説明

軸シール装置とそれを用いたポンプ装置

【課題】回転軸の外周をシールする軸シール装置について、異物や劣化潤滑油の滞留が効果的に防止されるようにしてシール部材の潤滑、保護の性能を高めることを目的としている。
【解決手段】回転軸3と、シール部材11と、油の充満した液室9と、シール部材収容室10を有し、液室9とシール部材収容室10が隔壁12を介して隔てられ、その隔壁12に貫通孔13を形成してその貫通孔13に中空部材14を装着し、その中空部材のシール部材収容室10への突出部をシール部材11に係止させ、かつ、この中空部材14の孔14aを介して液室9とシール部材収容室10を連通させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転軸の外周の隙間をシールする軸シール装置とそれを用いたポンプ装置、詳しくは、異物や劣化潤滑油の滞留を防止してシール部材の潤滑、保護の性能を高めた軸シール装置と、それを用いて軸シール部の耐久性を向上させた歯車ポンプ、ベーンポンプ、インペラーポンプなどの回転式のポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ液圧制御装置に用いる動力駆動のポンプ装置として、例えば、下記特許文献1に示されるようなものがある。
【0003】
その特許文献1のポンプ装置は、インナーロータ(外歯歯車)とアウターロータ(内歯歯車)を組み合わせた周知の内接歯車式のポンプを採用しており、同一回転軸によって駆動されるポンプを同一軸線上に2組設置している。また、その2組のポンプ間に駆動用の回転軸の外周をシールして2組のポンプを液圧的に区画するシール部材を設置している。
【0004】
さらに、そのシール部材を収容するハウジングには、シール部材が片方のポンプ側に移動することを阻止する隔壁を設けている。他方のポンプとシール部材との間には軸受が設置されており、シール部材の他方のポンプ側への移動はその軸受によって阻止される。従って、隔壁は、シール部材収容室と片方のポンプとの間にのみ設けられており、その隔壁に形成された軸穴にポンプ駆動用の回転軸が通されている。
【0005】
なお、ハウジングに設けられたポンプ収容室の端面には、ポンプのチャンバ(ポンプ室)に連通する液室(吸入ポートや吐出ポート)が形成されており、その液室とシール部材収容室は前記隔壁によって隔てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−278084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のポンプ装置は、シール部材収容室が隔壁によって片方のポンプのチャンバに連通する液室から隔てられている。それが原因で、シール部材収容室の液室から隔てられた側に潤滑油(ポンプが汲み上げるブレーキ液)が閉じ込められて滞留し易くなっており、その滞留による潤滑剤の劣化によってシール部材が変質し、そのシール部材の寿命が短縮されることが懸念される。
【0008】
その懸念を払拭すれば、軸シール部の潤滑、保護の性能を向上させることができる。この面で、前掲の特許文献のポンプ装置には改善の余地がある。
【0009】
また、潤滑油の滞留は異物(シール部材の摩耗粉など)の滞留にもつながる。従って、滞留異物によるシール部材の損傷を回避する上でも改善の余地が残されていた。
【0010】
この発明は、回転軸の外周をシールする軸シール装置について、異物や劣化潤滑油の滞留が効果的に防止されるようにしてシール部材の潤滑、保護の性能を高めること、及び改善された軸シール装置を用いて回転式のポンプ装置の軸シール部の耐久性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明においては、回転軸と、その回転軸の外周に配置するシール部材と、油の充満した液室と、前記シール部材を収容するシール部材収容室を有し、前記液室とシール部材収容室が隔壁を介して隔てられ、その隔壁に形成された軸穴に前記回転軸が通され、その回転軸の外周が前記シール部材によってシールされた軸シール装置に以下の改善を施した。
【0012】
具体的には、前記隔壁に、その隔壁を貫通する貫通孔を形成し、その貫通孔に中空部材を装着し、その中空部材の前記シール部材収容室への突出部を前記シール部材に係止させ、かつ、この中空部材の孔を介して前記液室とシール部材収容室を連通させた。
【0013】
