説明

農用作業機

【課題】整地装置の上下動操作と動力の入切操作とを確実に行えるようにした農用作業機を提供する。
【解決手段】植付装置31には、田面を整地する整地装置51が備えられており、整地装置51は、植付装置31側に配置した操作部81により操作できる。操作部81は、操作レバー85に連結したリンク92及び連係アーム66を介して整地装置51を上下動できると共に、操作レバー85に連結したワイヤ100により整地装置51に動力を伝達するクラッチ73を入切操作できる。また、連係アーム66には、植付装置31の植付深さを調節する植付深さ調節装置41が連結しており、植付装置31が移動した場合であっても整地装置51の上下位置が保持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整地装置を備えた田植機等の農用作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、整地装置を備えた田植機等の農用作業機として、前輪と後輪を有する走行機体の後部に、昇降リンク機構を介して複数条の苗を同時に植付ける植付装置を昇降自在に支持すると共に、後輪の後方で植付装置の前方に位置し、かつ植付装置と連動して昇降すると共に、植付装置に対しても位置調整可能に整地装置を支持したものが知られている。
【0003】
このような農用作業機は、走行機体に搭載されたエンジンの出力によって走行機体の走行、植付装置による苗の植付作業、整地装置による整地作業が行われるようになっている。そして、植付装置へは、走行機体からPTO軸を介して動力が伝達され、整地装置へはクラッチを介して動力を伝達できるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
植付装置に対して、整地装置を整地位置および非整地位置へ上下移動させるには、植付装置側に配置された操作レバーで操作し、整地装置への動力の入切は、走行装置側に配置された操作レバーによって操作できるようになっている(例えば、特許文献2参照)。さらに、整地装置の上下操作と動力の入切操作とを、走行機体側に配置した1個の操作レバーで操作できるようにして、整地装置の上下移動に連動して整地装置への動力の入切を可能にした農用作業機がある(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−209411号公報
【特許文献2】特開2004−65111号公報
【特許文献3】特開2006−81521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び特許文献2に記載された整地装置は、植付装置に対する整地装置の上下操作と、整地装置への動力の入切操作とを、それぞれ別個の操作レバーによって操作するため、例えば整地装置が下降して整地位置にあるにもかかわらず、整地装置への動力の入操作を忘れた際には、整地装置が引き摺られて田面を荒らしてしまう場合がある。また、特許文献3に記載された整地装置は、整地装置の上下操作と整地装置への動力の入切操作とが1個の操作レバーで操作されるので、整地装置の上下操作による動力の入切操作忘れが生じることはないものの、走行機体の座席シートの側面下方に配置した操作レバーが、走行機体と植付装置に亘って配設されるリンク機構を介して整地装置の上下移動をしているので、例えば耕盤の凹凸により走行機体が傾き、走行機体に対して植付装置が大きくローリングした際には、リンク機構の配置によってはリンク機構に捩れが生じて整地装置の上下位置を変化させてしまう場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、整地装置の上下操作と整地装置への動力の入切操作とを確実にできるようにし、もって上記した課題を解決した農用作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、エンジンを搭載し、該エンジンの動力により走行する走行機体(11)と、該走行機体に昇降自在に支持された植付装置(31)と、前記走行機体(11)と前記植付装置(31)との間に配置されかつ前記植付装置(31)に連動して昇降支持される整地装置(51)と、を備えてなる農用作業機(10)において、
前記走行機体(11)から動力を取出して、前記整地装置(51)に伝達する動力伝達装置(71)に介在して、動力伝達を入切するクラッチ(73)と、
前記整地装置(51)を、前記植付装置(31)に連動した下降位置において高さを調節する上下動手段(61)と、
前記植付装置(31)に配置され、前記クラッチ(73)及び前記上下動手段(61)を操作する1個の操作手段(81)と、を備えた、
ことを特徴とする農用作業機にある。
【0009】
請求項2に係る本発明は、前記操作手段(81)と前記クラッチ(73)とをワイヤ(100)にて連結してなる、
