説明

農作業機

【課題】圃場表面に土塊がそのまま残るようなことがなく、圃場表面に所望の泥水層を効率的に形成できる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体7とを備える。整地体7は、第1整地板11と、第2整地板12とを有する。第2整地板12は、水平姿勢で整地作業をする左右方向長手状の整地本体板部21を有する。整地本体板部21の後端部には、この整地本体板部21の下面より下方に突出する複数の突出部22を左右方向に沿って互いに間隔をおいて並設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘体と整地体とを備える代掻き機等の農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、この整地体は、第1整地板と第2整地板とを有している。そして、第2整地板の後端部には上方に突出する中空の凸部が設けられ、この凸部は、前後方向に延びる第1側板部と、この第1側板部よりも第2整地板の中央部側に位置して前後方向に延びる第2側板部と、第1側板部および第2側板部の上端部間を接続する天板部とを有し、この天板部が第2側板部側が第1側板部側より高くなるように傾いている。
【特許文献1】特開2007−222130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば強粘土等、砕土されにくい土質の場合には、整地体で整地作業をしても、圃場表面に土塊がそのまま残るおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、例えば強粘土等、砕土されにくい土質の圃場であっても圃場表面に土塊がそのまま残るようなことがなく、圃場表面に所望の泥水層を効率的に形成できる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、左右方向に長手方向を有する略板状に形成され、水平姿勢で整地作業をする整地本体板部と、この整地本体板部の後端部に左右方向に沿って互いに間隔をおいて並設され、前記整地本体板部の下面より下方に突出する複数の突出部とを有するものである。
【0007】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、整地体は、整地本体板部の後端部のうち隣り合う突出部間の部分に形成され、後方に向って開口する複数の切欠部を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、複数の突出部によって圃場表面の土塊を効果的につぶすことができるため、例えば強粘土等、砕土されにくい土質の圃場であっても圃場表面に土塊がそのまま残るようなことがなく、圃場表面に所望の泥水層を効率的に形成できる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、複数の切欠部から泥水を流出させることにより、圃場表面に所望の泥水層をより一層効率的に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1において、1は農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結して使用する代掻き機である。そして、農作業機1は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により水田等の圃場を前方(図中、矢印方向)に移動しながら代掻き作業をする。
【0012】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体2を備えている。機体2の左右両側に位置するチェーンケース部3およびブラケット部4間には、図示しない入力軸に接続された動力伝達手段から動力を受けて所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘ロータリ等の耕耘体(図示せず)が回転可能に設けられている。耕耘体は、左右方向長手状の耕耘軸およびこの耕耘軸に放射状に設けられた複数の耕耘爪を有している。
【0013】
また、機体2は耕耘体の上方部を覆う上に凸の略円弧板状の耕耘カバー部5を有し、この耕耘カバー部5の後端部には、耕耘体の後方で圃場表面に追従するように上下方向に回動しながら整地作業つまり圃場表面を均平にならす作業をする整地体7が弾性板であるゴム板8を介して上下方向に回動可能に設けられている。
【0014】
整地体7は、耕耘カバー部5の後端部に前端部がゴム板8を介して回動可能に連結され前端側を中心として上下方向に回動可能な略板状の第1整地板(均平板)11と、第1整地板11の後端部に前端部が左右方向の軸(図示せず)を中心として回動可能に連結された略板状の第2整地板(レーキ)12とを有している。
【0015】
また、第2整地板12の左右方向両端部には、略板状の延長整地板(延長レーキ)13が前後方向の軸14を中心として作業位置および非作業位置間で回動可能に設けられている。第2整地板12と延長整地板13との間には、延長整地板13を作業位置および非作業位置に位置決め固定する弾性体である引張コイルばね15が設けられている。そして、延長整地板13は、作業時には第2整地板12の側方の作業位置に位置決め固定された状態で整地作業をし、非作業時には邪魔にならないよう第2整地板12の上方の非作業位置に位置決め固定される。
【0016】
ここで、整地体7の第2整地板12は、図2ないし図4にも示すように、左右方向に長手方向を有する略矩形板状に形成され作業時には圃場表面に沿った水平姿勢で整地作業をする整地本体板部21と、この整地本体板部21の後端部に左右方向に沿って互いに等間隔をおいて近接して並設され整地本体板部21の下面より下方に突出する略山形状の複数の突出部22とを有している。すなわち例えば整地本体板部21の後端部には、平面視で前側に頂角を有し後側に底辺を有する略三角形状をなす下方突出状の複数の突出部22が整地本体板部21の左右方向一端部から左右方向他端部にわたって等間隔に並設されており、各突出部22は例えば絞り加工によって整地本体板部21に一体に形成されている。