この発明のポンプ装置は、その軸シール装置を採用したものであって、液体を汲み上げる回転式のポンプと、そのポンプを駆動する回転軸と、この回転軸の外周に配置するシール部材を有する。そのシール部材は前記回転軸の外周に形成されたシール部材収容室に収容され、前記ポンプのチャンバにつながった液室と前記シール部材収容室とが隔壁を介して隔てられ、その隔壁に形成された軸穴に前記回転軸が通されている。
【0014】
この回転式ポンプにおいて、前記隔壁に、その隔壁を貫通する貫通孔を形成し、その貫通孔に中空部材を装着し、その中空部材の前記シール部材収容室への突出部を前記シール部材に係止させ、かつ、この中空部材の孔を介して前記液室とシール部材収容室を連通させた。
【0015】
このポンプ装置は、回転軸によって駆動される2組の回転式のポンプを前記シール部材収容室の両側に各々のポンプの吸入と吐出の位相を180°異ならせて設置し、前記シール部材を前記シール部材収容室内で軸方向変位可能となし、前記シール部材収容室の前記シール部材によって区画された両側を前記両側のポンプのチャンバに別々につながった2つの液室に別々に連通させ、少なくとも片方の前記液室と前記シール部材収容室との間に前記隔壁を配置し、その隔壁に前記中空部材を装着した構造にすると好ましい。
【0016】
また、前記中空部材を、その中空部材の開口と前記シール部材収容室の天面側空間の高さレベルが重なる位置に配置したり、前記隔壁に前記貫通孔を複数個設けてその貫通孔の少なくともひとつに前記中空部材を装着したりするのも好ましい。
【0017】
前掲の特許文献のポンプ装置のように、シール部材収容室のシール部材によって区画された両側のうち、他方が軸受などを介して片方のポンプ側の液室に連通している場合には、前記隔壁を片方のポンプ側の液室とシール部材収容室との間に配置し、その隔壁に前記中空部材を装着すればよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明の軸シール装置及びそれを用いたポンプ装置は、シール部材収容室と液室を区画する隔壁に中空部材を貫通させ、その中空部材の孔を介して前記シール部材収容室と液室を連通させており、これにより、シール部材収容室と液室との間に両室に導入されている油の循環路が形成される。
【0019】
その循環路は、中空部材が1個だけ設けられる態様では、中空部材の孔と隔壁と回転軸間に生じているクリアランスによって構成される。また、隔壁に複数の貫通孔を設ける態様では、中空部材の孔と中空部材を装着していない貫通孔と前記クリアランスによって構成される。
【0020】
シール部材収容室に連通させた液室は、この発明の適用対象がポンプ装置であると圧力変動を生じる。その圧力変動で上記循環路に油の流れが生じる。その油の流れは、液室の圧力変動に伴うシール部材(ゴムリング)の圧縮、復元や、ポンプの駆動、停止による吸引力の発生、消失、回転軸の回転、シール部材の軸方向変位(軸方向の反復移動)などによって生じることもあり、この流れによってシール部材収容室における異物の滞留、劣化油の滞留が防止される。
【0021】
これにより、劣化油によるシール部材の変質が抑制され、また、滞留異物によるシール部材の損傷も抑制される。
【0022】
また、シール部材に係止させた中空部材が回転防止用のキーとして働いてシール部材が回り止めされるため、シール部材の軸穴側シール部(ゴムリングの外周部)の摺動及びその摺動に起因した摩耗或いはいわゆるゴムのむしれも抑制され、シール部材の耐久性が向上する。また、循環路ができることで、シール部材収容室のエアー抜きも促進される。
【0023】
なお、吸入と吐出の位相を180°異ならせた2組のポンプをシール部材収容室の両側に設置したポンプ装置は、一方のポンプ側の液室と他方のポンプ側の液室の昇圧、降圧が交互に起こる。これにより、シール部材の両端にそのシール部材を軸方向に交互に押し引きする力が加わり、その力によるシール部材の軸方向変位でポンプ作用が生じるため、循環路内の油の循環がより促進される。
【0024】
また、前記中空部材を、その中空部材の開口とシール部材収容室の天面側空間の高さレベルが重なる位置に配置したものは、中空部材の孔をエアー抜き通路にしてシール部材収容室内のエアーを十分に抜き取ることが可能になる。
【0025】
このほか、前記隔壁に前記貫通孔を複数個設けてその貫通孔の少なくともひとつに前記中空部材を装着したものは、油のより流れやすい循環路を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の軸シール装置とそれを用いたポンプ装置の一例を示す断面図
