説明

農業用フィルム支持部材及びその特性試験方法

【課題】 農業用温室内外に設置される各種フィルムとの接触による損傷を低減する。
【解決手段】 本発明の農業用フィルム支持部材は、フィルムとの接触部における摩擦抵抗が低いため、接触による損傷を低減することができる。特に、農業用温室に用いる各種機材は、設置することによる日照条件が低下しないようにすることが重要であり、農業用フィルム支持部材も、設置した際の投影面積ができるだけ小さいことが望ましい。そのため、農業用フィルム支持部材は外径(直径)ができるだけ細いことが望まれる一方で、細いほど、上記のようにフィルムへの局部的な折れによる損傷の程度が大きくなる。接触部における摩擦抵抗が低いため、外径を細くしても、フィルムの局部的な折れによる損傷の程度を低減することができる。より細い農業用フィルム支持部材を用いることで従来よりも日照条件を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用温室内外に設置されるフィルムを支持する農業用フィルム支持部材及びその特性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用温室には、温室の骨組みに張設される外被フィルム、妻面や側面に設けられる窓部を開閉するフィルム、温室内に開閉可能に設けられ、遮光、保温機能等を発揮する温室用カーテンとして用いられるフィルムなど、各種フィルムが用いられている。これらのフィルム、例えば、外被フィルムや窓部を開閉するフィルムの場合には、押さえ部材(樹脂被覆平線材)が外面に配置されている(特許文献2参照)。この押さえ部材(樹脂被覆平線材)は、フィルムを風等によりばたつかせない機能を果たすフィルム支持部材として位置づけられる。温室用カーテンの場合には、棚線に沿って該温室用カーテンが開閉される。棚線は温室用カーテンの下面に接するように配置されるフィルム支持部材として機能する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−168994号公報
【特許文献2】特公昭59−6786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図4に示されているように、温室用カーテンは、その下面に接して支持する棚線上を、閉鎖方向に動作する際には該温室用カーテンの先端に装着された先端パイプに牽引されて展開され、開放方向に動作する際には先端パイプに押されて寄せ集められていく。棚線としては、金属又は樹脂製の線材(ワイヤ)が用いられるが、直径(外径)10mm以下(通常、2〜8mm)の細いワイヤであるため、開閉動作時に擦れ合う際、局部的に生じる摩擦により損傷が生じる。特に、温室の妻面側に配置されるワイヤには、温室用カーテンが妻面側にも垂れ下げられるため、該温室用カーテンの荷重により接触部における局部的な損傷度合いがより大きいという問題がある。
【0005】
特許文献1では、その図1等に示したように、外径10mm以下のワイヤを用いた場合のこのような局部的な損傷を低減するため、ワイヤに代えて、外径10mmを超える金属製又は樹脂製のパイプを用いることが提案されている。外径を大きくすることにより、パイプとの接触部における該温室用カーテンの曲率がワイヤの場合よりも大きくなり、温室用カーテンの荷重に伴う損傷度合いが低減される。しかし、このような外径の大きなパイプを用いた場合であっても、温室用カーテンの損傷度合いはさらに低減されることが望ましいことはもちろんである。
【0006】
その一方、実際の現場では、コスト面も考慮して、このようなパイプを用いるよりも、従来のように外径10mm以下のワイヤを用いる方が依然として多い。特に、両妻部付近以外の中間部には、棚線として、外径2mm程度に延伸処理して強度を高めたポリエチレン及びポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂製樹脂線が使用されることが多いが、これらの樹脂の摩擦抵抗は比較的大きく、常時接触摩擦を受けることによるカーテンの損傷を生じ、その対策はとられていないのが現状である。
【0007】
さらに、温室外面部には塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂を用いた外被フィルムが多く装着され、そのフィルムの支持(押さえ)部材として幅10mm〜100mm程度、厚み1mm〜2mm程度の樹脂被覆平線材が一定間隔で多数張り巡らされている。樹脂被覆平線材は、例えば特許文献2に示されているように、芯材に延伸して強度の高められるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びそれらの共重合樹脂を、周囲を摩擦抵抗が少なく芯材と比較して相対的に柔軟なポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂材で被覆された構造とされている。