式(3)を用いて気圧の変化量から高度の変化量を特定することができるので、本実施形態では、高度変化情報生成部11は、高度変化情報として気圧の変化量の情報を生成する。ただし、高度変化情報生成部11は、式(3)を用いて、高度の変化量を算出し、高度変化情報としてもよい。
【0077】
衝撃情報生成部12は、加速度センサー24の検出データ(加速度データ)を取得し、当該検出データ(加速度データ)に基づいて、ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する処理を行う。例えば、転落時の衝撃により、ユーザーに重力加速度と逆方向に大きな加速度が加わるので、加速度の大きさから衝撃の大きさを特定することができる。そこで、本実施形態では、衝撃情報生成部12は、衝撃情報として加速度の大きさを生成する。ただし、衝撃情報生成部12は、加速度の大きさに基づいて衝撃の大きさを算出し、衝撃情報としてもよい。
【0078】
転落判定部13は、高度変化情報生成部11が生成した高度変化情報(気圧の変化量)と衝撃情報生成部12が生成した衝撃情報(加速度の大きさ)に基づいて、ユーザーが転落したか否かを判定する処理を行う。例えば、図4(A)及び図4(B)は、ユーザーが雪下ろしの作業を行う際の通常の気圧及び加速度の変化の一例を示す図である。一方、図5(A)及び図5(B)は、ユーザーが雪下ろしの作業中に転落した場合の気圧及び加速度の変化の一例を示す図である。図4(A)及び図5(A)において、横軸は時間、縦軸は気圧を表す。また、図4(B)及び図5(B)において、横軸は時間、縦軸は加速度を表す。図4(A)及び図4(B)の例では、ユーザーは、時刻t1までに屋根に登り、時刻t1〜t2において雪下ろしの作業を行い、時刻t2以降で屋根から降りている。一方、図5(A)及び図5(B)の例では、ユーザーは、時刻t1までに屋根に登り、時刻t1〜t2において雪下ろしの作業を行い、時刻t2〜t3で屋根から転落して雪面に衝突し、時刻t4以降は動けずに静止している。図4(A)と図4(B)を比較すると、図4(A)では、ユーザーが屋根から降りる時に気圧がP1からP2まで緩やかに変化しているのに対して、図4(B)では、ユーザーの転落時に気圧がP1からP2まで急激に変化している。また、図5(A)と図5(B)を比較すると、図5(A)では、ユーザーが屋根から降りる時に加速度は重力加速度(1G)の前後でわずかに変化しているのに対して、図5(B)では、ユーザーの転落時に重力加速度(1G)よりも相当大きな加速度が加わっている。
【0079】
そこで、転落判定部13は、所定時間当たりのユーザーの高度の変化量(本実施形態では、所定時間当たりの気圧の変化量(気圧変化の傾き))が所定の閾値を超え、ユーザーに加わる衝撃の大きさ(本実施形態では、加速度の大きさ)が所定の閾値を超えた場合に、ユーザーが転落したと判定する。
【0080】
時間計測部14は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する処理を行う。
【0081】
転落情報生成部15は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定された場合、ユーザーが転落したことを含む転落情報を生成する処理を行う。転落情報は、ユーザーの転落に関する情報であり、ユーザーが転落したことの他、例えば、転落した時刻、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落してからの経過時間、転落後のユーザーの姿勢等の情報を含むようにしてもよい。
【0082】
通信制御部16は、通信部20を介して制御装置4との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部16は、転落情報生成部15が生成した転落情報を制御装置4に送信する処理を行う。
【0083】
表示制御部17は、表示部32の表示を制御する処理を行う。
【0084】
音出力制御部18は、音出力部34の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部18は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定された場合、音出力部34に警報音を出力させる処理を行う。
【0085】
記録媒体30は、コンピューター読み取り可能な記録媒体であり、特に本実施形態では、コンピューターを上記の各部として機能させるためのプログラムが記憶されている。そして、本実施形態の処理部(CPU)10は、記録媒体30に記憶されているプログラムを実行することで、高度変化情報生成部11、衝撃情報生成部12、転落判定部13、時間計測部14、転落情報生成部15、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部28や記録媒体30に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、高度変化情報生成部11、衝撃情報生成部12、転落判定部13、時間計測部14、転落情報生成部15、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0086】
なお、記録媒体30は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
【0087】
[制御装置の構成]
制御装置4は、処理部(CPU)50、通信部60、操作部62、記憶部64、記録媒体66、表示部68、音出力部70を含んで構成されている。本実施形態の制御装置4は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0088】
操作部62は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、操作信号を処理部(CPU)50に出力する。
【0089】
表示部68は、LCD等により構成される表示装置であり、処理部(CPU)50から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
【0090】
音出力部70は、スピーカー等の音を出力する装置である。
【0091】
記憶部64は、処理部(CPU)50が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部64は、処理部(CPU)50の作業領域として用いられ、操作部62から入力されたデータ、記録媒体66から読み出されたプログラムやデータ、処理部(CPU)50が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
【0092】
処理部(CPU)50は、記憶部64や記録媒体66に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)50は、操作部62からの操作信号に応じた各種の処理、表示部68に各種の情報を表示させる処理、音出力部70に各種の音を出力させる処理、通信部60を介した転落検出装置2とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0093】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)50は、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)50は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0094】
通信制御部51は、通信部60を介して転落検出装置2との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部51は、転落検出装置2から転落情報を受信して記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する処理を行う。
【0095】
表示制御部52は、表示部32の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、表示制御部52は、受信した転落情報を表示部68に表示させる処理を行う。
【0096】
音出力制御部53は、音出力部70の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部53は、転落情報を受信した場合、音出力部70に救助を要請する特定の音を出力させる処理を行う。
【0097】
記録媒体66は、コンピューター読み取り可能な記録媒体であり、特に本実施形態では、コンピューターを上記の各部として機能させるためのプログラムが記憶されている。そして、本実施形態の処理部(CPU)50は、記録媒体66に記憶されているプログラムを実行することで、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部64や記録媒体66に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0098】