請求項1記載の農用作業機にある。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記植付装置(31)に、植付け深さを調節する植付け深さ調節手段(41)を設け、
前記植付け深さ調節手段(41)を前記上下動手段(61)に連繋して、前記植付け深さに連動して前記整地装置(51)の支持高さを調節してなる、
請求項1又は2記載の農用作業機にある。
【0011】
なお、前記した括弧内の符号等は、図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によると、整地装置の高さを調節する上下動手段の操作と、クラッチを入切する操作とを、植付装置に配置した1個の操作手段により操作するので、整地装置の上下移動と動力の入切とを同時に操作できる。また、上下動手段は植付装置側に配置しているので、走行機体が傾いた際でも、植付装置と整地装置との相対位置の変化がなくなる。植付装置に配置した1個の操作手段により、操作手段及びリンク機構を簡易な構造にできる。
【0013】
請求項2に係る本発明によると、整地装置への動力伝達をするクラッチは、ワイヤにより操作手段と連結しているので、簡易な構造で、且つ確実にクラッチの入切操作ができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によると、植付装置の上下動手段に連繋して植付け深さを調節する植付け深さ調節手段を設けたので、植付け深さに連動して整地装置の支持高さを調節できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。農用作業機を構成する田植機10は、図1に示すように、走行機体11と、昇降リンク機構21と、植付装置31及び整地装置51とを備えている。
【0016】
走行機体11は、前輪12と後輪13により支持された機体15を有し、該機体15の前方に、ボンネット16に覆われたエンジンを搭載している。エンジンの後方には、ステアリングハンドル18の他、田植機10の運転操作に必要な各種のレバー及びペダル類と座席シート20とを有する運転席が配設されている。
【0017】
昇降リンク機構21は、走行機体11の後部に配置され、前記機体15の後部に揺動自在に支持されたアッパリンク22及びロアリンク23と、これらアッパリンク22及びロアリンク23の後端に接続されたリンクホルダ25と、機体15とロアリンク23との間に配置された油圧シリンダ26を備えている。そして、油圧シリンダ26の作動により、リンクホルダ25が上下方向に揺動して植付装置31の姿勢を制御する。
【0018】
植付装置31には、下方に配置したフレーム32に、マット状の苗から1株分の苗を掻き取って田面に植付けるプランタ33と、苗の植付け深さを調節する植付け深さ調節装置41とが取り付けられており、フレーム32は、昇降リンク機構21のリンクホルダ25にローリング軸(図示せず)を介してローリング自在に支持されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、フレーム32にステー34を介してマット苗を載置する苗のせ台35が移動自在に取付けられている。また、プランタ33について詳述すると、フレーム32の後端面には、複数の伝動ケース36と、該伝動ケース36の後端部の側面に回転自在に支持された複数の植付ケース37と、該植付ケース37に、苗のせ台35上のマット苗から1株分の苗を掻き取って田面に植付ける複数の植付杆38とが配設されている。なお、植付杆38及び苗のせ台35等は、走行機体11に搭載されたエンジンによって駆動されるPTO軸(図示せず)からの動力が、伝動ケース36の内部を通して伝達される。
【0020】
植付深さ調節装置41は、図1から図3に示すように、伝動ケース36の下面に回動自在に支持された軸42と、一端が該軸42に固定され、下方後方に向けて突出するアーム43と、該アーム43の他端に回動自在に支持され、下面が田面に接触して滑走するフロート45と、一端が軸42に固定され、上方に向けて突出するアーム46と、該アーム46の他端に連結され、レバーガイドに沿って配置された調節レバー47とを有している。
【0021】
整地装置51は、走行機体11の後輪13とフロート45との間に位置するように配置しており、整地装置51を作業位置に移動させて、植付装置31のフロート45を接地させると、田面を平滑に掻き均せるように、植付装置31に支持されている。
【0022】
整地装置51は、田面を平滑に均す整地部52と、植付装置31の作業位置において、整地部52を上下方向に移動させる上下動機構(上下動手段)61と、整地部52に動力を伝達する動力伝達装置71と、整地部52の上下移動と動力伝達装置71の入切を同時に操作する操作部81とにより構成されている。
【0023】
整地部52は、支持ロッド53と、該支持ロッド53に支持された支持部55と、該支持部55に回転可能に支持されたロータ軸56と、該ロータ軸56に支持された複数のかご型の整地ロータ57と、該整地ロータ57の上方を覆うロータカバー58を備えている。