しかしフィルムとの損傷を防ぐために経験上幅広に設定されている場合も含めて接触面での低摩擦特性は十分ではなく(後述の比較例10参照)、温室天面フィルム押さえとして支持する場合には滑りが悪く十分に張り切れなかったり、常時巻き取り開閉を必要とする温室側面から肩面フィルム押さえとして支持する場合には摩擦抵抗によるフィルムの損傷が激しかったり、また開閉抵抗を低減するためにフィルムとの隙間を空けた設置や隙間を空けない場合でも緩めに装着せざるを得ず、風によるフィルムのばたつきが生じ、その改善が望まれている。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、農業用温室内外に設置される各種フィルムを支持する際に、フィルムとの接触による損傷を低減できる農業用フィルム支持部材及びその特性試験方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の農業用フィルム支持部材は、農業用温室内外に設置されるフィルムを支持する農業用フィルム支持部材であって、少なくとも前記フィルムとの接触部の摩擦抵抗が、次の条件: 幅90mmの低密度ポリエチレン規格袋(低密度ポリエチレン規格袋同士のASTM−D−1894による摩擦係数μ=0.15〜0.35の範囲)を、重量が150g±5gになるように荷重を付加し、98Nの張力で張設したフィルム支持部材に吊り下げ支持し、このフィルム支持部材を傾斜させていった際の前記低密度ポリエチレン規格袋の滑り出し時点での傾斜角度の正弦(sinθ)が1/3以下、を満たすことを特徴とする。
前記農業用フィルム支持部材は、外径が10mm以下の線材であることが好ましい。また、前記フィルムが温室内に配置されて開閉される温室用カーテンであり、前記線材が、前記温室用カーテンに接して支持するように張設される棚線として用いられるものであることが適している。
また、少なくとも前記接触部がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は超高分子量ポリエチレンを含むものであることが好ましい。また、少なくとも前記接触部は、潤滑剤が配合されて成形されたものであることが好ましい。前記潤滑剤が、シリコーンオイル系潤滑剤、パラフィンワックス系潤滑剤、金属石けん系潤滑剤、滑石(タルク)又はPTFEのいずれか1種又はいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。前記潤滑剤として、相対的に減摩効果の高い潤滑剤と相対的に潤滑効果が緩慢な潤滑剤との混合物が用いられており、相対的に減摩効果の高い潤滑剤と相対的に潤滑効果が緩慢な潤滑剤との配合割合が、1:4〜4:1の範囲であることが好ましい。
また、本発明の農業フィルム支持部材の特性試験方法は、農業用温室内外に設置されるフィルムを支持する農業用フィルム支持部材の特性試験方法であって、 幅90mmの低密度ポリエチレン規格袋(低密度ポリエチレン規格袋同士のASTM−D−1894による摩擦係数μ=0.15〜0.35の範囲)を、重量が150g±5gになるように荷重を付加し、98Nの張力で張設したフィルム支持部材に吊り下げ支持し、このフィルム支持部材を傾斜させていった際の前記低密度ポリエチレン規格袋の滑り出し時点での傾斜角度の正弦(sinθ)を測定し、その値を前記フィルムの摩擦抵抗特性についての値として求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の農業用フィルム支持部材は、フィルムとの接触部における摩擦抵抗が低いため、接触による損傷を低減することができる。特に、農業用温室に用いる各種機材は、設置することによる日照条件が低下しないようにすることが重要であり、農業用フィルム支持部材も、設置した際の投影面積ができるだけ小さいことが望ましい。そのため、農業用フィルム支持部材は外径(直径)ができるだけ細いことが望まれる一方で、細いほど、上記のようにフィルムへの局部的な折れによる損傷の程度が大きくなる。本発明によれば、接触部における摩擦抵抗が低いため、外径を細くしても、フィルムの局部的な折れによる損傷の程度を低減することができる。従って、より細い農業用フィルム支持部材を用いることで従来よりも日照条件を向上させることができる。
また、本発明の特性試験方法を用いることにより、フィルム及び支持部材の実動作状況に即した摩擦抵抗の特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】摩擦抵抗試験の方法を説明するための図である。
【図2】動作試験の方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の農業用フィルム支持部材の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明の農業用フィルム支持部材は、農業用温室内外に設置されるフィルム、例えば、温室の外被(天井面や側面等)を形成するフィルム、温室内に配置される温室用カーテン等との接触部の摩擦抵抗が所定値以下である。具体的には、接触部の摩擦抵抗が、次の条件: 幅90mmの低密度ポリエチレン規格袋(低密度ポリエチレン規格袋同士のASTM−D−1894による摩擦係数μ=0.15〜0.35の範囲)を、重量が150g±5gになるように荷重を付加し、98Nの張力で張設したフィルム支持部材に吊り下げ支持し、このフィルム支持部材を傾斜させていった際の前記低密度ポリエチレン規格袋の滑り出し時点での傾斜角度の正弦(sinθ)が1/3(0.333)以下(傾斜角度で20度未満、摩擦係数として表現すればμ=正接(tanθ)が0.354以下)、を満たすことを特徴とする。