【図2】図1のポンプ装置の要部の拡大断面図
【図3】シール部材の回り止め構造の説明図
【図4】隔壁に貫通孔を複数設けた例を示す要部の断面図
【図5】中空部材を隔壁に径方向に貫通させて設けた例を示す要部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面の図1〜図5に基づいて、この発明の軸シール装置とポンプ装置の実施の形態を説明する。
【0028】
図1に、ポンプ装置1の一例の概要を示す。同図の2は、ポンプ装置1を組み込むブレーキ装置用液圧ユニットのハウジングである。このハウジング2は、外ハウジング2aと、その外ハウジング2aの内部に外径側を液密にシールして組み込んだ内ハウジング2b、2cの3つで構成されている。
【0029】
内ハウジング2b、2cの中心には回転軸3が組み込まれている。その回転軸3は、内ハウジング2b、2cに組み付けた軸受4−1,4−2−1−2は、区別の便宜上付加。以下も同様)によって定位置回転可能に支持されている。この回転軸3は、モータ(図示せず)の出力軸に連結され、モータの動力で回転駆動される。
【0030】
ハウジング2の内部には、回転軸3に駆動される2組のポンプ5−1,5−2が、所定の間隔を保って組み込まれている。図示のポンプ5−1,5−2は、歯数差が1枚のインナーロータとアウターロータを偏心配置にして組み合わせた内接歯車式のポンプである。そのポンプ5−1,5−2は、内ハウジング2b、2cに形成されたポンプ収容室6−1,6−2に収容されている。
【0031】
このポンプのインナーロータが回転軸3によって回転駆動され、アウターロータが従動回転してインナーロータとアウターロータの歯間に形成されるチャンバの容積が増減する。そのチャンバ容積の増減により、液体(ブレーキ液)の吸入、吐出がなされる。なお、ポンプ5−1,5−2は、各々の吸入、吐出の位相を180°異ならせて配置されている。
【0032】
図1の7−1,7−2は、ポンプの吸入経路、8−1,8−2は、吐出経路である。各ポンプのロータの一端面は、吸入経路7−1,7−2に別々に連通した液室(図のそれは各ポンプのチャンバに連通する吸入ポート)9−1,9−2に対面しており、その液室9−1,9−2から各ポンプのチャンバにブレーキ液が吸入される。
【0033】
ポンプ5−1,5−2間には、シール部材収容室10が設けられ、そのシール部材収容室10に、回転軸の外周をシールするシール部材11が収容されている。
【0034】
シール部材11は、回転軸3に摺動可能に外嵌して回転軸3との間の隙間をシールする環状ピース11aとその環状ピースの外周の環状溝に納めるゴムリング11bを組み合わせたものが用いられている。環状ピース11aは摺動特性に優れる樹脂で形成されており、ハウジング2に設ける後述する中空部材14を利用してその環状ピースの回転防止が行われる。
【0035】
ゴムリング11bは、ハウジングに形成された軸穴の穴面と環状ピース11aとの間に径方向の締代をもって配置され、このゴムリング11bによってハウジングの軸穴と環状ピース11aとの間が封止される。
【0036】
環状ピース11aの外周の環状溝は、ゴムリング11bとの間に軸方向のいわゆる遊びが生じる溝にしてあり、その遊びの範囲で環状ピース11aとゴムリング11bの軸方向相対移動が許容される。
【0037】
軸受4−2は、ポンプ5−2とシール部材収容室10との間に設置されており、シール部材収容室10の図1におけるシール部材11よりも左側部分は、軸受4−2の内部隙間を介してポンプ5−2側の液室9−2に連通している。
【0038】
これに対し、ポンプ5−1側の液室9−1は、シール部材収容室10との間に配置した隔壁12によってシール部材収容室10から区画されている。隔壁12には軸穴12aが形成されており、その軸穴12aに回転軸3が通されている。
【0039】
軸穴12aと回転軸3との間には回転軸の接触回避に必要なクリアランスがある。従来のポンプ装置では、シール部材収容室10の図1におけるシール部材11よりも右側部分をポンプ5−1側の液室9−1に連通させる箇所がそのクリアランス部のみとなっていた。そのために、シール部材収容室10の図1におけるシール部材11よりも右側部分は潤滑剤や異物が滞留しやすくなっていた。
【0040】
その滞留防止策として、この発明では、その一例として、隔壁12に、その隔壁を軸方向に貫通する貫通孔13を設けてその貫通孔13に中空部材(中空ピン)14を装着した。その中空部材14の孔を介してシール部材収容室10を液室9−1に連通させており、これにより、シール部材収容室10と液室9−1との間にブレーキ液の循環路が形成される。
