説明

輪郭を記録しそして転写するための装置

本発明は、第一及び第二の表面を有する透明なポリマーシート(1)を含む、ヒトの組織中の創傷又は開口部の輪郭を記録し、そして転写するための装置に関し、ここで、該第一の表面は創傷又は開口部に面し、第二の表面は中心部分及び縁部分を含み、ここで、該縁部分は接着層(3)を備える。該装置は、創傷又は開口部の上に置かれ、そして輪郭(2)が装置の中心部分の上にトレースされ、そして装置は裏返され、そして器具へ移され、そして開口がトレースされた輪郭から切断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具のための装置に関する。
【0002】
多くの胃腸管の病気のための手術に関して、多くの場合、結腸、回腸又は尿道が手術により露出され、そして患者は腸壁開口のままでおかれ、そしてこれらの器官中を流される体内の流出物又は排出物が人口のオリフィス又は開口部から排出され、そして通常は瘻孔に適合した入り口開口部を有する接着ウエハー(wafer)又はプレートによって皮膚に接着された収集バッグ中に集められる。フィステルに関しても、患者はかかる開口部から出てくる体内物質を集めるために器具に依存しなければならないだろう。
【0003】
瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具のウエハーは、使用者の多くの異なるニーズに合うために、さまざまな異なる標準的な形状、サイズ及び構成で製造される。これらの標準的な製品が平均的な使用者のニーズに合うとしても、それらは任意の特別な個人のニーズに理想的に合うものではない。ほとんどの場合、使用者は、使用前に、彼又は彼女の体の構造又はライフスタイルに適するように製品を適合させなければならない。実施可能な典型的な改変は、組織内の創傷又は開口部をウエハーに受けるためにウエハー中に開口を切開することを含む。瘻孔のための開口は同じ患者については実質的に同じであり、したがって、多くのウエハーがこの特定の患者のために特注で製造された開口を提供されることができるが、創傷又はフィステルは輪郭及びサイズを経時的に変化させ、そしてしたがって、新しい特注の開口が各器具のために作られなければならない。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
創傷のサイズ及び形状を記録する方法は周知である。
【0005】
ヨーロッパ特許出願第EP730845号においては、創傷表面を測定するための装置が開示される。該装置は2枚の多層構造のシートを提供するために折りたたまれる透明のシートの形態である。ミシン目がシートを互いに分離することができる。二重の層が創傷の上に置かれ;創傷の輪郭が上の層の上にマーキング装置で印を付けられる。そして、創傷に面し、創傷からの浸出液を塗りつけられた第二の層がミシン目に沿って切られて取り除かれる。印を付けたシートは患者のファイルに保管される。
【0006】
米国特許第5,265,605号は、第二の透明シートに接着された第一の透明シートの形態の創傷評価ツールを開示する。組み合わされたシートは創傷の上に置かれ、創傷の輪郭が上部のシート上に印を付けられ、そして下のシートが除去されて捨てられ、創傷の描画を有する上のシートは記録のために患者のファイルに保管される。
【0007】
ヨーロッパ特許出願第EP640332号は、パッケージ中の創傷包帯を開示し、ここで、該パッケージは、創傷評価ツールとして使用されることができる。パッケージの1つの側面は、創傷からの浸出液に対する保護層として、一方、他の層は創傷のサイズの記録のための役割をはたす。保護層は使用後に捨てられ、そして記録層はファイルのために保管される。
【0008】
上記の参考文献のいずれも創傷の像を器具に転写させるものではなく、反対に、それらがこの目的のために使用される場合には、鏡像が器具上で発生し、これはこの目的のために使用可能ではない。
【0009】
特注の開口を瘻孔器具内に準備する方法も知られている。ヨーロッパ特許第EP1124516号は、特注の瘻孔器具の製造方法であって、以下のステップ:患者の瘻孔の外側輪郭を測定し;該測定に関する情報を記録し、そして該記録された情報を電子形態に変換し;そして、上記器具の接着ウエハーに接着させる材料上にカッティングガイドパターンを印刷するために該情報を利用する、を含む。上記方法は、多数の同一の開口が望まれる場合にのみ適用可能である。
【0010】
したがって、組織中の創傷又は開口部の像を記録し、そして瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具に転写するための装置がなお必要とされている。
【発明の開示】
【0011】
発明の要約
