説明

軸状物用包装装置

【課題】正方形の縦長の内ケース1を上向きに、外ケース3を下向きに、軸状物5を立てて供給し、内ケースを保持しつつ軸状物を投入し、外ケースを被せる軸状物用包装装置において、内・外ケースに多少の成形誤差があっても、嵌め合わせを容易に行うこと。
【解決手段】 包装機本体は、内ケースの下部を収めるポケット12をテーブル10に備え、内ケースを挟持するクランプ13を水平方向に段階的に開閉可能とし、一対の爪21を水平方向に対向し、両爪を対向方向に接近・隔離する開閉手段15を備え、各爪の対向面に平面視V字状の拘束面23を備え、両爪の内側に平面視正方形の対向する二隅を作り、平面視正方形の大きさを両爪の開閉動作で可変し、両爪の拘束面を、下部に比べて上部を広い段差形状とし、拘束面の上端部には上に向かって広くなる勾配の上ガイド24を付け、拘束面の上部と下部の境目には下に向かって狭くなる勾配の下ガイド25を付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば切削工具のドリル等の軸状物を、平面視正方形の細長い有底角筒状の弾性変形可能な外ケースと内ケースの中に収納する為の軸状物用包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面視正方形の外ケースと内ケースを弾性変形可能な合成樹脂で例えばブロー成形すると、製品ごとに成形誤差が生じるものである。従って、設計上では平面視正方形になるように成形しても、実際に出来上がった製品は、一見したところ正方形であるが、厳密には正方形とは言いがたい多少崩れた形状となる。
【0003】
そして、かかる外ケースと内ケースの中に軸状物を包装する場合、従来は、手作業で立てた内ケースの内部に軸状物を入れ、次に外ケースの開口部を下に向けながら全体を斜めに傾け、外ケースを移動させてその開口部をまず内ケースの上端部に嵌め合わせ、最後に外ケースを所望の深さまで押し込む手法が採られている。立てた内ケースに対して外ケース全体を斜めすると、開口部同士がまず部分的に嵌まり合う関係上、開口部同士の嵌め合わせが容易になる。
【0004】
手作業での包装は煩雑であるので、機械化することが望まれる。ところが、上述した外ケースの嵌め合わせ、その嵌め合わせを確認して外ケースを所望の深さまで押し込む手法は、外ケースを押し込む方向や力加減を微妙に変化させて行う方法であって、人間の微妙な手先の感触に依存するものなので、そのまま機械化するのは難しい。
【0005】
そこで本発明者は機械が得意とする直線的な動きを利用して、軸状物を包装する装置の開発に着手した。ここでまず問題となるのが、外ケースと内ケースの開口部同士の嵌め合わせである。直線的な動きを利用する方法として、立てた内ケースの真上から外ケースを下ろして開口部同士を嵌め合わせる方法を採用する場合、開口部同士を全周に亘って一挙に嵌め合わせる都合上、図10に示すように内ケースの開口部(上端部)の外側に外ケースの開口部(下端部)を平面視して同心状に配置する関係が開口部同士には要求される。ここで同心状とは、隙間が全周に亘って均一となる状態をいう。ただし、嵌め合わせの関係上、開口部の周囲を拘束(クランプ)することはできず、また、各ケースの成形誤差により開口部の形状が平面視正方形とは厳密には言い難いこともあって、外・内ケースをそれぞれ位置決めしても、双方の開口部同士の関係が数値的に厳密に同心状になるとは限らない。そこで、開口部同士の関係が微妙に同心状ではなくても、その関係を吸収できるような構造を採用する必要がある。
【0006】
なお、本出願人は、いままでの手作業を機械化する装置を開発したばかりであるので、同種の先行技術文献情報の所在を知らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情を考慮して開発されたもので、その課題は多少の成形誤差のある平面視正方形の内外ケースの嵌め合わせを容易に行うことができる軸状物用包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平面視正方形で底のある縦長の弾性変形可能な内ケースを上向きに開口させて供給する内ケース供給機と、内ケースと同様形状かつ同特性でその外側に嵌め込む外ケースを下向きに開口させて供給する外ケース供給機と、軸状物を鉛直に立てて供給する軸状物供給機と、各供給機からの供給物の供給先となる包装機本体とから構成され、包装機本体では、内ケースを保持しつつ内部に軸状物を投入してから外ケースを降下して被せる軸状物用包装装置に関するものである。
