説明

農作物搬出装置

【課題】収容器内の農作物の密接によるブリッジ現象を解消して確実に送り出せるようにした農作物搬出装置を提供する。
【解決手段】 上方が開放された先細り状の収容器10の底板を一部開口し、複数の仕切板25を所定間隔おいて突設した無端搬出コンベヤ20をその仕切板25が収容器10の底の開口11から内部空間を通じて上方へ移行できるように設け、収容器10に収容した農作物Pを無端搬出コンベヤ20の仕切板25に載せて上方へ1個づつ送り出せるようにした農作物搬出装置において、前記収容器10の底部の内面に突起体40を回転自在に設け、突起体40の回転で収容器10内の農作物Pを動かして農作物Pのブリッジ現象を防止できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容器に収容した多数の農作物を連続的に搬出して植え付け等を行えるようにする農作物搬出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種芋の植え付け作業に使用する農作物搬出装置が特許文献1〜3に開示されている。この技術は、図7に示すように上方が開放された先細り状の収容器70の底板を一部開口し、複数の仕切板81を所定間隔おいて突設した無端搬出コンベヤ80をその仕切板81が収容器70の底の開口71から内部空間を通じて上方へ移行できるように設け、収容器70に収容した農作物Pを無端搬出コンベヤ80の仕切板81に載せて上方へ1個づつ送り出せるようにしたことを特徴としている。図中、72は仕切板81を通過させるとともに農作物Pの落下を防止するブラシ体、90は無端補助コンベヤ、91は仕切板である。
【0003】
ところで、前記技術では、使用中に収容器70内の多数の農作物Pが自重や振動による密接で積み上がった状態が安定し、農作物Pが仕切板81へ移行し難くなって仕切板81が通過する部分に空隙が形成され、無端搬出コンベヤ80が空回りして農作物Pを上方へ送り出せなくなる現象(ブリッジ現象)が生じていた。したがって、その度に収容器70の底部分に衝撃を加えたり、手で農作物Pの密接を直接崩したりすることで解消しており、作業能率が悪いものであった。
【特許文献1】特開平10−7230号公報
【特許文献2】特開平10−7254号公報
【特許文献3】特開2001−48328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、収容器内の農作物の密接によるブリッジ現象を解消して確実に送り出せるようにした農作物搬出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 上方が開放された先細り状の収容器の底板を一部開口し、複数の仕切板を所定間隔おいて突設した無端搬出コンベヤをその仕切板が収容器の底の開口から内部空間を通じて上方へ移行できるように設け、収容器に収容した農作物を無端搬出コンベヤの仕切板に載せて上方へ1個づつ送り出せるようにした農作物搬出装置において、前記収容器の底部の内面に突起体を回転自在に設け、突起体の回転で収容器内の農作物を動かして農作物のブリッジ現象を防止できるようにしたことを特徴とする、農作物搬出装置
2) 突起体が、回転軸に羽根を備えた回転羽根である、前記1)記載の農作物搬出装置
3) 突起体を手動で回転操作するハンドルを設けた、前記1)又は2)記載の農作物搬出装置
4) 無端補助コンベヤに複数の仕切板を無端搬出コンベヤの仕切板と同じ間隔をおいて突設し、同無端補助コンベヤをその往路が無端搬出コンベヤの下方の復路と対向するように設け、無端搬出コンベヤの仕切板で無端補助コンベヤの仕切板を押して無端補助コンベヤを回動できるようにし、農作物を無端搬出コンベヤのリターン部から無端補助コンベヤに移行させて下方へ搬送し、搬送先から畑へ落下させて所定間隔に植え付けできるようにした、前記1)〜3)いずれか記載の農作物搬出装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、突起体の回転で収容器内の農作物の自重による密接を崩すことで仕切板に載り易くなり、ブリッジ現象を解消して能率良く確実に送り出せるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の突起体の回転は、ハンドル操作や足踏み操作等の人力の他に、モーターで回転させる方法や牽引用のトラクターから動力を伝達して回転させる方法でもよく、ブリッジ現象が発生した際に回転させる間欠式、又は常時回転させてブリッジ現象の発生自体を防止する連続式のいずれでもよい。