創傷または開口部の輪郭のトレース及び器具へのトレース図の転写が可能であることが本発明の目的である。
【0012】
創傷又は開口部の像をトレースし、そして転写する方法を提供することは本発明のさらなる目的である。
【0013】
創傷又は開口部を受容するための特注の開口を有する器具を提供することも本発明のさらなる目的である。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、第一及び第二の表面を有する透明なポリマーシートを含む、ヒトの組織中の創傷又は開口部の輪郭を記録するための装置に関し、ここで、該第一の表面は創傷又は開口部に面し、第二の表面は中心部分及び縁部分を含み、ここで、該縁部分は接着層を備えている。
【0015】
描画に好適、とは、スピードマーカー、鉛筆、ボールペン又は他の描画ツールでそこへ描画することの可能な表面を意味する。テフロン(登録商標)のようなコーティングなどのいくつかの表面は、いかなる種類の描画ツールもはじき、インクがかすれるかも知れず、かかる表面は描画には適さないだろう。
【0016】
組織中の創傷又は開口部のサイズ及び形状を記録するための装置はしばしば不利益を有し、創傷又は開口部の上に透明シートを置くことによってサイズが記録され、創傷又は開口部の輪郭をトレースし、そしてシートを収集バッグの接着ウエハーの皮膚に面する表面上にのせる。しかしながら、そうすると、転写された像は、ウエハー上で鏡像となる。造孔術による開口部については、これは些細な問題であり、それは、これらが実質的に円形又は対称であるためだが、創傷又はフィステルの取り扱いにおいては、輪郭がかなり非対称で変則的であり、したがって、鏡像は全く適合しない。
【0017】
この鏡像を回避するための方法は、創傷の輪郭を透明シート状にトレースし、シートを輪郭に沿って切断し、シートを裏返してそれをウエハー上に鏡像を描画するための鋳型として用い、そしてウエハーを切断するというものである。しかしながら、この方法は面倒で不正確であるかもしれない。
【0018】
創傷又は開口部の輪郭の記録は、皮膚に面しないウエハーの表面に転写されることができ、こうして鏡像の問題が回避される。しかしながら、ウエハーのこの表面は通常、結合手段及び/又は収集バッグにより占められ、したがってこの用途には非常に不適である。
【0019】
創傷又はフィステルの処置においては、器具のウエハーが創傷又は開口部の周囲に正確にフィットすることが重要である。開口が大きすぎれば、創傷又は開口部からの流出液は周囲の健康な皮膚を浸漬し、したがって、皮膚の浸軟、さらに、創傷の洗浄/清浄化の間に洗浄液も皮膚を損傷するかもしれない。したがって、創傷又は開口部の周囲にぴったり合っていることが重要である。
【0020】
驚くべきことに、本発明の装置を用いることによって、創傷又は開口部の正確な記録が得られ、そして器具の接着ウエハーに転写されることができるということが示された。
【0021】
本発明は、記録された輪郭が、再びはがされることなく直接切断に使用されることができるため、患者から製品へ創傷の輪郭を転写する正確性を向上させる。
【0022】
さらに、本発明は作業を単純化し、使用者が創傷又は開口部の輪郭を患者から器具へ転写することをより容易にする。
【0023】
本発明は、ラベル又はプリントをアプリケーションの裏面に適用することを不要とし、それは、すべての必要な記載は、本発明の装置をアプリケーションに結合させることによって、アプリケーションに適用可能だからである。
【0024】
創傷に面していない第二の表面は、創傷又は開口部の輪郭をトレースすることによって、その上に印を付けられるのに適合されている。トレースのためには、マーキングペン又は他の好適な装置が使用されてよい。好ましくは、中心部は非接着性である。
【0025】
シートの間違った使用を避けるため、創傷に面する表面は、その上に印を付けられることを困難又は不可能とするコーティングの形態などの性質を備えてよい。かかるコーティングは、シリコン、テフロン(登録商標)などの形態であってよい。或いは、シートはラミネートの形態であってよく、第二の表面の材料はインクなどをはじくための固有の性質を有する。使用者は、マーキングペンが間違った位置で使用された場合、マーキングペンはコーティングされた表面上に描画できないこと、そしてしたがって、使用者は正しい位置にそれを裏返し、そしてトレースを続行することができることに気づくだろう。
【0026】
接着層は、接着性及び非接着性の領域が模様をなす形態、又は均一なコーティングの形態であってもよい。輪郭の切断又は転写の間の接着剤の機能が接着ウエハーに固定されたシートを保持することであるため、接着剤の量及び分布は、シートをウエハーに固定する機能が存在する限り、いかなる特定の形態にも制限されない。接着層は、例えば、接着剤の分離した又は結合した点又は線であってよい。接着ウエハーの皮膚に面した表面は、典型的には、体の部分に適用される前に取り外される、シリコン処理した紙などの保護のための剥離用裏地を提供されることができる。本発明の装置は、切断前はこの剥離用裏地に結合されてよい。