なお、記録媒体66は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
【0099】
1−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図6は、転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0100】
まず、処理部(CPU)10は、加速度センサー24から加速度データを取得し、加速度の大きさを算出する(S10)。処理部(CPU)10は、取得した加速度データを記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する。
【0101】
次に、処理部(CPU)10は、気圧センサー22から気圧データを取得し、気圧変化の傾きを算出する(S12)。処理部(CPU)10は、取得した気圧データを記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する。
【0102】
次に、まだユーザーが転落したと判定されていなければ(S14のN)、処理部(CPU)10は、ステップS10で算出した加速度が所定の閾値Aよりも大きいか否かを判定する(S16)。
【0103】
加速度が閾値Aよりも大きい場合(S16のY)、次に、処理部(CPU)10は、ステップS10で算出した気圧変化の傾きが所定の閾値Bよりも大きいか否かを判定する(S18)。
【0104】
気圧変化の傾きが閾値Bよりも大きい場合(S18のY)、処理部(CPU)10は、ユーザーが転落したと判定し、経過時間の計測を開始する(S18)。続いて、処理部(CPU)10は、ユーザーが転落した旨の情報、転落時の衝撃の大きさ(加速度の大きさ)や落下距離(気圧変化量)等の情報を制御装置4に送信し、音出力部34から警報音を出力する(S22)。処理部(CPU)10は、さらに、ユーザーが転落した時刻の情報も制御装置4に送信してもよい。
【0105】
次に、処理部(CPU)10は、加速度データに基づいてユーザーの姿勢を算出し、当該ユーザーの姿勢情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存するとともに制御装置4に送信する(S24)。
【0106】
一方、ユーザーが転落したと判定された後(S14のY)も、処理部(CPU)10は、加速度データに基づいてユーザーの姿勢を算出し、当該ユーザーの姿勢情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存するとともに制御装置4に送信する(S24)。
【0107】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの姿勢と転落後の経過時間の情報を制御装置4に送信する(S26)。
【0108】
次に、処理部(CPU)10は、操作部26に対する転落後の経過時間の計測を終了する操作が行われたか否かを判定し(S28)、当該操作が行われた場合(S28のY)、ユーザーの転落後の経過時間の計測を終了し、経過時間の計測結果を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S30)。
【0109】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S32のY)まで、所定時間が経過する毎に(S34のY)、S10〜S30の処理を繰り返し行う。
【0110】
なお、処理部(CPU)10は、表示部32に、ユーザーの姿勢や転落後の経過時間などの転落情報を表示するようにしてもよい。
【0111】
[制御装置の処理]
図7は、制御装置4の処理部(CPU)50の処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0112】
処理部(CPU)50は、転落検出装置2からユーザーが転落した旨の情報を受信した場合(S50のY)、音出力部70から救助を要請する音を出力する(S52)。
【0113】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から、ユーザーの姿勢と転落後の経過時間の情報を受信する(S54)。
【0114】
次に、処理部(CPU)50は、ユーザーの転落情報を表示部68に表示する(S56)。図8に表示部68に表示される画面の一例を示す。図8の例では、ユーザーが転落した旨の情報、転落からの経過時間、転落後の姿勢画像を含む画面になっている。なお、処理部(CPU)50は、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落した時刻等の転落情報をさらに表示するようにしてもよい。
【0115】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2に対応付けてあらかじめ設定された他の情報端末に、ユーザーの転落情報を転送する(S58)。具体的には、制御装置4の記憶部64には、転落検出装置2と転送先の情報端末との対応関係の設定情報が記憶されており、処理部(CPU)50は、この対応情報を参照し、転落検出装置2に対応付けられた情報端末に転落情報を送信する。
【0116】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S60のY)まで、所定時間が経過する毎に(S62のY)、S50〜S58の処理を繰り返し行う。
【0117】
このような処理により、リアルタイムに変化する最新のユーザーの転落情報が制御装置4の表示部68に更新されながら表示されるとともに、他の情報端末(例えば、監視者の携帯電話機等)に送信される。監視者は、制御装置4や他の情報端末に表示された転落情報、例えば、ユーザーが転落してからの経過時間、ユーザーの転落後の姿勢(雪に埋没している姿勢)、姿勢が変化するか否か(ユーザーが動けるか否か)等を確認することでユーザーの危険度を総合的に推測することができる。監視者は、その結果に応じて、救急車を呼ぶ必要があるか、自力で救助する場合にはどの程度慎重に救助すべきか(例えば、頭が上を向いていればプローブを頭に突き刺さないように注意する)等、適切な救助計画を立てることができる。
【0118】
以上に説明したように、本実施形態の転落監視システムによれば、高所で作業するユーザーが携帯する転落検出装置2が、当該転落検出装置2に備えられた気圧センサー22と加速度センサー24の各検出データを利用してユーザーの転落を検出するので、ユーザーが転落したことを確実に検出することができる。そして、転落検出装置2がユーザーの転落を検出した場合には、制御装置4に転落情報を送信するので、監視者は、制御装置4の出力を監視することで、ユーザーが転落したことにいち早く気づき、短時間でユーザーを救助することが期待できる。
【0119】
また、本実施形態の転落監視システムによれば、気圧変化の傾きと加速度がともに閾値を超えた場合にユーザーが転落したと判定するので、より確実な判定を行うことができる。
【0120】
また、本実施形態の転落監視システムによれば、転落検出装置2は、ユーザーの転落情報を保存するので、転落したユーザーを救助した後、救助者や病院の医師等は、これらの情報を読み出して解析することでユーザーの転落時の状況を詳細に把握することができる。これにより、ユーザーに適切な処置を施すことができる。特に、転落検出装置2は、ユーザーが転落後の経過時間を計測するので、救助者がユーザーを発見した時の経過時間の情報から、ユーザーの生命の危険性等を判断し、救助者や病院の医師等は、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。さらに、この経過時間の情報は保存されるので、救助に要した時間の情報を収集することができる。
【0121】
2.第2実施形態
2−1.転落監視システムの概要
第1実施形態の転落監視システムでは、加速度の大きさと気圧変化の傾きからユーザーが転落したか否かの判定を行っている。これに対して、第2実施形態の転落監視システムでは、さらに、転落時にユーザーが発する悲鳴等の音声や落下音を検出することで、ユーザーが転落したか否かの判定をより確実に行う。
【0122】
2−2.転落監視システムの構成
図9は、第2実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図9の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図9に示すように、第2実施形態の転落監視システム1は、第1実施形態と同様に、転落検出装置2と制御装置4を含む。図9の転落検出装置2及び制御装置4において、第1実施形態(図3)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0123】
[転落検出装置の構成]
図9に示すように、転落検出装置2は、第1実施形態(図3)の構成に対して、マイクロフォン36が追加されるとともに、処理部(CPU)10に音圧情報生成部19が追加されている。
【0124】