【0014】
このような低密度ポリエチレン規格袋の典型例としては、例えば、ジェイフィルム株式会社製No.4赤ラベルLDPE規格袋であって、規格袋同士の摩擦係数がμ=0.25(ASTM−D−1894によるメーカー試験値)を挙げることができる。なお、LDPE規格袋の摩擦係数が同一であれば、他社製のものであってもよい。
【0015】
ここで、例えば、温室用カーテンは、温室内にほぼ水平で張設されるいわゆる平張りという方式のものもあるが、傾斜角度5〜15度程度の範囲で傾斜して張設されるいわゆる傾斜張りという方式のものも多用されている。温室用カーテンの下方に配置され、該温室用カーテンを支持する農業用フィルム支持部材としての棚線も、温室用カーテンとほぼ同様の傾斜角度で配設され、通常、温室用カーテンの先端が、傾斜の上部側に移動するとカーテンが集積されてカーテンの開放位置となり、下部側に移動するとカーテンが展張される閉鎖位置となるように設定される。
【0016】
このように傾斜状態でフィルム(温室用カーテン)と接することを考慮した場合、農業用フィルム支持部材において適する摩擦抵抗も、傾斜状態で所定以下となっていることが望ましい。後述の試験例で示したように、各種材料について、本発明において規定する上記の摩擦抵抗試験と、ASTM−D−1894等に示されている平面上での一般的な摩擦抵抗試験とにより摩擦抵抗を調べた結果、各摩擦抵抗値の大きさの順序が両者の間で必ず一致するというわけではないことがわかった。接触面積と摩擦力の関係については、摩擦力は摩擦係数と荷重に依存する現象は同様であった。しかし摩擦係数に関しては、既存の平面的試験方法で確認されている同樹脂材同士による樹脂材料中最小の静摩擦係数μ=0.05、動摩擦係数μ=0.10とされるPTFEフッ素樹脂を用いても、本発明の試験方法では、傾斜角度の正弦(sinθ)は0.323、摩擦係数に換算するとμ=0.34であった。また、参考としてジェイフィルム株式会社製No.4赤ラベルLDPE規格袋(幅90mm)をPTFEフッ素樹脂フィルムに置き換えてPTFEフッ素樹脂同士に設定しても正弦(sinθ)は0.219、摩擦係数に換算するとμ=0.22と辛うじて全試験品中最小を記録したものの公知の摩擦抵抗試験とは大きく異なり、傾斜状態では摩擦抵抗が非常に大きいことが確認された。これらのことから、本発明の農業用フィルム支持部材において要求される摩擦抵抗は、上記したフィルム及び支持部材の実動作状況に近い条件で測定して得たものを用いることが好ましいことがわかる。
【0017】
本発明の農業用フィルム支持部材としては、農業用温室内外に使用される各種フィルムを支持する部材、例えば、温室における外被を構成するフィルムを支持するパイプ材、外被を構成するフィルムを押さえる押さえ部材(平線材)、温室内に配置される温室用カーテンを構成するフィルムを支持する棚線等が挙げられる。
【0018】
本発明の農業用フィルム支持部材は、上記した測定条件による摩擦抵抗が所定値以下であるため、実動作状況におけるフィルムの接触部における損傷は小さくなる。従って、従来と比較してより細いものを用いることが可能となる。特に、温室用カーテンを支持する場合、妻面側に温室用カーテンを垂れ下げるが、特許文献1に記載のように、妻面寄りには通常の棚線よりも太い外径10mmを超える金属製又は樹脂製のパイプ材が用いられる場合もある。しかし、本発明によれば、外径10mm以下の細い線材(通常、外径2〜8mmの線材)を用いても、摩擦抵抗が小さいため、線材に接触しながら温室用カーテンが開閉動作した場合の損傷を従来よりも低減できる。すなわち、局部的な折れ及び摩擦抵抗による損傷を低減するために、より径の太い農業用フィルム支持部材(パイプ材等)を使用したりする必要がなく、従来よりも、農業用フィルム支持部材によって生じる影の面積を小さくすることができ、さらに従来、棚線として用いていた線材と同じ線径であっても、損傷を小さくすることができる。
【0019】
上記した摩擦抵抗条件とするために、本発明の農業用フィルム支持部材は、少なくとも農業用フィルム支持部材との接触部がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン又はそれらの混合物を含んでなるものであることが好ましい。農業用フィルム支持部材が、例えば、パイプ材である場合には、フィルムと接触するのは一部分であるため、この一部分を接触部として上記した材料より形成する。あるいは、棚線のように外径10mm以下(通常、2〜8mm)の線材の場合には、フィルムと接触する部分が線材の周面全体となるため、周面全体が接触部となる。周面全体が接触部となる場合、線材自体を上記した材料より成形するか、あるいは、上記した材料よりフィルム状に成形したものを線材の周面に被覆するなどすることができる。なお、接触部の形成の仕方についての詳細は後述する。