突起体の形状としては、羽根を備えたものが一般的であるが、農作物を動かせる形状があればどのような形状でもよく、農作物を傷つけない丸みを帯びた形状が望ましい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜6に示す実施例は、種芋の植え付けに使用される農作物搬出装置の例である。図1は実施例の農作物搬出装置の正面図、図2は実施例の農作物搬出装置の右側面図、図3は実施例の農作物搬出装置の一部拡大縦断面図、図4は実施例の農作物の植え付けを示す説明図、図5,6は実施例の農作物の送り出しを示す説明図である。
【0009】
図中、10は収容器、11は開口、12はブラシ体、20は無端搬出コンベヤ、21は回転盤、22は駆動プーリー、23は従動プーリー、24はコンベヤベルト、25は仕切板、26は駆動チェーン、27は樋、30は無端補助コンベヤ、31はプーリー、32はコンベヤベルト、33は仕切板、40は突起体、40aは回転軸、40bは羽根、41はベベルギヤボックス、42はシャフト、43はハンドル、44は支持ステー、50はフレーム、51は車輪、52はローラー、60はトラクター、61はハンドル、Hは作業者、Pは農作物である。
【0010】
本実施例の農作物搬出装置は、図1〜3に示すように上方が開放された先細り状の収容器10の底板を一部切り欠き、切り欠いた開口11の直下に垂直に植毛したブラシ体12を上向きに取り付けている。収容器10はフレーム50に開口11側が下方となるように若干傾斜させて取り付け、収容した農作物Pが開口11側へ移行し易いようにしている。フレーム50には一対の車輪51と車輪51間にローラー52をそれぞれ備えている。ローラー52は落下した農作物Pを畑に埋め込むように軽く押さえつける為のものである。
【0011】
無端搬出コンベヤ20は、コンベヤベルト24に複数の仕切板25を所定間隔おいて突設し、トラクタ60から動力を伝達する回転盤21と駆動プーリー22と従動プーリー23で略三角形状に緊張して構成している。コンベヤベルト24の往路の側部には余剰の農作物Pを収容器10へ戻す樋27を取り付けている。この無端搬出コンベヤ20をその仕切板25が収容器10の開口11から内部空間を通じて上方へ移行できるように取り付けている。
【0012】
無端補助コンベヤ30は、コンベヤベルト32に複数の仕切板33を無端搬出コンベヤ20の仕切板25と同じ間隔をおいて突設し、一対のプーリー31で直線状に緊張して構成している。この無端補助コンベヤ30をその往路が無端搬出コンベヤ20の下方の復路と対向するように配設し、無端搬出コンベヤ20の仕切板25で無端補助コンベヤ30の仕切板33を押して無端補助コンベヤ30を回動できるようにしている。無端補助コンベヤ30の搬送先は開放されている。
【0013】
収容器10の底部の斜面内側には突起体40を回転自在に取り付けている。突起体40は、収容器10の内面と直角方向に軸支した回転軸40aに丸みを帯びた一枚の羽根40bを備え、羽根40bが収容器10の内面に沿って回転するようにした構造で、回転軸40aを収容器10の外側に貫通させてベベルギヤボックス41とシャフト42を介してハンドル43と連結している。ハンドル43は支持ステー44で収容器10の側部に軸支している。
【0014】
本実施例では、図4に示すように所定の大きさに加工した種芋からなる農作物Pを収容器10に多数投入する。収容器10内の農作物Pは自重で収容器10の底部に貯溜するが、ブラシ体12と接して落下しない。トラクター60を始動させてその駆動力で無端搬出コンベヤ20を作動させると、仕切板25がブラシ体12を押しのけるようにして容易に通過して回動する。
【0015】
農作物Pは収容器10の斜面と傾斜で無端搬出コンベヤ20側へ寄り、移行中の仕切板25に1個づつ載って上方へ送り出される。送り出された農作物Pは横方向へ搬送された後にリターン部で無端補助コンベヤ30に移行して下方へ搬送され、搬送先から畑へ1個づつ落下してローラー52で軽く押さえつけられ、トラクター60の進行により所定の間隔で植え付けされていく。
【0016】