処理部(CPU)10の音圧情報生成部19は、マイクロフォン36の検出信号からユーザーの音声帯域の信号及びユーザーの落下音の帯域の信号を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する。マイクロフォン36の検出信号には、例えば、鳥の鳴き声等の雑音が含まれるので、音圧情報生成部19は、周波数フィルター処理を行い、ユーザーの音声帯域の信号とユーザーの落下音の帯域の信号を抽出し、抽出した信号の強度(音圧値)を算出する。ただし、音圧情報生成部19は、ユーザーの音声帯域の信号とユーザーの落下音の帯域の信号のいずれか一方を抽出するようにしてもよい。
【0125】
そして、転落判定部13は、高度変化情報生成部11が生成した高度変化情報(具体的には気圧変化の傾き)、衝撃情報生成部12が生成した衝撃情報(具体的には加速度の大きさ)及び音圧情報生成部19が生成した音圧情報(音圧値)に基づいて、ユーザーが転落したか否かを判定する。具体的には、転落判定部13は、気圧変化の傾きが所定の閾値を超え、かつ、ユーザーに加わる衝撃の大きさ(加速度の大きさ)が所定の閾値を超え、かつ、マイクロフォン36の検出信号から抽出された信号の音圧が所定の閾値を超えた場合に、ユーザーが転落したと判定する。
【0126】
第2実施形態における転落検出装置2のその他の構成は、第1実施形態(図3)と同様であるので、その説明を省略する。
【0127】
[制御装置の構成]
図9に示すように、第2実施形態における制御装置4の構成は第1実施形態(図3)と同様であるため、その説明を省略する。
【0128】
2−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図10は、第2実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0129】
まず、処理部(CPU)10は、第1実施形態(図6のS10,S12)と同様に、ステップS10及びS12の処理を行う。
【0130】
次に、処理部(CPU)10は、マイクロフォン36の検出信号を取得し、ユーザーの音声(悲鳴)と落下音を抽出して音圧を算出する(S114)。
【0131】
次に、まだユーザーが転落したと判定されていなければ(S116のN)、処理部(CPU)10は、第1実施形態(図6のS16,S18)と同様に、ステップS118及びS120の判定処理を行う。
【0132】
加速度が閾値Aよりも大きく、かつ、気圧変化の傾きが閾値Bよりも大きい場合(S118のYかつS120のY)、処理部(CPU)10は、ステップS114で算出した音圧が所定の閾値Cよりも大きいか否かを判定する(S122)。
【0133】
音圧が閾値Cよりも大きい場合(S122のY)、処理部(CPU)10は、ユーザーが転落したと判定し、第1実施形態(図6のS20〜S30)と同様に、ステップS124〜S134の処理を行う。
【0134】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S136のY)まで、所定時間が経過する毎に(S138のY)、S110〜S134の処理を繰り返し行う。
【0135】
なお、処理部(CPU)10は、表示部32に、ユーザーの姿勢や転落後の経過時間などの転落情報を表示するようにしてもよい。
【0136】
[制御装置の処理]
第2実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50による転落検出処理のフローチャートは、第1実施形態(図7)と同様であるので、その図示及び説明を省略する。
【0137】
以上に説明したように、第2実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、気圧変化の傾きと加速度がともに閾値を超え、ユーザーの音声(悲鳴)や落下音の音圧が閾値を超えた場合にユーザーが転落したと判定するので、より確実な判定を行うことができる。
【0138】
3.第3実施形態
3−1.転落監視システムの概要
第3実施形態の転落監視システムでは、転落検出装置2は、ユーザーの転落情報だけでなく、ユーザーの生体情報も取得する。さらに、転落検出装置2は、ユーザーの生体情報を制御装置4に送信するとともに表示部32にリアルタイムに表示する。制御装置4は、ユーザーの生体情報を受信し、当該生体情報を表示部68にリアルタイムに表示するとともに他の情報端末に転送する。監視者は、制御装置4や他の情報端末の表示を監視することで、ユーザーの転落後の状態をリアルタイムに把握することができ、救助者は、転落したユーザーを発見した後、転落検出装置2の表示を確認しながら、適切な応急処置を行うことができる。
【0139】
3−2.転落監視システムの構成
図11は、第3実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図11の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図11に示すように、第3実施形態の転落監視システム1は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、転落検出装置2と制御装置4を含む。図11の転落検出装置2及び制御装置4において、第2実施形態(図9)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0140】
[転落検出装置の構成]
図11に示すように、転落検出装置2は、第2実施形態(図9)の構成に対して、生体情報センサー38(生体検出部の一例)が追加されている。
【0141】
生体情報センサー38(生体検出部の一例)は、ユーザーの生体情報を検出する。ユーザーの生体情報は、心拍数、脈拍数、呼吸数、あるいは、血圧等である。生体情報センサー38としては専用のセンサーを用いてもよいし、例えば、加速度センサー24を用いてユーザーの胸等の動きを検出し、処理部(CPU)10が、加速度センサー24の検出データから心拍数を算出するようにしてもよい。あるいは、生体情報センサー38としてマイクロフォンを設け、処理部(CPU)10が、当該マイクロフォンにより検出されるユーザーの心音や呼吸音から心拍数や呼吸数を算出するようにしてもよい。
【0142】
処理部(CPU)10の表示制御部17は、第1実施形態と同様の処理に加えて、検出されたユーザーの生体情報を表示部32に表示させる処理を行う。
【0143】
また、通信制御部16は、第1実施形態と同様の処理に加えて、検出されたユーザーの生体情報を制御装置4に送信する処理を行う。
【0144】
第3実施形態における転落検出装置2のその他の構成は、第2実施形態(図9)と同様であるので、その説明を省略する。
【0145】
[制御装置の構成]
図11に示すように、第3実施形態における制御装置4の構成は第1実施形態(図3)及び第2実施形態(図9)と同様であるため、その説明を省略する。
【0146】
3−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図12は、第3実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。なお、図12において、第2実施形態(図10)と同様の処理を行うステップには同じ符号を付している。
【0147】
まず、処理部(CPU)10は、第2実施形態(図10のS110〜S128)と同様に、ステップS110〜S128の処理を行う。
【0148】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの生体情報を取得し、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存するとともに、表示部32に表示する(S129)。
【0149】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を制御装置4に送信する(S130)。
【0150】
次に、処理部(CPU)10は、第2実施形態(図10のS132,S134)と同様に、ステップS132及びS134の処理を行う。
【0151】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S136のY)まで、所定時間が経過する毎に(S138のY)、S110〜S134の処理を繰り返し行う。
【0152】
[制御装置の処理]
図13は、第3実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50による転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0153】
まず、処理部(CPU)50は、第1実施形態(図7のS50,S52)と同様に、ステップS150及びS152の処理を行う。
【0154】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を受信する(S154)。
【0155】
次に、処理部(CPU)50は、ユーザーの転落情報を表示部68に表示する(S156)。表示部68に表示される転落情報は、ユーザーが転落した旨の情報、転落からの経過時間、転落後のユーザーの姿勢や生体情報、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落した時刻等の情報である。