【0027】
切断後、接着ウエハー上の剥離用裏地は本発明の装置とともに除去され、患者の創傷状態の病歴の資料として保存されることができる。
【0028】
本発明の1つの実施態様において、接着剤は、低接着性の接着剤、すなわち数回貼付及び取り外し可能な「ポストイット」接着剤の形態であってよい。これは、補正のためにシートを再配置し、切断後にシートをウエハーからはがして患者の記録に保存する可能性を広げた。記録の保存は、ウエハーの剥離用裏地をはがし、シートを持っていってこのラミネートをファイルに保存することによっても達成されてよい。
【0029】
シート、特に中心部分はその上に、使用者が創傷の輪郭を決定することを可能とする印を有することが好ましい。印は、グリッド又は的又は好適な他の種類のマーキングであってよく、使用者がシートの位置を補正し、そして創傷又は開口部の輪郭の正確なトレースをすることを助ける。
【0030】
シートは任意の好適な透明の材料から調製されることができる。該材料を通して創傷の輪郭を見るために、それは、一定の透明性又は半透明性を備えていなければならない。ここで使用される「透明」は、創傷又は開口部の輪郭をシートを通して見てトレース可能とするに十分な半透明性を有すると解釈されるべきである。したがって、わずかに半透明の材料も使用されてよい。シートは腹部、仙骨、腕又は脚などの体の曲がった部分に適用されるかもしれないため、シートの一定のフレキシビリティも望ましい。シートは、好ましくはポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリエステル、ポリスチレン及びアセテートから成る群から選ばれる透明のポリマーから調製される。
【0031】
第二の表面の接着層は、少なくとも1つの剥離用裏地で保護されてよい。剥離用裏地は、接着層を覆ってよいが、シートの中心部分を覆ってはならず、それは、これがマーキング工程を妨害するであろうからである。本発明の好ましい実施態様においては、装置は少なくとも2つの剥離用裏地、除去されたときに接着層の小さな領域を露出させる第一の裏地、及び接着層の残りの表面を覆う第二の裏地を含む。第一の裏地が最初に除去され、シートが接着ウエハーに位置決めされることができる。正しい位置決めが達成された場合、接着剤はその位置を保持し、そして第二の裏地が除去され、そして装置がウエハーに接着される。
【0032】
したがって、第一の剥離用裏地が接着層の小さな領域のみを露出させるために存在してよい。これは、使用者が装置のウエハー上への正しい位置決めを達成することをより容易にするために行われる。
【0033】
本発明の1つの実施態様においては、本発明の第二の表面全体に接着剤コーティングが提供されるが、中心部分は、描画に好適な非接着性の透明な層をさらに備える。非接着性の透明層は、第二の層の接着性表面全体を覆ってよいが、この非接着性透明層の中心部分及び縁部分は、例えば、2つの部分を分離するラインをキスカットするなどによって分離されてよい。縁部分を覆う非接着性透明層部分は、こうして接着剤のための保護用剥離用裏地としての役割を果たすが、前記層の中心部分は、描画のために使用されてよい。本発明のこの実施態様は、装置の容易な製造を促進する。
【0034】
第一の表面には、透明な保護層が提供される。保護層は、創傷又は開口部からの浸出液によって汚れることからシートを保護する役割を果たし、そして創傷又は開口部のマーキングの間使用され、そして除去されて、装置をウエハーに適用する前に捨てられる。保護層は、別個の層の形態であってよく、又はシートに付着されてよい。付着は、縁部分に沿った接着剤又は溶接の形態、或いは折りたたまれ、そして好ましくは2つの層を分離するための引き裂きラインを提供されたシートの延長の形態であってよい。本発明の1つの実施態様においては、保護層は接着剤を塗布されないが、食品保存用ラップなどの該材料の固有の接着性を利用して接着される。保護層は、実質的に本発明の装置と同じサイズであるか又はより大きくてよい。
【0035】
本発明はさらに、以下のステップ:
a)第一及び第二の表面を有する透明ポリマーシートで創傷又は開口部を覆い、ここで、該第一の表面は上記創傷又は開口部に面し、そして、該第二の表面は中心部分及び縁部分を有し、ここで、該縁部分は接着層を備え;
b)上記創傷又は開口部の輪郭を上記シートの第二の表面の中心部分上にトレースし;
c)上記シートを上記創傷又は開口部からはがし;