【0009】
平面視正方形とは、一見して正方形と見える形をいい、成形誤差のあるものや、隅角を面取りしてある形状も含まれる。
【0010】
そして、包装機本体は、テーブルには、内ケースの下部を収めるポケットを備えると共に、内ケースの上部を挟持するクランプを段階的に水平方向に開閉可能に設け、クランプは、一対の爪を水平方向に対向して設けると共に、両爪を対向方向に接近若しくは隔離する開閉手段を備え、各爪の対向面には、平面視して直角に切除されたV字状の拘束面を形成し、両爪の内側に平面視正方形の対向する二隅を形作り、両爪の開閉動作によってその内側に形作る平面視正方形の大きさを可変可能に設け、両爪の拘束面を、下部に比べて上部を広くした段差形状に形成し、拘束面の上端部には上に向かって広くなる勾配の上ガイドを付け、拘束面の上部と下部の境目には下に向かって狭くなる勾配の下ガイドを付け、両爪の閉段階で、拘束面の下部で内ケースを挟持すると共に、上ガイドを機能させつつ、拘束面の上部には外ケースを嵌め合わせる嵌合隙間を内ケースとの間に形成し、閉段階よりも両爪を外ケースの肉厚分開いた半開段階で、拘束面の下部には外ケースを挿入する挿入隙間を内ケースとの間に形成し、下ガイドを機能させることを特徴とする。
【0011】
両爪は、閉段階と半開段階の二段階で開閉するものであっても良いが、内ケースをポケットに挿入する際に両爪との干渉を避けるには、請求項2の発明のように、両爪を半開段階よりも開く全開段階可能に設け、全開段階で内ケースをポケットに落下させることが望ましい。
【0012】
両爪は、閉段階と半開段階の二段階で開閉するものであっても良いが、内ケースと外ケースが嵌まりあって内部に軸状物を収納した商品を、ポケットから排出する際に両爪との干渉を避けるには、請求項3の発明のように、ポケットの下部には排出穴をあけ、排出穴の下方には、排出穴にピストンロッドが出入りする排出シリンダを設け、両爪を半開段階よりも開く全開段階可能に設け、全開段階でピストンロッドがポケット内の商品を上昇させて排出することが望ましい。
【0013】
さらに、テーブルの一箇所で全ての包装作業を行っても良いが、生産効率を向上したり、軸状物用包装装置の上下、左右の寸法をコンパクトにするには、請求項4の発明のように、テーブルは、円盤の中心に回転軸を有するターンテーブルであって、その外周の所定角度ごとに内ケース保持位置、ドリル投入位置、外ケース嵌め合わせ位置、商品排出位置を設けると共に、各位置の上面にクランプを配置し、且つ各位置にポケットを設置する設置部を設け、開閉手段は、テーブルの上面であって設置部よりも中心軸よりの箇所にレールを両爪の開閉方向に沿って設け、レールに沿って移動するスライダーを各爪の底面に備え、両爪の内側から開閉ピッチを段階的に調整する開閉ピッチ調整手段をテーブルの下方に備え、開閉ピッチ調整手段で決定した開閉ピッチに両爪をその外側から閉鎖方向に押し込んで位置決めする爪位置決め手段をテーブルの上方に備えるものが望ましい。
【0014】
外ケース嵌め合わせ位置で、内ケースに外ケースを嵌め合わせて所望の位置まで外ケースを深く押し込んで商品化しても良いし、外ケース嵌め合わせ位置では嵌め合わせまでを行って、外ケース挿入位置を設けて所望の位置まで深く外ケースを押し込んで商品化しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、クランプを水平に開閉したり、クランプを構成する爪の拘束面をV字状にすることにより、両爪の開閉動作によってその内側に形作る平面視正方形の大きさを可変可能に設け、ポケットの中に入れた内ケースを両爪の拘束面で位置決めしたり、外ケースを両爪の拘束面で案内しやすくしてある。従って、多少の成形誤差のある平面視正方形の内外ケースの嵌め合わせを容易に行うことができる。