【0156】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2に対応付けてあらかじめ設定された他の情報端末に、ユーザーの転落情報を転送する(S158)。
【0157】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S160のY)まで、所定時間が経過する毎に(S162のY)、S150〜S158の処理を繰り返し行う。
【0158】
このような処理により、リアルタイムに変化する最新のユーザーの転落情報が制御装置4の表示部68に更新されながら表示されるとともに、他の情報端末に送信される。監視者は、制御装置4や他の情報端末に表示された転落情報、例えば、ユーザーが転落してからの経過時間、ユーザーの転落後の姿勢(雪に埋没している姿勢)、姿勢が変化するか否か(ユーザーが動けるか否か)、ユーザーが危険な状態にあるか否か(生体情報が弱いか否か)等を確認することでユーザーの危険度を総合的に推測することができる。監視者は、その結果に応じて、適切な救助計画を立てることができる。
【0159】
また、救助者は、ユーザーを発見した後、転落検出装置2の表示部32にリアルタイムに変化しながら表示されるユーザーの生体情報に応じて、適切な応急処置を行うことができる。
【0160】
以上に説明したように、第3実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態や第2実施形態と同様の効果に加えて、転落検出装置2は、ユーザーの生体情報を保存するので、転落したユーザーを救助した後、救助者や病院の医師等は、この生体情報を読み出して解析することでユーザーの生命の危険性等を判断し、ユーザーに対して危険性に応じた適切な処置を施すことができる。
【0161】
4.第4実施形態
4−1.転落監視システムの概要
第4実施形態の転落監視システムでは、制御装置4は、通信ネットワークを介してサーバーから気象情報を周期的に受信して保存する。転落検出装置2は、ユーザーの前回の雪下ろし作業の日時の情報を保存しておき、ユーザーが作業を開始する前に、前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間の気象情報に基づいて、今回の雪下ろし作業の参考となる情報を生成して表示する。
【0162】
4−2.転落監視システムの構成
図14は、第4実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図14の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図14に示すように、第4実施形態の転落監視システム1は、転落検出装置2、制御装置4及びサーバー6を含み、制御装置4とサーバー6は、通信ネットワーク7(インターネットやLAN等)を介してデータ通信を行う。
【0163】
図15は、第4実施形態における転落検出装置2と制御装置4の構成例を示す図である。本実施形態の転落検出装置2及び制御装置4は、図15の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図15の転落検出装置2及び制御装置4において、第3実施形態(図11)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0164】
[転落検出装置の構成]
図15に示すように、第4実施形態における転落検出装置2は、第3実施形態(図11)の構成に対して、処理部(CPU)10に作業参考情報生成部21が追加されている。
【0165】
処理部(CPU)10の通信制御部16は、第3実施形態と同様の処理に加えて、制御装置2から周期的に気象情報を取得し、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する処理を行う。ただし、ユーザーが今回の作業の開始を示す所定の操作を行った時に、何らかの理由で記憶部28あるいは記録媒体30等に最新の気象情報が保存されていない場合、通信制御部16は、制御装置2から最新の気象情報を受信する。
【0166】
作業参考情報生成部21は、ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成する処理を行う。雪下ろし作業に関する作業参考情報は、例えば、屋根にどの程度の雪が溜まっているか、屋根がどの程度滑りやすくなっているか等の情報である。
【0167】
第4実施形態における転落検出装置2のその他の構成は、第3実施形態(図11)と同様であるので、その説明を省略する。
【0168】
[制御装置の構成]
図15に示すように、第4実施形態における制御装置4は、第3実施形態(図11)の構成に対して、通信部72が追加されている。
【0169】
本実施形態では、サーバー6に過去の気象情報が蓄積されており、処理部(CPU)50の通信制御部51は、第3実施形態と同様の処理に加えて、サーバー6から周期的に気象情報を取得し、記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する処理を行う。また、通信制御部51は、記憶部64あるいは記録媒体66等に保存した気象情報を転落検出装置2に送信する処理を行う。
【0170】
第4実施形態における制御装置4のその他の構成は、第1実施形態(図3)と同様であるので、その説明を省略する。
【0171】
4−3.転落監視システムの処理
転落検出装置2及び制御装置4は、第3実施形態と同様の転落検出処理に加えて、ユーザーの作業開始前に作業参考情報を生成する処理を行う。
【0172】
[作業参考情報の生成処理]
図16(A)及び図16(B)は、作業参考情報を生成する処理のフローチャートの一例を示す図である。図16(A)は、転落検出装置2の処理部(CPU)10の処理のフローチャートの一例を示し、図16(B)は、制御装置4の処理部(CPU)50の処理のフローチャートの一例を示している。
【0173】
制御装置4の処理部(CPU)50は、設定時刻(例えば、毎日同じ時刻)になる度に(S250のY)、サーバー6から気象情報を受信し(S252)、受信した気象情報を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する(S254)。
【0174】
ユーザーが転落検出装置2の操作部26に対して作業開始の操作を行うと(S210のY)、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、現在の時刻情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S212)。
【0175】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存された気象情報が最新でなければ(S214のN)、制御装置4に最新の気象情報の送信を要求する(S216)。
【0176】
制御装置4の処理部(CPU)50は、転落検出装置2から最新の気象情報の送信要求があった場合(S256のY)、転落検出装置2に最新の気象情報を送信する(S258)。
【0177】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、制御装置4から最新の気象情報を受信し(S218)、受信した気象情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S220)。
【0178】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間の気象情報から、今回の作業の作業参考情報を生成し(S222)、表示部32に表示する。
【0179】
そして、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、処理を終了する(S226のY)まで、所定時間が経過する毎に(S228のY)、S210〜S224の処理を繰り返し行う。
【0180】
また、制御装置4の処理部(CPU)50は、処理を終了する(S260のY)まで、所定時間が経過する毎に(S262のY)、S250〜S258の処理を繰り返し行う。
【0181】
以上に説明したように、第4実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果に加えて、ユーザーが作業を開始する前に作業の参考となる情報を得ることができるので、危険性等に注意しながら作業を行うことができる。
【0182】
5.第5実施形態
5−1.転落監視システムの概要
第4実施形態の転落監視システムでは、1つの制御装置4が複数の転落検出装置2とデータ通信を行う。各転落検出装置2は雪下ろし作業を行う各ユーザーに携帯され、制御装置4は、例えば、市役所や町内会の施設等に設置される。制御装置4の表示部には、現在作業中のユーザー、人数、作業エリア等の情報が表示され、監視者は、これらの情報を過去の実績と照らし合わせることで事故が起こる確率を推定し、例えば、あらかじめ救急病院に連絡して負傷者の受け入れ体制を整えておくことができる。また、実際にユーザーが転落した場合、制御装置4の表示部に、転落したユーザーの情報と転落情報が表示され、監視者は救急車を要請する等、当該ユーザーを迅速に救助することができる。