【0020】
上記した摩擦抵抗条件とするために、本発明の農業用フィルム支持部材は、上記したPTFE、超高分子量ポリエチレン等により成形する手段に代え、あるは、これらの手段に加えて、少なくとも農業用フィルム支持部材との接触部を、当該接触部を構成するベース樹脂に潤滑剤を配合して成形することも好ましい。
【0021】
潤滑剤を配合する場合の上記ベース樹脂としては、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂(ホモ、コポリ)、ポリアミド樹脂(6、66、11、12)、ポリエステル樹脂(PET、PBT)、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂及びポリアミド、ポリエステルエラストマーなどが挙げられ、これらに限定されるものではないが、温室用カーテンの支持部材(棚線)として使用する場合には耐熱、耐薬品、耐候性の高いポリエステル樹脂(PET、PBT)またはポリカーボネート樹脂を用いるのが好ましく、温室の外部に設けられる外被フィルム(側窓や天窓の形成部も含む)の支持部材(押さえ部材など)として使用する場合には柔軟性の高い塩化ビニル樹脂または超高分子量ポリエチレン樹脂を用いるのが好ましい。不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などに配合して塗料状樹脂として樹脂塗装として用いることも可能である。また、更なる摩擦抵抗性の改善にPTFE及び超高分子量ポリエチレン樹脂に配合しても構わない。なお、驚くべきことに一般樹脂に本発明に従って潤滑剤を配合して改質した樹脂の方が樹脂中摩擦係数が最小とされているPTFEを単独で用いるよりも本摩擦抵抗試験における摩擦特性が優れていることが確認された(後述の試験例参照)。
【0022】
配合する潤滑剤は、耐薬品性、耐候性などの長期安定性の優れたシリコーンオイル系潤滑剤、パラフィンワックス系潤滑剤、金属石けん系潤滑剤、滑石(タルク)あるいはPTFE樹脂である。配合量は上記した摩擦抵抗を満足できればよいが、ベース樹脂の摩擦特性にもよる。例えば、潤滑効果の高いシリコーンオイル系潤滑剤を使用する場合には2重量%以上が好まく、金属石けん系潤滑剤を使用する場合には4重量%以上が好まく、パラフィンワックス系潤滑剤を使用する場合には5重量%以上、滑石(タルク)、PTFE樹脂を使用する場合には10重量%以上が好ましい。なお、ベース樹脂として、PTFEフッ素樹脂及び超高分子量ポリエチレン樹脂を用いる場合には、潤滑剤の配合量は、上記配合量に拘らず所定の摩擦抵抗を獲得するように適量配合することができる。
【0023】
ベース樹脂への潤滑剤の混合方法は公知の方法で混合することができる。ミキサー、ブレンダーなどの混合機によりドライブレンドして押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール機に供給して溶融混練する方法などであるが、押出成型時の押出機による混練を兼ねた混合でもよい。
【0024】
潤滑剤としてのシリコーンオイル系潤滑剤、パラフィンワックス系潤滑剤、金属石けん系潤滑剤、滑石(タルク)及びPTFEフッ素樹脂は混合して使用することもできる。これらを混合する場合、減摩効果の高い潤滑剤であるシリコーンオイル系潤滑剤及び金属石けん系潤滑剤と、潤滑効果が比較的緩慢な滑石(タルク)、PTFEフッ素樹脂及びパラフィンワックス系潤滑剤との配合割合を、相対的に減摩効果の高い潤滑剤(シリコーンオイル系潤滑剤又は金属石けん系潤滑剤のうちの1種又はそれらの混合物):相対的に潤滑効果が緩慢な潤滑剤(滑石(タルク)、PTFEフッ素樹脂又はパラフィンワックス系潤滑剤のうちの1種又はそれらの2種以上の混合物)=1:4〜4:1の範囲とすることが好ましい。
【0025】
本発明で用いる樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で公知のヒンタードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、芳香族アミン系などの酸化防止剤、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンタードアミン系などの耐光剤、帯電防止剤、耐加水分解改良剤、金属劣化防止剤、着色剤などの各種添加剤を適量配合することができる。
【0026】
本発明の農業用フィルム支持部材は、金属または樹脂製線材(単線)、あるいは金属または樹脂製細線をより合わせて作られた金属または樹脂製ロープ材の周面に上記したPTFE、超高分子量ポリエチレン、あるいは、ベース樹脂に上記した潤滑剤を配合した樹脂を直接押出密着被覆しても構わないが、チューブ状に押出成型したり、長尺方向に溝が設けられているカバー状として押出成型したり、あるいはシート(フィルム)状に成型したりして、これを金属または樹脂製線材(単線)、あるいは金属または樹脂製細線をより合わせて作られた金属または樹脂製ロープ材に後付けしても構わない。これらは温室用カーテン等に接触する部分に当該樹脂が接触していれば他部分は他樹脂や金属材料で構成されても構わない。また、樹脂製線材の場合にはPTFE、超高分子量ポリエチレン、あるいは、ベース樹脂に上記した潤滑剤を配合した樹脂による直接成型を行っても構わない。さらに塗料状樹脂として上記部材または布状シートなどに塗装、含浸して用いることも可能である。
