説明

軸受の振動測定装置

【課題】簡単な構造により軸受の振動を高精度に測定可能とした軸受の振動測定装置を提供する。
【解決手段】軸受1に軸承されている回転軸2の軸線方向Aと、この回転軸の軸線方向Aに対し平面内で直交する水平方向Hと、回転軸の軸線方向Aと水平方向Hとの交点を通る垂直方向Vとの三方向に向けて取り付けられた釦アダプタ8a、8b、8cを備えているボルトアダプタ6と、頭部にボルトアダプタ6を嵌着するための軸穴5aを有し、軸受1を固着する締め付けネジ穴に螺着する測定用ボルト5とからなるアダプタ本体4を、軸受1を固着する締め付けネジ穴に前記測定用ボルト5を介して軸受1に装着し、計測ピックアプ9を前記三方向の釦アダプタ8a、8b、8cに当てて前記軸受の振動を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受から発する振動を測定する軸受の振動測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転軸を軸承する軸受は長期期間の使用により摺動面や転動面の摩耗あるいは疲労によってガタが生じ、これに伴って振動が発生して軸受が損傷する。この振動を測定することで軸受の寿命を判断している。従来、軸受の振動測定にはいろいろあるが、一般的には図2で示すように、回転軸20を軸承した軸受10に回転軸の軸線方向Aと、この回転軸の軸線方向Aに対し平面内で直交する水平方向Hと、回転軸の軸線方向Aと水平方向Hとの交点を通る垂直方向Vとの三方向にマーキング40a、40b、40cの計測ポイントを施し、この計測ポイントに棒状アダプタ91を有する計測ピックアプ90を当てて測定している。
【0003】
しかし、上記従来の軸受の振動測定では、計測ポイントに計測ピックアプ90の棒状アダプタ91を正確に当てるのが難しいことと、当てる角度も毎回微妙に違うことから正確なデータが得られないため、測定診断を下す場合判断に迷うことがあるという問題を有していた。
【特許文献1】特開2002−116114公報
【特許文献2】特開2002−350289公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡単な構造により軸受の振動を高精度に測定可能とした軸受の振動測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1に記載の通り、軸受に軸承されている回転軸の軸線方向Aと、この回転軸の軸線方向Aに対し平面内で直交する水平方向Hと、回転軸の軸線方向Aと水平方向Hとの交点を通る垂直方向Vとの三方向に向けて取り付けられた釦アダプタを備えているボルトアダプタと、頭部に前記ボルトアダプタを嵌着するための軸穴を有し、前記軸受を固着する締め付けネジ穴に螺着する測定用ボルトとからなるアダプタ本体を、前記軸受を固着する締め付けネジ穴に前記測定用ボルトを介して軸受に装着し、計測ピックアプを前記三方向の釦アダプタに当てて前記軸受の振動を測定することを特徴するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、計測ピックアプを前記三方向の釦アダプタに正確に当てることができ軸受の振動を高精度に測定可能とし安定したデータが得られ確実な測定診断が下せる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1は回転軸2を軸承している軸受であり、3は軸受1を固定した締め付けボルトである。4は本発明装置を構成するアダプタ本体である。
【0008】
このアダプタ本体4は、ボルトアダプタ6の上端部に6面の四角部材7が設けれており、この四角部材7に、前記軸受1に軸承されている回転軸2の軸線方向Aと、この回転軸2の軸線方向Aに対し平面内で直交する水平方向Hと、回転軸2の軸線方向Aと水平方向Hとの交点を通る垂直方向Vとの三方向に向けて釦アダプタ8a、8b、8cが取り付けられる。さらに、頭部に前記ボルトアダプタ6を嵌着するための軸穴5aを有し、前記軸受1を固着する締め付けネジ穴に螺着する測定用ボルト5と前記ボルトアダプタ6とから構成さっれている。尚、9は計測ピックアプを示す。
【0009】
前記釦アダプタ8a、8b、8cは小径の軸8が盤面より突出しており、計測ピックアプ9は、その先端に前記盤面より突出している小径の軸8に嵌合する穴9aが設けられている。つまり、計測ピックアプ9は、その先端の穴9aを前記盤面より突出している小径の軸8に嵌合して当てる。
【0010】
本発明は上記の通りの構成であるから、軸受1を固着している締め付けボルト3を取り外して締め付けネジ穴に測定用ボルト5を螺着し、ボルトアダプタ6を前記測定用ボルト5の頭部に設けられている軸穴5a嵌着してアダプタ本体4を軸受1に装着する。
【0011】
軸受1に装着したアダプタ本体4の釦アダプタ8a、8b、8cに計測ピックアプ9を当てて前記軸受1に軸承されている回転軸2の軸線方向Aと、この回転軸2の軸線方向Aに対し平面内で直交する水平方向Hと、回転軸2の軸線方向Aと水平方向Hとの交点を通る垂直方向Vとの三方向の軸受1の振動を測定する。
【0012】
計測ピックアプ9の先端の穴9aを釦アダプタ8a、8b、8cの盤面より突出している小径の軸8に嵌合して当てることにより、小径の軸8によって計測ピックアプ9の角度は常に一定に規制され正確に当てることができ正確なデータを得ることができる。
【0013】
また、ボルトアダプタ6のサイズを変えることにより各種規格の軸受に対応して振動測定が可能である。
【0014】
さらに、ボルトアダプタ6をテーパネジにすることより、軸受1のグリースニップルにアダプタ本体4を軸受1に装着することが可能となる。
【0015】
このように本発明では、簡単な構造によるアダプタ本体4により軸受の振動を高精度に測定可能とし安定したデータが得られ確実な測定診断が下せる利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の斜視図
【図2】従来の測定装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0017】
1 軸受
2 回転軸
3 締め付けボルト
4 アダプタ本体
5 測定用ボルト
5a 軸穴
6 ボルトアダプタ
7 四角部材
8 小径の軸
8a 釦アダプタ
8b 釦アダプタ
8c 釦アダプタ
9 計測ピックアプ
9a 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受に軸承されている回転軸の軸線方向Aと、この回転軸の軸線方向Aに対し平面内で直交する水平方向Hと、回転軸の軸線方向Aと水平方向Hとの交点を通る垂直方向Vとの三方向に向けて取り付けられた釦アダプタを備えているボルトアダプタと、頭部に前記ボルトアダプタを嵌着するための軸穴を有し、前記軸受を固着する締め付けネジ穴に螺着する測定用ボルトとからなるアダプタ本体を、前記軸受を固着する締め付けネジ穴に前記測定用ボルトを介して軸受に装着し、計測ピックアプを前記三方向の釦アダプタに当てて前記軸受の振動を測定することを特徴する軸受の振動測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−241487(P2008−241487A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83199(P2007−83199)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】