【0183】
5−2.転落監視システムの構成
図17は、第5実施形態の転落監視システムの構成例を示す図である。本実施形態の転落監視システムは、図17の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。図17に示すように、第5実施形態の転落監視システム1は、複数の転落検出装置2(2a,2b,2c,・・・)と制御装置4を含み、制御装置4と各転落検出装置2(2a,2b,2c,・・・)は、通信ネットワーク7(インターネットやLAN等)を介してデータ通信を行う。本実施形態では、制御装置4が複数の転落検出装置2とそれぞれデータ通信を行うために、各転落検出装置2には、固有の識別番号(固有識別番号)が割り当てられており、制御装置4と各転落検出装置2とのデータ通信の際には、通信対象のデータとともに通信対象の転落検出装置2の固有識別番号の情報も送受信される。
【0184】
第4実施形態における転落検出装置2と制御装置4の構成は、第3実施形態(図11)と同様であるので、図示及び説明を省略する。ただし、本実施形態では、各転落検出装置2は、固有識別番号の情報を記憶部28あるいは記録媒体30等に記憶し、制御装置4は各転落検出装置2の固有識別番号の情報、ユーザー情報、固有識別番号とユーザー情報の対応情報等を記憶部64あるいは記録媒体66等に記憶している。ユーザー情報は、例えば、ユーザーID、氏名、住所、緊急連絡先等の情報である。
【0185】
5−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図18は、第5実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。なお、図18において、第3実施形態(図12)と同様の処理を行うステップには同じ符号を付している。
【0186】
まず、処理部(CPU)10は、第3実施形態(図12のS110〜S124)と同様に、ステップS110〜S124の処理を行う。
【0187】
次に、処理部(CPU)10は、固有識別番号、ユーザーが転落した旨の情報等を制御装置4に送信し、音出力部34から警報音を出力する(S126)。
【0188】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、第3実施形態(図12のS128,S129)と同様に、ステップS128,S129の処理を行う。
【0189】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、固有識別番号、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を制御装置4に送信する(S130)。
【0190】
次に、転落検出装置2の処理部(CPU)10は、第3実施形態(図12のS132,S134)と同様に、ステップS132,S134の処理を行う。
【0191】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S136のY)まで、所定時間が経過する毎に(S138のY)、S110〜S134の処理を繰り返し行う。
【0192】
なお、本実施形態では、各転落検出装置2がそれぞれ図18の処理を行う。
【0193】
[制御装置の処理]
図19は、第5実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50の処理のフローチャートの一例を示す図である。なお、図19において、第3実施形態(図13)と同様の処理を行うステップには同じ符号を付している。
【0194】
処理部(CPU)50は、転落検出装置2から固有識別番号とユーザーが転落した旨の情報を受信した場合(S150のY)、第3実施形態(図10のS152)と同様に、ステップS152の処理を行う。
【0195】
次に、処理部(CPU)50は、ステップS150で受信した固有識別番号が割り当てられた転落検出装置2から、ユーザーの姿勢情報と生体情報、転落後の経過時間の情報を受信する(S154)。
【0196】
次に、処理部(CPU)50は、ユーザー情報とユーザーの転落情報を表示部68に表示する(S156)。具体的には、処理部(CPU)50は、ステップS150で受信した固有識別番号と対応づけて記憶されているユーザー情報を検索し、転落したユーザーの情報を転落情報とともに表示部68に表示する。
【0197】
次に、処理部(CPU)50は、第3実施形態(図10のS158)と同様に、ステップS158の処理を行う。
【0198】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S160のY)まで、所定時間が経過する毎に(S162のY)、S150〜S158の処理を繰り返し行う。
【0199】
このような処理により、転落したユーザーのユーザー情報とともに、リアルタイムに変化する最新の当該ユーザーの転落情報が制御装置4の表示部68に更新されながら表示される。監視者は、制御装置4に表示されたユーザー情報と転落情報等を確認することで転落したユーザーの氏名や住所を特定するとともに危険度を推測することができる。これにより、監視者は、迅速かつ適切な救助の指示を行うことができる。
【0200】
なお、本実施形態では、制御装置4が各転落検出装置2を対象としてそれぞれ図19の処理を行う。
【0201】
以上に説明したように、第5実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果に加えて、専門の監視者が、複数のユーザーの作業を一括して監視することができるので、ユーザーの転落に気付かないような事態を避けることができるとともに、救助の指示を迅速に行うことができる。
【0202】
6.第6実施形態
6−1.転落監視システムの概要
第1実施形態〜第5実施形態の転落監視システムでは、ユーザーの転落検出処理の大部分を転落検出装置が行っている。これに対して、第6実施形態では、転落検出装置は気圧デー、加速度データ、ユーザーの生体情報の検出処理を行い、通信ネットワーク7を介して制御装置4に送信する。そして、制御装置4が、各転落検出装置からの検出データに基づいて、各ユーザーの転落判定処理や転落情報の生成処理等を行う。すなわち、制御装置4が各ユーザーに関する情報を集中管理し、転落検出装置2の処理負荷を軽減する。
【0203】
6−2.転落監視システムの構成
第6実施形態の転落監視システムの構成は、第5実施形態(図17)と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
【0204】
[転落検出装置の構成]
図20は、第6実施形態における転落検出装置の構成例を示す図である。図20において、第3実施形態(図11)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0205】
第6実施形態における転落検出装置2は、処理部(CPU)10、通信部20、気圧センサー22、加速度センサー24、操作部26、記憶部28、記録媒体30、表示部32、音出力部34、マイクロフォン36、生体情報センサー38を含んで構成されている。本実施形態の転落検出装置2は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0206】
通信部20、気圧センサー22、加速度センサー24、操作部26、記憶部28、記録媒体30、表示部32、音出力部34、マイクロフォン36、生体情報センサー38の各機能は、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態で説明した各部の機能と同様であるので、その説明を省略する。
【0207】
処理部(CPU)10は、記憶部28や記録媒体30に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)10は、気圧センサー22、加速度センサー24、マイクロフォン36、生体情報センサー38からデータを取得する処理、操作部26からの操作信号に応じた各種の処理、表示部32に各種の情報を表示させる処理、音出力部34に各種の音を出力させる処理、通信部20を介した制御装置4とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0208】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)10は、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)10は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0209】