【0027】
(試験例)
(摩擦抵抗試験)
摩擦抵抗試験は、温室内カーテン及び外装フィルムの実動作状況に近い摩擦抵抗試験として、図1に示したように、長期安定的に入手可能なジェイフィルム株式会社製No.4赤ラベルLDPE規格袋(幅90mm)中に重量が145gになるように鉄製重りを入れ、袋が袋の幅90mmが保持できるようにフィルム支持部材にゆるく抱き込み固定(袋端部をホチキス等で固定)し、フィルム支持部材の一端を持ち上げ傾斜させていった場合に荷重の付与された規格袋が案内部材を滑り出した時点(静摩擦抵抗を超えた時点)での傾斜角度の正弦(sinθ)を求めた。なお、フィルム支持部材は98Nの張力で張設した。測定は室温23℃で行った。
【0028】
(動作試験)
「カーテン、フィルム動作試験」は、図2に示したように、水平に保持した2本のフィルム支持部材上に、シーアイ化成社製シーアイ農ビハイメタリックシルバー0.1・ボウテキ・GA(厚み0.1mm)及びシーアイ化成社製農POスカイコートテキナシ5(厚み0.15mm)の2枚のフィルムを個別に設置して一端部を押して動作させ目視観察した場合の収束状況や動作感触での摩擦抵抗感が極めて良好な場合を◎、良好な場合を○、やや不良な場合を△及び不良な場合を×として判定した。なお、実施例及び比較例共に上記2枚のフィルムについて実施し、動作状況の判定は2枚のフィルムについての総合評価である。
【0029】
(試験結果)
樹脂組成及び摩擦抵抗において、本発明の条件を満足するフィルム支持部材を実施例1〜12とし、いずれかにおいて本発明の条件を満足しないフィルム支持部材を比較例1〜30として示す。また、参考例1〜5に、摩擦抵抗の参考データを示した。実施例、比較例及び参考例の詳細は次の通りであり、結果を表1〜表2に示した。
【0030】
実施例1〜12は、いずれもカーテン、フィルムの動作状況が極めて良好又は良好であったが、比較例1〜30では良好な結果は得られなかった。また、既存の平面的試験方法で確認されている同樹脂材同士による樹脂材料中最小の静摩擦係数μ=0.05、動摩擦係数μ=0.10とされるPTFEフッ素樹脂を用いても、本発明の試験方法では、傾斜角度の正弦(sinθ)は0.323、摩擦係数に換算するとμ=0.34であった(実施例12)。また、参考としてジェイフィルム株式会社製No.4赤ラベルLDPE規格袋(幅90mm)をPTFEフッ素樹脂フィルムに置き換えてPTFEフッ素樹脂同士に設定しても正弦(sinθ)は0.219、摩擦係数に換算するとμ=0.22と辛うじて全試験品中最小を記録したものの公知の摩擦抵抗試験とは大きく異なり、傾斜状態では摩擦抵抗が非常に大きいことが確認された(参考例1)。測定したその他既存一般樹脂については、傾斜角度の正弦(sinθ)は、最小が比較例13の0.354(PP)、摩擦係数に換算するとμ=0.38、最大が比較例16の0.521(ETFE)、摩擦係数に換算するとμ=0.61で、摩擦係数が高いとされるPVC(比較例7〜10)、ABS(比較例19)の正弦(sinθ)は0.365〜0.417、摩擦係数に換算するとμ=0.39〜0.46と比較的低値であった。実動作状況に近い本摩擦抵抗試験において一定基準以上の摩擦特性を獲得し、温室用カーテン、フィルム支持部材の摩擦特性を改善することの困難さが伺える。またジェイフィルム株式会社製赤ラベルLDPE規格袋を支持部材として用いてLDPE樹脂同士にした場合の傾斜角度の正弦(sinθ)は0.385、摩擦係数に換算するとμ=0.42であった(参考例4)。
【0031】
(実施例、試験例、参考例の詳細条件)
・実施例1
外径3.0mmの鋼線製7×7ワイヤロープに三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂ノバデュラン5010R3−2を55重量%、東レ・デュポン社製ポリエステルエラストマー、ハイトレル7277を30重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂にシリコーン50重量%含有した東レ・ダウコーニング社製シリコーンマスターバッチBY27−009を30重量%(樹脂組成物としてシリコーン15重量%含有)混合した樹脂組成物を外径4.2mmになるように直接被覆した。
【0032】
・実施例2
外径3.0mmの鋼線製7×7ワイヤロープに三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂ノバデュラン5010R3−2を85重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂にシリコーン50重量%含有した東レ・ダウコーニング社製シリコーンマスターバッチBY27−009を10重量%、日本製蝋社製パラフィンワックス135を5重量%(樹脂組成物としてシリコーン5重量%、パラフィンワックス5重量%含有)混合した樹脂組成物を外径4.2mmになるように直接被覆した。