しばらくすると、農作物Pが自重や走行中の振動により農作物P同士が密接して積み上がった状態が安定して動き難くなってくる。そのまま放置すると従来のように農作物Pが仕切板25に移行し難くなって仕切板25が通過する部分に空隙が形成され、無端搬出コンベヤ20が空回りしてブリッジ現象が生じる。農作物Pは仕切板25に接触はするが、何らかの外力が加わらないと仕切板25に移行しない。
【0017】
ここで、図5,6に示すように作業者Hがハンドル43で突起体40を回転させると、その羽根40bで近辺の農作物Pが動かされて農作物P同士の密接を崩し、農作物Pが仕切板25へ移行し易くなる。このようにして、作業者Hは収容器10内の状態を逐次確認しながら、状態に応じてハンドル43で突起体40を間欠的に回転させることで、ブリッジ現象を早期且つ容易に解消して農作物Pを確実に搬出して植え付けできるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の農作物搬出装置は、馬鈴薯や里芋等の種芋の植え付け作業に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の農作物搬出装置の正面図である。
【図2】実施例の農作物搬出装置の右側面図である。
【図3】実施例の農作物搬出装置の一部拡大縦断面図である。
【図4】実施例の農作物の植え付けを示す説明図である。
【図5】実施例の農作物の送り出しを示す説明図である。
【図6】実施例の農作物の送り出しを示す説明図である。
【図7】従来の農作物の送り出しを示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
10 収容器
11 開口
12 ブラシ体
20 無端搬出コンベヤ
21 回転盤
22 駆動プーリー
23 従動プーリー
24 コンベヤベルト
25 仕切板
26 駆動チェーン
27 樋
30 無端補助コンベヤ
31 プーリー
32 コンベヤベルト
33 仕切板
40 突起体
40a 回転軸
40b 羽根
41 ベベルギヤボックス
42 シャフト
43 ハンドル
44 支持ステー
50 フレーム
51 車輪
52 ローラー
60 トラクター
61 ハンドル
70 収容器
71 開口
72 ブラシ体
80 無端搬出コンベヤ
81 仕切板
90 無端補助コンベヤ
91 仕切板
H 作業者
P 農作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開放された先細り状の収容器の底板を一部開口し、複数の仕切板を所定間隔おいて突設した無端搬出コンベヤをその仕切板が収容器の底の開口から内部空間を通じて上方へ移行できるように設け、収容器に収容した農作物を無端搬出コンベヤの仕切板に載せて上方へ1個づつ送り出せるようにした農作物搬出装置において、前記収容器の底部の内面に突起体を回転自在に設け、突起体の回転で収容器内の農作物を動かして農作物のブリッジ現象を防止できるようにしたことを特徴とする、農作物搬出装置。
【請求項2】
突起体が、回転軸に羽根を備えた回転羽根である、請求項1記載の農作物搬出装置。
【請求項3】
突起体を手動で回転操作するハンドルを設けた、請求項1又は2記載の農作物搬出装置。
【請求項4】
無端補助コンベヤに複数の仕切板を無端搬出コンベヤの仕切板と同じ間隔をおいて突設し、同無端補助コンベヤをその往路が無端搬出コンベヤの下方の復路と対向するように設け、無端搬出コンベヤの仕切板で無端補助コンベヤの仕切板を押して無端補助コンベヤを回動できるようにし、農作物を無端搬出コンベヤのリターン部から無端補助コンベヤに移行させて下方へ搬送し、搬送先から畑へ落下させて所定間隔に植え付けできるようにした、請求項1〜3いずれか記載の農作物搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−50102(P2008−50102A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227582(P2006−227582)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000217240)田中工機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】