通信制御部16は、通信部20を介して制御装置4との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部16は、気圧センサー22、加速度センサー24、マイクロフォン36、生体情報センサー38からデータを取得し、制御装置4に送信する処理を行う。また、通信制御部16は、操作部26からユーザーの転落後の経過時間の計測を終了するための操作信号を受け取って、経過時間の計測の終了を指示する経過時間計測終了信号を制御装置4に送信する処理を行う。さらに、通信制御部16は、制御装置4から転落情報を受信する処理を行う。
【0210】
表示制御部17は、表示部32の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、制御装置4から受信した転落情報を表示部32に表示させる処理を行う。
【0211】
音出力制御部18は、音出力部34の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部18は、制御装置4から転落情報を受信した場合、音出力部34に警報音を出力させる処理を行う。
【0212】
本実施形態の処理部(CPU)10は、記録媒体30に記憶されているプログラムを実行することで、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部28や記録媒体30に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、通信制御部16、表示制御部17、音出力制御部18の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0213】
[制御装置の構成]
図21は、第6実施形態における制御装置の構成例を示す図である。図21において、第3実施形態(図11)と同じ構成には同じ符号を付している。
【0214】
第6実施形態における制御装置4は、処理部(CPU)50、通信部60、操作部62、記憶部64、記録媒体66、表示部68、音出力部70を含んで構成されている。本実施形態の制御装置4は、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0215】
通信部60、操作部62、記憶部64、記録媒体66、表示部68、音出力部70の各機能は、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態で説明した各部の機能と同様であるので、その説明を省略する。
【0216】
処理部(CPU)50は、記憶部64や記録媒体66に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)50は、操作部62からの操作信号に応じた各種の処理、表示部68に各種の情報を表示させる処理、音出力部70に各種の音を出力させる処理、通信部60を介した転落検出装置2とのデータ通信を制御する処理、転落検出装置2から受信したデータから転落情報を生成する処理等を行う。
【0217】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)50は、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53、高度変化情報生成部54、衝撃情報生成部55、転落判定部56、時間計測部57、転落情報生成部58、音圧情報生成部59を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)50は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0218】
通信制御部51は、通信部60を介して転落検出装置2との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部51は、気圧センサー22、加速度センサー24、マイクロフォン36、生体情報センサー38の検出データを転落検出装置2から受信する処理を行う。また、通信制御部51は、転落検出装置2から経過時間計測終了信号を転落検出装置2から受信する処理を行う。さらに、通信制御部16は、転落検出装置2に転落情報を送信する処理を行う。
【0219】
表示制御部52は、表示部32の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、表示制御部52は、転落情報生成部58が生成した転落情報を表示部68に表示させる処理を行う。
【0220】
音出力制御部53は、音出力部70の出力を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、音出力制御部53は、転落判定部56によりユーザーが転落したと判定された場合、音出力部70に救助を要請する特定の音を出力させる処理を行う。
【0221】
高度変化情報生成部54は、転落検出装置2から取得した気圧センサー22の検出データ(気圧データ)に基づいて、第1実施形態で説明したのと同様に、高度変化情報を生成する処理を行う。
【0222】
衝撃情報生成部55は、転落検出装置2から取得した加速度センサー24の検出データ(加速度データ)に基づいて、第1実施形態で説明したのと同様に、ユーザーに加わる衝撃情報を生成する処理を行う。
【0223】
転落判定部56は、第1実施形態で説明したのと同様に、高度変化情報生成部54が生成した高度変化情報(気圧変化の傾き)と衝撃情報生成部55が生成した衝撃情報(加速度の大きさ)に基づいて、ユーザーが転落したか否かを判定する処理を行う。
【0224】
時間計測部57は、第1実施形態で説明したのと同様に、転落判定部56によりユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する処理を行う。
【0225】
転落情報生成部58は、転落判定部57によりユーザーが転落したと判定された場合、転落情報を生成する処理を行う。転落情報は、ユーザーの転落に関する情報であり、転落した時刻、転落時の衝撃の大きさ、落下距離、転落してからの経過時間、転落後のユーザーの姿勢や生体情報等の情報を含むようにしてもよい。
【0226】
音圧情報生成部59は、転落検出装置2から取得したマイクロフォン36の検出信号(音データ)から、第2実施形態で説明したのと同様に、ユーザーの音声帯域の信号及びユーザーの落下音の帯域の信号を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する。
【0227】
本実施形態の処理部(CPU)50は、記録媒体66に記憶されているプログラムを実行することで、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53、高度変化情報生成部54、衝撃情報生成部55、転落判定部56、時間計測部57、転落情報生成部58、音圧情報生成部59として機能する。あるいは、不図示の通信部等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部64や記録媒体66に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、通信制御部51、表示制御部52、音出力制御部53、高度変化情報生成部54、衝撃情報生成部55、転落判定部56、時間計測部57、転落情報生成部58、音圧情報生成部59の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0228】
6−3.転落監視システムの処理
[転落検出装置の処理]
図22は、第6実施形態における転落検出装置2の処理部(CPU)10の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0229】
まず、処理部(CPU)10は、加速度センサー24から加速度データを取得する(S310)。
【0230】
次に、処理部(CPU)10は、気圧センサー22から気圧データを取得する(S212)。
【0231】
次に、処理部(CPU)10は、マイクロフォン36の検出信号(音データ)をする(S314)。
【0232】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーの生体情報を取得する(S316)。
【0233】
次に、処理部(CPU)10は、固有識別番号とともに、ステップS310,S312,S314,S316でそれぞれ取得した加速度データ、気圧データ、音データ、ユーザーの生体情報を制御装置4に送信する(S318)。
【0234】
次に、処理部(CPU)10は、制御装置4から転落情報を受信した場合(S320のY)、当該転落情報を表示部32に表示し、記憶部28あるいは記録媒体30等に保存する(S322)。
【0235】
次に、処理部(CPU)10は、音出力部34から警報音を出力する(S324)。
【0236】
次に、処理部(CPU)10は、ユーザーが操作部26を操作し、制御装置4によるユーザーの転落後の経過時間の計測を終了するための所定の操作が行われた場合(S326のY)、経過時間の計測の終了を指示する経過時間計測終了信号を制御装置4に送信する(S328)。
【0237】