【0016】
請求項2の発明は、両爪を半開段階よりも開く全開段階可能に設け、全開段階で内ケースをポケットに落下させるので、内ケースをポケットに挿入する際に両爪との干渉を避け、収納しやすくなる。
【0017】
請求項3の発明は、両爪の全開段階でポケットの下部の排出穴からピストンロッドが出入りしてピストンロッドがポケット内の商品を上昇させて排出するものなので、商品をポケットから排出する際に両爪との干渉が避けられ、排出しやすくなる。
【0018】
請求項4の発明は、テーブルの上下にクランプ、開閉ピッチ調整手段、爪位置決め手段を分けて配置してあるので装置の左右寸法を維持したまま装置の高さ寸法をコンパクトにでき、しかも、テーブルにターンテーブルを使用してその外周の所定角度ごとに各種位置とポケットの設置部を設けてあるので、各種位置ごとに所望の作業ができ、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の軸状物用包装装置は図2に示すように、内ケース1を供給する内ケース供給機2、外ケース3を供給する外ケース供給機4、軸状物5を供給する軸状物供給機6、各供給機からの供給物の供給先となる包装機本体7とから構成される。
【0020】
内ケース1は図8に示すように、平面視正方形の底のある筒状の弾性変形可能な縦長の合成樹脂製品であって、ブロー成形品である。外ケース3は、内ケース1の向きを上下逆にしたものであって、外ケース3は内ケース1に被せる関係上、一回り大きく形成してある。内ケース1の外周面と外ケース3の内周面には、嵌め合わせを維持するための凹凸のノッチ22が付いている。より詳しく言えば、内ケース1の隅角部の外周面にはその深さ方向に沿って突起を設け、上下に隣接する突起同士の間を凹22Aとし、一方、外ケース3の隅角部の内周面であってその下部には、凹22Aに嵌まり込む凸22Bを形成してある。
【0021】
また、軸状物5は、商品としての軸状切削工具(ドリル)であって、ドリルの表面には錆び止め用の油を薄く付けてある。内ケース1にドリルが収納されて外ケース3が被さることによって、商品となる。
【0022】
内ケース供給機2は図2に示すように、内ケース1を上向きに開口させて包装機本体7に供給するものである。構造の具体例としては以下の通りである。パーツフィーダーFの送出口の下側に、シュート8を傾斜して配置し、パーツフィーダーFの上を周回する内ケース1を底の方からシュート8に送り出す。シュート8の下側には受入れ箱9を配置し、シュート8に沿って落下する内ケース1の底部を受入れ箱9内に受け入れる。受入れ箱9内に受け入れた内ケース1を傾いたまま機械的に水平に移動させ、その後、機械的に受入れ箱9ごと内ケース1を鉛直に起こし、内ケース1を専用挟持具で挟持し、所定位置に移動させ専用挟持具の挟持を解除し、内ケース1を包装機本体7の所定位置に落下させるものである。
【0023】
包装機本体7は図2、図3、図7に示すように、円盤のテーブル10(ターンテーブル)をその回転軸11を中心に、回転可能に設け、テーブル10の停止位置を等角度おきに6つ定め、モーター等の動力源でテーブル10を間欠的に回転駆動し、停止中に包装作業を行うもので、停止位置のうちの5つを、内ケース保持位置、ドリル挿入位置、外ケース嵌め合わせ位置、外ケース挿入位置、商品排出位置としてある。また、テーブル10の外周側には等角度おきに、内ケース1の下部を収納するポケット12を下に突き出す状態で備え、テーブル10の上部には、ポケット12で支持された内ケース1の上部を掴むクランプ13を、段階的に開閉可能に設け、テーブル10の下方のフレーム14には、クランプ13を開閉する開閉手段15の一部となる上押シリンダ17と、商品排出手段16の一部となる排出シリンダ18をそれぞれ別々の箇所に設けてある。なお、テーブル10の外周には、ポケット12を局部的に嵌め込んで設置する設置部19を切除して形成し、テーブル10にポケット12を固定した状態での外寸を、テーブル10の外寸と遜色ない程度にコンパクト化してある。