d)上記シートの第二の表面の接着層を、瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具の接着ウエハーの皮膚に面した表面に付着させ;
e)創傷又は開口部を受容するために、上記接着ウエハー内の開口を切断する、
を含む、ヒトの組織中の創傷又は開口部の輪郭を記録する方法に関する。
【0036】
ウエハーが切断されたら、本発明のポリマーシートはウエハーからはがされ、そして患者ファイル用に保存されてよい。本発明の1つの実施態様においては、シートは接着ウエハーの剥離用裏地とともに除去される。
【0037】
好ましくは、シートが汚れることを防ぐために、創傷と透明シートの間に透明の保護層が設置される。保護層は、本発明の装置の一部であってよく、又は別個の層であってもよい。
【0038】
本発明はさらに、瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具並びに第一及び第二の表面を有する透明ポリマーシートを含むキットに関し、ここで、該第一の表面は創傷又は開口部に面し、そして第二の表面は中心部分と縁部分を有し、ここで該縁部分は接着層を備える。
【0039】
中心部分は、創傷又は開口部のマーキングを容易にするために非接着性であることが好ましい。
【0040】
接着層は、接着性及び非接着性領域が模様をなす形態であってよい。
【0041】
中心部分は、使用者が創傷の輪郭を決定することを可能とする印をその上に有することが好ましい。印は、グリッド又は的などの印刷された模様であってよい。
【0042】
透明ポリマーは、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリエステル、ポリスチレン、及びアセテートから成る群から選ばれることが好ましい。
【0043】
接着層は、少なくとも1つの剥離用裏地で保護されてよい。
【0044】
キットはさらに、シートの第一の表面と創傷又は開口部の間に設置するための透明な保護層を同封してよい。保護層は、透明のカバー又はフィルムの形態であってよく、それは創傷又は開口部からのいかなる浸出液もポリマーシートと接触することを防ぐために、患者の上に置かれる。これによって、製品が衛生的な状態に保存される。
【0045】
創傷又は開口部のサイズをトレースするために本発明のキットを用いることによって、該作業は使用者のために容易化され、そしてマーキングの転写の正確性が向上されるだろう。
【0046】
創傷又は開口部の輪郭が透明ポリマーシート上に印をつけられた場合、該シートは切断領域の情報及び創傷のサイズを示す1枚の資料を構成する。
【0047】
創傷の輪郭をトレースするときに使用者が装置をさかさまにひっくり返すことをさけるために、シートの第一の表面には、その上に描画する前に使用者にどちらの側が上を向くかを説明する記述又は図が提供されてよい。さらに、シートの第一の表面は、表面がマーキングツールをはじくようにシリコン処理されるか又は他の方法で処理されてよい。それぞれの表面に異なる性質を有するラミネート材料を用いることによって、同じ材料特性が得られることができる。こうして、使用者がシートの間違った側に創傷又は開口部の輪郭をトレースすることが予防されることができる。
【0048】
本発明の装置はさらに、切断されるべき又は切断されるべきでない境界、創傷の幅及び長さを測定するためのグリッド、患者のイニシャルを記載するための印を付けたスペース、処置の日付等について使用者に知らせる記述又は図を提供されてよい。
【0049】
本発明の装置の第二の表面の中心部分は、万年筆、墨又は容易に擦り取られることのできないマーキングペンでその上に描画されることのできる透明又は半透明のフィルム材料から製造される。
【0050】
フレキシブルな透明シートのこの第二の表面は、中心の非接着性部分及び周辺の接着性部分を備えることが好ましい。
【0051】
中心の非接着性部分は、剥離用裏地によっておおわれないことが好ましい。接着性部分は、使用者がマーキングするかもしれない表面の部分を覆わない、少なくとも1つの剥離用裏地で覆われることが好ましい。
【0052】
皮膚に面するウエハーの表面上に透明ポリマーシートを付着させた後、使用者は横方向に反転したマーキングを、直接シートを通してはさみ又はナイフなどで切断してよい。
【0053】
これらの手段の使用は、作業を容易化し、そして創傷又は開口部の描画を瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用ウエハーに転写する正確性を向上させるであろう。
【0054】