【0033】
・実施例3
外径3.0mmの鋼線製7×7ワイヤロープに三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂ノバデュラン5010R3−2を90重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂にシリコーン50重量%含有した東レ・ダウコーニング社製シリコーンマスターバッチBY27−009を10重量%(樹脂組成物としてシリコーン5重量%含有)混合した樹脂組成物を外径4.2mmになるように直接被覆した。
【0034】
・実施例4
外径3.0mmの鋼線製7×7ワイヤロープに三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂ノバデュラン5010R3−2を90重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂にシリコーン50重量%含有した東レ・ダウコーニング社製シリコーンマスターバッチBY27−009を5重量%(樹脂組成物としてシリコーン2.5重量%含有)混合した樹脂組成物を外径4.2mmになるように直接被覆した。
【0035】
・実施例5
外径3.0mmの鋼線製7×7ワイヤロープに三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂ノバデュラン5010R3−2を90重量%、日本製蝋社製パラフィンワックス135を5重量%混合した樹脂組成物を外径4.2mmになるように直接被覆した。
【0036】
・実施例6
外径12.5mmの塩化ビニル樹脂製丸棒にシーアイ化成社製塩化ビニル樹脂製水道用管ハマパイプVW・VP13(外径18mm)を粉砕した樹脂を95重量%、日油株式会社製ステアリン酸カルシウム、カルシウムステアレートを5重量%混合した樹脂組成物をプレスして厚み0.15mmのフィルムを作成して装着した(装着後の外径12.8mm)。
【0037】
・実施例7
外径3.0mmの鋼線製7×7ワイヤロープに三井化学社製超高分子量ポリエチレン樹脂リュブマーL5000を99.5重量%、紫外線吸収剤としてBASF社製トリアジン系紫外線吸収剤チヌビン1577を0.5重量%混合した樹脂組成物を外径4.2mmになるように直接被覆した。
【0038】
・実施例8
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープに三井化学社製超高分子量ポリエチレン樹脂リュブマーL5000を用いて内径12mm、外径14mmのチューブを作成して装着した。
【0039】
・実施例9
外径2mmのポリエチレンテレフタレート樹脂製樹脂線に住友化学社製ポリプロピレン樹脂住友ノーブレンAH561を90重量%、日本タルク社製汎用タルクSSSを10重量%混合した樹脂組成物をプレスして厚み0.25mmのフィルムを作成して装着した(装着後の外径2.5mm)。
【0040】
・実施例10
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープに三菱エンジニアリングプラスチックス社製PTFE15重量%含有ポリカーボネート樹脂ユーピロンLS−2030を用いて内径4mm、外径5mmのU字状押出品を作成して装着した。
【0041】
・実施例11
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープにエーペックスジャパン社製PTFE10重量%含有ポリカーボネート樹脂APEX−AF0010Nをプレスして厚み0.3mmのフィルムを作成して装着した(装着後の外径4.2mm)。
【0042】
・実施例12
外径5mmのSUS304製1×19ワイヤロープにニチアス社製PTFEフィルム、ナフロンテープ9001(厚み0.1mm)を装着した(装着後の外径5.2mm)。
【0043】
・比較例1
理化学または産業機械加工用途に使用されている外径10mmのポリブチレンテレフタレート樹脂製押出丸棒市販品(製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0044】
・比較例2
理化学または産業機械加工用途に使用されている外径20mmのポリブチレンテレフタレート樹脂製押出丸棒市販品(製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0045】
・比較例3
外径2mmの大日製罐社製ポリエチレンテレフタレート樹脂製樹脂線(支持部材市販品)を直接用いた。
【0046】
・比較例4
外径4mmの大日製罐社製ポリエチレンテレフタレート樹脂製樹脂線(支持部材市販品)を直接用いた。
【0047】
・比較例5
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープに三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂ノバデュラン5010R3−2を90重量%、住鉱潤滑社製二硫化モリブデン、モリパウダーPA、PB、PSを10重量%混合した樹脂組成物をプレスして厚み0.3mmのフィルムを作成して装着した(装着後の外径4.2mm)。