【0041】
その循環路は、図1のポンプ装置の場合、中空部材14の中心の孔14aと、隔壁の軸穴12aの穴面と回転軸3の外周面との間に生じたクリアランスとによって構成される。その循環路が形成されることでシール部材収容室10における異物の滞留と劣化ブレーキ液の滞留が防止され、シール部材の潤滑、保護の性能向上、軸シール部の耐久性を向上の目的が達成される。また、循環路ができることで、シール部材収容室10のエアー抜きも可能となる。
【0042】
シール部材収容室10のエアー抜きについては、図2に示すように、中空部材14を、中心の孔14aの開口14bがシール部材収容室10の天面側(回転軸3の中心軸線よりも上側)空間と高さレベルが重なる位置にくるように配置すると好ましい。そのようにすれば、シール部材収容室10の天面側空間に滞留するエアーを十分に抜き取ることができ、エアー抜きを済ませた状態でポンプ装置を出荷することができる。
【0043】
隔壁12には、図4に示すように、貫通孔13を複数個設けることができる。貫通孔13が複数あれば、シール部材収容室10と液室9−1との間に、ブレーキ液のより流れやすい循環路を形成することができる。
【0044】
中空部材14は、環状ピース11aの回り止めキーを兼用する目的で設けている。従って、貫通孔13の数とは関係なく中空部材14はひとつあればよい。貫通孔13を複数個設ける態様では、中空部材14の装着されていない貫通孔をシール部材収容室10の天面側空間と高さレベルが重なる位置に配置することでもエアー抜きの効果を高めることができる。
【0045】
なお、図1のポンプ装置は、ポンプ5−1,5−2の作動、停止によって液室9−1,9−2に圧力変動が起こる。ポンプ5−1,5−2は、吸入と吐出の位相を180°異ならせているため、液室9−1,9−2の圧力変動は一方が昇圧するときに他方が降圧し、これにより、シール部材11の両端にそのシール部材を軸方向に交互に押し引きする力が加わる。
【0046】
シール部材11の環状ピース11aは、ゴムリング11bよりも摺動抵抗が小さく、しかも、軸方向の動き代を有する。そのために、その環状ピース11aが両端に加わる力で押し引きされて軸方向に進退し、これにより、シール部材収容室10の液室9−1に連通した側の容積が変動してポンプ作用が生じ、そのポンプ作用によって循環路内の油の循環が促進される。また、ポンプ5−1,5−2の作動に伴う液室9−1,9−2の圧力変動によってゴムリング11bの圧縮・復元が生じることによっても循環路内の油の循環の促進が可能になる。
【0047】
中空部材14は、一端をシール部材収容室10に突出させ、その突出部を環状ピース11aに形成されたキー溝15(図3参照)に挿入して環状ピース11aに係止させている。これにより、環状ピース11aが回転軸3に引き摺られて共回りすることが防止される。
【0048】
そのために、ゴムリング11bが引きずられて摺動して摩耗したり、むしれて損傷したりする懸念がなくなってシール部材11の耐久性が向上する。
【0049】
なお、中空部材14を装着する貫通孔13は上述の態様に示すような軸方向に延びるものに限らない。例えば、図5に示すように、貫通孔13を径方向に延在するように形成し、これに中空部材14を装着してこの中空部材14の突出部でシール部材11を係止してもよい。この場合、例えば、隔壁12に形成されて液室9−1に連通している吸入経路7−1の径方向延在部分の奥端部から径方向内側に延びるように貫通孔13を形成し、この貫通孔13に装着した中空部材14を介して吸入経路7−1とシール部材収容室10とを連通させる。これによっても、上述同様の作用効果を得ることができる。また、中空部材14が径方向に延在するため、これが軸方向に延在する態様と比較して、中空部材14を配置するスペースを軸方向に短くすることが容易となり、その分だけポンプ装置1の軸方向長さを抑えることも期待できる。この例では、吸入経路7−1が特許請求の範囲に記載の液室として機能する。
【0050】
なお、この発明の軸シール装置は、ポンプ装置以外の軸シール部にも適用できる。潤滑剤として利用可能な油が導入される液室を有し、その液室と回転軸の外周に設けるシール部材収容室との間に両室を区画する隔壁が存在し、その隔壁により、シール部材収容室の隔壁に対面する側の部屋が密閉状態になる装置であれば、発明の効果が発揮される。