これらの手段の使用は、必要な記載が二次的にアプリケーション上に適用可能である、任意のラベルまたは印刷物をアプリケーションに適用することを不要とするだろう。開口が記録された輪郭から直接切断され、輪郭はラベル上に再描画又は転写されていないため、不正確であることのリスクは減少する。もちろん、本発明の装置上に輪郭を記録し、シート中の開口を切り取り、それを正しい向きでウエハー上に置き、切り取られたものをウエハー上に輪郭を再描画するための鋳型として使用し、装置を取り除いて再描画された輪郭にそってウエハーを切断することも可能である。しかしながら、該方法は不必要に面倒で、描画の正確性が低下するかもしれない。
【0055】
瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具の接着ウエハーは、それ自体がその目的のための知られた任意の適切な皮膚にやさしい材料から作られ、かつそれ自体が知られた皮膜も含んでよい。皮膚にやさしい接着剤は、それ自体が知られた任意の皮膚にやさしい接着剤、例えば、ハイドロコロイド又は使用時間を延長するための他の吸湿成分を含む接着剤であってよい。器具は、収集バッグ又は蓋などを取付けるための取付け手段を備えてよく、そしてそれ自体が、適合したカップリングリング又は適合したフランジ及び接着性表面を含む知られた系であってよい。
【0056】
器具はそれ自体が知られた好適な慣用の収集バッグを含んでよい。
【0057】
フィステルまたは創傷の輪郭をトレースするための請求項1に記載の装置の使用にも関する。本発明はさらに、瘻孔の輪郭をトレースするための請求項1に記載の装置の使用にも関する。
【0058】
好ましい実施態様の説明
本発明は、ここに、本発明の好ましい実施態様を示す図面を参照することによってより詳細に説明される。
【0059】
図1には、本発明の好ましい実施態様が示される。装置は創傷に面する第一の表面及び第二の表面を有するポリマーシートを含む。第二の表面は、的を有するグリッドの形態の、創傷又は開口部の登録を助けるための印を有する、中心の透明部分(1)及び装置の向きが妥当であることを保証する印(2)を備える。さらに、表面は、装置を器具に固定するための接着性の縁(3)を備える。縁部分は、透明である必要はなく、この部分が透明かそうでないかは重要でない。接着層は、大きな剥離用裏地(4)および小さな剥離用裏地(5)により保護される。小さな剥離用裏地(5)が除去されたら、露出された接着剤はシートを正しく位置づけするために使用される。位置が妥当である場合、大きな剥離用裏地(4)が除去され、そして装置の接着層の残りがアプリケーションに接着される。
【0060】
図2では、創傷の輪郭のトレーシングが示される。創傷は、衛生管理のためおよび本発明の装置上への浸出液を防ぐための透明な保護層(1)で覆われる。本発明の装置(2)は、接着性の縁(3)を含む表面が創傷に面さずに創傷又は開口部上に置かれる。輪郭は、装置(2)の中心部分上にマーキングペン(4)でトレースされる。
【0061】
そして、装置は患者から取りはずされ、保護層は捨てられ、そして装置が裏返されて、小さな剥離用裏地(4)が除去され、そして装置は器具の皮膚に面した表面上に配置され(図3)、露出された接着領域が装置を器具に固定する。そして、大きな剥離用裏地(5)が除去され、そして装置が創傷又は開口部の鏡像を示しながら器具に接着される。最後に、創傷又は開口部を受けるための器具の接着ウエハー中に開口を提供するために、組み合わされた器具及び装置が切断される。(図4)したがって、切断は、創傷又は開口部から直接描画された線に沿って行われ、描画は転写されそして再描画されてはいない。このやり方で、切断の正確性が向上し、そして創傷又は開口部へのぴったりしたフィットが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明は、図面を参照することによってより詳細に開示される。
【図1】図1は、皮膚に面しない側から見た本発明の好ましい実施態様を示す。
【図2】図2は、本発明の装置上への創傷又は開口部のトレーシングを示す。
【図3】図3は、器具への本発明の装置の貼付を示す。
【図4】図4は、重ね合わせた器具と装置の切断を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の表面を有する透明なポリマーシートを含む、ヒトの組織中の創傷又は開口部の輪郭を記録するための装置であって、ここで、前記第一の表面は創傷又は開口部に面し、そして、前記第二の表面は中心部分及び縁部分を含み、ここで、該縁部分は接着層を備えている、前記装置。
【請求項2】