【0024】
ポケット12は図1〜図5に示すように、平面視正方形の内周を有する有底筒状のブロックであって、テーブル10にボルト等で固定する。具体的には、ポケット12は外周を、上部に比べて下部を太く形成し、テーブル10の外周にその上部外周を当てつつテーブル10の底面に太い下部上面を当てて位置決めし、テーブル10の上面側から太い下部をボルト等で固定する。また、ポケット12はその深さを内ケース1の2/3の高さ程度としてある。さらにポケット12は、その内周面を平面視正方形としてあるが、その上端部には上に向かうにつれて口径が広がる勾配を付けて、内ケース1や外ケース3を入れやすくしてある。なお、ポケット12の外周面側(回転軸11に対して放射方向)には窓20をあけて、内部に内ケース1が収納されているか否かを確認できるようにしてある。内ケース1が透明であれば、内部に軸状物5が収容されているか否かも確認できる。
【0025】
クランプ13は図1、図3〜図7に示すように水平方向に段階的に開閉するもので、一対の爪21を水平方向に対向して設けると共に、両爪21を対向方向に接近若しくは隔離する開閉手段15を備えている。
【0026】
両爪21はその先部の対向面には、平面視して直角に切除されたV字状の拘束面23を形成し、平面視正方形の対向する二隅を両拘束面23によって形作り、両爪21の開閉動作によって平面視正方形を維持しながら大きさを変更可能に設けてある。そして、両爪21の閉段階では、内ケース1に相当する大きさからなる平面視正方形の対向する二隅を、両拘束面23によって形成し、閉段階より外ケース3の挿入分だけ開いた半開段階では、外ケース3に相当する大きさ(肉厚と挿入用の遊び分を含む)からなる平面視正方形の対向する二隅を、両拘束面23によって形成する。なお、全開段階では、ポケット12の上端の内径に相当する程度、開くものとする。
【0027】
両拘束面23は図1に示すように、平面視して下部に比べて上部を広くした段差形状に形成し、上端部には、上に向かって広くなる勾配の上ガイド24を付け、中間部(上部と下部の境目)には、同様の勾配の下ガイド25を付けてある。その結果、両拘束面23の下部で内ケース1の上端部の直ぐ下側を挟みつつ、両拘束面23の上部と内ケース1の上端部との間に外ケース3を嵌め合わせる嵌合隙間26を形成し、上ガイド24で嵌合隙間26に外ケース3の下端を案内する。つまり、内ケース1の上部を拘束しながら外ケース3を嵌め合わせやすい状況を、両拘束面23の内側に作り出す。また、両爪21を閉段階より外ケース3の挿入分だけ開いた段階で、両拘束面23の下部と内ケース1の間に外ケース3を挿入する挿入隙間27を形成し、下ガイド25で挿入隙間27に外ケース3の下端を案内する。つまり、内ケース1を遊びのある状態で拘束しながら下端部が嵌め合わさった外ケース3を所望深さまで挿入しやすい状況を、両拘束面23の内側に作り出す。
【0028】
開閉手段15は図3〜図6に示すように、テーブル10の上面であって設置部19よりも回転軸11よりの箇所にレール28を両爪21の開閉方向に沿って設け、レール28に沿って移動するスライダー29を各爪21の底面に備え、両爪21の内側から開閉ピッチ30を段階的に調整する開閉ピッチ調整手段31をテーブル10の下方に備え、開閉ピッチ調整手段31で決定した開閉ピッチ30に両爪21をその外側から閉鎖方向に押し込んで位置決めする爪位置決め手段32をテーブル10の上方に備える。
【0029】
開閉ピッチ調整手段31は図3〜図6に示すように、テーブル10にはレール28よりも回転軸11側に二つの抜穴33,34を間隔をあけて形成し、レール28寄りの抜穴33にカムシャフト35を、回転軸11寄りの抜穴34にスライドシャフト36をそれぞれブッシュBを介して昇降可能に貫通して挿入し、カムシャフト35とスライドシャフト36の上下端には両部材を連結する連結片37,38をそれぞれ架設し、カムシャフト35をピストンロッド17Aで上昇する上押シリンダ17を、下側の連結片38の下方に備え、カムシャフト35を下方に押し込む下押スプリング(コイルスプリング)39を、スライドシャフト36の下部に貫通してテーブル10の底面と下側の連結片38の間に介在してある。従って、カムシャフト35には常時、下押スプリング39から降下する作用が働き、上押シリンダ17の上昇力が干渉していない場合には引き下げられた状態でカムシャフト35は位置決めされ、下押スプリング39の力よりも上押シリンダ17の上昇力が勝っている場合には、押し上げられた状態でカムシャフト35は高さ方向を位置決めされる。