【0024】
上下動機構61は、図4及び図5に示すように、ステー34に回動自在に支持された支持軸62(支点軸)と、一端が支持軸62に支持されたアーム63と、アーム63の他端に支持されたピン65(第1のピン)と、略三角形に形成され、その1つの角が第1のピン65に回動自在に支持された連係アーム66とを備えている。また、一端が連係アーム66に回転自在に支持されたリンク67と、一端が該リンク67の他端に回動自在に支持されたリンク68とを備えている(図4参照)。
【0025】
そして、連係アーム66の先端66aは、支持ロッド53の中央部に回動自在に連結されていると共に、リンク68の他端が支持ロッド53の上端部に回動自在に連結されて整地部52を支持している。なお、整地部52は、苗のせ台35の前面(走行機体11側の面)と支持ロッド53との間に張設したスプリング70によって上方(非均平作業位置)に向けて付勢されている。
【0026】
動力伝達装置71は、図2及び図3に示すように、走行機体11の機体15の後部に配置された動力伝達機構72と、動力伝達機構72の出力側に配置されたクラッチ73と、クラッチ73を介して動力を伝達する伸縮自在な伝動軸75とを備えている。クラッチ73には、クラッチ73を入切するためのクラッチ操作ロッド76が設けられている。そして、クラッチ73の入操作により、動力伝達機構72の出力をロータ軸56に伝達して整地ロータ57を回転させる。クラッチ73が切操作された場合には、動力伝達機構72の動力は遮断されて整地ロータ57の回転は停止する。
【0027】
操作部81は、図2、図3及び図6に示すように、苗のせ台35の裏面側に配置した軸82に回動自在に支持された操作レバー85と、同じく苗のせ台35の前面に固設したレバーガイド83とを有している。レバーガイド83には、多数の溝が形成されて操作レバー85を任意の位置で固定できる階段スライド部83aと、操作レバー85を上下方向に向けて案内するスライド部83bと、上方にある操作レバー85の位置固定をする上方固定溝83cとが形成されている。そして、操作レバー85には、整地部52の昇降操作をする整地昇降リンク90と、クラッチ73を入切操作するワイヤ100とが連結されている。
【0028】
整地昇降リンク90は、一端が軸82に固定されたリンクプレート91と、リンクプレート91の他端と支持軸62に固定されたピンプレート64の端部と連結するリンク92とを有している(図5参照)。そして、操作レバー85が操作されると、リンクプレート91が軸82を支点にして回動して、リンク92及びピンプレート64を介して支持軸62を回転させる。
【0029】
ワイヤ100は、操作部81から動力伝達装置71に亘るように配置しており、一端100aが操作レバー85に回動自在に連結し、他端100bがクラッチ73に連結している。他端100bには、長孔が形成された摺動ブラケット101が連結しており、長孔にクラッチ操作ロッド76を操作するクラッチシフタ77が嵌合してクラッチ73を入切できる。
【0030】
軸42と連係アーム66とは、図4及び図5に示すように、軸42に固定されたアーム112と、アーム112に回動自在に連結された第1リンク113と、第1リンク113に固定されたブラケット115と、苗の深植え時に軸心が支持軸62の軸心と略一致するようにブラケット115に支持されると共に、連係アーム66に回動自在に連結するピン116(第2のピン)とを有している。そして、軸42と連係アーム66とは、植付け深さ調節装置41の調節レバー47により操作される。
【0031】
調節レバー47を走行機体11側に傾倒操作すると、アーム46とアーム43が反時計方向に回動して、伝動ケース36に対して前記フロート45を上昇させる。即ち、フロート45が田面と接触した状態であれば、田面に対して植付装置31全体が下降することになる。従って、植付杆38が田面に近付いて苗の深植えを行うことができる。また、調節レバー47を苗のせ台35側に傾倒操作すると、アーム46とアーム43が時計方向に回動して、伝動ケース36に対してフロート45を下降させる。即ち、フロート45が田面と接触した状態であれば、田面に対して植付け装置31全体が上昇することになる。従って、植付け杆38が田面から離間して苗の浅植えを行うことができる。調節レバー47の操作により、プランタ33を標準位置、浅植え位置、深植え位置の何れかの位置に選択して保持できる。
【0032】
連係アーム66は、操作部81の操作レバー85の操作によって支持軸62が回動したときには、その操作力がアーム63及び第1のピン65を介して伝達されて、第2のピン116を支点として回動する。また、植付け深さ調節装置41の調節レバー47の操作によって軸42が回転したときには、その移動量がリンク113、ブラケット115及びピン116を介して連係アーム66まで伝達され、第1のピン65を支点として回動するように構成されている。
【0033】