【0048】
・比較例6
外径1.5mmの鋼線製7×7ワイヤロープに東レ・デュポン社製ポリエステルエラストマー、ハイトレル7277を外径2.8mmになるように直接被覆した。
【0049】
・比較例7
外径0.9mmの塩化ビニル樹脂被覆鉄線市販品(#20番手、製造メーカー名不明)を直接用いた。
【0050】
・比較例8
理化学または産業機械加工用途に使用されている外径12.5mmの塩化ビニル樹脂製押出丸棒市販品(製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0051】
・比較例9
支持部材として利用されている外径18mmのシーアイ化成社製塩化ビニル樹脂製水道用管ハマパイプVW・VP13を直接用いた。
【0052】
・比較例10
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープに外径19.4mmの渡辺パイプ社販売品、塩化ビニル樹脂製フィルム保持部材ロングホルダー(φ19用)を装着した。
【0053】
・比較例11
外径2.5mmの鋼線製7×7ワイヤロープに日本ポリエチレン社製高密度ポリエチレン樹脂、ノバテックHD、HJ560を外径4.2mmになるように直接被覆した。
【0054】
・比較例12
小山商事社販売品、低密度ポリエチレン樹脂被覆支持部材、リニアバンド2−10−40S(幅10mm、厚み1mm)を直接用いた。
【0055】
・比較例13
外径1.5mmの鋼線製7×7ワイヤロープに住友化学社製ポリプロピレン樹脂住友ノーブレンAH561を外径2.8mmになるように直接被覆した。
【0056】
・比較例14
理化学または産業機械加工用途に使用されている外径8mmのポリカーボネート樹脂製パイプ市販品(製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0057】
・比較例15
外径5mmのSUS304製1×19ワイヤロープにダイキン工業社製PFAフィルム、ネオフロンPFAフィルムAF−0100(厚み0.1mm)を装着した(装着後の外径5.2mm)。
【0058】
・比較例16
外径1.5mmの鋼線製7×7ワイヤロープに旭硝子社製ETFEフッ素樹脂、フルオンC88−APを外径2.8mmになるように直接被覆した。
【0059】
・比較例17
理化学または産業機械加工用途に使用されている外径8mmのポリアセタール樹脂製押出丸棒市販品(製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0060】
・比較例18
理化学または産業機械加工用途に使用されている外径25mmのポリアセタール樹脂製押出丸棒市販品(製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0061】
・比較例19
理化学または産業機械加工用途に使用されている外径5mmのABS樹脂製押出丸棒市販品(製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0062】
・比較例20
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープに支持部材として利用されている外径10mmの誠和社販売品、ポリアミド12樹脂製チューブを装着した。
【0063】
・比較例21
トヨフレックス社販売品である外径2.5mmの鋼線製7×7ワイヤロープに0.5重量%シリコーンオイル含有ポリアミド12樹脂(SLナイロン)を外径3.6mmになるように被覆した樹脂被覆ワイヤロープ市販品を用いた。
【0064】
・比較例22
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープに支持部材として利用されている外径22mmの誠和社販売品、アルミニウム(表面シルバーアルマイト封孔処理品)製U字状品を装着した。
【0065】
・比較例23
支持部材として利用されている外径2.0mmのSUS304硬線市販品(#14番手、製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0066】
・比較例24
支持部材として利用されている外径4.0mmのSUS304硬線市販品(#8番手、製造メーカー等不明)を直接用いた。
【0067】
・比較例25
外径3.6mmの鋼線製1×7ワイヤロープに外径16mmの外面部を光輝焼鈍し処理されたSUS304鋼管市販品(製造メーカー等不明)を装着した。
【0068】
・比較例26
支持部材として利用されている浅野金属工業社販売品、外径4.0mmのSUS304製1×19ワイヤロープを直接用いた。
【0069】
・比較例27
支持部材として利用されているジェイ−ワイテックス社製、外径3.6mmの鋼製1×7ワイヤロープ新品を直接用いた。
【0070】
・比較例28
支持部材として利用されているジェイ−ワイテックス社製、外径3.6mmの鋼製1×7ワイヤロープ新品に付着している製造工程にて使用する油脂を溶剤で脱脂して直接用いた。