【0030】
また、開閉ピッチ調整手段31は図3〜図6に示すように、カムシャフト35の下部をカム部40とし、カム部40には下に向かうにつれて順次太くなる複数段(二段)の大径部41,42をテーパを介して設け、カム部40に接触する一対のカムローラ43を、各爪21の回転軸11よりの部分から垂下するアーム44の下部に対称的に回転可能に止めてある。テーブル10にはアーム44を通す連絡孔55をあけてある。
【0031】
爪位置決め手段32は図3〜図6に示すように、テーブル10の上面であってレール28の延長方向両側にポスト45をそれぞれ起立し、爪21を閉鎖方向に押付けて開閉ピッチ30を決定する閉鎖スプリング(コイルスプリング)46をポスト45と爪21の外側に介在してある。ポスト45と爪21の対向箇所には閉鎖スプリング46の端部を嵌める凹部47を設けてある。閉鎖スプリング46の力はアーム44を介して一対のカムローラ43に伝わるので、一対のカムローラ43がカム部40を挟持する状態は、カムシャフト35の昇降位置に関係なく、維持される。カム部40に二段の大径部41,42があることから、クランプ13は閉段階、半開段階、全開段階の計、三段階で開閉する。
【0032】
商品排出手段16は図3に示すように、テーブル10が停止する商品排出位置の下方に、前述した排出シリンダ18をポケット12の真下に配置すると共に、ポケット12の底には、排出シリンダ18のピストンロッド18Aが出入りする排出穴48をあけてある。
【0033】
外ケース供給機4は図2に示すように、外ケース3を下向きに開口させて外ケース嵌め合わせ位置に供給するもので、内ケース供給機2と同様の構造とし、内ケース1に嵌め合わせる関係上、下向きの外ケース3の上部を専用の挟持具で挟持して、降下するものである。
【0034】
軸状物供給機6は図2に示すように、ドリルを鉛直方向に立てて内ケース1の中に投入するもので、構造の具体例としては、多数本収納されたドリルをベルトコンベヤ49で一本ごと取り出して送り出し、横に寝かした状態のドリルを専用の挟持具で掴み、内ケース1の真上位置まで移動し、専用の挟持具による挟持を解除してドリルを鉛直に立てた状態で内ケース1の中に落下させる。ドリルを一本ごと取り出すために、ベルトコンベヤ49には窪みの付いたジグ50をコンベヤ進行方向に並列して設けてある。ベルトコンベヤ49の真上には、ドリルが多数本収納されたボックス51を配置し、ボックス51の底出口には、掻き出しドラム52を回転可能に設け、掻き出しドラム52が回転しながらボックス51内のドリルを一本ごと掻き出し、掻き出しドラムの周囲に設けた断面円弧状の落下防止ガイド53で落下を防止されつつ、ベルトコンベヤ49表面のジグ50の上に導かれ、最終的にはベルトコンベヤ49の進行に伴って、専用の挟持具のある箇所まで送り出される。
【0035】
なお、ドリルは、同一径のものに限らず、段付きのものであっても良い。この場合、縦横に区画された別のボックス54を横向きに設置し、ボックス54の深さをドリルの半分以上が突出する程度に設定し、自重によってドリルをその先部が下向きに傾斜する状態でボックス54から突出させ、専用の挟持具でドリルを掴みやすくしてある。
【0036】
上述した軸状物用包装装置は以下の手順で包装を行う。まず、図9(イ)に示すように内ケース供給機2から内ケース1が包装機本体7の内ケース保持位置(ポケット12)の真上に導かれ、その真下のクランプ13が全開状態となって、内ケース1がそのまま内ケース供給機2から落下し、ポケット12に嵌まり込む。そして、図9(ロ)に示すようにクランプ13が全閉状態となって内ケース1の上部の周囲を囲み、軽く挟む状態で位置決めする。