そして、操作レバー85を植付装置31側に操作すると、軸82が回動してリンクプレート91、リンク92及びピンプレート64を介して支持軸62を回動させて整地部52を上昇させることができる。同時に、操作レバー85に連結したワイヤ100が引かれて、摺動ブラケット101及びクラッチ操作ロッド76を介してクラッチ73を切状態にして、整地部52への動力が遮断される。
【0034】
また、操作レバー85を走行機体11側へ傾倒操作すると、図2に示すように、リンク92が下方へ押してピンプレート64を回動し、整地部52を作業位置へ移動させる。この場合には、操作レバー85に連結したワイヤ100を弛ませて、クラッチシフタ77が有する付勢力によってクラッチ73が入状態になり、整地部52へ動力が伝達される。
【0035】
即ち、植付装置31側に配置した1個の操作レバー85の操作により、整地部52の上下移動と、整地部52に対する動力の入切を同時に操作することができ、整地ロータ57をその上昇位置(非均平作業位置)で空転させ、或いは、その下降位置(均平作業位置)で整地ロータ57の回転を停止させまま移動して、田面を荒らすなどの操作ミスを防止することができる。
【0036】
整地部52が均平作業位置にあり(図4参照)、調節レバー47を標準位置から苗のせ台35に近接する側へ操作して浅植え位置に切換えると、アーム46を介して軸42が時計方向に回動して、アーム112を時計方向に回動させる。
【0037】
アーム112の回動によりリンク113が押し上げられ、ブラケット115及び第2のピン116を介して連係アーム66を、第1のピン65を中心として反時計方向に回動させる。この連係アーム66の反時計方向の回動により、整地部52が標準位置から浅植え位置へ移動する。
【0038】
一方、調節レバー47を標準位置から苗のせ台35から離間する側へ操作して深植え位置に切換えると、アーム46を介して軸42が反時計方向に回動して、アーム112を反時計方向に回動させる。
【0039】
アーム112の回動によりリンク113が引き下げられ、ブラケット115及び第2のピン116を介して連係アーム66を回動させ、該連係アーム66を第1のピン65を中心として時計方向に回動させる。この連係アーム66の時計方向の回動により、整地部52が標準位置から深植え位置へ移動する。
【0040】
このとき、支持軸62は、操作レバー85により位置固定されたリンク92及びピンプレート64により回動することはない。即ち、連係アーム66は、操作レバー85により上下動機構61が操作されると、第2のピン116を枢支点として回動し、調節レバー47により植付け深さ調節装置41が操作されると、第1のピン65を枢支点として回動するようになっている。
【0041】
前記の構成であるから、走行車輌11に植付装置31を支持し、苗の植付作業を行う際に田面の整地の必要がない場合には、図3に示すように、操作レバー85を植付装置31側へ操作する。すると、整地装置51は、田面の上方の非作業位置へ移動する。同時に、ワイヤ100が引かれてクラッチ73が切られ、整地ロータ57の回転駆動が停止する。
【0042】
この状態で、苗を浅植えする場合には、植付け深さ調節装置41の調節レバー47を苗のせ台35側へ操作する(図1参照)。すると、軸42を介してアーム43が時計方向に回動してフロート45を押し下げ(即ち、田面に対し植付装置31を離間する方向に上昇させ)、田面(フロート45の下面)と植付杆38の間隔を大きく設定する(図4参照)。即ち、田面と苗のせ台35上の苗を掻き取って田面に移植する植付杆38の間隔を大きくなることにより、田面に対する植付杆38の侵入量を小さくして苗を浅植えすることができる。
【0043】
また、苗を深植えする場合には、植付け深さ調節装置41の調節レバー47を走行機体11側(反苗のせ台35側)へ操作する(図1参照)。すると、軸42を介してアーム43が反時計方向に回動してフロート45を引き上げ(即ち、田面に対し植付装置31を近接させる方向に下降させ)、田面と植付杆38の間隔を小さくする設定する(図4参照)。即ち、田面と植付杆38の間隔を小さくすることにより、田面に対する植付杆38の侵入量を大きくして苗を深植えすることができる。
【0044】
苗の植付作業を行う際に田面の整地が必要な場合には、図2に示すように、操作レバー85を走行機体11側へ操作する。すると、整地部52は、整地ロータ57が田面と接する作業位置へ下降する。操作レバー85の操作の際には、ワイヤ100が押出されてクラッチ73が入状態となり、整地ロータ57に駆動力が伝達されて回転する。
【0045】
この状態で、苗を浅植えする場合には、植付け深さ調節装置41の調節レバー47を苗のせ台35側へ操作する。すると、軸42を介してアーム43が時計方向に回動してフロート45を押し下げ(即ち、田面に対し植付装置31を離間する方向に上昇させ)、田面(フロート45の下面)と植付杆38の間隔を大きく設定する。即ち、田面と苗のせ台35上の苗を掻き取って田面に移植する植付杆38の間隔を大きくことにより、田面に対する植付杆38の侵入量を小さくして、苗を浅植えすることができる。