【0051】
この発明を適用するポンプ装置も、例示の内接歯車式ポンプを有するものに限定されない。回転軸経由で動力を伝えて駆動する回転式ポンプには、外接歯車ポンプやベーンポンプ、インペラーポンプ等もあり、このようなポンプ装置の軸シール部でもこの発明の改善策の有効性が期待できる。
【符号の説明】
【0052】
1 ポンプ装置
2 ハウジング
2a 外ハウジング
2b、2c 内ハウジング
3 回転軸
4 軸受
5 ポンプ
6 ポンプ収容室
7 吸入経路
8 吐出経路
9 液室
10 シール部材収容室
11 シール部材
11a 環状ピース
11b ゴムリング
12 隔壁
12a 軸穴
13 貫通孔
14 中空部材
14a 孔
14b 開口
15 キー溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(3)と、その回転軸の外周に配置するシール部材(11)と、油の充満した液室(7,9)と、前記シール部材(11)を収容するシール部材収容室(10)を有し、前記液室(7,9)とシール部材収容室(10)とが隔壁(12)を介して隔てられ、その隔壁(12)に形成された軸穴(12a)に前記回転軸(3)が通され、その回転軸(3)の外周が前記シール部材(11)によってシールされた軸シール装置において、
前記隔壁(12)に、その隔壁を貫通する貫通孔(13)を形成し、その貫通孔(13)に中空部材(14)を装着し、その中空部材(14)の前記シール部材収容室(10)への突出部を前記シール部材(11)に係止させ、かつ、この中空部材(14)の孔(14a)を介して前記液室(7,9)とシール部材収容室(10)を連通させたことを特徴とする軸シール装置。
【請求項2】
液体を汲み上げる回転式のポンプ(5)と、そのポンプ(5)を駆動する回転軸(3)と、この回転軸の外周に配置するシール部材(11)を有し、
前記シール部材(11)が前記回転軸(3)の外周に形成されたシール部材収容室(10)に収容され、前記ポンプのチャンバにつながった液室(7,9)と前記シール部材収容室(10)とが隔壁(12)を介して隔てられ、その隔壁(12)に形成された軸穴(12a)に前記回転軸(3)が通された回転式ポンプにおいて、
前記隔壁(12)に、その隔壁を貫通する貫通孔(13)を形成し、その貫通孔(13)に中空部材(14)を装着し、その中空部材(14)の前記シール部材収容室(10)への突出部を前記シール部材(11)に係止させ、かつ、この中空部材(14)の孔(14a)を介して前記液室(7,9)とシール部材収容室(10)を連通させたことを特徴とする回転式ポンプ。
【請求項3】
前記回転軸(3)によって駆動される2組の回転式のポンプ(5)を前記シール部材収容室(10)の両側に各々のポンプの吸入と吐出の位相を180°異ならせて設置し、
前記シール部材(11)を前記シール部材収容室(10)内で軸方向変位可能となし、前記シール部材収容室(10)の前記シール部材(11)によって区画された両側を前記両側のポンプのチャンバに別々につながった2つの液室(7,9)に別々に連通させ、少なくとも片方の前記液室(7,9)と前記シール部材収容室(10)との間に前記隔壁(12)を配置し、その隔壁(12)に前記中空部材(14)を装着した請求項2に記載の回転式ポンプ。
【請求項4】
前記隔壁(12)を片方の前記液室(7−1,9−1)と前記シール部材収容室(10)との間に配置し、その隔壁(12)に前記中空部材(14)を装着し、他方の前記液室(9−2)と前記シール部材収容室(10)を、両者の間に設置された軸受(4−2)の内部隙間を介して連通させた請求項3に記載の回転式ポンプ。
【請求項5】
前記中空部材(14)を、その中空部材の孔(14a)の開口(14b)が前記シール部材収容室(10)の天面側空間と高さレベルにおいて重なる位置に配置した請求項2〜4のいずれかに記載の回転式ポンプ。
【請求項6】
前記隔壁(12)に前記貫通孔(13)を複数個設け、その貫通孔の少なくともひとつに前記中空部材(14)を装着した請求項2〜5のいずれかに記載の回転式ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−72452(P2013−72452A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210348(P2011−210348)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】