【0037】
続いて、テーブル10が二回に分けて120度回転し、ポケット12に嵌まり込んだ内ケース1がドリル挿入位置に移動する。図9(ハ)に示すように軸状物供給機6からは軸状物5(ドリル)が一本、ドリル挿入位置の内ケース1の真上に導かれ、クランプ13が全閉状態となったまま内ケース1の中心に軸状物5が落下し、図9(ニ)に示すように内ケース1の中に軸状物5が収納される。
【0038】
次に、テーブル10を60度回転し、外ケース嵌め合わせ位置に軸状物5が入った内ケース1を移動する。一方、テーブル10が回転している間に、外ケース供給機4から外ケース3が図1(イ)に示すように外ケース嵌め合わせ位置の真上に導かれる。そして、クランプ13を全閉状態としつつ、外ケース3を挟持したまま降下させると、外ケース3の下端部が内ケース1の上端部とは厳密に同心状の関係になくとも、クランプ13の爪21の上ガイド24に外ケース3の下端部が案内されて、図1(ロ)に示すように外ケース3の下端部と内ケース1の上端部が嵌まり合う。その後に図1(ハ)に示すようにクランプ13を半開状態とし、爪21の拘束面23の下部に挿入隙間27を形成して、外ケース3をさらに降下させて内ケース1に嵌め込み、外ケース3と内ケース1をノッチ22(最上位の凹22Aに凸22Bを嵌めること)によって確実に嵌め合わせる。
【0039】
その後、テーブル10を60度回転し、外ケース挿入位置にノッチ22によって嵌まり合った内・外ケース1,3を移動する。そして、図1(ニ)に示すように外ケース3を所望の深さまで降下させて、商品とする。ここで、外ケース3を所望の深さまで降下させるのは、軸状物5の長さが例えば内ケース1から食み出す程度の場合にも対応させるためである。
【0040】
次に、テーブル10を60度回転し、商品を商品排出位置に移動する。そして、クランプ13を全開状態とし、排出シリンダ18を動作させてポケット12の底部から商品を上方に押し上げ、別の専用の挟持具が動作して商品を挟持し、横に移動して商品を離し、包装作業が完了する。なお、テーブル10を更に60度回転することによって、空になったポケット12を内ケース保持位置に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(イ)〜(ニ)図は内ケースと外ケースの一体化手順を示す説明図である。
【図2】包装装置の全体を示す概略図である。
【図3】包装機本体の概要を示す一部切欠正面図である。
【図4】クランプの平面図である。
【図5】ポケットの平面図である。
【図6】(イ)〜(ハ)図は、クランプの閉、半開、全開状態を示す正面図である。
【図7】テーブルに対する各種作業位置を示す説明図である。
【図8】内・外ケースを示す斜視図である。
【図9】(イ)〜(ニ)図は内ケース、軸状物の包装手順を示す説明図である。
【図10】内・外ケースを嵌め合わせる際の位置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1内ケース、2内ケース供給機、3外ケース、4外ケース供給機、5軸状物、6軸状物供給機、7包装機本体、Fパーツフィーダ、8シュート、9受入れ箱、10テーブル、11回転軸、12ポケット、13クランプ、14フレーム、15開閉手段、16商品排出手段、17上押シリンダ、17Aピストンロッド、18排出シリンダ、18Aピストンロッド、19設置部、20窓、21爪、22ノッチ、22A凹、22B凸、23拘束面、24上ガイド、25下ガイド、26嵌合隙間、27挿入隙間、28レール、29スライダー、30開閉ピッチ、31開閉ピッチ調整手段、32爪位置決め手段、33抜穴、34抜穴、35カムシャフト、36スライドシャフト、37連結片、38連結片、39下押スプリング、40カム部、41大径部、42大径部、43カムローラ、44アーム、45ポスト、46閉鎖スプリング、47凹部、48排出穴、49ベルトコンベヤ、50ジグ、51ボックス、52掻き出しドラム、53落下防止ガイド、54ボックス、55連絡孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視正方形で底のある縦長の弾性変形可能な内ケース(1)を上向きに開口させて供給する内ケース供給機(2)と、内ケース(1)と同様形状かつ同特性でその外側に嵌め込む外ケース(3)を下向きに開口させて供給する外ケース供給機(4)と、軸状物(5)を鉛直に立てて供給する軸状物供給機(6)と、各供給機からの供給物の供給先となる包装機本体(7)とから構成され、包装機本体(7)では、内ケース(1)を保持しつつ内部に軸状物(5)を投入してから外ケース(3)を降下して被せる軸状物用包装装置であって、