前記中心部分が非接着性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中心部分が描画に好適である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記縁部分上の前記接着層が、接着性及び非接着性領域の模様の形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記中心部分が、使用者が創傷の輪郭を決定することを可能とする印をその上に有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記透明ポリマーが、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリエステル、ポリスチレン及びアセテートから成る群から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記接着層が少なくとも1つの剥離用裏地で保護される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第一の表面が透明な保護層を備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
ヒトの組織中の創傷又は開口部の輪郭を記録しそして転写するための方法であって、以下のステップ:
a)第一及び第二の表面を有する透明ポリマーシートで前記創傷又は開口部を覆い、ここで、該第一の表面は前記創傷又は開口部に面し、そして、該第二の表面は中心部分及び縁部分を有し、ここで、該縁部分は接着層を備え;
b)前記創傷又は開口部の輪郭を前記シートの前記第二の表面の中心部分上にトレースし;
c)前記シートを前記創傷又は開口部からはがし;
d)前記シートの前記第二の表面の接着層を、瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具の接着ウエハーの皮膚に面した表面に付着させ;
e)前記創傷又は開口部を受容するために、前記接着ウエハー内で開口を切断する、
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記透明ポリマーシートが、切断後に前記ウエハーから除去され、そして患者の記録のために保存される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記創傷及び前記透明シートの間に透明な保護層が置かれる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
前記透明な保護シートが、前記透明ポリマーシートの前記第一の表面に付着される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
瘻孔、フィステル、創傷又は排液部位の処置用の器具並びに第一及び第二の表面を有する透明ポリマーシートを含むキットであって、ここで、前記第一の表面は前記創傷又は開口部に面し、そして前記第二の表面は中心部分と縁部分を有し、ここで該縁部分は接着層を備えている、前記キット。
【請求項14】
前記透明ポリマーシートが、皮膚に面する表面上に透明な保護層を備えている、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記中心部分が非接着性である、請求項13又は14に記載のキット。
【請求項16】
前記接着層が、接着性及び非接着性の領域の模様の形態である、請求項13〜15のいずれか1項に記載のキット。
【請求項17】
前記中心部分が、使用者が創傷の輪郭を決定することを可能とする印をその上に有する、請求項13〜16のいずれか1項に記載のキット。
【請求項18】
前記透明ポリマーが、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリエステル、ポリスチレン及びアセテートから成る群から選ばれる、請求項13〜17のいずれか1項に記載のキット。
【請求項19】
前記接着層が少なくとも1つの剥離用裏地で保護されている、請求項13〜18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
フィステル又は創傷の輪郭をトレースするための、請求項1に記載の装置の使用。
【請求項21】
瘻孔の輪郭をトレースするための、請求項1に記載の装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−545456(P2008−545456A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511563(P2008−511563)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000277
【国際公開番号】WO2006/122565
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】