【0071】
・比較例29
支持部材として利用されているジェイ−ワイテックス社製、外径3.6mmの鋼製1×7ワイヤロープで農業用温室内5年設置品を直接用いた。
【0072】
・比較例30
温室カーテン装置駆動部材及び支持部材として利用されているシンワ社製、外径3.5mmのポリエステル繊維製八打ロープ(リヴァースロープ)を直接用いた。
【0073】
・参考例1
ニチアス社製PTFEフィルム、ナフロンテープ9001(厚み0.1mm)を使用して幅90mmのジェイフィルム株式会社製No.4赤ラベルLDPE規格袋相当品を作成し、外径5mmのSUS304製1×19ワイヤロープにニチアス社製PTFEフィルム、ナフロンテープ9001(厚み0.1mm)を装着し(装着後の外径5.2mm)、PTFEフィルム同士が接触するように設定した。
【0074】
・参考例2
グンゼ社製、誠和社販売のPET樹脂繊維製不織紙ルートン(厚み0.1mm)に日油株式会社製ステアリン酸カルシウム、カルシウムステアレートを全面に塗布し、外径4mmの大日製罐社製ポリエチレンテレフタレート樹脂製樹脂線(支持部材市販品)に装着した。
【0075】
・参考例3
グンゼ社製、誠和社販売のPET樹脂繊維製不織紙ルートン(厚み0.1mm)に日本製蝋社製パラフィンワックス135を全面に塗布し、外径4mmの大日製罐社製ポリエチレンテレフタレート樹脂製樹脂線(支持部材市販品)に装着した。
【0076】
・参考例4
ジェイフィルム株式会社製No.15赤ラベルLDPE規格袋(厚み0.03mm)を使用して外径10mmのPBT樹脂製押出丸棒に装着し(装着後の外径10.1mm)、ジェイフィルム株式会社製赤ラベル規格袋に使用されているLDPE樹脂同士が接触するように設定した。
【0077】
・参考例5
柴田科学社販売の外径7mmの硼珪酸ガラス製1mlメスピペットを直接用いた。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業用温室内外に設置されるフィルムを支持する農業用フィルム支持部材であって、
少なくとも前記フィルムとの接触部の摩擦抵抗が、次の条件:
幅90mmの低密度ポリエチレン規格袋(低密度ポリエチレン規格袋同士のASTM−D−1894による摩擦係数μ=0.15〜0.35の範囲)を、重量が150g±5gになるように荷重を付加し、98Nの張力で張設したフィルム支持部材に吊り下げ支持し、このフィルム支持部材を傾斜させていった際の前記低密度ポリエチレン規格袋の滑り出し時点での傾斜角度の正弦(sinθ)が1/3以下、
を満たすことを特徴とする農業用フィルム支持部材。
【請求項2】
外径が10mm以下の線材である請求項1記載の農業用フィルム支持部材。
【請求項3】
前記フィルムが温室内に配置されて開閉される温室用カーテンであり、前記線材が、前記温室用カーテンに接して支持するように張設される棚線である請求項2記載の農業用フィルム支持部材。
【請求項4】
少なくとも前記接触部がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は超高分子量ポリエチレンを含むものである請求項1〜3のいずれか1に記載の農業用フィルム支持部材。
【請求項5】
少なくとも前記接触部は、潤滑剤が配合されて成形されたものである請求項1〜4のいずれか1に記載の農業用フィルム支持部材。
【請求項6】
前記潤滑剤が、シリコーンオイル系潤滑剤、パラフィンワックス系潤滑剤、金属石けん系潤滑剤、滑石(タルク)又はPTFEのいずれか1種又はいずれか2種以上の混合物である請求項5記載の農業用フィルム支持部材。
【請求項7】
前記潤滑剤として、相対的に減摩効果の高い潤滑剤と相対的に潤滑効果が緩慢な潤滑剤との混合物が用いられており、相対的に減摩効果の高い潤滑剤と相対的に潤滑効果が緩慢な潤滑剤との配合割合が、1:4〜4:1の範囲である請求項6記載の農業用フィルム支持部材。
【請求項8】
農業用温室内外に設置されるフィルムを支持する農業用フィルム支持部材の特性試験方法であって、
幅90mmの低密度ポリエチレン規格袋(低密度ポリエチレン規格袋同士のASTM−D−1894による摩擦係数μ=0.15〜0.35の範囲)を、重量が150g±5gになるように荷重を付加し、98Nの張力で張設したフィルム支持部材に吊り下げ支持し、このフィルム支持部材を傾斜させていった際の前記低密度ポリエチレン規格袋の滑り出し時点での傾斜角度の正弦(sinθ)を測定し、その値を前記フィルムの摩擦抵抗特性についての値として求める農業用フィルム支持部材の特性試験方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−125212(P2012−125212A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281071(P2010−281071)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390010814)株式会社誠和 (31)
【Fターム(参考)】