説明

軸組材の円筒状接合金具

【課題】 所謂熔接鋼管より成るものと較べ、安価でしかも耐久性に支障のない、軸組材の円筒状接合金具を提供する。
【解決手段】 互いに接合する一方の軸組材17に嵌入する一端部と、他方の軸組材20に嵌入する他端部に、各軸組材17,20を通じて嵌挿するドリフトピン14の貫通孔13を設けた筒状体で構成する。該筒状体を、金属板10を屈曲して、長手方向に沿う一端に並べて突設した方形状の突出部片11を他端に並べて凹設した切欠12に嵌入させて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、梁と柱とを接合するために用いる木造建物における軸組材同士を接合するために用いる円筒状接合金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
互いに接合する一方の軸組材に嵌入する一端部と、他方の軸組材に嵌入する他端部に、前記軸組材を通じて貫挿するピンの貫挿孔を設けた、軸組材の円筒状接合金具は公知である(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−13503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記接合金具は、所謂熔接鋼管で構成し、該熔接鋼管は接合金具の長手方向(軸線方向)に沿う両端を熔接して得るため、熔接にコストがかかる。そのため、熔接を省略した、すなわち、長手方向に沿う両端を単に当接したままの円筒体が接合金具として適用することも提案されたが、外力が長手方向に不均一に負荷されると、両端の合わせ目(当接端部)が長手方向に沿ってずれ、その結果、該接合金具に組付けたピンが屈曲して、軸組材(木材)への不均等なめり込み力が生じ、該軸組材が割裂することがあり、実用性に欠ける点が認められた。
【0005】
本発明は、無熔接で形成した、従来の円筒状接合金具の、斯様な欠点を除去し、熔接したものと較べ安価な製品を得ることを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
互いに接合する一方の軸組材に嵌入する一端部と、他方の軸組材に嵌入する他端部に、該軸組材を通じて嵌挿するピン或いはボルトの貫挿孔を設けた筒状体で成り、該筒状体を、金属板を屈曲して、長手方向に沿う一端に並べて突設した方形状の突出部片を他端に並べて凹設した切欠に嵌入させて構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、突出部片と切欠とが係合し合って長手方向に沿う両端が互いに組合わされているから、長手方向に外力が作用しても、長手方向に沿ってずれることがなく、軸組材同士の接合状態を確実に保持し、安価にして実用的なほぞ機能を備えた接合金具を提供できる。
【実施例】
【0008】
図面は本発明に係る、軸組材の円筒状接合金具の一実施例を示し、図1は正面図、図2は平面図、図3は使用状態を示す断面図である。
【0009】
図中、Aは本発明に係る円筒状接合金具で、接合金具Aは、プレス成形したほぼ長方形状の金属板10を折り曲げ加工して得たもので、プレス成形した前記金属板10の長手方向に沿う一端10aに、方形状の突出部片11と、該突出部片11と同形の切欠12を長手方向に沿わせて互い違いに並設し、前記一端1aに対応する他の一端10bには、前記一端10aに設けた突出部片11と対応させて該突出部片11と同形な切欠12と、前記一端10aに設けた切欠12と対応させて該切欠12と同形な突出部片11を互い違い(交互)に並設し、金属板10を折り曲げ操作時に一端10a側の突出部片11を他端1b側の切欠12に、他端10b側の突出部片11を一端1a側の切欠12にそれぞれ係合させて一端10aと他端10bを当接位置に配するようにして円筒状接合金具Aとしたものである
この接合金具Aは両端部に挿通孔13を設けてピン14を貫挿するようにしてあり、この挿通孔13は前記金属板10のプレス成形時に長手方向に対して直交する方向に長い長孔を設け、金属板10の折り曲げ加工に際して前記ピン14が嵌挿する円形変形加工して得たものである。
【0010】
実施例では、挿通孔13は両端部に一つずつ設けてあるが、必要に応じて3個以上設けても不都合はなく、突出部片11と切欠12同士は互いに同形の方形状にしてあるが、突出部片11同士(従って、切欠12同士でも)大きさが変っても必ずしも不都合ではない。
【0011】
そして、図3は本接合金具Aをほぞ材として用いて柱17と胴差し20を接合した状態を示す。すなわち、柱17の上端面に設けた挿入孔18に接合金具Aの一端側を挿入して、該一端側の挿通孔13と柱17に設けた貫通孔19を一致させこれらにピン14(ドリフトピン)を嵌挿して接合金具Aを柱17に止着し、柱17より突出する接合金具Aの他端を胴差し20に設けた挿入穴18´に挿入し、該他端に設けた挿入孔13と、これに一致する、前記胴差し20に設けた貫通孔19にボルト14´を嵌挿して胴差し20に止着し、柱17と胴差し20を接合したものである。
【0012】
本接合金具Aは、図3で示す軸組材の組合わせ以外にも適用できる。
【0013】
なお、図3の胴差し20には梁23を接合金具24を用いて接合してある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】正面図。
【図2】平面図。
【図3】使用状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0015】
10 金属板
11 突出部片
12 切欠
13 貫通孔
17,20 軸組材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合する一方の軸組材に嵌入する一端部と、他方の軸組材に嵌入する他端部に、該軸組材を通じて嵌挿するピン或いはボルトの貫挿孔を設けた筒状体で成り、該筒状体を、金属板を屈曲して、長手方向に沿う一端に並べて突設した方形状の突出部片を他端に並べて凹設した切欠に嵌入させて構成した、軸組材の円筒状接合金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−228259(P2009−228259A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73463(P2008−73463)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(591027499)株式会社カネシン (49)
【Fターム(参考)】