【0017】
そして、各突出部22は、後面視で逆略ハ字状をなす左右の傾斜側板24と、これら左右の傾斜側板24の下辺部相互を連結する連結板25とにて構成されている。連結板25は、図4に示されるように、前端側から後端側に向って下り傾斜する傾斜板部26と、この傾斜板部26の後端部に連設された水平板部27とを有している。
【0018】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0019】
農作業機1を使用して代掻き作業をする場合、左右の延長整地板13を軸14を中心として作業位置まで回動させて作業状態に位置決め固定する。
【0020】
この状態で、農作業機1全体をトラクタの走行により前方に移動させると、耕耘体にて耕耘作業が行われ、この耕耘体の後方では第1整地板11、第2整地板12および延長整地板13にて整地作業が行われる。この際、例えば図4に示すような圃場表面の土塊Aは、第2整地板12の突出部22にてつぶされる。
【0021】
このように農作業機1によれば、整地体7の第2整地板12に下方に向って突出状に形成された複数の突出部22によって圃場表面の土塊Aを効果的につぶすことができるため、例えば強粘土等、砕土されにくい土質の圃場であっても圃場表面に土塊Aがそのまま残るようなことがなく、圃場表面に所望の泥水層を効率的に形成でき、よって例えば従来複数回行程を繰り返す必要があった圃場でも行程を減らすことが可能となり、作業効率の向上、燃費軽減等を図ることができる。
【0022】
また、圃場表面の泥水は、複数の突出部22によって形成された溝に沿って流れて拡散するので、圃場表面全体が均一で土塊が表面に出ない理想的な状態となり、所望の泥水層を確実に形成できる。
【0023】
なお、農作業機1は、例えば図5に示すように、中央作業部31と、この中央作業部31の左右方向端部に回動可能に設けられ回動により展開作業状態および折畳非作業状態に切り換えられる左右の延長作業部32とを備えた折り畳み式の構成でもよい。
【0024】
この折り畳み式の農作業機1の各作業部31,32は、図1等に示すものと同様、所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体30の上方部を覆う耕耘カバー部5の後端部に設けられた整地体7をそれぞれ備え、各整地体7が第1整地板11と第2整地板12とを有している。なお、延長整地板13は、左右の延長作業部32の外端部に回動可能に設けられている。
【0025】
そして、各整地体7の第2整地板12は、図6ないし図8にも示すように、図1等に示すものと同様、左右方向に長手方向を有する略矩形板状に形成され作業時には圃場表面に沿った水平姿勢で整地作業をする整地本体板部21と、この整地本体板部21の後端部に左右方向に沿って互いに等間隔をおいて近接して並ぶように一体に設けられ整地本体板部21の下面より下方に突出する略山形状の複数の突出部22とを有し、各突出部22が傾斜側板24と連結板25とにて構成され、連結板25が傾斜板部26と水平板部27とを有している。
【0026】
また、各整地体7の第2整地板12は、図1等に示すものとは異なり、整地本体板部21の後端部のうち隣り合う突出部22間の部分に後端から前方に向って切り欠き形成され後方に向って開口する複数の切欠部(エジェクタ)35を有している。各切欠部35は、図6に示されるように、平面視で前側に頂角を有し後側に底辺を有する略三角形状に形成されている。なお、切欠部35の前後方向長さ寸法は、例えば突出部22の前後方向長さ寸法の略半分である。
【0027】
そして、このような農作業機1によれば、例えば強粘土等、砕土されにくい土質の圃場であっても圃場表面に土塊Aがそのまま残るようなことがなく圃場表面に所望の泥水層を効率的に形成できるとともに、複数の切欠部35から圃場表面の泥水を流出させることにより圃場表面に所望の泥水層をより一層効率的に形成できる。
【0028】
また、農作業機1は、例えば図1に示す第2整地板12の整地本体板部21に切欠部35を形成した構成でもよく、また切欠部35を有しない第2整地板12を図5に示すものに適用した構成でもよい。
【0029】
さらに、例えば延長整地板13が整地本体板部21および突出部22を有する構成や、延長整地板13が整地本体板部21、突出部22および切欠部35を有する構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の平面図である。
【図2】同上農作業機の第2整地板の後面図である。
【図3】同上第2整地板の後方視斜視図である。
【図4】同上第2整地板の断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る農作業機の後面図である。
【図6】同上農作業機の第2整地板の平面図である。
【図7】同上第2整地板の背面図である。
【図8】同上第2整地板の後方視斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 農作業機
7 整地体
21 整地本体板部
22 突出部
30 耕耘体
35 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、
左右方向に長手方向を有する略板状に形成され、水平姿勢で整地作業をする整地本体板部と、
この整地本体板部の後端部に左右方向に沿って互いに間隔をおいて並設され、前記整地本体板部の下面より下方に突出する複数の突出部とを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
整地体は、整地本体板部の後端部のうち隣り合う突出部間の部分に形成され、後方に向って開口する複数の切欠部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−165364(P2009−165364A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4156(P2008−4156)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】