そして、処理部(CPU)10は、転落検出処理を終了する(S330のY)まで、所定時間が経過する毎に(S332のY)、S310〜S328の処理を繰り返し行う。
【0238】
なお、本実施形態では、各転落検出装置2がそれぞれ図22の処理を行う。
【0239】
[制御装置の処理]
図23は、第6実施形態における制御装置4の処理部(CPU)50の転落検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0240】
まず、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から、固有識別番号、加速度データ、気圧データ、音データ、生体情報を受信する(S350)。
【0241】
次に、処理部(CPU)50は、加速度の大きさ、気圧変化の傾き、ユーザーの音声と落下音の音圧を算出する(S352)。
【0242】
次に、まだユーザーが転落したと判定されていなければ(S354のN)、処理部(CPU)50は、ステップS352で算出した加速度が所定の閾値Aよりも大きいか否かを判定する(S356)。
【0243】
加速度が閾値Aよりも大きい場合(S356のY)、次に、処理部(CPU)50は、ステップS352で算出した気圧変化の傾きが所定の閾値Bよりも大きいか否かを判定する(S358)。
【0244】
気圧変化の傾きが閾値Bよりも大きい場合(S358のY)、次に、処理部(CPU)50は、ステップS352で算出した音圧が所定の閾値Cよりも大きいか否かを判定する(S360)。
【0245】
音圧が閾値Cよりも大きい場合(S360のY)、処理部(CPU)50は、ユーザーが転落したと判定し、経過時間の計測を開始する(S362)。続いて、処理部(CPU)50は、音出力部70から救助を要請する音を出力する(S364)。
【0246】
次に、処理部(CPU)50は、当該ユーザーの転落情報を生成し、当該転落情報を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存するとともに、表示部68に表示する(S366)。
【0247】
一方、ユーザーが転落したと判定された後(S354のY)も、処理部(CPU)50は、当該ユーザーの転落情報を生成し、当該転落情報を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存するとともに、表示部68に表示する(S366)。
【0248】
次に、処理部(CPU)50は、ステップS366で生成した転落情報を転落検出装置2に送信する(S368)。
【0249】
次に、処理部(CPU)50は、転落検出装置2から経過時間計測終了信号を受信した場合(S372のY)、ユーザーの転落後の経過時間の計測を終了し、経過時間の計測結果を記憶部64あるいは記録媒体66等に保存する(S372)。
【0250】
そして、処理部(CPU)50は、転落検出処理を終了する(S374のY)まで、所定時間が経過する毎に(S376のY)、S350〜S372の処理を繰り返し行う。
【0251】
なお、本実施形態では、制御装置4が各転落検出装置2を対象としてそれぞれ図23の処理を行う。
【0252】
以上に説明したように、第6実施形態の転落監視システムによれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果に加えて、処理能力の高い制御装置4(サーバー)が各ユーザーに関する情報の演算や保存を集中管理することで、転落検出装置2の処理負荷を大幅に軽減することができる。従って、転落検出装置2を小型化し、ユーザーがより携帯しやすくすることができる。
【0253】
7.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0254】
[変形例1]
本実施形態において、ユーザーが転落した場合、転落検出装置2は、警告音を出力しているが、当該警報音をユーザーが解除できるようにしてもよい。そして、ユーザーにより警報音の解除操作が行われた場合、転落検出装置2は、当該解除操作が行われた旨を制御装置4に送信するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザーが転落したが怪我をしなかったような場合やユーザーが転落したと誤って判定された場合等に、ユーザーの意思で無事であることを監視者に知らせることができる。
【0255】
[変形例2]
また、第6実施形態において、第4実施形態と同様に、制御装置4が通信ネットワーク7を介してサーバー6とデータ通信を行って気象情報を周期的に受信し、各ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成するようにしてもよい。そして、制御装置4が各転落検出装置2に各ユーザーに対する作業参考情報を送信し、各転落検出装置2が各ユーザーに対する作業参考情報を受信して表示部32に表示するようにしてもよい。
【0256】
なお、本実施形態では、雪下ろしを例に挙げて説明したが、本発明は、屋根の修理、煙突や窓の掃除、建築工事などの高所で行う作業全般に対して適用することができる。
【0257】
[変形例3]
本実施形態において、転落検出装置2の処理部(CPU)10の時間計測部14は、転落判定部13によりユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を複数のタイマーで計測し、操作部26に対する別々の操作を行うことで各タイマーが計測を終了して計測結果を保存するようにしてもよい。例えば、第1のタイマーは、ユーザーが転落してから救助されるまで(救助者がユーザーを発見して所定の操作を行うまで)の時間を計測して保存し、第2のタイマーは、ユーザーが転落してから病院に搬送されるまで(救助者や病院の医師が、ユーザーが病院に到着した後に所定の操作を行うまで)の時間を計測して保存するようにしてもよい。これにより、救助に要した時間の情報だけでなく病院までの搬送に要した時間の情報も収集することができる。
【0258】
また、病院に設置された情報端末(パソコン等)と転落検出装置2に同じ特殊な形状のコネクターを設け、転落検出装置2のコネクターを当該情報端末のコネクターに接続することで、転落検出装置2に保存されているユーザーの転落情報が当該情報端末に表示されるようにしてもよい。さらに、上記の第2のタイマーは、操作部26に対して所定の操作を行う代わりに、転落検出装置2のコネクターを情報端末のコネクターに接続した時に、計測を終了して計測結果を保存するようにしてもよい。このようにすれば、病院までの搬送に要した時間の情報を確実に収集することができる。
【0259】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0260】
1 転落監視システム、2,2a,2b,2c 転落検出装置、3 ユーザー、4 制御装置、5 家屋、6 サーバー、7 通信ネットワーク、10 処理部(CPU)、11 高度変化情報生成部、12 衝撃情報生成部、13 転落判定部、14 時間計測部、15 転落情報生成部、16 通信制御部、17 表示制御部、18 音出力制御部、19 音圧情報生成部、20 通信部、21 作業参考情報生成部、22 気圧センサー、24 加速度センサー、26 操作部、28 記憶部、30 記録媒体、32 表示部、34 音出力部、36 マイクロフォン、38 生体情報センサー、50 処理部(CPU)、60 通信部、62 操作部、64 記憶部、66 記録媒体、68 表示部、70 音出力部、72 通信部、51 通信制御部、52 表示制御部、53 音出力制御部、54 高度変化情報生成部、55 衝撃情報生成部、56 転落判定部、57 時間計測部、58 転落情報生成部、59 音圧情報生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの作業中の転落を検出することができる転落検出装置であって、
第1のセンサーと、
第2のセンサーと、
前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、
前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、
前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む、転落検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記転落判定部は、
所定時間当たりの前記ユーザーの高度の変化量が所定の閾値を超え、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさが所定の閾値を超えた場合に、前記ユーザーが転落したと判定する、転落検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1のセンサーは、気圧センサーであり、
前記高度変化情報生成部は、
前記高度変化情報として、前記気圧センサーが検出する気圧の変化量の情報を生成する、転落検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記第2のセンサーは、加速度センサーであり、