【0046】
このとき、図4に示すように、軸42を介してアーム112が時計方向に回動して、リンク113を介して連係アーム66を反時計方向に回動させ、植付装置31の上昇分だけ整地部52を下降させ、整地ロータ57の対地高さを維持して田面と整地ロータ57の良好な接触を確保することができる。
【0047】
また、苗を深植えする場合には、植付け深さ調節装置41の調節レバー47を走行機体11側(反苗のせ台35側)へ操作する。すると、軸42を介してアーム43が反時計方向に回動してフロート45を引き上げ(即ち、田面に対し植付装置31を近接させる方向に下降させ)、田面と植付杆38の間隔を小さくする設定する。即ち、田面と植付杆38の間隔を小さくすることにより、田面に対する植付杆38の侵入量を大きくして、苗を深植えすることができる。
【0048】
このとき、軸42を介してアーム112が反時計方向に回動してリンク113を介して連係アーム66を時計方向に回動させ、植付装置31の下降分だけ整地部52を上昇させ、整地ロータ57の対地高さを維持して田面と整地ロータ57の良好な接触を確保することができる。
【0049】
前記のように、整地部52を均平作業位置と非均平作業位置に上下動する操作と、整地部52への動力伝達を入切する操作とを、1個の操作レバー85にて操作するので、整地部52を均平作業位置に下降した状態でクラッチ73の入操作を忘れて、整地ロータ57の引き摺りによる田面の荒れを防止することができる。また、耕盤の凹凸などにより走行機体11が傾いた際でも、操作部81と整地装置51とが共に植付装置31側に取付けられているので、植付装置31と整地装置51との相対位置が変化することはない。操作部81を植付装置31側に配置することにより、上下動機構61及び植付深さ調節装置41を簡易な構造にすることができる。
【0050】
また、整地部52は、均平作業位置において操作部81により高さ調節ができるので、1個の操作レバー85による簡単な操作で、苗の植付け深さに対応した整地部52の高さ調節を容易に行うことができ、適切な整地作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0051】
また、連係アーム66に第1のピン65と第2のピン116を設け、上下動機構61による調節は第2のピン116を枢支点として、植付け深さ調節装置41による調節は第1のピン65を枢支点として、連係アーム66を回動するので、上下動機構61及び植付け深さ調節装置41による整地高さの調節を互いに干渉することがなくなり、それぞれ独立してスムーズに操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】植付装置及び整地装置を連結した農用作業車の側面図である。
【図2】均平作業位置にある整地装置を示す拡大側面図である。
【図3】非均平作業位置にある整地装置を示す拡大側面図である。
【図4】整地装置のリンク構造を示す拡大図である。
【図5】高さ調整手段を示す平面図である。
【図6】操作手段を走行機体側から見た正面図である。
【符号の説明】
【0053】
11 走行機体
31 植付装置
51 整地装置
61 上下動機構(上下動手段)
71 動力伝達装置
73 クラッチ
81 操作部(操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載し、該エンジンの動力により走行する走行機体と、該走行機体に昇降自在に支持された植付装置と、前記走行機体と前記植付装置との間に配置されかつ前記植付装置に連動して昇降支持される整地装置と、を備えてなる農用作業機において、
前記走行機体から動力を取出して、前記整地装置に伝達する動力伝達装置に介在して、動力伝達を入切するクラッチと、
前記整地装置を、前記植付装置に連動した下降位置において高さを調節する上下動手段と、
前記植付装置に配置され、前記クラッチ及び前記上下動手段を操作する1個の操作手段と、を備えた、
ことを特徴とする農用作業機。
【請求項2】
前記操作手段と前記クラッチとをワイヤにて連結してなる、
請求項1記載の農用作業機。
【請求項3】
前記植付装置に、植付け深さを調節する植付け深さ調節手段を設け、
前記植付け深さ調節手段を前記上下動手段に連繋して、前記植付け深さに連動して前記整地装置の支持高さを調節してなる、
請求項1又は2記載の農用作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−67633(P2008−67633A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248706(P2006−248706)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】