包装機本体(7)は、テーブル(10)には、内ケース(1)の下部を収めるポケット(12)を備えると共に、内ケース(1)の上部を挟持するクランプ(13)を段階的に水平方向に開閉可能に設け、
クランプ(13)は、一対の爪(21)を水平方向に対向して設けると共に、両爪(21)を対向方向に接近若しくは隔離する開閉手段(15)を備え、各爪(21)の対向面には、平面視して直角に切除されたV字状の拘束面(23)を形成し、両爪(21)の内側に平面視正方形の対向する二隅を形作り、両爪(21)の開閉動作によってその内側に形作る平面視正方形の大きさを可変可能に設け、
両爪(21)の拘束面(23)を、下部に比べて上部を広くした段差形状に形成し、拘束面(23)の上端部には上に向かって広くなる勾配の上ガイド(24)を付け、拘束面(23)の上部と下部の境目には下に向かって狭くなる勾配の下ガイド(25)を付け、
両爪(21)の閉段階で、拘束面(23)の下部で内ケース(1)を挟持すると共に、上ガイド(24)を機能させつつ、拘束面(23)の上部には外ケース(3)を嵌め合わせる嵌合隙間(26)を内ケース(1)との間に形成し、
閉段階よりも両爪(21)を外ケース(3)の肉厚分開いた半開段階で、拘束面(23)の下部には外ケース(3)を挿入する挿入隙間(27)を内ケース(1)との間に形成し、下ガイド(25)を機能させることを特徴とする軸状物用包装装置。
【請求項2】
両爪(21)を半開段階よりも開く全開段階可能に設け、全開段階で内ケース(1)をポケット(12)に落下させることを特徴とする請求項1記載の軸状物用包装装置。
【請求項3】
ポケット(12)の下部には排出穴(48)をあけ、排出穴(48)の下方には、排出穴(48)にピストンロッド(18A)が出入りする排出シリンダ(18)を設け、両爪(21)を半開段階よりも開く全開段階可能に設け、全開段階でピストンロッド(18A)がポケット(12)内の商品を上昇させて排出することを特徴とする請求項1記載の軸状物用包装装置。
【請求項4】
テーブル(10)は、円盤の中心に回転軸(11)を有するターンテーブルであって、その外周の所定角度ごとに内ケース保持位置、ドリル投入位置、外ケース嵌め合わせ位置、商品排出位置を設けると共に、各位置の上面にクランプ(13)を配置し、且つ各位置にポケット(12)を設置する設置部(19)を設け、
開閉手段(15)は、テーブル(10)の上面であって設置部(19)よりも回転軸(11)よりの箇所にレール(28)を両爪(21)の開閉方向に沿って設け、レール(28)に沿って移動するスライダー(29)を各爪(21)の底面に備え、両爪(21)の内側から開閉ピッチ(30)を段階的に調整する開閉ピッチ調整手段(31)をテーブル(10)の下方に備え、開閉ピッチ調整手段(31)で決定した開閉ピッチ(30)に両爪(21)をその外側から閉鎖方向に押し込んで位置決めする爪位置決め手段(32)をテーブル(10)の上方に備えることを特徴とする請求項1、2又は3記載の軸状物用包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−195441(P2008−195441A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34866(P2007−34866)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(592152266)株式会社KEC (9)
【出願人】(507050746)株式会社富山技販 (1)
【Fターム(参考)】