前記衝撃情報生成部は、
前記衝撃情報として、前記加速度センサーが検出する加速度の大きさの情報を生成する、転落検出装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記加速度センサーは、複数軸の加速度を検出する、転落検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを保存する記憶部を含む、転落検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
マイクロフォンと、
前記マイクロフォンの検出信号から前記ユーザーの音声帯域の信号及び前記ユーザーの落下音の帯域の信号の少なくとも一方を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する音圧情報生成部と、をさらに含み、
前記転落判定部は、
前記高度変化情報、前記衝撃情報及び前記音圧情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する、転落検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを含む転落情報を生成する転落情報生成部をさらに含み、
生成した前記転落情報を外部装置に送信する、転落検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、
前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する時間計測部をさらに含む、転落検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、
前記ユーザーの生体情報を検出する生体情報検出部をさらに含む、転落検出装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、
前記ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成する作業参考情報生成部をさらに含む、転落検出装置。
【請求項12】
ユーザーが転落した否かを監視する転落監視システムであって、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の転落検出装置と、
制御装置と、を含み、
前記転落装置は、
前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを示す転落情報を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、
前記転落情報を受信する、転落監視システム。
【請求項13】
ユーザーが転落した否かを監視することができる転落監視システムであって、
前記ユーザーに携帯される情報端末と、
制御装置と、を含み、
前記情報端末は、
第1のセンサーと、
第2のセンサーと、を含み、前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、
前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、
前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、
前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む、転落監視システム。
【請求項1】
ユーザーの作業中の転落を検出することができる転落検出装置であって、
第1のセンサーと、
第2のセンサーと、
前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、
前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、
前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む、転落検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記転落判定部は、
所定時間当たりの前記ユーザーの高度の変化量が所定の閾値を超え、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさが所定の閾値を超えた場合に、前記ユーザーが転落したと判定する、転落検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1のセンサーは、気圧センサーであり、
前記高度変化情報生成部は、
前記高度変化情報として、前記気圧センサーが検出する気圧の変化量の情報を生成する、転落検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記第2のセンサーは、加速度センサーであり、
前記衝撃情報生成部は、
前記衝撃情報として、前記加速度センサーが検出する加速度の大きさの情報を生成する、転落検出装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記加速度センサーは、複数軸の加速度を検出する、転落検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを保存する記憶部を含む、転落検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
マイクロフォンと、
前記マイクロフォンの検出信号から前記ユーザーの音声帯域の信号及び前記ユーザーの落下音の帯域の信号の少なくとも一方を抽出し、抽出した信号の音圧情報を生成する音圧情報生成部と、をさらに含み、
前記転落判定部は、
前記高度変化情報、前記衝撃情報及び前記音圧情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する、転落検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを含む転落情報を生成する転落情報生成部をさらに含み、
生成した前記転落情報を外部装置に送信する、転落検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、
前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定されてからの経過時間を計測する時間計測部をさらに含む、転落検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、
前記ユーザーの生体情報を検出する生体情報検出部をさらに含む、転落検出装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、
前記ユーザーによる前回の作業から今回の作業までの期間の長さと当該期間における気象情報とに基づいて、今回の作業の参考となる作業参考情報を生成する作業参考情報生成部をさらに含む、転落検出装置。
【請求項12】
ユーザーが転落した否かを監視する転落監視システムであって、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の転落検出装置と、
制御装置と、を含み、
前記転落装置は、
前記転落判定部により前記ユーザーが転落したと判定された場合、前記ユーザーが転落したことを示す転落情報を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、
前記転落情報を受信する、転落監視システム。
【請求項13】
ユーザーが転落した否かを監視することができる転落監視システムであって、
前記ユーザーに携帯される情報端末と、
制御装置と、を含み、
前記情報端末は、
第1のセンサーと、
第2のセンサーと、を含み、前記第1のセンサーの検出データ及び前記第2のセンサーの検出データを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、
前記第1のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーの高度の変化量を特定可能な高度変化情報を生成する高度変化情報生成部と、
前記第2のセンサーの検出データを利用して、前記ユーザーに加わる衝撃の大きさを特定可能な衝撃情報を生成する衝撃情報生成部と、
前記高度変化情報及び前記衝撃情報を利用して、前記ユーザーが転落したか否かを判定する転落判定部と、を含む、転落監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−92923(P2013−92923A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234844(P2011−234844)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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